JP2014172769A - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents

積層セラミックコンデンサ Download PDF

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【課題】十分な信頼性を持つ積層セラミックコンデンサを提供すること。
【解決手段】(Ba1−xCa(Ti1−yZr)O(0.010≦x≦0.050、0.010≦y≦0.100、0.995≦z≦1.010)を主成分とする粒子を含む誘電体層と内部電極層が交互に積層されたセラミックコンデンサであって、
前記内部電極層と接する前記誘電体層の粒子をA粒子、
前記誘電体層の厚みにおける中央線に接するまたは交わる粒子をB粒子とし、
前記A粒子におけるxが前記B粒子より少なく、前記A粒子におけるzが前記B粒子よりも大きいことを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
【選択図】図1

Description

本発明は、誘電体層と内部電極層とが交互に積層された積層セラミックコンデンサに関する。
電子部品の一例である積層セラミックコンデンサは、たとえば、所定の誘電体磁器組成物からなるセラミックグリーンシートと、所定パターンの内部電極層とを交互に重ね、その後一体化して得られるグリーンチップを、同時焼成して製造される。
一方、電子回路の高密度化に伴う電子部品の小型化に対する要求は高く、積層セラミックコンデンサにおいても小型・大容量化が急速に進んでいる。
このような要求に対して、積層セラミックコンデンサでは、誘電体層を薄くし、積層数を多層にすることで対応してきた。しかしながら、誘電体層厚みを薄くした場合には、厚い場合に比べて誘電体層に強い電界がかかるため、信頼性の確保が課題となる。
このような課題に対して、薄層時に信頼性を確保するための手段として、例えば特許文献1に記載の技術は、特定組成の磁器組成物を用いることで課題を解決している。特定組成の磁器組成物を用いることで、高信頼性を有する積層セラミックコンデンサを実現している。
特開2005―187296号公報
しかしながら、特許文献1のように組成の観点のみからの検討では限界があり、薄層時における信頼性の向上は未だ大きな課題となっている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、薄層時において十分な信頼性を有する積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、積層セラミックコンデンサの誘電体層を組成の異なる誘電体結晶粒子で構成することで、更に高い信頼性が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る積層セラミックコンデンサは、(Ba1−xCa(Ti1−yZr)O(0.010≦x≦0.050、0.01≦y≦0.10、0.995≦z≦1.010)を主成分とする粒子を含む誘電体層と内部電極層が交互に積層されたセラミックコンデンサであって、前記内部電極層と接する前記誘電体層の粒子をA粒子、前記誘電体層の厚みにおける中央線に接するまたは交わる粒子をB粒子とし、前記A粒子におけるxが前記B粒子より少なく、前記A粒子におけるzが前記B粒子よりも大きいことを特徴とする。
更には、前記A粒子におけるxが0.038以上0.040未満であり、zが1.005より大きく1.010以下であって、
前記B粒子におけるxが0.040以上0.042以下であり、zが0.996以上1.005以下であることを特徴とする。
このような構造とすることによって、薄層化時においても十分な信頼性を有する積層セラミックコンデンサとすることができる。
本発明によれば、薄層化時においても十分な信頼性を有する積層セラミックコンデンサを提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。 図2は、本発明の実施形態に係る誘電体層の断面模式図であり、図1の積層セラミックコンデンサの一部を拡大したものである。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明するが、本発明は以下に説明する実施形態のみに限定されない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(積層セラミックコンデンサ)
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成のコンデンサ素子本体10を有する。このコンデンサ素子本体10の両端部には、素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してある。コンデンサ素子本体10の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよい。
内部電極層3は、各端面がコンデンサ素子本体10の対向する両端部の表面に交互に露出するように積層してある。また、一対の外部電極4は、コンデンサ素子本体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
(誘電体層)
誘電体層2は、(Ba1−xCa(Ti1−yZr)O(以下、BCTZとする)で表される主成分で構成されている。このほか、副成分として、希土類(Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選択される少なくとも1種)、アルカリ土類金属(MgおよびMn)、遷移金属(V、W、及び Moから選択される少なくとも1種)の酸化物やその混合物、複合酸化物およびガラスとしてSiOを含んだ焼結助剤等が含まれていてもよい。なお、ここでいう主成分とは、誘電体層2を構成する全成分のうちBCTZ成分が90重量%以上を占めていることを指す。
主成分としてのBCTZは、組成式(Ba1−xCa(Ti1−yZr)Oと表記したときxが0.010≦x≦0.050、yが 0.010≦y≦0.100、zが0.995≦z≦1.010である。
主成分であるBCTZはBa、Ca、Ti、Zrが相互に固溶したペロブスカイト構造を有する。従来、前記誘電体層は均一な組成の主成分により構成されていた。
本実施形態においては、前記誘電体層を構成する誘電体結晶粒子の組成を意図的に制御している。すなわち、(Ba1−xCa(Ti1−yZr)O(0.010≦x≦0.050、0.010≦y≦0.100、0.995≦z≦1.010)を主成分とする粒子を含む誘電体層2の中で、内部電極層3と接する前記粒子をA粒子、誘電体層2の厚みにおける、後述の複数の中点を結ぶことで定義される中央線に接するまたは交わる粒子をB粒子としたとき、A粒子におけるxがB粒子より少なく、A粒子におけるzがB粒子よりも大きくなるように構成されている。
本実施形態においては、上記の誘電体層2を構成は、組成の異なる誘電体結晶粒子で構成されている。図2は、本実施形態に係る誘電体層2の断面の構造について、図1の積層セラミックコンデンサの一部を拡大し、模式的に示した図である。3は内部電極、2は誘電体層をそれぞれ表している。誘電体層2は組成の異なるA粒子(図2の2A)とB粒子(図2の2B)を含んでいる。
誘電体結晶粒子の主成分組成は、たとえば、走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて分析することにより判断することができる。具体的には、まず、図1、図2に示されるような素子本体10の積層方向における任意の断面について、走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて、少なくとも1層の誘電体層2とその誘電体層を挟む1対の内部電極3が視野に入るような倍率(たとえば後述の実施例では倍率5万倍)で5視野観察を行う。そして、図2に示すように、一定間隔で誘電体厚み方向に一視野あたり10本の直線を引く。すなわち合計50本の直線が得られる。
次に、各直線上で、誘電体層2と内部電極3との境界点を求める。素子本体10は、1対の内部電極3が誘電体層2を挟んだ構造になっているため、境界点は1つの直線について2点存在する。この、2点の境界点を結ぶ線分をL(L〜L50)とし、境界点間距離すなわち線分Lの長さを誘電体層厚みとする。
内部電極層3と接しており、かつ各線分L〜L50と交わるまたは接している誘電体粒子をA粒子(2A)とする。さらに、各線分L〜L50それぞれについて中点m(m1〜m50)をとり、中点m−m間、m−m間、・・・とそれぞれの中点を直線で結んでいく。このようにして各視野についてm〜m10、m11〜m20、・・・、m41〜m50までをそれぞれ結んだ線を、中央線(図2のM)とする。中央線Mに接するまたは交わる粒子をB粒子(2B)とする。
上記のようにして求めたA、B各粒子に対して、STEMに付属のエネルギー分散型X線分光装置(EDS)を用いて、点分析を実施する。通常、A粒子、B粒子ともに複数個得られるので、それぞれの平均値をとって組成を求める。
前記A粒子においては、前記B粒子よりもCa/(Ba+Ca)比の低い、すなわちCaの少ない組成とすることで、酸素欠陥が主成分のBCTZのうち(Ti,Zr)サイトにトラップされるため、電圧印加時にA粒子内で酸素欠陥の移動が遅くなり、信頼性の向上につながると考えられる。また、前記A粒子の組成を前記B粒子よりも(Ba+Ca)/(Ti+Zr)比の高い、すなわち(Ba,Ca)サイトリッチの組成とすることで、誘電体層の耐還元性が向上し、A粒子内で酸素欠陥の発生が抑制され、信頼性の向上につながると考えられる。一方、A粒子とB粒子の組成が上記の関係を満たさない場合には、十分な信頼性を有するコンデンサを得ることが出来ない。
前記A粒子におけるCa量がCa/(Ba+Ca)比で0.038以上0.040未満であり、(Ba+Ca)/(Ti+Zr)比が1.005より大きく1.010以下であって、前記B粒子におけるCa量がCa/(Ba+Ca)比で0.040以上0.042以下であり、(Ba+Ca)/(Ti+Zr)比が0.996以上1.005以下であることが好ましい。
このような構造は、例えば後述する積層時に、組成の異なる誘電体グリーンシートを複数枚積層することで得ることができる。
(内部電極層)
内部電極層3に含有される導電材は特に限定されないが、誘電体層2の構成材料が耐還元性を有するため、比較的安価な卑金属を用いることができる。導電材として用いる卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn,Cr,CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。また、内部電極層3は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよい。内部電極層3の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよい。
(外部電極)
外部電極4に含有される導電材は特に限定されないが、本発明では安価なNi,Cuや、これらの合金を用いることができる。外部電極4の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよい。
(積層セラミックコンデンサの製造方法)
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、従来の積層セラミックコンデンサと同様に、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成した後、外部電極を印刷または転写して焼成することにより製造される。以下、製造方法について具体的に説明する。
まず、誘電体層用ペーストに含まれる誘電体原料(誘電体磁器組成物粉末)を準備し、これを塗料化して、誘電体層用ペーストを調製する。
誘電体層用ペーストは、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料である。
誘電体原料としては、上記した主成分に加え、副成分として、希土類(Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選択される少なくとも1種)、アルカリ土類金属(MgおよびMn)、遷移金属(V、W、及びMoから選択される少なくとも1種)の酸化物やその混合物、複合酸化物およびガラスとしてSiOを含んだ焼結助剤等を用いることができる。誘電体原料中の各化合物の含有量は、焼成後に上記した誘電体層の組成となるように決定すればよい。塗料化する前の状態で、誘電体原料は、通常平均粒径0.05〜0.3μm程度である。
誘電体原料のうち主成分としてのBCTZ粉末は、いわゆる固相法の他、各種液相法(たとえば、シュウ酸塩法、水熱合成法、アルコキシド法、ゾルゲル法など)により製造されたものなど、種々の方法で製造されたものを用いることができる。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。用いる有機溶剤も特に限定されず、アセトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すればよい。
内部電極層用ペーストは、上記した各種導電性金属や合金からなる導電材と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製する。
外部電極用ペーストは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
次に、グリーンチップを作製する。グリーンチップの作製に際してシート法を用いる場合は、誘電体層用ペーストを用いてグリーンシートを形成するが、Ca/(Ba+Ca)比と(Ba+Ca)/(Ti+Zr)比の異なる主成分の誘電体層用ペーストを用いた2種類の誘電体グリーンシートを予め積層し、この上に内部電極層用ペーストを印刷した後、これらを更に積層して切断・個片化し、誘電体層内で主成分の組成が積層方向に層状に異なる構造となるグリーンチップとする。
また、誘電体層内で主成分の組成が積層方向に層状に異なる構造となるグリーンチップの作製方法に関しては上記シート法に限られず、スピンコートによって2種類の誘電体材料を交互に形成する方法、スラリー状の2種類の誘電体材料をスプレー塗布によって交互に形成する方法、などを用いても良い。
このようにして得られたグリーンチップに脱バインダ処理を施す。脱バインダ条件としては、昇温速度を好ましくは5〜300℃/時間、保持温度を好ましくは180〜400℃、温度保持時間を好ましくは0.1〜24時間とする。また、脱バインダ雰囲気は、空気もしくは還元性雰囲気とする。
次に、グリーンチップの焼成を行う。焼成は還元性雰囲気とすることが好ましく、雰囲気ガスとしてはたとえば、NとHとの混合ガスを加湿して用いることができる。昇温速度および降温速度は、50〜5000℃/時間が好ましい。また、保持温度は、好ましくは1000〜1300℃であり、保持時間は、好ましくは0.5〜90時間である。保持温度が上記範囲未満であると緻密化が不十分となる場合があり、前記範囲を超えると、誘電体粒子の異常粒成長を招きやすくなるほか、内部電極層の異常焼結による電極の途切れや、内部電極層構成材料の拡散による容量温度特性の悪化、誘電体磁器組成物の還元が生じやすくなる。焼成時の酸素分圧は、内部電極層用ペースト中の導電材の種類に応じて適宜決定されればよいが、導電材としてNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、10−10〜10−3Paとすることが好ましい。酸素分圧が上記範囲未満であると、内部電極層の導電材が異常焼結を起こしやすく、途切れてしまうことがある。また、酸素分圧が前記範囲を超えると、内部電極層が酸化する傾向にある。
焼成後、さらにアニールを施すことが好ましい。アニールは、誘電体層を再酸化するための処理であり、これにより信頼性が向上する。
アニール時の酸素分圧は、10−5〜100Paとすることが好ましい。酸素分圧が前記範囲未満であると誘電体層の再酸化が困難であり、前記範囲を超えると内部電極層の酸化が進行する傾向にある。
アニールの際の保持温度は、500〜1100℃とすることが好ましい。保持温度が上記範囲未満であると誘電体層の酸化が不十分となるので、絶縁抵抗が低く、また、高温負荷寿命が短くなりやすい。一方、保持温度が前記範囲を超えると、内部電極層が酸化して容量が低下する場合がある。
保持時間は、2〜30時間が好ましい。また、雰囲気ガスとしては、加湿したNガス等を用いて不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。
上記した脱バインダ処理、焼成およびアニールにおいて、Nガスや混合ガス等を加湿するには、たとえばウェッター等を使用すればよい。この場合、水温は5〜75℃程度が好ましい。
脱バインダ処理、焼成およびアニールは、連続して行なっても、独立して行なってもよい。
上記のようにして得られたコンデンサ素子本体10に、例えばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、外部電極用ペーストを塗布して焼成し、外部電極4を形成する。そして、必要に応じ、外部電極4表面に、めっき等により被覆層を形成する。
このようにして製造された本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
また、上述の実施形態では、誘電体層内に組成の異なる層状の構造を設けるにあたり、2種類のグリーンシートを積層する方法を一例として挙げたが、この他に例えば、3種類もしくはそれ以上のグリーンシートを積層する方法や、Ca/(Ba+Ca)比と(Ba+Ca)/(Ti+Zr)比の異なる2種類のスパッタリングターゲットを用意し、交互にスパッタリング形成する方法でもよい。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
<実施例1> (コンデンサ試料の作製)
まず、主成分として(Ba0.961Ca0.0391.005(Ti0.940Zr0.060)Oの組成比に調整したBCTZ粉末100モルに対し、副成分としてYを0.5モル、MgOを0.3モル、MnOを0.1モル、Vを0.1モル、SiOを1.5モルとを混合し、誘電体原料を得た。この誘電体原料100重量部に対して、ポリビニルブチラール樹脂:10重量部と、可塑剤としてのジブチルフタレート(DOP):5重量部と、溶媒としてのアルコール:100重量部とをボールミルで混合してペースト化し、誘電体層用ペースト(ペーストA)を得た。
また、上記とは別に、主成分として(Ba0.960Ca0.0400.995(Ti0.940Zr0.060)Oの組成比に調整したBCTZ粉末100モルに対し、副成分としてYを0.5モル、MgOを0.3モル、MnOを0.1モル、Vを0.1モル、SiOを1.5モルとを混合し、誘電体原料を得た。この誘電体原料100重量部に対して、ポリビニルブチラール樹脂:10重量部と、可塑剤としてのジブチルフタレート(DOP):5重量部と、溶媒としてのアルコール:100重量部とをボールミルで混合してペースト化し、誘電体層用ペースト(ペーストB)を得た。
さらに、上記とは別にNi粒子:44.6重量部と、テルピネオール:52重量部と、エチルセルロース:3重量部と、ベンゾトリアゾール:0.4重量部とを、3本ロールにより混練し、ペースト化して、内部電極層用ペーストを作製した。
そして、上記にて作製した誘電体層用ペーストA、Bを用いて、PETフィルム上に、乾燥後の厚みがそれぞれ0.5μmとなるようにグリーンシート(それぞれ、グリーンシートA、B)を形成した。
次いで、グリーンシートA上に内部電極層用ペーストを用いて、内部電極層を所定パターンで印刷した後、PETフィルムからシートを剥離し、次いでグリーンシートB上に積層し、加圧接着した。
更にその後、上述の加圧接着されたグリーンシートAとグリーンシートBからなる複合グリーンシート(A/B)をPETフィルムより剥離し、グリーンシートBのPETフィルム面との剥離面側、すなわちグリーンシートAが積層されていない面側に、別のグリーンシートAを積層し、加圧接着した。このようにして、一方のグリーンシートA側に内部電極層のパターンが印刷された複合グリーンシート(A/B/A)を作製した。この複合グリーンシート(A/B/A)を複数枚更に積層し、加圧接着することでグリーン積層体とし、このグリーン積層体を所定のサイズに切断することにより、グリーンチップを得た。
次いで、得られたグリーンチップについて、脱バインダ処理、焼成およびアニールを下記条件にて行って、積層セラミック焼成体を得た。脱バインダ処理条件は、昇温速度:25℃/時間、保持温度:260℃、温度保持時間:8時間、雰囲気:空気中とした。焼成条件は、焼成温度(保持温度):1140℃、温度保持時間:30時間、雰囲気ガス:加湿したNと0.5%Hとの混合ガス(酸素分圧が10−6〜10−8Paとなるようにした)とした。アニール条件は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:950℃、温度保持時間:2時間、降温速度:200℃/時間、雰囲気ガス:加湿したNガス(酸素分圧:1Pa)とした。なお、焼成およびアニールの際の雰囲気ガスの加湿には、ウェッターを用いた。
次いで、得られた積層セラミック焼成体の端面をサンドブラストにて研磨した後、外部電極としてIn−Ga合金を塗布し、積層セラミックコンデンサの試料を得た。得られたコンデンサ試料のサイズは、3.2mm×1.6mm×0.5mmであり、誘電体層の厚み1.0μm、内部電極層の厚み1.2μm、内部電極層に挟まれた誘電体層の数は10とした。
<実施例2>
(コンデンサ試料の作製)
(Ba0.961Ca0.0391.005(Ti0.940Zr0.060)Oの組成を有するスパッタリングターゲット(ターゲットAとする)、および、(Ba0.960Ca0.0400.995(Ti0.940Zr0.060)Oの組成を有するスパッタリングターゲット(ターゲットBとする)を準備し、減圧雰囲気中で300℃に加熱した3.2mm×1.6mm×0.5mmのサイズのMgO基板にターゲットAを用いて10μmの誘電体薄膜を蒸着した。次いで積層セラミックコンデンサの内部電極のパターンを模したマスクを用いて0.9μmのPt電極を蒸着後、マスクを取り外した。この上に、ターゲットAを用いて0.3μmの誘電体薄膜を、さらにその上にターゲットBを用いて0.3μmの誘電体薄膜を、それぞれ蒸着した後、再度その上にターゲットAを用いて0.3μmの誘電体薄膜を蒸着した。これを誘電体層の1層分として、10層分を繰り返し蒸着形成し、最後にターゲットAを用いて5.0μmの誘電体薄膜を蒸着し、積層体を得た。得られた積層体に対して、大気圧雰囲気下500℃で5時間の焼きなましを実施した後、外部電極としてPtを端面に蒸着し、MgO基板上に積層セラミックコンデンサ試料を作製した。
上記の実施例1、2のようにして得られたコンデンサ試料の比誘電率を測定した。測定条件は0.5Vrms/μm、1000Hzとした。このうち、比誘電率の標準偏差を平均値で除して求めた変動係数が5%以内のものを各実施例20個ずつ抽出した。これらの抽出したコンデンサ試料の比誘電率の平均を求めたものを表1に示す。また、これらのコンデンサ試料について、積層方向の誘電体層の組成、平均故障時間をそれぞれ下記に示す方法で測定した。
(誘電体層の組成の評価)
走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて、コンデンサ試料を積層方向に切断した断面を観察し、少なくとも1層の誘電体層とその誘電体層を挟む1対の内部電極が視野に入るよう調整した。本実施例では倍率5万倍にて5視野観察を行った。そして、上述の実施形態の方法にて求めたA粒子およびB粒子に対して、STEMに付属のエネルギー分散型X線分光装置(EDS)を用いて、点分析を実施した。A粒子、B粒子ともに複数個得られたため、それぞれの平均値をとって組成を求めた。分析結果の組成を表1に示した。
(平均故障時間 MTTF)
信頼性評価として、コンデンサ試料に対し、160℃にて、6.3V/μmの直流電界に保持し、高温加速寿命を測定した。本実施例においては、20個のコンデンサ試料について電圧印加開始から絶縁抵抗が一桁落ちるまでの時間を故障時間とし、これをワイブル解析することによりMTTFを算出した。MTTFが25時間以上のものを良好と判断した。結果を表1に示す。
<実施例3〜8、比較例1〜17>
グリーンシートA、Bに用いる主成分としてのBCTZ粉末の組成比を様々に変えることで、A粒子およびB粒子の組成を変更した。他は実施例1と同様にして、コンデンサ試料を作製および測定した。結果を表1に示す。
Figure 2014172769
表1において、A粒子の(Ba1−xCa(Ti1−yZr)Oの組成比とB粒子の(Ba1−xCa(Ti1−yZr)Oの組成比の関係が本発明の範囲内である実施例1に対して、本発明の範囲外となる比較例1〜5は高温負荷寿命が悪化し、25時間を下回る。実施例1に対して製法を変更して作成した実施例2は実施例1と同等の結果が得られた。
実施例1よりCaの組成比を少なくした場合においても、本発明の範囲内である実施例3に対して、比較例6〜10は高温負荷寿命が25時間よりも悪化する結果が得られた。なお、実施例1は実施例3に対してMTTFがより長く、薄層時でも信頼性の高い高容量の積層セラミックコンデンサを実現するのにより好ましいといえる。
実施例1よりCaの組成比を多くした場合においても、本発明の範囲内である実施例4に対して、比較例11〜15は高温負荷寿命が25時間よりも悪化する結果が得られた。なお、実施例4に対して実施例1はMTTFがより長く、薄層時でも信頼性の高い高容量の積層セラミックコンデンサを実現するのにより好ましいといえる。
実施例1とZrの組成を変えた場合においても、本発明の範囲内である実施例5、6に示す試料は実施例1と同等の高温負荷寿命を示した。一方、本発明の範囲外である比較例16、17は高温負荷寿命が25時間よりも悪化した。
実施例1に対して(Ba+Ca)/(Ti+Zr)比を変えた実施例7、8に示す試料においても、実施例1と同様の結果が得られた。
以上のように、本発明に係る積層セラミックコンデンサは、比誘電率や信頼性が高く、PC、小型携帯機器などに用いられる小型の電子部品素子として有用である。
1 積層セラミックコンデンサ
2 誘電体層
2A 誘電体結晶A粒子
2B 誘電体結晶B粒子
3 内部電極層
4 外部電極
10 コンデンサ素子本体

Claims (2)

  1. (Ba1−xCa(Ti1−yZr)O(0.010≦x≦0.050、0.010≦y≦0.100、0.995≦z≦1.010)を主成分とする粒子を含む誘電体層と内部電極層が交互に積層されたセラミックコンデンサであって、
    前記内部電極層と接する前記誘電体層の粒子をA粒子、
    前記誘電体層の厚みにおける中央線に接するまたは交わる粒子をB粒子とし、
    前記A粒子におけるxが前記B粒子より少なく、前記A粒子におけるzが前記B粒子よりも大きいことを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
  2. 前記A粒子におけるxが0.038以上0.040未満であり、zが1.005より大きく1.010以下であって、
    前記B粒子におけるxが0.040以上0.042以下であり、zが0.996以上1.005以下であることを特徴とする、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
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