JP2008138237A - 打抜き加工後の平坦度および端面性状に優れた冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

打抜き加工後の平坦度および端面性状に優れた冷延鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化を目的とした熱処理を行うことなく、所望の硬さを有ししかも、打抜き加工後の平坦度および端面性状に優れた冷延鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.10〜0.20%、Cr:0.05〜0.5%を含み、Si、Mn、P、Sを適正量に調整した組成を有する鋼素材に、仕上圧延の仕上圧延終了温度をAr3変態点以上とする熱間圧延と、仕上圧延終了後、8s以内に500〜650℃まで冷却し、500〜650℃で巻き取る処理とを施し、初析フェライトとパーライトと、あるいはさらにベイニティックフェライトまたはベイナイトとからなる基地を有し、かつ該基地中に存在するセメンタイトが平均で、2.0×104個/mm2以上分散した組織を有する引張強さ:440MPa以上の熱延鋼板としたのち、該熱延鋼板に好ましくは圧下率:30〜70%の冷間圧延を施し冷延鋼板とする。これにより、板面の硬さ確保を目的とした熱処理を行うことなく、所望の硬さを有ししかも、打抜き加工後の平坦度および端面性状に優れた冷延鋼板となる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ギアやプレート等の自動車駆動系部品用素材として好適な、冷延鋼板に係り、とくに打抜き加工後の寸法精度に優れ、しかも、打抜き加工後の平坦度および端面性状に優れた冷延鋼板およびその製造方法に関する。
従来から、自動車のトランスミッション部品として使用されているギアやプレート等は、鋼板を所定の形状に打抜いた後、所望の硬さに調整するため、硬化を目的とした焼入れや時効析出等の熱処理を施すことによって製造されている。
しかし、近年、製造コストの削減を目的として、これら硬化を目的とした熱処理に代えて、安価な冷間圧延を利用して所望の硬さに調整する試みがなされている。しかし、冷間圧延を利用して所望の硬さに調整する方法では、打抜き加工後の部品に大きな反りが発生する場合があり、そのため、プレステンパーと呼ばれる熱処理を施すことが必要となった。しかし、このプレステンパーを施しても、部品形状の矯正が困難な場合があり、問題となっていた。また、ギアが噛み合う端面部分では、端面性状の劣化に起因して耐摩耗性が低下する場合があり、問題となっていた。
このような問題に対し、例えば特許文献1には、C、Si、Mn、P、Sを適正範囲に調整した組成を有し、ベイニティックフェライト又はベイナイトの均一組織、又はベイニティックフェライト又はベイナイトの面積占有率が85%以上である組織とする精密打抜き用高強度鋼板が提案されている。特許文献1に記載された技術によれば、打抜き後に行われていた硬さ調整のための熱処理を省略することができ、製造コストの上昇を伴うことなく、表面性状が良好な精密打抜き製品が得られるとしている。
また、特許文献2には、C、Si、Mn、P、Sを適正範囲に調整した組成を有するスラブに、熱延仕上温度:800〜1050℃、巻取り温度:350〜500℃とし、圧延終了から巻取りまでの平均冷却速度を40℃/s以上の条件とする熱間圧延を施して、ベイニティックフェライト又はベイナイトを主相とする組織を有する熱延鋼板とし、ついで冷間圧延を施す精密打抜き用高強度鋼板の製造方法が提案されている。特許文献2に記載された技術によれば、打抜き後に行われていた硬さ調整のための熱処理を省略することができ、製造コストの上昇を伴うことなく、表面性状が良好な精密打抜き製品が得られるとしている。
また、特許文献3には、C:0.15〜0.4%、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以下、P:0.05%以下に調整した鋼を熱間圧延する際に、粗圧延後の粗バーのエッジ部を加熱して仕上圧延を行い、その後ランナウト冷却中の鋼板エッジ部の冷却条件を制御して巻取り、フェライト分率が50%以下、鋼板幅方向各位置におけるフェライト分率の差の最大値が30%以下であるミクロ組織を有する熱延鋼板とし、さらに冷間圧延を施し、鋼板板面硬さが170〜280HV、鋼板幅方向各位置における板面硬さ差を15HV以下とする、打抜き後の平坦度に優れる薄鋼板の製造方法が提案されている。特許文献2に記載された技術によれば、打抜き後に行われていた硬さ調整のための熱処理を省略することができるとしている。
特許第3483656号公報 特許第3801667号公報 特開2004−285416号公報
例えば、自動車のオートマティックトランスミッション(AT)部品としてのプレートは、フリクションプレートとセパレータープレートを交互に数枚重ねた構造を有しており、摩擦抵抗を利用してトルクを伝達する部品である。そのため、両プレートは、板面の耐摩耗性だけでなく、トルクを効率良く伝達するために優れた平坦度が要求される。したがって、このようなプレートに適用される鋼板(冷延まま鋼板)には、打抜き加工後の平坦度に優れることが強く要求されている。さらにプレートのギア端面部では耐摩耗性も要求され、打抜き加工後の端面性状に優れることが要望されている。
特許文献1および特許文献2に記載された技術では、熱間圧延時の冷却速度や巻取り温度等を調整しベイナイト等からなる所望の低温変態生成組織として、打抜き面のダレや剪断面比率等の打抜き面性状を良好とし精密打抜き性を向上させている。しかし、特許文献1および特許文献2に記載された技術では、コイルの長手方向や幅方向の各位置で熱間圧延時の冷却速度や巻取り温度等の変動が生じると、長手方向や幅方向の材質変動が大きくなり、冷間圧延後の硬さ変動や打抜き部品の寸法精度にバラツキが生じるという問題や、打抜き加工後の平坦度が低下する等の問題があった。
また、特許文献3に記載された技術では、仕上げ圧延条件やランナウトでの冷却条件によっては、粗大なフェライトやパーライトが不均一に形成される場合があり、必ずしも打抜き加工後の平坦度に優れた薄鋼板が安定して得られないという問題があった。なお、特許文献3には、打抜き加工後の端面性状についての言及はない。
本発明は、上記した従来技術の問題を解決し、硬化を目的とした熱処理を行うことなく、所望の硬さを有ししかも、打抜き加工後の平坦度に優れかつ端面性状に優れた冷延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した目的を達成するために、冷間圧延まま鋼板の、打抜き加工後の平坦度に影響する各種要因について鋭意研究を重ねた。その結果、冷間圧延まま鋼板の打抜き加工後の平坦度は、冷延鋼板の素材である熱延鋼板の組織(熱延板組織)に大きく影響されるという知見を得た。組織が不均一な熱延鋼板を冷間圧延した場合には、冷延鋼板の残留応力分布が不均一となり、打抜き加工後の部品の平坦度が低下する。そして、本発明者らは、熱延板組織が不均一となる要因としてセメンタイトの分散に着目し、熱延鋼板の基地中のセメンタイトの分散密度が、打抜き加工後の平坦度に最も大きく影響することを知見した。そして、冷延まま鋼板の打抜き加工後の平坦度は、熱延鋼板の組織を、セメンタイトが微細分散した、基地中に平均で2.0×104個/mm2以上分散した組織とすることにより、顕著に向上することを新規に見出した。また、この場合、良好な端面性状を確保できることも見出した。
上記したセメンタイトが微細分散した熱延板組織は、例えば、微細均一な初析フェライトおよび微細均一なパーライト組織とするか、あるいは均一微細なベイニティックフェライトおよびベイナイト組織とすることにより達成できると考えられる。しかし、熱延板の組織を、体積率で80%を超えるベイニティックフェライトおよびベイナイトを含む組織とするには、熱間圧延時の巻取り温度を低下せざるを得ない。熱間圧延時の巻取り温度を低下すると、熱延板自体の形状が劣化し、冷間圧延後に鋼板中の残留応力分布が不均一になり、打抜き加工後の平坦度が低下することになる。このようなことから、本発明者らは、打抜き加工後の平坦度に特に優れた冷延鋼板を得るためには、熱延時にベイニティックフェライトやベイナイトの生成を抑制し、微細均一な初析フェライト・パーライト組織とすることが最も有効であることに想到した。また、打抜き加工後の平坦度に優れ、かつ耐摩耗性が要求される使途には、微細均一な初析フェライトとパーライトに加え、熱延時に適正量のベイナイト(ベイニティックフェライトまたはベイナイト)を均一に生成させた組織とすることが望ましいという知見も得た。
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)熱延鋼板に所定範囲の圧下率で冷間圧延を施してなる冷延鋼板であって、前記熱延鋼板が、質量%で、C:0.10〜0.20%、Si:0.5%以下、Mn:0.20〜1.5%、P:0.03%以下、S:0.020%以下、Cr:0.05〜0.5%を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成と、初析フェライトとパーライトと、あるいはさらにベイニティックフェライトまたはベイナイトとからなる基地を有し、かつ該基地中に存在するセメンタイトが平均で、2.0×104個/mm2以上分散した組織と、を有する引張強さ:440MPa以上の熱延鋼板であることを特徴とする、打抜き加工後の平坦度および端面性状に優れた冷延鋼板。
(2)(1)において、前記基地が、初析フェライトとパーライトとからなり、該パーライトの平均粒径が5μm以下で、該初析フェライトの平均粒径が10μm以下であることを特徴とする冷延鋼板。
(3)(1)において、前記基地が、初析フェライトとパーライトと、さらに、ベイニティックフェライトまたはベイナイトとからなり、該パーライトが体積率で50%以上で、かつパーライトとベイニティックフェライトまたはベイナイトの合計が、体積率で80%以上である組織分率を有することを特徴とする冷延鋼板。
(4)(3)において、前記パーライトの平均粒径が5μm以下で、前記初析フェライトの平均粒径が10μm以下であることを特徴とする冷延鋼板。
(5)(1)ないし(4)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ti:0.01〜0.1%、B:0.0005〜0.005%のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする冷延鋼板。
(6)鋼素材に熱間圧延工程を施して熱延鋼板としたのち、該熱延鋼板に冷間圧延工程を施して冷延鋼板とするにあたり、前記鋼素材を、質量%で、C:0.10〜0.20%、Si:0.5%以下、Mn:0.20〜1.5%、P:0.03%以下、S:0.020%以下、Cr:0.05〜0.5%を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材とし、前記熱間圧延工程を、仕上圧延の仕上圧延終了温度をAr3変態点以上とする熱間圧延と、該仕上圧延終了後、8s以内に500〜650℃まで冷却し、ついで巻取り温度:500〜650℃で巻き取る冷却・巻取処理とを施す工程と、することを特徴とする打抜き加工後の平坦度に優れかつ端面性状に優れた冷延鋼板の製造方法。
(7)(6)において、前記熱間圧延工程を、仕上圧延のAr3変態点〜(Ar3変態点+50℃)の温度域での累積圧下率を25%以上とし、仕上圧延終了温度をAr3変態点〜(Ar3変態点+50℃)の温度域とする熱間圧延と、該仕上圧延終了後、8s以内に550〜650℃まで冷却し、巻取り温度:500〜650℃で巻き取る冷却・巻取処理とを施す工程とすることを特徴とする冷延鋼板の製造方法。
(8)(6)において、前記熱間圧延工程を、仕上圧延の仕上圧延終了温度をAr3変態点以上とする熱間圧延と、該仕上圧延終了後、4s以内に500〜600℃まで冷却し、巻取り温度:500〜650℃で巻き取る冷却・巻取処理とを施す工程とすることを特徴とする冷延鋼板の製造方法。
(9)(6)ないし(8)のいずれかにおいて、前記冷延工程を、前記熱延鋼板に酸洗処理を施し、ついで、圧下率:30〜70%の冷間圧延を施す工程とすることを特徴とする冷延鋼板の製造方法。
(10)(6)ないし(9)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ti:0.01〜0.1%、B:0.0005〜0.005%のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする冷延鋼板の製造方法。
本発明によれば、板面の硬さ確保を目的とした熱処理を行うことなく、所望の硬さを有ししかも、打抜き加工後の平坦度および端面性状に優れた冷延鋼板を容易に製造でき、産業上格段の効果を奏する。本発明になる冷延鋼板は、プレートやギア等の、自動車のオートマティックトランスミッション(AT)部品用素材として、極めて好適である。
本発明鋼板は、冷延鋼板、すなわち、適正範囲の合金元素を含有した組成の熱延鋼板に、好ましくは酸洗を行ったのち、冷間圧延を施してなる、冷延まま鋼板である。以下、本発明鋼板の組成限定理由について説明する。なお、質量%は単に%で記す。
C:0.10〜0.20%
Cは、鋼板硬さを決定する重要な元素であり、自動車用部品として十分な硬さを確保するためには、0.10%以上の含有を必要とする。一方、0.20%を超える多量の含有は、粗大なパーライトが不均一に分散した組織となる場合があり、打抜き加工後の平坦度や端面性状が低下することがある。このため、Cは0.10〜0.20%の範囲に限定した。
Si:0.5%以下
Siは、鋼中に固溶して鋼板の強化に寄与する元素であるが、0.5%を超える多量の含有は、鋼板表面に濃化して赤スケールの発生を促進し、鋼板の表面性状を劣化させる。このため、Siは0.5%以下に限定した。なお、好ましくは0.2%以下である。
Mn:0.20〜1.5%
Mnは、鋼中に固溶して鋼板の強化に寄与するとともに、焼入れ性の向上に有効な元素であり、このような効果を得るためには、0.20%以上の含有を必要とする。0.20%未満の含有では、初析フェライト量が過度に増加し、セメンタイトが不均一に分散した組織となるとともに、所望の硬さが確保できなくなる。一方、1.5%を超えて過剰に含有すると、パーライトがバンド状に形成され、セメンタイトが不均一に分散した組織となる。このため、Mnは0.20〜1.5%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.40〜1.0%である。
P:0.03%以下
Pは、偏析しやすい元素であり、Pの偏析によりバンド状組織の形成が促進され、セメンタイトが不均一に分散した組織となりやすい。このため、本発明ではPは極力低減することが望ましいが、0.03%までは許容できる。このため、Pは0.03%以下に限定した。なお、好ましくは0.02%以下である。
S:0.020%以下
Sは、MnS等の硫化物系介在物を形成し、打抜き加工性を低下させる元素であり、本発明ではSは極力低減することが望ましいが、0.020%までは許容できる。このため、Sは0.020%以下に限定した。なお、好ましくは0.010%以下である。
Cr:0.05〜0.5%
Crは、焼入れ性向上、さらにはセメンタイトの微細化による平坦度の向上および端面性状向上、さらには耐摩耗性向上に寄与する有効な元素であり、このような効果を得るためには、0.05%以上の含有を必要とする。0.05%未満の含有では、初析フェライト量が過度に増加し、セメンタイトが不均一に分散した組織となるため、打抜き加工後の平坦度や端面性状が低下する。一方、0.5%を超えて含有すると、製造コストの高騰が著しくなる。このため、Crは0.05〜0.5%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.05〜0.3%である。
上記した成分が基本成分であるが、上記した成分に加えてさらに、Ti:0.01〜0.1%、B:0.0005〜0.005%のうちから選ばれた1種または2種を含有できる。
Ti:0.01〜0.1%、B:0.0005〜0.005%のうちから選ばれた1種または2種
Ti、Bはいずれも、焼入れ性向上に寄与する元素であり、必要に応じて1種または2種を選択して含有できる。
Tiは、TiNを形成し焼入れ時のγ粒の粗大化防止に寄与するとともに、BNの形成を抑制し、Bの焼入れ性向上効果の増大に寄与し、焼入れ性向上に必要なB量を低く押さえることができるという効果を有する。このような効果を得るためにTiを含有する場合には、0.01%以上含有することが望ましい。一方、0.1%を超えて含有すると、製造コストの高騰が著しくなる。このようなことから、含有する場合には、Tiは0.01〜0.1%の範囲に限定することが好ましい。
Bは、結晶粒界に偏析し、微量で焼入れ性向上に有効に寄与する元素である。特にTiと複合含有した場合にその効果は顕著となる。このような効果を得るためには0.0005%以上含有することが望ましい。一方、0.005%を超えて含有しても、その効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなる。このため、含有する場合には、Bは0.0005〜0.005%の範囲に限定することが好ましい。
上記した成分以外の残部は、Fe及び不可避的不純物からなる。なお、不可避的不純物としては、O:0.1%以下、N:0.1%以下、Al:0.1%以下等が許容できる。
本発明鋼板は、上記した組成を有し、初析フェライトとパーライトと、あるいはさらにベイニティックフェライトまたはベイナイトとからなる基地を有し、かつ該基地中に存在するセメンタイトが平均で、2.0×104個/mm2以上分散した組織を有し、引張強さ:440MPa以上の熱延鋼板に冷間圧延を施してなる冷延鋼板である。
所望の硬さを有する冷延鋼板を容易に製造するために、素材である熱延鋼板は、上記した組成と組織を有し、かつ引張強さ:440MPa以上の高強度を有する鋼板とする。熱延鋼板の引張強さが440MPa未満では、所望の硬さを確保するために、熱延鋼板に高い圧下率の冷間圧延を施す必要がある。しかし、冷間圧延の圧下率を過度に高めると残留歪量が大きくなり、打抜き加工後の平坦度が低下する。このため、素材である熱延鋼板は、440MPa以上の高強度を有する鋼板とした。
つぎに、本発明鋼板の素材である熱延鋼板の組織限定理由について説明する。
本発明鋼板の素材である熱延鋼板は、基地中のセメンタイトの分散状態を所定の分散密度以上に調整した、セメンタイトが均一に分散した鋼板とする。熱延鋼板中のセメンタイトの分散形態は、冷間圧延後の鋼板の残留応力の分布状態に影響をおよぼす。熱延鋼板中に硬質なセメンタイトが不均一に存在すると、熱延鋼板を冷間圧延するに際して導入される歪が不均一となり、冷延鋼板の残留応力分布が不均一となる。このため、打抜き加工後の平坦度が低下する。また、セメンタイトが不均一に存在すると、端面性状も劣化する。そこで本発明では、熱延鋼板の基地中に存在するセメンタイトの分散を、平均で、2.0×104個/mm2以上に限定した。なお、この分散密度は、例えば、50μm×50μmの視野内に50個以上が存在する場合に相当する。
基地中のセメンタイトの分散が平均で、2.0×104個/mm2未満では、硬質なセメンタイトが不均一に存在することになり、冷間圧延するに際して導入される歪が不均一となり、冷延鋼板の残留応力分布が不均一となる。なお、ここでいう「セメンタイト」とは、セメンタイトとして単独で粒状、片状に存在するもの以外に、パーライト中に層状に存在するセメンタイトをも含むものとする。層状セメンタイトは、連続して存在するものを1個とし、層状セメンタイトに断裂が存在するときは、それぞれを1個とカウントする。なお、初析フェライトにはセメンタイトの析出は認められない。
本発明鋼板の素材である熱延鋼板の基地は、打抜き加工後の平坦度を特に重視する使途では、ベイニティックフェライト、ベイナイトおよびマルテンサイトなどの低温変態組織の生成を抑制した、均一微細な初析フェライトとパーライトからなる組織とすることが好ましい。これにより、冷延鋼板の残留応力分布に影響する硬質なセメンタイトの均一分散が図れ、打抜き加工後の平坦度に優れた冷延鋼板となる。ここで、「均一微細な初析フェライト」とは、平均粒径が10μm以下、好ましくは1μm以上である初析フェライトをいう。また、「均一微細なパーライト」とは、平均粒径:5μm以下、好ましくは0.1μm以上であるパーライトをいう。なお、上記した初析フェライトとパーライトからなる組織とした場合における、パーライトの組織分率は、体積率で20%以上50%未満程度とすることが好ましい。パーライトが20%未満では、所望の硬さが確保できないうえ、セメンタイトの均一分散が困難となり、打抜き加工後の平坦度が低下する。一方、50%以上では、局所的にパーライトが密集した組織が形成されやすくなり、不均一な組織に起因して打抜き加工後の平坦度が低下しやすくなる。
初析フェライトの平均粒径が10μmを超えて大きくなると、セメンタイトおよびパーライトが不均一に分散した組織となりやすく、打抜き加工後の平坦度が低下しやすいため、初析フェライトの平均粒径を10μm以下に限定することが好ましい。なお、初析フェライトを微細化するほど、打抜き加工後の平坦度は改善されるが、平均粒径が1μm未満となるまでの微細化は、仕上圧延時に極めて大きな加工を施す必要があり、製造安定性の観点から、初析フェライトの平均粒径は1μm以上とすることがより好ましい。
また、パーライトの平均粒径が5μmを超えて大きくなると、セメンタイトおよびパーライトが不均一に分散した組織となりやすく、打抜き加工後の平坦度が低下しやすい。このため、パーライトの平均粒径を5μm以下に限定することが好ましい。なお、パーライトを微細化するほど、打抜き加工後の平坦度は改善されるが、平均粒径が0.1μm未満となるまでの微細化は、仕上圧延時に極めて大きな加工を施す必要があり、製造安定性の観点から、パーライトの平均粒径は0.1μm以上とすることがより好ましい。なお、本発明鋼板では、初析フェライト・パーライト組織の場合、フェライト粒界上にセメンタイトが観察される場合があるが、パーライト組織として扱う。
また、平坦度とともに耐摩耗性に優れることが要求され、端面性状が特に重視される使途には、セメンタイトが均一微細に分散した組織とすることが好ましく、熱延鋼板の基地を、初析フェライトとパーライトと、さらに、ベイニティックフェライトまたはベイナイトと、からなる組織とすることが好ましい。とくにこの場合、パーライトとベイニティックフェライトまたはベイナイトの体積率を合計で80%以上とし、パーライトは、体積率で50%以上とすることが好ましい。この場合、初析フェライトが多くなりすぎると、セメンタイトが不均一に分散し打抜き加工後の端面性状が劣化するため、パーライトとベイニティックフェライトまたはベイナイトは、合計で体積率で80%以上にすることが好ましい。一方、ベイニティックフェライトまたはベイナイトが多くなりすぎると、熱延板の板形状が低下しやすく、打抜き加工後の平坦度が低下しやすい。このため、パーライトは体積率で50%以上とすることが好ましい。また、この観点からは、ベイニティックフェライト、またはベイナイトの体積率は30%以下とすることが好ましい。
なお、初析フェライトとパーライトと、さらに、ベイニティックフェライトまたはベイナイトと、からなる組織とする場合、初析フェライトとパーライトの平均粒径は、パーライトの平均粒径:5μm以下好ましくは0.1μm以上で、初析フェライトの平均粒径:10μm以下好ましくは1μm以上とすることがより好ましい。初析フェライトとパーライトが、上記した平均粒径を超えて大きくなると、セメンタイトの不均一分散が顕著となり、打抜き加工後の平坦度が低下する。
つぎに、本発明鋼板の好ましい製造方法について、説明する。
本発明では、鋼素材に熱間圧延工程を施して熱延鋼板としたのち、該熱延鋼板に冷間圧延工程を施して冷延鋼板とする。
本発明で使用する鋼素材の製造方法はとくに限定する必要はなく公知の方法がいずれも適用できるが、上記した組成の溶鋼を、転炉、電気炉等の常用の溶製法で溶製し、必要に応じて真空脱ガス炉等の二次精錬を施し、連続鋳造法、造塊−分塊圧延等の常用の鋳造(圧延)方法でスラブ等の鋼素材とすることが好ましい。
鋼素材は、熱間圧延工程を施され、熱延鋼板とされる。なお、鋼素材を、鋳造後直ちに、あるいはさらに補熱を目的とした加熱を施された後に、熱間圧延を行う直送圧延を行ってもよい。
熱間圧延工程のための加熱温度は、とくに限定する必要はないが、1000〜1300℃の範囲の温度とすることが好ましい。加熱温度が1000℃未満では、変形抵抗が高くなり、生産性が低下する。一方、1300℃を超えて高温となると、スケールの成長が促進し、鋼板の表面性状が低下する。
熱間圧延工程は、粗圧延と仕上圧延とからなるが、粗圧延は、所望の寸法形状のシートバーとすることができればよく、粗圧延の圧延条件はとくに限定されない。なお、打抜き加工後の平坦度向上の観点からは、仕上圧延前に、バーヒータやエッジヒータ等によりシートバーの加熱を行うことが好ましい。また、打抜き加工後の平坦度向上の観点からは、粗圧延後に先行する圧延材(シートバー)の尾端と後行する圧延材(シートバー)の先端部とを接合して熱間圧延する、連続圧延とすることが好ましい。
熱間圧延工程における仕上圧延は、仕上圧延終了温度をAr3変態点以上とする圧延とする。仕上圧延終了温度がAr3変態点未満では、板厚精度が低下する。このため、仕上圧延終了温度はAr3変態点以上に限定することが好ましい。
なお、均一微細なフェライト・パーライト組織とするためには、熱間圧延工程の仕上圧延における、Ar3変態点〜(Ar3変態点+50℃)の温度域での累積圧下率を25%以上とし、仕上圧延終了温度を、Ar3変態点〜(Ar3変態点+50℃)の温度域とすることが好ましい。これにより、変態前のオーステナイト粒径が小さくなり、それに伴って変態後のフェライトおよびパーライト粒径が小さくなり、初析フェライトの平均粒径が10μm以下で、かつパーライトの平均粒径が5μm以下とすることができる。
なお、変態点は、熱膨張法で測定した値を基本とするが、本発明範囲の組成では、次式を用いて算出した値とよく一致することを確認したので、次式で計算した値を用いる。
Ar3変態点=910−310C−80Mn−20Cu−15Cr−55Ni−80Mo
ここで、C、Mn、Cu、Cr、Ni、Mo:各元素の含有量(質量%)
なお、含有しない元素がある場合には当該元素は零として計算するものとする。
熱間圧延工程では、上記した仕上圧延により所望の板厚の熱延鋼板としたのち、該熱延鋼板に、さらに、仕上圧延終了後、8s以内に500〜650℃まで冷却し、ついで巻取り温度:500〜650℃で巻き取る冷却・巻取処理を施す。
圧延終了後の冷却は、水等による冷却、あるいは大気、ガス等による冷却とすることが好ましい。これらの方法を用いた冷却では、仕上圧延終了から冷却停止までの時間、すなわち冷却速度を所望の範囲に調整することが容易である。
仕上圧延終了後、冷却停止までの時間が、8sを超えて長くなると、冷却速度が低下するため、初析フェライトが過剰に生成し、セメンタイトが不均一に分散した組織が形成されやすくなる。このため、仕上圧延終了後、冷却停止までの時間を8s以内に限定することが好ましい。なお、適正量のベイニティックフェライトまたはベイナイトを生成させる場合には、圧延終了後、冷却開始までの時間は4s以内とすることが好ましい。圧延終了後、冷却開始までの時間が4sを超えて長くなると、その後の冷却の冷却速度が低下し、適正量のベイニティックフェライトまたはベイナイトを生成させることができなくなる。
また、冷却停止温度が500℃未満と低温になると、マルテンサイトが生成したり、ベイニティックフェライトまたはベイナイトが過剰に生成し、熱延鋼板の板形状が低下するとともに、巻取時に割れを生じる場合があるなど、操業上の問題を生じる。一方、冷却停止温度が650℃を超えて高温になると、初析フェライトが過剰に生成し、セメンタイトが不均一に分散した組織が形成される。このため、冷却停止温度は500〜650℃の温度域とすることが好ましい。なお、冷却停止後は巻取りまで放冷とすることが好ましい。なお、熱延鋼板の組織を、初析フェライトとパーライトとする場合には、冷却停止温度は550℃以上とすることが好ましい。
また、適正量のベイニティックフェライトまたはベイナイトを生成させる場合には、冷却停止温度は、500〜600℃とすることが好ましい。冷却停止温度が500℃未満では、上記したように、マルテンサイトが生成したり、ベイニティックフェライトまたはベイナイトが過剰に生成し、熱延鋼板の板形状が低下する。また、600℃を超えて高温になると、初析フェライトの生成量が過剰となり、パーライトとベイニティックフェライトまたはベイナイトの合計を体積率で80%以上とすることが困難となり、セメンタイトが不均一に分散した組織となりやすい。
巻取り温度は、500〜650℃の範囲の温度とすることが好ましい。巻取り温度が500℃未満では、マルテンサイトが生成したり、ベイニティックフェライトまたはベイナイトが過剰に生成し、巻取り時に割れが生じたり、あるいは板形状等が劣化する。一方、650℃を超えて高温になると、初析フェライトの生成量が増加し、セメンタイトが不均一に分散した組織となりやすくなる。なお、熱延鋼板の組織を初析フェライトとパーライトとする場合には、巻取温度を550〜650℃とすることがより好ましい。
冷却・巻取処理を施された熱延鋼板は、ついで、好ましくは酸洗を行い、冷間圧延を行う冷間圧延工程を施され、冷間加工硬化を活用して所望の硬さを有する冷延鋼板とされる。冷間圧延の条件(圧下率)は、所望の硬さに応じて、適宜選択すればよく、とくに限定されない。自動車用部品として所望の硬さを確保するためには、冷間圧延の圧下率は30%以上とすることが好ましいが、70%を超えると、残留歪が大きくなりすぎて、打抜き加工後の平坦度が低下するため、70%以下にすることが好ましい。
表1に示す化学組成を有するスラブ(鋼素材)を、加熱温度:1250℃で加熱し、均質化したのち、表2に示す条件で、熱間圧延工程を施し熱延鋼板(板厚:4.5mm)とした。得られた熱延鋼板について、組織観察および引張試験を実施した。
ついで、これら熱延鋼板に酸洗処理を施し、表2に示す条件(圧下率)で冷間圧延を施し冷延鋼板(板厚:1.8mm、板厚公差0.05mm)とした。なお、冷間圧延後、レベラーにて形状矯正を行った。
得られた冷延鋼板について、平坦度試験、打抜き後の端面性状評価試験、および耐摩耗性評価試験(硬さ試験)を実施し、打抜き加工後の平坦度、打抜き後の端面性状、および耐摩耗性を評価した。試験方法は次のとおりとした。
(1)組織観察
得られた熱延鋼板から組織観察用試験片を採取し、該試験片の圧延方向に平行な板厚断面を研磨・腐食(ナイタール)したのち、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、組織を各30視野以上撮像(倍率:1500〜5000倍)した。画像処理により、基地組織の種類およびそれら組織の体積分率を測定した。また、撮像した写真から、初析フェライトおよびパーライトの粒径も画像解析により求めた。初析フェライトおよびパーライトの粒径は、各粒の面積を測定し、得られた面積から各粒の円相当径を求め、それらの値を算術平均し、各相の平均粒径とした。なお、ここでポリゴナルフェライトとして観察される組織を初析フェライトとした。
また、基地中に分散するセメンタイトの分散密度を求めた。撮像した組織写真から画像処理により、各視野内に存在するセメンタイトの個数を測定し、得られた各視野内のセメンタイトの個数を算術平均し、各熱延鋼板の視野内の平均個数とし、セメンタイト分散密度(個/mm2)に換算した。なお、セメンタイトは、単独で粒状、片状に存在するもの以外に、パーライト中に層状に存在するセメンタイトをも含む。層状セメンタイトは、セメンタイトが連続して存在するものを1個とし、層状セメンタイトに断裂が存在するときは、それぞれを1個とカウントするものとする。フェライト粒界に存在するセメンタイトもパーライトと同様にカウントした。
(2)引張試験
得られた熱延鋼板から圧延方向に引張方向が一致するようにJIS5号引張試験を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して引張試験を実施し、引張強さTSを求めた。
(3)平坦度試験
得られた冷延鋼板から試験片(大きさ:120×120mm)を採取し、該試験片から、クリアランス10%の条件下で円盤試験片(φ100mm)を打抜き、打抜かれた円盤試験片の平坦度を測定した。平坦度は、打抜かれた円盤試験片を、図1に示す角筒状治具(ギャップ:1.95×105×400mm)のギャップ内に落とし、その通過具合によって評価した。円盤試験片がギャップ内を通過した場合を○、円盤試験片が途中で引っ掛かり、ギャップを通過しなかった場合を×として平坦度を評価した。
(4)打抜き加工後の端面性状評価試験
得られた冷延鋼板から試験片(大きさ:120×120mm)を採取し、該試験片から、クリアランス10%の条件下で試片(大きさ:50×50mm)を打抜き、打抜かれた試片の端面(剪断面)について、打抜き方向と直交する方向に、触針式表面粗度計を用い、JIS B 0601−1994の規定に準拠して、表面粗さRz (十点平均粗さ)を測定した。測定位置は、圧延方向に対して、0°、90°、180°、270°の4箇所の打抜き端面とした。
各位置で得られた表面粗さRzを算術平均した値Rz ave(=(A1+A2+A3+A4)/4 ここで、A1、A2、A3、A4:各面のRz)を、その鋼板の打抜き端面の表面粗さとした。打抜き加工後の端面のRz aveが、15μm以下である場合を打抜き加工後の端面性状に優れるとして○、Rz aveが、15μm超えである場合を打抜き加工後の端面性状に劣るとして×として評価した。
(5)耐摩耗性評価試験(硬さ試験)
得られた冷延鋼板から試験片(大きさ:50×50mm)を採取し、該試験片の板面を研磨後、ビッカース硬さ計(試験力:9.8N)を用いて各10点測定し、算術平均して、各鋼板の板面平均硬さHVを求めた。ここで、板面平均硬さHV値が、250HV以上の場合を耐摩耗性良として評価した。
得られた結果を表3に示す。
Figure 2008138237
Figure 2008138237
Figure 2008138237
本発明例はいずれも、打抜き加工後の平坦度に優れ、さらに打抜き加工後の端面性状に優れ、さらには板面硬さが高く、耐摩耗性に優れている。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、打抜き加工後の平坦度が低下しているか、あるいは打抜き加工後の端面性状が低下しているか、あるいは耐摩耗性が低下しているか、あるいはいずれも打抜き加工後の平坦度、打抜き加工後の端面性状、耐摩耗性がともに、低下している。
実施例で使用した、平坦度試験用治具の概要を示す模式図である。

Claims (10)

  1. 熱延鋼板に所定範囲の圧下率で冷間圧延を施してなる冷延鋼板であって、前記熱延鋼板が、質量%で、
    C:0.10〜0.20%、 Si:0.5%以下、
    Mn:0.20〜1.5%、 P:0.03%以下、
    S:0.020%以下、 Cr:0.05〜0.5%
    を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成と、初析フェライトとパーライトと、あるいはさらにベイニティックフェライトまたはベイナイトとからなる基地を有し、かつ該基地中に存在するセメンタイトが平均で、2.0×104個/mm2以上分散した組織と、を有する引張強さ:440MPa以上の熱延鋼板であることを特徴とする、打抜き加工後の平坦度に優れかつ端面性状に優れた冷延鋼板。
  2. 前記基地が、初析フェライトとパーライトとからなり、該パーライトの平均粒径が5μm以下で、該初析フェライトの平均粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項1に記戴の冷延鋼板。
  3. 前記基地が、初析フェライトとパーライトと、さらに、ベイニティックフェライトまたはベイナイトとからなり、該パーライトが体積率で50%以上で、かつパーライトとベイニティックフェライトまたはベイナイトの合計が、体積率で80%以上である組織分率を有することを特徴とする請求項1に記載の冷延鋼板。
  4. 前記パーライトの平均粒径が5μm以下で、前記初析フェライトの平均粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項3に記戴の冷延鋼板。
  5. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ti:0.01〜0.1%、B:0.0005〜0.005%のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の冷延鋼板。
  6. 鋼素材に熱間圧延工程を施して熱延鋼板としたのち、該熱延鋼板に冷間圧延工程を施して冷延鋼板とするにあたり、
    前記鋼素材を、質量%で、
    C:0.10〜0.20%、 Si:0.5%以下、
    Mn:0.20〜1.5%、 P:0.03%以下、
    S:0.020%以下、 Cr:0.05〜0.5%
    を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材とし、
    前記熱間圧延工程を、仕上圧延の仕上圧延終了温度をAr3変態点以上とする熱間圧延と、該仕上圧延終了後、8s以内に500〜650℃まで冷却し、ついで巻取り温度:500〜650℃で巻き取る冷却・巻取処理とを施す工程とし、
    前記冷延工程を、前記熱延鋼板に酸洗処理を施し、ついで、圧下率:30〜70%の冷間圧延を施す工程と、
    することを特徴とする打抜き加工後の平坦度に優れかつ端面性状に優れた冷延鋼板の製造方法。
  7. 前記熱間圧延工程を、仕上圧延のAr3変態点〜(Ar3変態点+50℃)の温度域での累積圧下率を25%以上とし、仕上圧延終了温度をAr3変態点〜(Ar3変態点+50℃)の温度域とする熱間圧延と、該仕上圧延終了後、8s以内に550〜650℃まで冷却し、ついで巻取り温度:500〜650℃で巻き取る冷却・巻取処理とを施す工程とすることを特徴とする請求項6に記載の冷延鋼板の製造方法。
  8. 前記熱間圧延工程を、仕上圧延の仕上圧延終了温度をAr3変態点以上とする熱間圧延と、該仕上圧延終了後、4s以内に500〜600℃まで冷却し、巻取り温度:500〜650℃で巻き取る冷却・巻取処理とを施す工程とすることを特徴とする請求項6に記載の冷延鋼板の製造方法。
  9. 前記冷延工程を、前記熱延鋼板に酸洗処理を施し、ついで、圧下率:30〜70%の冷間圧延を施す工程とすることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の冷延鋼板の製造方法。
  10. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ti:0.01〜0.1%、B:0.0005〜0.005%のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の冷延鋼板の製造方法。
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