JPH06170685A - 工作機械のベッド上面洗浄装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ワークの加工時に、ベッド上面に溜る切粉を
無人で完全排出するクーラント式のベッド上面洗浄装置
を提供することを目的とする。 【構成】 ベッド上面の少なくとも一方側が低くなるよ
うベッド上面の全体を傾設し、前記ベッド３の上面高部
縁等の適所に洗浄液の噴出口３８を覗設し、前記各噴出
口３８は洗浄液をベッド３の上面の低い側へ噴出する構
成をなし、前記洗浄液は回収後循環部材にて再度各噴出
口３８へ供給するベッド上面洗浄装置である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、マシニングセンタ、Ｆ
ＭＳライン等の工作機械のベッド上面に堆積する切粉等
を清掃洗浄するための新規な装置に関する。

【０００２】

【従来技術と問題点】従来、マシニングセンタ、ＦＭＳ
ライン等の工作機械の構成は、据付面上に設置されるベ
ッドと、このベッドの上面に載置したテーブル及びコラ
ムのガイド部材台と、前記コラムの昇降部に支持された
主軸頭と主軸や工具交換装置等からなる工作機械本体部
とを備えてなる。前記工作機械にて、テーブル上のワー
クに対し穿孔や切削加工をすると、長時間の間に多量の
切粉が発生してこれがベッド上面に溜り、積極的又は消
極的に外部へ排出する必要がある。消極的な手段とし
て、工作機械の停止時に定期的な切粉の手作業による排
除を行ったり、積極的な手段としてベッド上面をホッパ
ー状に傾設し、この底辺部に設置したチップコンベアに
より常時滑り落ちてくる切粉を少量ずつ自動排除する。
また、別の積極的な手段として、クーラント洗浄液（以
下、洗浄液という）の流れに乗せて切粉を排除する方法
が実施されている。

【０００３】ところが、上記切粉の手作業による排除で
は、長時間無人運転が不可能であるし、チップコンベア
による方式では、ベッド上面のすべての切粉排除が不可
能である。また、洗浄液の流れに乗せて切粉を排除する
方式では、ベッド上面の全面にわたって洗浄液を流せな
いから、切粉の排除作用が悪いという問題点がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来の
問題点に鑑み、ワークの加工時に、ベッド上面に溜る切
粉を無人で完全排出するメンテナンスフリーな切粉の排
除装置を開発することを課題とし、特にクーラント式の
ベッド上面洗浄装置を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成する本発
明は、ベッド上面の少なくとも一方側が低くなるようベ
ッド上面の全体を傾設し、前記ベッド上面の高部縁等の
適所に洗浄液の噴出口を覗設すると共に、前記各噴出口
は洗浄液をベッド上面の低い側へ噴出する構成をなし、
前記洗浄液は回収後循環部材にて再度各噴出口へ供給す
ることを特徴とする工作機械のベッド上面洗浄装置とし
たものである。

【０００６】

【作用】本発明によると、ベッド上面の高部縁や中間部
縁等の適所に配置した噴出口から洗浄液がベッド上面の
高部から低い側へ整然と勢い良く流れながら切粉を搬出
排除し、ベッド上面の殆どすべての切粉を搬出し終った
前記洗浄液は切粉分離の回収後、循環部材にて再度各噴
出口へ供給され、ベッド上面を洗浄する。

【０００７】

【実施例】以下、図面に示す実施例にて説明する。図１
は本発明のベッドの平面図であり、図２はマシニングセ
ンタ（工作機械）の側面図であり、図３はベッドの左側
面部分断面図であり、図４はベッドの部分断面図であ
り、図５は噴出口の平面図であり、図６は図５の断面図
であり、図７はベッドの背面図である。

【０００８】図２において、１はマシニングセンタ、Ｆ
ＭＳライン等の工作機械で、以下説明の便宜上、図中の
矢印Ｆｒ方向を前方とし、後記の左右方向とは、この前
方に向かっての方向を意味する。前記工作機械１は据付
面２上に設置されるベッド３と、このベッドの上面に載
置したインデックステーブル１５及びコラム６のガイド
部材台３ａと、前記コラムの昇降部に支持された主軸頭
７と主軸８や工具交換装置等からなる工作機械本体部４
とを備えてなる。前記工作機械本体部４の詳細は、ベッ
ド３の上面の後部側に前後方向に延びるガイドレール５
が固定され、このガイドレール５上にコラム６が支持さ
れる。前記コラム５は図中の矢印Ａ方向で示す前後方向
へ案内され、また摺動面（図示なし）に係合する主軸頭
７を図中の矢印Ｂ方向で示すように昇降自在に支持して
いる。前記主軸頭７には、軸芯が前後方向に延びる主軸
８が軸芯に回転自在に支持されており、先端にはドリル
等のツール９が着脱自在に取付けられている。また、前
記ベッド３の四隅には、各々一対の前部脚１２と後部脚
１３により架台１０が支持され、架台１０の梁１１には
ツールマガジン等を装備している。コラム前方のインデ
ックステーブル１５には、ワークが取付けられ前記主軸
８に備えるツール９により所定の切削加工を施すと、切
粉がベッドの上面に堆積する。

【０００９】図１，４において、前記ガイドレール５
は、左右に並設する水平に延びる３本のガイドレール１
７，１８，１９からなり、このガイドレール１７と１８
との間には前記コラム６を前後方向へ駆動する駆動手段
２０を備えている。この駆動手段２０は、前後方向へ延
びるボールネジ棒２１と、このボールネジ棒２１を回転
自在に支承する前後一対の支承体２２，２３と、この支
承体２３に取付けた電動機（サーボモータ）２４が前記
ボールネジ棒２１を正転及び逆転駆動する。２５はナッ
ト体で、前記ボールネジ棒２１に螺合すると共に、コラ
ム６とも連結している。これで、前記電動機２４がボー
ルネジ棒２１を正逆転駆動すると、図４の矢印Ｃの前後
方向にナット体が移動し、図２の矢印Ａで示す前後方向
へコラム６を移動する。

【００１０】次に、図１，図３において、前記ベッド３
の上面は前後に長い長方形の上面板２６により形成さ
れ、この上面２６は前側から後方に向って順次並設され
る前部上面板２７，中間部上面板２８，及び後部上面板
２９で構成され、これらの接合部は互いに全溶接されて
いる。上記上面板２６の外周を縁取る外壁板３１が設け
られ、この外壁板３１の上端は上面板２６の外縁よりも
上方へ突出している。上記ベッド３上の前部には前記イ
ンデックステーブル１５の支持台３２が設けられ、この
支持台３２は前部上面板２７と中間部上面板２８とに跨
って取付けられ、同上支持台３２の前、後面にはそれぞ
れ三角錐状の突部３３が形成されている。また、前記前
記各ガイドレール１７，１８，１９や駆動手段２０は後
部上面板２９上に支持されている。尚、各前部脚１２や
後部脚１３をベッド３上に取付けるための各一対の前脚
部３４と後脚部３５とが設けられ、このうち各前脚部３
４は上記前部上面板２７の左右側部に取付けられてい
る。

【００１１】続いて、図１，及び図３，５，６におい
て、前記ベッド３の上面を洗浄する洗浄装置３７が設け
られている。前記前部上面板２７は後方に向かって下傾
すると共に右方に向かっても下傾している。また、前記
中間部上面板２８は右方に向かって下傾している。更
に、前記後部上面板２９のうち左部ガイドレール１７よ
りも左側の左通路２９ａと、右部ガイドレール１９より
も右側の右通路２９ｂとはそれぞれ前方に向かって下傾
している。上記上面板２６のうち高いところ、つまり、
上面板２６の各角部、及び中間部上面板２８の左端部
に、洗浄液の噴出口３８が各々設けられ、この噴出口３
８は上方に向かって開口している。そして、上面板２６
の下方でこの上面板２６の外縁に沿って洗浄液の供給管
３９が配管され、この供給管３９と各噴出口３８とが接
続管４０を介し接続されている。更に、上記供給管３９
の前右部には、洗浄液の循環部材となる水ポンプ（図示
なし）からの洗浄液たる水を供給管３９内に送り込む入
口管４１が取付けられている。

【００１２】更に、図１，５，６において、前記各噴出
口３８の上方を覆うカバー板４３が設けられ、このカバ
ー板４３は外壁板３１の内面に溶接されている。また、
カバー板４３はこれの上面板２６と同じ方向に向かって
下傾し、下傾端には浅い切欠４４が形成されている。そ
して、カバー板４３の下傾端上面にはスライド板４５が
ボルト４６により螺着され、このスライド板４５はカバ
ー板４３の下傾方向において前後位置調節自在とされて
いる（図５，６の矢印Ｄ）。４７の噴射スリットは、ス
ライド板４５の下傾端と、これに対応する上面板２６の
部分との間に形成されており、スライド板４５の前後位
置調節で、噴射スリット４７の上下幅寸法が調節され
る。

【００１３】そして、前記入口管４１を通し供給管３９
内に洗浄液を供給すると（図１の矢印Ｅ）、洗浄液は供
給管３９を巡って各接続管４０と噴出口３８とを通して
上面板２６上に噴出する（図６の矢印Ｆ）。次に、上記
洗浄液は噴射スリット４７を通し、上面板２６が下傾し
ている方向に向かって噴射され（図１，５，６の矢印
Ｇ）、この洗浄液は上面板２６の低いところ、つまり、
中間部上面板２８の右端部に向かって勢いよく流下する
（図１の矢印Ｈ）。これにより、前記工作機械本体部４
によるワークの加工時に、上面板２６の上面に溜ろうと
する切粉は上面板２６の上面を流下する洗浄液によっ
て、中間部上面板２８の右端部に向かって押し流され
る。

【００１４】上記中間部上面板２８の右端部に対応する
外壁板３１には切欠４９が形成され、この切欠に対応し
て洗浄液の受入ホッパ５０が設けられ、この受入ホッパ
５０には着脱自在なエレメント５１が取付けられてい
る。そして、上記中間部上面板２８の右端部に流下して
きた洗浄液と切粉とは上記切欠４９を通って受入ホッパ
５０に落下し、ここで、洗浄液から切粉が分離される。
この後、洗浄液は水ポンプに戻され、ここから再び供給
管３９に送り込まれる。以下、上記作用がワーク加工
中、常に繰り返され、上面板２６の上面を洗浄する。即
ち、ベッド上面の高部縁や中間部縁等の適所に配置した
噴出口から洗浄液がベッド上面の高部から低い側へ整然
と勢い良く流れながら切粉を搬出排除し、ベッド上面の
殆どすべての切粉を搬出し終った前記洗浄液は切粉分離
の回収後、循環部材にて再度各噴出口へ供給されベッド
上面を洗浄するのである。

【００１５】図１，３，７において、平面的に前記各ガ
イドレール１７，１８，１９をそれぞれ囲む仕切板５３
が設けられている。これら各仕切板５３の後端は解放さ
れ、これら開放端５４の下方には左右に延びるトラフ５
５が設けられている。また、このトラフ５５はその中途
部の下方に回収ケース５６が設けられ、これに連通して
いる。前記後部上面板２９において、仕切板５３で囲ま
れた部分の各ガイドレール１７，１８，１９の各側方に
位置する通路２９ｃは後方に向かって下傾している。そ
して、各ガイドレールとの摺動部や同上各ガイドレール
上から潤滑油が溢れたときには、この潤滑油は上記各通
路２９ｃを流下し、開放端５４とトラフ５５を通り回収
ケース５６に集められる。（図１，３，７の矢印Ｉ）

【００１６】図１，４，７において、平面的に前記駆動
手段２０を囲む仕切板５８が設けられ、この仕切板の後
端には排出パイプ５９を備え、この排出パイプの後端の
下方に前記トラフ５５が配置している。前記後部上面板
２９において、仕切板５８で囲まれた部分であって駆動
手段２０の側方に位置する通路２９ｄは後方に向かって
下傾している。そして、上記駆動手段２０から洩出する
潤滑油は上記通路２９ｄを流下し、排出パイプ５９とト
ラフ５５を通り回収ケース５６に集められる（図１の矢
印Ｊ）。

【００１７】本発明は、上記一実施例に限定されること
なく発明の要旨内での設計変更が可能であること勿論で
ある。例えば、ベッド上面の一方側のみを低くするので
はなく、二箇所若しくはこれ以上を低くしたベッド上面
の全体形状として傾設してもよい。この場合の洗浄液の
回収口は複数となる。

【００１８】

【効果】本発明は、ベッド上面の少なくとも一方側が低
くなるようベッド上面の全体を傾設し、前記ベッド上面
の高部縁や中間部縁等の適所に洗浄液の噴出口を覗設す
ると共に、前記各噴出口は洗浄液をベッド上面の低い側
へ噴出するカバー板を備え、前記洗浄液は回収後循環部
材にて再度各噴出口へ供給するから、ベッド上面の高部
縁や中間部縁等の適所に配置した噴出口から洗浄液がベ
ッド上面の高部から低い側へ整然と勢い良く流れながら
切粉を搬出排除し、ベッド上面の殆どすべての切粉を搬
出し終った前記洗浄液は切粉を分離回収後、循環部材に
て再度各噴出口へ供給されてベッド上面が洗浄されるな
ど、優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のベッドの平面図である。

【図２】マシニングセンタ（工作機械）の側面図であ
る。

【図３】ベッドの左側面部分断面図である。

【図４】ベッドの部分断面図である。

【図５】噴出口の平面図である。

【図６】図５の６ー６線断面図である。

【図７】ベッドの背面図である。

【符号の説明】

１ マシニングセンタ（工作機械） ３ ベッド ４ 工作機械本体部 ２６ 上面板 ３７ 洗浄装置 ３８ 噴出口 ４３ カバー板

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【手続補正書】

【提出日】平成５年９月２２日

【手続補正１】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】全図

【補正方法】変更

【補正内容】

【図２】

【図３】

【図１】

【図４】

【図５】

【図６】

【図７】

フロントページの続き (72)発明者 重松 俊伸 静岡県磐田市新貝2500番地 ヤマハ発動機 株式会社内 (72)発明者 井村 初夫 静岡県浜松市高塚町4888番地 エンシュウ 株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベッド上面の少なくとも一方側が低くな
   るようベッド上面の全体を傾設し、前記ベッド上面の高
   部縁等の適所に洗浄液の噴出口を覗設すると共に、前記
   各噴出口は洗浄液をベッド上面の低い側へ噴出する構成
   をなし、前記洗浄液は回収後循環部材にて再度各噴出口
   へ供給することを特徴とする工作機械のベッド上面洗浄
   装置。