JP2014177644A - 樹脂組成物、その製造方法及び多層構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は(A)エチレン−ビニルアルコール共重合体、(B)カルボン酸及び/又はカルボン酸イオン、並びに(C)金属イオンを含有する樹脂組成物であって、上記(B)カルボン酸及び/又はカルボン酸イオンが(B2)ヒドロキシ基を有する多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸イオンを含み、上記(B2)成分の含有量が0.01μmol/g以上20μmol/g以下、(C)成分が(C1)アルカリ金属イオンを含み、(C1)アルカリ金属イオンに対する(B2)多価カルボン酸及び多価カルボン酸イオンのモル比(B2/C1)が0.002以上2以下である。
【選択図】なし
Description
(A)エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「(A)成分」ともいう。)、
(B)カルボン酸及び/又はカルボン酸イオン(以下、「(B)成分」ともいう。)、並びに
(C)金属イオン(以下、「(C)成分」ともいう。)
を含有する樹脂組成物であって、
上記(B)カルボン酸及び/又はカルボン酸イオンが(B2)多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸イオン(以下、「(B2)成分」ともいう。)を含み、
上記(C)金属イオンに対する(B2)多価カルボン酸及び多価カルボン酸イオンのモル比(B2/C)が0.002以上2以下であることを特徴とする。
これら官能基の中でも、金属イオンに対する配位強度が適度に調整され、着色発生を抑制しつつ多層構造体とした場合に層間接着性の優れたものが得られるという点等で、ヒドロキシ基を有することがより好ましい。
エチレンとビニルエステルとを共重合してエチレン−ビニルエステル共重合体を得る共重合工程、及び
上記エチレン−ビニルエステル共重合体をけん化してエチレン−ビニルアルコール共重合体を得るけん化工程
を含み、
上記共重合工程より後に
上記エチレン−ビニルエステル共重合体又はエチレンビニルアルコール共重合体と(B2’)多価カルボン酸及び/又はその塩(以下、「(B2’)成分」ともいう。)とを混合する混合工程
をさらに含む製造方法である。
当該樹脂組成物の製造方法によれば、(B2’)成分の混合を共重合工程より後に行うことで、溶融成形時の黄変等の発生が抑制された樹脂組成物を得ることができる。
上記含水ペレットを乾燥してエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む樹脂組成物を得る乾燥工程
をさらに含み、
上記造粒工程以降に上記混合工程を行うとよい。当該方法によっても、溶融成形時の黄変が低減された樹脂組成物を効果的に得ることができる。
上記混合工程として、上記造粒工程と乾燥工程との間で、上記含水ペレットを(B2’)成分を含有する溶液に浸漬させるとよい。当該方法によれば、(B2’)成分を効率的に樹脂組成物中に混合させることができ、溶融成形時の黄変が抑えられた樹脂組成物の製造をより効果的に行うことができる。
(樹脂組成物)
本発明の樹脂組成物は、(A)エチレン−ビニルアルコール共重合体、(B)カルボン酸及び/又はカルボン酸イオン、並びに(C)金属イオンを含有し、(B)成分が(B2)多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸イオンを含む。当該樹脂組成物は、好適な成分として(D)リン酸化合物や(E)ホウ素化合物を含有し、さらにはその他の任意成分を含有していてもよい。なお、当該樹脂組成物中において、(B)成分のカルボン酸イオンは(C)成分の金属イオンなどのカウンターカチオンと塩を形成していてもよいし、一方、(C)成分の金属イオンは(B)成分のカルボン酸イオンなどのカウンターアニオンと塩を形成していてもよい。以下、各成分について説明する。
(A)EVOHは、当該樹脂組成物の主成分である。(A)EVOHは、主構造単位として、エチレン単位及びビニルアルコール単位を有する共重合体である。なお、このEVOHとしては、エチレン単位及びビニルアルコール単位以外に、他の構造単位を1種又は複数種含んでいてもよい。このEVOHは、通常、エチレンとビニルエステルとを重合し、得られるエチレン−ビニルエステル共重合体をけん化して得られる。
当該樹脂組成物に含有するカルボン酸及び/又はカルボン酸イオンは、(B1)モノカルボン酸及び/又はモノカルボン酸イオンと、(B2)多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸イオンとが挙げられる。当該樹脂組成物は、必須の成分として(B2)多価カルボン酸および/又は多価カルボン酸イオンを含む。
上記モノカルボン酸は、分子内に1つのカルボキシル基を有する化合物である。また、モノカルボン酸イオンは、モノカルボン酸のカルボキシル基の水素イオンが脱離したものである。
本発明の樹脂組成物に含有する多価カルボン酸は、分子内に2つ以上のカルボキシル基を有する化合物である。なお、この多価カルボン酸には、重合体は含まれない。また、多価カルボン酸イオンは、多価カルボン酸イオンのカルボキシル基の水素イオンの少なくとも1つが脱離したものである。当該樹脂組成物は、この(B2)成分を含有することで、組成物中のpHを制御し、溶融成形の際のゲル・ブツの発生が低減されることに加え、金属イオンに由来する溶融成形時の黄変等の着色の発生を低減すること等ができる。
(C1)成分と(B2)成分とのモル比をこの範囲とすることで、ロングラン性と多層構造体を成形する際の層間接着性とのバランスを維持しながら、高温での着色に対してさらに高い抑止力が得られる。
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸等の脂肪族ジカルボン酸、
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、
クエン酸、イソクエン酸、アコニット酸等のトリカルボン酸、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸等の4以上のカルボキシル基を有するカルボン酸、
クエン酸、イソクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、ムチン酸、タルトロン酸、シトラマル酸等のヒドロキシカルボン酸、
オキサロ酢酸、メソシュウ酸、2−ケトグルタル酸、3−ケトグルタル酸等のケトカルボン酸
グルタミン酸、アスパラギン酸、2−アミノアジピン酸等のアミノ酸
等を挙げることができる。なお、(B2)成分の多価カルボン酸イオンとしては、これらの陰イオンを挙げることができる。
(C)成分の金属イオンは、単独の金属種であっても良く、複数の金属種からなるものであっても良い。金属イオンを本発明の樹脂組成物に含有することで、多層構造体を成形した場合に層間の接着性を向上させることができ、その結果、多層構造体の耐久性を向上させることができる。かかる金属イオンが層間接着性を向上させる理由は、必ずしも明らかではないが、層間においてEVOHのヒドロキシ基同士の親和性が金属イオンの存在によってより高くなることが考えられる。また、隣接する層の一方が、EVOHのヒドロキシ基と反応し得る官能基を分子内に有する場合等には、この結合生成反応が金属イオンの存在によって加速されることなども考えられる。(C)成分の金属イオンとしては、例えば(C1)アルカリ金属イオン、(C2)アルカリ土類金属イオン、その他遷移金属イオン等を挙げることができる。
(D)成分のリン酸化合物は、本発明の樹脂組成物に含有されることで、当該樹脂組成物の溶融成形時の熱安定性を向上させることができ、その結果、ゲル・ブツ等の発生を抑制し外観特性を向上させることができる。
(E)成分のホウ素化合物は、本発明の樹脂組成物に含有されることで、当該樹脂組成物の溶融成形時の熱安定性を向上させることができ、その結果、ゲル・ブツ等の発生を抑制し外観特性を向上させることができる。詳細には、当該樹脂組成物にホウ素化合物が配合された場合、EVOHとホウ素化合物との間にキレート化合物が生成すると考えられ、かかる樹脂組成物を用いることによって、通常の樹脂組成物よりも熱安定性の改善、機械的性質を向上させることが可能である。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤、安定剤、界面活性剤、色剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、帯電防止剤、乾燥剤、架橋剤、充填剤、各種繊維等の補強剤等を適量添加することも可能である。
本発明の樹脂組成物のメルトフローレート(温度210℃、荷重2160gでの測定値)の下限としては、0.1g/10分が好ましく、0.5g/10分がさらに好ましく、1g/10分が特に好ましく、3g/10分がさらに特に好ましい。一方、当該樹脂組成物のメルトフローレートの上限としては、200g/10分が好ましく、50g/10分がより好ましく、30g/10分がさらに好ましく、15g/10分が特に好ましく、10g/10分がさらに特に好ましい。当該樹脂組成物のメルトフローレートを上記範囲の値とすることで、溶融成形性が向上し、より優れた外観特性及びロングラン性を発揮することができる。
本発明の樹脂組成物は、例えば
エチレンとビニルエステルとを共重合してエチレン−ビニルエステル共重合体を得る共重合工程(工程1)、及び
上記エチレン−ビニルエステル共重合体をけん化してエチレン−ビニルアルコール共重合体を得るけん化工程(工程2)
を含み、
上記共重合工程より後に
上記エチレン−ビニルエステル共重合体又はエチレンビニルアルコール共重合体と(B2’)多価カルボン酸及び/又はその塩とを混合する混合工程(工程α)
をさらに含む製造方法により効果的に得ることができる。
当該樹脂組成物の製造方法によれば、(B2’)成分の混合を共重合工程より後に行うことで、溶融成形時の黄変等の発生が抑制された樹脂組成物を得ることができる。以下、各工程について詳説する。
共重合工程は、エチレンとビニルエステルとの共重合、及び必要に応じてそれに続いて未反応エチレン、未反応ビニルエステルを除去してエチレン−ビニルエステル共重合体溶液を得る部分を含む。共重合工程において(B2’)を添加した場合、最終的に得られる樹脂組成物は本発明の主目的である黄変等の着色の抑制効果が殆ど得られないか、着色が却って激しくなる場合があるなど好ましくない。
次に、上記共重合体溶液にアルカリ触媒を添加し、上記共重合体をけん化する。けん化方法は、連続式、回分式のいずれも可能である。このアルカリ触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属アルコラートなどが用いられる。
上記共重合工程より後に、混合工程として、共重合工程で得られたエチレン−ビニルエステル共重合体又はけん化工程で得られたエチレンビニルアルコール共重合体と(B2’)多価カルボン酸及び/又はその塩とを混合する。
(B2’)成分としての多価カルボン酸としては、当該樹脂組成物の(B2)成分として上述したものを挙げることができる。また、(B2’)成分としての多価カルボン酸の塩としては、上記多価カルボン酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等を挙げることができる。
この混合は、例えば(1)けん化工程に供するエチレン−ビニルエステル共重合体を含む溶液に予め(B2’)成分を添加する方法、(2)けん化工程においてエチレン−ビニルエステル共重合体のけん化反応中に(B2’)成分を添加する方法、(3)けん化工程でエチレン−ビニルアルコール共重合体を得た後に(B2’)成分と混合する方法等の方法を用いることができる。
上記けん化工程で得られたエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む溶液から造粒操作によりエチレン−ビニルアルコール共重合体の含水ペレットを得る造粒工程(工程3)、及び
上記含水ペレットを乾燥してエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む樹脂組成物を得る乾燥工程(工程4)
をさらに含み、
上記造粒工程以降に上記混合工程を行うとよい。当該方法によっても、溶融成形時の黄変が低減された樹脂組成物を効果的に得ることができる。
EVOHの製造において、通常はけん化工程によりエチレン−ビニルエステル共重合体をけん化して得られたエチレン−ビニルアルコール共重合体は、けん化反応時に用いた溶媒を含む溶媒に溶解された溶液の形で得られる。この溶液中には、けん化反応に使用したアルカリ等の触媒や、副生物として生成する酢酸ナトリウム等を含んでいるため、これらを除去するために洗浄が行われる。この洗浄操作を容易にするために、けん化工程で得られたエチレン−ビニルアルコール共重合体溶液を造粒してEVOHの含水ペレットとすることが好ましい。
造粒工程で得られたEVOHの含水ペレットは、最終的には乾燥工程にて乾燥することでEVOHを含む樹脂組成物のペレットとすることが好ましい。乾燥後の樹脂組成物ペレット中の水分率は、成形加工時の発泡等によるボイドの発生といった成形トラブルを防ぐ目的から、樹脂組成物ペレット全体に対して1.0質量%以下であることが好ましく、0.8質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましい。
上記造粒工程以降に上記混合工程を行う方法としては、(1)EVOHの含水ペレットを(B2’)成分を含有する溶液と接触させる方法や、(2)EVOHの含水ペレットと(B2’)成分を押出機内で溶融混練する方法などの方法が好適に用いられる。なお、この際、(B1)成分、(C)成分及びその他の成分((D)成分、(E)成分等)を同時にEVOHと混合させることができる。
上記造粒工程以降に上記混合工程を行う方法としては、上記造粒工程と乾燥工程との間で、上記含水ペレットを(B2’)成分を含有する溶液に浸漬させる方法が好ましい。当該方法によれば、(B2’)成分を効率的に樹脂組成物中に混合させることができ、溶融成形時の黄変が抑えられた樹脂組成物の製造をより効果的に行うことができる。
本発明の多層構造体は、本発明の樹脂組成物から得られる層を少なくとも一層備える多層構造体である。当該多層構造体の層構造としては、特に限定されないが、本発明の樹脂組成物から得られる層をE、接着性樹脂から得られる層をAd、熱可塑性樹脂から得られる層をTで表わした場合の、T/E/T、E/Ad/T、T/Ad/E/Ad/T等の構造が挙げられる。これらの各層は、単層であってもよいし、多層であってもよい。
メトラー・トレド社製のハロゲン水分率分析装置「HR73」を用い乾燥温度180℃、乾燥時間20分、サンプル量約10gの条件で含水EVOHペレットの含水率を測定した。以下に示す含水EVOHの含水率は、乾燥EVOH基準の質量%とする。
乾燥EVOHペレットを凍結粉砕により粉砕した。得られた粉砕EVOHを、呼び寸法1mmのふるい(標準フルイ規格JIS−Z8801準拠)でふるい分けした。上記のふるいを通過したEVOH粉末5gを、100gのイオン交換水中に浸漬し、85℃で4時間撹拌した後、脱液して乾燥する操作を二回行った。得られた洗浄後の粉末EVOHを用いて、下記の測定条件で1H−NMRの測定を行い、下記の解析方法でけん化度を求めた。
装置名 :日本電子社製 超伝導核磁気共鳴装置「Lambda500」
観測周波数 :500MHz
溶媒 :DMSO−d6
ポリマー濃度 :4質量%
測定温度 :40℃及び95℃
積算回数 :600回
パルス遅延時間:3.836秒
サンプル回転速度:10〜12Hz
パルス幅(90°パルス):6.75μsec
40℃での測定では、3.3ppm付近に水分子中の水素のピークが観測され、EVOHのビニルアルコール単位のメチン水素のピークのうちの、3.1〜3.7ppmの部分と重なった。一方、95℃での測定では、上記40℃で生じた重なりは解消するものの、4〜4.5ppm付近に存在するEVOHのビニルアルコール単位の水酸基の水素のピークが、EVOHのビニルアルコール単位のメチン水素のピークのうちの、3.7〜4ppmの部分と重なった。すなわち、EVOHのビニルアルコール単位のメチン水素(3.1〜4ppm)の定量については、水又は水酸基の水素のピークとの重複を避けるために、3.1〜3.7ppmの部分については、95℃の測定データを採用し、3.7〜4ppmの部分については40℃の測定データを採用し、これらの合計値として当該メチン水素の全量を定量した。なお、水又は水酸基の水素のピークは測定温度を上昇させることで高磁場側にシフトすることが知られている。従って、以下のように40℃と95℃の両方の測定結果を用いて解析した。上記の40℃で測定したスペクトルより、3.7〜4ppmのケミカルシフトのピークの積分値(I1)及び0.6〜1.8ppmのケミカルシフトのピークの積分値(I2)を求める。一方、95℃で測定したスペクトルより、3.1〜3.7ppmのケミカルシフトのピークの積分値(I3)、0.6〜1.8ppmのケミカルシフトのピークの積分値(I4)及び1.9〜2.1ppmのケミカルシフトのピークの積分値(I5)を求める。ここで、0.6〜1.8ppmのケミカルシフトのピークは、主にメチレン水素に由来するものであり、1.9〜2.1ppmのケミカルシフトのピークは、未けん化の酢酸ビニル単位中のメチル水素に由来するものである。これらの積分値から下記式によりエチレン含有量及びけん化度を計算した。
乾燥EVOHペレットを凍結粉砕により粉砕した。得られた粉砕EVOHを、呼び寸法1mmのふるい(標準フルイ規格JIS−Z8801準拠)でふるい分けした。上記のふるいを通過したEVOH粉末10gとイオン交換水50mLを共栓付き100mL三角フラスコに投入し、冷却コンデンサーを付け、95℃で10時間撹拌、抽出した。得られた抽出液2mLを、イオン交換水8mLで希釈した。上記の希釈された抽出液を、横河電機社製イオンクロマトグラフィー「IC7000」を用いて定量分析し、カルボン酸イオンの量を定量することで、カルボン酸及びカルボン酸イオンの量を算出した。なお、定量に際しては酢酸水溶液を用いて作成した検量線を用いた。
イオンクロマトグラフィー測定条件:
カラム :Dionex IonPac社製「ICE−AS−1」
溶離液 :1.0mmol/L オクタンスルホン酸溶液
測定温度 :35℃
溶離液流速 :1mL/min.
サンプル打ち込み量:50μL
乾燥EVOHペレットを凍結粉砕により粉砕した。得られたEVOH粉末10gとイオン交換水50mLを100mL共栓付き三角フラスコに投入し、冷却コンデンサーを付けて、95℃で10時間撹拌、加熱抽出した。得られた抽出液2mLを、イオン交換水8mLで希釈した。上記の希釈された抽出液を、パーキンエルマージャパン社製ICP発光分光分析装置「Optima 4300 DV」を用いて、以下に示す各観測波長で定量分析することで、各金属イオンの量を定量した。
Na :589.592nm
K :766.490nm
Mg :285.213nm
Ca :317.933nm
乾燥EVOHペレットを凍結粉砕により粉砕した。得られたEVOH粉末1.0g、濃硝酸15mL及び濃硫酸4mLを共栓付き100mL三角フラスコに投入し、冷却コンデンサーを付け、200〜230℃で加熱分解した。得られた溶液をイオン交換水で50mLメスフラスコにメスアップした。上記の溶液を、パーキンエルマージャパン社製ICP発光分光分析装置「Optima 4300 DV」を用いて、観測波長214.914nmで定量分析することで、リン元素の量を定量し、リン酸化合物の量をリン酸根換算値で算出した。
試料とする乾燥EVOHペレット50mgを酸素フラスコ燃焼法により完全燃焼させ、得られた燃焼灰分を1mol/L硝酸水溶液10mLに溶解させた。上記溶液を、パーキンエルマージャパン社製ICP発光分光分析装置「Optima 4300 DV」を用いて、観測波長249.667nmで定量分析することで、ホウ素化合物の含有量をホウ素元素換算値で得た。
実施例及び比較例にて得られた乾燥後の各EVOHペレット5gを用いて、加熱圧縮プレス装置にて220℃及び260℃で2分間加熱溶融させて厚み2mmの円盤状サンプルを作成した。得られた円盤状サンプルの着色状況を目視で確認し、以下のように判断した。
A :ほとんど着色していない
B :わずかに着色している
C :着色(黄色)している
D :激しく着色(褐色)している
得られた乾燥EVOHペレットを東洋精機製作所社製の20mm押出機「D2020」(D(mm)=20、L/D=20、圧縮比=2.0、スクリュー:フルフライト)を用いて単層製膜を以下の条件で行い、単層フィルムを得た。
押出温度:供給部/圧縮部/計量部/ダイ
=180/260/260/260℃
スクリュー回転数:40rpm
吐出量:1.3kg/hr
引取りロール温度:80℃
引取りロール速度:3.1m/min.
フィルム厚み:20μm
上記方法で作製された単層フィルムを紙管に巻き取り、フィルム端面の着色度を肉眼で以下のように判定した。
判定:基準
A :着色なし
B :やや黄変
C :黄変
得られた乾燥EVOHペレット60gをラボプラストミル(東洋精機製作所社製「20R200」二軸異方向)を用いて100rpm、260℃で混練したときのトルク変化を測定した。混練開始から5分後のトルクを測定し、トルク値がその5分後のトルクの1.5倍になるまでの時間を測定した。この時間が長いほど、粘度変化が少なく、ロングラン性に優れていることを示す。
判定:基準
A :60分以上
B :40分以上60分未満
C :20分以上40分未満
得られた乾燥EVOHペレット2kgについて、東洋精機製作所社製の20mm押出機「D2020」(D(mm)=20、L/D=20、圧縮比=2.0、スクリュー:フルフライト)を用いて以下の条件にてペレット化を行った。得られたEVOHペレットを再度同条件にてペレット化を行う操作を4回繰返し、次いでメルトインデックスが1.0g/10分(190℃、2160g荷重下)のLDPEを投入して押出機内のEVOH樹脂を置換した後に、押出機のスクリューを引き抜き、スクリューへの樹脂付着状況を目視にて確認し、以下のように判定した。
〈ペレット化条件〉
押出温度 供給部/圧縮部/計量部/ダイ
=180/210/210/210℃
スクリュー回転数 40rpm
吐出量 1.3kg/hr
ダイ孔数 2穴
凝固浴冷却水温度 30℃
〈樹脂付着状況判定基準〉
判定:基準
A :スクリューに樹脂が僅かに付着あるいはほとんど見られない
B :スクリューに樹脂が少量付着している
C :スクリューに樹脂が多量に付着している
D :スクリューに着色した樹脂が多量に付着している
得られた乾燥EVOHペレット、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE:三井化学社製ウルトゼックス2022L)及び接着性樹脂(SUMICA.ATOCHEM Co.Ltd製Bondine TX8030、以下Adと略することがある)を用いて、以下の方法/条件にて3種5層の多層フィルム(LLDPE/Ad/EVOH/Ad/LLDPE=50μm/10μm/10μm/10μm/50μm)を得た。得られた多層フィルムを、多層製膜直後にMD方向に150mm、TD方向に10mmで切り出した後、直ちにオートグラフ(島津製作所社製DCS−50M)によりT型剥離モードでEVOH層/Ad層間の剥離強度を測定し、剥離強度の強さにより以下のように判定した。
〈多層製膜条件〉
押出機:
EVOH用 :20mmφ押出機 ラボ機ME型CO−EXT(東洋精機社製)
Ad用 :25mmφ押出機 P25−18AC(大阪精機社製)
LLDPE用:32mmφ押出機 GF−32−A(プラスチック工学研究所社製)
EVOH押出温度 供給部/圧縮部/計量部/ダイ
=175/210/220/220℃
Ad押出温度 供給部/圧縮部/計量部/ダイ
=100/160/220/220℃
LLDPE押出温度 供給部/圧縮部/計量部/ダイ
=150/200/210/220℃
ダイ 300mm幅コートハンガーダイ(プラスチック工学研究所社製)
〈接着性の判定基準〉
判定:基準
A :500g/15cm以上
B :400g/15cm以上500g/15cm未満
C :300g/15cm以上400g/15cm未満
D :300g/15cm未満
(エチレン−酢酸ビニル共重合体の重合)
撹拌機、窒素導入口、エチレン導入口、開始剤添加口及びディレー(逐次添加)溶液添加口を備える250L加圧反応槽に酢酸ビニル83.0kg、メタノール26.6kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽圧力が3.6MPaとなるようにエチレンを仕込んだ。開始剤として、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)をメタノールに溶解し、濃度2.5g/Lの開始剤溶液を調製し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記重合槽内温を60℃に調整した後、上記開始剤溶液362mLを注入し重合を開始した。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力を3.6MPaに、重合温度を60℃に維持し、上記開始剤溶液を用いて1120mL/hrでAMVを連続添加して重合を実施した。5.0時間後に重合率が40%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いでラシヒリングを充填した塔の上部から得られた共重合体溶液を連続的に供給し、塔下部よりメタノールを吹き込み塔頂部よりメタノールと未反応酢酸ビニルモノマーの混合蒸気を流出させ、塔底部より未反応酢酸ビニルモノマーを除去したエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAc)のメタノール溶液を得た。
得られたEVAc溶液にメタノールを加えて濃度が15質量%となるように調整したEVAcのメタノール溶液253.4kg(溶液中のEVAc 38kg)に、76.6L(EVAc中の酢酸ビニルユニットに対してモル比(MR)0.4)のアルカリ溶液(NaOHの10質量%メタノール溶液)を添加して60℃で4時間撹拌することにより、EVAcのけん化を行った。反応開始から6時間後、9.2kgの酢酸と60Lの水を添加して上記反応液を中和し、反応を停止させた。
中和された反応液を、反応器からドラム缶に移して16時間室温で放置し、ケーキ状に冷却固化させた。その後、遠心分離機(国産遠心器社製「H−130」回転数1200rpm)を用いて、上記ケーキ状の樹脂を脱液した。次に、遠心分離機の中央部に、上方よりイオン交換水を連続的に供給しながら洗浄し、上記樹脂を水洗する工程を10時間行った。洗浄開始から10時間後の洗浄液の伝導度は、30μS/cm(東亜電波工業社製「CM−30ET」で測定)であった。
このようにして得られた粉末状のEVOHを乾燥機を用いて60℃、48時間乾燥した。乾燥した粉末状のEVOH20kgを、43Lの水/メタノール混合溶液(質量比:水/メタノール=4/6)に80℃で12時間、撹拌しながら溶解させた。次に、撹拌を止めて溶解槽の温度を65℃に下げて5時間放置し、上述のEVOHの水/メタノール溶液の脱泡を行った。そして、直径3.5mmの円形の開口部を有する金板から、5℃の水/メタノール混合溶液(質量比:水/メタノール=9/1)中に押出してストランド状に析出させ、切断することで直径約4mm、長さ約5mmの含水EVOHペレットを得た。
このようにして得られた含水EVOHペレット40kg及びイオン交換水150Lを、高さ900mm、開径600mmの金属製ドラム缶に入れ、25℃で2時間撹拌しながら洗浄及び脱液する操作を2回繰り返した。次に、30kgの含水EVOHペレットに対して150Lの1g/Lの酢酸水溶液を加え、25℃で2時間撹拌しながら洗浄及び脱液する操作を2回繰り返した。さらに、含水EVOHペレット30kgに対して150Lのイオン交換水を加えて、25℃で2時間撹拌しながら洗浄及び脱液する操作を6回繰り返すことで、けん化工程での副生物等の不純物の除去された含水EVOHペレット(w−EVOH−1)を得た。6回目の洗浄を行った後の洗浄液の伝導度を東亜電波工業社製「CM−30ET」で測定した結果、上記洗浄液の伝導度は3μS/cmであった。得られた含水EVOHペレットの含水率は110質量%であった。
合成例1において、エチレン−酢酸ビニル共重合体の重合時における酢酸ビニル及びメタノールの仕込み量をそれぞれ85.2kg、32.3kgに、反応槽圧力を2.9MPaに、開始剤溶液(AMVの2.5g/L濃度のメタノール溶液)の重合開始時の注入量を310mLに、開始剤溶液の連続添加量を950mL/hrに変更した以外は合成例1と同様の操作により未反応酢酸ビニルモノマーを除去したEVAcのメタノール溶液を得た。重合反応時の反応時間は5時間、重合率は40%であった。
合成例1において、エチレン−酢酸ビニル共重合体の重合時における酢酸ビニル及びメタノールの仕込み量をそれぞれ76.7kg、11.0kgに、反応槽圧力を5.5MPaに、開始剤溶液(AMVの2.5g/L濃度のメタノール溶液)の重合開始時の注入量を510mLに、開始剤溶液の連続添加量を1570mL/hrに変更した以外は合成例1と同様の操作により未反応酢酸ビニルモノマーを除去したEVAcのメタノール溶液を得た。重合反応時の反応時間は5時間、重合率は40%であった。
合成例1において、エチレン−酢酸ビニル共重合体の重合時における酢酸ビニル及びメタノールの仕込み量をそれぞれ102.0kg、17.7kgに、反応槽圧力を2.9MPaに、開始剤溶液(AMVの2.5g/L濃度のメタノール溶液)の重合開始時の注入量を280mLに、開始剤溶液の連続添加量を850mL/hrに変更した以外は合成例1と同様の操作により未反応酢酸ビニルモノマーを除去したEVAcのメタノール溶液を得た。重合反応時の反応時間は5時間、重合率は40%であった。
水にクエン酸0.05g/L、クエン酸三ナトリウム0.55g/L、リン酸0.015g/L、ホウ酸0.20g/Lとなるようそれぞれの成分を溶解した水溶液94.5Lに、合成例1で得た含水EVOHペレット(w−EVOH−1)10.5kgを投入して、25℃で6時間、時々攪拌しながら浸漬を行った。浸漬後の含水EVOHペレットを遠心脱液により脱水した後、熱風乾燥機中80℃で3時間、引き続き120℃で24時間乾燥して、乾燥EVOH樹脂組成物のペレット(EVOH−1)を得た。
実施例1において用いた含水EVOHペレットの種類及び水溶液へ配合した各化合物の種類及び量を表1及び表4のように変更した以外は、実施例1と同様にしてEVOH樹脂組成物ペレット(EVOH−2〜31、34〜44)を得た。得られた各EVOH樹脂組成物について、実施例1と同様にしてエチレン含有量等を分析した結果を表2及び表5に、耐着色性等を評価した結果を表3及び表6に示す。
上記の合成例1において、造粒工程でEVOHを水/メタノール混合溶液に溶解する際に、酸化防止剤である「N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、Irganox 1098)30gを添加し、以後は合成例1と同様の操作により精製を行って含水EVOHペレット(w−EVOH−5)を得た。更に、w−EVOH−1の代わりにw−EVOH−5を用いる以外は実施例1と同様の操作により乾燥EVOH樹脂組成物のペレット(EVOH−32)を得た。
実施例32において、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)の添加量を5gに変更した以外は実施例32と同様の操作により精製を行って含水EVOHペレット(w−EVOH−6)を得た。更に、w−EVOH−1の代わりにw−EVOH−6を用いる以外は実施例1と同様の操作により乾燥EVOH樹脂組成物のペレット(EVOH−33)を得た。
水にクエン酸0.24g/L、クエン酸マグネシウム六水和物(特開2004−91442号記載の方法に従い合成)0.50g/L、リン酸0.015g/L、ホウ酸0.20g/Lとなるようそれぞれの成分を溶解した水溶液94.5Lに、合成例1で得た含水EVOHペレット(w−EVOH−1)10.5kgを投入して、25℃で6時間、時々攪拌しながら浸漬を行った。浸漬後の含水EVOHペレットを遠心脱液により脱水した後、熱風乾燥機中80℃で3時間、引き続き120℃で24時間乾燥して、乾燥EVOH樹脂組成物のペレット(EVOH−45)を得た。
実施例34において用いた含水EVOHペレットの種類及び水溶液へ配合した各化合物の種類及び量を表7のように変更した以外は、実施例34と同様にしてEVOH樹脂組成物ペレット(EVOH−46〜60)を得た。得られた各EVOH樹脂組成物について、実施例34と同様にしてエチレン含有量等を分析した結果を表8に、耐着色性等を評価した結果を表9に示す。
水に酢酸0.8g/L、クエン酸0.02g/L、クエン酸三ナトリウム0.50g/L、リン酸0.015g/L、ホウ酸0.20g/Lとなるようそれぞれの成分を溶解した水溶液94.5Lに、合成例1で得た含水EVOHペレット(w−EVOH−1)10.5kgを投入して、25℃で6時間、時々攪拌しながら浸漬を行った。浸漬後の含水EVOHペレットを遠心脱液により脱水した後、熱風乾燥機中80℃で3時間、引き続き120℃で24時間乾燥して、乾燥EVOH樹脂組成物のペレット(EVOH−61)を得た。
実施例46において用いた含水EVOHペレットの種類及び水溶液へ配合した各化合物の種類及び量を表10のように変更した以外は、実施例46と同様にしてEVOH樹脂組成物ペレット(EVOH−62〜73)を得た。得られた各EVOH樹脂組成物について、実施例46と同様にしてエチレン含有量等を分析した結果を表11に、耐着色性等を評価した結果を表12に示す。
上記の合成例1において、けん化工程で酢酸と水添加により中和、反応停止する際に、更にクエン酸22gを添加し、以後は合成例1と同様の操作により洗浄、造粒、精製を行って含水EVOHペレット(w−EVOH−7)を得た。更に、w−EVOH−1の代わりにw−EVOH−7を用いる以外は実施例1と同様の操作により乾燥EVOH樹脂組成物のペレット(EVOH−74)を得た。
上記の合成例1において、造粒工程でEVOHを水/メタノール混合溶液に溶解する際に、クエン酸2gを添加し、以後は合成例1と同様の操作により精製を行って含水EVOHペレット(w−EVOH−8)を得た。更に、w−EVOH−1の代わりにw−EVOH−8を用いる以外は実施例1と同様の操作により乾燥EVOH樹脂組成物のペレット(EVOH−75)を得た。
合成例1で得られたw−EVOH−1を熱風乾燥機中80℃で1時間乾燥することで、含水率を50質量%とした含水EVOHペレットを得た。得られた含水EVOHペレットを、二軸押出機(詳細を以下に示す)に10kg/hrで投入し、吐出口の樹脂温度を100℃とし、吐出口側先端部の図1に示した溶液添加部より、クエン酸0.63g/L、クエン酸三ナトリウム6.74g/L、リン酸0.11g/L、ホウ酸9.9g/Lを含む水溶液を0.6L/hrで添加した。ダイスより吐出されたストランド状の溶融状態の含水EVOHをストランドカッターにて切断し、円柱状の含水EVOHペレット(含水率:25質量%)を得た。得られた含水EVOHペレットを熱風乾燥機中80℃で1時間、引き続き120℃で24時間乾燥して、乾燥EVOH樹脂組成物のペレット(EVOH−76)を得た。
〈二軸押出機の仕様詳細〉
口径 30mmφ
L/D 45.5
スクリュー 同方向完全噛合型(スクリューの構成詳細は図1に示す)
スクリュー回転数 300rpm
ダイス 3mmφ、5穴ストランドダイ
引取り速度 5m/min.
合成例1において、けん化工程に用いるEVAcの15質量%濃度のメタノール溶液に酢酸ビニル101g(EVAcの15%濃度のメタノール溶液に対して400ppm)とクエン酸三ナトリウム27gを添加し、攪拌して均一に溶解した後にアルカリ溶液を添加した以外は合成例1と同様の操作によりけん化、洗浄、造粒、精製を行い含水EVOHペレット(w−EVOH−9)を得た。更に、w−EVOH−1の代わりにw−EVOH−9を用いた以外は実施例1と同様の操作により乾燥EVOH樹脂組成物のペレット(EVOH−77)を得た。
実施例58において、添加する酢酸ビニルの量を152g(EVAcの15%濃度のメタノール溶液に対して600ppm)に変更した以外は実施例57と同様の操作によりけん化、洗浄、造粒、精製を行い含水EVOHペレット(w−EVOH−10)を得た。更に、w−EVOH−1の代わりにw−EVOH−10を用いる以外は実施例1と同様の操作により乾燥EVOH樹脂組成物のペレット(EVOH−78)を得た。
合成例1の重合工程において、反応槽に酢酸ビニルとメタノールを仕込む際に、更にクエン酸48gを加えた以外は合成例1と同様の操作により重合、けん化、洗浄、造粒、精製を行い含水EVOHペレット(w−EVOH−11)を得た。更に、w−EVOH−1の代わりにw−EVOH−11を用いた以外は比較例1と同様の操作により乾燥EVOH樹脂組成物のペレット(EVOH−79)を得た。
2、4、6 フルフライトスクリュー部
3、5 逆フライトスクリュー部
7 ベントシリンダー部
8 微量成分添加部
9 温度センサー
10 シリンダバレル
11 吐出口
20 二軸押出機
Claims (18)
- (A)エチレン−ビニルアルコール共重合体、
(B)カルボン酸及び/又はカルボン酸イオン、並びに
(C)金属イオン
を含有する樹脂組成物であって、
上記(B)カルボン酸及び/又はカルボン酸イオンが(B2)ヒドロキシ基を有する多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸イオンを含み、
上記(B2)ヒドロキシ基を有する多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸イオンの含有量が0.01μmol/g以上20μmol/g以下であり、
上記(C)金属イオンが(C1)アルカリ金属イオンを含み、
上記(C1)アルカリ金属イオンに対する(B2)ヒドロキシ基を有する多価カルボン酸及び多価カルボン酸イオンのモル比(B2/C1)が0.002以上2以下であることを特徴とする樹脂組成物。 - 上記(B2)ヒドロキシ基を有する多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸イオンにおける少なくとも一対のカルボキシル基同士が、炭素数1又は2の連結基で連結されている請求項1に記載の樹脂組成物。
- 上記(B2)ヒドロキシ基を有する多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸イオンが3以上のカルボキシル基を有する請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
- 上記(C)金属イオンの含有量が2.5μmol/g以上22μmol/g以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 上記(C1)アルカリ金属イオンの含有量が2.5μmol/g以上22μmol/g以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 上記(C)金属イオンが(C2)アルカリ土類金属イオンを含む請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- (D)リン酸化合物をさらに含有し、
この(D)リン酸化合物の含有量がリン酸根換算で5ppm以上500ppm以下である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。 - (E)ホウ素化合物をさらに含有し、
この(E)ホウ素化合物の含有量がホウ素元素換算で5ppm以上2,000ppm以下である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。 - 上記(B)カルボン酸及び/又はカルボン酸イオンとしての(B1)モノカルボン酸及びモノカルボン酸イオンの含有量が2μmol/g未満である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 上記(B)カルボン酸及び/又はカルボン酸イオンが(B1)モノカルボン酸及び/又はモノカルボン酸イオンをさらに含み、
この(B1)モノカルボン酸及びモノカルボン酸イオンの含有量が2μmol/g以上である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。 - 共押出成形用である請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- エチレンとビニルエステルとを共重合してエチレン−ビニルエステル共重合体を得る共重合工程、及び
上記エチレン−ビニルエステル共重合体をけん化してエチレン−ビニルアルコール共重合体を得るけん化工程
を含み、
上記共重合工程より後に
上記エチレン−ビニルエステル共重合体又はエチレンビニルアルコール共重合体と(B2’)多価カルボン酸及び/又はその塩とを混合する混合工程
をさらに含む請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。 - 上記混合工程をビニルエステル濃度が1,000ppm以下の系にて行う請求項12に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 上記けん化工程で得られたエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む溶液から造粒操作によりエチレン−ビニルアルコール共重合体の含水ペレットを得る造粒工程、及び
上記含水ペレットを乾燥してエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む樹脂組成物を得る乾燥工程
をさらに含み、
上記造粒工程以降に上記混合工程を行う請求項12又は請求項13に記載の樹脂組成物の製造方法。 - 上記混合工程として、上記造粒工程と乾燥工程との間で、上記含水ペレットを(B2’)多価カルボン酸及び/又はその塩を含有する溶液に浸漬させる請求項14に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 上記造粒工程において上記混合工程を行う請求項14に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 上記けん化工程において上記混合工程を行う請求項12又は請求項13に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の樹脂組成物から得られる層を少なくとも一層備える多層構造体。
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