JP2005213566A - 加工性、表面性状および板平坦度に優れた高強度薄鋼板およびその製造方法 - Google Patents

加工性、表面性状および板平坦度に優れた高強度薄鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】加工性、表面性状、板平坦度に優れた高強度薄鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】C:0.05〜0.15%、Si:0.5%以下、Mn:1.0〜1.8%、Cr:0.5〜1.5%、P:0.06%以下、S:0.01%以下、N:0.005%以下、SolAl:0.01〜0.1%、またはさらにMo:0.3%以下、Nb:0.05%以下、Ti:0.1%以下、B:0.002%の1種または2種以上を含有し、残部は実質的にFeからなり、等軸フェライト体積率が60%以上、マルテンサイト体積率が5〜30%である高強度薄鋼板。前記薄鋼板は、上記成分からなるスラブを鋳造後、Ar3点温度以上で熱延し、熱延終了後2秒以内に150℃/秒以上の冷却速度で750〜600℃に冷却し、750〜600℃の温度範囲内に2〜15秒保持後、20℃/秒以上の冷却速度で冷却し、350〜550℃の温度で巻取ることにより製造される。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車車体、補強材、ホイール、足廻り部品、その他あらゆる機械構造部品として最適な高強度薄鋼板とその製造方法に関する。
地球環境保護および乗員の安全性向上のため、自動車用鋼板は、高強度、薄肉化が検討されている。しかし、一般に、材料を高強度化するとプレス成形性が低下するため、高強度鋼板の適用拡大における重要な課題のひとつとして、成形性の向上が挙げられている。
上記に応えるものとしては、従来よりフェライト、マルテンサイトを主相とする二相鋼板(他にDual Phase鋼、DP鋼、複合組織鋼などと呼ばれる)があり、前記二相鋼板は、降伏比(以下、YRと称す)が低く、伸びが高いため、プレス成形性(絞り成形性、形状凍結性)に優れ、自動車用材料として注目され、開発が進められてきた。
例えば、熱延鋼板における二相組織形成は、熱間圧延後の冷却過程で、等軸フェライトを多量に析出させ、残ったオーステナイト中に溶質元素を濃化させることにより焼入れ性を増し、マルテンサイト化させることで行なわれる。
しかし、概ね350℃以上の高温で巻取りを行うと、巻取り後にオーステナイトがベイナイト変態し、目標とするフェライトとマルテンサイトの二相組織が得られない。一方、巻取り温度が低いと、冷却熱歪みで板形状が劣化する問題がある。これらの課題を解決するために、Cr添加鋼が開発された。さらに、熱延後の冷却過程においてフェライト生成を促進するために、Si,Pなどのフェライト安定化元素の多量添加鋼が開発された。また、熱延後の冷却方法においても、フェライト析出が促進されるA1点付近で冷却を一旦停止し、10秒程度保持する、いわゆる二段冷却法が提案されている。特許文献1〜3には、これら技術を組み合わせた方法が開示されている。
さらに、特許文献4〜6には、熱間圧延後、即時、急速冷却を行う方法が開示されている。特に、特許文献4では、低Si含有鋼において上記の方法がとられている。
特開平4-289126号公報 特開平9-67641号公報 特開平10-195588公報 特開2002-69534公報 特開2001-192736公報 特開2001-355023号公報
しかしながら、特許文献1〜3は、いずれも機械的特性は良好なものの、Si,P,Alを多量に添加する必要があるため、赤スケール生成による表面性状の劣化、塗装性の劣化や溶接性の劣化の問題があり、その適用範囲が限られている。
特許文献4、5では、YRは考慮されていない。
また、特許文献6は、高濃度Si添加鋼の製造技術であるため、鋼板の表面性状が劣る。表面性状を向上させるためにSiを下げることも考えられるが、Siを下げた場合、今度はYR特性が劣ってしまう。このように、YRと表面性状の両者を満足することはできない。
本発明は上記の事情に鑑みなされたもので、表面性状、溶接性などに悪影響を与えるフェライト安定化元素(Si,P,Al)を多量添加することなく、鋼板の機械的特性を向上させる方法を開発することにより、加工性(YR:0.6以下)、表面性状および板平坦度に優れた高強度薄鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。なお、歪分解能を高め、形状凍結性を良好とするためには、YRは0.6以下とする必要がある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、鋭意研究した。その結果、熱間圧延後、2秒以内に150℃/秒以上の超急速冷却を行い、750〜650℃に一定時間保持することにより、フェライト安定化元素を多量添加しない場合でも、従来の二段冷却法と比較して、著しく微細フェライト生成が促進される現象を見出し、これを二相型熱延高強度鋼板の製造に応用し、本発明を完成させた。
本発明は、以上の知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]mass%で、C:0.05〜0.15%、Si:0.5%以下、Mn:1.0〜1.8%、Cr:0.5〜1.5%、P:0.06%以下、S:0.01%以下、N:0.005%以下、SolAl:0.01〜0.1%を含有し、残部は実質的にFeからなり、等軸フェライト体積率が60%以上、マルテンサイト体積率が5〜30%であることを特徴とする加工性、表面性状および板平坦度に優れた高強度薄鋼板。
[2]前記[1]において、さらに、mass%で、Mo:0.3%以下、Nb:0.05%以下、Ti:0.1%以下、B:0.002%の1種または2種以上を含有することを特徴とする加工性、表面性状および板平坦度に優れた高強度薄鋼板。
[3]mass%で、C:0.05〜0.15%、Si:0.5%以下、Mn:1.0〜1.8%、Cr:0.5〜1.5%、P:0.06%以下、S:0.01%以下、N:0.005%以下、SolAl:0.01〜0.1%を含有し、残部は実質的にFeからなるスラブを鋳造後、直接または加熱して、Ar3点温度以上で熱間圧延を行い、次いで、熱間圧延終了後2秒以内に150℃/秒以上の冷却速度で750〜600℃に冷却し、次いで、750〜600℃の温度範囲内に2〜15秒保持後、20℃/秒以上の冷却速度で冷却し、350〜550℃の温度で巻取ることを特徴とする加工性、表面性状および板平坦度に優れた高強度薄鋼板の製造方法。
[4]mass%で、C:0.05〜0.15%、Si:0.5%以下、Mn:1.0〜1.8%、Cr:0.5〜1.5%、P:0.06%以下、S:0.01%以下、N:0.005%以下、SolAl:0.01〜0.1%を含み、さらに、Mo:0.3%以下、Nb:0.05%以下、Ti:0.1%以下、B:0.002%の1種または2種以上を含有し、残部は実質的にFeからなるスラブを鋳造後、直接または加熱して、Ar3点温度以上で熱間圧延を行い、次いで、熱間圧延終了後2秒以内に150℃/秒以上の冷却速度で750〜600℃に冷却し、次いで、750〜600℃の温度範囲内に2〜15秒保持後、20℃/秒以上の冷却速度で冷却し、350〜550℃の温度で巻取ることを特徴とする加工性、表面性状および板平坦度に優れた高強度薄鋼板の製造方法。
なお、上記手段において、「残部実質的にFe」とは、本発明の作用効果を無くさない限り、不可避不純物をはじめ、他の微量元素を含有するものが本発明の範囲に含まれ得ることを意味する。また、本明細書において、鋼の成分を示す%は、すべてmass%である。
また、本発明において、高強度薄鋼板とは、機械構造部品として好適な引張り強さが590MPaを超える薄鋼板である。
本発明によれば、加工性、表面性状および板平坦度に優れた高強度薄鋼板を得ることができる。このように本発明により得られる薄鋼板は、高強度でありながら低YR(0.6以下)、高延性を有し、プレス成形性に優れ、また、表面性状、スポット溶接性にも優れるので、容易に自動車部品や機械構造部品に用いることができる。また、従来の軟質鋼板と同じ工程で製造することが可能であり、特別な元素を添加することなしに良好な性能が得られるため、低製造コスト化が可能である。したがって、今後広く実用化が期待され、自動車軽量化による地球環境の保全、および安全性の向上を通して社会の発展に寄与すると考えられる。
本発明の高強度薄鋼板は、成分を下記に示すように規定し、等軸フェライト体積率を60%以上、マルテンサイト体積率を5〜30%とすることを特徴とし、これらは本発明において最も重要な要件である。このように成分及び組織を規定することにより、加工性、表面性状および板平坦度に優れた高強度薄鋼板を得ることができる。また、上記高強度薄鋼板は、Ar3点温度以上で熱間圧延を行い、次いで、熱間圧延終了後2秒以内に150℃/秒以上の冷却速度で750〜600℃に冷却し、次いで、750〜600℃の温度範囲内に2〜15秒保持後、20℃/秒以上の冷却速度で冷却し、350〜550℃の温度で巻取ることにより製造することが可能となる。このように、製造方法において、熱間圧延後、2秒以内に150℃/秒以上の超急速冷却を行い、750〜650℃に一定時間保持することも本発明において重要な要件である。
以下、本発明を詳細に説明する。
最初に本発明鋼板の化学成分の限定理由について述べる。
C:0.05〜0.15%
Cはマルテンサイト相を強化するために重要な元素であり、十分な効果を達成するためには0.05%以上添加する必要がある。一方、添加量が0.15%を超えると、オーステナイトが安定化して、二相化が困難となり、延性が低下する。以上より、Cは0.05%以上0.15%以下とする。なお、スポット溶接性を考慮すると、添加量が0.07%未満では引張せん断強度が低下する場合があるので0.07%以上が好ましい。また、0.10%を超えると十字引張強度が低下する場合があるので0.10%以下が好ましい。
Si:0.5%以下
Siは赤スケールにより表面性状を劣化させるばかりか、塗装性、溶接性も劣化させる。0.5%を超えるとSiの悪影響が顕著となる。以上より、Siは0.5%以下とする。表面性状が特に重視される用途の場合は、Siは0.25%未満が好ましい。
Mn:1.0〜1.8%
Mnは熱延後、冷却中におけるパーライトの生成を抑制するため、二相組織形成に重要な役割を担う。1.0%未満ではその効果が十分でなく、パーライトが生成して、YRが上昇し、プレス成形性が劣化する。一方、1.8%を超えるとオーステナイトが安定化しすぎて、等軸フェライトの生成が妨げられる。以上より、Mnは1.0%以上1.8%以下とする。なお、コイル内の強度ばらつきを抑制するためにはMnが1.3%以上とすることが好ましい。
Cr:0.5〜1.5%
Crは巻き取ったコイルの冷却過程におけるオーステナイトのベイナイト変態を抑制し、目標とするフェライト、マルテンサイト二相組織を達成するために重要な元素である。0.5%未満ではこの効果が十分でない。一方、1.5%を超えると、熱延後1次冷却中におけるフェライト変態を遅延させ、鋼板特性を劣化させる。以上より、Crは0.5%以上1.5%以下とする。また、1.2%を超えると化成処理性が劣化する場合があるので、Crは1.2%以下が好ましい。さらに、コイル内の強度ばらつきを抑制するためには、Crは0.8%以上とすることが好ましい。
P:0.06%以下
Pは溶接部の靭性を劣化させるため、溶接部の接合強度を低下させる。0.06%を超えるとこの悪影響が顕著となる。以上より、Pは0.06%以下とする。
S:0.01%以下
Sは粗鋼中に含有される不純物であり、素材鋼板の成形性および溶接性を劣化させるので、可能な限り製鋼工程で除去、低減することが望ましい。しかしながら、Sを必要以上に低減すると精錬コストが上昇するので、Sは実質的に無害となる0.01%以下とする。
N:0.005%以下
Nは粗鋼中に含有される不純物であり、素材鋼板の成形性を劣化させるので、可能な限り製鋼工程で除去、低減することが望ましい。しかしながら、Nを必要以上に低減すると精錬コストが上昇するので、Nは実質的に無害となる0.005%以下とする。
SolAl:0.01〜0.1%
Alは脱酸およびNをAlNとして析出させるために添加される。0.01%未満では脱酸・脱窒の効果が十分でなく、一方0.1%を超えるとAl添加の効果が飽和し不経済となる。以上より、SolAl は0.01%以上0.1%以下とする。
また、本発明鋼は、上記の必須添加元素で目的とする特性が得られるが、上記の必須添加元素に加えて、強度上昇のためMo、Nb、Ti、Bを必要に応じて1種または2種以上で添加してもよい。その場合、それぞれの添加量が0.3%、0.05%、0.1%、0.002%を超えると、二相組織の生成を妨げ、機械的特性が劣化(YRが上昇または伸びが低下)するので、添加する場合は、Moは0.3%以下、Nbは0.05%以下、Tiは0.1%以下、Bは0.002%以下とする。
なお、上記以外の残部は実質的にFeからなる。ここで、残部が実質的にFeからなるとは、本発明の作用効果を無くさない限り、不可避不純物をはじめ、その他の微量元素を含有するものが本発明の範囲に含まれることを意味する。なお不可避的不純物として、例えば、Oは非金属介在物を形成し品質に悪影響を及ぼすため、Oは0.003%以下に低減するのが望ましい。
次に本発明の金属組織の限定理由について説明する。
まず、等軸フェライト体積率は60%以上とする。等軸フェライト体積率は本発明の特徴である低YR特性の発現に極めて重要である。YRを0.6以下とするためには、等軸フェライトの体積率が60%以上とする必要がある。なお、上記理由により、好ましくは95%以下である。
次に、マルテンサイト体積率は5〜30%とする。マルテンサイト体積率は強度、延性および低YR特性に影響を及ぼすため、上記等軸フェライト体積率同様、本発明においては重要な要件である。マルテンサイト体積率が5%未満では強度が低く、低YR特性が得られない。一方、30%超えでは延性が低下する。したがって、マルテンサイト体積率は5%以上30%以下とする。さらに良好な低YR特性を得るためには、マルテンサイト体積率は10%以上20%以下が好ましい。なお、残部組織は針状フェライト、ベイナイト、パーライトなどであるが、等軸フェライトとマルテンサイトの各体積率が上記の範囲であれば本発明の効果を奏するので、残部組織の体積率は特に限定しない。
次に、本発明の加工性、表面性状および板平坦度に優れた高強度薄鋼板の製造方法について説明する。
本発明の高強度薄鋼板は、上記化学成分範囲に調整されたスラブを鋳造後、直接または加熱して、Ar3点温度以上で熱間圧延を行い、次いで、熱間圧延終了後2秒以内に150℃/秒以上の冷却速度で750〜600℃に冷却し、次いで、750〜600℃の温度範囲内に2〜15秒保持後、20℃/秒以上の冷却速度で冷却し、350〜550℃の温度で巻取ることにより得られる。
上記において、スラブの鋳造方法は限定しない。連続鋳造の場合は直接、そのまま熱間圧延してもよいし、冷却後、再加熱し、熱間圧延を実施してよい。
熱間圧延はAr3点温度以上で実施する。Ar3点以下の温度では、フェライト、オーステナイト2相域で熱間圧延され、等軸フェライトの生成が妨げられ、YRが上昇し、延性が低下する。
熱間圧延終了後2秒以内に、150℃/秒以上の冷却速度で、保持温度である750〜600℃まで冷却する。この熱間圧延直後の1次冷却は本発明による効果(等軸フェライト生成促進による低YRの効果)発現のため最も重要な要件である。このように1次冷却を規定し、即時、急速冷却を行うことにより、1次冷却の次に行われる750〜600℃での保持において等軸フェライトの微細析出を飛躍的に促進させることが可能となる。熱間圧延終了後、冷却開始までの時間が2秒を超えると、オーステナイト粒界にフェライトが不均一に生成して、冷却後保持中の等軸フェライトの析出を妨げる。また冷却速度が150℃/秒未満では、冷却中におけるフェライトのオーステナイト粒界上への不均一析出がやはり抑制できず、冷却後保持中の等軸フェライトの析出を妨げる。
1次冷却後、750〜600℃の温度範囲内に2〜15秒保持する。保持を行なう温度域が750℃超えでは、フェライト生成の駆動力が小さく、析出促進効果が得られない。一方、600℃未満ではFe原子の拡散で律速されるフェライト析出が遅延し、十分な等軸フェライト生成が得られない。また、保持時間が2秒未満ではフェライト析出時間十分でなく、低YR特性が得られない。一方、15秒を超えて保持するとパーライトの生成が開始するため、機械的特性が劣化する。
保持後、20℃/秒以上の冷却速度で2次冷却し、350〜550℃以下の温度で巻取る。2次冷却における冷却速度は、冷却中におけるパーライト、ベイナイトの生成抑制のために20℃/秒以上とする必要がある。巻取り温度が550℃を超えるとパーライト変態が抑制できない。一方、巻取り温度が350℃未満では冷却熱歪みにより板平坦度が劣化する。以上より巻取り温度は350〜550℃とする。さらに、2次冷却終了温度の温度制御を良好とし、コイル内の強度ばらつきを抑制するためには、巻取り温度は450℃以上が好ましい。
なお、以上により得られた本発明の高強度薄鋼板に対し、さらに形状矯正のため、スキンパス圧延を実施してもよい。また、開発鋼板を下地として溶融亜鉛または電気亜鉛めっきなど各種の表面処理を行なってもよい。
表1に示す化学成分を有するスラブを連続鋳造後、いったん冷却し、次いで、1100〜1300℃に加熱し、Ar3点温度〜850℃で最終圧延を行い、板厚を1.6〜3.0mmとした。次いで、最終圧延終了後1秒以内に300〜500℃/秒の冷却速度で680〜720℃まで冷却し、同温度範囲内において7〜12秒保持し、次いで、25〜30℃/秒で冷却し、370〜420℃以下で巻き取り、熱延鋼板を得た。ただし、鋼番号4では一次冷却速停止温度を550℃とし、鋼番号5では巻取り温度を570℃とすることにより、表1記載の組織構成に調整した。
Figure 2005213566
上記により得られた熱延鋼板に対し、機械的特性、表面性状、スポット溶接性、板平坦度を評価した。得られた結果を表2に示す。なお、各評価方法は以下の通りである。機械的特性はJIS5号引張試験片を圧延方向と直角に採取し、JISZ2241に準拠して試験した。:表面性状は赤スケールの有無を目視により判定した。スポット溶接性は5×√板厚(mm)のナゲットが形成される条件でスポット溶接後、たがね試験による破断形態で母材が破断した場合を○、溶接部が破断した場合を×と判定した。鋼板平坦度は波高さで評価し、10mm以下を○、10mm超えを×とした。
Figure 2005213566
表2より本発明鋼はいずれも機械的特性に優れ(YR:0.6以下)、表面性状、溶接性および板平坦度が良好であることがわかる。また、鋼番号12、20はSi濃度がやや高いため、表面性状がやや劣化したが、実用上問題ないレベルと判断した。
これに対し、比較例である鋼番号1はC濃度が本発明範囲外で低いため、マルテンサイトの硬度が不十分で、その結果YRが高い。鋼番号4、5は等軸フェライト体積率またはマルテンサイト体積率が本発明範囲外であるため、良好な二相組織が得られず、YRが高い。鋼番号9はC濃度が本発明範囲外で高いため、フェライト生成が遅延し、良好な二相組織が得られず、YRが高い。また、溶接性も劣化した。鋼番号13はSi濃度が本発明範囲外で高いため、赤スケールが発生して、表面性状が不良であった。鋼番号14はMn濃度が本発明範囲外で低いため、冷却段階でオーステナイトが不安定化し、パーライトが発生したため、YRが高い。鋼番号17はMn濃度が本発明範囲外で高いため、等軸フェライトの生成量が少なく、YRが高い。鋼番号18はCr濃度が本発明範囲外で低いため、巻取り後にオーステナイトがベイナイト変態し、そのため、YRが高い。鋼番号19はCr濃度が本発明範囲外で高いため、1次冷却および保持中に十分等軸フェライトが生成せず、その結果、二相組織が得られず、YRが高い。鋼番号21はP濃度が本発明範囲外で高いため、スポット溶接性が著しく劣化した。
表1に示す化学成分を有するスラブの一部を用い、表3に示す製造条件で、熱間圧延、冷却、巻取りを行い、熱延鋼板を得た。
Figure 2005213566
上記により得られた熱延鋼板に対し、機械的特性、表面性状、スポット溶接性、板平坦度を評価した。得られた結果を表4に示す。なお、各評価方法は実施例1と同様である。
Figure 2005213566
表4より本発明鋼はいずれも、機械的特性に優れている(YR:0.6以下)ことがわかる。また、表面性状、スポット溶接性は実施例2の範囲ではいずれも良好であった。
これに対し、比較例である符号Dは圧延終了後、1次冷却開始までの時間が本発明範囲外で長いため、冷却開始前にフェライトが不均一に生成し、良好な二相組織とならず、YRが高い。符号Eは1次冷却速度が本発明範囲外で低いため、冷却中にフェライトが不均一に生成し、良好な二相組織とならず、YRが高い。符号Iは1次冷却停止温度が本発明範囲外で高いため、その後の保持中におけるフェライト生成が不十分で、良好な二相組織とならず、YRが高い。符号Mは1次冷却停止温度が本発明範囲外で低いため、その後の保持中におけるフェライト生成が不十分で、良好な二相組織とならず、YRが高い。符号Nは1次冷却後の保持時間が本発明範囲外で十分でないため、フェライト生成が不十分で、良好な二相組織とならず、YRが高い。符号Qは1次冷却後の保持時間が本発明範囲外で長いため、保持中にパーライトが生成し、良好な二相組織とならず、YRが高い。符号Rは2次冷却速度が本発明範囲外で低いため、冷却中にベイナイトが生成して、良好な二相組織とならず、YRが高い。符号SおよびTは巻取り温度が本発明範囲外で低いため、冷却時の熱歪みにより板平坦度が劣化した。符号Uは巻取り温度が本発明範囲外で高いため、巻取り後にベイナイトが生成し、良好な二相組織とならず、YRが高い。
本発明鋼板は優れたプレス成形性を有し、また優れた表面性状を有するため、外観性状が重視される成形部品等の用途にも適用できる。

Claims (4)

  1. mass%で、C:0.05〜0.15%、Si:0.5%以下、Mn:1.0〜1.8%、Cr:0.5〜1.5%、P:0.06%以下、S:0.01%以下、N:0.005%以下、SolAl:0.01〜0.1%を含有し、残部は実質的にFeからなり、等軸フェライト体積率が60%以上、マルテンサイト体積率が5〜30%であることを特徴とする加工性、表面性状および板平坦度に優れた高強度薄鋼板。
  2. さらに、mass%で、Mo:0.3%以下、Nb:0.05%以下、Ti:0.1%以下、B:0.002%の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の加工性、表面性状および板平坦度に優れた高強度薄鋼板。
  3. mass%で、C:0.05〜0.15%、Si:0.5%以下、Mn:1.0〜1.8%、Cr:0.5〜1.5%、P:0.06%以下、S:0.01%以下、N:0.005%以下、SolAl:0.01〜0.1%を含有し、残部は実質的にFeからなるスラブを鋳造後、直接または加熱して、Ar3点温度以上で熱間圧延を行い、次いで、熱間圧延終了後2秒以内に150℃/秒以上の冷却速度で750〜600℃に冷却し、次いで、750〜600℃の温度範囲内に2〜15秒保持後、20℃/秒以上の冷却速度で冷却し、350〜550℃の温度で巻取ることを特徴とする加工性、表面性状および板平坦度に優れた高強度薄鋼板の製造方法。
  4. mass%で、C:0.05〜0.15%、Si:0.5%以下、Mn:1.0〜1.8%、Cr:0.5〜1.5%、P:0.06%以下、S:0.01%以下、N:0.005%以下、SolAl:0.01〜0.1%を含み、さらに、Mo:0.3%以下、Nb:0.05%以下、Ti:0.1%以下、B:0.002%の1種または2種以上を含有し、残部は実質的にFeからなるスラブを鋳造後、直接または加熱して、Ar3点温度以上で熱間圧延を行い、次いで、熱間圧延終了後2秒以内に150℃/秒以上の冷却速度で750〜600℃に冷却し、次いで、750〜600℃の温度範囲内に2〜15秒保持後、20℃/秒以上の冷却速度で冷却し、350〜550℃の温度で巻取ることを特徴とする加工性、表面性状および板平坦度に優れた高強度薄鋼板の製造方法。
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