JP2014162396A - 電動パワーステアリング装置及び減速ギア機構、並びに減速ギア機構用ギアの製造方法 - Google Patents

電動パワーステアリング装置及び減速ギア機構、並びに減速ギア機構用ギアの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ウォームを傷付けず、摺動音の発生も少ない高強度有機繊維を用いつつ、その配合量を抑えて材料コストを下げるとともに、強度の増強を図ったウォームホイールを備え、静音性及び信頼性に優れた減速ギア機構、更にはこのような減速ギア機構を備える電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】本発明の電動パワーステアリング装置は、金属製芯管の外周に、樹脂組成物全量に対し、引張強度が2GPa以上で、かつ、引張弾性率が50GPa以上である有機繊維材を10〜25質量%、モース硬度が4以下の針状充填材を5〜20質量%含有する樹脂組成物からなりギア歯を形成した樹脂部を一体化したギアを備える減速ギア機構が組み込まれている。
【選択図】図1

Description

本発明は、電動モータの出力を減速して伝達する減速ギア機構を備える電動パワーステアリング装置に関する。また、本発明は、前記減速ギア機構及び該減速ギア機構用ギアの製造方法に関する。
自動車に組み込まれる電動パワーステアリング装置に用いられている減速機構として、一組で大きな減速比が得られる等の理由から、図1に示すような、電動モータ(図示せず)の回転軸に連結するウォーム32と、ウォーム32に噛み合うウォームホイール31とから構成される減速ギア30が使用されるのが一般的である。
このような減速ギア30では、ウォームホイール31とウォーム32の両方を金属製とすると、ハンドル操舵時に歯打ち音や振動音等の不快音が発生するため、金属製の芯管42の外側に、樹脂組成物製で外周面にギア歯44を形成した樹脂部43を一体化させたウォームホイール31を用いて騒音対策を行っている。
樹脂部43を形成する樹脂組成物としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等のベース樹脂に、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維補強材を配合したものが広く使用されている。また、補強材を含有しないMC(モノマーキャスト)ナイロン(登録商標)、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等も用いられている。しかし、耐疲労性、寸法安定性やコストを考慮して、近年では、繊維補強材を含有しないMCナイロンや、繊維補強材としてガラス繊維を含有するポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46等が主流になっている(特許文献1参照)。
しかしながら、小型高出力な自動車に搭載するために電動パワーステアリング装置もコンパクトになってきており、それに伴いギア比を大きくとる必要が出てきている、その結果、ウォームホイール31のギア歯44と、ウォーム32の歯との間の接触面圧が増大して大きな摺動音が発生することが問題になりつつある。
このような摺動音対策として、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリアミド等の合成樹脂に強化繊維材を配合した樹脂組成物をエラストマー変性して弾性率を低下させることも行われている(特許文献2参照)。しかし、このエラストマー変性された合成樹脂強化材は、弾性率の低下とともに、引張強度や曲げ強度、疲労強度等も低下しており、樹脂製のギア歯部分に連続して圧縮・引張・曲げ応力が加わる減速ギア30の信頼性が低下する問題がある。また、繊維強化材も、一般的なウォーム材料である鉄系材料よりも硬質なガラス繊維や炭素繊維を用いており、ウォームの表面に摩耗が発生し、更に摺動音が大きくなることが想定される。ウォームの摩耗を抑えるために、ウォーム表面に硬質処理することも行われているが、コスト増を招く。更に、強化繊維材が剛質なため減衰特性が低く、樹脂組成物全体としても摺動音の低減には限度がある。
また、摺動音対策として本出願人も、鉄系材料に対して傷付性がなく、柔軟性を保持しつつ、高強度化が可能な一定強度以上の有機繊維で強化した樹脂組成物でウォームホイール31の樹脂部43を形成することにより、静音性を向上させることを提案している(特許文献3参照)。
特公平6−60674号公報 特開平10−141577号公報 特開2009−280161号公報
本出願人による特許文献3では、高強度有機繊維としてアラミド繊維等が使用されているが、アラミド繊維等の高強度有機繊維は非常に高価であり、その配合量が増すのに伴って樹脂部43のコストが増加する。しかも、相当量を配合しても、ガラス繊維や炭素繊維と同等の機械的強度を確保することは困難である。
そこで本発明は、ウォームを傷付けず、摺動音の発生も少ない高強度有機繊維を用いつつ、その配合量を抑えて材料コストを下げるとともに、強度の増強を図ったウォームホイールを備え、静音性及び信頼性に優れた減速ギア機構、更にはこのような減速ギア機構を備える電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は下記を提供する。
(1)電動モータの出力を減速して伝達する減速ギア機構を備える電動パワーステアリング装置の前記減速ギア機構において、
前記減速ギア機構は、金属製芯管の外周に、樹脂組成物からなりギア歯が形成された樹脂部を一体に形成したギアを備え、かつ、
前記樹脂組成物が、樹脂組成物全量に対し、引張強度が2GPa以上で、かつ、引張弾性率が50GPa以上である有機繊維材を10〜25質量%、モース硬度が4以下の針状充填材を5〜20質量%含有することを特徴とする電動パワーステアリング装置用減速ギア機構。
(2)前記ギアがウォームホイール、はすば歯車、平歯車、かさ歯車またはハイポイドギアであることを特徴とする上記(1)記載の電動パワーステアリング装置用減速ギア機構。
(3)電動モータの出力を減速して伝達する減速ギア機構を備える電動パワーステアリング装置において、
前記減速ギア機構が、硬質化処理されていない金属製のウォームと、請求項1または2記載の樹脂組成物からなるウォームギアとから構成されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
(4)電動モータの出力を減速して伝達する減速ギア機構を備える電動パワーステアリング装置の前記減速ギア機構のギアの製造方法において、
熱可塑性樹脂をペース樹脂とし、樹脂組成物全量に対し、引張強度が2GPa以上で、かつ、引張弾性率が50GPa以上である有機繊維材を10〜25質量%、モース硬度が4以下の針状充填材を5〜20質量%含有する樹脂組成物を調製する工程と、
前記樹脂組成物を、金属製芯管をコアにしてインサート成形して樹脂部を一体に成形する工程と、
前記樹脂部にギア歯を切削加工する工程と
を備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置の減速ギア機構用ギアの製造方法。
本発明の減速ギア機構では、ウォームホイールの樹脂部を形成する樹脂組成物の繊維補強材が特定強度の有機繊維材であり、ウォームを傷付けることがなく、静音性も良好になる。しかも、有機繊維材とともに針状充填材を併用することにより、有機繊維材の配合量を減らすことができ、材料コストを低減させることもできる。
また、このような減速ギア機構を備える電動パワーステアリング装置も静音性に優れるとともに、高強度で信頼性の高いものとなる。
電動パワーステアリング装置用減速ギアの一例を示す斜視図である。 電動パワーステアリング装置の一例を示す概略図である。 図2に示す電動パワーステアリング装置の減速ギアを示す部分断面図である。 電動パワーステアリング装置の他の例(デュアルピニオン式)を示す概略図である。 ウォームホイールを製造する工程を説明するための図である。 ウォームホイールを製造する工程を説明するための図である。 ウォームホイールを製造する工程を説明するための図である。 減速ギアの他の例(平歯車)を示す斜視図である。 減速ギアの更に他の例(はすば歯車)を示す斜視図である。 減速ギアの更に他の例(かさ歯車)を示す斜視図である。 減速ギアの更に他の例(ハイポイドギア)を示す斜視図である。
以下、本発明に関して図面を参照して詳細に説明する。
本発明では電動パワーステアリング装置には制限はなく、例えば図2に示す電動パワーステアリング装置を例示することができる。図示される電動パワーステアリング装置10において、舵輪軸11は、上部舵輪軸11aと下部舵輪軸11bとで構成され、舵輪軸11は舵輪軸ハウジング12の内部に軸芯回りに回転自在に支承されており、舵輪軸ハウジング12は車室内部の所定位置に、その下部を前方に向けて傾斜した状態に固定されている。また、上部舵輪軸11aの上端には、図示されていない舵輪が固定されている。更に、上部舵輪軸11aと下部舵輪軸11bとは、図示されていないトーションバーにより結合されており、舵輪から上部舵輪軸11aを経て下部舵輪軸11bに伝達される操舵トルクがトーションバーに検出され、検出された操舵トルクに基づいてモータ13の出力が制御される。モータ13には減速ギア30が連結しており、モータ13の回転がウォーム及びウォームホイールを経て下部舵輪軸11bに伝承される。
また、ラック・ピニオン式運動変換機構20は、長手方向を車両の左右方向として車両前部のエンジンルーム内に略水平に配置され、軸方向に移動自在なラック軸21と、ラック軸21の軸芯に対して斜めに支承されてラック軸21の歯部に噛合する歯部を備えたピニオンを含むピニオン軸22、及びラック軸21とピニオン軸22を支承する筒状のラック軸ケース23とから構成される。
図3は図2に示す電動パワ−ステアリング装置10の減速ギア30を示す部分断面図であり、上記の樹脂部43を有するウォームホイール31と、ウォーム32がギアケース33に収納されている。また、ウォーム32はその両端にウォーム軸32a、32bが一体に形成されており、ウォーム軸32a、32bは電動モータ13の駆動軸13aにスプライン、あるいはセレーション結合している。ウォームホイール31の芯管42は下部舵輪軸11bに結合し、電動モータ13の回転はウォーム32、ウォームホイール31を経て下部舵輪軸11bに伝承される。
更には、図4に示される電動パワーステアリング装置100とすることもできる。図示されるように、この電動パワーステアリング装置100では、ラック軸101と、ステアリング軸(図示せず)に連結する第1のピニオン105と、モータ110側の第2のピニオン106と、減速ギア130とを備えている。減速ギア130は、モータ110のシャフトに連結されたウォームとウォームホイールとから構成されており、第2のピニオン106がウォームホイールに固着されている。また、第2のピニオン106はラック軸106に噛み合っている。
本発明では、上記の減速ギア30、130において、図1に示すような、金属製の芯管42の外周に、後述する樹脂組成物からなり、その外周端面にギア歯44を形成した樹脂部43を一体化したウォームホイール31を用いる。また、ウォーム32には制限はなく、従来と同様に金属製とすることができる。
樹脂部43を形成する樹脂組成物のベース樹脂には、一定以上の耐熱性を有する熱可塑性樹脂を用いる。また、ギア歯に要求される耐疲労性を満足するために、結晶性樹脂が好適である。具体的には、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)等が好適である。ポリアミド樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46等の脂肪族ポリアミド樹脂の他、吸水による寸法変化を優先する場合は、より低吸水性の芳香族ポリアミド樹脂が好適である。尚、芳香族ポリアミド樹脂としては、ポリアミド6T/6I等の変性ポリアミド6T、ポリアミドMDX6,ポリアミド9T、ポリアミド4T等が挙げられる。また、ペース樹脂は、これらの樹脂の混合物であってもよい。
ベース樹脂には、繊維補強材として、引張強度が2GPa以上で、かつ、引張弾性率が50GPa以上である有機繊維材を配合する。このような引張強度及び引張弾性率を満足する有機繊維としては、表1に示すように、パラ系アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール(またはポリパラフェニレンベンゾビスオキサザール)繊維(PBO繊維)、ポリアリレート繊維が挙げられる。尚、パラ系アラミド繊維としては、ポリパラフェニレンテレフタラミドと、ジアミンとを共重合させて延伸性を向上させたコポリパラフェニレン−3,4´−オキシジフェニレンテレフタラミド等が挙げられる。また、ポリアリレート繊維は二価フェノールと芳香族ジカルボン酸との重縮合物である全芳香族ポリエステル繊維のことである。
Figure 2014162396
有機繊維材は補強効果に優れるとともに、鉄系材料よりも柔らかいためウォーム32を傷付けることもない。また、減衰特性にも優れており、ウォーム32との摺動音の低減にも効果がある。更には、ガラス繊維を用いた場合に比べて軽量にもなる。
また、有機繊維材は、平均繊維径で6〜21μmであることが好ましく、8〜15μmであることがより好ましい。平均繊維径が6μm未満では、繊維が細すぎて1本当たりの強度が低いため安定した製造が困難となり、大幅なコストアップとなり実用的ではない。一方、平均繊維径が21μmを超えると、1本当たりの強度は増すものの、同じ配合量でも本数が減るため、樹脂部全体としての均一な強化が困難になる。
有機繊維材は、樹脂部中でできるだけ長い方が強度的に有利になる。生産性から樹脂組成物を射出成形して樹脂部43を形成するが、成形に用いるペレットは、有機繊維材は1mm程度の短繊維(チョップドストランド)がランダムに分散した短繊維ペレット(ペレット長:約3mm)よりも、有機繊維材がペレットに対して平行に配向している長繊維ペレット(ペレット長:7〜11mm程度)の方が、樹脂部中で長い繊維の状態で存在することが可能であるため好ましい。
また、有機繊維材は、ペース樹脂との接着性を向上させるために、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ビスマレイミド樹脂等のサイジング剤で表面処理されていることが好ましい。
更に、有機繊維材の一部に代えて、鉄への傷付性が無く強度が低いものの、耐熱性に優れる高耐熱性有機繊維を配合することもできる。具体的には、メタ系アラミド繊維やポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維、ポリイミド(PI)繊維等を、有機繊維材全量の5〜25質量%代替することができる。
尚、引張強度が2GPa以上で、引張弾性率が50GPa以上である有機繊維として超高分子慮ポリエチレン繊維やPAN系炭素繊維があるが、超高分子量ポリエチレン繊維は融点が140℃程度であり、使用時に軟化することが想定される。また、PAN系炭素繊維は、鉄系材料への傷付性があるとともに、繊維自体が剛直であるために減衰特性に劣る。
但し、上記の有機繊維材は高価であるため、その配合量を樹脂組成物全量の10〜25質量%、好ましくは10〜20質量%に抑えるとともに、モース硬度が4以下の針状充填材を配合する。有機繊維材の配合量が5質量%未満では、針状充填材を併用したとしても十分な強度が得られず、25質量%を超えると強度的には有利となるがコスト面では不利となる。
4以下のモース硬度は、鉄のモース硬度よりも低いため、針状充填材がウォーム32を傷付けることがない。そのため、ウォーム32は、熱処理等の硬質化処理が不要となり、低コスト化が可能になる。このようなモース硬度を満足する針状充填材としては、表2に示すように、チタン酸カリウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー(テトラポット状)、塩基性硫酸マグネシウム、炭酸カルシウムウィスカー等が挙げられる。
また、針状充填材は、有機繊維よりも細いもの、具体的には平均繊維径が0.2〜3.0μmのものが好ましい。樹脂中で有機繊維間に針状充填材が入り込んで補強され、機械的強度が向上する。
Figure 2014162396
また、針状充填材は、ペース樹脂との接着性を向上させるために、シランカップリング剤で表面処理されていることが好ましい。
針状充填材の配合量は、樹脂組成物全量の5〜20質量%、好ましくは5〜15質量%である。針状充填材の配合量が5質量%未満では、有機繊維材を上記の配合量に減量したときの補強効果が十分ではない。また、20質量%を超えると有機繊維材との合計量が多くなりすぎて成形時の流動性が悪くなり、樹脂部43を均一に精度良く成形することが困難になる。
ベース樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲内で、有機繊維財および針状充填材の他にも各種添加剤を配合することができる。中でも、樹脂の熱劣化を防止するために、アミン系酸化防止剤やフェノール系酸化防止剤、ヨウ化銅−ヨウ化カリウム系熱安定剤等が好ましく、特にアミン系酸化防止剤及びヨウ化銅−ヨウ化カリウム系熱安定剤は耐熱性の向上効果が大きいため好ましい。
ウォームホイール31を製造するには、先ず、図5に示すように、金属製芯管42の外周面42aにショットブラスト処理やローレット加工等により粗面化し、溶剤等で脱脂する。この粗面化処理は、ローレット加工が好ましく、V字状溝の深さは0.2〜0.8mm、特に0.3〜0.7mmとすることが適当である。また、外周面43aに接着剤を塗布してもよい。次いで、図6に示すように、芯管42をスプルー54及びディスクゲート55を装着した金型に配置し、射出成形機により上記の樹脂組成物を充填して樹脂部43を成形する。そのため、ベース樹脂は、有機繊維材や針状充填材、添加剤を含んだ状態で射出成形できるような適度の流動性を有するように、分子量を調整することが好ましい。次いで、スプルー54とディスクゲート55を切除し、図7に示すような外周に樹脂部43が形成されたブランク材67を得る。そして、ブランク材67の樹脂部43の外周面43aに切削加工によりギア歯44を形成する。
本発明では減速ギア30の種類として、図1に示す他にも図8に示すような平歯車、図9に示すようなはすば歯車、図10に示すようなかさ歯車、図11に示すようなハイポイドギア等が可能であり、何れも金属製の芯管の外周に、外周面にギア歯が形成された上記樹脂部を一体化した構成からなる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
(実施例1)
外径65mm、幅16mmのS45C製の芯管に、溝の深さ0.5mmのローレット加工を施し、脱脂した。この芯管を射出成形金型に入れ、パラ系アラミド繊維(帝人(株)製「テクノーラ チョップドファイバーT−322EH」;サイジング処理されたポリパラフェニレンテレフタラミド繊維、繊維径8μm、平均繊維長3mm)を15質量%、チタン酸カリウムウィスカー(大塚化学製「ティスモD−102」;エポキシ系シランカップリング処理品、平均繊維径0.3〜0.6μm、平均繊維長10〜20μm)を10質量%含有させたポリアミド66樹脂組成物のペレットを用いて射出成形し、スプルー及びディスクゲートを切除して内径69mm、外径85mm、幅17mmのブランク材を作製した。そして、切削加工によりブランク材の外周面にギア歯を形成してウォームホイール試験体を得た。
(実施例2)
パラ系アラミド繊維の配合量を20質量%、チタン酸カリウムウィスカーの配合量を5質量%に変更した以外は、実施例1と同様にしてウォームホイール試験体を得た。
(比較例1)
樹脂組成物として、ガラス繊維を25質量%の割合で含有するポリアミド66(宇部興産(株)製「UBEナイロン2020GU5」;銅系熱安定剤添加)を用いた以外は、実施例1と同様にしてウォームホイール試験体を得た。
(比較例2)
樹脂組成物として、パラ系アラミド繊維のみを15質量%の割合で含有するポリアミド66を用いた以外は、実施例1と同様にしてウォームホイール試験体を得た。
(比較例3)
パラ系アラミド繊維の配合量を20質量%とした以外は、比較例2と同様にしてウォームホイール試験体を得た。
(比較例4)
樹脂組成物として、シランカップリング剤で表面処理したチタン酸カリウムウィスカーのみを30質量%の割合で含有するポリアミド66(大塚化学(株)製「ポチコンONN30BL」)を用いた以外は、実施例1と同様にしてウォームホイール試験体を得た。尚、この「ポチコンONN30BL」に含まれるチタン酸カリウムウィスカーは、実施例1で用いたチタン酸カリウムウィスカー「ティスモD−102」と同等品である。
そして、ウォームホイール試験体を電動パワーステアリング装置(但し、ウォームは鉄系で硬質化処理せず)の実機に組み込み、無音響室に入れ、発生する騒音を指向性マイクで録音し、FFT解析を実施した。その際、回転数は270deg/sにて、500〜1000Hzの周波数帯での平均騒音レベル(POA)を測定した。結果を表3に示す。
また、各樹脂組成物を用いて曲げ弾性率用、引張強度用及びシャルビー衝撃用の試験片を作製し、曲げ弾性率、引張強度及びシャルビー衝撃強さを測定した。結果を表3に示す。
Figure 2014162396
実施例のようにパラ系アラミド繊維とチタン酸カリウムウィスカーとを併用することにより、比較例2〜4のようにパラ系アラミド繊維のみを配合した場合に比べて、機械的強度に優れるとともに摺動音も低下している。これは、細いチタン酸カリウムウィスカーがパラ系アラミド繊維間に入り込み、より補強された結果であると考えられる。また、パラ系アラミド繊維及びチタン酸カリウムウィスカーは共に鉄よりもモース硬度が低いため、ウォームに傷も発生していなかった。
一方、比較例1のようにガラス繊維を用いると、機械的強度が高まるものの静音性に劣り、ウォームに傷が生じていた。比較例2、3のようにパラ系アラミド繊維のみを配合した場合は、実施例に比べて機械的強度が低くなっており、摺動音も若干高くなっている。比較例4から、チタン酸カリウムウィスカーが摺動音の低下に効果があることがわかるが、パラ系アラミド繊維に比べると減衰特性に劣るため、比較例2、3よりも摺動音の低下の度合が小さくなっている。
30 減速ギア
31 ウォームホイール
32 ウォーム
42 芯管
43 樹脂部
44 ギア歯

Claims (4)

  1. 電動モータの出力を減速して伝達する減速ギア機構を備える電動パワーステアリング装置の前記減速ギア機構において、
    前記減速ギア機構は、金属製芯管の外周に、樹脂組成物からなりギア歯が形成された樹脂部を一体に形成したギアを備え、かつ、
    前記樹脂組成物が、樹脂組成物全量に対し、引張強度が2GPa以上で、かつ、引張弾性率が50GPa以上である有機繊維材を10〜25質量%、モース硬度が4以下の針状充填材を5〜20質量%含有することを特徴とする電動パワーステアリング装置用減速ギア機構。
  2. 前記ギアがウォームホイール、はすば歯車、平歯車、かさ歯車またはハイポイドギアであることを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置用減速ギア機構。
  3. 電動モータの出力を減速して伝達する減速ギア機構を備える電動パワーステアリング装置において、
    前記減速ギア機構が、硬質化処理されていない金属製のウォームと、請求項1または2記載の樹脂組成物からなるウォームギアとから構成されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  4. 電動モータの出力を減速して伝達する減速ギア機構を備える電動パワーステアリング装置の前記減速ギア機構のギアの製造方法において、
    熱可塑性樹脂をペース樹脂とし、樹脂組成物全量に対し、引張強度が2GPa以上で、かつ、引張弾性率が50GPa以上である有機繊維材を10〜25質量%、モース硬度が4以下の針状充填材を5〜20質量%含有する樹脂組成物を調製する工程と、
    前記樹脂組成物を、金属製芯管をコアにしてインサート成形して樹脂部を一体に成形する工程と、
    前記樹脂部にギア歯を切削加工する工程と
    を備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置の減速ギア機構用ギアの製造方法。
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