JP2014156389A - マグネシアカーボンれんが - Google Patents

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Abstract

【課題】MgO−Cれんがの一層の緻密性向上(気孔率低減)を図り、今までになかった耐用性の高いMgO−Cれんがを提供すること。
【解決手段】黒鉛を3質量%以上25質量%以下、マグネシア原料を75質量%以上97質量%以下含有し、1400℃で3時間還元焼成後の見かけ気孔率が7.8%以下であるマグネシアカーボンれんが。
【選択図】なし

Description

本発明は、溶融金属の運搬、貯蔵、精製などを行う窯炉全般の内張り材に好適に使用されるマグネシアカーボンれんがに関する。
マグネシアカーボンれんが(以下「MgO−Cれんが」という。)はマグネシアと黒鉛を主骨材として構成される耐食性、耐スポール性に優れたれんがであり、転炉をはじめとする窯炉全般の内張り材として汎く用いられている。
近年の精錬容器の操業過酷化に伴い、より耐用性に優れるMgO−Cれんがが求められるようになった。このMgO−Cれんがの耐用性を示す指標として耐酸化性や耐食性が挙げられる。これらの特性を向上させるためにはMgO−Cれんがを緻密化し、外気との通気性を低くすること、スラグや溶鉄の浸透を抑制することが有効である。これまでも、MgO−Cれんが組織の緻密化のため、配合内容の改良、大容量真空成形機の導入などにより大幅な低気孔率化が図られ、同時に耐用性も向上することが確認され、炉材原単位の削減へ大きく貢献してきた。
一方、MgO−Cれんがについて評価技術も進展がみられ、過去には専ら乾燥後の特性が評価されていたのに対し、最近ではMgO−Cれんがを予め還元焼成し、その特性が評価されるようになった。これによると見かけ気孔率は乾燥後で3%以下であっても、1400℃で3時間還元焼成後では10%あるいはこれ以上に達することがあり、使用後れんがのそれにより近い値が得られる。つまり、試料を予め還元焼成したほうが実使用時の試料により近い状態を表すことができ、材料の改善指標として有効と判断される。
また、MgO−Cれんがの緻密性向上等を目的としてAl、Siなどの金属を添加することも定常的に行われるようになり、その添加量、形状、粒度について種々検討されてきた。例えば特許文献1では粒径0.1mm以下のアトマイズ型金属Al粉を1〜8重量%添加したMgO−Cれんがが耐用性改善に有効であることが示されている。ここでアトマイズ粉を使う理由としては、比表面積が小さいため反応が抑制され持続されやすいことが挙げられているが、このとき受熱による組織形成は遅くなることが考えられる。さらに、その添加量は炭化アルミニウムの生成に消費されてもなお酸化防止に必要な金属Alが残存するよう比較的多量に添加することが望ましいとされているが、昇温にともなって最終的に生成されるスピネルによりMgO−Cれんがは膨張し、例えば残存膨張の増大により緻密性は損なわれてしまうおそれがある。
一方、特許文献2には微量の金属Siを金属Alと併用添加することにより耐酸化性、熱間強度の改善効果があることが示されている。ただし、ここではれんがの緻密性すなわち見かけ気孔率に関しての効能は明確にされておらず、金属Alの添加量も比較的多いほうが望ましいとされており、前述のような緻密性の低下が懸念される。
特許文献3には金属Alと金属Siを併用添加し、高熱間強度で耐食性に優れたMgO−Cれんがが開示されており、このなかには後述する本発明と同様に金属Al、Siの添加量が比較的少ないものも含まれている。しかし、これらの粒度は150μm以下と比較的粗粒なものが使用されており、1200℃還元焼成後の気孔率はいずれも9%を下回ることができておらず、緻密化が不十分である。
マグネシア原料の粒度構成もMgO−Cれんがの緻密化に影響を及ぼすことが知られており、例えば特許文献4では1〜0.2mmの範囲の中間粒を30〜45重量%、0.2mm以下の微粒を15〜25重量%とすることで耐酸化性、耐食性、熱間強度の向上が可能な緻密質MgO−Cれんがが提案されている。中間粒を増量することにより緻密化が図られることは本発明とも趣旨を同じくするところであるが、この際に微粉の量をある程度少量に限定しないと充填性を損なうため緻密性が向上せず、さらに耐スポール性の劣化を伴うことになる。
特開2001−72474号公報 特開昭56−59669号公報 特開昭56−59668号公報 特開平1−270564号公報
本発明が解決しようとする課題は、MgO−Cれんがの一層の緻密性向上(気孔率低減)を図り、今までになかった耐用性の高いMgO−Cれんがを提供することにある。
本発明は添加金属の種類、添加量、粒度を最適化することによりMgO−Cれんがの一層の気孔率低減を図り、今までになかった耐用性の高いMgO−Cれんがの提供を可能にしたものである。すなわち、本発明によれば以下のMgO−Cれんがが提供される。
(1)マグネシア原料と黒鉛とを含有するマグネシアカーボンれんがにおいて、マグネシア原料と黒鉛との合量に占める割合で、黒鉛を3質量%以上25質量%以下、マグネシア原料を75質量%以上97質量%以下含有し、1400℃で3時間還元焼成後の見かけ気孔率が7.8%以下であるマグネシアカーボンれんが。
(2)粒径75μm以下の含有量が85質量%以上の金属Alを添加黒鉛量に対して、1質量%以上15質量%以下含有する(1)に記載のマグネシアカーボンれんが。
(3)粒径45μm以下の含有量が85質量%以上の金属Alを添加黒鉛量に対して、3質量%以上15質量%以下含有する(1)に記載のマグネシアカーボンれんが。
(4)粒径45μm以下の含有量が85質量%以上の金属Alを添加黒鉛量に対して、3質量%以上10質量%以下含有する(1)に記載のマグネシアカーボンれんが。
(5)粒径75μm以下の含有量が85質量%以上の金属Siを添加黒鉛量に対して5質量%以下含有する(1)乃至(4)のいずれかに記載のマグネシアカーボンれんが。
(6)ピッチ系原料の含有量がマグネシア原料と黒鉛との合量に対して外掛けで1質量%未満である(1)乃至(5)のいずれかに記載のマグネシアカーボンれんが。
(7)結合材として、残炭率が48%以上のフェノール樹脂を使用した(1)乃至(6)のいずれかに記載のマグネシアカーボンれんが。
従来においてもMgO−Cれんがを還元焼成して見かけ気孔率を測定した例は散見されるが、それらは殆どが焼成温度は1200℃以下であり、1400℃という高熱負荷下において7.8%以下の低気孔率を達成した例はない。本発明者らは、高熱負荷後のMgO−Cれんがの見かけ気孔率を7.8%以下へとさらに低くさせることによって、従来にない耐食性や耐酸化性を向上させることが可能であるという知見を得た。このことは以下の手法、効果によって達成されたものである。
MgO−Cれんがへの金属Alの添加は公知であるが、その添加方法は弾性率上昇、耐スポール性劣化が許される範囲で可能な限り多量に添加し、耐酸化性、熱間強度向上の効果を得ようと考えられてきた。しかし今回、本発明者らは金属Alを多量に添加するとその昇温過程で生成されるアルミナ、スピネルは体積膨張を伴うため微細組織中に気孔を生じ、さらに残存膨張率の上昇により組織の緻密性を低下させる場合があることを知見した。金属Alの添加を比較的少量に留めると耐酸化性の低下が懸念されるが、MgO−Cれんがの緻密性を確保することにより通気率を低減できるため耐酸化性は維持される。またその粒度も小さいほうが見かけ気孔率を低減するためには好ましい。これは金属Alが昇温過程で溶融、揮発して生じる気孔径を小さくでき、開放気孔化する確率が小さくなるためである。さらにこのことはMgO−Cれんがの組織を早期に形成するためにも有効と考えられる。
一方、金属Siの添加も見かけ気孔率を低減するために有効であることが判明した。金属Siはその昇温過程でMgO−Cれんが内でSiC、続いてSiOを生成する。このSiOはMgOと反応し比較的融点の低いEnstatite,Forsteriteを生成するが、この反応過程の液相がMgO−Cれんがの微細気孔を埋め低気孔率化が図られる。さらに金属Alとの共存下では、さらに低融点であるCordieriteも生成し、より効率よく液相が気孔を埋める効果が発現される。また金属Siの粒度も小さいほうが低気孔率化には有効であり、これは金属Alの場合と同様に昇温過程で溶融、揮発して生じる気孔径を小さくでき開放気孔化する確率が小さくなるためである。
MgO−Cれんがの結合材としては一般的にフェノール樹脂が使用されるが、その残炭率は高いほうが望ましい。これは加熱過程において溶剤の揮発、重縮合反応に伴う揮発分を少なくできるためであり、さらにそれらが揮発する際の系外へのいわゆる抜け道が開放気孔化を助長するためである。
MgO−Cれんがの耐スポール性を補償するためピッチ系原料の添加が汎く実施されるようになった。このピッチ系原料は種々の軟化点、残炭率のものが市販されているが、いずれのピッチ系原料を添加しても揮発分を含有するため気孔率を上昇させてしまう傾向がある。またその添加量が多くなるとれんがの充填性を低下させ、かつ成形時のスプリングバックが増大し緻密性を低下させてしまう傾向がある。この点からピッチ系原料の含有量は、マグネシア原料と黒鉛との合量に対して外掛けで1質量%未満であることが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
マグネシア原料の粒度構成はMgO−Cれんがの緻密性に影響する。マグネシア原料は加熱、冷却の過程で膨張、収縮するが、周囲の黒鉛よりも膨張率が大きいため収縮する際にその周囲に空隙が生成する。1mm超の粗粒の周囲には比較的大きな空隙が生成し容易に開放気孔化してしまうため見かけ気孔率の上昇が大きい。このような理由から1mm以下の粒子を多く配合することで見かけ気孔率は低減される。さらに75μm未満の微粉は、その配合量をある程度抑制しマグネシア粒子間の距離を保ち互いに衝突しないようにすることで充填性が確保され、緻密性が向上する。また75μm未満の微粉の配合量を抑制することは耐スポール性の確保にもつながる。
以下、本発明の構成を詳細に説明する。
MgO−Cれんがの見かけ気孔率を評価するときの焼成温度は1400℃とした。これ未満の温度ではMgO−Cれんが内部での反応が完了しきれず、熱負荷も充分でないため緻密性の評価として適当ではない。またこれを超える温度では焼結が進行してこの効果を分離して評価することが困難になるうえ、焼成する炉への負荷が大きく定常的な測定評価として好ましくなくなる。焼成時間は試料が1400℃に晒される時間として3時間とした。3時間未満ではMgO−Cれんが内部での反応が完了しきれず適当ではない。さらにこれよりも長時間の焼成では焼結が進行してこの効果を分離して評価することが困難になる。本発明は、1400℃で3時間還元雰囲気で焼成した後の試料を、媒液を白灯油としたアルキメデス法(JIS R 2205)により測定された見かけ気孔率を7.8%以下に抑制することを特徴とする。
金属の添加量は添加黒鉛量との比率で規定した。酸化防止材としての金属の必要添加量は酸化消失する黒鉛の量に応じて決定するのが妥当であるからである。
金属Alの添加量は添加黒鉛量に対して15質量%以下が適当であり、さらには10質量%以下であることが望ましい。このように金属Alの添加量を比較的少量に留めることにより、膨張性を抑制し、金属Alが揮発して生じる気孔を少なくでき、結果としてMgO−Cれんがは緻密化される。1質量%以上添加する理由は、これ未満の添加量では耐酸化性が不十分であるためであり、さらに望ましい添加割合は3質量%以上である。この効果は粒径75μm以下の細かい金属Alを使用することで一層の効果が発現される。具体的には、粒度構成として粒径75μm以下の含有量が85質量%以上の金属Alを使用することが望ましく、粒径45μm以下の含有量が85質量%以上の金属Alを使用することがさらに望ましい。
金属Siの添加量は添加黒鉛量に対して5質量%以下と極微量で充分であり、粒径75μm以下の細かい金属Si、具体的には粒度構成として粒径75μm以下の含有量が85質量%以上の金属Siを使用することで一層の効果が発現される。これ以上の過多な添加はMgO−Cれんが内での低融物生成量を増大させ、耐食性低下の原因となり耐用性を低下させる。金属Siの添加量の下限は特に限定されないが、金属Siの効果を顕著に発現させるには添加黒鉛量に対して1質量%以上であることが望ましい。
結合材として使用するフェノール樹脂はノボラック型、レゾール型、及びこの混合型のいずれでもよいが、MgO−Cれんがにおいては経時変化をおこし難いノボラック型がより好ましい。粉末、または適当な溶剤に溶かした液状、さらに液状と粉末の併用のいずれも使用でき、通常はヘキサメチレンテトラミンなどの硬化材を適量添加して残炭率を確保する。その残炭率は34%以上であることが望ましく、さらに望ましくは48%以上であるが、必ずしもこれに限定されるものではない。通常市販されている耐火物用のフェノール樹脂でこのような高残炭樹脂はあまり知られていないが、例えば特開2010−105891号公報に開示されているようにピッチを相溶させたり溶媒種、量を調整することにより50%以上の残炭率を達成することも可能である。
ピッチ系原料は軟化点、残炭率のいずれのものも使用可能であり、必要により複数種を併用添加してもよい。さらに国際公開第2007/011038号に開示されているように分散性を高めて添加することにより他特性の劣化を抑制したうえで一層の耐スポール性改善効果が得られる。ただし前述のような理由から、その添加量はマグネシア原料と黒鉛との合量に対して外掛けで、1.0質量%未満に留めることが望ましく、さらに望ましくは0.6質量%未満である。
マグネシア原料は粒度構成としては、マグネシア原料と黒鉛との合量に占める割合で、粒径0.075mm以上1mm以下のものを35質量%以上配合させ、かつ0.075mm未満のマグネシア原料に対する0.075mm以上1mm以下のマグネシア原料の質量比(0.075mm以上1mm以下のマグネシア原料の質量/0.075mm未満のマグネシア原料の質量)が4.2以上となるよう配合することが好ましい。こうすることで比較的大きな開放気孔を生成する1mm超のマグネシア原料は57質量%未満に抑制されることになる。粒径0.075mm以上1mm以下のものを35質量%以上配合する理由は、これ未満の配合量では上述の機構による気孔率抑制効果が不十分なためである。また粒径0.075mm未満のマグネシア原料に対する粒径0.075mm以上1mm以下のマグネシア原料の質量比を4.2以上とすることにより、粒径0.075mm未満の粒子が過多に配合されることを防ぎ、マトリックス中のマグネシア粒子間の距離が適度に保たれ充填性が確保され緻密性を向上させることができるとともに、耐スポール性も確保できる。
本発明により製造されるMgO−Cれんがにおいて使用されるマグネシア原料は電融マグネシア、焼結マグネシアのいずれもよく、これらを混合して使用してもよい。その組成も特に規定されるものではないが、より高い耐食性を得るためにはMgO純度が高いマグネシア骨材を使用したほうがよく、MgO純度は96%以上、さらに望ましくは98%以上である。
黒鉛は通常の鱗状黒鉛が使用されるが、これに換えてまたはこれと併用して膨張黒鉛、人造黒鉛、キッシュグラファイトなどを使用してもよい。その組成は特に規定されるものではないが、より高い耐食性を得るためにはC純度が高い黒鉛を使用したほうがよく、C純度は85%以上、さらに望ましくは98%以上である。粒度は極端に細粒なものでは緻密性の維持が難しいため、粒径0.04mm以上の、さらに望ましくは粒径0.15mm以上の黒鉛をその配合量の40質量%以上使用したほうがよい。
さらに諸特性改善を目的として、Mg、Ca、Cr、Zrなど他の金属、及びこれら元素の2種以上の合金、これらとB、Cとの化合物を添加することが可能である。本発明はこれらの添加効果を損なうものではないが、これらも過多に添加すると緻密性が低下するなどの弊害があるため、その添加量は金属Alと同様に添加黒鉛量に対して15質量%以下とすることが望ましい。
この他、主に耐スポール性を補償するために単球型及び/又はアグリゲート型カーボンブラック、及びこれらの分散、解砕処理粉などを使用することができる。しかしこれらも過多に添加すると緻密性を低下させるため、その添加量はC成分の合計で1.5質量%以下が望ましい。
これらのMgO−Cれんがの製造にあたっては、混練機、成形機、乾燥機の種類やその製造内容を限定するものではない。ただし緻密なMgO−Cれんがを得るために、混練については添加する原料が十分に分散かつ練り込みを行うことが可能な混練機を用いて混練を行うことが望ましい。成形圧力は120MPa程度以上、さらには150MPa以上にて成形されることが望ましい。乾燥温度は結合材の溶媒の沸点以上必要だが400℃以下に留めたほうが酸化防止の点で好ましい。
こうして得られた緻密な、つまり低気孔率なMgO−Cれんがは耐食性が極めて良好である。また通気率も大幅に低減されることから金属添加量が少ないにも関わらず耐酸化性が劣ることはない。マグネシア原料の粒度構成も微粉の配合量を抑制し耐スポール性に配慮して設計されているため、稼動中に割れる心配がない点は特筆される。
このような本発明のMgO−Cれんがは転炉の全部位、鋼鍋スラグライン部、二次精錬容器に好適に適用され、炉寿命向上、炉材原単位低減に大きく貢献できる。
以下、実施例に基づき、本発明の実施の形態を説明する。尚、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
試料作製は転炉用製品製造ラインを用いた。表1、2に記載の割合にて原料秤量を行い、混練はハイスピードミキサーを使用し、成形は長さ810mmの側壁用標準形状において真空フリクションにより最高180MPaの成形圧力で成形した。乾燥はバッチ炉において最高280℃で5時間保持した。
これから物性測定用試料を切り出して試験を行った。見かけ気孔率の測定においては形状60×60×60mmの試料をコークスブリーズ中に埋め、電気炉において1400℃まで昇温し、3時間保持して自然放冷した。この後溶媒を白灯油とし、JIS R 2205に準拠して見かけ気孔率を測定した。耐酸化性の評価は乾燥後試料からφ50×50mmに切り出し、大気雰囲気下で電気炉中1400℃で5時間焼成した。この後試料の高さ方向の中央を切断し、炭素成分が脱炭して変色した部分の厚さを4方向計測してこの値の平均値を脱炭層厚さとした。耐食性は、回転侵食試験にて評価した。回転侵食試験では、水平の回転軸を有するドラムの内面に供試れんがでライニングし、スラグを投入、加熱してれんが表面を侵食させた。熱源は酸素−プロパンとしたバーナーで、試験温度は1700℃、スラグ組成はCaO/SiO=3.4、FeO=20%、MgO=3%とし、スラグの排出、投入を30分毎に10回繰り返した。試験終了後、各れんがの最大溶損部の寸法を測定し、これから耐食性指数を算出した。この耐食性指数は数値が大きいものほど耐食性が優れることを示す。
表1は、添加黒鉛量(マグネシア原料と黒鉛との合量に占める割合で示す。以下同じ。)に対する金属Alの添加量の影響を調査した結果である。耐食性指数は、表1に記載の「比較例1」の侵食量を100とする耐食性指数で表示した。
実施例1は黒鉛13質量%に対し粒径が75μm以下の金属Alを0.13質量%添加し、添加黒鉛量に対する金属Al比率を1.0%とした結果、見かけ気孔率7.8%が達成され耐酸化性、耐食性ともに優れる結果となった。これに対し比較例1は金属Alの添加量が少ない即ち添加黒鉛量に対する金属Alの比率が少ないため、見かけ気孔率が上昇し、耐酸化性、耐食性も劣る結果となった。
実施例2は黒鉛13質量%に対し粒径が75μm以下の金属Alを1.9質量%添加し、添加黒鉛量に対する金属Al比率を14.6%とした結果、見かけ気孔率は低減、耐酸化性が向上する結果が得られた。これに対し比較例2は添加黒鉛量に対する金属Alの添加量が過多であるため耐酸化性は若干向上するものの見かけ気孔率は上昇した。
実施例3,4は実施例1,2をもとに、粒径0.075mm未満のマグネシア原料に対する粒径0.075mm以上1mm以下のマグネシア原料の質量比を4.2以上の、5.38に調整を行い評価を行った結果である。見かけ気孔率、耐食性は実施例1,2のそれよりも向上する結果が得られた。
表2と3は、さらに添加する金属の種類と添加量、黒鉛の添加量、フェノール樹脂の残炭率の影響を調査した結果である。耐食性指数は表3に記載の「比較例3」の侵食量を100とする耐食性指数で示した。比較例3、4は添加黒鉛量に対する金属Al比率を各々0.9%、15.4%とした結果である。表1に記載の比較例1,2と同様、見かけ気孔率は大きく、耐食性に劣る結果となった。実施例5は金属Al添加量を1質量%にし添加黒鉛量に対する金属Al比率を7.7%とした結果、一層の見かけ気孔率低減と耐食性の向上が図られた。これに対し比較例5は金属Alを1%即ち添加黒鉛量に対する金属Al比率を7.7%としても0.15mm以下の比較的粗粒の金属Al(粒径75μm以下の含有量は10質量%)を添加した結果、十分な気孔率低減効果が得られず、耐酸化性、耐食性も劣る結果となった。
実施例6,7,8は金属Siを併用し、さらに金属Al、Siを細粒化することにより低気孔率化が図られたものである。実施例9は実施例8にBCを0.1質量%添加し、さらに特性改善効果が確認されたものである。実施例10,11,12,13は黒鉛をそれぞれ3,8,18,25質量%配合したMgO−Cれんがである。いずれも低見かけ気孔率であり耐酸化性、耐食性ともに良好な特性が確認された。これに対し比較例6は添加黒鉛量を2質量%としたMgO−Cれんがであるが、見かけ気孔率は増大し、それに伴い耐酸化性、耐食性ともに低下した。この場合、充填性が低下することに起因すると考えられる。また比較例7の添加黒鉛量26質量%においても、見かけ気孔率が大きく、耐食性も低下することが確認された。
実施例14,15,16は残炭率が48%、52%のフェノール樹脂を結合材として使用したMgO−Cれんがである。いずれも実施例9,11の残炭率が42%のそれを使用した場合と比較して特性が改善される。実施例17は実施例15に対しピッチの添加量を0.9質量%と増量したものであり、この場合、若干気孔率が上昇し耐食性は低下するが、十分な改善効果が得られている。実施例18,19は実施例15に対しピッチの添加量を0.2質量%、0質量%と減量したものであり、一層の気孔率低減、耐食性向上効果が得られていることが確認できる。実施例20,21は粒径0.075mm未満のマグネシア原料に対する粒径0.075mm以上1mm以下のマグネシア原料の質量比が4.22及び11.00であるMgO−Cれんがであるが、低気孔率であり、耐酸化性、耐食性ともに優れた特性が達成されている。これに対し比較例8はこの質量比が3.90の場合だが、実施例20と比べて見かけ気孔率が大きく耐食性も大幅に劣化している。比較例9では粒径0.075mm以上1mm以下のマグネシア原料が全体のマグネシア原料の35質量%未満しか配合されず粒径1mm超の粒子の配合量が過多となり、見かけ気孔率が大きく耐食性も大きく劣る結果となった。
実施例22は残炭率が30%のフェノール樹脂を結合材として使用したMgO−Cれんが、実施例23はピッチ系原料の含有量が2質量%の例であるが、本発明の範囲内であり緻密な組織となっている。
Figure 2014156389
Figure 2014156389
Figure 2014156389

Claims (7)

  1. マグネシア原料と黒鉛とを含有するマグネシアカーボンれんがにおいて、マグネシア原料と黒鉛との合量に占める割合で、黒鉛を3質量%以上25質量%以下、マグネシア原料を75質量%以上97質量%以下含有し、1400℃で3時間還元焼成後の見かけ気孔率が7.8%以下であるマグネシアカーボンれんが。
  2. 粒径75μm以下の含有量が85質量%以上の金属Alを添加黒鉛量に対して、1質量%以上15質量%以下含有する請求項1に記載のマグネシアカーボンれんが。
  3. 粒径45μm以下の含有量が85質量%以上の金属Alを添加黒鉛量に対して、3質量%以上15質量%以下含有する請求項1に記載のマグネシアカーボンれんが。
  4. 粒径45μm以下の含有量が85質量%以上の金属Alを添加黒鉛量に対して、3質量%以上10質量%以下含有する請求項1に記載のマグネシアカーボンれんが。
  5. 粒径75μm以下の含有量が85質量%以上の金属Siを添加黒鉛量に対して5質量%以下含有する請求項1乃至4のいずれかに記載のマグネシアカーボンれんが。
  6. ピッチ系原料の含有量がマグネシア原料と黒鉛との合量に対して外掛けで1質量%未満である請求項1乃至5のいずれかに記載のマグネシアカーボンれんが。
  7. 結合材として、残炭率が48%以上のフェノール樹脂を使用した請求項1乃至6のいずれかに記載のマグネシアカーボンれんが。
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