JP2014161969A - 切粉を排出するのに適したカバー構造を備えた工作機械 - Google Patents

Abstract

【課題】駆動系の部品に切粉が噛み込んだり、切削液によって潤滑剤が洗い流されたりする不具合を防ぐことが可能な切粉を排出するのに適したカバー構造を備えた工作機械を提供する。
【解決手段】工作機械４０は、基台２２上に、ワーク５を載置するテーブル６とワーク５を加工するための工具４が装着された主軸３を有するコラム２１とを備え、テーブル６を挟んでコラム２１と対向する側に設けられた前面カバー３０と、前面カバー３０の左右に設けられた左，右側面カバー３１，３２と、前面カバー３０および側面カバー３１，３２の下端から基台２２に接続される底部からなるカバーを有し、前面カバー３０と左，右側面カバー３１，３２の底部が基台２２側から外側に向かって低くなる傾斜面とすることによって、切粉や切削液が機械の中央部から最も離れた経路を経て切削液供給装置２に排出される。
【選択図】図１

Description

本発明は工作機械に関し、特に、切粉を排出するのに適したカバー構造を備えた工作機械に関する。

工作機械においては、加工中に発生した切粉が加工領域を覆っている板金カバーの内部もしくはその他のカバー部品の表面に付着したり堆積したりする。工作機械を正常に継続して使用するためには切粉を除去する必要があるため、切削液を使用して切粉を洗い流し、切削液供給装置に回収することが行われている。

この場合、切粉を受ける板金カバーの底面形状として、機械の中央に位置する鋳物部品に接触する部分が最も低く、そこから板金カバーの外周部分に向かって高くなる形状が一般的である。その従来技術として、例えば、特許文献１や特許文献２に開示される技術がある。

特開２００７−６１９９８号公報 特開２００６−７３９１号公報

特許文献１に開示される技術では、採用されている板金カバーの形状では、機械の駆動部（図示無し）に近いところに切粉や切削液が集まる。もし切粉がカバーの底面に堆積していった場合、切粉が駆動系の直動ガイドや送りねじに付着して、故障の原因となる恐れがある。また、切削液の飛沫がかかる確率が高くなることから、駆動系に塗布された潤滑油を流してしまい、機械の不具合を引き起こす可能性がある。この問題は、特許文献２に開示される技術を使用することによって発生確率が若干減少すると思われる。しかし、さらに改善する必要性があると考えられる。

そこで本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、駆動系の部品に切粉が噛み込んだり、切削液によって潤滑剤が洗い流されたりする不具合を防ぐことが可能な切粉を排出するのに適したカバー構造を備えた工作機械を提供することである。

本願の請求項１に係る発明は、基台上に、ワークを載置するテーブルと前記ワークを加工するための工具が装着された主軸を有するコラムとを備え、前記テーブルを挟んで前記コラムと対向する側に設けられた前面カバーと、該前面カバーの左右に設けられた側面カバーと、前記前面カバーおよび前記側面カバーの下端から前記基台に接続される底部からなるカバーを有する工作機械において、前記側面カバーの底部が、前記基台側から外側に向かって低くなる傾斜面を有することを特徴とする工作機械である。
請求項２に係る発明は、前記前面カバーの底部が、前記基台側から外側に向かって低くなる傾斜面を有することを特徴とする請求項１に記載の工作機械である。
請求項３に係る発明は、前記左右に設けられた側面カバーの双方の底部が、前記工作機械の前方から後方または後方から前方に向かって低くなることを特徴とする請求項１または２の何れか１つに記載の工作機械である。
請求項４に係る発明は、前記左右の側面カバーの一方の底部が前記工作機械の前方から後方に向かって低くなり、他方の底部が前記工作機械の後方から前方に向かって低くなることを特徴とする請求項１または２の何れか１つに記載の工作機械である。

請求項５に係る発明は、前記前面カバーの底部が、一方の側面から他方の側面へ向かって低くなることを特徴とする請求項１乃至４の何れか１つに記載の工作機械である。 請求項６に係る発明は、前記前面カバーの底部が、前記工作機械の中央部から前記左右の底面に向かって低くなることを特徴とする請求項１乃至４の何れか１つに記載の工作機械である。
請求項７に係る発明は、前記前面カバーと前記側面カバーが交わる部分に曲面を設けたことを特徴とする請求項１乃至６の何れか１つに記載の工作機械である。
請求項８に係る発明は、前記前面カバーおよび前記側面カバーの底部に、切削液を供給する切削液供給流路を有することを特徴とする請求項１乃至７の何れか１つに記載の工作機械である。

本発明により、駆動系の部品に切粉が噛み込んだり、切削液によって潤滑剤が洗い流されたりする不具合を防ぐことが可能な切粉を排出するのに適したカバー構造を備えた工作機械を提供できる。

実施形態１に係る機械上面の模式図である。 実施形態１に係る機械正面の模式図である。 実施形態２に係る機械上面の模式図である。 実施形態２に係る機械正面の模式図である。 実施形態３に係る機械上面の模式図である。 実施形態３に係る機械正面の模式図である。

以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
（実施形態１）
図１は実施形態１に係る機械上面の模式図である。図２は実施形態１に係る機械正面の模式図である。工作機械４０の概略構成を図１，図２を用いて説明する。基台２２上にサドル移動機構２５を介してサドル２３が支持され、サドル２３上にテーブル移動機構２４を介してテーブル６が支持されている。さらに、基台２２上にコラム２１が立設され、コラム２１の上部に工具４を装着する主軸３が固定されている。工作機械４０は、主軸３とテーブル６とを加工空間内で相対移動させることで、テーブル６上に載置されたワーク５の切削加工を行う。

カバー１は、サドル２３、テーブル６、コラム２１、主軸３、工具４を外部から隔離し、加工空間を形成する。カバー１は、テーブル６を挟んでコラム２１と対向する側に設けた前面カバー３０と、前面カバー３０の左右に設けられた側面カバー３１，３２と、後面カバー３３などから構成され、前面カバー３０、側面カバー３１，３２は、各々の下端から基台２２に接続される底部を有する。前面カバー３０、側面カバー３１，３２から独立した部材として前記底部を構成してもよい。なお、天井カバーについては図示省略している。

カバー１によって隔離された加工空間に切削液を供給するために、左切削液供給流路１１と右切削液供給流路１２が加工空間に配設されている。切削液供給装置２から図示しない流路を介して左切削液供給流路１１と右切削液供給流路１２に切削液が供給される。左切削液供給流路１１の所定個所に第１切削液供給ノズル１３と第２切削液供給ノズル１５が設けられ、右切削液供給流路１２の所定個所に第３切削液供給ノズル１４と第４切削液供給ノズル１６が設けられている。各切削供給ノズル１３，１４，１５，１６から、加工空間内の所定方向に向かって切削液が放出される（切削液の流れ２７を参照）。

カバー１の底部において、テーブル６が在る機械の中央部分を最も高くし、そこからカバー１の底部の外周部分に向かって低くなるように傾斜させる。つまり、カバー前底面７、カバー左底面９、カバー右底面１０を、テーブル６が在る機械の中央部分を最も高くし、そこからカバー１の底部の外周部分（前面カバー３０とカバー前底面７の接続部分、左，右側面カバー３１，３２とカバー左底面９，カバー右底面１０の接続部分）に向かって低くなるように傾斜させる。

テーブル６の左，右側面カバー３１，３２の底面（カバー左底面９，カバー右底面１０）については、カバー１の前面から後面に対して低くなるように傾斜させてもよい。また、カバー１のテーブル６の前面（前面カバー３０）とテーブル６の左右側面（左，右側面カバー３１，３２）の交わる角部（カバー左Ｒ１７，カバー右Ｒ１８）に、切粉２６の流れを良くして、滞留し難くするための曲率を設けることができる。

上述した構成により、加工によって発生した切粉２６が、テーブル６の前面部分の底面（カバー前底面７）に堆積すると、第２切削液供給ノズル１５と第４切削液供給ノズル１６から供給される切削液により、カバー１の外周部分に切粉２６と切削液が集まりながら、カバー左底面９もしくはカバー右底面１０にそれぞれ排出される。

続いて、テーブル６の左，右側面部分のカバー左底面９もしくはカバー右底面１０に飛散した切粉２６は、テーブル６の前面部分の底面（カバー前底面７）から排出されてきた切粉２６及び切削液と一緒になり、第１切削液供給ノズル１３と第３切削液供給ノズル１４から供給される切削液によって、勢いを増しながら切削液供給装置２に排出される。機械の前面または側面に切粉２６を排出する場合は、左排出流路１９と右排出流路２０を用いて切粉２６を切削液供給装置２へ排出する。

上述した構成により実施形態１は、切粉２６と切削液は一番低いカバーの外周部分に集まるようになり、駆動系の部品の在る中央から一番離れたカバーの外周部分を移動しながら切削液供給装置２に排出される。結果として、駆動系の部品に切粉が噛み込んだり、切削液によって潤滑剤が洗い流されてしまうことが原因となって発生する機械の不具合を防ぐことができる。

（実施形態２）
図３は実施形態２に係る機械上面の模式図である。図４は実施形態２に係る機械正面の模式図である。カバー前左底面７ａとカバー前右底面８とを左右に低くなる山形の形状としても良い。その他の構成は、実施形態１の説明と同様であるので説明を略する。この実施形態では、各斜面を切粉２６と切削液が一緒になって流れ、カバー左底面９もしくはカバー右底面１０にそれぞれ排出される。続いて、テーブル６の左右側面部分のカバー左底面９もしくはカバー右底面１０に飛散した切粉は、テーブル６の前面部分の底面から排出されてきた切粉２６や切削液と一緒になり、第１切削液供給ノズル１３と第３切削液供給ノズル１４から供給される切削液によって、勢いを増しながら切削液供給装置２に排出される。

（実施形態３）
図５は実施形態３に係る機械上面の模式図である。図６は実施形態３に係る機械正面の模式図である。カバー１の前面カバー３０側に傾斜を設けず、テーブル６の在る中央部分を頂点として、カバー前左底面７ａとカバー前右底面８とを左右に低くなる山形の形状としても良い。その他の構成は、実施形態１の説明と同様であるので説明を略する。

ここで、本発明の特徴部分である、カバー１の底部の形態について説明する。
（構成１）
構成１は、左側面カバー３１の底部、右側面カバー３２の底部を、基台２２側から外側（機械の中心から離れる方向）に向かって低くなる傾斜面とする。
（構成２）
構成２は、前面カバー３０の底部を、基台２２側から外側（機械の中心から離れる方向）に向かって低くなる傾斜面とする。
（構成３）
構成３は、構成１と構成２において、左，右側面カバー３１，３２の双方の底部を、工作機械４０の前方から後方、または、後方から前方に向かって低くなる傾斜面とする。
（構成４）
構成４は、構成１と構成２において、左，右側面カバー３１，３２の一方の底部を工作機械４０の前方から後方に向かって低くなり、他方の底部を工作機械４０の後方から前方に向かって低くなる傾斜面とする。
（構成５）
構成５は、構成２と構成４において、前面カバー３０の底部を、一方の側面から他方の側面（左側面カバー３１側から右側面カバー３２側へ、または、その逆向き）へ向かって低くなる傾斜面とする。
（構成６）
構成６は、構成１〜３において、前面カバー３０の底部を、工作機械４０の中央部から左右の底面（左，右側面カバー３１，３２）に向かって低くなる傾斜面とする。
（構成７）
構成７は、構成１〜６において、前面カバー３０と側面カバー（左，右側面カバー３１，３２）の交わる部分（接続個所）を曲面とする。
（構成８）
構成８は、構成１〜７において、前面カバー３０、左，右側面カバー３１，３２の底部に、切削液を供給する左，右切削液供給流路１１，１２を備える。

１ カバー
２ 切削液供給装置
３ 主軸
４ 工具
５ ワーク
６ テーブル

７ カバー前底面
７ａ カバー前左底面
８ カバー前右底面

９ カバー左底面
１０ カバー右底面
１１ 左切削液供給流路
１２ 右切削液供給流路
１３ 第１切削液供給ノズル
１４ 第３切削液供給ノズル
１５ 第２切削液供給ノズル
１６ 第４切削液供給ノズル
１７ カバー左Ｒ
１８ カバー右Ｒ
１９ 左排出流路
２０ 右排出流路
２１ コラム
２２ 基台
２３ サドル
２４ テーブル移動機構
２５ サドル移動機構
２６ 切粉
２７ 切削液の流れ

３０ 前面カバー
３１ 左側面カバー
３２ 右側面カバー
３３ 後面カバー


４０ 工作機械

Claims (8)

1. 基台上に、ワークを載置するテーブルと前記ワークを加工するための工具が装着された主軸を有するコラムとを備え、前記テーブルを挟んで前記コラムと対向する側に設けられた前面カバーと、該前面カバーの左右に設けられた側面カバーと、前記前面カバーおよび前記側面カバーの下端から前記基台に接続される底部からなるカバーを有する工作機械において、
   前記側面カバーの底部が、前記基台側から外側に向かって低くなる傾斜面を有することを特徴とする工作機械。
2. 前記前面カバーの底部が、前記基台側から外側に向かって低くなる傾斜面を有することを特徴とする請求項１に記載の工作機械。
3. 前記左右に設けられた側面カバーの双方の底部が、前記工作機械の前方から後方または後方から前方に向かって低くなることを特徴とする請求項１または２の何れか１つに記載の工作機械。
4. 前記左右の側面カバーの一方の底部が前記工作機械の前方から後方に向かって低くなり、他方の底部が前記工作機械の後方から前方に向かって低くなることを特徴とする請求項１または２の何れか１つに記載の工作機械。
5. 前記前面カバーの底部が、一方の側面から他方の側面へ向かって低くなることを特徴とする請求項１乃至４の何れか１つに記載の工作機械。
6. 前記前面カバーの底部が、前記工作機械の中央部から前記左右の底面に向かって低くなることを特徴とする請求項１乃至４の何れか１つに記載の工作機械。
7. 前記前面カバーと前記側面カバーが交わる部分に曲面を設けたことを特徴とする請求項１乃至６の何れか１つに記載の工作機械。
8. 前記前面カバーおよび前記側面カバーの底部に、切削液を供給する切削液供給流路を有することを特徴とする請求項１乃至７の何れか１つに記載の工作機械。

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