JP2014159615A - オートマチックトランスミッション部材用冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷延鋼板にプレス打抜き加工を施す際に冷延鋼板のいずれの表面を上面または下面にしてプレス打抜き加工を施しても、平坦性に優れたATプレートを得ることができるAT部材用冷延鋼板を提供する。
【解決手段】C:0.15〜0.25質量%、Si:0.25質量%以下、Mn:0.3〜0.9質量%、P:0.03質量%以下、S:0.015質量%以下、Al:0.01〜0.08質量%、N:0.008質量%以下、Cr:0.05〜0.5質量%、Ti:0.01〜0.05質量%およびB:0.001〜0.005質量%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物である鋼スラブを熱間圧延し、得られた熱延鋼板を冷間圧延してなる冷延鋼板であって、鋼板の一方表面の引張残留応力σaと鋼板の他方表面の引張残留応力σcとの差の絶対値(|σa−σc|)が100N/mm2以下であり、降伏応力(YS)が850N/mm2以下であることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、オートマチックトランスミッション部材用冷延鋼板およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、例えば、セパレートプレート、フリクションプレート、バッキングプレートなどの自動車のオートマチックトランスミッション部材に好適に使用することができるオートマチックトランスミッション部材用冷延鋼板およびその製造方法に関する。
自動車のオートマチックトランスミッション(以下、「AT」という)を構成するセパレートプレート、フリクションプレート、バッキングプレートなどのプレート(以下、「ATプレート」という)は、一般に、JIS G3311に記載のS35C炭素鋼に代表される機械構造用鋼からなる冷延鋼板などの鋼板に円環形状にプレス打抜き加工を施すことによって製造されている。鋼板にプレス打抜き加工を施すことによって製造されたATプレートの平坦度は、トルク伝達性を向上させる観点から、通常、0.15mm以下であることが望まれている。
平坦度が0.15mm以下であるATプレートを得るための冷延鋼板(以下、AT部材用冷延鋼板という)として、所定組成を有する鋼スラブを熱間圧延し、得られた熱延鋼板に焼鈍処理を施さずに当該熱延鋼板を30%以上の圧下率で冷間圧延することによって得られ、一方表面には圧縮残留応力を有し、他方表面には引張残留応力を有する冷延鋼板が提案されている(例えば、特許文献1の請求項1参照)。
前記冷延鋼板は、従来のS35C炭素鋼に代表される機械構造用鋼からなる冷延鋼板と同等またはそれ以上の耐摩耗性を有するとともに、打抜き加工性およびプレス打ち抜き後の平坦性に優れているものである。
しかし、前記冷延鋼板を用いる場合、プレス打ち抜き後の平坦性に優れたATプレートを得るためには、圧縮残留応力を有する面を上面(ダレ面側)とし、引張残留応力を有する面を下面(カエリ面側)とした状態で当該冷延鋼板にプレス打抜き加工を施す必要があるため(例えば、特許文献1の段落[0037]参照)、前記冷延鋼板にプレス打ち抜き加工を施す際に、当該冷延鋼板のいずれの表面が圧縮残留応力を有する面または引張残留応力を有する面であるのかを逐一確認しなければならないという煩雑な操作を必要とするのみならず、当該冷延鋼板のいずれの表面が圧縮残留応力を有する面または引張残留応力を有する面であるのかが、外観上判別しがたいことから、誤って上下面を逆にして冷延鋼板にプレス打ち抜き加工を施すおそれがある。
したがって、近年、冷延鋼板にプレス打抜き加工を施す際に、冷延鋼板のいずれの表面を上面(ダレ面側)または下面(カエリ面側)にしてプレス打抜き加工を施した場合であっても、平坦性に優れたATプレートを得ることができる冷延鋼板の開発が待ち望まれている。
特許第4438074号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、冷延鋼板にプレス打抜き加工を施す際に、冷延鋼板のいずれの表面を上面(ダレ面側)または下面(カエリ面側)にしてプレス打抜き加工を施した場合であっても、平坦性に優れたATプレートを得ることができるAT部材用冷延鋼板およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、
(1) C:0.15〜0.25質量%、Si:0.25質量%以下、Mn:0.3〜0.9質量%、P:0.03質量%以下、S:0.015質量%以下、Al:0.01〜0.08質量%、N:0.008質量%以下、Cr:0.05〜0.5質量%、Ti:0.01〜0.05質量%およびB:0.001〜0.005質量%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物である鋼スラブを熱間圧延し、得られた熱延鋼板を冷間圧延してなる冷延鋼板であって、鋼板の一方表面の引張残留応力σaと鋼板の他方表面の引張残留応力σcとの差の絶対値(|σa−σc|)が100N/mm2以下であり、降伏応力(YS)が850N/mm2以下であることを特徴とするAT部材用冷延鋼板、
(2) 鋼板の一方表面の引張残留応力σaが0〜300N/mm2であり、鋼板の厚さ方向における中心部の圧縮残留応力σbが50〜300N/mm2であり、鋼板の他方表面の引張残留応力σcが0〜300N/mm2である前記(1)に記載のAT部材用冷延鋼板、
(3) AT部材用冷延鋼板を製造する方法であって、鋼スラブの熱延仕上げ温度をAr3変態点以上の温度に調整し、500〜600℃の巻取り温度で当該鋼スラブを熱間圧延した後、得られた熱延鋼板に焼鈍処理を施すことなく、当該熱延鋼板を35〜50%の圧下率で冷間圧延することにより、鋼板の一方表面の引張残留応力σaと鋼板の他方表面の引張残留応力σcとの差の絶対値(|σa−σc|)を100N/mm2以下に調整し、降伏応力(YS)を850N/mm2以下に調整することを特徴とする前記(1)または(2)に記載のAT部材用冷延鋼板の製造方法、
(4) ロール径が300〜600mmの圧延ワークロールを用いて熱延鋼板を冷間圧延する前記(3)に記載のAT部材用冷延鋼板の製造方法、および
(5) 鋼板の一方表面の引張残留応力σaを0〜300N/mm2に、鋼板の厚さ方向における中心部の圧縮残留応力σbを50〜300N/mm2に、鋼板の他方表面の引張残留応力σcを0〜300N/mm2に調整する前記(3)または(4)に記載のAT部材用冷延鋼板の製造方法
に関する。
本発明によれば、冷延鋼板にプレス打抜き加工を施す際に、冷延鋼板のいずれの表面を上面(ダレ面側)または下面(カエリ面側)にしてプレス打抜き加工を施した場合であっても、平坦性に優れたATプレートを得ることができるAT部材用冷延鋼板およびその製造方法が提供される。
実施例7〜9および比較例12〜20で用いられたレベラーの概略説明図である。 実施例7で得られた試験片の残留応力の測定結果を示す図である。 実施例7〜9ならびに比較例12〜14および比較例18〜20で得られたAT部材用冷延鋼板の残留応力分布に関する概略説明図である。
本発明のAT部材用冷延鋼板は、前記したように、C:0.15〜0.25質量%、Si:0.25質量%以下、Mn:0.3〜0.9質量%、P:0.03質量%以下、S:0.015質量%以下、Al:0.01〜0.08質量%、N:0.008質量%以下、Cr:0.05〜0.5質量%、Ti:0.01〜0.05質量%およびB:0.001〜0.005質量%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物である鋼スラブを熱間圧延し、得られた熱延鋼板を冷間圧延することによって得られる冷延鋼板であり、鋼板の一方表面の引張残留応力σaと鋼板の他方表面の引張残留応力σcとの差の絶対値(|σa−σc|)が100N/mm2以下であり、降伏応力(YS)が850N/mm2以下であることを特徴とする。
本発明のAT部材用冷延鋼板は、このように、鋼スラブが特定組成を有するのみならず、鋼板の一方表面の引張残留応力σaと鋼板の他方表面の引張残留応力σcとの差の絶対値(|σa−σc|)が100N/mm2以下であり、降伏応力(YS)が850N/mm2以下であることから、当該冷延鋼板にプレス打抜き加工を施す際に、当該冷延鋼板のいずれの表面を上面(ダレ面側)または下面(カエリ面側)にしてプレス打抜き加工を施した場合であっても、平坦性に優れたATプレートを得ることができる。
したがって、従来の一方表面には圧縮残留応力を有し、他方表面には引張残留応力を有する冷延鋼板を用いた場合には、当該冷延鋼板にプレス打ち抜き加工を施す際に、当該冷延鋼板のいずれの表面が圧縮残留応力を有する面または引張残留応力を有する面であるのかを逐一確認しなければならないという煩雑な操作を必要とするのみならず、当該冷延鋼板のいずれの表面が圧縮残留応力を有する面または引張残留応力を有する面であるのかが、外観上判別しがたいことから、誤って上下面を逆にして当該冷延鋼板にプレス打ち抜き加工を施すおそれがあるのに対し、本発明のAT部材用冷延鋼板を用いた場合には、いずれの面を上下面にしてもプレス打ち抜き加工を施すことができるので、効率よくATプレートを製造することができる。さらに、本発明のAT部材用冷延鋼板を用いた場合には、AT部材用冷延鋼板に円環形状にプレス打抜き加工を施す際に当該円環形状の大きさおよび形状に左右されずに、平坦度に優れたATプレートを得ることができる。
本発明に用いられる鋼スラブは、C:0.15〜0.25質量%、Si:0.25質量%以下、Mn:0.3〜0.9質量%、P:0.03質量%以下、S:0.015質量%以下、Al:0.01〜0.08質量%、N:0.008質量%以下、Cr:0.05〜0.5質量%、Ti:0.01〜0.05質量%およびB:0.001〜0.005質量%を含有し、その残部がFeおよび不可避不純物である。
鋼スラブにおける炭素(C)の含有率は、AT部材用冷延鋼板の耐摩耗性を向上させる観点から、0.15質量%以上であり、鋼スラブを熱間圧延することによって得られる熱延鋼板のパーライトの生成量を少なくし、当該熱延鋼板を軟質化させることにより、焼鈍処理を省略することができるようにする観点から、0.25質量%以下である。
このように、本発明に用いられる鋼スラブは、例えば、S35C炭素鋼などの従来の機械構造用鋼と対比して炭素(C)の含有率が低いことから、当該鋼スラブを熱間圧延して得られる熱延鋼板のパーライトの生成量が少なく、当該熱延鋼板が軟質化するので、冷間圧延前に、当該熱延鋼板を軟質化させるとともに当該熱延鋼板に含まれるセメンタイト(Fe3C)を球状化させるための焼鈍処理を省略することができる。
ケイ素(Si)は、鋼の溶製工程における脱酸元素として用いられる。鋼スラブにおけるケイ素(Si)の含有率は、脱酸素のためには0.25質量%までで十分である。また、鋼スラブにおけるケイ素(Si)の含有率が0.25質量%を超えると、熱延鋼板の酸洗処理性の低下および酸洗後のスケール残存による表面欠陥の原因になり、ATプレートとしての表面品質が低下するようになる。
マンガン(Mn)は、鋼の熱間脆性の防止およびマトリックスの強化のために添加される。鋼スラブにおけるマンガン(Mn)の含有率は、0.3質量%に満たない場合には、マトリックスの強度が不足し、耐摩耗性が低くなり、0.9質量%を超えると過度に硬質化して加工性が損なわれる。
リン(P)は、鋼スラブにおける不純分である。鋼スラブにおけるリン(P)の含有率が高い場合には、粒界の強度低下を招き、スラブ割れに起因する表面欠陥の発生要因となり、ATプレートの表面品質を損なうことから、0.03質量%以下である。
イオウ(S)は、MnSを形成して熱間脆性を抑制する性質を有する。鋼スラブにおけるイオウ(S)の含有率が高すぎる場合には、MnSを起点とする加工割れの原因となり、ATプレートでは打抜き加工における面性状の低下を招くとともに、MnSを起点として摩耗を生じやすくなり、耐摩耗性が低下することから、鋼スラブにおけるイオウ(S)の含有率は、0.015質量%以下である。
アルミニウム(Al)は、鋼の溶製過程における脱酸剤として用いられる。アルミニウム(Al)は、鋼中のNをAlNとして固定する作用を有する。鋼スラブにおけるアルミニウム(Al)の含有率は、0.01質量%未満では、脱酸作用が不足し、0.08質量%を超えると、鋼の清浄度が損なわれ、表面疵が発生し、鋼板の表面品質が低下する。
窒素(N)は、鋼スラブに不可避的に混入する元素である。鋼スラブにおける窒素(N)の含有率が高くなると、AlN、TiNなどの窒化物の生成量が増加し、過度の硬質化を招くことから、鋼スラブにおける窒素(N)の含有率は、0.008質量%以下である。
クロム(Cr)は、鋼中に固溶し、その一部は、炭化物(析出粒子)を形成し、固溶強化および析出強化の作用をする。この作用により、ATプレートに要求される硬さ(Hv≧230)を確保するのに必要な冷間圧延での圧下率(冷延率)を低く設定することができる。冷延率を低くすることは、冷延鋼板の板厚中心部に生じる圧縮残留応力を低減し、プレス打抜き後のATプレートの平坦性を改善するのに有効である。
また、鋼スラブにクロム(Cr)を含有させることにより、焼入れ性が改善され、炭化物が析出することによって耐摩耗性が向上する。焼入れ性が改善されることにより、ATプレートの外周部などの所要部分のみに特に高い耐摩耗性が要求される場合でも、レーザー焼入れ、高周波焼入れなどによる選択的な焼入れ強化(いわゆる局部焼入れ)により、硬さの調整を効果的に行なうことができる。
上記効果を得るためには、鋼スラブにおけるクロム(Cr)の含有率は、0.05質量%以上であり、過度に増量すると加工性、衝撃特性、疲労特性などが低下することから、0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下である。
チタン(Ti)は、一般にTiSを形成し、熱間脆性を回避する作用を有する。さらに、チタン(Ti)は、鋼中でTiC、Ti(C,N)などの微細析出物を形成し、熱延鋼板のフェライト組織を細粒化することから、炭化物が均一に微細に分散し、耐摩耗性が高められる。
上記効果を得るためには、鋼スラブにおけるチタン(Ti)の含有率は、0.01質量%以上を必要とするが、多量に添加した場合には、微細析出物の過剰生成によって過度の硬質化を招くことから、0.05質量%以下である。
ボロン(B)は、その多くが固溶Bとして存在し、固溶Bによる焼入れ性の向上、粒界の強化作用およびフェライト組織の細粒化作用により、マトリックスを強化し、耐摩耗性が高められる。この効果を得るためには、鋼スラブにおけるボロン(B)の含有率は、0.001質量%以上、好ましくは0.002質量%以上であるが、0.005質量%を超えると、フェライト組織の過度の細粒化による硬質化が生じることから、0.005質量%を上限とする。
本発明に用いられる鋼スラブにおいて、前記元素の残部は、鉄(Fe)および不可避不純物である。不可避不純物は、通常、鋼スラブの溶製工程で不可避的に混入するものである。不可避不純物としては、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。鋼スラブにおける不可避不純物の含有率は、当該不可避不純物の種類によって異なることから一概には決定することができず、本発明の目的が阻害されない範囲内であればよいが、例えば、ニッケル(Ni)および銅(Cu)については、それぞれ0.03質量%以下であればよい。
本発明のAT部材用冷延鋼板は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、製鋼炉で所定の化学組成となるように鋼を溶製する。溶製された鋼を造塊・分塊圧延するか、または連続鋳造することにより、鋼スラブを製造する。製造された鋼スラブを必要により表面手入れをした後、熱間圧延する。なお、鋼スラブを連続鋳造によって製造する場合には、連続鋳造によって得られた鋼スラブをそのまま加熱炉に装入して熱間圧延してもよい。
次に、鋼スラブの熱延仕上げ温度をAr3変態点以上の温度に調整し、500〜600℃の巻取り温度で当該鋼スラブを熱間圧延した後、得られた熱延鋼板に焼鈍処理を施すことなく、35〜50%の圧下率で当該熱延鋼板を冷間圧延することにより、鋼板の一方表面の引張残留応力σaと鋼板の他方表面の引張残留応力σcとの差の絶対値(|σa−σc|)を100N/mm2以下に調整し、降伏応力(YS)を850N/mm2以下、好ましくは820N/mm2以下、より好ましくは800N/mm2以下に調整する。
鋼スラブを熱間圧延する際には、熱延効率を高める観点から、鋼スラブの熱延仕上げ温度をAr3変態点直上の温度に調整する。また、熱延鋼板の巻取り温度は、熱間圧延による過度の硬質化を抑制する観点から、500℃以上であり、AT部材用冷延鋼板の耐摩耗性を確保する観点から、600℃以下、好ましくは550℃以下である。
以上のようにして鋼スラブを熱間圧延することによって得られる熱延鋼板が有するフェライト組織の結晶粒径は、熱延鋼板の過度の硬質化を回避する観点から、5μm以上であることが好ましく、AT部材用冷延鋼板の耐摩耗性を確保する観点から、15μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。熱延鋼板が有するフェライト組織の結晶粒径は、鋼スラブにおける炭素(C)、チタン(Ti)およびボロン(B)の含有率を前記した範囲内となるように調節し、熱間圧延条件を調節することによって容易に調整することができる。熱延鋼板は、前記フェライト組織の結晶粒径を有するので、耐摩耗性に優れたAT部材用冷延鋼板を得ることができる。
なお、前記結晶粒径は、JIS G0552「附属書2(規定)交差線分(粒径)による判定方法」に基づいて測定された結晶粒径である。
次に、熱延鋼板に必要により酸洗処理を施すことにより、当該熱延鋼板の表面に存在しているスケールを除去した後、焼鈍処理を施すことなく冷間圧延する。
熱延鋼板を冷間圧延する際の圧下率は、230以上の硬さ(Hv)および0.4μm以下の表面粗さ(Ra)を有するAT部材用冷延鋼板を得る観点から、35%以上であり、また、降伏応力(YS)を850N/mm2以下に調整するとともに、AT部材用冷延鋼板にプレス打抜き加工を施すことにより平坦性に優れたATプレートを製造する観点から、50%以下である。
前記ATプレートの平坦性は、AT部材用冷延鋼板にプレス打抜き加工を施す際の円環形状の直径および桟部の狭幅の長さによって影響を受けやすいが、本発明のAT部材用冷延鋼板を用いた場合には、当該円環形状の直径および桟部の狭幅の長さにほとんど左右されずに、AT部材用冷延鋼板に円環形状にプレス打抜き加工を施すことにより、平坦性に優れたATプレートを得ることができる。
熱延鋼板を冷間圧延する際に用いられる圧延ワークロールのロール径は、冷延鋼板の一方表面の引張残留応力σaと鋼板の他方表面の引張残留応力σcとの差の絶対値(|σa−σc|)を100N/mm2以下に制御する観点から、300〜600mmである。
なお、圧延ワークロールのロール径は、鋼板の一方表面の引張残留応力σaが0〜300N/mm2であり、鋼板の厚さ方向における中心部の圧縮残留応力σbが50〜300N/mm2であり、鋼板の他方表面の引張残留応力σcが0〜300N/mm2であるAT部材用冷延鋼板を得る観点から、300mm以上である。圧延ワークロールのロール径は、圧延時の操業性を向上させる観点から、600mm以下、好ましくは500mm以下、より望ましくは450mm以下である。
本発明においては、冷延鋼板の一方表面の引張残留応力σaと鋼板の他方表面の引張残留応力σcとの差の絶対値(|σa−σc|)が100N/mm2以下であり、降伏応力(YS)が850N/mm2以下である点に、1つの大きな特徴がある。本発明においては、このように冷延鋼板の一方表面の引張残留応力σaと鋼板の他方表面の引張残留応力σcとの差の絶対値(|σa−σc|)および降伏応力(YS)が制御されているので、冷延鋼板にプレス打抜き加工を施す際に、冷延鋼板のいずれの表面を上面(ダレ面側)または下面(カエリ面側)にしてプレス打抜き加工を施した場合であっても、平坦性に優れたATプレートを得ることができる。冷延鋼板の一方表面の引張残留応力σaと鋼板の他方表面の引張残留応力σcとの差の絶対値(|σa−σc|)は、冷延鋼板にプレス打抜き加工を施す際に、冷延鋼板のいずれの表面を上面(ダレ面側)または下面(カエリ面側)にしてプレス打抜き加工を施した場合であっても、平坦性に優れたATプレートを得る観点から、100N/mm2以下、好ましくは80N/mm2以下、より好ましくは60N/mm2以下である。
また、冷延鋼板にプレス打抜き加工を施す際に、冷延鋼板のいずれの表面を上面(ダレ面側)または下面(カエリ面側)にしてプレス打抜き加工を施した場合であっても、平坦性に優れたATプレートを得る観点から、冷延鋼板の一方表面の引張残留応力σaは、好ましくは0〜300N/mm2、より好ましくは0〜200N/mm2であり、鋼板の厚さ方向における中心部の圧縮残留応力σbは、好ましくは50〜300N/mm2、より好ましくは50〜200N/mm2であり、鋼板の他方表面の引張残留応力σcは、好ましくは0〜300N/mm2、より好ましくは0〜200N/mm2である。
冷延鋼板の一方表面の引張残留応力σa、鋼板の厚さ方向における中心部の圧縮残留応力σbおよび鋼板の他方表面の引張残留応力σcは、前記冷延鋼板を製造する際の製造条件および圧延ワークロールのロール径を調整することによって容易に調節することができる。
なお、冷延鋼板の一方表面の引張残留応力σa、鋼板の厚さ方向における中心部の圧縮残留応力σbおよび鋼板の他方表面の引張残留応力σcは、以下の実施例に記載の方法によって求めることができる。
熱延鋼板を冷間圧延する際、当該冷間圧延は、必要により、酸洗処理前のプレ圧延と酸洗処理後の仕上げ圧延との2段階で行なってもよい。プレ圧延を行なった場合には、鋼スラブの表面に存在しているスケールが破砕されることから効率よくスケールを除去することができることから、酸洗処理に要する処理時間を短縮せることができるという利点がある。プレ圧延と仕上げ圧延とを行なう場合、酸洗処理用の酸洗槽の前にプレ圧延機を配設し、当該酸洗槽の後に仕上げ圧延機を配設することにより、プレ圧延と酸洗処理と仕上げ圧延とを連続的に効率よく行なうことができる。
熱延鋼板を2段階で冷間圧延する場合、プレ圧延の際の圧下率は、鋼スラブの表面に存在するスケールが当該鋼スラブ内に押込まれることによって当該表面に疵が生じないようにする観点から、10〜20%であることが好ましい。また、仕上げ圧延の際の圧下率は、冷延鋼板の一方表面の引張残留応力σaと鋼板の他方表面の引張残留応力σcとの差の絶対値(|σa−σc|)を100N/mm2以下に制御するとともに、降伏応力(YS)を850N/mm2以下に調整する観点から、プレ圧延の際の圧下率と仕上げ圧延の際の圧下率との総和が35〜50%となるように調整することが好ましい。
次に、前記で得られた冷延鋼板には、必要により、調質圧延を施してもよい。調質圧延は、冷延鋼板の形状を修正するとともに冷延鋼板の残留応力を調整することを目的として行なわれる圧延である。調質圧延による冷延鋼板の伸率は、冷延鋼板の過度の硬質化を回避する観点から、1%以下であることが好ましい。調質圧延の際には、冷延鋼板の応力緩和の観点から、直径が300mm以上のワークロールを用いることが好ましい。
なお、本発明のAT部材用冷延鋼板は、調質圧延の後に、レベラー加工を施してもよい。レベラーとしては、例えば、上下に配列された複数本のローラーで構成されるレベラーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
以上のようにして得られる本発明のAT部材用冷延鋼板を用いれば、当該冷延鋼板のいずれの表面を上面(ダレ面側)または下面(カエリ面側)にしてプレス打抜き加工を施した場合であっても、平坦性に優れたATプレートを得ることができる。本発明のAT部材用冷延鋼板にプレス打ち抜き加工を施す方法は、特に限定されず、一般に採用されている方法で当該冷延鋼板にプレス打ち抜き加工を施すことができる。前記AT部材用冷延鋼板より得られるATプレートは、平坦性に優れているので、従来のような熱処理を施さなくてもよいが、必要により、熱処理を施してもよい。
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1〜6および比較例1〜11
転炉および脱ガス処理装置により溶製および成分の調整を行なった溶鋼を連続鋳造することにより、鋼スラブ(板厚:200mm)を製造した。当該鋼スラブの組成を表1に示す。なお、表1中、「tr」は検出限界値以下であったことを示す。
Figure 2014159615
なお、表1において、比較例1〜7は、C、Cr、TiおよびBのうち、いずれかの元素の含有率が本発明の範囲から外れている比較例であり、比較例8〜11は、従来の鋼スラブ(S35C炭素鋼:C含有量規格は0.32〜0.38質量%)が用いられた比較例である。
次に、前記鋼スラブを用い、以下のA工程(焼鈍なし)またはB工程(焼鈍あり)を行なうことにより、AT部材用冷延鋼板を作製した。
A工程:熱間圧延→酸洗→冷間圧延(1段または2段圧延)→調質圧延→精整(検査)
B工程:熱間圧延→酸洗→焼鈍→冷間圧延(1段圧延)→調質圧延→精整(検査)
なお、各実施例および各比較例において、熱間圧延、焼鈍処理、冷間圧延および調質圧延の条件は、以下のとおりである。
(熱間圧延)
・実施例1〜6
加熱温度:1230℃、熱延仕上げ温度:860℃、巻取り温度:540℃
・比較例1〜7
加熱温度:1230℃、熱延仕上げ温度:860℃、巻取り温度:540℃
・比較例8〜11
加熱温度:1230℃、熱延仕上げ温度:850℃、巻取り温度:600℃
(焼鈍処理)
焼鈍方式:タイトコイル焼鈍(TCA)
処理温度:700℃
処理時間:10時間
(冷間圧延)
表2に示す条件で行なった。
(調質圧延)
調質圧延による伸率:0.8%
調質圧延の際に用いたワークロールの直径:350mm
また、熱間圧延後の鋼板における結晶粒径は、JIS G0522付属書(2)に記載の「交差線分(粒径)による判定法」に基づいて調べた。その結果を表2に示す。
Figure 2014159615
次に、前記で得られた冷延鋼板の材料特性を以下の方法に基づいて調べた。その結果を表3に示す。
(1)比摩耗量
大越式迅速摩耗試験機〔(株)東京試験機製作所製、形式:OAT−U〕を用いて以下の試験条件で冷延鋼板の摩耗部の体積を測定した。
(試験条件)
・試験環境:室温(14℃)の大気
・回転円板:SK5/400Hv(焼入れ焼戻しにより調質)
・円板の半径:30mm、円板の厚さ:3.0mm
・摩擦距離(L):200m
・負荷荷重(P):61.7N
・摩擦速度:4m/sec
次に、測定された冷延鋼板の摩耗部の体積から摩耗量(A)(mm3)を求め、式:
[比摩耗量(mm3/kg・m)]
=[摩耗量(A)/〔負荷荷重(P)×摩耗距離(L)〕]
に基づいて比摩耗量を求め、これを耐摩耗性の指標とした。
(2)プレス打抜き加工性
以下の打抜き加工条件に基づいて前記で得られた冷延鋼板にプレス打抜き加工を施し、円環形状のATプレートを得た。
(打抜き加工条件)
・プレス機:200トンメカプレス
・ストロークの長さ:250mm
・ストローク数:25spm
・クリアランス:10%(板厚:1.8mm)
・打抜き寸法:内径105mm、外径127mm
次に、打抜かれたATプレートの長手方向(圧延方向)の端面を走査型電子顕微鏡(倍率:20倍)で観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
〇:打抜き端面が美麗(ムシレおよびクラックの発生なし)
×:打抜き端面にムシレまたはクラックが1個以上あり
Figure 2014159615
表3に示された結果から、各実施例で得られた冷延鋼板は、いずれも、各比較例で得られた従来の冷延鋼板と対比して、比摩耗量が少ないことから耐摩耗性に優れており、また、AT部材用冷延鋼板に要求される硬さ(Hv≧230)および表面粗さ(Ra≦0.4μmを満足するものであることがわかる。さらに、各実施例で得られた冷延鋼板は、いずれも、プレス打抜き加工性にも優れていることがわかる。
実施例7〜9および比較例12〜20
実施例7には実施例1と同じ組成を有する鋼スラブを、実施例8および比較例12〜20には実施例2と同じ組成を有する鋼スラブを、実施例9には実施例3と同じ組成を有する鋼スラブを用いた。さらに、それらの鋼スラブを用い、前記A工程を行なうことにより、AT部材用冷延鋼板を作製した。なお、冷間圧延の際に使用した圧延ワークロールのロール径と冷延率を表4に示す。また、調質圧延の際には、直径が350mmのワークロールを用い、調質圧延による伸率を0.8%に調整した。
次に、図1に示されるように、レベラー3を用いて前記で得られた冷延鋼板4にレベラー加工を施した。より具体的には、図1に示されるように、上に3個のロール1(各ロールの直径:90mm)が配置され、下に2個のロール2(各ロールの直径:90mm)が配置され、各ロール1,1,1の中心間距離およびロール2,2の中心間距離が105mmに設定されたレベラー3を用いた。このレベラー3の入側インターメッシュを4mmに設定し、出側インターメッシュを3mmに設定して冷延鋼板4を矢印A方向に通板した。なお、インターメッシュは、出側および入側のいずれにおいても押込み量を意味する。
次に、前記AT部材用冷延鋼板を用いて以下の材料特性を調べた。その結果を表4に示す。
(1)降伏応力
冷延鋼板からJIS Z2241の規格に従った5号試験片を採取し、引張試験を行って降伏応力を求めた。
(2)残留応力
前記で得られたAT部材用冷延鋼板から短冊状の試験片を切り出し、片側の表層から1回におよそ0.05mmずつ塩化第二鉄溶液でエッチングを行ない、エッチング前後の反りの変化(曲率の変化)を測定することにより、残留応力を求めた〔参考:米谷茂著「残留応力の発生と対策」、(株)養賢堂、1987年、49頁〕。
なお、前記で得られた試験片を用いて残留応力を測定した結果の一例として、実施例7で得られた試験片の残留応力の測定結果を図2に示す。図2に示されるように、一方表面の引張残留応力σaが80N/mm2で、厚さ方向における中心部の圧縮残留応力σbが200N/mm2で、他方表面の引張残留応力σcが120N/mm2であることがわかる。
(3)平坦度
前記で得られた冷延鋼板に、前記「(2)プレス打抜き加工性」に記載の打抜き加工条件に基づいてプレス打抜き加工を施し、円環形状のATプレートを得た。得られたATプレートを定盤上に置き、レーザー変位計でATプレートの周方向の高さ分布を測定し、その最大高さと最小高さの差を平坦度と定義した。AT部材用冷延鋼板の打抜き直後の平坦度は、ATプレートの平坦度規格(0.15mm以下であること)に準じ、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:ATプレートの平坦度が0.10mm未満
△:ATプレートの平坦度が0.10mm以上0.15mm未満
×:ATプレートの平坦度が0.15mm以上
なお、表4では、残留応力に正と負の符号を付して表記する。正の残留応力は引張応力、負の残留応力は圧縮応力であることを意味する。
Figure 2014159615
表4に示された結果から、各実施例で得られたAT部材用冷延鋼板は、いずれも、各比較例で得られたAT部材用冷延鋼板と対比して、降伏応力(YSが)850N/mm2以下であるとともに引張残留応力σaと引張残留応力σcとの差の絶対値(|σa−σc|)が100N/mm2以下であることから、ATプレートの平坦度が0.10mm以下であり、優れた平坦性を有することがわかる。
また、実施例7〜9で得られたAT部材用冷延鋼板は、図3に示されるような応力分布Aを有することから、図3に示されるような応力分布Bを有する従来の比較例12〜14で得られたATプレートと対比して、平坦度の規格(0.15mm以下)を満たしていることがわかる。
なお、応力分布Aは、σaおよびσcのいずれもが引張応力の応力分布を示す(実施例7〜9)。また、応力分布Bは、σaが圧縮応力、σcが引張応力の応力分布を示す(比較例12〜14および比較例18〜20)。
実施例10〜12
実施例7〜9において、AT部材用冷延鋼板にプレス打抜き加工を施す際に上下面をひっくり返した後にプレス打抜き加工を施したこと以外は、実施例7〜9と同様の操作を行ない、得られた冷延鋼板を用いて、実施例7〜9と同様にしてATプレートを作製した。得られたATプレートの平坦度を前記と同様にして調べたところ、それぞれ実施例7〜9と同様の結果が得られた。
このことから、実施例7〜9で得られた冷延鋼板は、表裏面のいずれの表面を上面または下面にしてプレス打抜き加工を施した場合であっても、冷延鋼板の板厚方向の中心部に対して表裏面でほぼ対照的な引張応力を有し、引張残留応力σaと引張残留応力σcとの差の絶対値(|σa−σc|)が100N/mm2以下であることから、平坦性に優れたATプレートを得ることができることがわかる。
本発明のAT部材用冷延鋼板は、例えば、セパレートプレート、フリクションプレート、バッキングプレートなどの自動車のATプレートに好適に使用することができるものである。
1:ロール
2:ロール
3:レベラー
4:冷延鋼板

Claims (5)

  1. C:0.15〜0.25質量%、Si:0.25質量%以下、Mn:0.3〜0.9質量%、P:0.03質量%以下、S:0.015質量%以下、Al:0.01〜0.08質量%、N:0.008質量%以下、Cr:0.05〜0.5質量%、Ti:0.01〜0.05質量%およびB:0.001〜0.005質量%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物である鋼スラブを熱間圧延し、得られた熱延鋼板を冷間圧延してなる冷延鋼板であって、鋼板の一方表面の引張残留応力σaと鋼板の他方表面の引張残留応力σcとの差の絶対値(|σa−σc|)が100N/mm2以下であり、降伏応力(YS)が850N/mm2以下であることを特徴とするオートマチックトランスミッション部材用冷延鋼板。
  2. 鋼板の一方表面の引張残留応力σaが0〜300N/mm2であり、鋼板の厚さ方向における中心部の圧縮残留応力σbが50〜300N/mm2であり、鋼板の他方表面の引張残留応力σcが0〜300N/mm2である請求項1に記載のオートマチックトランスミッション部材用冷延鋼板。
  3. オートマチックトランスミッション部材用冷延鋼板を製造する方法であって、鋼スラブの熱延仕上げ温度をAr3変態点以上の温度に調整し、500〜600℃の巻取り温度で当該鋼スラブを熱間圧延した後、得られた熱延鋼板に焼鈍処理を施すことなく、当該熱延鋼板を35〜50%の圧下率で冷間圧延することにより、鋼板の一方表面の引張残留応力σaと鋼板の他方表面の引張残留応力σcとの差の絶対値(|σa−σc|)を100N/mm2以下に調整し、降伏応力(YS)を850N/mm2以下に調整することを特徴とする請求項1に記載のオートマチックトランスミッション部材用冷延鋼板の製造方法。
  4. ロール径が300〜600mmの圧延ワークロールを用いて熱延鋼板を冷間圧延する請求項3に記載のオートマチックトランスミッション部材用冷延鋼板の製造方法。
  5. 鋼板の一方表面の引張残留応力σaを0〜300N/mm2に、鋼板の厚さ方向における中心部の圧縮残留応力σbを50〜300N/mm2に、鋼板の他方表面の引張残留応力σcを0〜300N/mm2に調整する請求項3または4に記載のオートマチックトランスミッション部材用冷延鋼板の製造方法。
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