JP2014161274A - 凍結乾燥麺類及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】麺類を濃度3重量%〜30重量%のトレハロース溶液でボイルするボイル工程と、ボイル後の麺類を容器に充填するとともに該容器に加水して該容器内で麺類を水に浸す浸漬工程と、この水に浸した状態で麺類を凍結させる第1の凍結工程と、この凍結した麺類に調味液を加えてその全体を凍結させる第2の凍結工程と、これを減圧下で凍結乾燥する凍結乾燥工程とを含む凍結乾燥麺類の製造方法である。また、かかる製造方法によって製造された凍結乾燥麺類である。
【選択図】なし
Description
また、特許文献2に記載の製造方法は、デュラム小麦を主原料とするパスタ類については好適ではあるものの、他の麺類の場合について麺とスープとを一緒にして凍結乾燥させると、麺自体が塩辛くなり、風味に劣るという問題があった。
このため、麺とスープとをブロック状に一体化させた即席凍結乾燥麺類の製造方法としては依然改善の余地があった。
すなわち、本発明に係る凍結乾燥麺類の製造方法は、麺類を濃度3重量%〜30重量%のトレハロース溶液でボイルするボイル工程と、ボイル後の麺類を容器に充填するとともに該容器に加水して該容器内で麺類を水に浸す浸漬工程と、この水に浸した状態で麺類を凍結させる第1の凍結工程と、この凍結した麺類に調味液を加えてその全体を凍結させる第2の凍結工程と、これを減圧下で凍結乾燥する凍結乾燥工程と、を含むことを特徴とする。
このボイル工程におけるトレハロース溶液の濃度は3%〜30%の範囲が、後述する実施例1〜7に示すとおり、麺の復元性が良好で、かつ、復元したときに麺線同士が結着せずに十分にほぐれ、しかも、味覚的にも良好な麺類が得られる点で好ましい。3%未満の濃度のトレハロース溶液でボイルした場合では復元性及びほぐれの点で良好ではなく、他方、30%を超える濃度のトレハロース溶液でボイルした場合も復元性及びほぐれの点で劣っている。また、トレハロースの濃度があまりに高いと麺自体に甘味が付き過ぎるため、この点でも好ましくない。
トレハロース溶液の濃度のより好ましい範囲は3%〜25%である。
冷却後、麺類を十分に液切りする。
このとき、パックトレー内の麺類が液面から露出しないようにすることが好ましい。
しかし、本発明者がテストした結果によれば、この場合は復元性が良好ではなかった。このため、本発明においては、水とともに麺類を凍結させ、そこに調味液を加えてさらに凍結させること、言い換えれば凍結工程を少なくとも2度経由することが不可欠である。
しかし、本発明者がテストした結果によれば、この場合も復元性が良好ではなかった。このため、本発明においては、麺類は、第1の凍結工程では水とともに凍結させ、第2の凍結工程では調味液とともに凍結させることが不可欠である。但し、第1の凍結工程で使用する「水」が、調味液ほどではないにしろ一定程度の固形分を含んでいても構わないことは前述のとおりである。
調味液としては、製造する麺類に応じて、ラーメンスープやうどんスープ、だし汁等の広い意味でのスープ類やパスタソースなどのソース類などが挙げられる。この調味液には具材が含まれていてもよい。具材としては、麺類の種類に応じて様々なものを使用することができる。
同様の理由により、第2の凍結工程における凍結処理は、麺類に調味液を加えた後速やかに行うことが好ましい。
ニーダーに、醤油、チキンエキス、魚介エキス、ポークエキス、香味油、食塩、砂糖、オニオンエキス、増粘剤(キサンタンガム)、デキストリン(商品名:アミコールTP)等と、水とを加え、加熱しながら均一になるように混合した。混合後、目開き1.5〜2.0mmの篩にて篩過した。
次いで、そこに、具材として、ねぎ、たまねぎ、人参、コーン、ほうれん草、もやし等を加え、均一に混合して、これを醤油ラーメン用スープベース(調味液)とした。なお、これらの具材のうち予めボイル処理やスチーム処理等の前処理が必要なものについては、前処理を施した後、上記調味液に加えた。
中華麺(生麺)80gを所定のボイル液(真水又は所定濃度のトレハロース水溶液:表1参照)800gで60秒間ボイルして麺を茹でた。次いで、茹で上がった麺を流水に晒して冷却した。冷却時間は5分間であった。冷却の終わった麺は十分に液切し、37gずつ玉取りしてパックトレー(個食用トレー)に充填した。
そこに真水40gを加えてパックトレー内で麺を水に浸漬させた。その際、麺が液面から露出しないようにした。
次いで、パックトレーごと冷凍庫で冷凍して、麺を凍結させた。
麺が完全に凍結した後、パックトレーを冷凍庫から取り出し、凍結した状態の麺に醤油ラーメン用スープベース(調味液)60gを加え(スープベースの液温約40℃)、改めて全体を冷凍庫で冷凍して凍結させた(予備凍結)。そのときの冷凍庫の庫内温度は約−20℃、冷凍時間は8時間であった。
その後、常法により凍結乾燥させて水分を昇華し、実施例1〜7及び比較例1・2の凍結乾燥中華麺を得た(表1参照)。
このようにして得られた実施例1〜7及び比較例1・2は、外観上、ほぼ麺の層と調味液の層とからなる2層構造を形成していた。
実施例1〜7及び比較例1・2をそれぞれ容器に入れ、お湯を注いで復元させた。そして、3名のパネラーからなる官能試験により、お湯を注いでから喫食に適した状態にまで麺が復元するのに要する時間(復元性)、麺が十分にほぐれるまでの時間(ほぐれ)、及び麺の風味について1〜5の5段階評価で評価した。表1の各評価欄に記載の数値はその平均値である。なお、5段階評価の評価基準は表1の下段の表に記載のとおりである。
また、麺のほぐれについては、実施例1〜7の場合はいずれも1分以内にほぐれて格別の差異はなかったが、比較例1・2の場合は1分30秒〜2分程度かかった。
さらに、麺の風味については、実施例1〜6の場合が特に良好で、実施例7及び比較例1・2においては大きな差はみられなかったが、トレハロースの濃度が高いほど麺が甘くなる傾向が認められた。
以上のことから、濃度3〜30%のトレハロース溶液で麺をボイルすることが、麺の復元性、麺がほぐれるまでに要する時間、及び麺の風味のいずれの点においても良好であることが分かる。
しかし、参考例に係る製造方法では、復元性及びほぐれの点で良好な結果は得られなかった。
すなわち、先の実施例に係る製造方法及び参考例に係る製造方法のいずれにおいても、第1の凍結工程終了後の麺の状態をみると、麺の内部の水分が凍結して氷の結晶になっていると考えられる。
ここで、先の実施例に係る製造方法の場合は、第1の凍結工程において麺を水に浸漬させた状態で凍結させるため、同工程終了後の麺の周囲は氷で覆われた状態となる。このため、次工程で調味液を加えても、調味液が麺の内部に侵入することが防止され、麺内部の氷(水分)が調味液に置き換わってしまうことが防止される。この結果、第2の凍結工程において再度凍結させた場合には、麺の内部に再び氷の結晶が形成されたり、あるいは先の氷の結晶が残存していたりして、これを凍結乾燥させると、凍結乾燥後の麺の多孔質の孔が空洞のまま保たれて、お湯を吸収しやすい状態になっていると考えられる(多孔質の孔が調味液の成分等によって閉塞された状態になりにくい)。
これに対し、参考例に係る製造方法の場合は、第1の凍結工程において麺のみを凍結させるため、第1の凍結工程終了後の麺は調味液と直接接触しやすい状態にある。この状態の麺に次工程で調味液を加えると、調味液が麺の内部にまで容易に侵入し、麺内部の氷(水分)と置換されることになるため、この状態で再度の凍結工程(第2の凍結工程)を経て凍結乾燥させると、凍結乾燥後の多孔質化された麺の孔が調味液の成分によって塞がれた状態となりやすい。この結果、これがお湯の吸収を阻害することになり、復元性及びほぐれの点において劣ることになると考えられる。
Claims (5)
- 麺類を濃度3重量%〜30重量%のトレハロース溶液でボイルするボイル工程と、ボイル後の麺類を容器に充填するとともに該容器に加水して該容器内で麺類を水に浸す浸漬工程と、この水に浸した状態で麺類を凍結させる第1の凍結工程と、この凍結した麺類に調味液を加えてその全体を凍結させる第2の凍結工程と、これを減圧下で凍結乾燥する凍結乾燥工程と、を含むことを特徴とする凍結乾燥麺類の製造方法。
- 前記麺類を容器内で水に浸すに当って、前記麺類が水面から露出しないようにした、請求項1に記載の凍結乾燥麺類の製造方法。
- 前記麺類は、ボイルした後容器に充填する前に水で冷却するようにした、請求項1又は2に記載の凍結乾燥麺類の製造方法。
- 前記トレハロース溶液の濃度が3重量%〜25重量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の凍結乾燥麺類の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載された製造方法により製造された凍結乾燥麺類。
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