JP2017174649A - リチウムイオン二次電池負極用酸化鉄粉体、その製造方法およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池負極用酸化鉄粉体、その製造方法およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高エネルギー密度および高サイクル特性を有するリチウムイオン二次電池負極用酸化鉄粉体を提供する。【解決手段】平均一次粒子径が10〜100nmの酸化鉄微粒子の凝集体から成り、当該凝集体は板状構造を有し且つその板状構造の平面内に凸部構造を含む酸化鉄粉体。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池負極用酸化鉄粉体、その製造方法およびリチウムイオン二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池は、他の二次電池に比べ、小型且つ高エネルギー密度を有し、携帯電話やノートパソコン、電動工具、電気自動車などの幅広い分野で使用されている。用途の広がりに伴い、リチウムイオン二次電池の更なる小型化および高エネルギー密度化が求められており、「正極材」、「負極材」、「電解液」及び「セパレーター」の主要構成材料について様々に検討されている。中でも高い理論容量を有する「負極材」の実用化による高エネルギー密度化は緊急の課題となっている。
現在、主流のリチウムイオン二次電池の負極材としては黒鉛などの炭素系材料がある。炭素系負極材料では、充放電時にリチウムイオンの炭素結晶構造中へのトポケミカル的なインターカレーション・デインターカレーション反応が利用されている。依って、充放電を繰り返すサイクル特性が安定しているのが特長である。しかしながら、設計容量が理論容量にほぼ達しているため、炭素系材料での更なる高エネルギー密度化は困難とされている。
二次電池の更なる高エネルギー密度化に伴い、負極活物質として安価で環境負荷が小さい酸化鉄微粒子が検討されている。酸化鉄微粒子では充放電時にリチウムイオンとのコンバージョン(分解・再生型)反応が生じているが、反応に伴う負極活物質体積の膨張と収縮が激しく、電極活物質の亀裂を生じさせ、二次電池のサイクル特性に悪影響を及ぼすと言われている。そのため、異なる一次粒子径や異なる表面性を有する種々の酸化鉄微粒子が負極材として検討されている(非特許参考文献1、2)。
特許文献1では、原料の鉄化合物を含む溶媒中にマイクロ波を照射することにより、平均(一次)粒子径が1〜10nmであり、粒度分布の狭い酸化鉄超微粒子を得て、当該酸化鉄超微粒子からなるリチウム電池用活物質を提案している。また、特許文献2では、活物質に平均粒子径が300〜500nmのα−ヘマタイトを使用し、バインダにその一部がイミド化したポリアミック酸を使用すると共に、電極中においてバインダ成分が濃度勾配を持つように調整した負極構造を提案している。一方、特許文献3で提案されている板状や鱗片状といった二次元的に広がった形状の酸化鉄は古くから知られている。
P.Poizot、等、Nature、2000年、407巻、頁496−499. W.M.Zhang、等、Adv.Funct.Mater.、2008年、18巻、3941−3946.
特開2008−204777号公報 特許第5648860号 特公昭57−49667号公報
リチウムイオン二次電池用の負極活物質粒子粉体として前記諸特性を向上させた酸化鉄粉体について、現在最も要求されているところであるが、未だ確立されていない。
即ち、特許文献1の場合、前記酸化鉄微粒子を使用することで電極作製時に必要なバインダや導電助剤の量が多くなってしまい、結果、負極としての高エネルギー密度化に課題が残っている。
特許文献2の場合、電極塗料を塗布後、バインダの自然沈降によって、電極シートのバインダ量が粗密となる電極膜から高エネルギー密度が得られるとは言い難い。
特許文献3の場合、通常、板状、或いは鱗片状の酸化鉄を水溶液中で作製するには、水熱反応容器での高温反応が必要であり、一次粒子が発達した酸化鉄粉体が得られる。そのため、負極活物質として適応させても、高エネルギー密度の二次電池が得られるとは言い難い。
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、高エネルギー密度化とサイクル特性の向上を同時に達成しうる非水電解質のリチウムイオン二次電池用負極活物質として使用される、リチウムイオン二次電池負極用酸化鉄粉体、その製造方法およびリチウムイオン二次電池を提供することにある。
前記の技術的課題は次の本発明(1)〜(6)によって達成できる。
(1)平均一次粒子径が10〜100nmの酸化鉄微粒子の凝集体から成り、当該凝集体は板状構造を有し且つその板状構造の平面内に凸部構造を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池負極用酸化鉄粉体(本発明1)。
(2)前記酸化鉄微粒子が、α−ヘマタイト、γ−マグヘマイト、マグネタイトのうち1種類以上を含む本発明1記載の酸化鉄粉体(本発明2)。
(3)不純物元素のアルカリ金属およびアルカリ土類金属が各々500〜5000ppmである本発明1又は2記載の酸化鉄粉体(本発明3)。
(4)酸化鉄微粒子あるいはオキシ水酸化鉄微粒子の分散スラリーに鉄元素を含まない無機粉体を添加した後、溶媒を除去して板状構造と凸部構造を含む混合粉体を作製する第一工程、該混合粉体から焼成粉体を作製する第二工程、該焼成粉体から酸化鉄以外の無機粉体を取り除く第三工程を含むことを特徴とする本発明1〜3のいずれかに記載の酸化鉄粉体の製造方法。(本発明4)。
(5)酸化鉄微粒子またはオキシ水酸化鉄微粒子が、球形状であり、α−ヘマタイト、γ−マグヘマイト、マグネタイト、α−FeO(OH),β−FeO(OH)のうち1種類以上を含む本発明4記載の酸化鉄粉体の製造方法(本発明5)。
(6)本発明1〜3のいずれかに記載の酸化鉄粉体を負極活物質として含む非水電解質二次電池(本発明6)。
本発明に係る酸化鉄粉体(酸化鉄微粒子の凝集体)は、板状構造を有し且つその板状構造の平面内に凸部構造を含むことを特徴としているため、スタッキングすることなく適度な電極密度を保つことが出来、且つ充放電に伴う膨張と収縮に伴う導電性パスの切断を防ぐことで、高エネルギー密度と高サイクル特性を同時に達成することが出来る。
実施例3で得られた酸化鉄粉体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率50,000倍) 実施例3で得られた酸化鉄粉体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率10,000倍) 比較例1で得られた酸化鉄粉体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率50,000倍) 比較例1で得られた酸化鉄粉体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率10,000倍)
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に係るリチウムイオン二次電池負極用酸化鉄粉体(以下、「負極用酸化鉄粉体」と称する)は、酸化鉄微粒子が凝集して板状構造を形成しているが、その板状構造により次の作用効果を奏する。
(i)従来の粗大粒子凝集体における、その内部で生じる電池反応に関与できない酸化鉄成分を減らすと共に、導電助剤との接点も増加させることが出来、その結果、高エネルギー密度化が達成できる。
(ii)更に、充放電により体積の膨張と収縮の影響が板状構造の面内方向により生じるため、酸化鉄微粒子間が断裂した場合にも、予め分散していた導電助材による導電パスの保持が可能であり、その結果、充放電時のサイクル特性の劣化を抑制し、当該特性を向上させることが出来る。
本発明に係る負極用酸化鉄粉体は、前記酸化鉄微粒子の平均一次粒子径が10〜100nmである。10nm未満の場合、酸化鉄微粒子が密に詰まり難くなり、酸化鉄一次粒子間の電気抵抗が高くなる。また、100nmを超える場合、リチウムイオンの一次粒子内の拡散距離が長くなり、電流が取り出し難くなる。酸化鉄微粒子の好ましい平均一次粒子径は30〜80nmである。
本発明に係る負極用酸化鉄粉体は、前記板状構造面内に凸部構造を含むことを特徴としているが、斯かる凸部構造により次の作用効果を奏する。
(i)負極用酸化鉄粉体同士の間に一定の隙間を形成し負極用酸化鉄粉体同士のスタッキングを抑制する。
(ii)上記の隙間に導電助剤やバインダが侵入するが、斯かる導電助剤は、充放電に伴う酸化鉄微粒子の体積の膨張と収縮により負極用酸化鉄粉体の一部が物理的に分断された場合にも、電極全体として導電パスを保持することが出来る。その結果、充放電時のサイクル特性を向上させることが出来る。
凸部構造は負極用酸化鉄粉体間のスタッキングを防ぐと共に負極用酸化鉄粉体間の導電パスとしても機能するため、負極用酸化鉄粉体と同じ酸化鉄微粒子であることが好ましい。
本発明に係る負極用酸化鉄粉体のサイズとして、板状構造の面内方向の大きさが1〜10μmであり、垂直方向の厚みが20〜200nmであることが好ましい。
本発明に係る負極用酸化鉄粉体は、前記酸化鉄微粒子が、α−ヘマタイト、γ−マグヘマイト、マグネタイトのうち1種類以上を含んでいるのが好ましい。特に、α−ヘマタイトを主成分とした負極用酸化鉄微粒子が充放電容量の観点から好ましく、副成分としてはγ−マグヘマイトやマグネタイトが好ましい。
本発明に係る負極用酸化鉄粉体は、不純物元素のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の含有量が各々500〜5000ppmであることが好ましい。500ppm未満の場合は板状構造を維持するのが困難である。5000ppmを超える場合は、電極スラリーとしてなじみ難く、また、得られる電極シートが不均一となり、高エネルギー密度化や高サイクル特性の観点から好ましくない。上記の不純物元素の含有量の特に好ましい範囲は1000〜3000ppmである。
次に本発明に係る負極用酸化鉄粉体の製造方法について述べる。本発明に係る負極活物質粒子粉体の製造方法は、以下の第一工程〜第三工程を含む。
第一工程では、酸化鉄微粒子あるいはオキシ水酸化鉄微粒子の分散スラリーに鉄元素を含まない無機粉体を添加した後、得られた混合物から溶媒を除去する。これにより鉄元素を含まない無機粉体表面上に酸化鉄微粒子あるいはオキシ水酸化鉄微粒子を自己組織的に堆積させることが出来、酸化鉄微粒子あるいはオキシ水酸化鉄微粒子は板状構造に凝集する。自己組織的に堆積させる方法としては、例えば、酸化鉄微粒子あるいはオキシ水酸化鉄微粒子を分散させたスラリーと鉄元素を含まない無機粉体とをフラスコ中で混合し、ロータリーエバポレータを使用して溶媒を濃縮・除去する方法がある。濃縮・除去する温度、時間などの条件は最終的に形成される板状構造を確認しながら適時最適化して行えばよい。
前記分散スラリー中の酸化鉄微粒子あるいはオキシ水酸化鉄微粒子としては平均一次粒子径が100nm以下のα−ヘマタイト、γ−マグヘマイト、マグネタイト、α−FeO(OH),β−FeO(OH)を使用することが好ましい。平均一次粒子径が100nmより大きいと、平均一次粒子径が10〜100nmである酸化鉄微粒子が凝集した板状構造を得ることが困難になる。また、無機粉体表面上に自己組織的に堆積させるため酸化鉄微粒子あるいはオキシ水酸化鉄微粒子がスラリー中で単分散していることが好ましい。そのため、酸化鉄微粒子あるいはオキシ水酸化鉄微粒子の表面は、低分子有機物分散剤、高分子有機物分散剤、カップリング剤などの無機物分散剤で表面処理がなされていることが好ましい。前記分散スラリーの溶媒の主成分としては、工業的に安価な水溶媒を使用することが低環境負荷の観点から好ましい。
鉄元素を含まない無機粉体としては、酸化鉄微粒子あるいはオキシ水酸化鉄微粒子が無機粉体表面上で自己組織的に堆積しその後に容易に取り除ける無機粉体を選択する。このような無機粉体としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物、炭酸塩、炭酸水素塩が入手し易く安価である。例えば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等の塩化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム等の炭酸塩、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等のアンモニウム塩が挙げられる。これらの無機粉体は、いずれも水や弱酸の水溶液に容易に溶解するため、その表面上に酸化鉄微粒子あるいはオキシ水酸化鉄微粒子を自己組織的に堆積させた後に行う除去が容易である。
酸化鉄微粒子あるいはオキシ水酸化鉄微粒子と鉄元素を含まない無機粉体とを混合する際の混合比率は、重量比として、通常1/30〜1/2、好ましくは1/20〜1/5である。混合比率が1/30より少ない場合は製造効率が悪く、また、1/2より大きい場合は板状構造以外の粗大な凝集体が増加し、負極材料として好ましくない。
第二工程では、第一工程で得られた混合粉体を焼成することで焼成粉体を作製する。これにより酸化鉄微粒子同士が焼結し板状構造が強固となり、その後の第三工程以降でも無機粉体を除去した後も板状構造をしっかりと保持することが可能となる。また、オキシ水酸化鉄においては脱水反応と酸化反応が生じた後に、前述の酸化鉄微粒子で構成される板状構造を得ることが出来る。焼成温度は、通常300〜600℃、好ましくは350℃〜500℃である。焼成温度が300℃より低い場合は、板状構造を保持するのが難しく、600℃より高い場合は粒子成長を伴ってしまい平均一次粒子径が増大するため好ましくない。更に、酸化鉄微粒子の組成、結晶性などを制御するため、酸化雰囲気下あるいは還元雰囲気下での焼成を行ってもよい。また、これらの焼成で酸化鉄粒子と無機粉体が固相反応を生じさせないよう、無機粉体を適宜選択する必要がある。
第三工程では、第二工程で得られた焼成粉体から酸化鉄以外の無機粉体を取り除く。すなわち、前記の焼成粉体から水あるいは弱酸性水溶液を使用して酸化鉄以外の無機粉体を溶解除去する。第三工程の後に、再焼成、或いは粉砕工程を導入しても構わない。
本発明に係る負極用酸化鉄粉体の板状構造の平面内の凸部構造は、前記スラリーと無機粉体とを混合後、自己組織的に堆積させる過程において、無機粉体から独立した酸化鉄凝集体あるいは板状構造の脆弱な箇所が破壊されて生成した酸化鉄凝集体が板状構造の平面内に密着して形成される。凸部構造は板状構造の平面内に1か所以上存在すれば負極用酸化鉄粉体間でのスタッキングを防止できる。凸部構造のサイズは100〜500nmが好ましい。100nm未満であればスタッキングし易くなり、また電子導電性を維持するアセチレンブラックなどの導電材が効率的に混合されにくくなるためである。また、500nmを超えると高密度の電極を構成することができなくなり、結果として、低エネルギー密度の二次電池が構成される。より好ましくは150〜400nmである。
以上の方法により平均一次粒子径が10〜100nmの酸化鉄微粒子の凝集体から成り、当該凝集体は板状構造を有し且つその板状構造の平面内に凸部構造を含むことを特徴とする酸化鉄粉体を製造することが出来る。
次に、本発明に係る非水電解質二次電池について述べる。本発明に係る非水電解質二次電池は、負極、正極、非水電解液、及びセパレーターから構成される。
本発明に係る負極用酸化鉄粉体を活物質として含有する負極を製造する場合は、常法のドクターブレード法に従って、導電剤と結着剤とを添加混合し、塗料化、シート化、乾燥による溶媒除去、シート切断を経て、負極シートを作製する。
導電剤としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、黒鉛などの炭素材料を使用することが出来る。結着剤としては、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、アクリル系樹脂などが好ましい。
正極活物質としては、一般的な非水電解質二次電池用の正極材であるコバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム等を使用することが出来る。
また、非水電解液用溶媒としては、特に制限されず、一般的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性高誘電率溶媒、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,3−ジオキソラン、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、メチルアセテート等の酢酸エステル類、プロピオン酸エステル類などの非プロトン性低粘度溶媒が挙げられる。これらの非プロトン性高誘電率溶媒や非プロトン性低粘度溶媒を適当な混合比で併用することが好ましい。更には、イミダゾリウム、アンモニウム、ピリジニウム型のカチオンを使用したイオン性液体を使用することが出来る。対アニオンとしては、特に制限されないが、BF 、PF 、(CFSO等が挙げられる。イオン性液体は前述の非水電解液溶媒と混合して使用することが出来る。
電解質塩としては、例えば、リチウム塩であるLiPF、(CFSONLi、LiBF、LiClO、LiAsF、CFSOLi、CSOLi、CFCOLi、(CFCONLi、CSOLi、C17SOLi、(CSONLi、(CSO)(CFSO)NLi、(FSO)(CFSO)NLi、((CFCHOSONLi、(CFSOCLi、(3,5−(CFBLi、LiCF、LiAlCl、CBOLi等が挙げられ、これらのうちの何れか1種又は2種以上が混合して使用される。
更に、非水電解液中には、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。例えば、イオン導電性被膜の制御を目的としたビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、4−ビニルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネートが挙げられる。
また、セパレーターは、電解液に対して安定であり保液性に優れていれば特に制限されないが、一般的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系多孔質シートもしくは不織布が挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。採用した測定方法は以下の通りである。
(1)負極用酸化鉄粉体の平均一次粒子径:
SEM(HITACHI製 S−4800)で粒子を観察し、100個の粒子の一次粒子径を測定し、平均値を算出した。
(2)負極用酸化鉄粉体のBET比表面積:
モノソープMS−21(カンタクロム製)を使用して測定した。
(3)負極用酸化鉄粉体の結晶構造:
X線回折装置(NEW D8 ADVANCE)を使用し、CuのKαの線源を使用して測定・評価した。
(4)負極用酸化鉄粉体に含まれるNa成分量:
ICPプラズマ発光分析装置(Thermal Fisher製 iCAP−6500D)を使用して測定した。
実施例1:
第一工程として、平均一次粒子径10nmで単分散性のマグネタイト粒子の10%水分散スラリー(pH:8〜9、50g)と、炭酸ナトリウム(50g)及び純水(250mL)とを500mLのナス型フラスコ中で混合し、ロータリーエバポレータを使用して濃縮および乾固させ、板状構造と凸部構造を含む混合粉体を得た。
第二工程として、上記で得られた混合粉体を大気中400℃で1時間焼成し、焼成粉体を得た。
第三工程として、純水を使用した洗浄と濾過を行うことにより、上記の焼成粉体から炭酸ナトリウムを除去した。その後、更に、大気中500℃で1時間再焼成し、負極用酸化鉄粉体を得た。
得られた負極用酸化鉄粉体のSEM観察から、酸化鉄微粒子が凝集して板状構造を形成し、板状構造面内に凸部構造があることが確認された。負極用酸化鉄粉体(凝集体)を構成する酸化鉄微粒子の平均一次粒子径は62nmであり、負極用酸化鉄粉体のBET比表面積は35.4m/gであり、Na成分は2123ppmであり、主成分相はα−ヘマタイトであった。
次に、得られた負極用酸化鉄粉体(2g)と、導電助剤としてのケッチェンブラック(0.125g)、バインダとしてのポリアイミドイミド(0.375g)とを配合し、N−メチル−2−ピロリドンに分散させてペースト状の負極合剤塗料とした。
上記の塗料を電解銅箔に塗布した後に100℃で乾燥させ、ローラープレスにより加圧成形し、真空中で350℃で3時間熱処理を行い、負極を作製した。
次に、対極に金属リチウム、電解液にエチレンカーボネートとジエチレンカーボネート(混合比率3:7)の混合溶媒にLiPFを添加したものを使用し、ポリプロピレン製のセパレーターを使用し、ハーフセルとして評価用のコイン型セルを作製した。
実施例2:
実施例1において、第二四工程の焼成温度を350℃に変更する以外、実施例1と同じ方法で負極用酸化鉄粉体を得た。得られた負極用酸化鉄粉体のSEM観察から、酸化鉄微粒子が凝集して板状構造を形成し、板状構造の平面内に凸部構造があることが確認された。負極用酸化鉄粉体の平均一次粒子径は61nmであり、負極用酸化鉄粉体のBET比表面積は36.5m/gであり、Na成分は1539ppmであり、主成分相はα−ヘマタイトであった。得られた負極用酸化鉄粉体を使用し、実施例1の方法でコイン型セルを作製した。
実施例3:
実施例1において、平均一次粒子径10nmで単分散性のオキシ水酸化鉄粒子を含む10%水分散スラリー(pH:6〜7)を使用した以外は、実施例1と同様に、第一工程を行い、混合物を得た。
その後、第二工程の焼成温度を450℃に変更する以外、実施例1と同じ操作を行い、負極用酸化鉄粉体を得た。得られた負極用酸化鉄粉体のSEM観察から、酸化鉄微粒子が凝集して板状構造を形成し、板状構造の平面内に凸部構造があることが判明した。負極用酸化鉄粉体の平均一次粒子径は54nmであり、負極用酸化鉄粉体のBET比表面積は48.2m/gであり、Na成分は2325ppmであり、主成分相はα−ヘマタイトであった。得られた負極用酸化鉄粉体を使用し、実施例1の方法でコイン型セルを作製した。上記のSEM観察で得られた写真を図1a(倍率50,000倍)及び図1b(倍率10,000倍)として示す。
実施例4:
実施例3の第一工程後に得られた混合粉体を使用した以外は、実施例1と同じ操作を行い、負極用酸化鉄粉体を得た。得られた負極用酸化鉄粉体のSEM観察から、酸化鉄微粒子が凝集して板状構造を形成し、板状構造の平面内に凸部構造があることが判明した。負極用酸化鉄粉体の平均一次粒子径は61nmであり、負極用酸化鉄粉体のBET比表面積は35.3m/gであり、Na成分は3502ppmであり、主成分相はα−ヘマタイトとγ−マグヘマイトであった。得られた負極用酸化鉄粉体を使用し、実施例1の方法でコイン型セルを作製した。
比較例1:
平均一次粒子径が30nmで易分散性でないα−ヘマタイト凝集粒子(関東化学製)(2g)を使用し、実施例1の手順に従ってコインセルを作製した。上記のα−ヘマタイト凝集粒子のSEM観察で得られた写真を図2a(倍率50,000倍)及び図2b(倍率10,000倍)として示す。
(放電容量の測定)
作製したコイン型セルについて以下の方法によって評価した。
即ち、二次電池充放電装置を使用して電圧範囲を0.01Vから3Vまでとした。負極活物質である酸化鉄重量当たりの1C電流値は800mA/gとした。0.1Cでの電流値で充電、0.1Cでの電流値で放電を行い、放電容量の評価を行った。
放電容量(mAh/g)は、1サイクル目の初回放電容量にて評価を行った。尚、1Cとは、公称容量を有する電池セルを定電流充電、または定電流放電して、ちょうど1時間で充放電が終了となる電流値の事である。
(充放電サイクル特性の測定)
放電容量の測定と同様の装置を使用し、0.5Cでの電流値で充放電する条件において、充放電サイクル特性の評価を行った。
容量維持率(%)は、1サイクル目の放電容量を初期放電容量とし、初期放電容量に対する各サイクル数における放電容量の割合で表わされる。この容量維持率が高いほど、充放電サイクル特性が良好であることを意味する。
実施例および比較例で作製したコイン型セルは、上記の条件によって充放電サイクル維持率を評価した。
0.5Cでの放電容量の測定結果および30サイクル及び100サイクル後の容量維持率の測定結果を表1に示す。
評価結果から実施例1〜4の負極用酸化鉄粉体を使用したコイン型セルは、比較例1の粗大な凝集粒子を含む酸化鉄微粒子を使用したコイン型セルに比べて、放電容量が増加し、容量維持率が高くサイクル特性が向上していることが分かる。
負極材料として本発明に係る酸化鉄粉体を使用することでリチウムイオン二次電池の高エネルギー密度化と高サイクル維持率が達成される。

Claims (6)

  1. 平均一次粒子径が10〜100nmの酸化鉄微粒子の凝集体から成り、当該凝集体は板状構造を有し且つその板状構造の平面内に凸部構造を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池負極用酸化鉄粉体。
  2. 前記酸化鉄微粒子が、α−ヘマタイト、γ−マグヘマイト、マグネタイトのうち1種類以上を含む請求項1記載の酸化鉄粉体。
  3. 不純物元素のアルカリ金属およびアルカリ土類金属が各々500〜5000ppmである請求項1又は2記載の酸化鉄粉体。
  4. 酸化鉄微粒子あるいはオキシ水酸化鉄微粒子の分散スラリーに鉄元素を含まない無機粉体を添加した後、溶媒を除去して板状構造と凸部構造を含む混合粉体を作製する第一工程、該混合粉体から焼成粉体を作製する第二工程、該焼成粉体から酸化鉄以外の無機粉体を取り除く第三工程を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の酸化鉄粉体の製造方法。
  5. 酸化鉄微粒子またはオキシ水酸化鉄微粒子が、球形状であり、α−ヘマタイト、γ−マグヘマイト、マグネタイト、α−FeO(OH),β−FeO(OH)のうち1種類以上を含む請求項4記載の酸化鉄粉体の製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の酸化鉄粉体を負極活物質の一部として含むリチウムイオン二次電池。
JP2016059761A 2016-03-24 2016-03-24 リチウムイオン二次電池負極用酸化鉄粉体、その製造方法およびリチウムイオン二次電池 Pending JP2017174649A (ja)

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