JP2014170702A - 珪素含有粒子、非水電解質二次電池の負極材、および、非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 非水電解質二次電池の負極活物質に使われる珪素含有粒子であって、X線回折パターンの分析において2θ=28.4°付近のSi(111)に帰属される回折線の半値全幅よりシェラー法(Scherrer法)で求められる結晶粒子径が300nm以下であり、真密度が2.320g/cm3より高く3.500g/cm3未満であることを特徴とする珪素含有粒子。
【選択図】 なし
Description
また、特許文献2では、単結晶珪素、多結晶珪素及び非晶質珪素のLixSi(但し、xは0〜5)からなるリチウム合金を使用したリチウムイオン二次電池を開示しており、特に非晶質珪素を用いたLixSiが好ましく、モノシランをプラズマ分解した非晶質珪素で被覆した結晶性珪素の粉砕物が例示されている。
しかしながら、この場合においては、その実施例にあるように負極材に占める珪素の割合が30質量%と珪素を少量使用しているにもかかわらず、黒鉛系の様に数千回レベルでのサイクル安定性を示さず、実用に供されることがなかった。
この集電体に直接珪素を気相成長させる方法において、成長方向を制御することで体積膨張によるサイクル特性の低下を抑制する方法も開示されている(特許文献6参照)。この方法によればサイクル特性の改良が達成されるものの、電極の生産速度が限られるためコストが高く、また珪素薄膜の厚膜化が困難であり、更に負極集電体である銅が珪素中に拡散するという問題があった。
このように、珪素含有粒子の粒子径を、体積平均値D50で、1μm以上とすることで、嵩密度が低下することに起因して、単位体積あたりの充放電容量が低下する危険性を低くすることができる。
また、珪素含有粒子の粒子径を、体積平均値D50で、20μm以下とすることで、珪素含有粒子が負極膜を貫通してショートする原因となるおそれを最小限に抑えることができるとともに、電極の形成が難しくなることもなく、負極と接している集電体からの剥離の可能性を十分に低くすることができるので、電極の形成が容易になる。
珪素含有粒子の粒子径の体積平均値D50と、珪素含有粒子の結晶粒子径との関係が上記のようであれば、珪素含有粒子の微粒子化による体積膨張の緩和効果が得られる。
このような元素グループから選択される一種又は二種以上の元素を含有するものであれば、体積抵抗率を低くすることができるので、電子伝導性に優れた非水電解質二次電池の負極を形成することができる。
このように、上述した珪素含有粒子を、非水電解質二次電池の負極活物質として、非水電解質二次電池の負極材に用いることで、高容量で長寿命な非水電解質二次電池を安価で提供できる。
このように、黒鉛を導電剤としてさらに含むことで、非水電解質二次電池の負極材の導電性を保持することができる。
このように、非水電解質二次電池が、上述した非水電解質二次電池の負極材からなる負極成型体を具備することで、高容量で長寿命の非水電解質二次電池が得られる。
上述した非水電解質二次電池の負極材からなる負極成型体は、非水電解質がリチウムイオンを含んでいるリチウムイオン二次電池に、好適に用いることができる。
前述のように、珪素を活物質として利用するために、種々の結晶構造を持つ金属珪素や珪素合金が従来提案されているが、いずれも黒鉛並みのサイクル安定性を示すことはなく、また、安価に大量合成が可能な製造方法を提案できていなかった。
その結果、非水電解質二次電池用負極活物質用の珪素含有粒子として、結晶粒径がX線回折パターンの分析において2θ=28.4°付近のSi(111)に帰属される回折線の半値全幅よりシェラー法(Scherrer法)で求められる値が300nm以下であり、真密度が2.320g/cm3より高く3.500g/cm3未満である珪素含有粒子を用いることで、900〜3000mAh/gという高い電池容量を示すとともに、クーロン効率が高く、黒鉛材料との混合使用においてもサイクル安定性に優れていることを見出し、本発明をなすに至った。
このような珪素含有粒子であれば、非水電解質を用いる二次電池用の負極活物質に用いた場合、充放電時の体積変化が抑制されて結晶粒界での応力が緩和されるため、珪素の高い初期効率と電池容量が維持される。
また、一般的に体積膨張の少ない黒鉛系材料との混合使用に於いても珪素粒子のみが大きく体積膨張を起こさないことから、黒鉛材料と珪素粒子の分離が小さく、サイクル特性に優れた非水電解質二次電池が得られる。
X線回折装置としては、BRUKER AXS社製のD8 ADVANCEを使用できる。X線源はCu Kα線、Niフィルターを使用して、出力40kv/40mA、スリット幅0.3°、ステップ幅0.0164°、1ステップあたり1秒の計数時間にて10−90°まで測定する。測定後のデータ処理は強度比0.5にてKα2線を除去して、スムージング処理を行ったもので比較する。この測定によって、10−60°の範囲を詳細に観察すると、ダイヤモンド構造のSi(111)に帰属される28.4°の回折線、Si(220)に帰属される47.2°の回折線、Si(311)に帰属される56.0°の回折線の3本のシグナルが強度大で鋭いシグナルとして観測される。
なお、乾式密度計の測定条件は、例えば、以下のとおりである。
乾式密度計としては株式会社島津製作所製のアキュピックII1340を使用することができる。使用するパージガスはヘリウムガスとし、温度23℃に設定したサンプルホルダー内にて、200回のパージを繰り返した後、測定を行った。
添加する元素としては、蒸気圧と効果の点において、ホウ素、アルミニウム、リン、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ヒ素、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、インジウム、タンタル、タングステン、ガリウムから選択される一種又は二種以上の元素とすることが特に好ましい。
このような元素の添加量は必要に応じて添加され、概ね50質量%以下であれば良いが、好ましくは0.001〜30質量%であり、さらに0.01〜10質量%であることがより好ましい。0.01質量%以上であれば体積抵抗率が確実に低下し、一方、10質量%以下であれば添加元素の偏析が生じにくく、より体積膨張の増加を防止できる。
D50を1μm以上とすることによって、嵩密度が低下し、単位体積あたりの充放電容量が低下する危険性を極力低くすることができる。
また、D50を20μm以下とすることによって、負極膜を貫通してショートする原因となるおそれを最小限に抑えることができるとともに、電極の形成が難しくなることもなく、集電体からの剥離の可能性を十分に低いものとすることができる。
特に、真空蒸着法のような気相蒸着法によって析出した珪素含有合金であれば、添加する金属種に寄らず結晶粒子径をアモルファス状態から多結晶状態に任意に制御することが可能であり、有用な方法である。
そして粉砕は、湿式、乾式共に用いることができる。
乾式分級は、主として気流を用い、分散、分離(細粒子と粗粒子の分離)、捕集(固体と気体の分離)、排出のプロセスが逐次もしくは同時に行われる。粒子相互間の干渉、粒子の形状、気流の流れの乱れ、速度分布、静電気の影響などで分級効率を低下させないように、分級をする前に前処理(水分、分散性、湿度などの調整)を行うか、使用される気流の水分や酸素濃度を調整して行うことができる。
また、乾式で分級機が一体となっているタイプでは、一度に粉砕、分級が行われ、所望の粒度分布とすることが可能となる。
この導電剤の添加量・配合量を上記範囲とすることによって、負極材の導電性が乏しくなって、初期抵抗が高くなることを確実に抑制することができる。
このような非水電解質二次電池用負極材を含む負極は、充放電での体積変化が従来の珪素含有粒子に比べて大幅に小さい本発明の非水電解質二次電池用負極活物質用の珪素含有粒子からなる負極活物質から主に構成されており、充電前後の膜厚変化が3倍(特には2.5倍)を超えないものとなっている。
この場合、非水電解質二次電池は、上記負極成型体を用いる点に特徴を有し、その他の正極(成型体)、セパレーター、電解液、非水電解質などの材料及び電池形状などは特に限定されない。
具体的には、TiS2、MoS2、NbS2、ZrS2、VS2あるいはV2O5、MoO3及びMg(V3O8)2等のリチウムを含有しない金属硫化物もしくは酸化物、又はリチウム及びリチウムを含有するリチウム複合酸化物が挙げられ、また、NbSe2等の複合金属、オリビン酸鉄も挙げられる。中でも、エネルギー密度を高くするには、LipMetO2を主体とするリチウム複合酸化物が望ましい。なお、Metは、コバルト、ニッケル、鉄及びマンガンのうちの少なくとも1種が良く、pは、通常、0.05≦p≦1.10の範囲内の値である。このようなリチウム複合酸化物の具体例としては、層構造を持つLiCoO2、LiNiO2、LiFeO2、LiqNirCo1−rO2(但し、q及びrの値は電池の充放電状態によって異なり、通常、0<q<1、0.7<r≦1)、スピネル構造のLiMn2O4及び斜方晶LiMnO2が挙げられる。更に高電圧対応型として置換スピネルマンガン化合物としてLiMetsMn1−sO4(0<s<1)も使用されており、この場合のMetはチタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛等が挙げられる。
一般にエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性高誘電率溶媒や、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,3−ジオキソラン、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、メチルアセテート等の酢酸エステル類あるいはプロピオン酸エステル類等の非プロトン性低粘度溶媒が挙げられる。これらの非プロトン性高誘電率溶媒と非プロトン性低粘度溶媒を適当な混合比で併用することが望ましい。
更には、イミダゾリウム、アンモニウム、及びピリジニウム型のカチオンを用いたイオン液体を使用することができる。対アニオンは特に限定されるものではないが、BF4 −、PF6 −、(CF3SO2)2N−等が挙げられる。イオン液体は前述の非水電解液溶媒と混合して使用することが可能である。
軽金属塩にはリチウム塩、ナトリウム塩、あるいはカリウム塩等のアルカリ金属塩、又はマグネシウム塩あるいはカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、又はアルミニウム塩などがあり、目的に応じて1種又は複数種が選択される。例えば、リチウム塩であれば、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、CF3SO3Li、(CF3SO2)2NLi、C4F9SO3Li、CF3CO2Li、(CF3CO2)2NLi、C6F5SO3Li、C8F17SO3Li、(C2F5SO2)2NLi、(C4F9SO2)(CF3SO2)NLi、(FSO2C6F4)(CF3SO2)NLi、((CF3)2CHOSO2)2NLi、(CF3SO2)3CLi、(3,5−(CF3)2C6F3)4BLi、LiCF3、LiAlCl4あるいはC4BO8Liが挙げられ、これらのうちのいずれか1種又は2種以上が混合して用いられる。
例えば、サイクル寿命の向上を目的としたビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、4−ビニルエチレンカーボネート等や、過充電防止を目的としたビフェニル、アルキルビフェニル、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、ジフェニルエーテル、ベンゾフラン等や、脱酸や脱水を目的とした各種カーボネート化合物、各種カルボン酸無水物、各種含窒素及び含硫黄化合物が挙げられる。
なお、下記の例において体積抵抗率は四探針式体積抵抗率計(三菱化学株式会社製MCP−PD51)により測定し、12kN荷重時の値を示した。また、累積体積50%径D50はレーザー光回折式粒度分布測定機(日機装株式会社製MT3300EX II)により湿式法にて測定した。元素分析はICPAES(アジレント・テクノロジー製Agilent730)を用いて絶対検量線法による分析を行った。
油拡散ポンプ、メカニカルブースターポンプおよび油回転真空ポンプからなる排気装置を有した真空チャンバー内部に、厚さ5mmのカーボン製ハースライナーを有する多点銅坩堝を設置し、金属珪素塊及び添加元素を投入してチャンバー内を減圧とした。2時間後の到達圧力は2×10−4Paであった。
なお、実施例1においては、添加元素としてGeを使い、実施例2においては、添加元素としてAlを使い、実施例3においては、添加元素としてCoを使い、実施例4においては、添加元素としてTiを使い、実施例5においては、添加元素としてCo、Geを使った。
次に、チャンバーに設置した偏向型電子銃によって徐々に出力を上げながら溶解を完結した後、出力10kW、出力密度1.2kW/cm2にて蒸着を2時間継続した。蒸着中、ステンレスからなる蒸着基板の温度を600℃に制御した。チャンバーを開放して蒸着珪素塊を得た。
比較例1、2および3はそれぞれ太陽電池用シリコン(REC社製)、半導体用シリコン(REC社製)、ケミカル用シリコン(SIMCOA社製)をロールクラッシャーミルおよびジェットミルを用いて粉砕・分級し、珪素含有粒子を得た。
また、比較例4は、実施例1と同様にして珪素含有粒子を得た。ただし、添加元素として、Mn、Co、Geを使った。
実施例1−5、比較例1−4の珪素含有粒子について、負極活物質としての有用性を確認するため、電池特性の評価を行った。
負極活物質として実施例1−5および比較例1−4の珪素含有粒子を15質量%と、導電剤として人造黒鉛(平均粒子径D50=10μm)を79.5%と、CMC(カルボキシメチルセルロース)粉を1.5質量%混合した。これにアセチレンブラックの水分散物(固形分17.5%)を固形分換算で2.5質量%とSBR(スチレン−ブタジエンラバー)の水分散物(固形分40%)を固形分換算で1.5質量%を加え、イオン交換水で希釈してスラリーとした。
そして作製したリチウムイオン二次電池を一晩室温でエージングし、この内2個を解体して、負極の厚み測定を行い、電解液膨潤状態での初期重量に基づく電極密度を算出した。なお、電解液及び充電によるリチウム増加量は含まないものとした。
得られた負極成型体のサイクル特性を評価するために、実施例1−5、比較例1−4の負極活物質から作製した負極成型体を準備した。正極材料としてLiCoO2を正極活物質、集電体としてアルミ箔を用いた単層シート(パイオニクス(株)製、商品名;ピオクセル C−100)を用いて、正極成型体を作製した。非水電解質には六フッ化リン酸リチウムをエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの1/1(体積比)混合液に1mol/Lの濃度で溶解した非水電解質溶液を用い、セパレーターに厚さ30μmのポリエチレン製微多孔質フィルムを用いたコイン型リチウムイオン二次電池を作製した。
実施例1−5、比較例1−4の珪素含有粒子について、負極活物質としての有用性を確認するため、電池特性の評価を行った。
負極活物質として実施例1−5および比較例1−4の珪素含有粒子を15質量%と、導電剤として人造黒鉛(平均粒子径D50=10μm)を79.5質量%と、CMC(カルボキシメチルセルロース)粉を1.5質量%混合した。これにアセチレンブラックの水分散物(固形分17.5%)を固形分換算で2.5質量%とSBR(スチレン−ブタジエンラバー)の水分散物(固形分40%)を固形分換算で1.5質量%を加え、イオン交換水で希釈してスラリーとした。
Claims (8)
- 非水電解質二次電池の負極活物質に使われる珪素含有粒子であって、
X線回折パターンの分析において2θ=28.4°付近のSi(111)に帰属される回折線の半値全幅よりシェラー法(Scherrer法)で求められる結晶粒子径が300nm以下であり、
真密度が2.320g/cm3より高く3.500g/cm3未満であることを特徴とする珪素含有粒子。 - 粒子径の体積平均値D50が1μm以上、20μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の珪素含有粒子。
- 粒子径の体積平均値D50を前記結晶粒子径で割った値が1以上、5000以下であることを特徴とする請求項1に記載の珪素含有粒子。
- 前記珪素含有粒子は、ホウ素、アルミニウム、リン、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ヒ素、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、インジウム、タンタル、タングステン、ガリウムから選択される一種又は二種以上の元素を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の珪素含有粒子。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の珪素含有粒子を、非水電解質二次電池の負極活物質として含むことを特徴とする非水電解質二次電池の負極材。
- 黒鉛を、導電剤としてさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の非水電解質二次電池の負極材。
- 請求項5又は請求項6に記載の非水電解質二次電池用負極材からなる負極成型体と、
正極成型体と、
前記負極成型体と、前記正極成型体とを分離するセパレーターと、
非水電解質と、
を具備するものであることを特徴とする非水電解質二次電池。 - 前記非水電解質がリチウムイオンを含むものであることを特徴とする請求項7記載の非水電解質二次電池。
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