JP2014073009A - 交流電動機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】交流電動機の電流センサの異常を適切に検出可能である交流電動機の制御装置を提供する。
【解決手段】2相制御電流算出部31では、dq軸電流値id、iqを算出する。電流推定部32では、dq軸電流推定値id_est、iq_estを算出する。異常判定部45では、監視相差分参照値Δiv_refおよび制御相差分参照値Δiw_refに基づき、制御相電流センサ12および監視相電流センサ13の異常を検出する。電流選択部35にて、dq軸電流値id、iqに基づいて電圧指令値vd*、vq*を算出する監視停止モードと、dq軸電流推定値id_est、iq_estに基づいて電圧指令値vd*、vq*を算出するとともに制御相電流センサ12および監視相電流センサ13の異常検出を行う監視実行モードとを所定の周期で切り替える。これにより、電流センサ12、13の異常を適切に検出することができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、交流電動機の制御装置に関する。
近年、低燃費、低排気エミッションの社会的要請から車両の動力源として交流電動機を搭載した電気自動車やハイブリッド自動車が注目されている。例えば、ハイブリッド自動車においては、二次電池等からなる直流電源と交流電動機とを、インバータ等で構成された電力変換装置を介して接続し、直流電源の直流電圧をインバータで交流電圧に変換して交流電動機を駆動するようにしたものがある。
また、交流電動機を電動車両等に搭載する場合、フェールセーフの観点から、電流センサ等に生じた異常を検出可能であるように構成することが望ましい。例えば特許文献1では、各相に設けられた電流センサの3相和が0にならない場合、電流制御ループの異常を検出している。
また特許文献2では、1相の電流値に基づく理想的な交流波形を得ることにより理想電流信号を算出し、理想電流信号と3相の電流信号とを比較し、両者に所定値以上の誤差がある場合、理想電流信号が異常であるとする技術が開示されている。
特開平06−2535885号公報 特許第4942425号公報
特許文献1のように電流センサを各相に設ける場合、例えば2相の検出値に基づいて交流電動機の駆動を制御し、残りの1相の検出値に基づいて電流センサの異常を検出することが考えられる。このとき、交流電動機の駆動を制御するための電流センサ(以下、「制御用の電流センサ」という。)と、電流センサの異常を検出するための電流センサ(以下、「監視用の電流センサ」という。)は、明確に区別されなければならない。なぜなら、電流検出値が所望の正弦波電流に一致するように高速にフィードバック制御されるシステム(例えば電動車両の主機モータ)においては、制御用の電流センサによって検出された電流検出値は、全て所望の正弦波電流になるように精密に制御され、制御用電流センサの電流検出値を電流センサの異常を検出に用いると、あたかも電流センサに異常がないように見えてしまうことが起こり得る。これを「電流フィードバックの干渉」と称する。
電流フィードバックの干渉を防止するには、少なくとも電流センサの異常検出の際には監視用の電流センサを電流フィードバックループから完全に独立させる必要があり、そのために交流電動機の駆動を制御するための制御用の電流センサと電流センサの異常を検出するための監視用の電流センサとを明確に区別する必要がある。このような場合、監視用の電流センサの異常を検出するための検出値は、いかに高速サンプリング高速フィードバック制御を行うシステムにおいても、電流フィードバックの外にあるためその制御速度に縛られることなく、より低速なサンプリング速度での検出が許容される。例えば、電流フィードバック制御に用いる制御用の電流センサのサンプリング周期は数百μsecに対し、監視用の電流センサのサンプリング周期は数msecといった具合である。
一方、監視用の電流センサのサンプリング速度が低速でよいとしても、制御用の電流センサの検出値との比較や組み合わせにより電流センサの異常を検出する以上、検出精度や故障率、温度特性などの性能に差があると異常の検出精度を損なうおそれがある。そのため、監視用の電流センサは、制御用の電流センサと同等のものを設けざるを得ず、その結果,体格やコストが同等となるため、小型化や低コスト化の要求を満足する妨げとなる。
また特許文献2では、1相の電流値に基づき、理想的には各相の交流波形が120°ずつ位相のずれた状態であることを利用して、理想的な交流波形に合うように1相の電流値を単に120°遅らせて他相の電流値を推定している。これは特許文献2が2つの電流センサ間のゲイン誤差のみを問題としており、1相の電流センサ値を位相のみずらせばゲイン誤差が生じ得ないことに着目した技術である。このような方法で得られた理想電流信号は、実際の各相電流を精度よく反映した情報ではないので、電流センサの異常を適切に検出することはできない。また、特許文献2における異常検出においては、上述の電流フィードバックの干渉について、なんら考慮されていない。さらに、少なくとも異常検出を行うときには、制御用の電流センサと監視用の電流センサとが明確に区別された状態とする必要がある。しかしながら引用文献2では、これら点については言及されておらず、電流センサの異常を適切に検出できない蓋然性が高い。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電流センサを2相に設け、交流電動機の電流センサの異常を適切に検出可能である交流電動機の制御装置を提供することにある。
本発明の交流電動機の制御装置は、インバータによって印加電圧が制御される3相の交流電動機の駆動を制御する交流電動機の制御装置であって、制御相電流取得手段と、監視相電流取得手段と、回転角取得手段と、電流算出手段と、電流推定手段と、電圧指令値算出手段と、他相電流推定手段と、異常検出手段と、切替手段と、を備える。
制御相電流取得手段は、交流電動機のいずれか1相である制御相に設けられる制御相電流センサから制御相電流検出値を取得する。監視相電流取得手段は、交流電動機の制御相とは異なる1相である監視相に設けられる監視相電流センサから監視相電流検出値を取得する。回転角取得手段は、交流電動機の回転角を検出する回転角センサから回転角検出値を取得する。
電流算出手段は、制御相電流検出値、監視相電流検出値および回転角検出値に基づき、2相制御電流値を算出する。電流推定手段は、制御相電流検出値および回転角検出値に基づき、制御用1相電流推定値を算出する。電圧指令値算出手段は、フィードバックされた2相制御電流値または制御用1相電流推定値に基づき、インバータに印加される電圧に係る電圧指令値を算出する。
他相電流推定手段は、制御相電流検出値および回転角検出値に基づいて推定される監視相電流推定値、および、監視相電流検出値および回転角検出値に基づいて推定される制御相電流推定値の少なくとも一方を算出する。異常検出手段は、監視相電流推定値と監視相電流検出値とを比較した第1比較結果、および、制御相電流推定値と制御相電流検出値とを比較した第2比較結果の少なくとも一方に基づき、制御相電流センサおよび監視相電流センサの少なくとも一方に異常が生じていることを検出する。
切替手段は、2相制御電流値に基づいて電流指令値を算出する監視停止モードと、制御用1相電流推定値に基づいて電圧指令値を算出するとともに異常検出手段により異常検出を行う監視実行モードと、を所定の周期で切り替える。
本発明では、異常検出手段を備えているので、制御相電流センサおよび監視相電流センサの少なくとも一方に生じた異常を適切に検出することができる。また本発明では、異常を検出するための検出値を常時検出する必要がないことに着目し、電流センサを3相のうちの2相に設けている。そして、制御相および監視相の2相の電流検出値に基づく2相制御電流値を用いて電圧指令値を算出する監視停止モードと、制御相1相の電流検出値に基づく制御用1相電流推定値を用いて電圧指令値を算出するとともに制御相電流センサおよび監視相電流センサの異常検出を行う監視実行モードとを所定の周期で切り替えている。
すなわち本発明では、監視停止モードにて2相の電流検出値に基づく2相制御電流値を用いて高速かつ高精度に電流フィードバック制御を行っている一方、所定の周期で監視実行モードに切り替え、監視実行モードにおいては監視相電流検出値を電流フィードバック制御に用いず、制御用1相電流推定値を用いて電流フィードバック制御を行うことで、監視相電流検出値への電流フィードバック制御の干渉を防いだ上で電流センサの異常を検出するようにしている。
本発明では、推定値と検出値との比較結果に基づいて制御相電流センサおよび監視相電流センサの異常検出を行っている。比較する検出値または推定値の一方は、電流フィードバック制御に用いていない監視相電流検出値そのもの、または、監視相電流検出値に基づく値であり、電流フィードバック制御の干渉を受けないので、適切に電流センサの異常を検出することができる。また、制御性能および異常検出の2つの要求を最小の電流センサの個数で両立することができる。さらに、電流センサの異常を検出するための監視用電流センサを独立した1相に設ける必要がなく、監視用電流センサを独立した1相に設ける場合と比較し、小型化、低コスト化することができる。
本発明の第1実施形態の電動機駆動システムの構成を示す模式図である。 本発明の第1実施形態の電動機制御装置の構成を示す模式図である。 本発明の第1実施形態の電動機制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態の電流推定部の構成を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態による電流推定を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態による電流推定を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態の電流フィードバック制御処理を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態の切替判定処理を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態の電動機制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態の電流フィードバック制御処理を示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態の電流フィードバック制御処理を示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態の切替判定処理を示すフローチャートである。 本発明の第4実施形態の切替判定処理を示すフローチャートである。 本発明の第5実施形態において回転数が大きい場合の電流推定を説明する説明図である。 本発明の第5実施形態において回転数が小さい場合の電流推定を説明する説明図である。 本発明の第5実施形態の電動機制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第5実施形態の切替判定処理を示すフローチャートである。 本発明の第5実施形態の切り替えタイミングを説明する説明図である。 本発明の第6実施形態による電流推定部の構成を説明するブロック図である。 本発明の第6実施形態による電流推定を説明する説明図である。 本発明の第7実施形態による電流推定方法を説明する説明図である。 本発明の第8実施形態による電流推定部の構成を説明するブロック図である。
以下、本発明による交流電動機の駆動を制御する交流電動機の制御装置を図面に基づいて説明する。なお、以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態による交流電動機2の制御装置としての電動機制御装置10は、電動車両を駆動する電動機駆動システム1に適用される。
電動機駆動システム1は、交流電動機2、直流電源8、および、電動機制御装置10等を備える。
交流電動機2は、例えば電動車両の駆動輪6を駆動するためのトルクを発生する電動機である。本実施形態の交流電動機2は、3相永久磁石式同期モータである。
電動車両には、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池車等、電気エネルギによって駆動輪6を駆動する車両が含まれるものとする。本実施形態の電動車両は、エンジン3を備えるハイブリッド車両であり、交流電動機2は、駆動輪6を駆動するためのトルクを発生する電動機としての機能、および、エンジン3により駆動されて発電可能な発電機としての機能を有する、所謂モータジェネレータである。
交流電動機2は、ギア4を介して車軸5に接続される。これにより、交流電動機2の駆動により生じるトルクは、ギア4を介して車軸5を回転させることにより、駆動輪6を駆動する。
直流電源8は、例えばニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池や電気二重層キャパシタ等、充放電可能な蓄電装置である。直流電源8は、電動機制御装置10のインバータ11(図2参照)と接続され、インバータ11を介して交流電動機2と電力の授受可能に構成されている。
車両制御回路9は、マイクロコンピュータ等により構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、I/O、および、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。車両制御回路9は、予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理や、専用の電子回路によるハードウェア処理により、電動車両全体を制御する。
車両制御回路9は、いずれも図示しないアクセルセンサからのアクセル信号、ブレーキスイッチからのブレーキ信号、および、シフトスイッチからのシフト信号等の各種センサやスイッチ等から信号を取得可能に構成されている。また、車両制御回路9では、取得されたこれらの信号等に基づいて車両の運転状態を検出し、運転状態に応じたトルク指令値trq*を電動機制御装置10に出力する。また、車両制御回路9は、エンジン3の運転を制御する図示しないエンジン制御回路に対し、指令信号を出力する。
図2に示すように、電動機制御装置10は、インバータ11および制御部15を備える。
インバータ11には、交流電動機2の駆動状態や車両要求等に応じて、直流電源8の直流電圧を図示しない昇圧コンバータにより昇圧したシステム電圧VHが印加される。また、インバータ11は、ブリッジ接続される図示しない6つのスイッチング素子を有する。スイッチング素子には、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ、バイポーラトランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子は、制御部15の逆dq変換部23から出力される電圧指令値vu*、vv*、vw*に基づいてオン/オフが制御される。これにより、インバータ11は、交流電動機2に印加される3相交流電圧vu、vv、vwを制御する。交流電動機2は、インバータ11により生成された3相交流電圧vu、vv、vwが印加されることにより駆動が制御される。
ここで、交流電動機2の駆動制御について説明する。電動機制御装置10は、回転角センサ14が検出した電気角θeに基づく交流電動機2の回転数Nおよび車両制御回路9からのトルク指令値trq*に応じて、交流電動機2を「電動機としての力行動作」により電力を消費し、または、「発電機としての回生動作」により電力を生成する。具体的には、回転数Nおよびトルク指令値trq*の正負によって、以下の4つのパターンで動作を切り替える。
<1.正転力行> 回転数Nが正でトルク指令値trq*が正のとき、電力消費。
<2.正転回生> 回転数Nが正でトルク指令値trq*が負のとき、発電。
<3.逆転力行> 回転数Nが負でトルク指令値trq*が負のとき、電力消費。
<4.逆転回生> 回転数Nが負でトルク指令値trq*が正のとき、発電。
回転数N>0(正転)でトルク指令値trq*>0である場合、または、回転数N<0(逆転)でトルク指令値trq*<0である場合、インバータ11は、スイッチング素子のスイッチング動作により、直流電源8側から供給される直流電力を交流電力に変換してトルクを出力する(力行動作する)ように、交流電動機2を駆動する。
一方、回転数N>0(正転)でトルク指令値trq*<0である場合、または、回転数N<0(逆転)でトルク指令値trq*>0である場合、インバータ11は、スイッチング素子のスイッチング動作により、交流電動機2が発電した交流電力を直流電力に変換し、直流電源8側へ供給することにより、回生動作する。
制御相電流センサ12は、交流電動機2のいずれか1相に設けられる。本実施形態では、制御相電流センサ12は、W相に設けられる。すなわち、本実施形態ではW相が「制御相」に対応する。制御相電流センサ12は、制御相であるW相に通電される制御相電流検出値iw_snsを検出し、制御部15に出力する。
監視相電流センサ13は、交流電動機2の制御相とは異なる1相に設けられる。本実施形態では、監視相電流センサ13は、V相に設けられる。すなわち、本実施形態ではV相が「監視相」に対応する。監視相電流センサ13は、監視相であるV相に通電される監視相電流検出値iv_snsを検出し、制御部15に出力する。
本実施形態では、制御相電流センサ12および監視相電流センサ13は、該当する相に印加される電圧を検出し、電圧に基づいて電流を検出しているが、制御部15により制御相電流検出値iw_snsおよび監視相電流検出値iv_snsを取得可能であれば、どのような構成であってもよい。また、本実施形態では、制御相をW相とし、監視相をV相としているが、制御相および監視相が異なる相であれば、どの相としてもよい。
回転角センサ14は、交流電動機2の図示しないロータ近傍に設けられ、電気角θeを検出し、制御部15に出力する。また、回転角センサ14により検出される電気角θeに基づき、交流電動機2のロータの回転数N(以下適宜、単に「交流電動機2の回転数N」という。)が算出される。本実施形態の回転角センサ14は、レゾルバである。その他、回転角センサ14は、ロータリエンコーダ等、他種のセンサでもよい。
制御部15は、マイクロコンピュータ等により構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、I/O、および、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。制御部15は、予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理や、専用の電子回路によるハードウェア処理により、交流電動機2の動作を制御する。
図3に示すように、制御部15は、電流指令値演算部21、PI演算部22、逆dq変換部23、2相制御電流算出部31、電流推定部32、電流選択部35、制御相電流推定部41、制御相電流比較部42、監視相電流比較部43、および、異常判定部45を有する。
電流指令値演算部21は、車両制御回路9から取得されるトルク指令値trq*に基づき、交流電動機2の回転座標として設定される回転座標系(d−q座標系)におけるd軸電流指令値id*、および、q軸電流指令値iq*を演算する。本実施形態では、d軸電流指令値id*およびq軸電流指令値iq*は、予め記憶されているマップを参照することにより演算されるが、数式等から演算するように構成してもよい。
PI演算部22は、d軸電圧指令値vd*およびq軸電圧指令値vq*を算出する。詳細には、電流選択部35からフィードバックされるd軸電流値idまたはd軸電流推定値id_estをd軸電流指令値id*に追従させるべく、d軸電流値idまたはd軸電流推定値id_estとの差を0に収束させるようにd軸電圧指令値vd*をPI演算により算出する。同様に、電流選択部35からフィードバックされるq軸電流値iqまたはq軸電流推定値iq_estをq軸電流指令値iq*に追従させるべく、q軸電流値iqまたはq軸電流推定値iq_estとの差を0に収束させるようにq軸電圧指令値vq*をPI演算により算出する。
逆dq変換部23では、回転角センサ14から取得される電気角θeに基づき、d軸電圧指令値vd*およびq軸電圧指令値vq*を、U相電圧指令値vu*、V相電圧指令値vv*、および、W相電圧指令値vw*に変換する。
そして、インバータ11のスイッチング素子は、U相電圧指令値vu*、V相電圧指令値vv*、および、W相電圧指令値vw*に基づいてオン/オフされる。これにより、インバータ11により3相交流電圧vu、vv、vwが生成され、この3相交流電圧が交流電動機2に印加されることにより、トルク指令値trq*に応じたトルクが出力されるように、交流電動機2の駆動が制御される。本実施形態では、3相交流電圧vu、vv、vwが「印加電圧」に対応する。
2相制御電流算出部31では、制御相電流検出値iw_sns、監視相電流検出値iv_sns、および、電気角θeに基づき、dq変換によりd軸電流値idおよびq軸電流値iqを算出する。2相制御電流算出部31では、2相の電流検出値である制御相電流検出値iw_snsおよび監視相電流検出値iv_snsに基づいてdq軸電流値id、iqを算出している。したがって、ここで算出されるdq軸電流値id、iqは、実電流値である。
ここで、dq変換の一般式を式(1)に示す。
Figure 2014073009
また、キルヒホッフの法則(式(2)参照)より算出される式(3)を、上記式(1)に代入すると、式(4)が得られる。
iu+iv+iw=0 ・・・(2)
iu=−iv−iw ・・・(3)
Figure 2014073009
式(4)に示すように、3相のうちの2相の電流値がわかれば、d軸電流値idおよびq軸電流値iqを算出可能であるので、他の相(本実施形態ではU相)の電流値を算出する必要はない。
電流推定部32は、制御相電流検出値iw_snsおよび電気角θeに基づき、d軸電流推定値id_est、q軸電流推定値iq_est、および、監視相電流推定値iv_estを算出する。
すなわち、電流推定部32では、1相の制御相電流検出値iw_snsを用いてdq軸電流推定値id_est、iq_estを推定している。図5に示すように、2相の電流検出値である制御相電流検出値iw_snsおよび監視相電流検出値iv_snsを用いれば、dq軸電流値id、iqを直接算出可能である。しかしながら1相の制御相電流検出値iw_snsを用いてdq軸電流推定値id_est、iq_estを算出する場合、誤差ベクトルΔieのW相成分である制御相推定誤差Δiwは算出可能であるものの、W相に直交する成分のβ軸推定誤差Δiβは算出できない。
そこで本実施形態では、回転座標系であるdq軸平面上でW相軸が相対的に回転することを利用し、制御相推定誤差Δiwを積算してdq軸電流値id、iqに漸近させることにより、1相の制御相電流検出値iw_snsに基づいて精度よくdq軸電流推定値id_est、iq_estを算出している。
図4に示すように、電流推定部32は、電流基準値算出部321、減算器322、ゲイン補正部323、制御相方向補正値算出部324、減算器325、他相電流推定部326、および、遅延素子327を有する。ここで、今回入力される電流検出値に基づく電流推定処理を第n回目の処理とし、入力されるW相の電流検出値を「iw_sns(n)」、電気角を「θe(n)」とし、この処理によって得られる電流推定値を「i#_est(n)」(ただし、#は、d、q、u、v、w)のように表す。
電流基準値算出部321には、前回の演算で算出されたdq軸電流推定値id_est(n−1)、iq_est(n−1)が入力される。電流基準値算出部321では、前回の演算で算出されたdq軸電流推定値id_est(n−1)、iq_est(n−1)を、電気角θe(n)を用いて逆dq変換し、W相成分である電流基準値iw_bfを算出する。
減算器322では、電流基準値iw_bfと制御相電流検出値iw_sns(n)との差分である制御相推定誤差Δiwを算出する。
ゲイン補正部323では、制御相推定誤差ΔiwにゲインKを乗じ、補正後誤差KΔiwを算出する。なお、ゲインKは、dq軸電流推定値id_est、iq_estに設けられたローパスフィルタ(以下、「LPF」という。)の役割をなすものでありdq軸電流推定値id_est、iq_estの変化を緩やかにするものである(詳細は後述)。Kの値は、そのLPFの所望の時定数間の処理回数(時定数÷処理周期)をKlpfとすると、1/Klpfで表され、0<K<1の範囲となる。
制御相方向補正値算出部324では、Δiu=0、Δiv=0とし、補正後誤差KΔiwをdq変換し、制御相方向補正値id_crr(n)、iq_crr(n)を算出する。本実施形態では、制御相方向補正値id_crr(n)、iq_crr(n)が「補正ベクトル」に対応する。以下、制御相方向補正値id_crr(n)、iq_crr(n)をベクトルとして扱う場合、適宜「補正ベクトル(Δid、Δiq)」ということにする。
減算器325では、遅延素子327を経由してフィードバックされた前回のdq軸電流推定値id_est(n−1)、iq_est(n−1)に対し制御相方向補正値id_crr(n)、iq_crr(n)を減算し、d軸電流推定値id_est(n)、および、q軸電流推定値iq_est(n)を算出する。なお、減算器325にて制御相方向補正値id_crr(n)、iq_crr(n)を前回のdq軸電流推定値id_est(n−1)、iq_est(n−1)に対して減算することが「補正ベクトルをdq軸平面上にて積算する」ことに対応する。
また、算出されたdq軸電流推定値id_est(n)、iq_est(n)は、遅延素子327を経由して電流基準値算出部321へフィードバックされる。
他相電流推定部326では、電気角θe(n)に基づき、dq軸電流推定値id_est(n)、iq_est(n)を逆dq変換し、3相電流推定値iu_est(n)、iv_est(n)、iw_est(n)を算出する。なお、必要に応じ、例えばV相電流推定値iv_est(n)のみを算出する、といった具合に、必要な相のみを演算するようにしてもよい。本実施形態では、監視相であるV相電流推定値iv_est(n)のみが算出される。
ここで、電流推定部32における演算を表した漸化式を式(5)に示す。ただし、式中のθw(n)=θe(n)+120°である。また、式中のKcos(θw(n))Δiwがd軸制御相方向補正値id_crr(n)に対応し、−Ksin(θw(n))Δiwがq軸制御相方向補正値id_crr(n)に対応する。
Figure 2014073009
式(5)に示す漸化式をベクトル図で表現すると、図6(a)のようになる。ここで、本実施形態では、ゲインKを0<K<1となるように設定しているので、図6(b)に示すように、回転座標系であるdq軸平面上において、W相軸が相対的に回転することを利用し、矢印YIで示す補正ベクトル(Δid、Δiq)を積算していくことにより、dq軸電流推定値id_est、iq_estをdq軸電流値id、iqに漸近させている。これにより、制御相1相の電流検出値に基づき、精度よく電流推定を行うことができる。
ここで、ゲインKは、dq軸電流推定値id_est、iq_estがdq軸電流値id、iqに漸近する速度を律するためのフィルタ要素である。また、ゲインKが大きすぎると、すなわち1に比較的近い値であると、誤差ベクトルΔie(図5参照)とW相軸とが直交に近くなってしまい、dq軸電流値id、iqを中心とする円周方向に動き、渦を描いてしまうため、漸近しにくくなってしまう。このような点を考慮し、dq軸電流値id、iqに漸近しやすいようなゲインKを0<K<1の範囲で適宜設定可能である。
図3に戻り、電流選択部35では、PI演算部22にフィードバックする電流値を、dq軸電流値id、iqにするか、dq軸電流推定値id_est、iq_estにするかを選択する。本実施形態では、電流選択部35からPI演算部22にフィードバックする電流値を所定の周期で切り替える。フィードバックする電流値の切替の詳細については後述する。なお、以下適宜、d軸電流値idおよびq軸電流値iqをPI演算部22にフィードバックして交流電動機2を制御することを「2相制御」といい、d軸電流推定値id_estおよびq軸電流推定値iq_estをPI演算部22にフィードバックして交流電動機2を制御することを「1相制御」という。
制御相電流推定部41では、監視相電流検出値iv_sns、および、電気角θeに基づき、制御相電流推定値iw_estを算出する。制御相電流推定部41における演算は、電流推定部32と同様である。補足しておくと、制御相電流検出値iw_snsに替えて監視相電流検出値iv_snsを用い、監視相電流検出値iv_snsに基づいて算出されるdq軸電流推定値が「監視用1相電流推定値」に対応し、監視相電流検出値iv_snsに基づいて算出されるdq軸電流推定値の監視相の成分が監視相電流基準値iv_bfであり、監視相電流基準値にゲインKを乗じた値であるKΔivをdq変換にて算出される監視相方向補正値が「監視相補正ベクトル」に対応することになる。
制御相電流比較部42では、制御相電流推定値iw_estと制御相電流検出値iw_snsとを比較する。具体的には、制御相電流推定値iw_estと制御相電流検出値iw_snsとの差をLPF処理した値である制御相差分参照値Δiw_refを算出する。この制御相差分参照値Δiw_refが「第2比較結果」に対応する。
監視相電流比較部43では、監視相電流推定値iv_estと監視相電流検出値iv_snsとを比較する。具体的には、監視相電流推定値iv_estと監視相電流検出値iv_snsとの差をLPF処理した値である監視相差分参照値Δiv_ref算出する。この監視相差分参照値Δiv_refが「第1比較結果」に対応する。
ここで、各差分参照値Δiw_ref、Δiv_refに関し、制御相電流推定値iw_estと制御相電流検出値iw_snsとの差、および、監視相電流推定値iv_estと監視相電流検出値iv_snsとの差に対し、単純にLPF処理をすると、ゲイン誤差のような、偏差が正負に現われて平均するとゼロになってしまう場合を検出できない。この点に注目すれば、LPF処理を行わなくてもよい。ただし、ノイズや瞬間的な外乱要因により値が急変した場合に誤検出の恐れがあるので、適切なフィルタをかけることが望ましい。さらには、電流の電気周波数とフィルタの時定数によっては、ゲイン誤差のような、偏差が正負に現われて平均すると見かけ上誤差が小さくなってしまう場合も検出できるように絶対値をとるとさらに良い。
異常判定部45では、差分参照値Δiw_ref、Δiv_refに基づき、制御相電流センサ12および監視相電流センサ13の異常を検出する。本実施形態では、差分参照値Δiw_ref、Δiv_refの少なくとも一方が異常判定閾値Rより大きい場合、制御相電流センサ12および監視相電流センサ13の少なくとも一方に異常が生じていると判定する。制御相電流センサ12および監視相電流センサ13の少なくとも一方に異常が生じていると判定された場合、制御相電流センサ12および監視相電流センサ13の少なくとも一方に異常が生じている旨の情報を車両制御回路9へ通知し、電動機制御装置10による交流電動機2に駆動を停止する。
ここで、本実施形態の制御部15における電流フィードバック制御処理を図7および図8に示すフローチャートに基づいて説明する。この電流フィードバック制御処理は、所定の間隔(例えば100μsec)で実行される。
最初のステップS101(以下、「ステップ」を省略し、単に記号「S」で示す。)では、回転角センサ14から交流電動機2の電気角θeを取得する。
S102では、制御相電流センサ12から制御相電流検出値iw_snsを取得し、監視相電流センサ13から監視相電流検出値iv_snsを取得する。
S103では、2相制御電流算出部31にて、制御相電流検出値iw_sns、監視相電流検出値iv_sns、および、電気角θeに基づき、dq軸電流値id、iqを算出する。
S104では、電流推定部32にて、制御相電流検出値iw_snsおよび電気角θeに基づき、dq軸電流推定値id_est、iq_est、および、監視相電流推定値iv_estを算出する。また、制御相電流推定部41にて、監視相電流検出値iv_snsおよび電気角θeに基づき、制御相電流推定値iw_estを算出する。
S105では、切替判定処理を実行する。
S105にて実行される切替判定処理の詳細を図8に基づいて説明する。
S151では、カウンタのカウント値Cをインクリメントする。
S152では、カウント値Cが2相/1相切替判定値Aよりも小さいか否かを判定する。2相/1相切替判定値Aは、監視停止モードとして2相制御を継続する期間(例えば数十msec)に対応するカウント値とする。カウント値Cが2相/1相切替判定値A以上であると判定された場合(S152:NO)、S154へ移行する。カウント値Cが2相/1相切替判定値Aより小さいと判定された場合(S152:YES)、S153へ移行する。
S153では、監視停止モード、すなわち交流電動機2の制御を2相制御とする。ここでの具体的な処理としては、監視要求フラグをオフにする。監視要求フラグがオフである場合には、オフ状態を継続する。そして、切替判定処理を終了し、図7中のS106へ移行する。
カウント値Cが2相/1相切替判定値A以上であると判定された場合(S152:YES)に移行するS154では、監視実行モード、すなわち交流電動機2の制御を1相制御とするとともに、制御相電流センサ12および監視相電流センサ13の異常検出を実行することとする。ここでの具体的な処理としては、本実施形態では、監視要求フラグをオンにする。監視要求フラグがオンである場合には、オン状態を継続する。
続くS155では、カウント値Cが1相/2相切替判定値Bより大きいか否かを判定する。1相/2相切替判定値Bは、2相/1相切替判定値との差が、監視実行モードとして2相制御および異常検出を行う期間(例えば数msec)に対応するカウント値となるように設定する。カウント値Cが1相/2相切替判定値B以下であると判定された場合(S155:NO)、S156の処理を行わず、切替判定処理を終了し、図7中のS106へ移行する。カウント値Cが1相/2相切替判定値Bより大きいと判定された場合(S155:YES)、S156へ移行する。
S156では、カウント値Cをリセットする。また、監視要求フラグをオフし、切替判定処理を終了し、図7中のS106へ移行する。
図7に戻り、切替判定処理後に移行するS106では、監視要求があるか否かを判断する。本実施形態では、監視要求フラグがセットされている場合、監視要求があると判断する。監視要求があると判断された場合(S106:YES)、すなわち監視要求フラグがセットされている場合、S108へ移行する。S106にて肯定判断された場合に実行されるS108およびS109の処理が「監視実行モード」に対応する。監視要求がないと判断された場合(S106:NO)、すなわち監視要求フラグがセットされていない場合、S107へ移行する。本実施形態では、S106にて否定判断された場合に実行されるS107が「監視停止モード」に対応する。
S107では、電流選択部35において、PI演算部22にフィードバックする電流として、制御相電流検出値iw_snsおよび監視相電流検出値iv_snsを用いて2相制御電流算出部31にて算出されたdq軸電流値id、iqを選択する。
監視要求があると判断された場合(S106:YES)に移行するS108では、電流選択部35において、PI演算部22にフィードバックする電流として、制御相電流検出値iw_snsを用いて電流推定部32にて算出されたdq軸電流推定値id_est、iq_estを選択する。
S109では、異常判定部45にて、制御相電流センサ12および監視相電流センサ13の異常判定を行う。制御相電流比較部42にて算出された制御相差分参照値Δiw_ref、または、監視相電流比較部43にて算出された監視相差分参照値Δiv_refの少なくとも一方が異常判定閾値Rより大きい場合、制御相電流センサ12および監視相電流センサ13の少なくとも一方に異常が生じていると判定し、電流センサ異常フラグをセットする。
S110では、制御相電流センサ12および監視相電流センサ13の少なくとも一方に異常が生じているか否かを判断する。本実施形態では、電流センサ異常フラグに基づいて判断する。制御相電流センサ12および監視相電流センサ13に異常が生じていないと判断された場合(S110:NO)、すなわち電流センサ異常フラグがセットされていない場合、S112へ移行する。制御相電流センサ12および監視相電流センサ13の少なくとも一方に異常が生じていると判断された場合(S110:YES)、すなわち電流センサ異常フラグがセットされていない場合、S111へ移行する。
S111では、制御相電流センサ12および監視相電流センサ13の少なくとも一方に異常が生じている旨の情報を車両制御回路9へ通知し、電動機制御装置10による交流電動機2に駆動を停止する。
S110にて否定判断された場合、または、S107に続いて移行するS112では、PI演算部22にて、電流選択部35からフィードバックされたdq軸電流値id、iq、または、dq軸電流推定値id_est、iq_estに基づくPI演算を行い、d軸電圧指令値vd*およびq軸電圧指令値vq*を算出する。
S113では、逆dq変換部23にて、電気角θeに基づき、d軸電圧指令値vd*およびq軸電圧指令値vq*を逆dq変換し、3相電圧指令値vu*、vv*、vw*を算出する。
S114では、3相電圧指令値vu*、vv*、vw*をインバータ11へ出力する。そして、インバータ11では、3相電圧指令値vu*、vv*、vw*に基づいてスイッチング素子のオン/オフが制御されることにより、3相交流電圧が生成され、この3相交流電圧が交流電動機2に印加されることにより、交流電動機2の駆動が制御される。
以上詳述したように、本実施形態の電動機制御装置10は、インバータ11によって印加電圧vu、vv、vwが制御される3相の交流電動機2の駆動を制御する。制御部15では、以下の処理が実行される。
交流電動機2のいずれか1相である制御相(本実施形態ではW相)に設けられる制御相電流センサ12から制御相電流検出値iw_snsを取得し、交流電動機2の制御相とは異なる1相である監視相(本実施形態ではV相)に設けられる監視相電流センサ13から監視相電流検出値iv_snsを取得する(図7中のS102)。また、交流電動機2の回転角を検出する回転角センサ14から電気角θeを取得する(S101)。
2相制御電流算出部31では、制御相電流検出値iw_sns、監視相電流検出値iv_sns、および、電気角θeに基づき、dq軸電流値id、iqを算出する(S103)。電流推定部32では、制御相電流検出値iw_snsおよび電気角θeに基づき、dq軸電流推定値id_est、iq_estを算出する(S104)。そしてPI演算部22では、フィードバックされたdq軸電流値id、iq、または、dq軸電流推定値id_est、iq_estに基づき、電圧指令値vd*、vq*を算出する(S112)。
電流推定部32では、制御相電流検出値iw_snsおよび電気角θeに基づいて推定される監視相電流推定値iv_estを算出し、制御相電流推定部41では、監視相電流検出値iv_snsおよび電気角θeに基づいて推定される制御相電流推定値iw_estを算出する(S109)。異常判定部45では、監視相電流推定値iv_estと監視相電流検出値iv_snsとを比較した監視相差分参照値Δiv_ref、および、制御相電流推定値iw_estと制御相電流検出値iw_snsとを比較した制御相差分参照値Δiw_refの少なくとも一方に基づき、制御相電流センサ12または監視相電流センサ13の異常を検出する(S109)。
本実施形態では、電流選択部35にて、dq軸電流値id、iqに基づいて電圧指令値vd*、vq*を算出する監視停止モードと、dq軸電流推定値id_est、iq_estに基づいて電圧指令値vd*、vq*を算出するとともに制御相電流センサ12および監視相電流センサ13の異常検出を行う監視実行モードとを所定の周期で切り替える(S105)。
本実施形態では、異常判定部45を備えているので、制御相電流センサ12および監視相電流センサ13の異常を適切に検出することができる。本実施形態では、異常検出するための検出値を常時検出する必要がないことに着目し、制御相(W相)および監視相(V相)の電流検出値である制御相電流検出値iw_snsおよび監視相電流検出値iv_snsに基づくdq軸電流値id、iqを用いて電圧指令値vd*、vq*を算出する監視停止モードと、制御相(W相)1相の制御相電流検出値iw_snsに基づくdq軸電流推定値id_est、iq_estを用いて電圧指令値vd*、vq*を算出するとともに制御相電流センサ12および監視相電流センサ13の異常検出を行う監視実行モードとを所定の周期で切り替えている。換言すると、本実施形態では、監視相電流センサ13から取得される監視相電流検出値iv_snsを、「監視用」に用いるだけでなく、「制御用」にも用いている。そして、監視相電流センサ13から取得される監視相電流検出値iv_snsを「監視用」として用いる期間と「制御用」として用いる期間を適宜切り替えている、ということである。
これにより、監視停止モードにて2相の電流検出値である制御相電流検出値iw_snsおよび監視相電流検出値iv_snsに基づくdq軸電流値id、iqを用いて高速かつ高精度に電流フィードバック制御を行っている。一方、所定の周期で監視実行モードに切り替え、監視実行モードにおいては監視相電流検出値iv_snsを電流フィードバック制御に用いず、1相の制御相電流検出値iw_snsを用いて電流フィードバック制御を行うことで、監視相電流検出値iv_snsへの電流フィードバック制御の干渉を防いだ上で制御相電流センサ12および監視相電流センサ13の異常を検出するようにしている。本実施形態では、推定値と検出値との比較結果である差分参照値Δiw_ref、Δiv_refに基づいて制御相電流センサ12および監視相電流センサ13の異常検出を行っている。比較する検出値または推定値の一方は、電流フィードバック制御に用いていないために電流フィードバックループから独立した監視相電流検出値iv_snsそのもの、または、監視相電流検出値iv_snsに基づく制御相電流推定値iw_estであり、電流フィードバック制御の干渉を受けない。
具体的には、制御相電流推定部41にて推定される制御相電流推定値iw_estは、1相制御時に電流推定部32におけるdq軸電流推定値id_est、iq_estの演算に用いられていない監視相電流検出値iv_snsに基づいて算出されるため、電流フィードバックの干渉を受けない。また、監視相電流比較部43における比較に用いられる監視相電流検出値iv_snsも、電流フィードバックの干渉を受けない、ということである。
これにより、電流センサの異常、詳細には制御相電流センサ12または監視相電流センサ13の少なくとも一方に異常が生じていることを適切に検出することができる。また、制御性能および異常検出の2つの要求を最小の電流センサの個数で両立することができ、電流センサの異常を検出するための監視用の電流センサを独立した1相に設ける必要がなく、監視用の電流センサを独立した1相に設ける場合と比較し、小型化、低コスト化することができる。
また、本実施形態では、2つの差分参照値Δiw_ref、Δiv_refに基づいて制御相電流センサ12および監視相電流センサ13の異常を検出しているので、より適切に異常を検出することができる。
本実施形態では、2相制御電流算出部31は、監視実行モードまたは監視停止モードのいずれであっても、dq軸電流値id、iqの演算を行う。また、電流推定部32は、監視実行モードまたは監視停止モードのいずれであっても、dq軸電流推定値id_est、iq_est、および、監視相電流推定値iv_estの演算を行う。同様に、制御相電流推定部41は、監視実行モードまたは監視停止モードのいずれであっても、制御相電流推定値iw_estの演算を行う。
すなわち本実施形態では、2相制御を行っている監視停止モード中においても、dq軸電流推定値id_est、iq_estの演算を行っている。そのため、本実施形態の電流推定部32における演算方法のように、フィルタ系を含む演算であってもdq軸電流推定値id_est、iq_estとdq軸電流値id、iqとの誤差が小さい状態が維持される。これにより、監視停止モードから監視実行モードに切り替わったとき、すなわち2相制御から1相制御に切り替わったとき、dq軸電流推定値id_est、iq_estとdq軸電流値id、iqとの誤差に起因して交流電動機2の制御が不安定になるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、電流推定部32では、前回の演算で算出されたdq軸電流推定値id_est、iq_estの制御相成分である電流基準値iw_bfと制御相電流検出値iw_snsとに基づいて算出される制御相方向補正値id_crr、iq_crrをdq軸平面上にて積算することによりdq軸電流推定値id_est、iq_estを算出する。より詳細には、本実施形態ではdq軸平面上にて制御相方向の制御相方向補正値id_crr、iq_crrを積算している。
また、電流推定部32では、dq軸電流推定値id_est、iq_estに基づき、監視相電流推定値iv_estを算出する。
さらにまた、制御相電流推定部41では、監視相電流検出値iv_snsおよび電気角θeに基づく監視用1相電流推定値(dq軸電流推定値)を算出し、前回の演算で算出された監視用1相制御電流値の監視相成分である監視相電流基準値iv_bfと監視相電流検出値iv_snsとに基づいて算出される監視相補正ベクトルをdq軸平面上にて積算することにより監視用1相電流推定値を算出し、算出された監視用1相電流推定値に基づき、制御相電流推定値iw_estを算出する。
本実施形態では、dq軸平面上で制御相が回転することに着目し、交流電動機2の回転に伴って回転する制御相方向補正値id_crr、iq_crrを用いることにより、dq軸電流推定値id_est、iq_estを精度よく算出することができる。本実施形態では、交流電動機2は、ハイブリッド車両や電動車両の主機に適用されており、交流電動機2を精度よく制御することにより、異常なトルクの発生によるドライバビリティ(以下、「ドラビリ」という。)の悪化や電動機制御装置10を構成する各種素子の異常や故障の発生を抑制することができる。
本実施形態では、制御部15が「制御相電流取得手段」、「監視相電流取得手段」、「回転角取得手段」、「電流算出手段」、「電流推定手段」、「電圧指令値算出手段」、「他相電流推定手段」、「異常検出手段」、「切替手段」を構成する。詳細には、2相制御電流算出部31、電流推定部32および制御相電流比較部42が「制御相電流取得手段」を構成する。制御相電流推定部41、監視相電流比較部43が「監視相電流取得手段」を構成する。PI演算部22、2相制御電流算出部31、電流推定部32、および、制御相電流推定部41が「回転角取得手段」を構成する。また、2相制御電流算出部31が「電流算出手段」を構成し、電流推定部32が「電流推定手段」を構成し、PI演算部22が「電圧指令値算出手段」を構成する。さらに、電流推定部32および制御相電流推定部41が「他相電流推定手段」を構成し、異常判定部45が「異常判定手段」を構成し、電流選択部35が「切替手段」を構成する。
また、図7中のS102が「制御相電流取得手段」および「監視相電流取得手段」の機能としての処理に相当し、S101が「回転角取得手段」の機能としての処理に相当し、S103が「電流算出手段」の機能としての処理に相当し、S104が「電流推定手段」および「他相電流推定手段」の機能としての処理に相当し、S112が「電圧指令値算出手段」の機能としての処理に相当し、S109が「異常検出手段」の機能としての処理に相当し、S107およびS108が「切替手段」の機能としての処理に相当する。
本実施形態では、電気角θeが「回転角検出値」に対応し、dq軸電流値id、iqが「2相制御電流値」に対応し、dq軸電流推定値id_est、iq_estが「制御用1相電流推定値」に対応し、監視相差分参照値Δiv_refが「第1比較結果」に対応し、制御相差分参照値Δiw_refが「第2比較結果」に対応する。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による交流電動機の制御装置を図9および図10に基づいて説明する。
本発明の第2実施形態では、2相制御時には電流推定部32における電流推定処理を行わず、1相制御時には2相制御電流算出部31におけるdq軸電流値id、iqの演算を行わない点が第1実施形態と異なっているので、この点を中心に説明し、その他の構成等の説明は省略する。
図9に示すように、異常判定部45による異常判定を行う場合、すなわち監視要求がある場合、2相制御電流算出部31によるdq軸電流値id、iqの演算を中止し、異常判定を行わない場合、すなわち監視要求がない場合、電流推定部32による電流推定処理を中止する。
ここで、本実施形態における電流フィードバック処理を図10に基づいて説明する。
S201、S202の処理は、図7中のS101、102の処理と同様であるので説明を省略する。
S202にて、制御相電流検出値iw_snsおよび監視相電流検出値iv_snsを取得した後、S203へ移行する。S203の処理は、図7中のS105の処理と同様である。すなわち、本実施形態では、切替判定処理の前に、2相制御電流算出部31におけるdq軸電流値id、iq、および、電流推定部32におけるdq軸電流推定値id_est、iq_est等の算出を行っていない。
なお、S203の処理は、S105の処理と同様であるので、説明を省略する。
S204では、監視要求があるか否かを判断する。判断方法は、図7中のS106と同様である。監視要求があると判断された場合(S204:YES)、S207へ移行する。本実施形態では、S204にて肯定判断された場合に実行されるS208およびS209が「監視実行モード」に対応する。監視要求がないと判断された場合(S204:NO)、S205へ移行する。本実施形態では、S204にて否定判断された場合に実行されるS206が「監視停止モード」に対応する。
S205は、S103と同様であり、2相制御電流算出部31にてdq軸電流値id、iqを算出する。
S206は、S107と同様であり、電流選択部35において、PI演算部22にフィードバックする電流として、制御相電流検出値iw_snsおよび監視相電流検出値iv_snsを用いて2相制御電流算出部31にて算出されたdq軸電流値id、iqを選択する。
異常判定要求があると判断された場合(S205:YES)に移行するS207は、S104と同様であり、電流推定部32にてdq軸電流推定値id_est、iq_est、監視相電流推定値iv_estを算出し、制御相電流推定部41にて制御相電流推定値iw_estを算出する。
S208は、S108と同様であり、電流選択部35にて、PI演算部22にフィードバックする電流として、制御相電流検出値iw_snsを用いて電流推定部32にて算出されたdq軸電流推定値id_est、iq_estを選択する。
S209〜S214の処理は、S109〜S114の処理と同様であるので、説明を省略する。
本実施形態では、2相制御電流推定部31は、監視実行モードにおいて、dq軸電流値id、iqの演算を中止する。また、電流推定部32は、監視停止モードにおいて、dq軸電流推定値id_est、iq_est、および、監視相電流推定値iv_estの演算を中止する。同様に、制御相電流推定部41では、監視停止モードにおいて、制御相電流推定値iw_estの演算を中止する。
すなわち本実施形態では、監視要求がある場合にdq軸電流推定値id_est、iq_est、監視相電流推定値iv_est、および、制御相電流推定値iw_estの演算を行っており、監視要求がない場合にはdq軸電流推定値id_est、iq_est、監視相電流推定値iv_est、および、制御相電流推定値iw_estの演算を行っていない。また、監視要求がない場合にdq軸電流値id、iqの演算を行っており、監視要求がある場合にはdq軸電流値id、iqの演算を行っていない。
これにより、dq軸電流推定値id_est、iq_est、監視相電流推定値iv_est、制御相電流推定値iw_est、および、dq軸電流値id、iqの演算を常時行う場合と比較し、演算負荷を低減し、リソースを節約することができる。
また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
本実施形態では、図10中のS202が「制御相電流取得手段」および「監視相電流取得手段」の機能としての処理に相当し、S201が「回転角取得手段」の機能としての処理に相当し、S205が「電流算出手段」の機能としての処理に相当し、S207が「電流推定手段」および「他相電流推定手段」の機能としての処理に相当し、S212が「電圧指令値算出手段」の機能としての処理に相当し、S209が「異常検出手段」の機能としての処理に相当し、S206およびS208が「切替手段」の機能としての処理に相当する。
(第3実施形態)
第3実施形態は、第2実施形態の変形例である。第3実施形態による電流フィードバック処理を図11および図12に基づいて説明する。
第1実施形態で説明したように、電流推定部32において、フィルタ系の演算を行っているため、演算開始直後のdq軸電流推定値id_est、iq_estは、必ずしも実際のdq軸電流値id、iqと一致していないことがある。そのため、本実施形態では、2相制御から1相制御に切り替える前の所定のタイミングからdq軸電流推定値id_est、iq_estの演算を開始している。
本実施形態では、図11に示す電流フィードバック処理全体としては、S205とS206の間にS215およびS216が追加されている点と、S203の切替判定処理が異なっている。ここではこの点を中心に説明し、他の構成等の説明は省略する。
まず、切替判定処理を図12に基づいて説明する。本実施形態の切替判定処理では、S152とS153との間にS157、S158が追加されている。カウント値Cが2相/1相切替判定値Aより小さいと判断された場合(S152:YES)に移行するS157では、カウント値Cが直前判定値A1より大きいか否かを判断する。直前判定値A1は、2相/1相切替判定値Aより小さい値であり、2相/1相切替判定値Aと直前判定値A1との差は、dq軸電流推定値id_est、iq_estがdq軸電流値id、iqに漸近し、推定精度が高まるのに要する時間に応じて設定される。カウント値Cが直前判定値A1以下であると判断された場合(S157:NO)、S158の処理を行わず、S153に移行する。カウント値Cが直前判定値A1より大きいと判断された場合(S157:YES)、S158へ移行する。
S158では、1相切替直前フラグをセットし、S153へ移行する。本実施形態では、カウント値Cが直前判定値A1となるタイミングが「監視実行モードに切り替わる前の所定のタイミング」に対応している。
続いて、図11に追加されたS215およびS216について説明する。
S205の後に移行するS215では、監視実行モード、すなわち1相制御への切替直前か否かを判断する。本実施形態では、1相切替直前フラグがセットされているか否かに基づいて判断する。1相制御への切替直前ではないと判断された場合(S215:NO)、すなわち1相切替直前フラグがセットされていない場合、S216の処理を行わず、S206へ移行する。1相制御への切替直前であると判断された場合(S215:YES)、S216へ移行する。
S216は、図7中のS104と同様の処理であり、電流推定部32にてdq軸電流推定値id_est、iq_estおよび監視相電流推定値iv_estを算出し、制御相電流推定部41にて制御相電流推定値iw_estを算出する。
本実施形態では、2相制御電流算出部31は、監視実行モードにおいて、dq軸電流値id、iqの演算を中止する。また、電流推定部32は、監視停止モードにおいて、dq軸電流推定値id_est、iq_estおよび監視相電流推定値iv_estの算出を中止するとともに、監視実行モードに切り替わる前の所定のタイミングからdq軸電流推定値id_est、iq_estおよび監視相電流推定値iv_estの演算を開始する(S216)。同様に、制御相電流推定部41では、監視停止モードにおいて、制御相電流推定値iw_estの算出を中止するとともに、監視実行モードに切り替わる所定のタイミングから制御相電流推定値iw_estの算出を開始する(S216)。
本実施形態では、監視実行モードに切り替える前の所定のタイミングから、dq軸電流推定値id_est、iq_estの演算を行っている。これにより、監視停止モードから監視実行モードに切り替わったとき、すなわち2相制御から1相制御に切り替わったとき、dq軸電流推定値id_est、iq_estとdq軸電流値id、iqとの誤差を小さくすることができるので、1相制御に切り替わったときにdq軸電流推定値id_est、iq_estとdq軸電流値id、iqとの誤差に起因して交流電動機2の制御が不安定になるのを抑制することができる。
また、dq軸電流推定値id_est、iq_est、監視相電流推定値iv_est、制御相電流推定値iw_est、および、dq軸電流値id、iqの演算を常時行う場合と比較し、演算負荷を低減し、リソースを節約することができる。
また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態による交流電動機の制御装置を図13に基づいて説明する。本実施形態は、第1実施形態と切替判定処理のみが異なっているので、この点を中心に説明し、他の構成等についての説明は省略する。
本実施形態の切替判定処理は、第1実施形態の切替判定処理のS156の後にS160〜S162が追加されている。S151〜S156の処理は第1実施形態と同様である。
S156の後に移行するS160では、制御相電流推定値iw_estと制御相電流検出値iw_snsとの偏差である制御相偏差、および、監視相電流推定値iv_estと監視相電流検出値iv_snsとの偏差である監視相偏差を算出する。制御相偏差としては、制御相電流比較部42にて算出される制御相差分参照値Δiw_refとする。監視相偏差としては、監視相電流比較部43にて算出される監視相差分参照値Δiv_refとする。
S161では、制御相差分参照値Δiw_refおよび監視相差分参照値Δiv_refが、偏差判定閾値Tより大きいか否かを判断する。偏差判定閾値Tは、異常判定に係る異常判定閾値Rより小さい値に設定される。すなわちT<Rである制御相差分参照値Δiw_refおよび監視相差分参照値Δiv_refが偏差判定閾値T以下である場合(S161:NO)、S162の処理を行わず、切替判定処理を終了する。制御相差分参照値Δiw_refおよび監視相差分参照値Δiv_refの少なくとも一方が偏差判定閾値Tより大きい場合(S161:YES)、S162へ移行する。
S162では、2相制御を行う期間に係る2相/1相切替判定値Aを変更値A2に変更する。本実施形態の変更値A2は、2相/1相切替判定値Aより小さい値である。すなわち、A2<Aである。
本実施形態では、監視相電流推定値iv_estと監視相電流検出値iv_snsとの偏差である監視相偏差、または、制御相電流推定値iw_estと制御相電流検出値iw_snsとの偏差である推定相偏差に応じ、監視停止モードの期間を変更可能としている。詳細には、監視相差分参照値Δiv_refおよび制御相差分参照値Δiw_refの少なくとも一方が、偏差判定閾値Tより大きい場合(S161:YES)、監視停止モードの期間を短くする(S162)。
すなわち本実施形態では、監視相差分参照値Δiv_refおよび制御相差分参照値Δiw_refの少なくとも一方が、偏差判定閾値Tより大きく、異常判定閾値R以下である場合、制御相電流センサ12および監視相電流センサ13に異常が生じているとは判定されないものの、偏差が生じ始めているため、制御相電流センサ12および監視相電流センサ13の少なくとも一方の異常の発生が近い可能性がある。そのため、2相/1相切替判定値Aを変更値A2に変更することにより、異常検出を行わない監視停止モードの期間を短くすることにより、異常検出の頻度を高めている。これにより、より適切に制御相電流センサ12および監視相電流センサ13の異常を検出することができると同時に、偏差が小さいと判断されるときには、監視停止モード、すなわち2相制御モードの期間を長く取ることが可能となるので、より制御性能を高めることができる。
また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態による交流電動機の制御装置を図14〜図18に基づいて説明する。
図6で説明したように、電流推定部32では、回転座標系であるdq軸平面上において、W相軸が相対的に回転することを利用し、矢印YIで示す補正ベクトル(Δid、Δiq)を積算していくことにより、dq軸電流推定値id_est、iq_estをdq軸電流値id、iqに漸近させている。
ここで、図14および図15では、(a)→(b)→(c)のように、dq軸平面上にてW相軸が回転していく様子を説明している。
図14に示すように、電気角θeの角度移動量Δθeが比較的大きい状態、すなわち交流電動機2の回転数Nが大きい場合、図示しない誤差ベクトルΔie(図5参照)のW相成分である制御相推定誤差Δiwが大きいので、dq軸電流推定値id_est、iq_estがdq軸電流値id、iqに収束していく収束量が大きい。
一方、図15に示すように、電気角θeの角度移動量Δθeが比較的小さい状態、すなわち交流電動機2の回転数Nが小さい場合、図示しない誤差ベクトルΔieのW相成分である制御相推定誤差Δiwが小さく、誤差ベクトルΔie(図5参照)とW相軸とが直交角に近いので、dq軸電流推定値id_est、iq_estがdq軸電流値id、iqに収束していく収束量が小さい。そのため、交流電動機2の回転数Nが小さい場合、回転数Nが大きい場合と比較して、dq軸電流推定値id_est、iq_estの推定精度が悪いことがある。
また、回転数Nやトルク指令値trq*が急変した場合にも、dq軸電流推定値id_est、iq_estの推定精度が悪化する虞がある。
そこで本実施形態では、交流電動機2の回転数Nが小さい場合、監視実行モードを禁止し、監視停止モードとして2相制御に切り替えている。同様に、回転数Nが急変した場合、および、トルク指令値trq*が急変した場合、監視実行モードを禁止し、監視停止モードとして2相制御に切り替えている。
具体的には、図16に示すように、本実施形態の制御部15には、回転数算出部51および回転数/トルク判定部53が追加されている。
回転数算出部51では、回転角センサ14から取得される電気角θeに基づき、交流電動機2の回転数Nを算出する。
回転数/トルク判定部53では、回転数Nが所定の判定値Xより大きいか否かを判定する。上述の通り、例えば、モータロック時等、回転数Nが小さいとき、制御相電流検出値iw_snsからdq軸電流推定値id_est、iq_estを推定する推定精度が悪化することがわかってきた。また、制御部15内では、各種の値は離散値で表現されるため、交流電動機2が完全に停止していなくても、ある低回転の範囲では推定精度が悪化する虞がある。そこで本実施形態では、回転数Nが所定の判定値X以下である場合、2相制御としている。ここで、回転数Nの判定値Xは、dq軸電流推定値id_est、iq_estの推定精度が良好となる回転数に適宜設定可能であり、例えば1500rpmとする。なお、回転数Nの判定値Xは、極対数によっても異なるので、極対数を考慮して適宜設定される。
また、回転数/トルク判定部53では、回転数Nが急変したか否かを判定する。さらにまた、回転数/トルク判定部53では、トルク指令値trq*が急変したか否かを判定する。回転数Nまたはトルク指令値trq*が急変した場合には、dq軸電流推定値id_est、iq_estの推定精度が悪化する虞があるので、本実施形態では2相制御とする。回転数Nの急変判定は、例えば前回値と今回値との差(すなわち変化の傾き)が閾値より大きい場合、急変したと判定する。また、例えば所定期間(例えば数10msec)の最大値と最小値との差や、移動平均の所定期間の最大値と最小値との差等に基づいて判定してもよい。トルク指令値trq*の急変判定についても同様である。
ここで、本実施形態による切替判定処理を図17に基づいて説明する。なお、電流フィードバック処理の全体は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
図7中のS104に続いて実行される切替判定処理において、S171は、図8中のS151と同様であるので説明を省略する。
S172では、カウント値Cが2相/1相切替判定値Aよりも小さいか否かを判定する。2相/1相切替判定値Aは、2相制御を継続する期間(例えば数十msec)に対応するカウント値とする。カウント値Cが2相/1相切替判定値Aより小さいと判断された場合(S172:YES)、S176へ移行する。カウント値Cが2相/1相切替判定値以上であると判断された場合(S172:YES)、S173へ移行する。
S173では、電気角θeに基づき、交流電動機2の回転数Nを算出する。
S174では、回転数Nが所定の判定値Xより大きいか否かを判断する。回転数Nが所定の判定値X以下であると判断された場合(S174:NO)、S177へ移行する。回転数Nが所定の判定値Xより大きいと判断された場合(S174:YES)、S175へ移行する。
S175では、回転数Nが急変したか否かを判断する。回転数Nが急変したと判定された場合(S175:YES)、S177へ移行する。回転数Nが急変していないと判定された場合(S175:NO)、S176へ移行する。
S176では、トルク指令値trq*が急変したか否かを判定する。トルク指令値trq*が急変したと判定された場合(S176:YES)、S177へ移行する。トルク指令値trq*が急変していないと判定された場合(S176:NO)、S178へ移行する。
S177では、監視実行モードを禁止し、S178へ移行する。すなち、1相制御を中止するとともに、制御相電流センサ12および監視相電流センサ13の異常検出を中止する。
S178〜S181の処理は、図8中のS153〜S156の処理と同様なので説明を省略する。
図18に示すように、本実施形態では、dq軸電流推定値id_est、iq_estの推定精度が悪化する虞のある範囲、すなわち回転数Nが判定値X以下の範囲では、2相制御を行っている。回転数Nが所定の判定値Xより大きい範囲では、2相/1相切替判定値Aに対応する期間は監視停止モードであって2相制御とし、1相/2相切替判定値Bに対応する期間は監視実行モードであって1相制御とするとともに制御相電流センサ12および監視相電流センサ13の異常検出を行っている。図18では、回転数Nが所定の判定値Xより大きくなったとき、監視停止モードが先に実行されているが、この順番を反対とし、回転数Nが所定の判定値Xより大きくなったとき、先に監視実行モードを実行するようにしてもよい。
また、図18中には示していないが、回転数Nが所定の判定値Xより大きい場合であっても、回転数Nまたはトルク指令値trq*が急変した場合には、監視実行モード(1相制御+異常検出)であったとしても、適宜監視停止モード(2相制御)に切り替える。
本実施形態では、回転数算出部51は、電気角θeに基づき、交流電動機2の回転数Nを算出する。また、回転数/トルク判定部53では、回転数Nが所定の判定値X以下であるかを判定し(S174)、電流選択部35は、回転数Nが所定の判定値X以下であると判断された場合(S174:NO)、監視実行モードを禁止し(S177)、監視停止モードに切り替える(S178)。dq軸電流推定値id_est、iq_estの推定精度が悪化する虞のある低回転時には、dq軸電流推定値id_est、iq_estを用いず、制御相電流検出値iw_snsおよび監視相電流検出値iv_snsを用いてdq軸電流値id、iqを直接算出し、dq軸電流値id、iqに基づいて算出される電圧指令値vd*、vq*に基づいて交流電動機2を制御するので、交流電動機2の制御性の悪化をより防ぐことができる。
また、回転数/トルク判定部53では、回転数Nが急変したか否かを判定する(S175)。電流選択部35は、回転数Nが急変したと判定された場合(S175:YES)、監視実行モードを禁止し(S177)、監視停止モードに切り替える(S178)。これにより、dq軸電流推定値id_est、iq_estの推定精度が悪化する虞のある回転数Nの急変時にも、dq軸電流推定値id_est、iq_estを用いず、制御相電流検出値iw_snsおよび監視相電流検出値iv_snsを用いてdq軸電流値id、iqを直接算出し、dq軸電流値id、iqに基づいて算出される電圧指令値vd*、vq*に基づいて交流電動機2を制御するので、交流電動機2の制御性の悪化をより防ぐことができる。
さらに、回転数/トルク判定部53では、交流電動機2の駆動により発生するトルクに係るトルク指令値trq*が急変したか否かを判定する。電流選択部35は、トルク指令値trq*が急変したと判定された場合(S176:YES)、監視実行モードを禁止し(S177)、監視停止モードに切り替える(S178)。これにより、dq軸電流推定値id_est、iq_estの推定精度が悪化する虞のあるトルク指令値trq*の急変時にも、dq軸電流推定値id_est、iq_estを用いず、制御相電流検出値iw_snsおよび監視相電流検出値iv_snsを用いてdq軸電流値id、iqを直接算出し、dq軸電流値id、iqに基づいて算出される電圧指令値vd*、vq*に基づいて交流電動機2を制御するので、交流電動機2の制御性の悪化をより防ぐことができる。
また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
本実施形態では、制御部15が「回転数算出手段」、「回転数判定手段」、「回転数急変判定手段」、「トルク急変判定手段」を構成する。詳細には、回転数算出部51が「回転角取得手段」、「回転数算出手段」を構成し、回転数/トルク判定部53が「回転数判定手段」、「回転数急変判定手段」、「トルク急変判定手段」を構成する。
また、図17中のS173が「回転数算出手段」の機能としての処理に相当し、S174が「回転数判定手段」の機能としての処理に相当し、S175が「回転数急変判定手段」の機能としての処理に相当し、S176が「トルク急変判定手段」の機能としての処理に相当する。
(第6実施形態)
第6実施形態は、電流推定部32における演算方法のみが異なっているので、この点を中心に説明し、他の構成等の説明は省略する。
第1実施形態では、制御相方向の補正ベクトル(Δid、Δiq)を積算することによりdq軸電流推定値id_est、iq_setのdq軸電流値id、iqへの収束性を高めていた。換言すると、上記実施形態では、dq軸電流推定値id_est、iq_estを制御相の方向に補正していた。本実施形態では、dq軸電流推定値id_est、iq_estのdq軸電流値id、iqへの収束性を高めるべく、制御相に直交する方向にも補正している。
詳細には、図19に示すように、電流推定部32は、さらに直交方向補正値算出部328を有している。本実施形態の電流推定部32における演算を表した漸化式を式(6)に示し、式(6)に示す漸化式をベクトル図で表現すると、図20のようになる。
Figure 2014073009
本実施形態では、制御相方向補正値算出部324にて制御相方向補正値id_crr(n)、iq_crr(n)を算出し、減算器325にて、遅延素子327を経由してフィードバックされた前回のdq軸電流推定値id_est(n−1)、iq_est(n−1)に対し減算することでW相方向に補正されたdq軸電流暫定推定値id_est’(n)、iq_est’(n)を算出する。dq軸電流暫定推定値id_est’(n)、iq_est’(n)は、第1実施形態のdq軸電流推定値id_est(n)、iq_est(n)と同様である。
直交方向補正値算出部328では、制御相に直交する成分のβ軸推定誤差Δiβを式(7)に基づいて推定する。また、β軸推定誤差Δiβを用い、dq変換により直交方向補正値id_crr_β(n)、iq_crr_β(n)を算出する(式(8)参照)。
減算器329では、算出された直交方向補正値id_crr_β(n)、iq_crr_β(n)を用い、dq軸電流暫定推定値id_est’(n)、iq_est’(n)に対し減算することでdq軸電流推定値id_est、iq_estを算出する(式(6)参照)。
本実施形態では、電流推定部32では、前回の演算で算出されたdq軸電流推定値id_est、iq_estの制御相成分である電流基準値iw_bfと制御相電流検出値iw_snsとに基づいて算出される制御相方向補正値id_crr(n)、iq_crr(n)および直交方向補正値id_crr_β(n)、iq_crr_β(n)をdq軸平面上にて積算することによりdq軸電流推定値id_est、iq_estを算出する。より詳細には、本実施形態では制御相方向補正値id_crr(n)、iq_crr(n)および制御相に直交する方向の直交方向補正値id_crr_β(n)、iq_crr_β(n)が合成された補正ベクトル(Δid、Δiq)をdq軸平面上にて積算している。
この方法では、直交する方向にも補正できるが、直交方向の補正量は電気角の変化量から算出するため回転数の低い領域では精度が悪化する虞があるため、回転数の低い領域では2相制御としている。
これにより、交流電動機2の回転に伴って回転する制御相方向補正値id_crr(n)、iq_crr(n)および直交方向補正値id_crr_β(n)、iq_crr_β(n)を用いることにより、dq軸電流推定値id_est、iq_estを精度よく算出することができる。また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
第6実施形態の電流推定方法は、上記第1実施形態〜第5実施形態のいずれの実施形態の電流推定方法としてもよい。
本実施形態では、制御相方向補正値id_crr(n)、iq_crr(n)と直交方向補正値id_crr_β(n)、iq_crr_β(n)とを合成した合成ベクトルが「補正ベクトル」に対応する。また、減算器325、329にて制御相方向補正値id_crr(n)、iq_crr(n)および直交方向補正値id_crr_β(n)、iq_crr_β(n)をdq軸電流推定値id_est(n−1)、iq_est(n−1)に対して減算することが「補正ベクトルをdq軸平面上にて積算する」ことに対応する。
(第7実施形態)
第7実施形態および第8実施形態は、電流推定部32における演算方法のみが異なっているので、この点を中心に説明し、他の構成等の説明は省略する。
上記実施形態では、補正ベクトル(Δid、Δiq)を積算することによりdq軸電流推定値id_est、iq_estを算出した。第7実施形態では、dq軸電流指令値id*、iq*を用いてdq軸電流推定値id_est、iq_estを算出する。
本実施形態では、式(1)のW相電流として制御相電流検出値iw_snsを用いる。また、U相電流iuおよびV相電流ivとして、dq軸電流指令値id*、iq*の逆dq変換により算出される3相電流指令値であるU相電流指令値iu*およびV相電流指令値iv*を用いる。また、U相電流指令値iu*またはV相電流指令値iv*の一方を用い、他方において3相和=0を維持させる方法でもよい。
dq軸電流指令値id*、iq*を用いた電流推定について、図21に基づいて説明する。図21(a)は、制御相であるW相軸をα軸とし、W相軸に直交する方向をβ軸とする座標系を示しており、このαβ軸座標系は、回転座標系である図示しないdq軸座標系において相対的に回転する。制御相電流検出値iw_snsとdq軸電流指令値id*、iq*とからdq軸電流推定値id_est、iq_estを算出すると、dq軸電流指令値id*、iq*とdq軸電流推定値id_est、iq_estとの偏差Dは、必ず制御相方向(この例ではW軸方向)となる。したがって、図3中のPI演算部22におけるPI演算において、電圧操作は実際の制御相電流検出値iw_snsに基づくため、信頼性の高いW相軸方向にしかなされず、比較的信頼性の低いそれ以外の方向(U相軸方向、V相軸方向)には電圧操作が行われない。従って、電流推定値の推定誤差によって誤って異常な電圧を出力することを防止でき、安全に運転可能である。
そこで、図21(b)に示すように、回転座標系であるdq軸平面上において、交流電動機2の回転に伴って破線矢印で示すW相軸が相対的に回転することを利用し、電圧指令値vd*、vq*を、dq軸電流推定値id_est、iq_etsを電流指令値id*、iq*に一致させるためにあるべき電圧に漸近させていく。したがって、センサ周期(例えば100μsec)ごとの角度移動量Δθeがある程度以上の大きさであれば、換言すると回転数Nが所定の判定値以上であれば、電圧指令値vd*、vq*が所望の値に漸近していくので、交流電動機2を精度よく制御することができる。
なお、図21(b)中において、矢印YVは、PI演算にて算出される電圧指令値vd*、vq*のI項の挙動を示している。また、記号「×」は、P項も含んだ電圧指令値vd*、vq*を示している。
(第8実施形態)
第8実施形態では、dq軸電流指令値id*、iq*を用いて制御相基準電流位相φを算出し、制御相基準電流位相φに基づいてdq軸電流推定値id_est、iq_estを算出する。
図22に示すように、本実施形態の電流推定部32は、制御相基準電流位相検知部301、他相推定部302、および、dq変換部303を有する。
制御相基準電流位相検知部301は、逆dq変換部311および位相検知部312を有する。
まず、逆dq変換部311では、電気角θeを用い、d軸電流指令値id*およびq軸電流指令値iq*を逆dq変換することにより、U相電流指令値iu*およびV相電流指令値iv*を算出する。
位相検知部312では、逆dq変換部311にて算出されたV相電流指令値iv*、おおび、制御相電流検出値iw_snsに基づき、制御相基準電流位相φを算出する。ここで、制御相であるW相軸をα軸、α軸に直交する方向をβ軸とすると、α軸電流iαおよびβ軸電流iβは、式(9)、(10)のように表される。
Figure 2014073009
なお、式(10)は、制御相であるW相の成分を含ませるべく、制御相電流検出値iw_snsを含むように、キルヒホッフの法則を用いて変形してもよい。制御相であるW相の成分を含ませることにより、推定精度が向上する。
制御相基準電流位相φは、α軸電流iαおよびβ軸電流iβを用い、以下の式(11)のように表される。
Figure 2014073009
他相推定部302は、位相検知部312にて算出された制御相基準電流位相φ、および、制御相電流検出値iw_snsに基づき、推定相電流推定値iu_estを算出する(式(12)参照)。なお、式(12)中のIaは、振幅であるが、最終的には含まれない係数であるので、演算する必要はない。
Figure 2014073009
dq変換部303では、推定相電流推定値iu_est、制御相電流検出値iw_sns、および、電気角θeに基づき、dq変換によりdq軸電流推定値id_est、iq_estを算出する。
ここで、制御相電流検出値iw_snsが0Aになるとき、或いは、制御相基準電流位相φの正接tan(φ)が無限大になるとき、式(12)において、0で乗算する「ゼロ掛け」が生じる。また、制御相基準電流位相φの正接tan(φ)が0となるとき、式(12)において、および0で除算する「ゼロ割り」が生じてしまう。そのため、推定相電流推定値iu_estが変動してしまう虞がある。そのため、ゼロクロス範囲内である場合、「ゼロ掛け」、「ゼロ割り」をマスクするようなゼロクロス補正処理を行ってもよい。ゼロクロス補正処理としては、例えばd軸電流偏差およびq軸電流偏差を強制的に0Aとすることで、d軸電流指令値vd*、および、q軸電圧指令値vq*を固定する。或いは、d軸電圧指令値vd*およびq軸電圧指令値vq*を前回値に保持することによって直接固定してもよい。
このように制御相基準電流位相φを用いてdq軸電流推定値id_est、iq_estを算出した場合も、第7実施形態と同様、図21(b)に示すように、電圧指令値vd*、vq*が所望の値に漸近していくので、交流電動機2を精度よく制御することができる。
なお、ここではU相電流を推定する例を説明したが、制御相電流検出値iw_snsから監視相電流推定値iv_estを推定する方法も同様である。また、監視相電流検出値iv_snsを用いてU相電流またはW相電流(制御相電流推定値iw_est)を推定する方法も同様であるので、説明を省略する。また、制御相電流推定部41においても同様の演算が行われるものとする。
本実施形態では、制御相電流検出値iw_snsと電気角θeに加え、電流指令値id*、iq*に基づいて監視相電流推定値iv_estを算出する。また、監視相電流検出値iv_snsと電気角θeに加え、電流指令値id*、iq*に基づいて制御相電流推定値iw_estを算出する。
また、第7実施形態および第8実施形態では、電流推定部32は、交流電動機2の駆動に係るdq軸電流指令値id*、iq*、制御相電流検出値iw_sns、および、電気角θeに基づき、dq軸電流推定値id_est、iq_estを算出する。また、PI演算部22は、回転座標系であるdq軸平面上で回転する制御相(本実施形態ではW相)方向であるdq軸電流指令値id*、iq*とdq軸電流推定値id_est、iq_estとの偏差Dを積算することにより、dq軸電流推定値id_est、iq_estがdq軸電流指令値id*、iq*に一致するような電圧指令値vd*、vq*を算出する。
第7実施形態および第8実施形態では、制御相電流検出値iw_snsと電気角θeに基づいて電流推定する際にdq軸電流指令値id*、iq*を基準とすることで、dq軸電流推定値id_est、iq_estを精度よく算出することができる。これにより、第7実施形態および第8実施形態においても、上記実施形態と同様の効果を奏する。なお、本実施形態では、なお、第4実施形態および第5実施形態においては、dq軸電流指令値id*、iq*が「電流指令値」に対応する。
第7実施形態または第8実施形態の電流推定方法は、上記第1実施形態〜第5実施形態のいずれの実施形態の電流推定方法としてもよい。
(他の実施形態)
(ア)上記実施形態では、2相制御電流値であるdq軸電流推定値id_est、iq_estの算出方法として、補正ベクトル(Δid、Δiq)を積算する方法と、電流指令値id*、iq*を用いる方法について説明した。他の実施形態では、dq軸電流推定値id_est、iq_est、監視相電流推定値iv_est、および、制御相電流推定値iw_estは、どのような方法で算出してもよい。ここで、交流電動機の制御装置を、例えばハイブリッド車や電動自動車の主機のように高速、高精度に制御する必要があるシステムに適用する場合、上記実施形態の推定方法のように、ベクトル制御に必要な2次元量を精度よく推定することが求められる。
また、上記実施形態では、制御相電流推定部における演算方法と、電流推定部における演算方法は同じであったが、異なる方法で演算してもよい。
(イ)他の実施形態では、補正ベクトル(Δid、Δiq)を積算する電流推定方法において、dq軸電流推定値id_est、iq_estの演算における初期値を直前のdq軸電流値id、iqにしてもよい。これにより、1相制御に切り替わった際のdq軸電流推定値id_est、iq_estとdq軸電流値id、iqとの誤差を小さくすることができるので、当該誤差に起因して交流電動機の制御が不安定になるのを抑制することができる。
(ウ)上記実施形態では、回転角センサは電気角θeを検出し、制御部へ出力した。他の実施形態では、回転角センサは機械角θmを検出し、制御部へ出力し、制御部の内部にて電気角θeに換算してもよい。また、電気角θeに替えて、機械角θmを「回転角検出値」としてもよい。さらにまた、回転数Nは、機械角θmに基づいて算出してもよい。
(エ)上記実施形態では、交流電動機の駆動が低回転領域か否かを回転数Nに基づいて判定した。他の実施形態では、回転数Nに替えて、電気周波数に基づいて判定してもよい。例えば、交流電動機の極対数が4である場合、上記実施形態にて例示した判定値の回転数1500rpmは、電気周波数100Hzに対応するので、この電気周波数に基づいて判定する、といった具合である。
(オ)上記実施形態では、制御相電流比較部にて制御相電流推定値iw_estと制御相電流検出値iw_snsとを比較した制御相差分参照値Δiw_ref、および、監視相電流比較部にて監視相電流推定値iv_estと監視相電流検出値iv_snsとを比較した監視相差分参照値Δiv_refに基づいて制御相電流センサおよび監視相電流センサの異常を検出した。
他の実施形態では、監視相電流比較部を省略し、制御相電流比較部による制御相差分参照値Δiw_refのみに基づいて電流センサの異常検出を行ってもよい。制御相電流比較部にて用いられる制御相電流推定値iw_estの演算を行う制御相電流推定部の演算結果は、電流フィードバック制御に用いられていない。そのため、電流フィードバック制御の干渉を受けることがないので、制御相電流センサおよび監視相電流センサの異常を適切に検出することができる。
さらに他の実施形態では、制御相電流推定部および制御相電流比較部を省略し、監視相電流比較部により監視相差分参照値Δiv_refのみに基づいて制御相電流センサおよび監視相電流センサの異常検出を行ってもよい。これにより、制御相電流センサおよび監視相電流センサの異常検出に係る演算量を低減することができる。
(カ)上記第4実施形態および第5実施形態では、2相制御電流算出部および電流推定部による演算を常時行っていた。他の実施形態では、第2実施形態のように異常判定要求がある場合には2相制御電流算出部により演算を中止し、異常判定要求がない場合には電流推定部により電流推定処理を中止するように構成してもよい。
また上記第4実施形態および第5実施形態では、第3実施形態のように、2相制御から1相制御に切り替える前の所定のタイミングから電流推定部による演算を開始してもよい。これにより、上記実施形態と同様の効果を奏する。なお、第4実施形態と第3実施形態とを組み合わせた場合、直前判定値A1および変更値A2は、いずれも2相/1相切替判定値Aより小さい値であれば、直前判定値A1および変更値A2の大小関係は問わず、等しい値でもよいし、異なる値でもよいが、変更値A2<直前判定値A1が望ましい。
もちろん、第4実施形態と第5実施形態を組み合わせて実行してもよい。
(キ)上記第4実施形態では、制御相電流推定値iw_estと制御相電流検出値iw_snsとの制御相偏差、または、監視相電流推定値iv_estと監視相電流検出値iv_snsとの監視相偏差が生じている場合、監視停止モードである2相制御の期間を短くした。他の実施形態では、制御相電流推定値iw_estと制御相電流検出値iw_snsとの制御相偏差、または、監視相電流推定値iv_estと監視相電流検出値iv_snsとの監視相偏差が生じている場合、監視実行モードである1相制御および異常検出の期間を長くするようにしてもよい。すなわち、1相制御および異常検出を行う期間に係る1相/2相切替判定値をBより大きい変更値B1に変更してもよい。ここで1相制御および異常検出を行う期間を長くすることは、相対的に2相制御を行う期間を短くするということであり、「制御相電流推定値iw_estと制御相電流検出値iw_snsとの制御相偏差、または、監視相電流推定値iv_estと監視相電流検出値iv_snsとの監視相偏差が生じている場合、監視停止期間を短くする」ということである。また、監視停止モードである2相制御の期間を短くし、監視実行モードである1相制御および異常検出の期間を長くしてもよい。
また、他の実施形態では、制御相電流推定値iw_estと制御相電流検出値iw_snsとの偏差、または、監視相電流推定値iv_estと監視相電流検出値iv_snsとの偏差の大きさに応じ、例えば偏差が大きくなるにしたがって監視停止モードの期間が短くなるように、変更値A2を可変としてもよい。もちろん、変更値B1を可変としてもよい。
さらに、制御相偏差および監視相偏差が小さい場合、または制御相偏差および監視相偏差が生じていない場合、監視実行モードを長くするようにしてもよい。
(ク)上記第5実施形態について、図17中のS174、S175、S176について、少なくとも1つの判断処理を行えばよく、他の判断処理は省略してもよい。
(ケ)上記実施形態では、電流センサが3相のうちの2相に設けられている例について説明した。他の実施形態では、電流センサが3相に設けられており、いずれか1相にて異常が生じており、異常が生じていない2相で制御を行う場合において、上記電流フィードバック処理を行うようにしてもよい。その場合、異常が生じていない2相のうちの一方を制御相とみなし、他方を監視相とみなせばよい。なお、3相のうちの1相に生じた異常の検出方法や、異常が生じた相の特定方法は、どのような方法であってもよい。
(コ)交流電動機の印加電圧を制御するインバータは、電流フィードバック制御がなされる制御方法であれば、どのような方法で制御されてもよい。例えば、正弦波PWM制御モード、過変調PWM制御モード、および、矩形波制御モード等を適宜切り替えて制御されるように構成することができる。なお、矩形波制御モードは、電圧の位相しか制御できず、トルクフィードバック制御である場合もあるが、フィードバックするトルクは電流から推定されるものであるため、広義での「電流フィードバック制御」と捉えることができる。
(サ)上記実施形態では、2相制御電流値をdq軸電流値id、iqとし、制御用1相電流推定値をdq軸電流推定値id_est、iq_estとした。他の実施形態では、2相制御電流値および制御用1相電流推定値は、電流フィードバック制御に利用可能な電流値であれば、dq軸電流に限らず、各相電流や他の軸に基づく電流値としてもよい。なお、「制御用1相電流推定値」は、電流フィードバック制御に用いるために1相の電流検出値から推定された電流推定値を示すものである。また、「監視用1相電流推定値」は、電流センサの異常検出を行うために1相の電流検出値から推定された電流推定値を示すものである。
(シ)上記実施形態では、交流電動機は、3相永久磁石式同期モータであったが、他の実施形態では、誘導モータやその他の同期モータであってもよい。また、上記実施形態の交流電動機は、電動機としての機能および発電機としての機能を併せ持つ所謂モータジェネレータであったが、他の実施形態では、発電機としての機能を持たない電動機であってもよい。
交流電動機は、エンジンに対して電動機として動作し、エンジンの始動を行うように構成されていてもよい。また、エンジンを設けなくてもよい。さらに、交流電動機を複数設けてもよいし、複数の交流電動機における動力を分割する動力分割機構等をさらに設けてもよい。
(ス)本発明による交流電動機の制御装置は、上記実施形態のようにインバータと交流電動機を一組のみ設けたシステムに限らず、インバータと交流電動機を二組以上設けたシステムに適用してもよい。また、1台のインバータに複数台の交流電動機を並列接続させた電車等のシステムに適用してもよい。
また、交流電動機の制御装置は、電動車両に適用されていたが、電動車両以外に用いてもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
1・・・電動機駆動システム
2・・・交流電動機
10・・・電動機制御装置(制御装置)
11・・・インバータ
12・・・制御相電流センサ
13・・・監視相電流センサ
14・・・回転角センサ
15・・・制御部(制御相電流取得手段、監視相電流取得手段、回転角取得手段、電流算出手段、電流推定手段、電圧指令値算出手段、他相電流推定手段、異常検出手段、切替手段、回転数算出手段、回転数判定手段、回転数急変判定手段、トルク急変判定手段)

Claims (14)

  1. インバータ(11)によって印加電圧が制御される3相の交流電動機(2)の駆動を制御する交流電動機の制御装置(10)であって、
    前記交流電動機のいずれか1相である制御相に設けられる制御相電流センサ(12)から制御相電流検出値を取得する制御相電流取得手段(31、32、42)と、
    前記交流電動機の前記制御相とは異なる1相である監視相に設けられる監視相電流センサ(13)から監視相電流検出値を取得する監視相電流取得手段(41、43)と、
    前記交流電動機の回転角を検出する回転角センサ(14)から回転角検出値を取得する回転角取得手段(23、31、32、41、51)と、
    前記制御相電流検出値、前記監視相電流検出値および前記回転角検出値に基づき、2相制御電流値を算出する電流算出手段(31)と、
    前記制御相電流検出値および前記回転角検出値に基づき、制御用1相電流推定値を推定する電流推定手段(32)と、
    フィードバックされた前記2相制御電流値または前記制御用1相電流推定値に基づき、前記インバータに印加される電圧に係る電圧指令値を算出する電圧指令値算出手段(22)と、
    前記制御相電流検出値および前記回転角検出値に基づいて推定される監視相電流推定値、および、前記監視相電流検出値および前記回転角検出値に基づいて推定される制御相電流推定値の少なくとも一方を算出する他相電流推定手段(32、41)と、
    前記監視相電流推定値と前記監視相電流検出値とを比較した第1比較結果、および、前記制御相電流推定値と前記制御相電流検出値とを比較した第2比較結果の少なくとも一方に基づき、前記制御相電流センサおよび前記監視相電流センサの少なくとも一方に異常が生じていることを検出する異常検出手段(45)と、
    前記2相制御電流値に基づいて前記電圧指令値を算出する監視停止モードと、前記制御用1相電流推定値に基づいて前記電圧指令値を算出するとともに前記異常検出手段による異常検出を行う監視実行モードと、を所定の周期で切り替える切替手段(35)と、
    を備えることを特徴とする交流電動機の制御装置。
  2. 前記監視相電流推定値と前記監視相電流検出値との偏差である監視相偏差、または、前記制御相電流推定値と前記制御相電流検出値との偏差である制御相偏差に応じ、前記監視停止モードの期間を変更可能とすることを特徴とする請求項1に記載の交流電動機の制御装置。
  3. 前記回転角検出値に基づき、前記交流電動機の回転数を算出する回転数算出手段(51)と、
    前記回転数が所定の判定値以下であるか否かを判定する回転数判定手段(53)と、
    をさらに備え、
    前記切替手段は、前記回転数が前記判定値以下であると判定された場合、前記監視実行モードを禁止し、前記監視停止モードに切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の交流電動機の制御装置。
  4. 前記回転角検出値に基づき、前記交流電動機の回転数を算出する回転数算出手段(51)と、
    前記回転数が急変したか否かを判定する回転数急変判定手段(53)と、
    をさらに備え、
    前記切替手段は、前記回転数が急変したと判定された場合、前記監視実行モードを禁止し、前記監視停止モードに切り替えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の交流電動機の制御装置。
  5. 前記交流電動機の駆動により発生するトルクに係るトルク指令値が急変したか否かを判定するトルク急変判定手段(53)をさらに備え、
    前記切替手段は、前記回転数が急変したと判定された場合、前記監視実行モードを禁止し、前記監視停止モードに切り替えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の交流電動機の制御装置。
  6. 前記電流算出手段は、前記監視実行モードにおいて、前記2相制御電流値の演算を中止し、
    前記電流推定手段は、前記監視停止モードにおいて、前記制御用1相電流推定値の演算を中止し、
    前記他相電流推定手段は、前記監視停止モードにおいて、前記監視相電流推定値および前記制御相電流推定値の演算を中止することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の交流電動機の制御装置。
  7. 前記電流算出手段は、前記監視実行モードにおいて、前記2相制御電流値の演算を中止し、
    前記電流推定手段は、前記監視停止モードにおいて、前記制御用1相電流推定値の演算を中止するとともに、前記監視実行モードに切り替わる前の所定のタイミングから前記制御用1相電流推定値の演算を開始し、
    前記他相電流推定手段は、前記監視停止モードにおいて、前記監視相電流推定値および前記制御相電流推定値の演算を中止するとともに、前記監視実行モードに切り替わる前記所定のタイミングから前記監視相電流推定値および前記制御相電流推定値の少なくとも一方の演算を開始することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の交流電動機の制御装置。
  8. 前記電流算出手段は、前記監視実行モードまたは前記監視停止モードのいずれであっても前記2相制御電流値の演算を行い、
    前記他相電流推定手段は、前記監視実行モードまたは前記監視停止モードのいずれであっても前記制御用1相電流推定値の演算を行い、
    前記他相電流推定手段は、前記監視実行モードまたは前記監視停止モードのいずれであっても前記監視相電流推定値および前記制御相電流推定値の少なくとも一方の演算を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の交流電動機の制御装置。
  9. 前記電流推定手段は、前回の演算で算出された前記制御用1相電流推定値の前記制御相の成分である電流基準値と前記制御相電流検出値とに基づいて算出される補正ベクトルをdq軸平面上にて積算することにより、前記制御用1相電流推定値を算出することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の交流電動機の制御装置。
  10. 前記他相電流推定手段は、前記制御用1相電流推定値に基づき、前記監視相電流推定値を算出することを特徴とする請求項9に記載の交流電動機の制御装置。
  11. 前記他相電流推定手段は、前記監視相電流検出値および前記回転角検出値に基づく監視用1相電流推定値を算出し、前回の演算で算出された前記監視用1相電流推定値の前記監視相の成分である監視相電流基準値と前記監視相電流検出値とに基づいて算出される監視相補正ベクトルをdq軸平面上にて積算することにより前記監視用1相電流推定値を算出し、算出された前記監視用1相電流推定値に基づき、前記制御相電流推定値を算出することを特徴とする請求項8または9に記載の交流電動機の制御装置。
  12. 前記電流推定手段は、前記制御相電流検出値および前記回転角検出値に加え、前記交流電動機の駆動に係る電流指令値に基づき、前記制御用1相電流推定値を算出することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の交流電動機の制御装置。
  13. 前記他相電流推定手段は、前記制御相電流検出値と前記回転角検出値とに加え、前記電流指令値に基づいて前記監視相電流推定値を算出することを特徴とする請求項12に記載の交流電動機の制御装置。
  14. 前記他相電流推定手段は、前記監視相電流検出値と前記回転角検出値とに加え、前記電流指令値に基づいて前記制御相電流推定値を算出することを特徴とする請求項12または13に記載の交流電動機の制御装置。
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