JP2014160701A - Soi基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】石英基板又はガラス基板の少なくとも片面について研削加工及び/又はラップ加工による粗面化処理を行い、次いでこの粗面化した面について酸性溶液を用いたエッチングによる不透明化処理を行った後、更に該不透明化処理を片面に行った場合にはその反対面を、両面に行った場合にはいずれかの片面を研磨して可視光の直線透過率8%以下の片面研磨基板を作製し、次いで該片面研磨基板をハンドル基板として用いたイオン注入剥離法により、石英基板又はガラス基板上にシリコン薄膜を有するSOI基板を得る。
【選択図】図1
Description
〔1〕 石英基板又はガラス基板の少なくとも片面について研削加工及び/又はラップ加工による粗面化処理を行い、次いでこの粗面化した面について酸性溶液を用いたエッチングによる不透明化処理を行った後、更に該不透明化処理を片面に行った場合にはその反対面を、両面に行った場合にはいずれかの片面を研磨して可視光の直線透過率8%以下の片面研磨基板を作製し、次いで該片面研磨基板をハンドル基板として用いたイオン注入剥離法により、石英基板又はガラス基板上にシリコン薄膜を有するSOI基板を得ることを特徴とするSOI基板の製造方法。
〔2〕 上記不透明化処理は、HF、NH4F、酢酸及び水を含む酸性溶液を用いることを特徴とする〔1〕記載のSOI基板の製造方法。
〔3〕 上記不透明化処理は、HF、NH4F、酢酸及び水を含む酸性溶液を用いた処理の前に、HF水溶液を用いた処理を行うことを特徴とする〔2〕記載のSOI基板の製造方法。
〔4〕 上記石英基板又はガラス基板の不透明化処理された面の算術平均粗さRaが0.1μm以上であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のSOI基板の製造方法。
〔5〕 上記片面研磨処理は、基板の研磨面とは反対面に平均厚さが2μm以上、厚さバラツキが平均厚さの30%以内のワックス層を形成し、該ワックス層を介して基板を定盤上に貼り付けて研磨を行うものであることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のSOI基板の製造方法。
〔6〕 上記ワックス層は、粒径1μm以上のパーティクルを除去したゲル状のワックスを塗布してなることを特徴とする〔5〕記載のSOI基板の製造方法。
〔7〕 上記片面研磨処理は、酸化セリウム粒子を含むスラリー及び/又はコロイダルシリカを含むスラリーを用いることを特徴とする〔5〕又は〔6〕記載のSOI基板の製造方法。
〔8〕 上記片面研磨処理は、上記酸化セリウム粒子を含むスラリーを用いる第1研磨と、コロイダルシリカを含むスラリーを用いる第2研磨の多段階の研磨加工からなり、上記第1研磨の研磨量が上記第2研磨の研磨量以上であることを特徴とする〔7〕記載のSOI基板の製造方法。
〔9〕 上記ワックス層の形成を含む片面研磨処理をクラス3以内のクリーンルーム内で行うことを特徴とする〔5〕〜〔8〕のいずれかに記載のSOI基板の製造方法。
〔10〕 上記片面研磨基板の研磨面の平坦度として、TTV≦8μm、サイトサイズ20mm×20mmでLTV≦2μmであって、表面粗さとして、Ra≦0.3nmであることを特徴とする〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のSOI基板の製造方法。
本発明に係るSOI基板の製造方法は、図1に示すように、シリコン基板への水素イオン(希ガスイオン)注入工程(工程1)、石英基板又はガラス基板の粗面化処理及び不透明化処理工程(工程2)、石英基板又はガラス基板の片面研磨処理工程(工程3)、シリコン基板及び/又は片面研磨基板(片面研磨処理済みの石英基板又はガラス基板)の表面活性化処理工程(工程4)、シリコン基板と片面研磨基板の貼り合わせ工程(工程5)、剥離処理工程(工程6)、シリコン薄膜薄化工程(工程7)の順に処理を行うものである。
まず、単結晶シリコン基板(ドナー基板)1の表面から水素イオン又は希ガス(即ち、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン)イオンを注入し、基板中にイオン注入領域(イオン注入層ともいう)3を形成する(図1(a))。
石英基板又はガラス基板4の片面又は両面について粗面化処理及び不透明化処理を行う(図1(b))。
ここで、石英基板又はガラス基板4は、SOI基板の支持基板(ハンドル基板)となる絶縁性の基板であり、石英基板はSiO2純度の高い透明基板、ガラス基板はSiO2を主体とする基板である。この石英基板又はガラス基板4は、液晶用途等に一般的に使用されているような、インゴットからスライスされた直後の基板を想定している。
まず、ラップ加工では、粗面化のための適当な粗さの粒径、例えば重量平均粒径1〜100μm程度のアルミナ砥粒を用いて、石英基板又はガラス基板4の片面又は両面についてラップ加工を施し、ある程度粗面化させる。なお、ラップ加工に代えて、番手280〜2000のアルミナ砥粒の砥石車を用いた研削加工を施して、ある程度粗面化させてもよい。また、ラップ加工処理及び研削加工処理の両方を行ってもよい。
この研削加工及び/又はラップ加工により石英基板又はガラス基板4の表面は物理的な加工を受けて最終的に不透明化を図る上で必要な表面凹凸が形成される。この段階の石英基板又はガラス基板4の表面の粗さ(凹凸の大きさ)の程度は砥粒の重量平均粒径又は砥石車の番手により調整するとよい。
次に、ラップ加工等により片面又は両面が粗面化された石英基板又はガラス基板4の少なくとも粗面化された面について、酸性溶液を用いてエッチング処理を行い、更に粗面化させる。この場合、まずHF水溶液によるエッチングを行う。このときのHF:H2O混合比率(質量比)を3:97〜10:90程度とし、常温(25℃)で1〜60分間処理する。次に、引き続き、HF、NH4F及び酢酸を含む水溶液でのエッチングを行う。このときのHF:NH4F:酢酸:H2Oの混合比率(質量比)を、1:1:90:8〜20:20:10:50、例えば3:6:78:13とし、常温(25℃)で10〜120分間エッチングする。
本工程では、ラップ加工及び/又は研削加工の所要時間が5〜60分、エッチング所要時間が10〜180分程度であり、従来のようにエッチング処理のみで不透明化処理を行う場合よりも短時間で同等以上のものを得ることができる。
工程2で得られた粗面化された石英基板又はガラス基板4について、更にその片面を研磨して、可視光の直線透過率8%以下、より好ましくは4%以下の片面研磨基板4’を作製する(図1(c))。可視光の直線透過率8%超では、この石英基板又はガラス基板4を用いて製造したSOI基板がデバイス製造ラインにおいて基板の在荷センサーで検出されなくなってしまう。なお、可視光の直線透過率の下限について特に制限はないが、上記粗面化及び不透明化処理の効率を考慮すれば1%以上であることが好ましい。
なお、ワックス層の面内の厚さは光学式膜厚計により測定され、この測定値によりワックス層平均厚さ及びその面内の厚さバラツキを算出する。このとき、使用するワックスは、ウェーハ貼り付けの接着剤として用いられるゲル状ワックスであって、軟化点が50℃以上、針入度は2以上(条件:20℃、200g、60sec)のものを選択するとよい。
まず、使用するゲル状ワックスについて、孔径が好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下のフィルタで濾過して、粒径1μm以上のパーティクルを除去する。
次に、このゲル状ワックスをスピンコーターによって不透明化された石英基板又はガラス基板4の研磨面とは反対面に塗布し、厚さ2μm以上、厚さバラツキ30%以内のワックス層を形成する。
次いで、ワックス層の軟化点以上に加熱しながら、石英基板又はガラス基板4を石英定盤に加圧することにより、該ワックス層を介して石英基板又はガラス基板4の不透明化処理された面を石英定盤上に貼り付ける。
次に、石英基板又はガラス基板4表面(不透明化処理された面かつ石英定盤に貼り付けた面に対して反対側の面)を研磨する。この片面研磨処理は、酸化セリウム粒子を含むスラリー及び/又はコロイダルシリカを含むスラリーを用いることが好ましく、特に、酸化セリウム粒子を含むスラリーを用いる第1研磨と、コロイダルシリカを含むスラリーを用いる第2研磨の多段階の研磨加工とし、上記第1研磨の研磨量が上記第2研磨の研磨量以上であることが好適である。
なお、これらのワックス層の形成を含む片面研磨処理をクラス3以内のクリーンルーム内で行うことが好ましい。
なお、平坦度(TTV、LTV)は、ウェーハ平坦度測定機(平面測定機)で測定される(以下、同じ)。
貼り合わせの前に、シリコン基板1のイオン注入された表面と、片面研磨基板4’の表面(上記研磨された面)との双方もしくは片方に表面活性化処理を施すことが好ましい。
次に、シリコン基板1のイオン注入された表面と片面研磨基板4’の表面(片面研磨面)とを貼り合わせる(図1(d))。このとき、150〜200℃程度に加熱しながら貼り合わせるとよい。以下、この接合体を貼り合わせ基板5という。上述のとおり、シリコン基板1のイオン注入面と片面研磨基板4’の表面の少なくとも一方が活性化処理されていると、より強く接合できる。なお、シリコン基板1の絶縁膜2を、片面研磨基板4’と貼り合わせる前に、エッチングや研磨等により、薄くあるいは除去してもよい。
次に、貼り合わせ基板5におけるイオン注入した部分に熱的エネルギー、機械的エネルギー又は光的エネルギーを付与して、イオン注入領域3に沿って剥離させ、シリコン基板1の一部を半導体層となるシリコン薄膜6(絶縁膜2が設けられ、除去されていない場合は絶縁膜2を有する)として片面研磨基板4’に転写してウェーハ7とする(図1(e))。即ち、片面研磨基板4’に結合したシリコン薄膜6をシリコン基板1から剥離させてSOI層(シリコン層)とする。なお、剥離は、イオン注入領域3に沿って貼り合わせ基板5の一端から他端に向かうへき開によるものが好ましい。
次に、ウェーハ7の片面研磨基板4’上のシリコン薄膜6表層において、上記イオン注入によりダメージを受けて結晶欠陥を生じている層を除去する(図1(f))。
まず、粗面化処理として重量平均粒径20μm以下のアルミナ砥粒による両面ラップ加工を施した6インチ石英基板を用意し、次いで不透明化処理としてこの基板を5質量%のHF水溶液に30分間浸漬させた後、HF3質量%、NH4F6質量%、酢酸78質量%、水13質量%の酸性溶液に10分間浸漬させた(以下、この処理基板を基板Aと略す)。
次に、以下の作業をクラス3(JIS規格JIS B 9920、ISO規格ISO 14644−1)のクリーンルーム内で行った。
まず、ゲル状ワックスとして、日化精工製KN30449A(濃度30質量%、軟化点73℃、針入度2(条件:20℃、200g、60秒))を使用した。このゲル状ワックスは予め孔径1μmのフィルタによる濾過を施している。
スピンコーティング装置により基板Aにゲル状ワックスを塗布した。このとき、ワックスが塗布された基板(以下、基板Bと略す)のワックス層の厚さは約3μm、面内の厚さバラツキは10%であった。
次に、定盤に基板Bをワックス層を介して軽く貼り付けた後、基板Bを90℃まで加熱し、基板Bと定盤に荷重をかけることで貼り付けを行った。
この後、基板Bに対し、酸化セリウムスラリーを用いた片面研磨を研磨厚さ20μm、コロイダルシリカスラリーを用いた片面研磨を研磨厚さ1μmで実施した後、研磨後の基板を定盤から取り外した。この基板の片面研磨面の反対面(即ち、不透明化処理面)の算術平均粗さRaは0.3μmであった。
(粗面化処理条件及び不透明化処理条件)
粗面化処理として重量平均粒径20μm以下のアルミナ砥粒による両面ラップ加工を採用した。また、不透明化処理としてHF:1〜30質量%、NH4F:1〜30質量%、酢酸:1〜90質量%、水:1〜90質量%の混合比(合計で100質量%)で変化させた酸性溶液を用いてエッチング処理を行った。
図2に示すように、片面研磨基板の不透明化処理面の表面粗さと可視光の直線透過率は反比例する関係にあり、不透明化処理面の算術平均粗さRaを0.1μm以上にすると直線透過率が8%以下となることが分かる。
片面研磨加工する基板として、粒径20μm以下のアルミナ砥粒による両面ラップ加工を施した6インチ石英基板を用意し、この基板を5質量%のHF水溶液に30分間浸漬させた(以下、基板A’と略す)。
次に、以下の作業をクラス3(JIS規格JIS B 9920、ISO規格ISO 14644−1)のクリーンルーム内で行った。
まず、液状ワックスとして、日化精工製KN30449A(濃度30質量%、軟化点73℃、針入度2(条件:20℃、200g、60秒))を使用した。この液状ワックスは予め孔径1μmのフィルタによる濾過を施している。
スピンコーティング装置により基板A’に液状ワックスを塗布した。このとき、ワックスが塗布された基板(以下、基板B’と略す)のワックス層の厚さは約3μm、面内の厚さバラツキは10%であった。
次に、定盤に基板B’をワックス層を介して軽く貼り付けた後、基板B’を90℃まで加熱し、基板B’と定盤に荷重をかけることで貼り付けを行った。
この後、基板B’に対し、酸化セリウムスラリーを用いた片面研磨を研磨厚さ20μm、コロイダルシリカスラリーを用いた片面研磨を研磨厚さ1μmで実施した後、研磨後の基板を定盤から取り外した。この基板の片面研磨面の反対面の算術平均粗さRaは0.08μmであり、0.1μmに達していなかった。
片面研磨加工する基板として、粒径20μm以下のアルミナ砥粒による両面ラップ加工を施した6インチ石英基板(以下、基板A”と略す)を用意した。
次に、以下の作業をクリーン化されていない一般的な作業場で実施した。
まず、基板A”を予め70℃に加熱した後、固形ワックスを基板A”表面に押し当てる形で基板A”にワックスを塗布した(以下、これを基板B”と略す)。
次に、定盤に基板B”をワックス層を介して軽く貼り付けた後、基板B”を90℃まで加熱し、基板B”と定盤に荷重をかけることで貼り付けを行った。
この後、基板B”に対し、酸化セリウムスラリーを用いた片面研磨を研磨厚さ20μm、コロイダルシリカスラリーを用いた片面研磨を研磨厚さ1μmで実施した後、研磨後の基板を定盤から取り外した。この基板の片面研磨面の反対面の算術平均粗さRaは0.08μmであり、0.1μmに達していなかった。
2 絶縁膜(シリコン酸化膜)
3 イオン注入領域
4 石英基板又はガラス基板
4’ 片面研磨基板
5 貼り合わせ基板(接合体)
6 シリコン薄膜
7 ウェーハ
8 SOI基板
Claims (10)
- 石英基板又はガラス基板の少なくとも片面について研削加工及び/又はラップ加工による粗面化処理を行い、次いでこの粗面化した面について酸性溶液を用いたエッチングによる不透明化処理を行った後、更に該不透明化処理を片面に行った場合にはその反対面を、両面に行った場合にはいずれかの片面を研磨して可視光の直線透過率8%以下の片面研磨基板を作製し、次いで該片面研磨基板をハンドル基板として用いたイオン注入剥離法により、石英基板又はガラス基板上にシリコン薄膜を有するSOI基板を得ることを特徴とするSOI基板の製造方法。
- 上記不透明化処理は、HF、NH4F、酢酸及び水を含む酸性溶液を用いることを特徴とする請求項1記載のSOI基板の製造方法。
- 上記不透明化処理は、HF、NH4F、酢酸及び水を含む酸性溶液を用いた処理の前に、HF水溶液を用いた処理を行うことを特徴とする請求項2記載のSOI基板の製造方法。
- 上記石英基板又はガラス基板の不透明化処理された面の算術平均粗さRaが0.1μm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のSOI基板の製造方法。
- 上記片面研磨処理は、基板の研磨面とは反対面に平均厚さが2μm以上、厚さバラツキが平均厚さの30%以内のワックス層を形成し、該ワックス層を介して基板を定盤上に貼り付けて研磨を行うものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のSOI基板の製造方法。
- 上記ワックス層は、粒径1μm以上のパーティクルを除去したゲル状のワックスを塗布してなることを特徴とする請求項5記載のSOI基板の製造方法。
- 上記片面研磨処理は、酸化セリウム粒子を含むスラリー及び/又はコロイダルシリカを含むスラリーを用いることを特徴とする請求項5又は6記載のSOI基板の製造方法。
- 上記片面研磨処理は、上記酸化セリウム粒子を含むスラリーを用いる第1研磨と、コロイダルシリカを含むスラリーを用いる第2研磨の多段階の研磨加工からなり、上記第1研磨の研磨量が上記第2研磨の研磨量以上であることを特徴とする請求項7記載のSOI基板の製造方法。
- 上記ワックス層の形成を含む片面研磨処理をクラス3以内のクリーンルーム内で行うことを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項記載のSOI基板の製造方法。
- 上記片面研磨基板の研磨面の平坦度が、TTV≦8μm、サイトサイズ20mm×20mmでLTV≦2μmであって、表面粗さRa≦0.3nmであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載のSOI基板の製造方法。
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