JP2007168718A - 電動パワーステアリング装置用減速ギア - Google Patents
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Abstract
【課題】ウォームホイールに求められる寸法安定性に優れることで、高信頼性を有する電動パワーステアリング用減速ギアの提供。
【解決手段】操舵補助出力発生用電動モータの出力をステアリングシャフトに伝達するための電動パワーステアリング装置用減速ギア30において、前記減速ギアが、芳香族ポリアミド、加硫カルボン酸変性NBRの超微粒子、及びシランカップリング剤処理ガラス繊維を含有する樹脂組成物からなる樹脂部を金属製芯管の外周に一体に設けると共に前記樹脂部の外周面にギア歯を形成して構成されるウォームホイール31を備えることを特徴とする。
【選択図】図3
【解決手段】操舵補助出力発生用電動モータの出力をステアリングシャフトに伝達するための電動パワーステアリング装置用減速ギア30において、前記減速ギアが、芳香族ポリアミド、加硫カルボン酸変性NBRの超微粒子、及びシランカップリング剤処理ガラス繊維を含有する樹脂組成物からなる樹脂部を金属製芯管の外周に一体に設けると共に前記樹脂部の外周面にギア歯を形成して構成されるウォームホイール31を備えることを特徴とする。
【選択図】図3
Description
本発明は、操舵補助出力発生用電動モータの出力をステアリングシャフトに伝達するための電動パワーステアリング装置用減速ギアに関する。
自動車に組み込まれる電動パワーステアリング装置には、電動モータに比較的高回転、低トルクのものが使用されるため、電動モータとステアリングシャフトとの間に減速機構が組み込まれている。減速機構としては、一組で大きな減速比が得られる理由から、図1に示されるような、電動モータ(図示せず)の回転軸に連結するウォーム32と、ウォーム32に噛み合うウォームホイール31とから構成される電動パワーステアリング装置用減速ギア(以下、単に「減速ギア」ともいう。)が使用されるのが一般的である。
このような減速ギア30では、ウォームホイール31とウォーム32の両方を金属製にすると、ハンドル操作時に歯打ち音や振動音等の不快音が発生するという不具合を生じていた。そこで、ウォームホイール31に、金属製の芯管42の外周に、樹脂製で外周面にギア歯44を形成している樹脂部43を一体化させたものを使用して騒音対策を行っている。上記樹脂部43には、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等のべ一ス樹脂に、ガラス繊維や炭素繊維等の強化材を配合した材料の他、強化材を含有しないMC(モノマーキャスト)ナイロン、ポリアミド6、ポリアミド66などの材料が提案されている。しかし、耐疲労性、寸法安定性、コスト等を考慮して、強化材を含有しないMCナイロン、ガラス繊維を含有したポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46等が現在では主流になっている。
特公平6-60674号公報
しかし、上記の脂肪族ポリアミド系材料は、耐疲労性に優れるものの、吸水性が高く、水分を吸収してウォームホイール31のギア歯44が膨潤し、初期にウォーム32との間に存在していた隙間が無くなったり、更に膨潤するとウォーム32を圧迫する可能性もある。それによって、ギアの抵抗が大きくなって、結果としてハンドルが重くなったり、また圧迫によってギア部が摩耗や破損を起こし、装置全体として機能しなくなることも想定される。
本発明はこのような状況に着目してなされたものであり、特にウォームホイールに求められる寸法安定性に優れることで、高信頼性を有する電動パワーステアリング用減速ギアを提供することを目的とする。
上記目的の、本発明は、操舵補助出力発生用電動モータの出力をステアリングシャフトに伝達するための電動パワーステアリング装置用減速ギアにおいて、減速ギアが、少なくとも芳香族ポリアミドを含有する樹脂組成物からなる樹脂部を金属製芯管の外周に一体に設けると共に樹脂部の外周面にギア歯を形成して構成されるウォームホイールを備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置用減速ギアにより達成される。
本発明の1つの形態では、芳香族ポリアミドが、変性ポリアミド6T、ポリアミド(以下、「PA」ともいう。)9T、ポリアミドMXD6から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする。
本発明の別の形態では、樹脂組成物が、ガラス繊維(以下、「GF繊維」又は「GF」ともいう。)、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー等の中から選ばれる少なくとも1つの機械的強度強化材を含有することを特徴とする。
本発明のなお別の形態では、樹脂組成物が、耐衝撃性向上材を含有することを特徴とする。
本発明の他の形態では、耐衝撃性向上材が、加硫ゴムの超微粒子であることを特徴とする。
本発明の更に別の形態では、加硫ゴムの超微粒子が、スチレンブタジエンゴム、アクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシル変性アクリロニトリルブタジエンゴム、シリコンゴム、クロロプレンゴム、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシル変性水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシル変性スチレンブタジエンゴムの中から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする。
本発明の更に他の形態では、耐衝撃性向上材が、エチレンプロピレン非共役ジエンゴム(以下、「EPDM」ともいう。)、無水マレイン酸変性EPDM、エチレン/アクリレート共重合体、アイオノマーから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする。
本発明によれば、ウォームホイールの樹脂部の樹脂組成物が、低吸水で耐熱性に優れる芳香族ポリアミドを含有することで、耐久性を維持しつつ寸法安定性に優れた高信頼性電動パワーステアリング用減速ギアが得られる。また、樹脂組成物に耐衝撃性向上材を含有させることで、芳香族ポリアミドが付与する樹脂部靭性を改良し、ウォームホイールの信頼性を一層向上させることが可能である。
本発明に係る樹脂製歯車の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は、本実施形態の樹脂製歯車を減速機構に用いた自動車のコラム式電動パワーステアリング装置10の構成を説明する概念図である。このパワーステアリング装置10の舵輪軸11は、上部舵輪軸11aと下部舵輪軸11bとで構成され、舵輪軸ハウジング12の内部に、軸心を中心に回転自在に支承されている。また、舵輪軸ハウジング12は、下部を車両の前方に向けて傾斜した姿勢で、車両内部の所定位置に固定されている。さらに、上部舵輪軸11aの上端には、図示されない舵輪が固定されている。
さらに、上部舵輪軸11aと下部舵輪軸11bとは、図示されないトーションバーで互いに連結されている。舵輪から上部舵輪軸11aを経て下部舵輪軸11bに伝達された操舵トルクは、トーションバーにより検出され、検出された操舵トルクに基づいて、電動モータ13の出力が制御される。
図2に示すラック・ピニオン式運動変換機構20は、軸方向に移動可能なラック軸21と、ラック軸21の軸心に対して斜めに支承されてラック軸21の歯に噛み合う歯を備えたピニオンを有するピニオン軸22と、ラック軸21及びピニオン軸22を支承する筒状のラック軸ケース23と、で構成される。そして、ラック・ピニオン式運動変換機構20は、その長手方向が車両の左右方向に沿うようにして、車両の前部のエンジンルーム内にほぼ水平に配置されている。
このピニオン軸22と下部舵輪軸11bの下部とは、2個の自在継手25、26で連結されている。また、下部舵輪軸11bの中間部分には、減速ギア30が配置されていて、電動モータ13から下部舵輪軸11bに対して操舵補助力が供給されるようになっている。
次に、ウォーム歯車減速機構の減速歯車30の構成を、図3の部分断面図を参照しながら説明する。減速歯車30のウォームホイール31と噛み合うウォーム32の両端には、ウォーム軸32a、32bが一体的に形成されており、これらウォーム軸32a、32bは、それぞれ、ギアケース33に装着された玉軸受34a、34bによって回転自在に支承されている。また、ウォーム軸32bは、電動モータ13の駆動軸13aにスプライン結合又はセレーション結合している。
ウォームホイール31の芯管42は、下部舵輪軸11bと連結しているので、電動モータ13の回転が、ウォーム32及びウォームホイール31を経て下部舵輪軸11bに伝達されることとなる。
次に、このウォームホイール31の構成を、図1の斜視図を参照しながら説明する。ウォームホイール31は、芯管42と芯管42の外周に一体的に設けられた樹脂部43とで構成されている。そして、樹脂部43の外径面には、金属製のウォーム32と噛み合う歯44が形成されている。
次に、平歯車35の構成を、図4の斜視図を参照しながら説明する。平歯車35は、芯管42cと芯管42cの外周に一体的に設けられた樹脂部43cとで構成されている。そして、樹脂部43cの外径面には、金属製の平歯車36と噛み合う歯44cが形成されている。
次に、はすば歯車37の構成を、図5の斜視図を参照しながら説明する。はすば歯車37は、芯管42dと芯管42dの外周に一体的に設けられた樹脂部43dとで構成されている。そして、樹脂部43dの外径面には、金属製のはすば歯車38噛み合う歯44dが形成されている。
次に、傘歯車39の構成を、図6の斜視図を参照しながら説明する。傘歯車39は、芯管42eと芯管42eの外周に一体的に設けられた樹脂部43eとで構成されている。そして、樹脂部43eの外径面には、金属製の傘歯車40と噛み合う歯44eが形成されている。
次に、ハイポイドギヤ50の構成を、図7の斜視図を参照しながら説明する。ハイポイドギヤ50は、芯管42fと芯管42fの外周に一体的に設けられた樹脂部43fとで構成されている。そして、樹脂部43fの外径面には、金属製のハイポイドギヤ51と噛み合う歯44fが形成されている。
ここで図1に関連する説明に戻ると、この樹脂部43は、例えば、芳香族ポリアミド、機械的強度強化材としてのガラス繊維、及び耐衝撃性向上剤としての加硫ゴム超微粒子から構成される樹脂組成物からなり、中空円筒形をなしている。ウォームホイール31を製造する場合、図8に示すように金属製の芯管42の外周面42aにクロスローレット加工を施し、溶剤で脱脂した後、次いで図9に示すように、スプルー54及びディスクゲート55を装着した金型67に配置し、射出成形により樹脂組成物を充填して樹脂部43を成形することができる。そして、樹脂部43の外周面に切削加工により所定形状のギア歯を形成してウォームホイール31が得られる。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。本発明の減速ギアは、金属製の芯管の外周に、樹脂製でその外周端面にギア歯を形成した樹脂部を一体化したウォームホイールを備える。このような構成自体は、図1に示したような、芯管42と樹脂部43とを一体化した従来のウォームホイール31と同様である。また、ウォーム32には制限はなく、従来と同様に金属製とすることができる。但し、樹脂部を、低吸水で耐熱性に優れる芳香族ポリアミドを含む樹脂組成物で形成する。芳香族ポリアミドとしては、変性ポリアミド6T(以下、「変性PA6T」ともいう。)、ポリアミドMXD6(以下、「PAMXD6」ともいう。)、ポリアミド9T(以下、「PA9T」ともいう。)等を用いることができる。3つの芳香族ポリアミドの中では、ポリアミド9Tが低吸水率、高融点であるので、最も好ましい。
上記で変性ポリアミド6Tとは、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との重縮合物であるポリアミド6Tのテレフタル酸の一部を、アジピン酸、イソフタル酸の少なくともどちらか一方に変更した重縮合物(具体的には、PA6T/66、PA6T/6I、PA6T/6I/66)、ポリアミド6Tのヘキサメチレンジアミンの一部をメチルペンタンジアミンに変更した重縮合物(PA6T/M-5T)、ポリアミド6Tとε−カプロラクタムを繰返し単位とする重縮合物(PA6T/6)、ポリアミド6Tと2−メチルペンタンメチレンジアミン(2−MPMD)とテレフタル酸(TPA)との縮合体であるポリアミドDTからなる重縮合物(PA6T/DT)等である。ポリアミドMXD6は、メタキシリレンジアミンとアジピン酸との重縮合物である。
本発明で使用できる芳香族ポリアミドの23℃、24時間水中放置後の吸水率を表1に、融点を表2に示す。
本発明の樹脂組成物は、樹脂単独でも一定以上の耐久性を示し、ウォームホイール11の相手材である金属製のウォーム12の摩耗に対しては有利に働き、減速ギアとして機能する。しかしながら、より過酷な使用条件で使用されると、ギア歯10が破損や摩耗することも想定されるため、信頼性をより高めるために、樹脂組成物に機械的強度強化材を配合することが好ましい。機械的強度強化材としては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー等が好ましく、芳香族ポリアミドとの接着性を考慮してシランカップリング剤で表面処理したものが更に好ましい。また、これらの機械的強度強化材は複数種を組み合わせて使用することができる。ガラス繊維としては、従来から使用されていた平均繊維径10〜13μmのものでも構わないが、より微細な平均繊維径5〜9μmのものの方が、同じ含有量で比較すると、機械的強度、疲労強度等がより向上するので、より好適である。上記の機械的強度強化材としては、衝撃強度をも考慮すると、ガラス繊維や炭素繊維などの繊維状物を配合することが好ましく、更にウォーム32の損傷を考慮するとウィスカー状物を繊維状物と組み合わせて配合することが好ましい。混合使用する場合の混合比は、繊維状物及びウィスカー状物の種類により異なり、衝撃強度やウォーム32の損傷等を考慮して適宜選択される。機械的強度強化材は、樹脂組成物全体の5〜40重量%、更に好ましくは10〜30重量%である。添加量が5重量%未満の場合は、機械的強度の改善が少なく好ましくない。添加量が40重量%を越える場合は、ウォーム12を損傷し易くなり、ウォーム32の摩耗が促進されて減速ギアとしての耐久性が不足する可能性があり、好ましくない。
本発明の樹脂組成物を構成する芳香族ポリアミドは、耐熱性は従来の電動パワーステアリング装置用減速ギア用の材料であるポリアミド6、ポリアミド66に比べて高いが、靭性にやや劣る点がある。この靭性を向上させるために、樹脂組成物中に耐衝撃性向上材を更に添加すると更に好適である。
この芳香族ポリアミドの耐衝撃性向上材として混入させる加硫ゴム超微粒子としては、スチレンブタジエンゴム、アクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシル変性アクリロニトリルブタジエンゴム、シリコンゴム、クロロプレンゴム、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシル変性水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシル変性スチレンブタジエンゴムの中から選ばれる少なくとも1つで、平均粒子径で30〜300nmの範囲に入る微細な微粒子である。平均粒子径で30nm未満の場合は、製造上コストがかかると共に、微細すぎて劣化しやすく好ましくない。平均粒子径で300nmを越える場合は、分散性が低下する共に、耐衝撃性の改善を均一に行うことが難しく好ましくない。上記説明した加硫ゴム超微粒子の中で、ペレット製造及び実際のギアの成形時の劣化を考慮すると、アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシル変性アクリロニトリルブタジエンゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシル変性水素添加アクリロニトリルブタジエンゴムが好適であり、更にその中でも、分子構造中にカルボキシル基やエステル基などの、ポリアミド樹脂と相互作用が比較的強い有機官能基を有する、カルボキシル変性アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシル変性水素添加アクリロニトリルブタジエンゴムがより好適である。これらの加硫ゴム超微粒子は、熱や酸素での劣化を防止して、4,4'−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤、2−メルカプトベンズイミダゾール等の二次老化防止剤等を含有させたものとしてもよい。
本発明の芳香族ポリアミドに配合する耐衝撃性向上材としては、その他エチレンプロピレン非共役ジエンゴム(以下、「EPDM」ともいう。)、無水マレイン酸変性EPDM、エチレン/アクリレート共重合体、アイオノマー等も使用可能である。これらの化合物はペレット状であり、芳香族ポリアミド、機械強度強化材などと混合して押出機でペレット化する際に、流動化し、樹脂組成物中にミクロ分散される。加硫ゴム超微粒子、EPDM等からなる耐衝撃性向上材の添加量は、樹脂組成物全量中で、5〜35重量%、より好ましくは10〜30重量%である。添加量が5重量%未満の場合は、少なすぎて耐衝撃性の改善効果が少なく好ましくない。添加量が35重量%を越える場合は、耐衝撃性は向上するものの、樹脂成分が少なくなることで引張強度等が低下するため実用性が低くなる。
ウォームホイールを製造する方法は制限されるものではなく、例えば以下に示す工程に従うことができる。図8に示すような金属製芯管42の外周面42aにクロスローレット加工を施し、溶剤等で脱脂した後、この芯管42をスプルー54及びディスクゲート55を装着した金型に配置し、射出成形機により上記の樹脂組成物を充填して樹脂部43を成形する(図9)。この樹脂部43は、外周部にヘリカルギア形状(図示しない)を有しており、スプルー54とディスクゲート55を切除後、さらに切削加工(ホブ加工)により、外周部はウォームホイール形状へと仕上げられる。
尚、成形時及び使用時の熱による劣化を防止するために、樹脂組成物には、ヨウ化銅とヨウ化カリウムの混合物からなる熱安定剤、あるいはアミン系酸化防止剤を単独あるいは併用して適量添加することが好ましい。これにより、熱安定性が更に向上する。
実施例及び比較例
樹脂製ギアの組成を表3に、樹脂製ギアの構造を図1に示す。
樹脂製ギアの組成を表3に、樹脂製ギアの構造を図1に示す。
[ウォームホイール試験体の作製]
表3に示すポリアミド樹脂、機械的強度強化材及び耐衝撃性向上材を配合して樹脂組成物(樹脂ペレット)を調製した。クロスローレット加工を施し、脱脂した外径45mm、幅13mmの材質S45Cの芯管を、スプルー及びディスクゲートを装着した金型に配置し、射出成形機を用いて樹脂組成物からなる成形材料を充填して、外径60mm、幅13mmで外周部にヘリカルギア歯を有する樹脂組成物体を作成した。その後、樹脂組成物体にホブカッターを用いた切削加工で、ギア歯の仕上げを行い、ウォームホイール試験体を作成した。
表3に示すポリアミド樹脂、機械的強度強化材及び耐衝撃性向上材を配合して樹脂組成物(樹脂ペレット)を調製した。クロスローレット加工を施し、脱脂した外径45mm、幅13mmの材質S45Cの芯管を、スプルー及びディスクゲートを装着した金型に配置し、射出成形機を用いて樹脂組成物からなる成形材料を充填して、外径60mm、幅13mmで外周部にヘリカルギア歯を有する樹脂組成物体を作成した。その後、樹脂組成物体にホブカッターを用いた切削加工で、ギア歯の仕上げを行い、ウォームホイール試験体を作成した。
各試験体を、下記条件Iまたは条件IIの下に放置し、所定時間経過後にウォームホイール試験体のギア外径寸法の変化量を測定した。何れの条件においても、変化量が40μm以下を合格「○」、40μmを越えるものを不合格「×」として表4に示す。
・条件I:60℃、90%RH、70hr
・条件II:80℃、90%RH、300hr
[耐久性評価]
各ウォームホイール試験体を実際の自動車減速ギアに組み込み、下記条件Iまたは条件IIにて操舵操作を繰返し行った。何れの条件においても、10万回の操舵に耐えることができた減速ギアを合格「○」、10万回の操舵に耐えることができなかった減速ギアを不合格「×」として表4に示す。
・条件II:80℃、90%RH、300hr
[耐久性評価]
各ウォームホイール試験体を実際の自動車減速ギアに組み込み、下記条件Iまたは条件IIにて操舵操作を繰返し行った。何れの条件においても、10万回の操舵に耐えることができた減速ギアを合格「○」、10万回の操舵に耐えることができなかった減速ギアを不合格「×」として表4に示す。
・条件I:30℃、50%RH
・条件II:50℃、90%RH
・条件II:50℃、90%RH
本発明の樹脂製歯車は、例えば、電動パワーステアリング装置のパワーアシスト部を構成する歯車減速機構に好適である。
10 電動パワーステアリング装置
30 減速ギア
31 ウォームホイール
32 ウォーム
42 芯管
43 樹脂部
44 歯
30 減速ギア
31 ウォームホイール
32 ウォーム
42 芯管
43 樹脂部
44 歯
Claims (7)
- 操舵補助出力発生用電動モータの出力をステアリングシャフトに伝達するための電動パワーステアリング装置用減速ギアにおいて、前記減速ギアが、少なくとも芳香族ポリアミドを含有する樹脂組成物からなる樹脂部を金属製芯管の外周に一体に設けると共に前記樹脂部の外周面にギア歯を形成して構成されるウォームホイールを備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置用減速ギア。
- 前記芳香族ポリアミドが、変性ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミドMXD6から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1記載の電動パワーステアリング装置用減速ギア。
- 前記樹脂組成物が、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー等の中から選ばれる少なくとも1つの機械的強度強化材を含有することを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項記載の電動パワーステアリング装置用減速ギア。
- 前記樹脂組成物が、耐衝撃性向上材を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の電動パワーステアリング装置用減速ギア。
- 前記耐衝撃性向上材が、加硫ゴムの超微粒子であることを特徴とする、請求項4記載の電動パワーステアリング装置用減速ギア。
- 前記加硫ゴムが、スチレンブタジエンゴム、アクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシル変性アクリロニトリルブタジエンゴム、シリコンゴム、クロロプレンゴム、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシル変性水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシル変性スチレンブタジエンゴムの中から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項5記載の電動パワーステアリング装置用減速ギア。
- 前記耐衝撃性向上材が、エチレンプロピレン非共役ジエンゴム、無水マレイン酸変性エチレンプロピレン非共役ジエンゴム、エチレン/アクリレート共重合体、アイオノマーから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項4記載の電動パワーステアリング装置用減速ギア。
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---|---|---|---|---|
JP2009097644A (ja) * | 2007-10-17 | 2009-05-07 | Nsk Ltd | 炭酸ガスコンプレッサ用転がり軸受 |
JP2014070146A (ja) * | 2012-09-28 | 2014-04-21 | Nitta Ind Corp | プラスチック歯車 |
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2005
- 2005-12-26 JP JP2005372255A patent/JP2007168718A/ja active Pending
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