JP2014177644A - 樹脂組成物、その製造方法及び多層構造体 - Google Patents

樹脂組成物、その製造方法及び多層構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】溶融成形における優れた外観特性及びロングラン性を備え、溶融成形における黄変等の発生、特に例えば260℃以上程度の高温の溶融成形においても黄変の発生を抑制することができるEVOH含有樹脂組成物及びこの組成物から成形される多層構造体を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は(A)エチレン−ビニルアルコール共重合体、(B)カルボン酸及び/又はカルボン酸イオン、並びに(C)金属イオンを含有する樹脂組成物であって、上記(B)カルボン酸及び/又はカルボン酸イオンが(B2)ヒドロキシ基を有する多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸イオンを含み、上記(B2)成分の含有量が0.01μmol/g以上20μmol/g以下、(C)成分が(C1)アルカリ金属イオンを含み、(C1)アルカリ金属イオンに対する(B2)多価カルボン酸及び多価カルボン酸イオンのモル比(B2/C1)が0.002以上2以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、その製造方法及びこの樹脂組成物から得られる層を備える多層構造体に関する。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH」ともいう。)は、酸素遮断性、透明性、耐油性、非帯電性、機械強度等に優れており、フィルム、シート、容器などの各種包装材料等として広く用いられている。
これらのフィルム等は、通常、溶融成形法により成形される。従って、EVOHには、溶融成形における優れた外観特性(ゲル、ブツの発生や、黄変等の着色の発生が生じていない等、外観の優れた成形物を得ることができること)や、ロングラン性(長時間の成形においても粘性等の物性が変化せず、フィッシュアイやスジ等のない成形物を得ることができること)等が求められる。また、フィルムやシートなどは、酸素遮断性等をより高めるため、EVOH層を含む多層構造で形成されるものも多い。このような多層構造体を得る際には、層間接着性を高めるため、EVOH組成物中に金属塩を含有させることが広く行われている。しかしながら、EVOH組成物中に金属塩を含有させると、黄変等の着色が生じやすくなり、外観特性が低下することが知られている。特に、シート成形などの用途においては、成形物を得た後のシートの耳部分(トリム)を回収して再利用するといったことが行われるが、再利用を繰り返す度にEVOHの劣化が進行し、ゲルやブツといった欠点が増大して成形物の外観が悪化するといった不都合がある。
このような中、EVOHに要求されているこれらの諸特性、特に、外観特性を向上させるために、EVOH組成物として、カルボン酸、リン酸等の酸や、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の金属塩を適当な含有率で含有させる方法が各種提案されている(特開昭64−66262号公報、特開2001−146539号公報参照)。これらの方法で得られるEVOH組成物によれば、外観特性及びロングラン性が高まり、ゲル・ブツ等が見られない優れた外観を備える成形体が得られるとされている。
しかしながら、これらの組成物によっても、溶融成形における黄変等の着色の発生を十分には防止することはできない。特に、EVOHと他の熱可塑性樹脂との共押出により多層構造体を成形する際は、他の樹脂の溶融温度に合わせて200℃を超える比較的高温で溶融成形を行う場合が生じる。このように比較的高温で溶融成形を行う場合、従来のEVOH組成物においては、黄変等の発生が生じやすくなるという不都合を有している。さらに、ナイロンやポリエステルといった熱可塑性樹脂との共押出においては、これらの成形に高温を要するため、EVOHについても260℃以上といったより高温に曝されることとなり、このような高温下においても黄変の発生を抑えることができるEVOHが望まれている。
特開昭64−66262号公報 特開2001−146539号公報
本発明は上述のような事情に基づいてなされたものであり、溶融成形における優れた外観特性及びロングラン性を備え、溶融成形における黄変等の発生、特に例えば260℃以上といった高温での溶融成形においても黄変の発生を抑制することができるEVOH含有樹脂組成物及びこの組成物から成形される多層構造体を提供することを目的とする。更に本発明においては、このようなEVOH含有樹脂組成物の製造方法を提供することも目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、
(A)エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「(A)成分」ともいう。)、
(B)カルボン酸及び/又はカルボン酸イオン(以下、「(B)成分」ともいう。)、並びに
(C)金属イオン(以下、「(C)成分」ともいう。)
を含有する樹脂組成物であって、
上記(B)カルボン酸及び/又はカルボン酸イオンが(B2)多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸イオン(以下、「(B2)成分」ともいう。)を含み、
上記(C)金属イオンに対する(B2)多価カルボン酸及び多価カルボン酸イオンのモル比(B2/C)が0.002以上2以下であることを特徴とする。
本発明の樹脂組成物は、(B2)成分として多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸イオン、並びに(C)成分として金属イオンを含有しているため、層間接着性に優れた多層構造体を得ることができることに加え、溶融成形においてゲル・ブツ等の発生を抑制し、優れた外観特性及びロングラン性を発揮することができる。特に、当該樹脂組成物においては、(C)成分の金属イオンと、(B2)成分の多価カルボン酸及び多価カルボン酸イオンとの含有比率を上記範囲としていることで、黄変等の原因とされている金属イオンに対して多価カルボン酸等が安定して配位し、金属イオンを取り込むことができると考えられる。当該樹脂組成物によれば、このように金属イオンに対して多価カルボン酸等が配位した状態で安定して存在することで、金属イオンが有するEVOHの黄変等の反応に対する触媒機能を抑制することができ、その結果、通常用いられる例えば200℃以上といった温度だけでなく、例えば260℃以上といったより高温での溶融成形においても黄変等の着色の発生を抑えることができる。
上記(B2)成分の含有量が0.01μmol/g以上20μmol/g以下であることが好ましい。当該樹脂組成物によれば、(B2)成分の含有量を上記範囲とすることで、高温での溶融成形時の黄変に対しての高い抑制性などの諸特性が向上する。
上記(B2)成分が、ヒドロキシ基、アミノ基及びケトン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有することが好ましい。(B2)成分の多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸イオンがこれらの官能基を有する場合、金属イオンに配位した状態の安定性が高まるため、当該樹脂組成物の高温での溶融成形時における着色発生の抑制能等が向上する。
これら官能基の中でも、金属イオンに対する配位強度が適度に調整され、着色発生を抑制しつつ多層構造体とした場合に層間接着性の優れたものが得られるという点等で、ヒドロキシ基を有することがより好ましい。
上記(B2)成分における少なくとも一対のカルボキシル基同士が、炭素数1又は2の連結基で連結されていることが好ましい。(B2)成分の多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸イオンにおける少なくとも一対のカルボキシル基が、このような間隔を有する構造を備えることで、1つの金属イオンに対し、多価カルボン酸等が立体的に安定して配位することができると考えられる。従って、このような樹脂組成物によれば、高温での溶融成形時における黄変等の着色の発生をより低減することができ、また、外観特性、ロングラン性、層間等の接着性等の諸特性をバランスよく発揮させることができる。なお、本明細書において、カルボキシル基にはカルボン酸イオン中のカルボキシレート基も含む。
上記(B2)成分が、3以上のカルボキシル基を有することが好ましい。3以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸イオンは、金属イオンに対し、電気的及び立体的により安定的かつ効率的に配位することができるため、当該樹脂組成物の高温での溶融成形時における着色の発生の抑制機能等の諸機能をより高めることができる。
上記(C)成分の含有量としては、2.5μmol/g以上22μmol/g以下であることが好ましい。当該樹脂組成物によれば、(C)成分の金属イオンの含有量を上記範囲とすることで、外観特性が向上することに加えて、多層構造体を成形する際の層間接着性等が向上する。
上記(C)成分が(C1)アルカリ金属イオン(以下、「(C1)成分」ともいう。)を含むことが好ましい。(C)成分がアルカリ金属イオンを含むことで、外観特性が向上することに加えて、ロングラン性や多層構造体を成形する際の層間接着性等が向上する。
上記(C1)成分の含有量としては2.5μmol/g以上22μmol/g以下であることが好ましい。当該樹脂組成物において、(C1)成分であるアルカリ金属イオンの含有量を上記範囲とすることで、より高いレベルでロングラン性と多層構造体を成形する際の層間接着性のバランスをとることができる。
上記(C1)成分に対する(B2)成分のモル比(B2/C1)が0.002以上2以下であることが好ましい。当該樹脂組成物によれば、(C1)成分と(B2)成分とのモル比をこの範囲とすることで、ロングラン性と多層構造体を成形する際の層間接着性とのバランスを維持しながら、高温での着色に対してさらに高い抑止力が得られる。
上記(C)成分が(C2)アルカリ土類金属イオン(以下、「(C2)成分」ともいう。)を含むことも好ましい。当該樹脂組成物が(C)成分がアルカリ土類金属イオンを含む場合、外観特性が向上することに加えて、EVOH層を含む多層構造体を繰返し回収再利用したときにおいてもゲル・ブツの発生が抑えられ、成形物の外観悪化が抑制される。
当該樹脂組成物が、(D)リン酸化合物(以下、「(D)成分」ともいう。)をさらに含有し、この(D)リン酸化合物の含有量が、リン酸根換算で5ppm以上500ppm以下であることが好ましい。当該樹脂組成物が、リン酸化合物を上記範囲で含有することで、溶融成形時の熱安定性が向上し、外観特性等をより高めることができる。
当該樹脂組成物が、(E)ホウ素化合物(以下、「(E)成分」ともいう。)をさらに含有し、この(E)ホウ素化合物の含有量が、ホウ素元素換算で50ppm以上2,000ppm以下であることが好ましい。当該樹脂組成物が、ホウ素化合物を上記範囲で含有することによっても、溶融成形時の熱安定性が向上し、外観特性等をより高めることができる。
上記(B)成分としての(B1)モノカルボン酸及びモノカルボン酸イオン(以下、「(B1)成分」ともいう。)の含有量が2μmol/g未満であることが好ましい。(B1)成分のモノカルボン酸及びモノカルボン酸イオンの含有量を上記範囲とすることで、外観特性が向上することに加えて、成形時又は成形物における臭気の発生を抑制することができる。
上記(B)成分が(B1)モノカルボン酸及び/又はモノカルボン酸イオンをさらに含み、この(B1)モノカルボン酸及びモノカルボン酸イオンの含有量が2μmol/g以上であることも好ましい。(B1)成分のモノカルボン酸及びモノカルボン酸イオンの含有量を上記範囲とすると、この樹脂組成物を製造する際に(B)成分及び(C)成分の制御が容易となり安定した製造が可能となる。
当該樹脂組成物は、優れた外観特性及びロングラン性を有し、特に高温での溶融成形における黄変等の発生を低減することができるため、共押出成形用途に好適に用いることができる。
本発明の樹脂組成物の製造方法は、
エチレンとビニルエステルとを共重合してエチレン−ビニルエステル共重合体を得る共重合工程、及び
上記エチレン−ビニルエステル共重合体をけん化してエチレン−ビニルアルコール共重合体を得るけん化工程
を含み、
上記共重合工程より後に
上記エチレン−ビニルエステル共重合体又はエチレンビニルアルコール共重合体と(B2’)多価カルボン酸及び/又はその塩(以下、「(B2’)成分」ともいう。)とを混合する混合工程
をさらに含む製造方法である。
当該樹脂組成物の製造方法によれば、(B2’)成分の混合を共重合工程より後に行うことで、溶融成形時の黄変等の発生が抑制された樹脂組成物を得ることができる。
上記混合工程をビニルエステル濃度が1,000ppm以下の系にて行うとよい。当該方法によれば、得られる樹脂組成物の溶融成形時の黄変が抑制されるのみならず、樹脂組成物自体の色相が良好となる。
上記けん化工程で得られたエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む溶液から造粒操作によりエチレン−ビニルアルコール共重合体の含水ペレットを得る造粒工程、及び
上記含水ペレットを乾燥してエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む樹脂組成物を得る乾燥工程
をさらに含み、
上記造粒工程以降に上記混合工程を行うとよい。当該方法によっても、溶融成形時の黄変が低減された樹脂組成物を効果的に得ることができる。
上記混合工程として、上記造粒工程と乾燥工程との間で、上記含水ペレットを(B2’)成分を含有する溶液に浸漬させるとよい。当該方法によれば、(B2’)成分を効率的に樹脂組成物中に混合させることができ、溶融成形時の黄変が抑えられた樹脂組成物の製造をより効果的に行うことができる。
上記造粒工程において上記混合工程を行うことも好ましい。当該方法によれば、得られた当該樹脂組成物の溶融成形時の黄変が低減されるだけでなく樹脂組成物自体の色相が良好となる。
上記けん化工程において上記混合工程を行うことが好ましい。当該方法によれば、本発明の樹脂組成物を得た際に溶融成形時の黄変が低減されるだけでなく樹脂組成物自体の色相が良好となる。
本発明の多層構造体は、上記樹脂組成物から得られる層を少なくとも一層備える多層構造体である。本発明の多層構造体は、上述のように外観特性及びロングラン性に優れた樹脂組成物から得られる層を備えるため、黄変等の着色、ゲル、ブツ等の発生が抑制された優れた外観を有している。
以上説明したように、本発明の樹脂組成物は、溶融成形における優れた外観特性及びロングラン性を備え、溶融成形における黄変等の発生、特に例えば260℃以上といった高温での溶融成形においても黄変の発生を抑制することができる。また、本発明の製造方法により樹脂組成物を製造することで、上記の効果を確実に得ることができる。本発明の樹脂組成物によれば、外観特性の優れた単層又は多層のフィルム、シート、パイプ、容器、繊維などの各種成形品を得ることができる。
実施例57で用いた二軸押出機の概略図である。
以下、本発明の実施の形態を、樹脂組成物、製造方法及び多層構造体の順に詳説する。
(樹脂組成物)
本発明の樹脂組成物は、(A)エチレン−ビニルアルコール共重合体、(B)カルボン酸及び/又はカルボン酸イオン、並びに(C)金属イオンを含有し、(B)成分が(B2)多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸イオンを含む。当該樹脂組成物は、好適な成分として(D)リン酸化合物や(E)ホウ素化合物を含有し、さらにはその他の任意成分を含有していてもよい。なお、当該樹脂組成物中において、(B)成分のカルボン酸イオンは(C)成分の金属イオンなどのカウンターカチオンと塩を形成していてもよいし、一方、(C)成分の金属イオンは(B)成分のカルボン酸イオンなどのカウンターアニオンと塩を形成していてもよい。以下、各成分について説明する。
((A)EVOH)
(A)EVOHは、当該樹脂組成物の主成分である。(A)EVOHは、主構造単位として、エチレン単位及びビニルアルコール単位を有する共重合体である。なお、このEVOHとしては、エチレン単位及びビニルアルコール単位以外に、他の構造単位を1種又は複数種含んでいてもよい。このEVOHは、通常、エチレンとビニルエステルとを重合し、得られるエチレン−ビニルエステル共重合体をけん化して得られる。
EVOHのエチレン含有量(すなわち、EVOH中の単量体単位の総数に対するエチレン単位の数の割合)の下限としては20mol%が好ましく、22mol%がより好ましく、24mol%がさらに好ましい。一方、EVOHのエチレン含有量の上限としては60mol%が好ましく、55mol%がより好ましく、50mol%がさらに好ましい。EVOHのエチレン含有量を上記範囲とすることで、十分な外観特性及びロングラン性を発揮することができる。EVOHのエチレン含有量が上記下限より小さいと、例えば、多層構造体を成形した際の耐水性、耐熱水性及び高湿度下でのガスバリア性が低下するおそれや、溶融成形性が悪化するおそれがある。逆に、EVOHのエチレン含有量が上記上限を超えると、多層構造体を成形した際のガスバリア性が低下するおそれがある。
EVOHのけん化度(すなわち、EVOH中のビニルアルコール単位及びビニルエステル単位の総数に対するビニルアルコール単位の数の割合)の下限としては、80mol%が好ましく、95mol%がより好ましく、99mol%がさらに好ましい。一方、EVOHのけん化度の上限としては100mol%が好ましく、99.99mol%がより好ましい。EVOHのけん化度が上記下限より小さいと、多層構造体を成形した際のガスバリア性が低下するおそれや耐着色性が不満足なものとなるおそれがある。
EVOHのメルトフローレート(JIS−K7210に準拠、温度210℃、荷重2160gでの測定値)の下限としては、0.1g/10分が好ましく、0.5g/10分がより好ましく、1g/10分がさらに好ましく、3g/10分が特に好ましい。一方、EVOHのメルトフローレートの上限としては、200g/10分が好ましく、50g/10分がより好ましく、30g/10分がさらに好ましく、15g/10分が特に好ましく、10g/10分がさらに特に好ましい。EVOHのメルトフローレートを上記範囲の値とすることで、得られる樹脂組成物の溶融成形性が向上し、より優れた外観特性及びロングラン性を発揮することができる。
((B)カルボン酸及び/又はカルボン酸イオン)
当該樹脂組成物に含有するカルボン酸及び/又はカルボン酸イオンは、(B1)モノカルボン酸及び/又はモノカルボン酸イオンと、(B2)多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸イオンとが挙げられる。当該樹脂組成物は、必須の成分として(B2)多価カルボン酸および/又は多価カルボン酸イオンを含む。
((B1)モノカルボン酸及び/又はモノカルボン酸イオン)
上記モノカルボン酸は、分子内に1つのカルボキシル基を有する化合物である。また、モノカルボン酸イオンは、モノカルボン酸のカルボキシル基の水素イオンが脱離したものである。
(B1)モノカルボン酸及びモノカルボン酸イオンの含有量としては、臭気の低減の観点から、樹脂組成物全体に対して2μmol/g未満であることが好ましく、より好ましくは1.5μmol/g未満であり、さらに好ましくは1.2μmol/g未満であり、特に好ましくは1.0μmol/g未満である。モノカルボン酸の含有量が上記範囲である場合、樹脂組成物自体の臭気が低減されるのに加えて、樹脂組成物を溶融成形した際に発生する臭気が低減されることから、作業環境が改善される。また、溶融成形後の成形物の持つ臭気が低減されることから、当該樹脂組成物を用いた多層構造体は、米飯や飲料水といった特に臭気の発生が商品価値を損ねるような内容物に対しても、包装材料として好適に使用される。
また、(B1)モノカルボン酸及びモノカルボン酸イオンの含有量は、品質安定性等の観点からは、樹脂組成物全体に対して2μmol/g以上であることが好ましい。この場合の(B1)成分の含有量は2.5μmol/g以上であるのがより好ましく、3μmol/g以上であるのがさらに好ましい。モノカルボン酸及びモノカルボン酸イオンの含有量が上記の範囲であるものは、樹脂組成物の製造時に(B2)成分及び(C)成分の制御が容易となり、品質の安定した製品を得ることが容易となる。
モノカルボン酸としては、特に限定されず、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、安息香酸、2−ナフトエ酸などを挙げることができる。これらのモノカルボン酸は、ヒドロキシル基やハロゲン原子を有していてもよい。また、モノカルボン酸イオンとしては、上記各モノカルボン酸のカルボキシル基の水素イオンが脱離したものを挙げることができる。
このモノカルボン酸(モノカルボン酸イオンを与えるモノカルボン酸も含む)のpKaとしては、組成物のpH調整能及び溶融成形性の点から、3.5以上が好ましく、4以上がさらに好ましい。このようなモノカルボン酸としてはギ酸(pKa=3.68)、酢酸(pKa=4.74)、プロピオン酸(pKa=4.85)、酪酸(pKa=4.80)等を挙げることができるが、取扱いの容易性等の観点から酢酸が好ましい。
((B2)多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸イオン)
本発明の樹脂組成物に含有する多価カルボン酸は、分子内に2つ以上のカルボキシル基を有する化合物である。なお、この多価カルボン酸には、重合体は含まれない。また、多価カルボン酸イオンは、多価カルボン酸イオンのカルボキシル基の水素イオンの少なくとも1つが脱離したものである。当該樹脂組成物は、この(B2)成分を含有することで、組成物中のpHを制御し、溶融成形の際のゲル・ブツの発生が低減されることに加え、金属イオンに由来する溶融成形時の黄変等の着色の発生を低減すること等ができる。
当該樹脂組成物において、後述する(C)成分の金属イオンと共に(B2)成分の多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸イオンが含有されていることで黄変等の着色の発生を抑制することができる原因は定かではないが、例えば、黄変等の原因とされている金属イオンに対して多価カルボン酸等が安定して配位し、金属イオンを取り込むことができるためと考えられる。このように金属イオンに対して多価カルボン酸等が配位した状態で安定して存在することで、金属イオンのEVOHの黄変等の反応に対する触媒機能を抑制することができ、その結果、高温での溶融成形においても黄変等の着色の発生が抑制されると考えられる。なお、この金属イオンと多価カルボン酸等とは、比較的弱い相互作用の結合であるため、多層構造体形成の際の層間接着性に与える影響は低く、本発明の樹脂組成物は、多層構造体を形成した場合においても優れた層間接着性を発揮することができる。
この(B2)成分である多価カルボン酸及び多価カルボン酸イオンの含有量(乾燥樹脂組成物中の含有量)の(C)成分の含有量に対するモル比(B2/C)の下限としては、0.002とされており、0.005が好ましく、0.01がより好ましく、0.1がさらに好ましく、0.2が特に好ましい。一方、このモル比の上限としては、2とされており、1.4が好ましく、1がより好ましく、0.6がさらに好ましい。
当該樹脂組成物において、(B2)成分である多価カルボン酸及び多価カルボン酸イオンと(C)成分である金属イオンとの含有比を上記範囲とすることで、金属イオンへの多価カルボン酸の配位を十分かつ安定的に行うことができ、着色を抑えられると考えられる。このモル比が上記下限未満の場合は配位する多価カルボン酸の量が少ないため、金属イオンの影響による黄変等の発生を十分に抑制することができなくなる。逆に、このモル比が上記上限を超えると、金属イオンに対して配位できない遊離の多価カルボン酸の存在などによって、ゲル・ブツ等が生じやすく、ロングラン性及び外観特性が低下するだけでなく、却って着色が激しくなるといった不都合がある。
当該樹脂組成物が、(C)成分として後に詳述する好適な(C1)アルカリ金属イオンを含む場合、(B2)成分の(C1)成分に対するモル比(B2/C1)の下限としては、0.002が好ましく、0.005がより好ましく、0.01がより好ましく、0.1がさらに好ましく、0.2が特に好ましい。一方、このモル比の上限としては、2が好ましく、1.4がより好ましく、1がより好ましく、0.6がさらに好ましい。
(C1)成分と(B2)成分とのモル比をこの範囲とすることで、ロングラン性と多層構造体を成形する際の層間接着性とのバランスを維持しながら、高温での着色に対してさらに高い抑止力が得られる。
この(B2)成分である多価カルボン酸及び多価カルボン酸イオンの具体的な含有量の下限としては0.01μmol/gが好ましく、0.05μmol/gがより好ましく、0.1μmol/gがさらに好ましく、0.5μmol/gが特に好ましい。一方、この含有量の上限としては、20μmol/gが好ましく、15μmol/gがより好ましく、10μmol/gがさらに好ましく、6μmol/gが特に好ましい。(B2)成分である多価カルボン酸等の含有量が上記下限未満の場合は、黄変等の着色の抑制効果が小さくなるおそれがあり、逆に含有量が上記上限を超えると、ゲル・ブツが生じやすくなるなどの外観特性が低下したり、長期の加熱により粘性が上昇するなどロングラン性が低下するおそれがある。
この(B2)成分の多価カルボン酸としては、分子内に2個以上のカルボキシル基を有している限り特に限定されず、例えば、
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸等の脂肪族ジカルボン酸、
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、
クエン酸、イソクエン酸、アコニット酸等のトリカルボン酸、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸等の4以上のカルボキシル基を有するカルボン酸、
クエン酸、イソクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、ムチン酸、タルトロン酸、シトラマル酸等のヒドロキシカルボン酸、
オキサロ酢酸、メソシュウ酸、2−ケトグルタル酸、3−ケトグルタル酸等のケトカルボン酸
グルタミン酸、アスパラギン酸、2−アミノアジピン酸等のアミノ酸
等を挙げることができる。なお、(B2)成分の多価カルボン酸イオンとしては、これらの陰イオンを挙げることができる。
(B2)成分がヒドロキシ基、アミノ基、ケトン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を有する多価カルボン酸及びこれらの陰イオンであることが好ましい。これらの官能基を有する場合、金属イオンに配位した状態の安定性が高まるため、高温での溶融成形時における着色発生の抑制能が向上する。これら官能基の中でも、金属イオンに対する配位強度が適度に調整され、着色発生を抑制しつつ多層構造体とした場合に層間接着性の優れたものが得られるという点で、ヒドロキシ基を有することがより好ましい。
(B2)成分の多価カルボン酸及び多価カルボン酸イオンがヒドロキシ基を有する場合、このヒドロキシ基がカルボキシル基に対してα位に位置しているものが好ましい。このような多価カルボン酸及び多価カルボン酸イオンは、適度な加熱により容易に水分子の脱離反応が生じる構造となっている。このような多価カルボン酸等によれば、金属イオンの周辺に配位しつつ、溶融成形における加熱の際の脱離反応により、その配位結合を弱めることができるため、アルカリ金属イオンによる層間接着性の向上能を十分に発揮することができる。従って、このような多価カルボン酸等によれば、金属イオンを原因とする着色の発生を低減しつつ、優れた層間接着性を維持することができる。このような多価カルボン酸及び多価カルボン酸イオンとしては、例えば、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸等及びこれらの陰イオンを挙げることができる。
また(B2)成分が、少なくとも一対のカルボキシル基同士が炭素数1又は2の連結基で連結されている多価カルボン酸及びこれらの陰イオンであることが好ましい。このような多価カルボン酸及び多価カルボン酸イオンは、1の金属イオンに対して、1又は複数のカルボキシル基が高い立体的安定性をもって配位することができるため、配位状態が錯体として安定的に存在できると考えられ、黄変等の着色を効果的に低減することができ、その他の諸機能もバランスよく発揮させることができる。なお、この炭素数1又は2の連結基としては、アルカンジイル基、アルカントリイル基、アルケントリイル基等の脂肪族系の連結基や、1,2−ベンゼンジイル基等の芳香族系の連結基であってもよい。このような多価カルボン酸及び多価カルボン酸イオンとしては、例えばクエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、コハク酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、タルトロン酸、シトラマル酸、アコニット酸、アスパラギン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等及びこれらの陰イオンを挙げることができる。
更には、(B2)成分が上記のクエン酸、イソクエン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸等のように3つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸及びこれらの陰イオンであることが好ましい。このような多価カルボン酸及び多価カルボン酸イオンを用いることで、アルカリ金属イオンに対する配位状態が電気的及び立体的な優れた安定性を有すると考えられ、その結果、優れた着色低減機能を発揮することができると考えられる。
((C)金属イオン)
(C)成分の金属イオンは、単独の金属種であっても良く、複数の金属種からなるものであっても良い。金属イオンを本発明の樹脂組成物に含有することで、多層構造体を成形した場合に層間の接着性を向上させることができ、その結果、多層構造体の耐久性を向上させることができる。かかる金属イオンが層間接着性を向上させる理由は、必ずしも明らかではないが、層間においてEVOHのヒドロキシ基同士の親和性が金属イオンの存在によってより高くなることが考えられる。また、隣接する層の一方が、EVOHのヒドロキシ基と反応し得る官能基を分子内に有する場合等には、この結合生成反応が金属イオンの存在によって加速されることなども考えられる。(C)成分の金属イオンとしては、例えば(C1)アルカリ金属イオン、(C2)アルカリ土類金属イオン、その他遷移金属イオン等を挙げることができる。
この金属イオンの含有量(乾燥樹脂組成物中の含有量)の下限としては、2.5μmol/gが好ましく、3.5μmol/gがより好ましく、4.5μmol/gがさらに好ましい。一方、この含有量の上限としては、22μmol/gが好ましく、16μmol/gがより好ましく、10μmol/gがさらに好ましい。金属イオンの含有量が上記下限より小さいと、層間接着性が低くなり、多層構造体を成形した場合の耐久性が低くなるおそれがある。逆に、金属イオンの含有量が上記上限を超えると、樹脂組成物の着色の発生の低減が困難となり、外観特性が低下するおそれがある。
(C)成分の金属イオンが(C1)アルカリ金属イオンを含むものが好ましい。アルカリ金属イオンとしてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のイオンが挙げられるが、工業的入手の点からはナトリウム又はカリウムのイオンがより好ましい。(C)成分がアルカリ金属イオンを含むことで、ロングラン性と多層構造体とした際の層間接着力が向上する。
(C1)成分のアルカリ金属イオンを与えるアルカリ金属塩としては、特に限定されないが、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等の脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、リン酸塩、金属錯体等が挙げられる。このアルカリ金属塩としては、具体的には、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩等が挙げられる。この中でも、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウムが、入手容易である点から特に好ましい。
この(C1)アルカリ金属イオンの含有量(乾燥樹脂組成物中の含有量)の下限としては、2.5μmol/gが好ましく、3.5μmol/gがより好ましく、4.5μmol/gがさらに好ましい。一方、この含有量の上限としては、22μmol/gが好ましく、16μmol/gがより好ましく、10μmol/gがさらに好ましい。アルカリ金属イオンの含有量が上記下限より小さいと、層間接着性が低くなり、多層構造体を成形した場合の耐久性が低くなるおそれがある。逆に、アルカリ金属イオンの含有量が上記上限を超えると、樹脂組成物の着色の発生の低減が困難となり、外観特性が低下するおそれがある。
(C)成分が(C2)アルカリ土類金属イオンを含むことも好ましい。(C2)アルカリ土類金属イオンとしてはベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のイオンが挙げられるが、工業的入手の点からはマグネシウム又はカルシウムのイオンであることがより好ましい。(C)成分が(C2)アルカリ土類金属イオンを含むことで、多層構造体を繰返し再利用した際のEVOHの劣化が抑制され、ゲルやブツといった欠点の減少により成形物の外観が向上する。
((D)リン酸化合物)
(D)成分のリン酸化合物は、本発明の樹脂組成物に含有されることで、当該樹脂組成物の溶融成形時の熱安定性を向上させることができ、その結果、ゲル・ブツ等の発生を抑制し外観特性を向上させることができる。
リン酸化合物としては特に限定されず、例えば、リン酸、亜リン酸等の各種のリンの酸素酸やその塩等が挙げられる。リン酸塩としては、例えば第1リン酸塩、第2リン酸塩、第3リン酸塩のいずれの形で含まれていてもよく、その対カチオン種としても特に限定されないが、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が好ましく、アルカリ金属塩がさらに好ましい。具体的には、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム又はリン酸水素二カリウムが、熱安定性改善効果が高い点で好ましい。
リン酸化合物の含有量(乾燥樹脂組成物中のリン酸根換算含有量)の下限としては5ppmが好ましく、8ppmがさらに好ましい。一方、リン酸化合物の含有量の上限としては、500ppmが好ましく、200ppmがより好ましく、50ppmがさらに好ましい。リン酸化合物の含有量が上記下限より小さいと、熱安定性改善効果が十分に発揮されない場合がある。逆に、リン酸化合物の含有量が上記上限を超えると、成形物のゲル・ブツが発生し易くなるおそれがある。
((E)ホウ素化合物)
(E)成分のホウ素化合物は、本発明の樹脂組成物に含有されることで、当該樹脂組成物の溶融成形時の熱安定性を向上させることができ、その結果、ゲル・ブツ等の発生を抑制し外観特性を向上させることができる。詳細には、当該樹脂組成物にホウ素化合物が配合された場合、EVOHとホウ素化合物との間にキレート化合物が生成すると考えられ、かかる樹脂組成物を用いることによって、通常の樹脂組成物よりも熱安定性の改善、機械的性質を向上させることが可能である。
ホウ素化合物としては、特に限定されるものではなく、例えば、ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が挙げられる。具体的には、ホウ酸類としては、例えば、オルトホウ酸(HBO)、メタホウ酸、四ホウ酸等が挙げられ、ホウ酸エステルとしては、例えば、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチルなどが挙げられ、ホウ酸塩としては、上記各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ砂などが挙げられる。これらの中でもオルトホウ酸が好ましい。
ホウ素化合物の含有量(乾燥樹脂組成物中のホウ素化合物のホウ素元素換算含有量)の下限としては、5ppmが好ましく、10ppmがより好ましく、50ppmがさらに好ましい。一方、ホウ素化合物の含有量の上限としては、2,000ppmが好ましく、1,000ppmがより好ましく、500ppmがさらに好ましく、300ppmが特に好ましい。ホウ素化合物の含有量が上記下限より小さいと、ホウ素化合物を添加することによる熱安定性の改善効果が得られないおそれがある。逆に、ホウ素化合物の含有量が上記上限を超えると、ゲル化しやすく、成形不良となり、外観特性が低下するおそれがある。
(その他の添加剤等)
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤、安定剤、界面活性剤、色剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、帯電防止剤、乾燥剤、架橋剤、充填剤、各種繊維等の補強剤等を適量添加することも可能である。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、EVOH以外の熱可塑性樹脂を適量配合することも可能である。熱可塑性樹脂としては各種ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体、ポリオレフィンと無水マレイン酸との共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、又はこれらを不飽和カルボン酸若しくはその誘導体でグラフト変性した変性ポリオレフィンなど)、各種ナイロン(ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−6/66共重合体など)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリアセタール及び変性ポリビニルアルコール樹脂などが用いられる。EVOH以外の熱可塑性樹脂を配合する場合、その配合量は50質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
(樹脂組成物)
本発明の樹脂組成物のメルトフローレート(温度210℃、荷重2160gでの測定値)の下限としては、0.1g/10分が好ましく、0.5g/10分がさらに好ましく、1g/10分が特に好ましく、3g/10分がさらに特に好ましい。一方、当該樹脂組成物のメルトフローレートの上限としては、200g/10分が好ましく、50g/10分がより好ましく、30g/10分がさらに好ましく、15g/10分が特に好ましく、10g/10分がさらに特に好ましい。当該樹脂組成物のメルトフローレートを上記範囲の値とすることで、溶融成形性が向上し、より優れた外観特性及びロングラン性を発揮することができる。
本発明の樹脂組成物は溶融成形によりフィルム、シート、容器、パイプ、繊維等、各種の成形体に成形される。これらの成形物は再使用の目的で粉砕し再度成形することも可能である。また、フィルム、シート、繊維等を一軸または二軸延伸することも可能である。溶融成形法としては押出成形、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、射出成形等が可能である。
本発明の樹脂組成物を用いた溶融成形の際の溶融温度としては、150〜300℃程度が好ましい。特に、本発明の樹脂組成物は、(C)アルカリ金属イオンと(B2)多価カルボン酸及び多価カルボン酸イオンとの含有比を上述のように調整しているため、200℃以上といった高温だけでなく、例えば260℃以上といったより高温での溶融成形においても黄変等の着色の発生を抑制することができる。
(樹脂組成物の製造方法)
本発明の樹脂組成物は、例えば
エチレンとビニルエステルとを共重合してエチレン−ビニルエステル共重合体を得る共重合工程(工程1)、及び
上記エチレン−ビニルエステル共重合体をけん化してエチレン−ビニルアルコール共重合体を得るけん化工程(工程2)
を含み、
上記共重合工程より後に
上記エチレン−ビニルエステル共重合体又はエチレンビニルアルコール共重合体と(B2’)多価カルボン酸及び/又はその塩とを混合する混合工程(工程α)
をさらに含む製造方法により効果的に得ることができる。
当該樹脂組成物の製造方法によれば、(B2’)成分の混合を共重合工程より後に行うことで、溶融成形時の黄変等の発生が抑制された樹脂組成物を得ることができる。以下、各工程について詳説する。
(工程1)
共重合工程は、エチレンとビニルエステルとの共重合、及び必要に応じてそれに続いて未反応エチレン、未反応ビニルエステルを除去してエチレン−ビニルエステル共重合体溶液を得る部分を含む。共重合工程において(B2’)を添加した場合、最終的に得られる樹脂組成物は本発明の主目的である黄変等の着色の抑制効果が殆ど得られないか、着色が却って激しくなる場合があるなど好ましくない。
エチレンとビニルエステルとの共重合方法としては特に限定されず、例えば溶液重合、懸濁重合、乳化重合、バルク重合などの公知の方法を用いることができる。また、連続式、回分式のいずれであってもよい。
重合に用いられるビニルエステルとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびバーサティック酸ビニルが挙げられ、工業的入手/使用の点からは酢酸ビニルが好適に用いられる。
上記重合において、共重合成分として、上記成分以外にも共重合し得る単量体、例えば上記以外のアルケン;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸又はその無水物、塩、又はモノ若しくはジアルキルエステル等;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸又はその塩;アルキルビニルエーテル類、ビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどを少量共重合させることもできる。
また、共重合成分として、ビニルシラン化合物を0.0002モル%以上0.2モル%以下含有することができる。ここで、ビニルシラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシシランなどが挙げられる。この中で、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好適に用いられる。
重合に用いられる溶媒としては、エチレン、ビニルエステル及びエチレン−ビニルエステル共重合体を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定されない。そのような溶媒として、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール;ジメチルスルホキシドなどを用いることができる。その中で、反応後の除去分離が容易である点で、メタノールが特に好ましい。
重合に用いられる触媒としては、例えば2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス−(2−シクロプロピルプロピオニトリル)等のアゾニトリル系開始剤;イソブチリルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物系開始剤などを用いることができる。
重合温度としては、好ましくは20〜90℃であり、より好ましくは40〜70℃である。重合時間としては、好ましくは2〜15時間であり、より好ましくは3〜11時間である。重合率は、仕込みのビニルエステルに対して好ましくは10〜90%であり、より好ましくは30〜80%である。重合後の溶液中の樹脂分は、好ましくは5〜85質量%であり、より好ましくは20〜70質量%である。
所定時間の重合後又は所定の重合率に達した後、必要に応じて重合禁止剤を添加し、未反応のエチレンガスを蒸発除去した後、未反応のビニルエステルを除去する。未反応のビニルエステルを除去する方法としては、例えば、ラシヒリングを充填した塔の上部から上記共重合体溶液を一定速度で連続的に供給し、塔下部よりメタノール等の有機溶媒蒸気を吹き込み、塔頂部よりメタノール等の有機溶媒と未反応ビニルエステルの混合蒸気を留出させ、塔底部より未反応のビニルエステルを除去した共重合体溶液を取り出す方法などが採用される。
(工程2)
次に、上記共重合体溶液にアルカリ触媒を添加し、上記共重合体をけん化する。けん化方法は、連続式、回分式のいずれも可能である。このアルカリ触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属アルコラートなどが用いられる。
けん化の条件としては、例えば回分式の場合、共重合体溶液濃度が10〜50質量%、反応温度が30〜60℃、触媒使用量がビニルエステル構造単位1モル当たり0.02〜0.6モル、けん化時間が1〜6時間である。連続式の場合、従来より公知である塔式の反応器を用いて、けん化反応に伴い生成するカルボン酸メチルエステル等の除去を効率的に行いながらけん化反応を行う方法が、アルカリ触媒の使用量が低減できるという点で好ましいが、反応を均一な溶液状態で行うためには反応温度が70〜150℃、触媒使用量がビニルエステル構造単位1モル当たり0.001〜0.2モルとするとよい。
けん化反応後のEVOHは、アルカリ触媒、酢酸ナトリウムや酢酸カリウムなどの副生塩類、その他不純物を含有するため、これらを必要に応じて中和、洗浄することにより除去することが好ましい。ここで、けん化反応後のEVOHを、イオン交換水等の金属イオン、塩化物イオン等をほとんど含まない水で洗浄する際、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等を一部残存させてもよい。
(工程α(1))
上記共重合工程より後に、混合工程として、共重合工程で得られたエチレン−ビニルエステル共重合体又はけん化工程で得られたエチレンビニルアルコール共重合体と(B2’)多価カルボン酸及び/又はその塩とを混合する。
(B2’)成分としての多価カルボン酸としては、当該樹脂組成物の(B2)成分として上述したものを挙げることができる。また、(B2’)成分としての多価カルボン酸の塩としては、上記多価カルボン酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等を挙げることができる。
この混合は、例えば(1)けん化工程に供するエチレン−ビニルエステル共重合体を含む溶液に予め(B2’)成分を添加する方法、(2)けん化工程においてエチレン−ビニルエステル共重合体のけん化反応中に(B2’)成分を添加する方法、(3)けん化工程でエチレン−ビニルアルコール共重合体を得た後に(B2’)成分と混合する方法等の方法を用いることができる。
本発明の樹脂組成物の製造方法では、上述の通り共重合工程より後に混合工程を行うが、上記混合工程をビニルエステル濃度が1,000ppm以下の系にて行うことがより好ましい。ビニルエステル濃度が1,000ppmより多い系に(B2’)成分を加えた場合、最終的な樹脂組成物において黄変等の着色の抑制効果が殆ど得られないか、着色が却って激しくなることがある。
本発明の樹脂組成物の製造方法において、上述のけん化工程において上記混合工程を行うことが好ましい。ここで、けん化工程において上記混合工程を行うとは、(1)けん化工程に供するエチレン−ビニルエステル共重合体に予め(B2’)成分を添加する方法や、(2)けん化工程においてエチレン−ビニルエステル共重合体のけん化反応中に(B2’)成分を添加する方法等を挙げることができる。けん化工程において混合工程を行うことで、けん化工程以降の製造工程中にEVOHが受ける熱劣化等が抑制され、樹脂組成物としたときの色相が改善される。
けん化工程において混合工程を行う場合、通常エチレン−ビニルエステル共重合体のけん化反応は溶媒に溶解した状態で行われることから、同じ溶媒に溶解可能な多価カルボン酸の状態で添加することが好ましい。
また、上述したようにけん化工程にてけん化反応を行った後に、残存するアルカリ触媒を中和することがよく用いられるが、この際の中和に用いる酸として(B2’)成分を使用することも可能である。
本発明の樹脂組成物の製造方法では、上記各工程に加えて、
上記けん化工程で得られたエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む溶液から造粒操作によりエチレン−ビニルアルコール共重合体の含水ペレットを得る造粒工程(工程3)、及び
上記含水ペレットを乾燥してエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む樹脂組成物を得る乾燥工程(工程4)
をさらに含み、
上記造粒工程以降に上記混合工程を行うとよい。当該方法によっても、溶融成形時の黄変が低減された樹脂組成物を効果的に得ることができる。
(工程3)
EVOHの製造において、通常はけん化工程によりエチレン−ビニルエステル共重合体をけん化して得られたエチレン−ビニルアルコール共重合体は、けん化反応時に用いた溶媒を含む溶媒に溶解された溶液の形で得られる。この溶液中には、けん化反応に使用したアルカリ等の触媒や、副生物として生成する酢酸ナトリウム等を含んでいるため、これらを除去するために洗浄が行われる。この洗浄操作を容易にするために、けん化工程で得られたエチレン−ビニルアルコール共重合体溶液を造粒してEVOHの含水ペレットとすることが好ましい。
造粒工程においてエチレン−ビニルアルコール共重合体の溶液からEVOHの含水ペレットを得るための造粒の操作については特に制限はなく、エチレン−ビニルアルコール共重合体の溶液を冷却された貧溶媒を含む凝固浴にストランド状に押し出して冷却固化させた後ストランドカッターによりカットして円柱状のEVOHの含水ペレットを得る方法や、同様にしてエチレン−ビニルアルコール共重合体の溶液を凝固浴に押し出した直後に回転する刃等によってカットを行い碁石状〜球状のEVOHの含水ペレットを得る方法など公知の方法を用いることができる。また、特開2002−121290に記載の方法等によりエチレン−ビニルアルコール共重合体の溶液を水蒸気と接触させて予めEVOHの含水樹脂組成物とした後にこれをカットしてEVOHの含水ペレットを得る方法等も好適に用いることができる。
これらの方法により得られたEVOHの含水ペレット中の水分率は、EVOHの乾燥重量基準で50〜200質量%であることが好ましく、60〜180質量%であることがより好ましく、70〜150質量%であることが更に好ましい。
(工程4)
造粒工程で得られたEVOHの含水ペレットは、最終的には乾燥工程にて乾燥することでEVOHを含む樹脂組成物のペレットとすることが好ましい。乾燥後の樹脂組成物ペレット中の水分率は、成形加工時の発泡等によるボイドの発生といった成形トラブルを防ぐ目的から、樹脂組成物ペレット全体に対して1.0質量%以下であることが好ましく、0.8質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましい。
EVOHの含水ペレットの乾燥方法については特に制限はなく、公知の各種方法を用いることができ、静置乾燥や流動乾燥等が好適なものとして挙げられる。これらの乾燥方法を単独で用いても良いし、例えば始めに流動乾燥を行った後に静置乾燥を行うなど複数を組み合わせて用いても良い。乾燥処理は連続式、バッチ式いずれの方法で行っても良く、複数の乾燥方式を組み合わせて行う場合は、各乾燥方式について連続式、バッチ式を自由に選択できる。乾燥を低酸素濃度或いは無酸素状態で行うことも、乾燥中の酸素による樹脂組成物の劣化を低減できる点で好ましい。
(工程α(2))
上記造粒工程以降に上記混合工程を行う方法としては、(1)EVOHの含水ペレットを(B2’)成分を含有する溶液と接触させる方法や、(2)EVOHの含水ペレットと(B2’)成分を押出機内で溶融混練する方法などの方法が好適に用いられる。なお、この際、(B1)成分、(C)成分及びその他の成分((D)成分、(E)成分等)を同時にEVOHと混合させることができる。
上記造粒工程以降に上記混合工程を行う方法としては、上記造粒工程と乾燥工程との間で、上記含水ペレットを(B2’)成分を含有する溶液に浸漬させる方法が好ましい。当該方法によれば、(B2’)成分を効率的に樹脂組成物中に混合させることができ、溶融成形時の黄変が抑えられた樹脂組成物の製造をより効果的に行うことができる。
EVOHの含水ペレットを(B2’)成分及び必要に応じて他の成分を含む溶液に浸漬させる場合、含水ペレットの形状としては、粉末、粒状、球状、円柱形チップ状等、任意の形状のものを用いることができる。また、この操作はバッチ方式、連続方式のいずれによる方法も用いることができる。バッチ式で行う場合、EVOHの含水ペレット中のEVOHと各成分を含有する溶液の質量比(浴比)は3以上が好ましく、10以上がより好ましく、20以上が更に好ましい。連続式で実施する場合、従来より公知の塔式の装置を好適に用いることができる。浸漬時間は含水ペレットの形態によってその好適範囲は異なるが、EVOHが平均径1〜10mm程度の粒状の場合には1時間以上、好ましくは2時間以上が望ましい。
溶液への浸漬処理は、樹脂組成物に含有させる各成分をそれぞれ単独で溶解した複数の溶液に分けて浸漬してもよく、複数の成分を溶解した液を用いて一度に処理しても構わないが、EVOH以外の全ての成分を含む溶液で処理することが、工程の簡素化の点から好ましい。
EVOH以外の各成分を含有する溶液を得るに当たっては各成分をそれぞれ独立して溶媒に溶解しても良いが、いくつかの成分同士が塩を形成するものを用いることも可能である。溶液中の各成分の濃度は特に限定されるものではなく、最終的に得られる樹脂組成物中において目的の含有量が得られるように適宜調節すれば良い。溶液の溶媒は特に限定されないが、取扱い上の理由等から水であることが好ましい。
また、混合工程としてEVOHの含水ペレットと(B2’)成分とを押出機内で溶融混練する場合、例えば特開2002−284811号等に記載の方法などが好適に用いられる。
本発明の樹脂組成物の製造方法において、上述の造粒工程において上記混合工程を行うことも好ましい。造粒工程において(B2’)成分をEVOHと混合させておくことで、EVOHの含水ペレット中に(B2’)成分を均一に含有させることができる。これにより、造粒工程より後において(B2’)成分を含む溶液にEVOHの含水ペレットを浸漬してEVOH中に(B2’)成分を含有させる場合には、浸漬時間を短縮できるといった利点があるとともに、樹脂組成物としたときの色相が改善される。
(多層構造体)
本発明の多層構造体は、本発明の樹脂組成物から得られる層を少なくとも一層備える多層構造体である。当該多層構造体の層構造としては、特に限定されないが、本発明の樹脂組成物から得られる層をE、接着性樹脂から得られる層をAd、熱可塑性樹脂から得られる層をTで表わした場合の、T/E/T、E/Ad/T、T/Ad/E/Ad/T等の構造が挙げられる。これらの各層は、単層であってもよいし、多層であってもよい。
当該多層構造体を製造する方法としては、特に限定されない。例えば本発明の樹脂組成物から得られる成形物(フィルム、シート等)に熱可塑性樹脂を溶融押出する方法、本発明の樹脂組成物と他の熱可塑性樹脂とを共押出する方法、本発明の樹脂組成物と熱可塑性樹脂とを共射出する方法、本発明の樹脂組成物から成形された成形物と他の基材のフィルム、シートとを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物等の公知の接着剤を用いてラミネートする方法等が挙げられる。
これらの方法の中でも、本発明の樹脂組成物と他の熱可塑性樹脂とを共押出する方法が好ましく用いられる。本発明の樹脂組成物は、ロングラン性及び外観特性に優れており、特に、比較的高温での溶融によっても着色が生じにくい。従って、本発明の樹脂組成物と融点が比較的高い他の熱可塑性樹脂との共押出によっても、黄変等の着色の発生が抑制された、外観の優れた多層構造体を得ることができる。
多層構造体における他の層に用いられる熱可塑性樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体(炭素数4〜20のα−オレフィン)、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独又はその共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエステルエラストマー、ナイロン−6、ナイロン−66等のポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリカーボネート、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエステルが好ましく用いられる。
上記接着性樹脂としては、EVOHを含む本発明の樹脂組成物及び熱可塑性樹脂との接着性を有していれば特に限定されないが、カルボン酸変性ポリオレフィンを含有する接着性樹脂が好ましい。カルボン酸変性ポリオレフィンとしては、オレフィン系重合体にエチレン性不飽和カルボン酸、そのエステル又はその無水物を化学的(例えば付加反応、グラフト反応等)に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体を好適に用いることができる。ここでオレフィン系重合体とは、ポリエチレン(低圧、中圧、高圧)、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ボリブテン等のポリオレフィン、オレフィンと他のモノマー(ビニルエステル、不飽和カルボン酸エステルなど)との共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチルエステル共重合体等)を意味する。これらの中でも、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニルの含有量5〜55質量%)、エチレン−アクリル酸エチルエステル共重合体(アクリル酸エチルエステルの含有量8〜35質量%)が好ましく、直鎖状低密度ポリエチレン及びエチレン−酢酸ビニル共重合体が特に好ましい。エチレン性不飽和カルボン酸、そのエステル又はその無水物としては、エチレン性不飽和モノカルボン酸、又はそのエステル、エチレン性不飽和ジカルボン酸、又はそのモノ若しくはジエステル、若しくはその無水物が挙げられ、これらの中でもエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物が好ましい。具体的にはマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステルなどが挙げられ、特に、無水マレイン酸が好適である。
エチレン性不飽和カルボン酸又はその無水物のオレフィン系重合体への付加量又はグラフト量(変性度)としては、オレフィン系重合体に対し0.0001〜15質量%、好ましくは0.001〜10質量%である。エチレン性不飽和カルボン酸又はその無水物のオレフィン系重合体への付加反応、グラフト反応は、例えば、溶媒(キシレンなど)、触媒(過酸化物など)の存在下でラジカル重合法などにより行うことができる。このようにして得られたカルボン酸変性ポリオレフィンの210℃で測定したメルトフローレート(MFR)は0.2〜30g/10分であることが好ましく、0.5〜10g/10分であるであることがさらに好ましい。これらの接着性樹脂は単独で用いてもよいし、また二種以上を混合して用いることもできる。
本発明の樹脂組成物と熱可塑性樹脂等との共押出の方法としては、特に限定されず、マルチマニホールド合流方式Tダイ法、フィードプロック合流方式Tダイ法、インフレーション法等を挙げることができる。
このようにして得られた共押出多層構造体を二次加工することにより、各種成形品(フィルム、シート、チューブ、ボトル等)を得ることができる。この各種成形品としては例えば、以下のようなものが挙げられる。(1)多層構造体(シート又はフィルム等)を一軸又は二軸方向に延伸、熱処理することにより得られる多層共延伸シート又はフィルム、(2)多層構造体(シート又はフィルム等)を圧延することにより得られる多層圧延シート又はフィルム、(3)多層構造体(シート又はフィルム等)を真空成形、圧空成形、真空圧空成形等、熱成形加工することにより得られる多層トレーカップ状容器、(4)多層構造体(パイプ等)からのストレッチブロー成形等により得られるボトル、カップ状容器等。
なお、二次加工法は、上記成形品を得る際に例示した各方法に制限されることなく、例えば、ブロー成形等の上記以外の公知の二次加工法を適宜用いることができる。
当該多層構造体は、外観特性及びロングラン性に優れた樹脂組成物から得られる層を有しているため、フィッシュアイや、ゲル・ブツ及び黄変等の着色が少なく、例えば深絞り容器、カップ状容器、ボトル等の食品容器等として好適に用いることができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例/比較例において樹脂組成物等の分析、評価はそれぞれ以下に示す方法にて行った。
(1)含水EVOHペレットの含水率の測定
メトラー・トレド社製のハロゲン水分率分析装置「HR73」を用い乾燥温度180℃、乾燥時間20分、サンプル量約10gの条件で含水EVOHペレットの含水率を測定した。以下に示す含水EVOHの含水率は、乾燥EVOH基準の質量%とする。
(2)(A)EVOHのエチレン含有量及びけん化度
乾燥EVOHペレットを凍結粉砕により粉砕した。得られた粉砕EVOHを、呼び寸法1mmのふるい(標準フルイ規格JIS−Z8801準拠)でふるい分けした。上記のふるいを通過したEVOH粉末5gを、100gのイオン交換水中に浸漬し、85℃で4時間撹拌した後、脱液して乾燥する操作を二回行った。得られた洗浄後の粉末EVOHを用いて、下記の測定条件でH−NMRの測定を行い、下記の解析方法でけん化度を求めた。
〈測定条件〉
装置名 :日本電子社製 超伝導核磁気共鳴装置「Lambda500」
観測周波数 :500MHz
溶媒 :DMSO−d6
ポリマー濃度 :4質量%
測定温度 :40℃及び95℃
積算回数 :600回
パルス遅延時間:3.836秒
サンプル回転速度:10〜12Hz
パルス幅(90°パルス):6.75μsec
〈解析方法〉
40℃での測定では、3.3ppm付近に水分子中の水素のピークが観測され、EVOHのビニルアルコール単位のメチン水素のピークのうちの、3.1〜3.7ppmの部分と重なった。一方、95℃での測定では、上記40℃で生じた重なりは解消するものの、4〜4.5ppm付近に存在するEVOHのビニルアルコール単位の水酸基の水素のピークが、EVOHのビニルアルコール単位のメチン水素のピークのうちの、3.7〜4ppmの部分と重なった。すなわち、EVOHのビニルアルコール単位のメチン水素(3.1〜4ppm)の定量については、水又は水酸基の水素のピークとの重複を避けるために、3.1〜3.7ppmの部分については、95℃の測定データを採用し、3.7〜4ppmの部分については40℃の測定データを採用し、これらの合計値として当該メチン水素の全量を定量した。なお、水又は水酸基の水素のピークは測定温度を上昇させることで高磁場側にシフトすることが知られている。従って、以下のように40℃と95℃の両方の測定結果を用いて解析した。上記の40℃で測定したスペクトルより、3.7〜4ppmのケミカルシフトのピークの積分値(I)及び0.6〜1.8ppmのケミカルシフトのピークの積分値(I)を求める。一方、95℃で測定したスペクトルより、3.1〜3.7ppmのケミカルシフトのピークの積分値(I)、0.6〜1.8ppmのケミカルシフトのピークの積分値(I)及び1.9〜2.1ppmのケミカルシフトのピークの積分値(I)を求める。ここで、0.6〜1.8ppmのケミカルシフトのピークは、主にメチレン水素に由来するものであり、1.9〜2.1ppmのケミカルシフトのピークは、未けん化の酢酸ビニル単位中のメチル水素に由来するものである。これらの積分値から下記式によりエチレン含有量及びけん化度を計算した。
Figure 2014177644
Figure 2014177644
(3)(B1)モノカルボン酸及びモノカルボン酸イオン並びに(B2)多価カルボン酸及び多価カルボン酸イオンの定量
乾燥EVOHペレットを凍結粉砕により粉砕した。得られた粉砕EVOHを、呼び寸法1mmのふるい(標準フルイ規格JIS−Z8801準拠)でふるい分けした。上記のふるいを通過したEVOH粉末10gとイオン交換水50mLを共栓付き100mL三角フラスコに投入し、冷却コンデンサーを付け、95℃で10時間撹拌、抽出した。得られた抽出液2mLを、イオン交換水8mLで希釈した。上記の希釈された抽出液を、横河電機社製イオンクロマトグラフィー「IC7000」を用いて定量分析し、カルボン酸イオンの量を定量することで、カルボン酸及びカルボン酸イオンの量を算出した。なお、定量に際しては酢酸水溶液を用いて作成した検量線を用いた。
イオンクロマトグラフィー測定条件:
カラム :Dionex IonPac社製「ICE−AS−1」
溶離液 :1.0mmol/L オクタンスルホン酸溶液
測定温度 :35℃
溶離液流速 :1mL/min.
サンプル打ち込み量:50μL
(4)金属イオンの定量
乾燥EVOHペレットを凍結粉砕により粉砕した。得られたEVOH粉末10gとイオン交換水50mLを100mL共栓付き三角フラスコに投入し、冷却コンデンサーを付けて、95℃で10時間撹拌、加熱抽出した。得られた抽出液2mLを、イオン交換水8mLで希釈した。上記の希釈された抽出液を、パーキンエルマージャパン社製ICP発光分光分析装置「Optima 4300 DV」を用いて、以下に示す各観測波長で定量分析することで、各金属イオンの量を定量した。
Na :589.592nm
K :766.490nm
Mg :285.213nm
Ca :317.933nm
(5)リン酸化合物の定量
乾燥EVOHペレットを凍結粉砕により粉砕した。得られたEVOH粉末1.0g、濃硝酸15mL及び濃硫酸4mLを共栓付き100mL三角フラスコに投入し、冷却コンデンサーを付け、200〜230℃で加熱分解した。得られた溶液をイオン交換水で50mLメスフラスコにメスアップした。上記の溶液を、パーキンエルマージャパン社製ICP発光分光分析装置「Optima 4300 DV」を用いて、観測波長214.914nmで定量分析することで、リン元素の量を定量し、リン酸化合物の量をリン酸根換算値で算出した。
(6)ホウ素化合物の定量
試料とする乾燥EVOHペレット50mgを酸素フラスコ燃焼法により完全燃焼させ、得られた燃焼灰分を1mol/L硝酸水溶液10mLに溶解させた。上記溶液を、パーキンエルマージャパン社製ICP発光分光分析装置「Optima 4300 DV」を用いて、観測波長249.667nmで定量分析することで、ホウ素化合物の含有量をホウ素元素換算値で得た。
(7)着色性評価(耐着色性)
実施例及び比較例にて得られた乾燥後の各EVOHペレット5gを用いて、加熱圧縮プレス装置にて220℃及び260℃で2分間加熱溶融させて厚み2mmの円盤状サンプルを作成した。得られた円盤状サンプルの着色状況を目視で確認し、以下のように判断した。
A :ほとんど着色していない
B :わずかに着色している
C :着色(黄色)している
D :激しく着色(褐色)している
(8)樹脂組成物を用いた単層フィルムの作成
得られた乾燥EVOHペレットを東洋精機製作所社製の20mm押出機「D2020」(D(mm)=20、L/D=20、圧縮比=2.0、スクリュー:フルフライト)を用いて単層製膜を以下の条件で行い、単層フィルムを得た。
押出温度:供給部/圧縮部/計量部/ダイ
=180/260/260/260℃
スクリュー回転数:40rpm
吐出量:1.3kg/hr
引取りロール温度:80℃
引取りロール速度:3.1m/min.
フィルム厚み:20μm
(9)外観特性(黄変の発生の有無)
上記方法で作製された単層フィルムを紙管に巻き取り、フィルム端面の着色度を肉眼で以下のように判定した。
判定:基準
A :着色なし
B :やや黄変
C :黄変
(10)ロングラン性(粘度安定性)
得られた乾燥EVOHペレット60gをラボプラストミル(東洋精機製作所社製「20R200」二軸異方向)を用いて100rpm、260℃で混練したときのトルク変化を測定した。混練開始から5分後のトルクを測定し、トルク値がその5分後のトルクの1.5倍になるまでの時間を測定した。この時間が長いほど、粘度変化が少なく、ロングラン性に優れていることを示す。
判定:基準
A :60分以上
B :40分以上60分未満
C :20分以上40分未満
(11)リサイクル性(繰返し回収使用時の品質安定性)
得られた乾燥EVOHペレット2kgについて、東洋精機製作所社製の20mm押出機「D2020」(D(mm)=20、L/D=20、圧縮比=2.0、スクリュー:フルフライト)を用いて以下の条件にてペレット化を行った。得られたEVOHペレットを再度同条件にてペレット化を行う操作を4回繰返し、次いでメルトインデックスが1.0g/10分(190℃、2160g荷重下)のLDPEを投入して押出機内のEVOH樹脂を置換した後に、押出機のスクリューを引き抜き、スクリューへの樹脂付着状況を目視にて確認し、以下のように判定した。
〈ペレット化条件〉
押出温度 供給部/圧縮部/計量部/ダイ
=180/210/210/210℃
スクリュー回転数 40rpm
吐出量 1.3kg/hr
ダイ孔数 2穴
凝固浴冷却水温度 30℃
〈樹脂付着状況判定基準〉
判定:基準
A :スクリューに樹脂が僅かに付着あるいはほとんど見られない
B :スクリューに樹脂が少量付着している
C :スクリューに樹脂が多量に付着している
D :スクリューに着色した樹脂が多量に付着している
(12)接着性
得られた乾燥EVOHペレット、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE:三井化学社製ウルトゼックス2022L)及び接着性樹脂(SUMICA.ATOCHEM Co.Ltd製Bondine TX8030、以下Adと略することがある)を用いて、以下の方法/条件にて3種5層の多層フィルム(LLDPE/Ad/EVOH/Ad/LLDPE=50μm/10μm/10μm/10μm/50μm)を得た。得られた多層フィルムを、多層製膜直後にMD方向に150mm、TD方向に10mmで切り出した後、直ちにオートグラフ(島津製作所社製DCS−50M)によりT型剥離モードでEVOH層/Ad層間の剥離強度を測定し、剥離強度の強さにより以下のように判定した。
〈多層製膜条件〉
押出機:
EVOH用 :20mmφ押出機 ラボ機ME型CO−EXT(東洋精機社製)
Ad用 :25mmφ押出機 P25−18AC(大阪精機社製)
LLDPE用:32mmφ押出機 GF−32−A(プラスチック工学研究所社製)
EVOH押出温度 供給部/圧縮部/計量部/ダイ
=175/210/220/220℃
Ad押出温度 供給部/圧縮部/計量部/ダイ
=100/160/220/220℃
LLDPE押出温度 供給部/圧縮部/計量部/ダイ
=150/200/210/220℃
ダイ 300mm幅コートハンガーダイ(プラスチック工学研究所社製)
〈接着性の判定基準〉
判定:基準
A :500g/15cm以上
B :400g/15cm以上500g/15cm未満
C :300g/15cm以上400g/15cm未満
D :300g/15cm未満
<合成例1> 含水EVOHペレットの合成
(エチレン−酢酸ビニル共重合体の重合)
撹拌機、窒素導入口、エチレン導入口、開始剤添加口及びディレー(逐次添加)溶液添加口を備える250L加圧反応槽に酢酸ビニル83.0kg、メタノール26.6kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽圧力が3.6MPaとなるようにエチレンを仕込んだ。開始剤として、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)をメタノールに溶解し、濃度2.5g/Lの開始剤溶液を調製し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記重合槽内温を60℃に調整した後、上記開始剤溶液362mLを注入し重合を開始した。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力を3.6MPaに、重合温度を60℃に維持し、上記開始剤溶液を用いて1120mL/hrでAMVを連続添加して重合を実施した。5.0時間後に重合率が40%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いでラシヒリングを充填した塔の上部から得られた共重合体溶液を連続的に供給し、塔下部よりメタノールを吹き込み塔頂部よりメタノールと未反応酢酸ビニルモノマーの混合蒸気を流出させ、塔底部より未反応酢酸ビニルモノマーを除去したエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAc)のメタノール溶液を得た。
(けん化)
得られたEVAc溶液にメタノールを加えて濃度が15質量%となるように調整したEVAcのメタノール溶液253.4kg(溶液中のEVAc 38kg)に、76.6L(EVAc中の酢酸ビニルユニットに対してモル比(MR)0.4)のアルカリ溶液(NaOHの10質量%メタノール溶液)を添加して60℃で4時間撹拌することにより、EVAcのけん化を行った。反応開始から6時間後、9.2kgの酢酸と60Lの水を添加して上記反応液を中和し、反応を停止させた。
(洗浄)
中和された反応液を、反応器からドラム缶に移して16時間室温で放置し、ケーキ状に冷却固化させた。その後、遠心分離機(国産遠心器社製「H−130」回転数1200rpm)を用いて、上記ケーキ状の樹脂を脱液した。次に、遠心分離機の中央部に、上方よりイオン交換水を連続的に供給しながら洗浄し、上記樹脂を水洗する工程を10時間行った。洗浄開始から10時間後の洗浄液の伝導度は、30μS/cm(東亜電波工業社製「CM−30ET」で測定)であった。
(造粒)
このようにして得られた粉末状のEVOHを乾燥機を用いて60℃、48時間乾燥した。乾燥した粉末状のEVOH20kgを、43Lの水/メタノール混合溶液(質量比:水/メタノール=4/6)に80℃で12時間、撹拌しながら溶解させた。次に、撹拌を止めて溶解槽の温度を65℃に下げて5時間放置し、上述のEVOHの水/メタノール溶液の脱泡を行った。そして、直径3.5mmの円形の開口部を有する金板から、5℃の水/メタノール混合溶液(質量比:水/メタノール=9/1)中に押出してストランド状に析出させ、切断することで直径約4mm、長さ約5mmの含水EVOHペレットを得た。
(精製)
このようにして得られた含水EVOHペレット40kg及びイオン交換水150Lを、高さ900mm、開径600mmの金属製ドラム缶に入れ、25℃で2時間撹拌しながら洗浄及び脱液する操作を2回繰り返した。次に、30kgの含水EVOHペレットに対して150Lの1g/Lの酢酸水溶液を加え、25℃で2時間撹拌しながら洗浄及び脱液する操作を2回繰り返した。さらに、含水EVOHペレット30kgに対して150Lのイオン交換水を加えて、25℃で2時間撹拌しながら洗浄及び脱液する操作を6回繰り返すことで、けん化工程での副生物等の不純物の除去された含水EVOHペレット(w−EVOH−1)を得た。6回目の洗浄を行った後の洗浄液の伝導度を東亜電波工業社製「CM−30ET」で測定した結果、上記洗浄液の伝導度は3μS/cmであった。得られた含水EVOHペレットの含水率は110質量%であった。
<合成例2> 含水EVOHペレットの合成
合成例1において、エチレン−酢酸ビニル共重合体の重合時における酢酸ビニル及びメタノールの仕込み量をそれぞれ85.2kg、32.3kgに、反応槽圧力を2.9MPaに、開始剤溶液(AMVの2.5g/L濃度のメタノール溶液)の重合開始時の注入量を310mLに、開始剤溶液の連続添加量を950mL/hrに変更した以外は合成例1と同様の操作により未反応酢酸ビニルモノマーを除去したEVAcのメタノール溶液を得た。重合反応時の反応時間は5時間、重合率は40%であった。
次いで、アルカリ溶液の添加量を78.9Lに、中和時の酢酸添加量を9.5kgに変更した以外は合成例1と同様の操作によりけん化、洗浄を行って粒状のEVOHを得た。
さらに、EVOH溶解時に用いる水/メタノール混合溶液の水/メタノール質量比を50/50に変更した以外は合成例1と同様の操作により析出、洗浄を行って含水EVOHペレット(w−EVOH−2)を得た。
<合成例3> 含水EVOHペレットの合成
合成例1において、エチレン−酢酸ビニル共重合体の重合時における酢酸ビニル及びメタノールの仕込み量をそれぞれ76.7kg、11.0kgに、反応槽圧力を5.5MPaに、開始剤溶液(AMVの2.5g/L濃度のメタノール溶液)の重合開始時の注入量を510mLに、開始剤溶液の連続添加量を1570mL/hrに変更した以外は合成例1と同様の操作により未反応酢酸ビニルモノマーを除去したEVAcのメタノール溶液を得た。重合反応時の反応時間は5時間、重合率は40%であった。
次いで、アルカリ溶液の添加量を70.4Lに、中和時の酢酸添加量を8.4kgに変更した以外は合成例1と同様の操作によりけん化、洗浄を行って粒状のEVOHを得た。
さらに、EVOH溶解時に用いる水/メタノール混合溶液の水/メタノール質量比を25/75に変更した以外は合成例1と同様の操作により析出、洗浄を行って含水EVOHペレット(w−EVOH−3)を得た。
<合成例4> 含水EVOHペレットの合成
合成例1において、エチレン−酢酸ビニル共重合体の重合時における酢酸ビニル及びメタノールの仕込み量をそれぞれ102.0kg、17.7kgに、反応槽圧力を2.9MPaに、開始剤溶液(AMVの2.5g/L濃度のメタノール溶液)の重合開始時の注入量を280mLに、開始剤溶液の連続添加量を850mL/hrに変更した以外は合成例1と同様の操作により未反応酢酸ビニルモノマーを除去したEVAcのメタノール溶液を得た。重合反応時の反応時間は5時間、重合率は40%であった。
次いで、アルカリ溶液の添加量を80.1Lに、中和時の酢酸添加量を9.6kgに変更した以外は合成例1と同様の操作によりけん化、洗浄を行って粒状のEVOHを得た。
さらに、EVOH溶解時に用いる水/メタノール混合溶液の水/メタノール質量比を55/45に変更した以外は合成例1と同様の操作により析出、洗浄を行って含水EVOHペレット(w−EVOH−4)を得た。
<実施例1>
水にクエン酸0.05g/L、クエン酸三ナトリウム0.55g/L、リン酸0.015g/L、ホウ酸0.20g/Lとなるようそれぞれの成分を溶解した水溶液94.5Lに、合成例1で得た含水EVOHペレット(w−EVOH−1)10.5kgを投入して、25℃で6時間、時々攪拌しながら浸漬を行った。浸漬後の含水EVOHペレットを遠心脱液により脱水した後、熱風乾燥機中80℃で3時間、引き続き120℃で24時間乾燥して、乾燥EVOH樹脂組成物のペレット(EVOH−1)を得た。
EVOH−1について上記に従いエチレン含有量及びけん化度を分析したところ、エチレン含有量(Et)は32mol%、けん化度(DS)は99.98mol%以上であった。また上記に従い分析した結果、EVOH−1は(B2)多価カルボン酸及び多価カルボン酸イオンとしてクエン酸及びクエン酸イオンを2.6μmol/g、(C)金属イオンとしてナトリウムイオンを7.0μmol/g、(D)リン酸化合物をリン酸根換算で10ppm、(E)ホウ素化合物をホウ素元素換算で156ppm含んでいた。EVOH−1について、上記に従い各物性の評価を行ったところ、着色性評価においては220℃及び260℃のいずれにおいても着色はほとんど見られずA判定であり、外観特性についてはフィルム端面には着色が見られずA判定であった。また、ロングラン性については60分後においてもトルク値は5分後のトルク値の1.5倍に到達せずA判定であり、接着性については剥離強度は510g/15cmとなりA判定であった。
<実施例2〜25、27、32、33、参考例26、28、29〜31、及び比較例1〜11>
実施例1において用いた含水EVOHペレットの種類及び水溶液へ配合した各化合物の種類及び量を表1及び表4のように変更した以外は、実施例1と同様にしてEVOH樹脂組成物ペレット(EVOH−2〜31、34〜44)を得た。得られた各EVOH樹脂組成物について、実施例1と同様にしてエチレン含有量等を分析した結果を表2及び表5に、耐着色性等を評価した結果を表3及び表6に示す。
<実施例32>
上記の合成例1において、造粒工程でEVOHを水/メタノール混合溶液に溶解する際に、酸化防止剤である「N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、Irganox 1098)30gを添加し、以後は合成例1と同様の操作により精製を行って含水EVOHペレット(w−EVOH−5)を得た。更に、w−EVOH−1の代わりにw−EVOH−5を用いる以外は実施例1と同様の操作により乾燥EVOH樹脂組成物のペレット(EVOH−32)を得た。
<実施例33>
実施例32において、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)の添加量を5gに変更した以外は実施例32と同様の操作により精製を行って含水EVOHペレット(w−EVOH−6)を得た。更に、w−EVOH−1の代わりにw−EVOH−6を用いる以外は実施例1と同様の操作により乾燥EVOH樹脂組成物のペレット(EVOH−33)を得た。
EVOH−32及びEVOH−33について、実施例1と同様にしてエチレン含有量等を分析した結果を表2に、耐着色性等を評価した結果を表3に、併せて示す。
Figure 2014177644
Figure 2014177644
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<実施例34>
水にクエン酸0.24g/L、クエン酸マグネシウム六水和物(特開2004−91442号記載の方法に従い合成)0.50g/L、リン酸0.015g/L、ホウ酸0.20g/Lとなるようそれぞれの成分を溶解した水溶液94.5Lに、合成例1で得た含水EVOHペレット(w−EVOH−1)10.5kgを投入して、25℃で6時間、時々攪拌しながら浸漬を行った。浸漬後の含水EVOHペレットを遠心脱液により脱水した後、熱風乾燥機中80℃で3時間、引き続き120℃で24時間乾燥して、乾燥EVOH樹脂組成物のペレット(EVOH−45)を得た。
EVOH−45について上記に従いエチレン含有量及びけん化度を分析したところ、エチレン含有量は32mol%、けん化度は99.98mol%以上であった。また上記に従い分析した結果、EVOH−45は(B2)多価カルボン酸及び多価カルボン酸イオンとしてクエン酸及びクエン酸イオンを3.2μmol/g、(C)金属イオンとしてマグネシウムイオンを2.9μmol/g、(D)リン酸化合物をリン酸根換算で10ppm、(E)ホウ素化合物をホウ素元素換算で156ppm含んでいた。EVOH−45について、上記に従い各物性の評価を行ったところ、着色性評価においては220℃および260℃のいずれにおいても着色はほとんど見られずA判定であり、外観特性についてはフィルム端面には着色が見られずA判定であった。また、リサイクル性については繰返しペレット化後の押出機スクリューへの樹脂付着はほとんど見られずA判定であり、接着性については剥離強度は460g/15cmとなりB判定であった。
<実施例35〜45及び比較例12〜15>
実施例34において用いた含水EVOHペレットの種類及び水溶液へ配合した各化合物の種類及び量を表7のように変更した以外は、実施例34と同様にしてEVOH樹脂組成物ペレット(EVOH−46〜60)を得た。得られた各EVOH樹脂組成物について、実施例34と同様にしてエチレン含有量等を分析した結果を表8に、耐着色性等を評価した結果を表9に示す。
Figure 2014177644
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<実施例46>
水に酢酸0.8g/L、クエン酸0.02g/L、クエン酸三ナトリウム0.50g/L、リン酸0.015g/L、ホウ酸0.20g/Lとなるようそれぞれの成分を溶解した水溶液94.5Lに、合成例1で得た含水EVOHペレット(w−EVOH−1)10.5kgを投入して、25℃で6時間、時々攪拌しながら浸漬を行った。浸漬後の含水EVOHペレットを遠心脱液により脱水した後、熱風乾燥機中80℃で3時間、引き続き120℃で24時間乾燥して、乾燥EVOH樹脂組成物のペレット(EVOH−61)を得た。
EVOH−61について上記に従いエチレン含有量及びけん化度を分析したところ、エチレン含有量は32mol%、けん化度は99.98mol%以上であった。また上記に従い分析した結果、EVOH−61は(B1)モノカルボン酸及びモノカルボン酸イオンとして酢酸イオンを16.7μmol/g、(B2)多価カルボン酸及び多価カルボン酸イオンとしてクエン酸及びクエン酸イオンを0.1μmol/g、(C)金属イオンとしてナトリウムイオンを7.4μmol/g、(D)リン酸化合物をリン酸根換算で10ppm、(E)ホウ素化合物をホウ素元素換算で156ppm含んでいた。EVOH−61について、上記に従い各物性の評価を行ったところ、着色性評価においては220℃および260℃のいずれにおいても着色はほとんど見られずA判定であり、外観特性についてはフィルム端面には着色が見られずA判定であった。また、ロングラン性については60分後においてもトルク値は5分後のトルク値の1.5倍に到達せずA判定であり、接着性については剥離強度は480g/15cmとなりB判定であった。
<実施例47、48、53、54、参考例49〜52、及び比較例16〜19>
実施例46において用いた含水EVOHペレットの種類及び水溶液へ配合した各化合物の種類及び量を表10のように変更した以外は、実施例46と同様にしてEVOH樹脂組成物ペレット(EVOH−62〜73)を得た。得られた各EVOH樹脂組成物について、実施例46と同様にしてエチレン含有量等を分析した結果を表11に、耐着色性等を評価した結果を表12に示す。
Figure 2014177644
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<実施例55>
上記の合成例1において、けん化工程で酢酸と水添加により中和、反応停止する際に、更にクエン酸22gを添加し、以後は合成例1と同様の操作により洗浄、造粒、精製を行って含水EVOHペレット(w−EVOH−7)を得た。更に、w−EVOH−1の代わりにw−EVOH−7を用いる以外は実施例1と同様の操作により乾燥EVOH樹脂組成物のペレット(EVOH−74)を得た。
<実施例56>
上記の合成例1において、造粒工程でEVOHを水/メタノール混合溶液に溶解する際に、クエン酸2gを添加し、以後は合成例1と同様の操作により精製を行って含水EVOHペレット(w−EVOH−8)を得た。更に、w−EVOH−1の代わりにw−EVOH−8を用いる以外は実施例1と同様の操作により乾燥EVOH樹脂組成物のペレット(EVOH−75)を得た。
<実施例57>
合成例1で得られたw−EVOH−1を熱風乾燥機中80℃で1時間乾燥することで、含水率を50質量%とした含水EVOHペレットを得た。得られた含水EVOHペレットを、二軸押出機(詳細を以下に示す)に10kg/hrで投入し、吐出口の樹脂温度を100℃とし、吐出口側先端部の図1に示した溶液添加部より、クエン酸0.63g/L、クエン酸三ナトリウム6.74g/L、リン酸0.11g/L、ホウ酸9.9g/Lを含む水溶液を0.6L/hrで添加した。ダイスより吐出されたストランド状の溶融状態の含水EVOHをストランドカッターにて切断し、円柱状の含水EVOHペレット(含水率:25質量%)を得た。得られた含水EVOHペレットを熱風乾燥機中80℃で1時間、引き続き120℃で24時間乾燥して、乾燥EVOH樹脂組成物のペレット(EVOH−76)を得た。
〈二軸押出機の仕様詳細〉
口径 30mmφ
L/D 45.5
スクリュー 同方向完全噛合型(スクリューの構成詳細は図1に示す)
スクリュー回転数 300rpm
ダイス 3mmφ、5穴ストランドダイ
引取り速度 5m/min.
<実施例58>
合成例1において、けん化工程に用いるEVAcの15質量%濃度のメタノール溶液に酢酸ビニル101g(EVAcの15%濃度のメタノール溶液に対して400ppm)とクエン酸三ナトリウム27gを添加し、攪拌して均一に溶解した後にアルカリ溶液を添加した以外は合成例1と同様の操作によりけん化、洗浄、造粒、精製を行い含水EVOHペレット(w−EVOH−9)を得た。更に、w−EVOH−1の代わりにw−EVOH−9を用いた以外は実施例1と同様の操作により乾燥EVOH樹脂組成物のペレット(EVOH−77)を得た。
<実施例59>
実施例58において、添加する酢酸ビニルの量を152g(EVAcの15%濃度のメタノール溶液に対して600ppm)に変更した以外は実施例57と同様の操作によりけん化、洗浄、造粒、精製を行い含水EVOHペレット(w−EVOH−10)を得た。更に、w−EVOH−1の代わりにw−EVOH−10を用いる以外は実施例1と同様の操作により乾燥EVOH樹脂組成物のペレット(EVOH−78)を得た。
<比較例20>
合成例1の重合工程において、反応槽に酢酸ビニルとメタノールを仕込む際に、更にクエン酸48gを加えた以外は合成例1と同様の操作により重合、けん化、洗浄、造粒、精製を行い含水EVOHペレット(w−EVOH−11)を得た。更に、w−EVOH−1の代わりにw−EVOH−11を用いた以外は比較例1と同様の操作により乾燥EVOH樹脂組成物のペレット(EVOH−79)を得た。
実施例55〜59及び比較例20にて得られた乾燥EVOH樹脂組成物のペレットEVOH−74〜79について、実施例1と同様にしてエチレン含有量等の分析及び耐着色性等の評価を実施した結果を表13及び表14に示す。
Figure 2014177644
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本発明のEVOH樹脂組成物は、外観特性及びロングラン性に優れ、高温、特に例えば260℃以上といった高温での溶融成形によっても黄変等の着色の発生が抑えることができるため、外観特性の優れた単層又は多層のフィルム、シート、パイプ、容器、繊維などの各種成形品の材料として好適に用いることができる。
1 原料供給部
2、4、6 フルフライトスクリュー部
3、5 逆フライトスクリュー部
7 ベントシリンダー部
8 微量成分添加部
9 温度センサー
10 シリンダバレル
11 吐出口
20 二軸押出機

Claims (18)

  1. (A)エチレン−ビニルアルコール共重合体、
    (B)カルボン酸及び/又はカルボン酸イオン、並びに
    (C)金属イオン
    を含有する樹脂組成物であって、
    上記(B)カルボン酸及び/又はカルボン酸イオンが(B2)ヒドロキシ基を有する多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸イオンを含み、
    上記(B2)ヒドロキシ基を有する多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸イオンの含有量が0.01μmol/g以上20μmol/g以下であり、
    上記(C)金属イオンが(C1)アルカリ金属イオンを含み、
    上記(C1)アルカリ金属イオンに対する(B2)ヒドロキシ基を有する多価カルボン酸及び多価カルボン酸イオンのモル比(B2/C1)が0.002以上2以下であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 上記(B2)ヒドロキシ基を有する多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸イオンにおける少なくとも一対のカルボキシル基同士が、炭素数1又は2の連結基で連結されている請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 上記(B2)ヒドロキシ基を有する多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸イオンが3以上のカルボキシル基を有する請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 上記(C)金属イオンの含有量が2.5μmol/g以上22μmol/g以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 上記(C1)アルカリ金属イオンの含有量が2.5μmol/g以上22μmol/g以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 上記(C)金属イオンが(C2)アルカリ土類金属イオンを含む請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. (D)リン酸化合物をさらに含有し、
    この(D)リン酸化合物の含有量がリン酸根換算で5ppm以上500ppm以下である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. (E)ホウ素化合物をさらに含有し、
    この(E)ホウ素化合物の含有量がホウ素元素換算で5ppm以上2,000ppm以下である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 上記(B)カルボン酸及び/又はカルボン酸イオンとしての(B1)モノカルボン酸及びモノカルボン酸イオンの含有量が2μmol/g未満である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. 上記(B)カルボン酸及び/又はカルボン酸イオンが(B1)モノカルボン酸及び/又はモノカルボン酸イオンをさらに含み、
    この(B1)モノカルボン酸及びモノカルボン酸イオンの含有量が2μmol/g以上である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  11. 共押出成形用である請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  12. エチレンとビニルエステルとを共重合してエチレン−ビニルエステル共重合体を得る共重合工程、及び
    上記エチレン−ビニルエステル共重合体をけん化してエチレン−ビニルアルコール共重合体を得るけん化工程
    を含み、
    上記共重合工程より後に
    上記エチレン−ビニルエステル共重合体又はエチレンビニルアルコール共重合体と(B2’)多価カルボン酸及び/又はその塩とを混合する混合工程
    をさらに含む請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  13. 上記混合工程をビニルエステル濃度が1,000ppm以下の系にて行う請求項12に記載の樹脂組成物の製造方法。
  14. 上記けん化工程で得られたエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む溶液から造粒操作によりエチレン−ビニルアルコール共重合体の含水ペレットを得る造粒工程、及び
    上記含水ペレットを乾燥してエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む樹脂組成物を得る乾燥工程
    をさらに含み、
    上記造粒工程以降に上記混合工程を行う請求項12又は請求項13に記載の樹脂組成物の製造方法。
  15. 上記混合工程として、上記造粒工程と乾燥工程との間で、上記含水ペレットを(B2’)多価カルボン酸及び/又はその塩を含有する溶液に浸漬させる請求項14に記載の樹脂組成物の製造方法。
  16. 上記造粒工程において上記混合工程を行う請求項14に記載の樹脂組成物の製造方法。
  17. 上記けん化工程において上記混合工程を行う請求項12又は請求項13に記載の樹脂組成物の製造方法。
  18. 請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の樹脂組成物から得られる層を少なくとも一層備える多層構造体。

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