JP2007211260A - オートマチックトランスミッション部材用冷延鋼板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動車のオートマチックトランスミッション部材用冷延鋼板及び製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.15-0.25%,Si:0.25%以下,Mn:0.3-0.9%,P:0.03%以下,S:0.015%以下,Al:0.01-0.08%,N:0.008%以下,Cr:0.05-0.5%,Ti:0.01-0.05%,B:0.002-0.005%,残部Fe及び不可避不純物からなるスラブの熱延鋼板を、焼鈍することなく冷間圧延してなる冷延鋼板である。所望により冷間圧延の後、レベラーで鋼板の片側面が圧縮応力、他方の面が引張応力となるように残留応力の調整を行う。Cr含有により良好な焼入れ性,樹脂接着性を有する。比較的低い冷延率(≧30%)で所要の硬さ(Hv≧230)が得られ、冷延率の低減により鋼板の残留応力が軽減し、打ち抜き成形品の平坦性が向上する。平坦性を確保し難い大径サイズ,桟部の狭幅サイズに対して上記レベラーによる平坦性の改良効果は顕著である。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車のオートマチックトランスミッションの構成部材であるセパレートプレート,フリクションプレート,バッキングプレート等として好適に使用される冷延鋼板及び製造方法に関する。
自動車のオートマチックトランスミッション(「AT」と略称)を構成するセパレートプレート、フリクションプレート及びバッキングプレート等の部材(以下「ATプレート」)は、鋼板をほぼ円環形状にプレス打抜きした成形品であり、フリクションプレートとセパレートプレートとはシート状摩擦材(摩擦紙)を介して交互に重ね合わせられ、これにバッキングプレート等を組付けることによりトルク伝達機構が構成される。
ATプレート用鋼板は一定の耐摩耗性およびプレス成形のための平滑表面を必要とし、硬さ(Hv):230以上、表面粗さRa:0.4μm以下、を満たすことが要求される。そのATプレート用素材として、従来JIS G3311所載の機械構造用鋼(代表的にはS35C)からなる冷延鋼板が使用されてきた。その製造工程は次のようである。
「製鋼→連続鋳造→熱間圧延→酸洗→焼鈍→冷間圧延→調質圧延→精整」
この製造工程において、ATプレートに要求される硬さ及び表面粗度(Hv≧230,Ra≦0.4μm)を充足させるために、冷間圧延での圧下率は50%以上を要する。冷間圧延に先立って「焼鈍」を行うのは、熱延ままの鋼板では硬質のため、冷間圧延(圧下率≧50%)の安定操業を確保しがたく、また熱延鋼板の粗大なパーライト組織が冷延鋼板に持ち越されるとプレス打ち抜き性が悪く、製品ATプレートの打ち抜き面にムシレ・ザラツキ等を生じ易くなるからである。このような不具合を回避するための上記焼鈍処理(熱延鋼板の軟質化及び炭化物の球状化処理)は、バッチ方式のタイトコイル焼鈍(TCA)として行われる。
また、冷延鋼板をプレス打ち抜きして得たATプレートによるトランスミッションの湿式クラッチ板組み立て工程において、フリクションプレートは、その板面に摩擦紙が接着されたうえ、セパレートプレートと重ね合わせられる。摩擦紙は、繊維基材(天然パルプ、耐熱性有機合成繊維等)を抄紙したペーパーの打ち抜き成形品に熱硬化性樹脂を含浸させたものである。摩擦紙のフリクションプレートに対する接着は、樹脂接着剤(例えばフェノール系樹脂)をプレート表面に塗布し、これに摩擦紙を重ねてホットプレート等で加熱加圧接着することにより行われる。
上記ATプレート用冷延鋼板の改良についてはいくつかの提案がなされている。
特開2001−040448公報 特開2001−073073公報 特開2004−292939公報
上記S35C等の機械構造用鋼(JIS G3311)を用いた従来のATプレート用冷延鋼板の製造工程では、冷間圧延前の焼鈍を必須とし、しかもその処理はバッチ方式で、長時間(均熱:約10時間)を要することから、コストアップの大きな要因となっている。
ATプレートの平坦度は、トルク伝達機能上重要な特性であり、その平坦度はプレス打ち抜き直後の状態で、0.15mm以下であることが要求されている。しかし、近年の自動車の高排気量化や軽量化につれて、ATプレートの大径化、打ち抜き桟部の狭幅サイズ化が進み、ATプレートの形状も複雑化する傾向にある。それに伴ってプレス打ち抜きして得られるATプレートの板面のひずみ(変形)の発生傾向が顕著となり、所要の平坦性を保証することが困難となっている。
また、ATプレートの用途により、プレートの外周部等の一部分のみに、特に耐摩耗性が要求される場合がある。そのような用途では冷延鋼板を所定形状に打ち抜いた後、レーザー焼入れや高周波焼入れ等によって必要な部分のみを焼入れ強化して所要の硬さに調整する必要があり、それにはより良好な焼入れ性が要求される。
更に、フリクションプレート(板面に摩擦紙接着)をセパレートプレートと組み合わせて湿式クラッチ板を構成し安定した機能を確保するには、フリクションプレートと摩擦紙との十分な接着力(フリクションプレートに塗布された樹脂接着剤層の耐剥離性)を必要とする。しかし鋼板素地は一般に有機高分子樹脂との親和性に乏しいので、接着性を良くするための前処理として、鋼板表面を粗面化し、微細凹凸によるアンカー効果として樹脂接着剤の耐剥離性(摩擦紙の接着強度)を高めるようにしている。その粗面化処理として、化成処理による皮膜形成と酸液によるエッチング処理および防錆処理等からなる化学的手法が行われているが、その処理工程は煩瑣であり、また廃液処理に要するコスト負担が大きい等の問題を抱えている。
前記特許文献には、焼鈍の省略、焼入れ性の改善等についてが開示されているが、ATプレートの平坦性や樹脂接着性等の問題を含め、これらの諸要求に十分対応し得るものとはいえない。本発明は、従来の冷延鋼板の製造工程で必須とされている冷間圧延前の焼鈍処理を省略して製造コストを大きく削減しながら、従来材(S35C材)と同等もしくはそれ以上の耐摩耗性及び打抜き加工性を確保し、更にプレス打ち抜き後の平坦性を安定確保すると共に、部分的な焼入れ強化を効果的に達成するための良好な焼入れ性を具備せしめ、併せて前記クラッチ板の組み立てに必要な樹脂に対する接着性(密着性)を良好化して粗面化処理工程の簡素化およびコスト削減等を可能にするATプレート用冷延鋼板を提供するものである。
本発明に係るATプレート用冷延鋼板及びその製造方法は次のとおりである。
(1)質量%で、C:0.15〜0.25%,Si:0.25%以下,Mn:0.3〜0.9%,P:0.03%以下,S:0.015%以下,Al:0.01〜0.08%,N:0.008%以下,Cr:0.05〜0.5%,Ti:0.01〜0.05%,B:0.002〜0.005%,残部Fe及び不可避不純物からなる鋼スラブを熱間圧延し、その熱延鋼板を焼鈍処理することなく、圧下率30%以上で冷間圧延してなる冷延鋼板(請求項1)。
(2)上記1項のATプレート用冷延鋼板のCr量は、所望により0.05〜0.3%に調整される(請求項2)。
(3)上記1項又は2項のATプレート用冷延鋼板の冷間圧延における圧下率は、所望により30〜50%の範囲に調整される(請求項3)。
(4)上記1項〜3項のいずれか1項のATプレート用冷延鋼板は、所望により、片側の面が引張残留応力(σ)を有し、もう一方の面が圧縮残留応力(σ)を有するように調整されている(請求項4)。
(5)上記4項のATプレート用冷延鋼板における引張残留応力(σ)と圧縮残留応力(σ)との差(σ−σ)が600N/mm以下であるのが望ましい(請求項5)。
(6)鋼スラブを、熱延仕上げ温度:Ar変態点以上、巻取り温度:500〜600℃で熱間圧延し、焼鈍処理することなく冷間圧延することを特徴とする上記1項〜3項のいずれかに記載のオートマチックトランスミッション部材用冷延鋼板の製造方法(請求項6)。
(7)鋼スラブを、熱延仕上げ温度:Ar変態点以上、巻取り温度:500〜600℃で熱間圧延し、焼鈍処理することなく冷間圧延し、その冷延鋼板を調質圧延した後、レベラー加工を施すことにより、鋼板の片側の面に引張残留応力、他方の面に圧縮残留応力をもたせることを特徴とする上記4項又は5項に記載のオートマチックトランスミッション部材用冷延鋼板の製造方法(請求項7)。
本発明の冷延鋼板の鋼組成は、従来材(S35C炭素鋼)より低C組成であり、このC量制限効果として熱延鋼板のパーライト量が少なく、熱延鋼板が軟質化されることにより、冷間圧延前における熱延鋼板の軟質化及び炭化物(FeC)の球状化を目的とする焼鈍処理の省略を可能にしている。
上記C量の規定と併せて、Cr及びTiとBの複合添加による鋼組織の制御とそれに伴う材質改善効果は、本発明の最も特徴とする点である。
Tiの添加によりTiC,Ti(C,N)等の微細析出物(大きさ:約500〜3000Å)が鋼中に形成され、熱延鋼板のフェライト組織が著しく細粒化される。熱延鋼板では、炭化物がフェライト粒界に優先的に析出するため、細粒化の効果として炭化物は均一微細に鋼中に分散し、耐摩耗性に有利な組織が形成される。またBとTiの共存により鋼中の固溶B量が増加する。これはTiNがBNよりも生成し易く、BNの生成反応が抑制されることによる。固溶Bは、鋼板の焼入れ性を高めるほか、粒界の強化作用及び熱延鋼板のフェライト組織を細粒化する作用を有し、これによりマトリックスが強化され耐摩耗性が一段と高められる。これらの効果により、ATプレート用冷延鋼板として、従来材(S35C材)並の耐摩耗性等の要求特性(Hv≧230,Ra0.4μm以下)および美麗な打抜き面性状等が確保される。
Crは、熱延鋼板のマトリックスを強化する機能を有するので、Crを含有しない場合よりも冷間圧延における圧下率(冷延率)を低く設定することが可能となる。従来のATプレート用冷延鋼板の製造(S35C等の炭素鋼使用)では、要求硬さ(Hv;230以上)を満たすために、約50%以上という高い冷延率を必要としているが、本発明では上記効果(Crのマトリックス強化機能)により、30%以上の冷延率で要求硬さを満たすことが可能となる。この低冷延率化により、板厚中心部に生じる圧縮残留応力をそれだけ軽減することができ、この圧縮残留応力の軽減効果として、プレス打ち抜きにおける変形の発生が緩和され、ATプレートの平坦性の確保が容易となる。
またCrは鋼中に固溶して冷延鋼板の焼入れ性を高め、レーザー焼入れ、高周波焼入れ等によるプレート外周部等の所要領域部分の焼入れ強化を可能にする。
更に、Crの添加効果として鋼板表面に対する樹脂接着剤の接着性(耐剥離性)が高められる。この接着性向上効果は、鋼板表面を酸液(濃度調整された塩酸溶液等)で処理(酸洗処理)することにより得られる。これにより、従来の化成処理及び酸洗処理などの組み合わせからなる複雑な粗面化処理に比し、工程が簡素化されコスト負担が大きく軽減される。一般に炭素鋼板では酸洗処理(エッチング作用による粗面化)を施しても樹脂の接着性改善効果は乏しいが、本発明鋼板における酸洗処理による接着性の改善効果は良好である。これは、酸洗処理において粗面化と併せてその表面に、樹脂との親和性の高いクロム化合物(水酸化物等)が生成し、樹脂接着剤との結合が強化されるものと推測される。
また、プレス打ち抜き前の冷延鋼板にレベラー加工を施して鋼板の板厚方向の残留応力分布を前記のように調整することは、ATプレートの平坦性の改善に顕著を奏する。これは、レベラー加工による調整された残留応力分布とプレス打ち抜き時に発生する応力との相殺効果として、プレス打ち抜き成形品(ATプレート)の応力分布の幅が小さくなることによるものと考えられる(後述)。本発明によれば、前記Cr添加による冷延率の低減(冷延鋼板の残留応力の低減緩和)とこのレベラー加工による残留応力調整の重畳効果として、大径サイズ、桟部の狭幅サイズ等のひずみを生じ易い形状のATプレートにおいても、平坦度規格(≦0.15mm)を容易に保証することが可能となる。
本発明の鋼組成の限定理由は次のとおりである。元素含有量はすべて質量%である。
C:0.15〜0.25%
冷延鋼板の硬度・耐摩耗性を高める点からはC量が高いほど有利であるが、0.25%を超えると、熱延鋼板の炭化物の球状化と軟質化のための焼鈍を省略することができなくなる。一方C量が低過ぎると、従来材であるS35C並の耐摩耗性を確保することが困難となるので、これを上限とする。
Si:0.25%以下
Siは、鋼の溶製工程における脱酸元素として添加される。そのための添加量は0.25%までで十分である。またそれを超える添加は、熱延鋼板の酸洗処理性の低下および酸洗後のスケール残存による表面欠陥の原因ともなり、ATプレートとしての表面品質を低下させるので、これを上限とする。
Mn:0.3〜0.9%
Mnは、鋼の熱間脆性の防止及びマトリックスの強化のために添加される。0.3%に満たないとその効果が少なく、マトリックスの強度が不足し、耐摩耗性が低くなる。増量により効果を増すが、0.9%を超えると過度に硬質化して加工性が損なわれる。
P:0.03%以下
Pは不純分であり、鋼中に多量に存在すると、粒界の強度低下を招き、スラブ割れに起因するへげ疵の発生要因となり、ATプレートの表面品質を損なう。0.03%以下であれば、実質的な悪影響を生じないので、これを上限とする。
S:0.015%以下
SはMnSを形成して熱間脆性を抑制する効果を有する反面、多すぎるとMnSを起点とする加工割れの原因となり、ATプレートでは打抜き加工における面性状の低下を招く。また、MnSを起点とする摩耗を生じ易くなり耐摩耗性が低下する。0.015%以下であれば、その実害は回避されるので、これを上限とする。
Al:0.01〜0.08%
Alは鋼の溶製過程における脱酸剤として添加される。また鋼中のNをAlNとして固定する作用も有する。0.01%未満では脱酸作用が不足し、他方0.08%を超えると、鋼の清浄度が損なわれ、表面疵が発生し鋼板の表面品質を低下させる原因となる。
N:0.008%以下
Nは不可避的に混入する元素である。含有量が多くなると、窒化物(AlN,TiN等)等の生成量が増加し、過度の硬質化を招くので、0.008%以下であることを要する。
Cr:0.05〜0.5%
Crは、鋼中に固溶し、一部は炭化物(析出粒子)を形成して固溶強化および析出強化の作用をなす。このマトリックス強化機能により、ATプレートに要求される硬さ(Hv≧230)を確保するのに必要な冷間圧延での圧下率(冷延率)を低く設定することが可能となる。冷延率を低くすることは、冷延鋼板の板厚中心部に生じる圧縮残留応力を低減し、プレス打ち抜き後のATプレートの平坦性を改善するのに有効である。
また、Crの固溶効果として焼入れ性が改善され、炭化物の析出効果として耐摩耗性が高められる。焼入れ性が改善されることにより、ATプレートの外周部等の所要部分のみに特に高い耐摩耗性が要求される場合にも、レーザー焼入れ、高周波焼入れ等による選択的な焼入れ強化(所謂局部焼入れ)により、硬さ調整を効果的に行うことができる。
更にCrは、プレート表面の樹脂接着剤に対する親和性を高め、クラッチ板の組み立てに必要な接着剤層の密着性(耐剥離性)の向上に奏効する。
上記効果を得るには、0.05%以上の含有を必要とする。増量により効果を増すが、過度の増量は、加工性,衝撃特性、疲労特性等の低下を付随するので、0.5%を超えてはならない。好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.2%以下である。
Ti:0.01〜0.05%
Tiは一般的にはTiSを形成して熱間脆性を回避する作用を有する。更に前記したとおり、Tiは鋼中でTiCやTi(C,N)等の微細析出物を形成して熱延鋼板のフェライト組織を細粒化し、その効果として炭化物が均一微細に分散し耐摩耗性が高められる。この効果を確保するために0.01%以上の添加を必要とする。他方多量に添加すると、微細析出物の過剰生成により過度の硬質化を招くので、0.05%を上限とする。
B:0.002〜0.005%
Bは、前記のようにその多くが固溶Bを形成し、固溶Bによる焼入れ性の向上、粒界の強化作用及びフェライト組織の細粒化作用により、マトリックスを強化し、耐摩耗性を高める効果を有する。この効果を得るには少なくとも0.002%の添加が必要である。しかし0.005%を超えると、フェライト組織の過度の細粒化による硬質化をきたすので、これを上限とする。
なお、Ni,Cu等は通常の溶製工程で不可避的に混入するが、それぞれ0.03%以下の範囲であれば、実害はなく混在が許容される。
次に本発明のATプレートの製造工程について説明する。
[鋼の溶製・鋳造]
まず製鋼炉で所定の化学組成に溶製した鋼を、造塊・分塊圧延により又は連続鋳造によりスラブとし、スラブの表面手入れを適宜実施した後、熱間圧延する。連続鋳造による場合、熱鋳片(スラブ)をそのまま加熱炉に装入して熱間圧延するようにしてもよい。
[熱間圧延]
熱間圧延は、常法に従って行なわれ、熱延鋼板の品質及び熱延効率等の点から、熱延仕上げ温度はAr変態点直上に調整される。巻取りは500〜600℃の温度域で行なうのがよい。500℃未満の低温巻取りでは、結晶粒径が過度に微細化して熱延鋼板の硬質化をきたし、一方600℃を超える高温巻取りでは炭化物が凝集し易く、高耐摩耗性を得るのに必要な炭化物の均一分散の確保が困難になると共に、フェライト組織が粗大化するからである。好ましくは500〜550℃である。
上記熱延鋼板は、結晶粒径(JIS G0552「附属書2(規定)交差線分(粒径)による判定方法」)が5〜15μm(実質的に10μmを超えない)の細粒化されたフェライト組織であることを要する。5μmに満たない微細なフェライト組織では鋼の過度の硬質化をきたし、他方15μmを超える粗い組織では耐摩耗性の不足等の不具合を招くことになる。この結晶粒径(5〜15μm)は、前記C量の規制と一定量のTi,Bを複合含有する鋼組成の効果として前記熱延条件により安定して確保される。このように細粒化されたフェライト組織であることにより、最終製品(冷延鋼板)における鋼中の炭化物がより均一微細に分散され、耐摩耗性やプレス打抜き端面の性状改善の改善効果を保証することが可能となる。
[冷間圧延]
熱延鋼板は、酸洗処理で表面のスケールを除去された後、冷間圧延に付される。冷間圧延における圧下率は30%以上に設定される。これは、ATプレート用冷延鋼板等として必要な硬度・表面粗さ(Hv≧230,Ra≦0.4μm)を確保するためである。
圧下率を高くするほど硬度の増加をみるが、それに伴い板厚中心部に生じる圧縮残留応力が増大し、プレス打ち抜き後のATプレートの平坦性に悪い影響を与える。特に、大径サイズ,桟部の狭幅サイズのATプレートのプレス打ち抜きを行う場合は、その影響が大きくなる。このため、50%以下に制限することが望ましい。冷間圧延後、残留応力制御のためのレベラー加工を実施する場合は、やや高い圧下率が許容されるが、この場合も約60%程度までに制限するのが操業の安定性の点から有利である。
なお、冷間圧延に使用される圧延ロールは、圧下率30%以上の冷間圧延で所要の表面粗さが確保されるように、ロールの表面粗度管理が適宜実施される。
上記冷間圧延は、所望により、酸洗処理前のプレ圧延と処理後の仕上げ圧延との2段階に分けて実施される。プレ圧延(酸洗処理前)によるスケールの破砕効果として脱スケール性が大きく改善され、酸洗処理時間の大幅な短縮とコスト低減が可能となる。この場合、プレ圧延(酸洗処理前)と仕上げ圧延(酸洗処理後)は連続させなくても構わないが、酸洗槽の入側にプレ圧延機を、出側に仕上げ圧延機をそれぞれ設置し、プレ圧延-酸洗処理-仕上げ圧延の連続構成とすることが生産効率の面から有利である。
上記2段階圧延におけるプレ圧延(酸洗処理前)の圧下率は25%以下であることを要する。これを超える高い圧下率でプレ圧延すると、スケールの鋼板表面への押込みによる疵が発生し表面品質を損なうおそれがあるからである。好ましくは10〜20%である。仕上げ圧延(酸洗処理後)における圧下率は、全圧下率(=プレ圧延の圧下率+仕上げ圧延の圧下率)が30%以上となるように設定される。全圧下率をこのように調整するのは、前記の場合(冷間圧延を酸洗後の1段階で実施)と同じように、ATプレートとしての要求特性(硬さ:Hv≧230,表面粗さ:Ra≦0.4μm)を充足させるためである。
[調質圧延]
冷延鋼板の形状修正と残留応力の緩和を目的として調質圧延を行う。その伸率は、1%以下に調整するのが望ましい。調質圧延による形状修正効果は、伸率1%でほぼ飽和し、それを超える高い伸率とすることは、鋼板を不必要に硬質化させるだけである。調質圧延は、応力緩和効果の観点から、ワークロールとして300mm以上の大径ロールを適用するのが好ましい。
[精整]
本発明では、精整工程で通常行われる検査(板厚・板幅等の諸元寸法,表面疵等)のほか、所望により、プレス打ち抜き成形品(ATプレート)の平坦度の向上を目的として、冷延鋼板の板厚方向の残留応力を調整するためのレベラー加工が行われる。
冷延鋼板は、板厚方向の中央部が圧縮の残留応力、表面層が引張の残留応力という応力分布を有する。これは、冷間圧延過程で、鋼板の板厚方向中央部が表面層より大きく塑性変形を起こそうとし、表面層はその塑性変形を拘束しようとするからである。本発明者らは、この冷延鋼板の応力分布をレベラー加工で調整し、その板厚方向の残留応力分布と、プレス打ち抜きで得られるATプレートの平坦度との関係について鋭意詳細な調査を行った結果、図5に示すように、鋼板の片側の面(図では「オモテ面」)が圧縮の残留応力、他方の面(同「ウラ面」)が引張の残留応力となるように予めレベラー加工を施しておき、その圧縮応力側の面をプレス打ち抜き時の上面(ダレ側)、引張応力側の面を下面(カエリ面)としてプレス打ち抜きすることにより、プレス打ち抜き後の平坦性を良好にすることができるという知見を得た。
レベラー加工は、例えば、図8に示すように上下に配列された複数本のローラー(5)で構成されるレベラー(ローラーレベラー)等が使用され、残留応力の制御は入側および出側のそれぞれのインターメッシュ量を調整して通板することにより行われる。このレベラー加工による平坦性の改善効果は、片側の面の圧縮応力σ(負符号)と、他方の面の引張応力σ(正符号)との差Δσ(=σ−σ)が600N/mm以下となるように応力調整することにより顕著に発現する。
レベラー加工による平坦度改善のメカニズムは必ずしも明確ではないが、次のように推測される。プレス打ち抜き加工では、図6(同図1:平面図,同図2:X-X矢視断面)に示すように、打ち抜き成形品であるATプレート(3)の上面(ダレ面側)のコーナー部aに引張応力が発生し、金型(4)で固定された下面(カエリ面側)のコーナー部bは圧縮応力が発生する。そこで、レベラー加工で応力調整した鋼板の引張残留応力の面をカエリ面、圧縮残留応力の面をダレ面とする向きにプレス打ち抜きを行えば、鋼板の残留応力分布とプレス打ち抜き時に生じる応力とが相殺され、成形品(3)の応力分布は、図7に模式的に示すように、幅の小さい平坦化されたパターンとなる。このような応力分布の改善効果として、ATプレートが大径サイズのものや桟部が狭幅サイズのもの等でも、平坦度規格(平坦度≦0.15mm)を容易に満たすことが可能となる。
上記プレス打ち抜きの成形品として得られる円環形状のATプレートは、調質のための熱処理を必要とせず、そのまま(硬引き材のまま)使用することができる。またプレートの外周部等の指定された領域の選択的な焼入れ強化が要求される場合、レーザー焼入れ、高周波焼入れ等により効果的に硬さ調整を達成することができる。
オートマチック・トランスミッションを構成するクラッチ板の組み立てにおいて、フリクションプレートは、セパレートプレートと組み合わせられる前に、樹脂接着剤が塗布され、該接着剤層を介して摩擦紙が接着される。その工程の概略は次のようである。
「板面の脱脂洗浄→粗面化処理→接着剤塗布→接着剤層乾燥(溶剤揮発)→摩擦紙接着」
上記工程中、接着剤塗布前の粗面化処理は、前記のようにプレート表面に対する接着剤層の密着力を高めるための処理である。本発明の冷延鋼板からなるフリクションプレートを使用する場合の粗面化処理は、濃度を調整された酸液(例えば20%塩酸水溶液、液温60℃)を処理液とする酸洗処理(酸液浸漬→水洗→乾燥)により達成され、この酸洗処理で樹脂接着剤層の良好な密着性(耐剥離性)が得られる。そのメカニズムの詳細は十分解明されてはいないが、前記のようにプレートの粗面化(酸液のエッチング作用による微小ピットの形成)の効果のほかに、プレート表面に樹脂との親和性の良いクロム化合物が生成することによるものと考えられる。酸洗処理の後、接着剤の塗布および乾燥(溶剤揮発)ついでホットプレート等による摩擦紙の加熱加圧接着が行われる。
[1]供試鋼板の製造
転炉及び脱ガス処理装置により溶製・成分調整を行なった溶鋼を連続鋳造に付してスラブ(200mm厚)とし、下記のA工程(焼鈍省略)又はB工程(焼鈍実施)によりATプレート用冷延鋼板を得る。
A:熱延→酸洗→冷延(1段又は2段圧延)→調質圧延→精整(検査)
B:熱延→酸洗→焼鈍→冷延(1段圧延) →調質圧延→精整(検査)
(1)鋼組成
表1参照。No.1〜6は発明例、No.11〜17は、C,Cr,Ti,Bのいずれかの元素の含有量(下線付記)が本発明の規定から外れている比較例、No.21〜24は従来材(S35C相当材)である。
(2)熱間圧延
(2.1) No.1〜6
加熱温度:1230℃,熱延仕上げ温度:860℃,巻取り温度:540℃
熱延板の板厚:2.8〜4.0mm
(2.2)No.11〜17
加熱温度:1230℃,熱延仕上げ温度:860℃,巻取り温度:540℃
熱延板の板厚:3.3〜5.1mm
(2.3) No.21〜24
加熱温度:1230℃,熱延仕上げ温度:850℃,巻取り温度:600℃
熱延板の板厚:4.0mm
(3)焼鈍処理
No.21〜24(S35C材)において実施(No.1〜6及びNo.11〜17は焼鈍なし)。
焼鈍方式:タイトコイル焼鈍(TCA)
処理温度:700℃
処理時間:10Hr
(4)冷間圧延
(4.1)No.1〜6
圧下率(2段圧延の場合は合計圧下率):35〜55%
製品鋼板厚さ:1.8mm
(4.2)No.11〜17
圧下率(2段圧延の場合は合計圧下率):45〜65%
製品鋼板厚さ:1.8mm
(4.3)No.21〜24
圧下率:55%
製品鋼板厚さ:1.8mm
(5)調質圧延
調質圧延率(伸率):0.8%
ロール径:350mm
[2]諸特性の評価試験
上記供試冷延鋼板について金属組織の観察および下記の試験を行った。
(1)耐摩耗性試験
大越式迅速摩耗試験機による(図1参照)。
下記条件の試験後、摩耗痕の幅(b)を測定し、摩耗部の体積から摩耗量A(mm)を算出する。耐摩耗性は比摩耗量[=A/(P×L) (mm/kg・m)] で評価した。
試験環境:室温(14℃),大気中
回転円板:SK5/400Hv(焼入れ焼戻しにより調質)
円板半径(r)30mm,円板厚(B)3.0mm
摩耗距離(L):200m
負荷荷重(P):61.7N
摩耗速度(V):4m/sec
(2)プレス打抜き性試験
セパレートプレートをプレス打ち抜きし、打抜き端面性状を評価した。
(2.1)打抜き加工条件
プレス機:200トンメカプレス
ストローク長さ:250mm
ストローク数:25spm
クリアランス:10%(板厚1.8mm)
打抜き寸法:内径105 mm×外径127 mm
(2.2)打ち抜き端面性状の評価
観察方法:走査型電子顕微鏡(倍率×20)により判定
観察断面:鋼板の長手方向断面
評価基準:〇…打抜き端面美麗(ムシレやクラックの発生なし)
×…打抜き端面にムシレ・クラック(1個以上)が認められる
(3)レベラー加工による残留応力制御及び平坦度試験
発明例No.2の冷延鋼板を被加工材とし次の条件で行った。
(3.1)レベラー加工条件及び残留応力の測定
図8に示すように、上3段と下2段に配列したロール構成を有するレベラー(ロール径d:いずれも90mm,ロール中心間距離s:105mm)を使用。このレベラーの入り側インターメッシュと出側インターメッシュを種々の値に設定して鋼板を通板(矢符方向)することにより残留応力分布を制御した。
レベラー加工後、短冊状の測定試験片を切り出し、片側の表層より塩化第2鉄溶液でエッチングし、エッチング前後の反りの変化(曲率の変化)を測定することにより、残留応力を求めた(参考:米谷茂著「残留応力の発生と対策」養賢堂発行)。
(3.2)平坦度の測定
レベラー加工後、プレス打ち抜きして得たセパレートプレートを定盤上に置き、レーザー変位計でセパレートプレートの周方向の高さ分布を測定し、その最大高さと最小高さの差を平坦度と定義した。セパレートプレートの打ち抜き直後の平坦度は、ATプレートの平坦度規格(0.15mm以下)に準じて次のように評価した。
○:平坦度≦0.15mm
×:平坦度>0.15mm
[3]結果
(1)金属組織
図2,図3及び図4に、発明例No.2、比較例No.17(Ti,B添加なし,Cr量不足,焼鈍省略)及び比較例No. 21(S35C相当材)のそれぞれの組織を示す。比較例No.17は粗いパーライト組織を呈しているのに対し、発明例No.2は、焼鈍を省略されているにも拘わらず、炭化物が均一微細に分散し、比較例No.21(S35C相当材)の焼鈍処理材と同等の細粒化された微細均質な組織を有することが認められた。
(2)機械的諸性質及びプレス打ち抜き性等
表2に、熱延鋼板のフェライト粒径(μm)、製品冷延鋼板の硬さ(Hv)(荷重:98N)及び表面粗度(Ra)の測定結果、並びに前記の試験結果を製造条件と共に示している。
発明例(No.1〜6)は、従来材であるS35C(No.21〜24)と同等ないしそれ以上の耐摩耗性を有し、ATプレート用冷延鋼板として要求される硬さ及び表面粗度のスペック(Hv≧230,Ra≦0.4μm)を十分に満たしている。プレス打ち抜き性も良好であり、従来材(S35C)と同様の美麗な打抜き面性状を有している。
また、発明例(No.1〜6)は、別途行った焼入れ性評価試験(プレート外周部のレーザー焼入れ)において、Cr含有量に応じて部分焼入れ強化を効果的に達成し得ることが観察された。これらの諸特性は、前記した鋼の化学組成と細粒化された均質微細な組織に基づくものである。
他方、比較例No.11〜17をみると、No.11(C量不足)は硬度のスペック下限を下回り、耐摩耗性も従来材(S35C)に比し著しく低い。No.12(C量過剰)は良好な耐摩耗性を有しているが、過度に硬質化し打ち抜き面性状も悪い。No.13(Ti不足),No.14(B不足),No.17(Ti,B,Cr不足)は、従来材(S35C)に比べて耐摩耗性に劣り、焼入れ性評価試験(前記と同じ)の結果も発明例(No.1〜6)に及ばないことが認められた。またNo.16(Cr過剰)は硬度が不必要に増大し、プレス打ち抜き性に劣ることが認められた。
(3)ATプレート(プレス打ち抜き直後のセパレートプレート)の平坦性
表3に、レベラー加工による残留応力の制御とプレス打ち抜き成形品(ATプレート)の平坦度の測定および評価結果を示す(供試材:発明例No.2の冷延鋼板)。
鋼板の表裏各面の表示として、片側の面を「ウラ面」、もう一方の面を「オモテ面」と仮称している。No.101〜103およびNo.201,No.202で使用した冷延鋼板は、レベラー加工により、ウラ面が引張の残留応力σ、オモテ面が圧縮の残留応力σで、その応力差Δσ(=σ)が600N/mm以下となるように応力調整を施した鋼板である。
他方No.301,No.302で使用した冷延鋼板は、レベラー加工が施されているが、応力制御効果が不十分な鋼板(オモテ/ウラ面ともに圧縮残留応力)であり、No.401,No.402で使用した冷延鋼板はレベラー加工を省略した鋼板(オモテ/ウラ面とも引張残留応力)である。
No.101〜103(発明例)は、レベラーで残留応力を調整した鋼板のオモテ面(圧縮残留応力の面)をダレ側、ウラ面(引張残留応力の面)をカエリ側としてプレス打ち抜きしたことにより、プレス時の残留応力の相殺効果として、得られたATプレートは平坦度規格(0.15mm以下)を十分に満たす良好な平坦性を有している。
他方、No.201,No.202は、上記No.101〜103と同様の応力調整された冷延鋼板を使用していながら、No.101〜103とは逆に、オモテ面(圧縮残留応力の面)をカエリ側、ウラ面(引張残留応力の面)をダレ側としてプレス打ち抜きしたために、残留応力の相殺効果がなく、得られたATプレートは平坦性に劣っている。またNo.301,No.302は、レベラーによる鋼板の応力調整効果が不十分なために、更にNo.401,No.402は鋼板のレベラー加工が省略されているために、いずれのATプレートも平坦性に劣っている。
本発明によれば、自動車等のATプレート(セパレートプレート、フリクションプレート、バッキングプレート等)に使用される冷延鋼板の製造工程において、従来不可欠とされていた焼鈍処理が省略された製造工程により従来材と同等以上の耐摩耗性を有し、ATプレートの要求特性を十分に満たした冷延鋼板が得られる。この冷延鋼板のATプレートは、調質のための熱処理を必要とせず、そのまま(硬引き材のまま)使用することができる。これらの効果としてATプレートをより安価に提供することが可能となる。
近年の自動車の高排気量化や軽量化等の動きと関連してATプレートの大径化、抜き桟部の狭幅化が進み、その形状変化に付随して平坦性の確保が困難となっているが、本発明によれば、そのような形状変化に十分に対応でき、ATプレートの平坦度規格を十分に満たす良好な平坦性を保証することができる。
また、ATプレートの外周部等を部分的に焼入れ強化することが要求されるような場合においても、レーザー焼入れや高周波焼入れ等により、所要部分の焼入れ強化および硬度調整を効果的に達成することができ、ATプレートの有用性を高めるものである。
更に、クラッチ板の構成に必要なフリクションプレート(摩擦紙が接着される)の樹脂との密着性は、酸洗処理(プレートの酸液浸漬、水洗、乾燥)という簡素な処理工程により確保することができる。これにより摩擦紙の接着工程が簡素化されると共に、クラッチ板の組み立てに要するコストの削減効果が得られ、また摩擦紙の良好な密着性によりクラッチ機能の安定・耐久性向上等の効果が得られる。なお、本発明の冷延鋼板は、ATプレート用途のほかに、これと同じように耐摩耗性、プレス打抜き性、部分焼入れ性、樹脂皮膜との密着性等が要求される各種分野の素材として品質の安定、コスト削減等に寄与するものである。
実施例欄における耐摩耗性評価の試験要領を示す説明図である。 実施例欄における供試材(No.2の冷延鋼板)の金属組織を示す図面代用顕微鏡写真(倍率×400)である。 実施例欄における供試材(No.17の冷延鋼板)の金属組織を示す図面代用顕微鏡写真(倍率×400)である 実施例欄における供試材(No.21の冷延鋼板)の金属組織を示す図面代用顕微鏡写真(倍率×400)である
レベラー加工により残留応力分布を調整された冷延鋼板の応力分布を模式的に示す説明図である。 プレス打ち抜き成形品の形状と応力発生状況を模式的に示す説明図である(1図:平面図,2図:X-X矢視断面図)。 レベラー加工で応力調整した冷延鋼板を使用したプレス打ち抜き成形品の残留応力分布を模式的に示す図である。 実施例欄で使用した鋼板の残留応力を調整するためのレベラー構成を模式的に示す説明図である。
符号の説明
1:試験材
2:回転円板(相手材)
3:打ち抜き成形品(ATプレート)
4:金型
5:ローラー

Claims (7)

  1. 質量%で、C:0.15〜0.25%,Si:0.25%以下,Mn:0.3〜0.9%,P:0.03%以下,S:0.015%以下,Al:0.01〜0.08%,N:0.008%以下,Cr:0.05〜0.5%,Ti:0.01〜0.05%,B:0.002〜0.005%,残部はFe及び不可避不純物からなる鋼スラブを熱間圧延し、熱間圧延鋼板を、焼鈍処理することなく圧下率30%以上で冷間圧延してなるオートマチックトランスミッション部材用冷延鋼板。
  2. Cr:0.05〜0.3%である請求項1に記載のオートマチックトランスミッション部材用冷延鋼板。
  3. 冷間圧延における圧下率が30〜50%である請求項1又は請求項2に記載のオートマチックトランスミッション部材用冷延鋼板。
  4. 鋼板の片側の面は引張残留応力σを有し、他方の面は圧縮残留応力σを有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のオートマチックトランスミッション部材用冷延鋼板。
  5. 引張残留応力σと圧縮残留応力σとの差(σ−σ)が600N/mm以下である請求項4に記載のオートマチックトランスミッション部材用冷延鋼板。
  6. 鋼スラブを、熱延仕上げ温度:Ar変態点以上、巻取り温度:500〜600℃で熱間圧延し、焼鈍処理することなく、所定の圧下率で冷間圧延することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のオートマチックトランスミッション部材用冷延鋼板の製造方法。
  7. 鋼スラブを、熱延仕上げ温度:Ar変態点以上、巻取り温度:500〜600℃で熱間圧延し、焼鈍処理することなく所定の圧下率で冷間圧延し、その冷延鋼板を調質圧延した後、レベラー加工を施すことにより、鋼板の片側の面に引張残留応力、他方の面に圧縮残留応力をもたせることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のオートマチックトランスミッション部材用冷延鋼板の製造方法。
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