JP2014155337A - 交流電動機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】交流電動機の停止時、且つ、電気角及び電流指令ベクトルの位相に応じてセンサ相の電流検出値がゼロとなるとき、交流電動機を安定して駆動可能な交流電動機の制御装置を提供する。
【解決手段】3相のうち1相のセンサ相(W相)に流れる電流を検出する電動機制御装置において、制御部は、交流電動機の停止時、電流指令ベクトルとW相軸とが3相座標上で直交しているか否かを判定し、直交している場合、電流指令位相φを操作することで、電流指令ベクトルの位相角(電気角θe+位相φ+90°)をW相軸と非直交化する。電流指令ベクトルとW相軸とが直交していると、センサ値iw_snsが常にゼロで検出されることとなり、その結果、1相制御では交流電動機を安定して駆動することができなくなる。そこで、電流指令ベクトルとW相軸とを非直交化することで、交流電動機の停止位置によらず非ゼロのセンサ値iw_snsを常に検出可能とする。
【選択図】図7

Description

本発明は、3相のうち1相の相電流を電流センサにより検出して交流電動機の通電を制御する交流電動機の制御装置に関する。
近年、低燃費、低排気エミッションの社会的要請から車両の動力源として交流電動機を搭載した電気自動車やハイブリッド自動車が注目されている。例えば、ハイブリッド自動車においては、二次電池等からなる直流電源と交流電動機とを、インバータ等で構成された電力変換装置を介して接続し、直流電源の直流電圧をインバータで交流電圧に変換して交流電動機を駆動するようにしたものがある。
このようなハイブリッド自動車や電気自動車に搭載される交流電動機の制御装置において、相電流を検出する電流センサを1相のみに設け、1相の電流検出値に基づき推定した電流推定値をフィードバックすることで交流電動機の通電を制御する「1相制御」の技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。電流センサを1相のみに設けることで、電流センサの数を減らし、インバータの3相出力端子近傍の小型化や交流電動機の制御系統のコスト低減を図っている。
特開2008−86139号公報
特許文献1の技術に基づく電流フィードバック制御によれば、d軸及びq軸(以下、適宜、「dq軸」という)電流指令を逆dq変換して得られる3相電流指令値のうちセンサ相以外の2相の電流指令値を推定値として扱う。そして、1相のセンサ相(例えばW相)の電流検出値と、他の2相(例えばU相とV相)の電流推定値とをdq変換して得られるdq軸電流推定値をdq軸電流指令id*、iq*に対してフィードバックする。
ところで、交流電動機が停止し、且つ、非ゼロの電流指令が指令されている状態を想定する。電気角及び電流指令ベクトルの位相によっては、センサ相の相電流がゼロとなる位置で停止する場合があり得る。この場合、センサ相の電流検出値は常にゼロで検出されることとなる。
ここで、「停止」には、所定回転数以下の低回転状態を含むものとする。また、電流について「ゼロ」というとき、厳密な0[A]のみでなく、検出誤差や機器の分解能を考慮し、実質的に0[A]と同等の範囲の値を含む。また、「非ゼロ」というとき、厳密な0[A]のみを除くのではなく、実質的に0[A]と同等の範囲以外の値を意味する。
このように、センサ相の電流検出値が常にゼロで検出されるとき、特許文献1の技術に基づく電流フィードバック制御では、センサ相の電流検出値であるゼロ値と、他の2相の電流推定値とからdq変換して得られるdq軸電流推定値は、dq軸電流指令id*、iq*に一致する。したがって、dq軸電流指令id*、iq*をそのままdq軸電流指令id*、iq*に対してフィードバックすることとなり、dq軸電流偏差Δid、Δiqがゼロとなるため、フィードバック制御がされていないのと同然の状態となる。
そのため、電気角及び電流指令ベクトルの位相に応じて、センサ相の電流検出値が常にゼロで検出される位置で交流電動機が停止したとき、特許文献1の技術に基づく電流フィードバック制御では、交流電動機の駆動制御が不安定となるおそれがある。
本発明はこのような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、3相のうち1相のセンサ相に流れる電流を検出する交流電動機の制御装置において、交流電動機の停止時、且つ、電気角及び電流指令ベクトルの位相に応じてセンサ相の電流検出値がゼロとなるとき、交流電動機を安定して駆動可能な交流電動機の制御装置を提供することにある。
本発明は、3相の交流電動機を駆動するインバータと、交流電動機の3相のうち1相のセンサ相に流れる電流を検出する電流センサと、インバータを構成する複数のスイッチング素子のオン/オフを切り替えて交流電動機の通電を制御する制御手段とを備える交流電動機の制御装置に係る発明である。
制御手段は、交流電動機の停止時、3相のうちいずれかの相を基準とする電気角をθeとしdq軸を基準とする位相をφとすると位相角が(θe+φ+C(Cは定数))で表される電流指令ベクトルについて、当該電流指令ベクトルとセンサ相の軸とが3相座標上で直交しているか否かを判定する。
そして、電流指令ベクトルとセンサ相の軸とが直交していると判定したとき、電流指令ベクトルの位相角における位相(φ)又は電気角(θe)を操作することで、電流指令ベクトルとセンサ相の軸とを非直交化する「非直交化処理」を実行する。
ここで、「交流電動機の停止時」の「停止」とは、回転数が厳密に0[rpm]の場合のみでなく、回転数が所定の回転数以下の低回転状態を含む。例えば、制御周期又は電流センサのサンプリング間隔に比べて電気角周期が十分に長いときを「停止」という。
また、「電流指令ベクトルとセンサ相の軸とが直交している」の「直交」とは、交差角度が厳密に90[°]の場合のみでなく、交差角度が90[°]付近の所定範囲である場合を含む。また、「非直交」とは、交差角度が厳密に90[°]の位置のみを除くのではなく、交差角度が90[°]付近の所定範囲以外であることを意味する。
さらに、位相角を定義した電流指令ベクトルについては、位相角を観念することができない「ゼロベクトル」、すなわち振幅ゼロのベクトルを除外する。
交流電動機の停止時にセンサ相の電流検出値が常にゼロで検出されるのは、電流指令ベクトルとセンサ相の軸とが3相座標上で直交するときである。したがって、電流指令ベクトルとセンサ相の軸とが3相座標上で直交しているか否かを判定することにより、センサ相の電流検出値が常にゼロで検出される位置にあるか否かを判定することができる。
逆に、交流電動機の停止時に、電流指令ベクトルとセンサ相の軸とを非直交となるようにすれば、非ゼロであるセンサ相の電流検出値を常に検出可能となる。
本発明によれば、交流電動機の停止時であって、電流指令ベクトルとセンサ相の軸とが3相座標上で直交している場合、非直交化処理によって、電流指令ベクトルとセンサ相の軸とを非直交化することで、交流電動機の停止位置によらず非ゼロのセンサ値を常に検出可能とすることができる。これにより、特に交流電動機の始動時や低回転域での推定精度を向上することができ、交流電動機を安定して駆動することができる。
非直交化処理において電流指令位相(φ)を操作する場合は、dq軸電流指令を補正する。これにより、電流指令ベクトルとセンサ相の軸とを非直交化し、センサ相の電流値を常に検出可能とすることができる。
この場合、電流指令ベクトルに基づき発生するトルクを一定に保つように電流振幅を変更しつつ、電流指令位相を操作することが好ましい。具体的には、dq座標上の等トルクライン上で電流指令ベクトルを移動させるとよい。
非直交化処理の実行中は、補正後のdq軸電流指令に基づいて交流電動機の通電が制御される。そして、非直交化処理により電流指令ベクトルがセンサ相の軸と非直交となったときには、当初のdq軸電流指令による通常制御に戻してよい。この切替え時における急変を避けるため、制御手段は、補正前のdq軸電流指令の演算と補正後のdq軸電流指令の演算とを常時並行計算することが好ましい。
非直交化処理において電気角(θe)を操作する場合は、トルクを発生させ交流電動機を回転させる。これにより、電流指令ベクトルとセンサ相の軸とを非直交化し、センサ相の電流値を常に検出可能とすることができる。
本発明の第1〜第3実施形態による交流電動機の制御装置が適用される電動機駆動システムの構成を示す図である。 本発明の第1〜第3実施形態による交流電動機の制御装置の全体構成図である。 交流電動機の低回転時における1相制御の問題点を説明する相電流波形の模式図である。 交流電動機の停止時における相電流の直流化を説明する模式図である。 本発明の第1実施形態による交流電動機の制御装置の制御部の構成を示すブロック図である。 図5の電流指令確定部の詳細なブロック図である。 本発明の第1、第2実施形態による非直交化処理である電流指令位相操作を説明する説明図である。 電流指令位相操作のタイムチャートである。 電流指令位相操作において、等トルクラインに沿って電流指令ベクトルを動かす例を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態による交流電動機の通電制御のフローチャートである。 本発明の第2実施形態による交流電動機の制御装置の制御部の構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態による交流電動機の通電制御のフローチャートである。 本発明の第3実施形態による交流電動機の制御装置の制御部の構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態による非直交化処理である電気角操作を説明する説明図である。 電気角操作におけるdq軸電流指令の操作を説明する説明図である。 本発明の第3実施形態による交流電動機の通電制御のフローチャートである。
以下、本発明による交流電動機の制御装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
最初に、複数の実施形態に共通の構成について、図1、図2を参照して説明する。この実施形態による「交流電動機の制御装置」としての電動機制御装置10は、ハイブリッド自動車を駆動する電動機駆動システムに適用される。
[交流電動機の制御装置の構成]
図1に示すように、電動機駆動システム1は、交流電動機2、直流電源8、及び電動機制御装置10等を備える。
交流電動機2は、例えば電動車両の駆動輪6を駆動するためのトルクを発生する電動機である。本実施形態の交流電動機2は、永久磁石式同期型の三相交流電動機である。
電動車両には、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池車等、電気エネルギによって駆動輪6を駆動する車両が含まれるものとする。本実施形態の電動車両は、エンジン3を備えたハイブリッド車両であり、交流電動機2は、駆動輪6を駆動するためのトルクを発生する電動機としての機能、及び、エンジン3や駆動輪6から伝わる車両の運動エネルギにより駆動されて発電可能な発電機としての機能を有する、所謂モータジェネレータ(図中、「MG」と記す。)である。
交流電動機2は、例えば変速機等のギア4を介して車軸5に接続される。これにより、交流電動機2の駆動力は、ギア4を介して車軸5を回転させることにより、駆動輪6を駆動する。
直流電源8は、例えばニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池や電気二重層キャパシタ等、充放電可能な蓄電装置である。直流電源8は、電動機制御装置10のインバータ12(図2参照)と接続され、インバータ12を介して交流電動機2と電力の授受可能に構成されている
車両制御回路9は、マイクロコンピュータ等により構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、I/O、及び、これらを接続するバスライン等を備えている。車両制御回路9は、予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理や、専用の電子回路によるハードウェア処理により、電動車両全体を制御する。
車両制御回路9は、いずれも図示しないアクセルセンサからのアクセル信号、ブレーキスイッチからのブレーキ信号、及び、シフトスイッチからのシフト信号等の各種センサやスイッチ等から信号を取得可能に構成されている。車両制御回路9は、取得されたこれらの信号等に基づいて車両の運転状態を検出し、運転状態に応じたトルク指令値trq*を電動機制御装置10に出力する。また、車両制御回路9は、エンジン3の運転を制御する図示しないエンジン制御回路に対し、指令信号を出力する。
図2に示すように、電動機制御装置10は、インバータ12、電流センサ13、及び「制御手段」としての制御部15を備える。
インバータ12には、図示しない昇圧コンバータによる直流電源の昇圧電圧がインバータ入力電圧VHとして入力される。インバータ12は、ブリッジ接続される図示しない6つのスイッチング素子を有する。スイッチング素子には、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ、バイポーラトランジスタ等を用いることができる。制御部15のPWM信号生成部25から出力されるPWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLに基づいてスイッチング素子のオン/オフが制御される。これにより、インバータ12は、交流電動機2に印加される3相交流電圧vu、vv、vwを制御する。交流電動機2は、インバータ12により生成された3相交流電圧vu、vv、vwが印加されることにより駆動が制御される。
電流センサ13は、交流電動機2のいずれか1相に設けられる。電流センサ13が設けられる相を「センサ相」という。電流センサ13は、センサ相の相電流を検出し、電流検出値を制御部15に出力する。「センサ相の電流検出値」を「センサ値」という。
本実施形態では、電流センサ13がW相に設けられている構成を前提として説明する。すなわち、「W相」は「センサ相」と同義であり、「W相のセンサ値iw_sns」が「センサ相の電流検出値」に相当する。また、3相座標におけるW相軸が「センサ相の軸」に相当する。なお、他の実施形態では、U相又はV相をセンサ相としてもよい。
回転角センサ14は、交流電動機2の図示しないロータ近傍に設けられ、電気角θeを検出し、制御部15に出力する。また、回転角センサ14により検出された電気角θeに基づき、交流電動機2のロータの回転数Nが算出される。以下、「交流電動機2のロータの回転数N」を、単に「交流電動機2の回転数N」という。
本実施形態の回転角センサ14は、レゾルバであるが、その他の実施形態では、ロータリエンコーダ等、他種のセンサを用いてもよい。
制御部15は、マイクロコンピュータ等により構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、I/O、及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。制御部15は、予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理や、専用の電子回路によるハードウェア処理により、交流電動機2の動作を制御する。
電動機制御装置10は、回転角センサ14が検出した電気角θeに基づく交流電動機2の回転数N、及び、車両制御回路9からのトルク指令値trq*に応じて、交流電動機2を「電動機としての力行動作」により電力を消費し、又は「発電機としての回生動作」により電力を生成する。具体的には、回転数N及びトルク指令値trq*の正負によって、以下の4つのパターンで動作を切り替える。
<1.正転力行> 回転数Nが正でトルク指令値trq*が正のとき、電力消費。
<2.正転回生> 回転数Nが正でトルク指令値trq*が負のとき、発電。
<3.逆転力行> 回転数Nが負でトルク指令値trq*が負のとき、電力消費。
<4.逆転回生> 回転数Nが負でトルク指令値trq*が正のとき、発電。
回転数N>0(正転)で、トルク指令値trq*>0である場合、または、回転数N<0(逆転)でトルク指令値trq*<0である場合、インバータ12は、スイッチング素子のスイッチング動作により、直流電源8側から供給される直流電力を交流電力に変換してトルクを出力する(力行動作する)ように、交流電動機2を駆動する。
一方、回転数N>0(正転)で、トルク指令値trq*<0である場合、または、回転数N<0(逆転)でトルク指令値trq*>0である場合、インバータ12は、スイッチング素子のスイッチング動作により、交流電動機2が発電した交流電力を直流電力に変換し、直流電源8側へ供給することにより、回生動作する。
以下、本発明の実施形態の特徴的な構成、作用を説明するにあたり、用語の解釈に関する留意点を予め説明しておく。
dq軸電流指令id*、iq*、又はセンサ値iw_sns等の電流について「ゼロ」というとき、厳密な0[A]のみでなく、検出誤差や機器の分解能を考慮し、実質的に0[A]と同等の範囲の値を含む。また、「非ゼロ」というとき、厳密な0[A]のみを除くのではなく、実質的に0[A]と同等の範囲以外の値を意味する。
また、特に言及しない限り、以下の説明では、d軸電流指令id*、及びq軸電流指令iq*の少なくとも一方は非ゼロであることを前提とする。言い換えれば、電流指令ベクトルの振幅Iaが非ゼロであることを前提とする。以下、「d軸電流及びq軸電流」を適宜「dq軸電流」のように表す。
座標上での位置関係について「直交」というとき、交差角度が厳密に90[°]の場合のみでなく、交差角度が90[°]付近の所定範囲である場合を含む。また、「非直交」というとき、交差角度が厳密に90[°]の位置のみを除くのではなく、交差角度が90[°]付近の所定範囲以外であることを意味する。
交流電動機2のロータの回転について「停止」というとき、回転数Nが厳密に0[rpm]の場合のみでなく、回転数Nが所定の回転数以下の低回転状態を含む。例えば、制御周期又は電流センサ13のサンプリング間隔Ts(図3参照)に比べて電気角周期が十分に大きいときを「停止」という。また、「停止時」、「停止状態」等の用語中の「停止」もこれと同じ意味で解釈する。
本発明の実施形態では、電流センサ13を1相のみに設けることで、2相又は3相に電流センサを設ける構成に比べ、電流センサの数を減らし、インバータ12の3相出力端子近傍の小型化や交流電動機2の制御系統のコスト低減を図ることができる。
その反面、交流電動機2の通電を制御するにあたり、1相のセンサ値に基づく「1相制御」を行う必要がある。1相制御にはいくつかの方法があるが、いずれの制御方法でも、2相のセンサ値に基づく2相制御に比べて実機情報が乏しくなる傾向がある。
低回転時における1相制御の問題点について、図3、図4を参照して説明する。
図3は、W相電流波形について、回転数Nの違いによる、電流センサ13のサンプリング間隔Tsと、電気角移動量Δθe及び電流変化量Δiwとの関係を模式的に示した図である。(a)は高回転時、(b)は中回転時、(c)は低回転時の相電流波形を示す。ここでの「高回転、中回転、低回転」は、相対的な意味でのみ用い、具体的な回転数を意味しない。また、サンプリング間隔Tsは、回転数Nによらず一定とする。
高回転時は、サンプリング間隔Tsにおける電気角移動量Δθe及び電流変化量Δiwが比較的大きな値となっており、実機情報がよく反映されるため、比較的精度の高い1相制御が可能である。
中回転時は、サンプリング間隔Tsにおける電気角移動量Δθe及び電流変化量Δiwが高回転時よりも減少するため、実機情報がやや不足し、1相制御での精度が低下する。
低回転時は、サンプリング間隔Tsにおける電気角移動量Δθe及び電流変化量Δiwがさらに減少し、電流変化量Δiwがゼロに近くなる。そのため、実機情報が乏しくなり、1相制御が成立しない場合があり得る。
さらに、交流電動機2の回転数Nがゼロとなり停止すると、電気角θeは一定となる。また、電流指令位相φも一定と仮定すれば、図4(a)に示すように各相の電流は一定となり、直流化される。図4(a)において、U相電流iu、V相電流ivは、実電流を示し、実際には検出されない。W相電流は、センサ値iw_snsである。
なお、3相の相電流にはキルヒホッフの法則により、式(1)が成立している。
iu+iv+iw=0 ・・・(1)
また、図4(b)に示すように、交流電動機2が停止したとき、電気角θe及び電流指令位相φによって、センサ値iw_snsが「常に」ゼロとなる場合がある。どういう場合にセンサ値iw_snsがゼロとなるかについて、詳しくは後述する。
ここで、上述のように、「停止」には、停止に近い低回転状態を含む。交流電動機2が非常にゆっくり回転する場合には、いずれ、センサ値iw_snsが「ゼロ」の範囲から脱するときがくると推察される。したがって、「常にゼロである」という表現は、「永久にゼロである」という意味でなく、「制御周期に対し十分長い期間ゼロの状態を継続する」という意味で解釈する。
また、上述したとおり、d軸電流指令id*、及びq軸電流指令iq*が共にゼロである場合を考慮しない。つまり、d軸電流指令id*、及びq軸電流指令iq*が共にゼロである場合、電流振幅がゼロとなり、3相電流iu、iv、iwはいずれもゼロとなるから、センサ値iw_snsは当然にゼロとなるが、このような場合を考慮しない。特に言及しない限り、「センサ値iw_snsがゼロ」とは、図4(b)に示すように、U相電流iu、V相電流ivが非ゼロであり、且つ、W相のセンサ値iw_snsがゼロである状態を意味するものとする。
このように、センサ値iw_snsが常にゼロで検出されるとき、例えば、特許文献1の技術を用いてフィードバック制御する場合、1相のセンサ値iw_snsであるゼロ値と、他の2相の電流推定値とからdq変換して得られるdq軸電流推定値は、dq軸電流指令id*、iq*に一致する。したがって、dq軸電流指令id*、iq*をそのままdq軸電流指令id*、iq*に対してフィードバックすることとなり、dq軸電流偏差Δid、Δiqがゼロとなるため、フィードバック制御がされていないのと同然の状態となる。
以上のように、交流電動機2が停止しているとき、1相制御では、交流電動機2の駆動制御が不安定になるという問題がある。
[制御部の構成と作用効果]
そこで、本発明の実施形態による電動機制御装置10は、交流電動機2が停止したときの電気角θe及び電流指令位相φによらず、センサ値iw_snsを常に非ゼロ値で検出可能とするための制御部15の構成を特徴としている。以下、制御部15の構成及び作用効果を第1〜第3実施形態毎に説明する。第1、第2、第3実施形態の制御部の符号を、それぞれ、151(図5)、152(図11)、153(図13)とする。
(第1実施形態)
第1実施形態の制御部151の構成について、図5〜図9を参照して説明する。
図5に示すように、制御部151は、電流指令演算部21、電流減算器22、PI演算部23、逆dq変換部24、PWM信号生成部25、電流推定部30、及び、電流指令確定部51を有する。
電流指令演算部21は、車両制御回路9から取得したトルク指令値trq*に基づき、交流電動機2の回転座標系(dq座標系)におけるd軸電流指令id*、及びq軸電流指令iq*を演算する。 本実施形態では、予め記憶されているマップを参照してdq軸電流指令id*、iq*を演算するが、他の実施形態では、数式等から演算するようにしてもよい。
dq軸電流指令id*、iq*は、電流減算器22に直接入力されず、一旦、電流指令確定部51に入力される。図6に示すように、電流指令確定部51は、電流指令補正部511、電流指令位相変換部512、電流指令選択部513を有している。
電流指令補正部511は、dq軸電流指令id*、iq*による電流指令ベクトルについて、後述するように、W相軸との「直交判定」を行い、直交している場合、「非直交化処理」を実行する。また、非直交化処理において、dq軸電流指令id*、iq*を補正したdq軸電流指令id**、iq**を演算する。
電流指令位相変換部512は、当初のdq軸電流指令id*、iq*から変換した電流指令位相φを電流指令選択部513に出力する。
電流指令選択部513は、電気角θe、電流指令位相φ、センサ値iw_snsの情報を取得し、当初のdq軸電流指令id*、iq*、又は補正後のdq軸電流指令id**、iq**を選択してdq軸電流指令確定値id_fix、iq_fixとして出力する。電流指令選択部513は、非直交化処理を実行する場合、補正後のdq軸電流指令id**、iq**を選択する。
電流指令確定部51で選択されたdq軸電流指令確定値id_fix、iq_fixは、電流減算器22及び電流推定部30に入力される。以下は、dq軸電流指令確定値id_fix、iq_fixに基づく電流フィードバック制御に係る構成である。
電流減算器22は、d軸電流減算器221及びq軸電流減算器222を有する。d軸電流減算器221では、電流推定部30にて算出されてフィードバックされるd軸電流推定値id_estとd軸電流指令確定値id_fixとの差であるd軸電流偏差Δidを算出する。また、q軸電流減算器222では、電流推定部30にて算出されてフィードバックされるq軸電流推定値iq_estとq軸電流指令確定値iq_fixとの差であるq軸電流偏差Δiqを算出する。
PI演算部23は、d軸PI演算部231及びq軸PI演算部232を有する。d軸PI演算部231では、d軸電流推定値id_estをd軸電流指令id*に追従させるべく、d軸電流偏差Δidがゼロに収束するようにd軸電圧指令vd*をPI演算により算出する。また、q軸PI演算部232では、q軸電流推定値iq_estをq軸電流推定値iq*に追従させるべく、q軸電流偏差Δiqがゼロに収束するようにq軸電圧指令vq*をPI演算により算出する。
逆dq変換部24では、回転角センサ14から取得される電気角θeに基づき、dq軸電圧指令vd*、vq*を、U相電圧指令vu*、V相電圧指令vv*、及びW相電圧指令vw*に変換する。
PWM信号生成部25では、インバータ12のスイッチング素子のオン/オフの切替えに係るPWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLを、3相電圧指令vu*、vv*、vw*、及び、インバータ12に印加されるインバータ入力電圧VHに基づいて算出する。
そして、PWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLに基づいてインバータ12のスイッチング素子のオン/オフが制御されることより、3相交流電圧vu、vv、vwが生成され、この3相交流電圧vu、vv、vwが交流電動機2に印加されることにより、トルク指令値trq*に応じたトルクが出力されるように、交流電動機2の駆動が制御される。
電流推定部30は、1相のセンサ値iw_sns、電気角θe、及び電流指令確定部51から出力されたdq軸電流指令確定値id_fix、iq_fixが入力される。電流推定部30は、これらの情報に基づき、dq軸電流推定値id_est、iq_estを推定し、電流減算器22にフィードバックする。
本実施形態にて例示する電流推定部30は、従来技術である特許文献1(特開2008−86139号公報)の技術を用いてdq軸電流推定値id_est、iq_estを推定する。すなわち、dq軸電流指令確定値id_fix、iq_fixを逆dq変換して得られる3相電流指令値のうちU相及びV相の電流指令値を、U相及びV相の電流推定値iu_est、iv_estとする。そして、U相及びV相の電流推定値iu_est、iv_est、及びW相のセンサ値iw_snsをdq変換することで、dq軸電流推定値id_est、iq_estを算出する。
仮に、電流指令確定部51が設けられておらず、dq軸電流指令id*、iq*が電流減算器22に直接入力される構成では、センサ値iw_snsが常にゼロで検出される場合、電流推定部30にてセンサ値であるゼロ値と他の2相の電流推定値とをdq変換して得られるdq軸電流推定値がdq軸電流指令id*、iq*と一致することとなる。したがって、dq軸電流指令id*、iq*に対してそのままの値をフィードバックすることとなるため、フィードバック制御がされていないのと同然の状態が生じる。
なお、電流推定部30が、入力された上記情報に基づいて他の1相又は2相の電流値を推定する方法には、これ以外の方法もあり、どの推定方法を採用してもよい。その他の推定方法について、明細書の最後に「その他の実施形態」として記載する。
次に、電流指令補正部511による直交判定、及び非直交化処理について、図7(a)、(b)を参照して説明する。
上述したように、交流電動機2の停止位置によって、dq軸電流指令id*、iq*の少なくとも一方が非ゼロであるにもかかわらず、センサ値iw_snsが常にゼロで検出される場合がある。この状態は、図7(a)のように3相座標で示される。
図7(a)では、U相軸を基準とする電気角θeを、0[°]から反時計回り方向に定義する。W相軸は、U相軸に対し電気角240[°]ずれている。また、dq座標にてd軸成分id*、及びq軸成分iq*からなる振幅Iaの電流指令ベクトルの「位相φ」をq軸から反時計回り方向に定義する。U相軸を基準とする電流指令ベクトルの位相角は、U相軸を基準とする+d軸の電気角θeを用いて、(θe+φ+90[°])と示される。
なお、基準の取り方を特定しない場合には、定数Cを用いて、電流指令ベクトルの位相角を一般的に(θe+φ+C)と表すことができる。
ここで、電流指令ベクトルのW相軸方向の成分がゼロであるとき、W相のセンサ値iw_snsはゼロで検出される。つまり、センサ値iw_snsがゼロで検出されるのは、電流指令ベクトルが、W相軸と直交するCW軸上に位置するときである。具体的には、位相角が150[°]付近、又は330[°]付近となるときである。
すなわち、電流指令ベクトルとW相軸とが直交した状態で交流電動機2が停止すると、センサ値iw_snsが常にゼロで検出されることとなる。そのため、電流推定部30が特許文献1の技術を用いて電流推定値をフィードバックする構成では、上述したように、フィードバック制御がされていないのと同然の状態となり、交流電動機2の駆動制御が不安定になる。
そこで、本発明による電動機制御装置10は、交流電動機2の停止状態において、電流指令ベクトルとW相軸とが3相座標上で直交しているか否かを判定し、直交している場合には「非直交化処理」を実行する。そして、第1実施形態、及び次の第2実施形態では、「電流指令位相φを操作」することで、非直交化処理を実行する。
「電流指令位相φを操作する」とは、電流指令ベクトルの位相をφ(図7(a))からφ’(図7(b))に進角又は遅角させることをいう。図7(b)の電流指令ベクトルは、d軸成分id**、及びq軸成分iq**からなり、位相角が(θe+φ’+90[°])と表される。電気角θeは、操作前と同じである。図7(b)の電流指令ベクトルは、W相軸と直交するCW軸からずれており、W相軸と非直交となっている。
このように、電流指令確定部51の電流指令補正部511は、電流指令ベクトルとW相軸とが直交しているとき、dq軸電流指令id*、iq*をdq軸電流指令id**、iq**に補正することで、電流指令位相をφからφ’に操作し、電流指令ベクトルとW相軸とを非直交化する。
W相軸と直交するCW軸の角度を0[°]と仮定すると、電流指令ベクトルがCW軸上に位置するとき、電流指令ベクトルのW相軸方向の成分は、
Ia×sin(0[°])=0[A]
で表される。例えば、この状態から電流指令ベクトルの位相φを30[°]ずらしたとき、電流指令ベクトルのW相軸方向の成分は、
Ia×sin(30[°])=(1/2)Ia[A]
となる。よって、非ゼロのセンサ値iw_snsを検出可能となる。
続いて、図8は、非直交化処理による図7(a)の状態から図7(b)の状態への変化を表したタイムチャートである。
図8の時間軸において、切替タイミングtx以前は、図7(a)に対応する非直交化前の状態を示しており、切替タイミングtxにて、図7(b)に対応する非直交化処理が行われたことを示している。
切替タイミングtx以前は、図7(a)に示すように電流指令ベクトルがW相軸と直交した状態で停止しているため、センサ値iw_snsは、常にゼロである。したがって、d軸電流指令id*、及びq軸電流指令iq*がいずれも非ゼロであるにもかかわらず、交流電動機2は駆動されず、回転数Nがゼロのままである。
切替タイミングtxにおいて、dq軸電流指令id*、iq*がdq軸電流指令id**、iq**に補正され、電流指令位相がφからφ’に操作される。これにより、電流指令ベクトルがW相軸と非直交となり、非ゼロのセンサ値iw_snsを検出可能となる。
すると、電流推定部30は、センサ値iw_snsを反映したdq軸電流推定値id_est、iq_estを推定しフィードバックすることができるようになるため、電流指令id*、iq*に基づいて適正なdq軸電圧指令vd*、vq*に基づく電圧がインバータ12に印加され、交流電動機2が駆動される。そのため、切替タイミングtx以後、回転数Nは上昇し、センサ値iw_snsは、正弦波形で変化する。
そして、電流指令ベクトルがW相軸と非直交となったとき、或いは、回転数Nが所定回転数以上となったとき、電流指令選択部513は、当初のdq軸電流指令id*、iq*を選択し、dq軸電流指令確定値id_fix、iq_fixとして出力することで、通常制御に戻すことができる。
また、制御部151は、通常制御用のdq軸電流指令id*、iq*の演算と、補正後のdq軸電流指令id**、iq**の演算とを常時並行計算することが好ましい。こうすることで、電流指令選択部513が電流指令の選択を切り替えるとき、切り替えた結果のdq軸電流指令を予め把握しておくことができる。さらに、dq軸電流指令の切替え時の急変を避けるため、電流指令選択部513にフィルタを設けてもよい。
ところで、図7(a)、(b)では、電流指令位相φの操作処理前後での電流指令ベクトルの振幅Iaを同等に図示している。しかし、振幅Iaが同じでも電流指令位相φが変われば、発生するトルクが変わる。そこで、電流指令位相φを操作すると共に、トルクが変わらないように振幅Iaを適切に変更することがより好ましい。
次に、電流指令位相φの操作に係る好ましい構成について図9を参照して説明する。
図9において、TLa、TLb、TLcは、それぞれ、トルクTa、Tb、Tcに対応する等トルクラインを示す。等トルクラインは、下式(2)から計算してもよいし、dq軸電流指令id*、iq*を引数とする推定マップを持っておき、位相操作後のdq軸電流指令id**、iq**に基づくトルク推定値が基のトルクと同じになるように、dq軸電流指令ベクトルの振幅を補正するようにしてもよい。
T=p×{iq×ψ+(Ld−Lq)×id×iq} ・・・(2)
記号は、以下のとおりである。
p:交流電動機の極対数
Ld、Lq:d軸自己インダクタンス、q軸自己インダクタンス
ψ:永久磁石の電機子鎖交磁束
また、CL0は、当初の電流指令ラインであり、トルク指令trq*の変化に応じて、このラインに沿って電流指令ベクトルを最適に変化させる。CL1、CL2は、当初のCL0から位相φを遅角又は進角させたときに想定される電流指令ラインである。
例えば、当初の電流指令ベクトルが、電流指令ラインCL0上でトルクTbに対応する点P0bにあり、そのときの位相がφ0bであるとする。非直交化処理では、電流指令ベクトルを等トルクラインTLb上の点P1bに移動させることで位相をφ0bからφ1bに操作する。或いは、電流指令ベクトルを等トルクラインTLb上の点P2bに移動させることで位相をφ0bからφ2bに操作する。この操作により、電流振幅Iaは適切に変更される。
次に、制御部151による交流電動機2の通電制御ルーチンについて、図10のフローチャートを参照して説明する。以下のフローチャートの説明で、記号「S」はステップを意味する。
S01では、回転角センサ14から取得した電気角θeに基づき回転数Nを取得する。そして、取得した回転数Nが、非直交化処理を必要とする所定の回転数以下であることを確認する。この所定の回転数は、非直交化の必要性に応じて設定してよい。
S02では、電流センサ13からセンサ値iw_snsを取得する。
S03では、電気角θeとdq軸電流指令id*、iq*の位相φから電流指令ベクトルの位相角(θe+φ+C)を算出する。S04では、電流指令ベクトルとW相軸とが直交しているか否かについて「直交判定」する。
S04にて、電流指令ベクトルとW相軸とが非直交であると判定したとき(S04:NO)、S11で、電流指令演算部21が指令した当初のdq軸電流指令id*、iq*の位相φを維持し、dq軸電流指令id*、iq*をdq軸電流指令確定値id_fix、iq_fixとして、S13に移行する。
一方、S04にて、電流指令ベクトルとセンサ相軸とが直交していると判定したとき(S04:YES)、S12で、dq軸電流指令をid**、iq**に補正することで電流指令位相φをφ’に操作する。そして、補正後のdq軸電流指令id**、iq**をdq軸電流指令確定値id_fix、iq_fixとして、S13に移行する。
第1実施形態に特有のステップであるS13では、dq軸電流指令確定値id_fix、iq_fixに対する電流フィードバック制御によりdq軸電圧指令vd*、vq*を演算する。詳しくは、電流推定部30によって算出されたdq軸電流推定値id_est、iq_estをdq軸電流指令確定値id_fix、iq_fixにフィードバックし、dq軸電流偏差Δid、Δiqをゼロに収束させるように、PI制御演算によりdq軸電圧指令vd*、vq*を演算する。
S05では、逆dq変換部24にて、dq軸電圧指令vd*、vq*を3相電圧指令vu*、vv*、vw*に変換する。S06では、3相電圧指令vu*、vv*、vw*をインバータ12に指令し、交流電動機2に3相交流電圧を印加する。
以上で、制御部151による交流電動機2の通電制御ルーチンを終了する。
本実施形態の電動機制御装置の作用効果について説明する。
(1)制御部151は、交流電動機2の停止時、電流指令ベクトルとW相軸とが3相座標上で直交しているか否かを判定し、直交している場合、電流指令ベクトルとW相軸とを非直交化する。電流指令ベクトルとW相軸とが直交していると、センサ値iw_snsが常にゼロで検出されることとなり、その結果、1相制御では交流電動機2の駆動制御が不安定になる。そこで、電流指令ベクトルとW相軸とを非直交化することで、交流電動機2の停止位置によらず非ゼロのセンサ値iw_snsを常に検出可能とすることができる。これにより、特に交流電動機2の始動時や低回転域での推定精度を向上することができ、交流電動機2を安定して駆動することができる。
(2)本実施形態では、電流指令位相φを操作することで、電流指令ベクトルの位相角(θe+φ+90[°])をW相軸と非直交化する。電気角θeを操作しないため、交流電動機2のロータを回転させることなく非直交化処理を実行することができる。
(3)電流位相指令φを操作するとき、電流指令ベクトルに基づき発生するトルクを一定に保つように、等トルクラインに沿って操作することで、電流指令位相φの操作前後におけるトルクの変化を抑制することができる。そのため、ユーザの違和感を回避することができる。また、例えば、他の制御回路(例えばマイコン)で交流電動機の実行トルクを監視しているシステムにおいて、意図しない異常判定を回避することができる。
(4)通常制御での当初のdq軸電流指令id*、iq*の演算と、補正後のdq軸電流指令id**、iq**の演算とを常時並行計算することで、電流指令選択部513がdq軸電流指令の選択を切り替えるとき、切り替えた結果のdq軸電流指令を予め把握しておくことができる。さらに、電流指令選択部513にフィルタを設けることで、dq軸電流指令の切替え時の急変を避けることができる。
次に、本発明の第2、第3実施形態の電動機制御装置について、図11〜図16を参照して説明する。以下の実施形態のブロック図及びフローチャートの説明では、第1実施形態と実質的に同一の構成、同一のステップについては、同一の符号、ステップ番号を付して説明を省略し、第1実施形態と異なる点について詳細に説明する。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態の電動機制御装置について図11、図12を参照して説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対し、直交判定処理及び非直交化処理は同様であり、選択されたdq軸電流指令確定値id_fix、iq_fixに基づいてdq軸電圧指令vd*、vq*を演算する構成が異なる。
図11に示すように、第2実施形態の電動機制御装置の制御部152は、第1実施形態の制御部151(図5)に対し、電流フィードバック制御の構成である電流減算器22、PI演算部23及び電流推定部30を有しておらず、その代わり、dq軸電圧指令演算部41及び角速度算出部42を有している。加えて、制御部152は、3相電流指令演算部31及び振幅補正係数演算部33を有している。
dq軸電圧指令演算部41は、電圧方程式を用いて、dq軸電圧指令vd*、vq*を演算する。まず、電動機の電圧方程式は、一般に式(3.1)、(3.2)で表される。
vd=Ra×id+Ld×(d/dt)id−ω×Lq×iq ・・・(3.1)
vq=Ra×iq+Lq×(d/dt)iq+ω×Ld×id+ω×ψ
・・・(3.2)
記号は、以下のとおりである。
Ra:電機子抵抗
Ld、Lq:d軸自己インダクタンス、q軸自己インダクタンス
ω:電気角速度
ψ:永久磁石の電機子鎖交磁束
ここで、交流電動機2の機器定数である電機子抵抗Ra、d軸自己インダクタンスLd、q軸自己インダクタンスLq、及び電機子鎖交磁束ψは、固定値としてもよいし、計算にて算出してもよい。また、実際の特性に近い値や実測値をマップ化しておき、トルク指令値trq*、又はd軸電流指令値id*及びq軸電流指令値iq*に基づいて演算してもよい。
また、過渡特性を表す時間微分(d/dt)項を無視し、dq軸電圧としてdq軸電圧指令vd*、vq*を用い、dq軸電流としてdq軸電流指令確定値id_fix、iq_fixを用いると、式(3.1)、(3.2)は、式(4.1)、(4.2)のように書き換えられる。
vd*=Ra×id_fix−ω×Lq×iq_fix ・・・(4.1)
vq*=Ra×iq_fix+ω×Ld×id_fix+ω×ψ ・・・(4.2)
さらに、式(4.1)、(4.2)においてω≒0[rad/s]のとき、式(4.3)、(4.4)のとおり電機子抵抗Ra項のみが残る。そのため、d軸電圧指令vd*はd軸電流指令確定値id_fixのみによって、q軸電圧指令vq*はq軸電流指令確定値iq_fixのみによって決まる。
vd*=Ra×id_fix・・・(4.3)
vq*=Ra×iq_fix・・・(4.4)
dq軸電圧指令演算部41は、角速度算出部42にて電気角θeを変換して得られた電気角速度ωを取得し、ω≒0であることを確認する。そして、dq軸電圧指令演算部41は、式(4.3)、(4.4)の右辺に、さらに後述する「振幅補正係数Ka」を乗算した式(4.5)、(4.6)を用いてdq軸電圧指令vd*、vq*を演算する。この演算を、「フィードフォワード電圧指令演算」といい、フィードフォワード電圧指令演算の中で、振幅補正係数Kaを乗算することを「振幅補正」という。
vd*=Ka×Ra×id_fix ・・・(4.5)
vq*=Ka×Ra×iq_fix ・・・(4.6)
次に、振幅補正について説明する。
式(4.5)、(4.6)における電機子抵抗Raは、温度特性によりばらつく可能性がある。また、その他にも交流電動機2や電動機制御装置等に関する物理的な要因等によって、指令通りのトルクが得られる電圧指令値がフィードフォワード電圧指令演算による電圧指令演算値と乖離する可能性がある。したがって、センサ値iw_snsを用いることで、実機の情報を反映した補正をすることが好ましい。そこで、本実施形態のフィードフォワード電圧指令演算では、振幅補正を採用している。
3相電流指令演算部31は、電気角θeに基づいて、dq軸電流指令確定値id_fix、iq_fixを逆dq変換し、3相電流指令iu*、iv*、iw*を演算する。振幅補正係数演算部33は、3相電流指令演算部31にて演算されたW相の電流指令値iw*と、電流センサ13が検出したW相の電流検出値iw_snsとを取得し、式(5)により、W相の電流指令値iw*と電流検出値iw_snsとの比率である振幅補正係数Kaを算出する。
Ka=iw*/iw_sns ・・・(5)
ここで、仮にセンサ値iw_snsが常にゼロで検出されると、式(5)の分母である電流検出値iw_snsがゼロとなる「ゼロ割り」により演算エラーが発生する。したがって、振幅補正をするためには、センサ値iw_snsが常に非ゼロで検出されることが必要条件となる。本実施形態では、電流指令確定部51において、電流指令ベクトルをセンサ相軸と非直交化することにより、非ゼロのセンサ値iw_snsを検出可能としているため、振幅補正の条件を満たしている。
図12に示すフローチャートは、第1実施形態のフローチャート(図10)のS13に代えて、上記のフィードフォワード電圧指令演算を用いてdq軸電圧指令vd*、vq*を演算するS14のステップが異なっている。なお、S14の「フィードフォワード電圧指令演算」には、上記振幅補正が含まれる。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様、電流指令位相φを操作することで電流指令ベクトルとセンサ相軸とを非直交化し、非ゼロのセンサ値iw_snsを検出可能となる。したがって、振幅補正係数Kaの演算において「ゼロ割り」による演算エラーを回避し、振幅補正を含むフィードフォワード電圧指令演算を好適に実行することができる。或いは、振幅補正以外にセンサ値iw_snsに基づく演算を行う場合も同様に、ゼロで除算する「ゼロ割り」やゼロで乗算する「ゼロ掛け」を回避することができる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態の電動機制御装置について図13〜図16を参照して説明する。第3実施形態は、第1、第2実施形態に対し、非直交化処理の構成が異なる。すなわち、電流指令ベクトルとW相軸とが直交しているとき、電流指令位相φを操作するのでなく、電気角θeを操作することで非直交化する。
図13に示すように、第3実施形態の電動機制御装置の制御部153は、dq軸電圧指令演算部43、電気角操作部521、電流指令位相変換部522、dq軸電圧指令選択部523を有している。
dq軸電圧指令演算部43は、電流指令演算部21が指令した当初のdq軸電流指令id*、iq*に基づいて、通常制御用のdq軸電圧指令vd*、vq*を演算する。この演算は、第1実施形態と同様の電流フィードバック制御演算でもよく、第2実施形態と同様のフィードフォワード電圧指令演算でもよい。dq軸電圧指令演算部43のブロックは、両方の演算の構成を包括して示すものとする。ブロックに入力されるセンサ値iw_sns及び電気角θeは、演算方法に応じて適宜選択され、或いは、回転数N、電気角速度ω等の値に変換されるものとする。なお、フィードフォワード電圧指令演算の場合の振幅補正の構成は第2実施形態と同様であり、図示を省略する。
電気角操作部521は、電流指令ベクトルとセンサ相軸とが直交しているとき、電気角θeを操作しθe’とすることで非直交化する。そして、操作後電気角θe’に基づいて電気角移動用のdq軸電圧指令vd**、vq**を演算する。
電流指令位相変換部522は、当初のdq軸電流指令id*、iq*から変換した電流指令位相φをdq軸電圧指令選択部523に出力する。
dq軸電圧指令選択部523は、電気角θe、電流指令位相φ、センサ値iw_snsの情報を取得し、dq軸電圧指令演算部43で演算された通常制御用のdq軸電圧指令vd*、vq*、又は、電気角操作部521で演算された電気角移動用のdq軸電圧指令vd**、vq**を選択し、dq軸電圧指令確定値vd_fix、vq_fixとして逆dq変換部24へ出力する。電流指令選択部523は、非直交化処理を実行する場合、電気角移動用のdq軸電圧指令vd**、vq**を選択する。
電気角移動用のdq軸電圧指令vd**、vq**を選択した場合に逆dq変換部24で変換されて得られる3相電圧指令は、通常制御用のdq軸電圧指令vd*、vq*を選択した場合に逆dq変換部24で変換されて得られる3相電圧指令に対して所定の位相がずれることとなる。その結果、非ゼロのセンサ値iw_snsを検出可能となる。
第3実施形態の非直交化処理について、図14、図15を参照して説明する。
図14(a)は、第1実施形態の図7(a)と基本的に同一であり、電流指令ベクトルがW相軸と直交する位置で停止した状態を示している。このとき、センサ値iw_snsは常にゼロとなり、交流電動機2を安定して駆動させることができない。
特に第3実施形態では、交流電動機2の停止位置に着目し、図14(a)にて、U相軸を基準とした+d軸の電気角θeを「現在の停止位置」と表している。上述したとおり、「停止」とは、厳密に回転数が0[rpm]の状態のみでなく、制御周期に対する電気角移動量Δθeが小さい低回転状態を含む。第3実施形態では、電気角θeを操作し、停止位置を移動させることで、非直交化を実現する。
図14(b)に示すように、電気角操作部521は、交流電動機2を電気角θeに対応する「現在の停止位置」から電気角θe’に対応する「目標停止位置」まで回転させる。電流位相指令φは変更しない。その結果、操作後の電流指令ベクトルの位相角は(θe’+φ+90[°])となり、W相軸に対して非直交化される。
電流位相指令φを操作する場合と同様に、例えば、センサ値iw_snsが0[A]である停止位置から電気角θeを30[°]ずらしたとき、電流指令ベクトルのW相軸方向の成分は、(1/2)Iaとなる。よって、非ゼロのセンサ値iw_snsを検出可能となる。
電気角θeを操作するためには、位置決め制御やq軸電流指令操作によって微小トルクを発生させることにより、交流電動機2のロータを回転させる。ロータ回転角(機械角)は、(電気角/極対数)に等しいため、例えば極対数が4のとき、電気角の30[°]をロータ回転角に換算すると7.5[°]となる。
ここで、ハイブリッド自動車等の電動車両に搭載される交流電動機のように出力軸が車軸と機械的に直結されている場合には、ロータ回転に伴って発生するトルクにより、ユーザが違和感を持つ可能性がある。そこで、非直交化処理における電気角操作量は、センサ値iw_snsが検出可能となる最小の移動量に設定することが好ましい。
操作手順としては、電流ベクトルを僅かに操作し、ロータ位置を微動させることが好ましい。詳しくは、現在の停止位置の電気角θeをホールドしておき、目標停止位置の電気角θe’まで、電流指令ラインCL0に沿ってdq軸電流指令id*、iq*を操作し、それによりdq軸電圧指令vd*、vq*に基づく電圧を印加してトルクを発生させることで停止位置を操作する(図15(a)参照)。
また、停止時(ω=0)には、電圧方程式が式(6.1)、(6.2)のようになることから、d軸電流idはd軸電圧vdによって、q軸電流iqはq軸電圧vqによって決まる。すなわち、dq軸電流とdq軸電圧とは同位相となる。
vd=Ra×id ・・・(6.1)
vq=Ra×iq ・・・(6.2)
或いは、q軸電流指令iq*のみを操作し、それによりq軸電圧指令vq*に基づく電圧のみを印加することでトルクを発生させてもよい(図15(b)参照)。
なお、停止時にロータの停止位置を僅かに動かすためのトルクは十分小さくてもよく、
センサ値iw_snsが検出可能となりさえすれば、操作量についての厳密な精度も要求されない。したがって、例えば、電気角移動量Δθeを見ながらdq軸電圧指令を1LSB(分解能)ずつ増減する等の方法で、dq軸電圧指令を適宜操作すればよい。
また、上記の式(6.1)、(6.2)を計算で求めたり、トルク指令や電流指令に対する電圧指令をマップに格納しておいたり、角度移動量等の諸量を元に電圧指令の増減を直接操作したりすることによっても目的を達成できる。
さらに、目標停止位置θe’の設定や、目標停止位置θe’までの操作レートの設定について、ユーザの違和感を防止するため、上限値を設けてもよい。
図16に示すフローチャートは、第1実施形態のフローチャート(図10)に対し、S21〜S24のステップが異なっている。
S04にて、電流指令ベクトルとW相軸とが非直交であると判定したとき(S04:NO)、S21で現在の電気角θeを維持し、S22で、電気角θeに基づくdq軸電圧指令vd*、vq*をdq軸電圧指令確定値vd_fix、vq_fixとして、S05に移行する。
一方、S04にて、電流指令ベクトルとセンサ相軸とが直交していると判定したとき(S04:YES)、S23で電気角θeをθe’に操作する。そして、S24で、操作後電気角θe’に基づくdq軸電圧指令vd**、vq**をdq軸電圧指令確定値vd_fix、vq_fixとして、S05に移行する。
その他のステップは、第1実施形態と同様である。
以上のように、第3実施形態では、電気角θeを操作することで電流指令ベクトルとセンサ相軸とを非直交化し、非ゼロのセンサ値iw_snsを検出可能となる。よって、交流電動機2の始動時や低回転域での推定精度を向上することができる。また、振幅補正等、センサ値iw_snsに基づく演算を行う場合、「ゼロ掛け」、「ゼロ割り」を回避することができる。
ユーザの違和感を防止するという観点から言えば、例えば、現在交流電動機2が停止しており、次回始動時の電流指令ベクトルがW相軸と直交することが予めわかっているとき、次回始動時に備えて非直交化しておく場合に有効である。或いは、電動機の出力軸とユーザが操作する操作軸とが連結されていないシステムに有効に使用することができる。
(その他の実施形態)
(ア)電流センサにより相電流を検出するセンサ相は、上記実施形態のW相に限らず、U相又はV相としてもよい。また、3相座標での電気角θeの基準をU相軸以外の相の軸としてもよく、dq座標での電流指令位相φの基準をq軸でなくd軸としてもよい。
(イ)直交判定は、上記実施形態のように、3相座標上での電流指令ベクトルとセンサ相軸との角度関係から判定する以外に、非ゼロ値のdq軸電流指令id*、iq*を逆dq変換して3相電流指令を算出し、センサ相の電流指令とセンサ値(センサ相がW相の場合、W相の電流指令iw*とセンサ値iw_sns)との比較から判定してもよい。dq軸電流指令id*、iq*が非ゼロであって、センサ相の電流指令値が継続的にゼロであるとき、電流指令ベクトルとセンサ相軸とが直交していると判定し、非直交化処理が必要であると判断する。
(ウ)非直交化処理は、第1、第2実施形態による電流指令位相φの操作と、第3実施形態による電気角θeの操作とを併用してもよい。
(エ)第1実施形態の電流推定部30による電流推定方法に対し、電流推定部が採用可能なその他の電流推定方法を以下(i)〜(iv)に例示する。
(i)電流指令位相角に基づく電流基準角、及び振幅に基づく演算(特開2004−159391号公報に開示された技術)
センサ相をU相とすると、U相電流センサ値(Iu)を「dq軸電流指令から得られる電流指令位相角と電気角から生成したU相電流基準角(θ’)」で除して電流振幅(Ia)を算出し、この電流振幅を、U相電流基準角から±120[°]ずらした電気角におけるsin値に乗じて他の2相の電流推定値Iv、Iwを算出する(式7.1〜7.3)。
Ia=Iu/[√(1/3)×({−sin(θ’)}] ・・・(7.1)
Iv=√(1/3)×Ia×{−sin(θ’+120[°])}・・・(7.2)
Iw=√(1/3)×Ia×{−sin(θ’+240[°])}・・・(7.3)
この方法において、仮にU相電流センサ値が0[A]の位置で交流電動機2が停止した場合、電流振幅を算出することができず、他の2相の推定値を0[A]としてフィードバックすることとなり、有意な推定値を得ることができない。しかし、本発明の非直交化処理を適用し、センサ値を非ゼロ値とすることにより、フィードバック制御が可能となる。
(ii)電流指令値を用いたセンサ相基準位相に基づく演算
U相電流指令値iu*及びV相電流指令値iv*の少なくとも一方、W相電流検出値iw_sns、及び電気角θeを用い、センサ相に一致するα軸方向のα軸電流iα、及びセンサ相に直交するβ軸方向のβ軸電流iβを演算し、式(8)によりセンサ相基準電流位相θxを算出する。
θx=tan-1(iβ/iα) ・・・(8)
また、センサ相基準電流位相θx、及びW相電流検出値iw_snsに基づき、U相電流推定値iu_est又はV相電流推定値iv_estを演算し、U相電流推定値iu_est又はV相電流推定値iv_est、W相電流検出値iw_sns、及び電気角θeに基づき、dq軸電流推定値id_est、iq_estを演算する。
なお、U相電流推定値iu_est又はV相電流推定値iv_estの演算において、
「ゼロ割り」や「ゼロ掛け」を回避するような補正処理を行ってもよい。
(iii)α軸電流の微分による演算
α軸電流iαとβ軸電流iβが「sin波とcos波」の関係にあり、α軸電流iαとβ軸電流iβとの位相差が90[°]であることに着目し、α軸電流微分値Δiαに基づいてβ軸電流推定値iβ_estを演算する。ここで、制御部における演算が離散系である場合、α軸電流微分値Δiαは、実際のβ軸電流iβに対し、電気角移動量Δθeの半分だけ遅れる。この点を考慮し、α軸電流iαの前回値と今回値との平均値に電気角移動量Δθeの半分(Δθe/2)を乗じた補正量Hにて補正したβ軸電流推定値iβ_estとすることが好ましい。そして、α軸電流iαおよびβ軸電流推定値iβ_estを用いてセンサ相基準電流位相θxを演算する。以降の演算は(ii)と同様である。
(iv)漸化式による演算
dq座標上でW相軸が相対的に回転することを利用し、W相推定誤差Δiw_estを積算してdq軸電流推定値をdq軸実電流値に漸近させる。
前回のdq軸電流推定値id_est、iq_est、及び今回の電気角θeに基づき、センサ相成分であるW相電流基準値iw_bfを演算し、W相電流基準値iw_bfとW相電流検出値iw_snsとの差であるW相推定誤差Δiw_estを算出する。W相推定誤差Δiw_estにフィルタ要素であるゲインKを乗じた補正後誤差KΔiw_estを算出し、Δiu=0、Δiv=0とし、dq変換によりdq軸補正値id_crr、iq_crrを演算する。
そして算出されたd軸補正値id_crr及びq軸補正値iq_crrをセンサ相方向の補正ベクトルとし、当該補正ベクトルをd−q座標系にて積算することにより、d軸電流推定値id_est及びq軸電流推定値iq_estを演算する。
また、センサ相に直交する直交方向補正値をさらに演算し、センサ相方向補正値及び直交方向補正値の合成ベクトルを補正ベクトルとし、当該補正ベクトルをdq座標上で積算するようにしてもよい。
(オ)上記第2実施形態では、dq軸電流指令id*、iq*と機器定数とを用いてdq軸電圧指令vd*、vq*を計算していたが、dq軸電流指令やその他の情報を引数に、実測等に基づき予め記憶しておいたマップを参照することで演算してもよい。またマップに関しては、電圧指令演算に基づく電圧指令値と、指令通りのトルクが得られる電圧指令値との乖離を是正するため、例えばデッドタイムによる電圧誤差の補正等を含めた値を格納しておいてもよい。
(カ)回転角センサは、電気角θeを検出し制御部へ出力する形態に限らず、ロータ回転角(機械角)θmを検出して制御部へ出力し、制御部の内部にて電気角θeに換算してもよい。また、回転数Nは、機械角θmに基づいて算出してもよい。
(キ)上記実施形態では、制御に用いる電流を検出する「制御用電流センサ」を1相に設ける例について説明した。他の実施形態では、制御用電流センサの他に、制御用電流センサの異常を監視するための独立した「監視用電流センサ」をセンサ相、又はセンサ相以外の相に設けてもよい。例として、1相に制御用電流センサと監視用電流センサを設けた1相2チャンネルの構成や、1相に制御用電流センサを設け、それ以外の相のいずれか1相に監視用電流センサを設けた2相1チャンネルの構成等を採用してもよい。いずれの構成においても、どの相にいくつの電流センサを設けてもよい。
(ク)上記実施形態の交流電動機は、永久磁石式同期型の三相交流電動機であったが、他の実施形態では、誘導電動機やその他の同期電動機であってもよい。また、上記実施形態の交流電動機は、電動機としての機能及び発電機としての機能を併せ持つ所謂モータジェネレータであったが、他の実施形態では、発電機としての機能を持たなくてもよい。
交流電動機は、エンジンに対して電動機として動作し、エンジンの始動を行うように構成されていてもよい。また、エンジンを設けなくてもよい。さらに、交流電動機を複数設けてもよいし、複数の交流電動機における動力を分割する動力分割機構等をさらに設けてもよい。
(ケ)本発明による交流電動機の制御装置は、上記実施形態のようにインバータと交流電動機を1組設けたシステムに限らず、インバータと交流電動機を2組以上設けたシステムに適用してもよい。また、1台のインバータに複数台の交流電動機を並列接続させた電車等のシステムに適用してもよい。
(コ)本発明による交流電動機の制御装置は、図1に示す構成のハイブリッド自動車の交流電動機に限定されず、どのような構成の電動車両の交流電動機に適用してもよい。また、電動車両以外の交流電動機に適用してもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
2・・・交流電動機、
10・・・電動機制御装置(交流電動機の制御装置)、
12・・・インバータ、
13・・・電流センサ、
151、152、153・・・制御部(制御手段)。

Claims (7)

  1. 3相の交流電動機(2)を駆動するインバータ(12)と、
    前記交流電動機の3相のうち1相のセンサ相に流れる電流を検出する電流センサ(13)と、
    前記インバータを構成する複数のスイッチング素子のオン/オフを切り替えて前記交流電動機の通電を制御する制御手段(151、152、153)と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記交流電動機の停止時、
    3相のうちいずれかの相を基準とする電気角をθeとしdq軸を基準とする位相をφとすると位相角が(θe+φ+C(Cは定数))で表される電流指令ベクトルについて、当該電流指令ベクトルと前記センサ相の軸とが3相座標上で直交しているか否かを判定し、
    前記電流指令ベクトルと前記センサ相の軸とが直交していると判定したとき、前記電流指令ベクトルの位相角における前記位相(φ)又は前記電気角(θe)を操作することで、前記電流指令ベクトルと前記センサ相の軸とを非直交化する非直交化処理を実行することを特徴とする交流電動機の制御装置(10)。
  2. 前記制御手段(151、152)は、前記非直交化処理において、
    dq軸電流指令を補正し、前記電流指令ベクトルの位相角における前記位相(φ)を操作することを特徴とする請求項1に記載の交流電動機の制御装置。
  3. 前記制御手段は、前記非直交化処理において前記位相を操作するとき、当該電流指令ベクトルに基づき発生するトルクを一定に保つように電流振幅を変更しつつ、前記位相を操作することを特徴とする請求項2に記載の交流電動機の制御装置。
  4. 前記制御手段は、通常制御でのdq軸電流指令の演算と補正後のdq軸電流指令の演算とを常時並行計算することを特徴とする請求項2または3に記載の交流電動機の制御装置。
  5. 前記制御手段(153)は、前記非直交化処理において、
    前記電流指令ベクトルの位相角における前記電気角(θe)を操作することを特徴とする請求項1に記載の交流電動機の制御装置。
  6. 前記制御手段(151)は、前記1相のセンサ相の電流検出値に基づいてdq軸電流推定値を推定する電流推定手段(30)を有し、
    前記電流推定手段によって推定された電流推定値をdq軸電流指令に対してフィードバック制御することにより、前記インバータに出力されるdq軸電圧指令を演算することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の交流電動機の制御装置。
  7. 前記制御手段(152)は、dq軸電流指令に基づく演算により、前記インバータに出力されるdq軸電圧指令を演算することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の交流電動機の制御装置。
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