組み立てられた型枠10の一例を示す正面図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる型枠の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、組み立てられた型枠10の背面図であり、図3は、組み立てられた型枠10の側面図である。図4は、一例として示す型枠パネル16a〜16fの斜視図であり、図5は、図4の5−5線端面図である。
図1〜3では、上下方向を矢印Aで示し、横方向の矢印B(図1,2のみ)で示すとともに、前後方向を矢印C(図3のみ)で示す。図3の側面図では、第1および第2型枠パネル16a〜16f,17a〜17fの間のスペース13(空間)にコンクリート12が打設されている。図3では、コンクリート12に埋設された鉄筋の図示を省略している。なお、第2型枠パネル17a〜17fが第1型枠パネル16a〜16fと異なるところはパネル17a〜17fに打設口36や確認窓37が作られている点であり、その他の構成は同一である。
型枠10は、既設の建物(建造物)の耐震補強壁11(コンクリート構造物)の構築箇所に組み立てられ、構築箇所にコンクリート12を打設して新設の鉄筋コンクリート製の耐震補強壁11を作るために使用される。耐震補強壁11を作る構築箇所に複数本の鉄筋(図示せず)を配筋するとともに型枠10を組み立て、型枠10の内側(第1および第2型枠パネル16a〜16f,17a〜17fの間)のスペース13にコンクリート12を打設する。打設したコンクリート12を所定期間養生した後、組み立てた型枠10を取り外す(分解する)ことで鉄筋コンクリート製の耐震補強壁11が作られる。
なお、図1,2では、建物の柱14A,Bと梁15A,B(天井梁15A、床梁15B)との間に耐震補強壁11を構築する場合を図示しているが、柱14A,Bと梁15A,Bとの間のみならず、型枠10を利用することで、壁梁の間や床スラブの間等のあらゆる箇所に耐震補強壁11を作ることができる。型枠10は、複数枚の第1型枠パネル16a〜16fおよび複数枚の第2型枠パネル17a〜17fと、複数個の第1トラス構造物18a〜18f(第1縦架設材)および複数個の第2トラス構造物19a〜19f(第2縦架設材)と、複数本の第1横架設材20a〜20fおよび複数本の第2横架設材21a〜21fとから形成されている。
第1および第2型枠パネル16a〜16f,17a〜17fは、所定の厚み寸法を有する平面形状が四角形の板状に成型されている。第1型枠パネル16a〜16fは、第2型枠パネル17a〜17fに対向する所定面積の対向面22と、対向面の反対側に位置して第1トラス構造物18a〜18f(第1垂直材38)に当接する所定面積の当接面26と、上下面24,25および両側面26,27とを有する6面体である。第2型枠パネル17a〜17fは、第1型枠パネル16a〜16fに対向する所定面積の対向面22と、対向面22の反対側に位置して第2トラス構造物19a〜19f(第2垂直材39)に当接する所定面積の当接面23と、上下面24,25および両側面26,27とを有する6面体である。
なお、それら型枠パネル16a〜16f,17a〜17fの上下方向の寸法や横方向の寸法、厚み寸法に特に限定はなく、構築する耐震補強壁11の横方向の寸法や厚み寸法等を考慮した構造計算によってパネル16a〜16f,17a〜17fの各寸法が決定される。また、それら寸法の異なる各種複数のパネル16a〜16f,17a〜17fを用意し、型枠10を組み立てる際にそれらを適宜組み合わせて使用することもできる。
型枠パネル16a〜16f,17a〜17fは、その製造工場において製造され、耐震補強壁11の構築現場に搬送された後、そのまま使用される場合の他、構築現場においてそれを所望の寸法に切断し、構築する耐震補強壁11の上下方向の寸法や横方向の寸法にあわせて使用することもできる。型枠10は、耐震補強壁11の構築現場において、型枠パネル16a〜16f,17a〜17fを所望の寸法に加工(切断)し、型枠パネル16a〜16f,17a〜17fの上下方向の寸法や横方向の寸法を自由に変えることができるから、鋼材型枠等のあらかじめ寸法が決まった型枠部材と比較し、構築する耐震補強壁11の上下方向の寸法や横方向の寸法にあわせた型枠10を容易に組み立てることができ、それぞれ上下方向の寸法や横方向の寸法が異なる既設の建物(建造物)の耐震改修に好適に使用することができる。
第1および第2型枠パネル16a〜16f,17a〜17fは、ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォーム、発泡ポリエチレン、フェノールフォーム等から作られている。それら型枠パネル16a〜16f,17a〜17fには、図3,4に示すように、その6面22〜27にイソシアネートと特殊アミンとからなるポリウレア樹脂28(合成樹脂)が塗布(スプレー塗布)されている。それら型枠パネル16a〜16f,17a〜17fの6面22〜27には、硬化したポリウレア樹脂28による所定厚みの平滑な被膜層が形成されている。それら型枠パネル16a〜16f,17a〜17fの6面22〜27に塗布されたポリウレア樹脂28によって6面22〜27の凹凸が修正され、6面22〜27が平滑に加工されている。
第1および第2型枠パネル16a〜16f,17a〜17fは、硬化したポリウレア樹脂28によって形成された被膜層により、6面22〜27における摩擦抵抗が大幅に低下し、養生後のコンクリート12が6面22〜27に付着することなく、コンクリート12に対する離型が容易である。さらに、硬化したポリウレア樹脂28によって形成された被膜層により、パネル16a〜16f,17a〜17fの強度が大幅に増加し、パネル16a〜16f,17a〜17fを上下方向へ重ねたときのその座屈や破損が防止されるのみならず、パネル16a〜16f,17a〜17fの曲がり変形が防止される。
なお、第1および第2型枠パネル16a〜16f,17a〜17fにポリウレア樹脂28が塗布されていなくてもよい。また、第1および第2型枠パネル16a〜16f,17a〜17fが強化プラスチックや透明な合成樹脂の板、木材(ベニヤ板)から作られていてもよい。この場合においても、パネル16a〜16f,17a〜17fの6面22〜27にポリウレア樹脂28が塗布されることが好ましい。また、第1および第2型枠パネル16a〜16f,17a〜17fには、ポリウレア樹脂28ではなく、その6面22〜27を平滑にすることが可能であれば、他の熱可塑性合成樹脂(ポリウレタンやポリスチレン、強化プラスチック用塗料等)や熱硬化性合成樹脂を塗布することもできる。
第1型枠パネル16a〜16fは、建物内部の耐震補強壁11の構築箇所の天井梁15Aの底面(構築箇所上部)(なお、床スラブに設置する場合は、天井の床スラブの底面)の正確に位置決め(墨出し)された上方第1取付位置29(上方第1墨出し位置)と構築箇所の床梁15Bの頂面(構築箇所下部)(なお、床スラブに設置する場合は、床の床スラブの頂面)の正確に位置決め(墨出し)された下方第1取付位置30(下方第1墨出し位置)との間に設置されている。
第1型枠パネル16a〜16fは、上方第1取付位置29から下方第1取付位置30に向かって最上部に位置する第1型枠パネル16a,16d→中間部に位置する第1型枠パネル16b,16e→最下部に位置する第1型枠パネル16c,16fの順に3枚のパネル16a〜16cやパネル16d〜16eが上下方向へ並んでいる。さらに、3枚のパネル16a〜16cやパネル16d〜16eを1組としたときに、その2組が横方向へ並んでいる。なお、上下方向へ並ぶパネルの枚数や横方向へ並ぶパネルの組数に特に限定なく、構築する耐震補強壁11の各寸法に合わせて枚数や組数を適宜決定する。
第1型枠パネル16a〜16fのうち、パネル16a,16dの上面24が天井梁15Aの底面に当接し、側面26,27が柱14A,14Bに当接するとともに、横方向へ隣接するパネル16a,16dの側面26,27どうしが当接し、下面25がパネル16b,16eの上面24に当接している。パネル16b,16eの側面26,27が柱14A,14Bに当接し、横方向へ隣接するパネル16b,16eの側面26,27どうしが当接するとともに、下面25がパネル16c,16fの上面24に当接している。パネル16c,16fの側面26,27が柱に当接し、横方向へ隣接するパネル16c,16fの側面26,27どうしが当接するとともに、下面25が床梁15Bの頂面に当接している。
第1型枠パネル16a〜16fの当接面23には、前後方向前方へ突出して横方向へ並ぶ把持可能な2つの取っ手33が取り付けられている。それら取っ手33は、コ字状の金属棒であり、その両端部がパネル16a〜16fを貫通するとともに、パネル16a〜16fの対向面22に配置された固定板34に固定されている。取っ手33には、連結布紐35(連結部材)が結び付けられている。なお、連結部材には、布紐35の他に、伸縮性を有するゴムバンド、プラスチックバンド、金属線バンド等を使用することもできる。
第2型枠パネル17a〜17fは、建物の内部の耐震補強壁11の構築箇所の天井梁15Aの底面(構築箇所の上部)(なお、床スラブに設置する場合は、天井の床スラブの底面)の正確に位置決め(墨出し)された上方第2取付位置31(上方第2墨出し位置)と構築箇所の床梁15Bの頂面(構築箇所の下部)(なお、床スラブに設置する場合は、床の床スラブの頂面)の正確に位置決め(墨出し)された下方第2取付位置32(下方第2墨出し位置)との間に設置されている。上方第2取付位置31は、上方第1取付位置29から前後方向前方へ所定寸法離間し、下方第2取付位置32は、下方第1取付位置30から前後方向前方へ所定寸法離間している。
第2型枠パネル17a〜17fは、上方第2取付位置31から下方第2取付位置32に向かって最上部に位置する第2型枠パネル17a,17d→中間部に位置する第2型枠パネル17b,17e→最下部に位置する第2型枠パネル17c,17fの順に3枚のパネル17a〜17cやパネル17d〜17fが上下方向へ並んでいる。さらに、3枚のパネル17a〜17cやパネル17d〜17fを1組としたときに、その2組が横方向へ並んでいる。なお、上下方向へ並ぶパネルの枚数や横方向へ並ぶパネルの組数に特に限定なく、構築する耐震補強壁11の各寸法に合わせて枚数や組数を適宜決定する。
第2型枠パネル17a〜17fのうち、パネル17a,17dの上面24が天井梁15Aの底面に当接し、側面26,27が柱14A,14Bに当接するとともに、横方向へ隣接するパネル17a,17dの側面26,27どうしが当接し、下面25がパネル16b,16eの上面24に当接している。パネル17b,17eの側面26,27が柱14A,14Bに当接し、横方向へ隣接するパネル17b,17eの側面26,27どうしが当接するとともに、下面25がパネル17c,17fの上面24に当接している。パネル17c,17fの側面26,27が柱に当接し、横方向へ隣接するパネル17c,17fの側面26,27どうしが当接するとともに、下面25が床梁15Bの頂面に当接している。
第2型枠パネル17a〜17fの当接面23には、前後方向前方へ突出して横方向へ並ぶ把持可能な2つの取っ手33が取り付けられている。それら取っ手33は、コ字状の金属棒であり、その両端部がパネル17a〜17fを貫通するとともに、パネル17a〜17fの対向面22に配置された固定板34に固定されている。取っ手33には、連結布紐35(連結部材)が結び付けられている。
第2型枠パネル17aには、第1および第2型枠パネル16a〜16f,17a〜17fの間のスペース13にコンクリート12を打設する(流入させる)ための打設口36が作られている。打設口36では、パネル17aが四角形にくり抜かれ、そこに金属製の口筒を有する四角形の鉄板が固定されている。なお、2枚以上の第2型枠パネル17a〜17fに打設口36が作られていてもよく、第1型枠パネル16a〜16fのいずれかに打設口36が作られていてもよい。第2型枠パネル17b〜17fには、スペース13にコンクリート13を打設するときに、スペース13へのコンクリート12の打設状態を確認可能な四角形の確認窓37が作られている。確認窓37では、パネル17b〜17fが四角形にくり抜かれ、そこに透明な四角形の合成樹脂板が嵌め込まれている。なお、第1型枠パネル16b〜16fのいずれかに確認窓37が作られていてもよい。
第1トラス構造物18a〜18f(第1縦架設材)は、それら第1型枠パネル16a〜16fの前後方向後方に位置して上下方向へ直状に延びている。それら第1トラス構造物18a〜18fは、横方向へ所定寸法離間して並んでいる。上下方向へ並ぶ1組の第1型枠パネル16a〜16cには、3個の第1トラス構造物18a〜18cが設置されている。1個の第1トラス構造物18aが1組の第1型枠パネル16a〜16cの一方の側縁部に配置され、1個の第1トラス構造物18cが1組のパネル16a〜16cの他方の側縁部に配置されているとともに、1個の第1トラス構造物18bが1組のパネル16a〜16cの横方向中央部に配置されている。
上下方向へ並ぶ1組の第1型枠パネル16d〜16fには、3個の第1トラス構造物18d〜18fが設置されている。1個の第1トラス構造物18dが1組の第1型枠パネル16d〜16fの一方の側縁部に配置され、1個の第1トラス構造物18fが1組のパネル16d〜16fの他方の側縁部に配置されているとともに、1個の第1トラス構造物18eが1組のパネル16d〜16fの横方向中央部に配置されている。なお、1組のパネル16a〜16cやパネル16d〜16fに対する第1トラス構造物18a〜18fの個数について特に限定はなく、構築する耐震補強壁11の横方向の寸法や厚み寸法等を考慮した構造計算により、1組のパネル16a〜16cやパネル16d〜16fに対して設置する第1トラス構造物18a〜18fの個数が決定される。
第1トラス構造物18a〜18fは、第1型枠パネル16a〜16fの当接面23に対向して上下方向へ直状に延びる第1垂直材38と、第1垂直材38から前後方向後方へ所定寸法離間して上下方向へ直状に延びる第2垂直材39と、第1垂直材38と第2垂直材39との間に位置して上下方向へジグザグに延びるトラス材40と、トラス構造物18a〜18fの高さ寸法を調節可能な寸法調節材41とから作られている。第1トラス構造物18a〜18fでは、第1垂直材38とトラス材40とがボルトおよびナットによって強固に連結され、第2垂直材39とトラス材40とがボルトおよびナットによって強固に連結されている。
寸法調節材41は、後記する第1アングル44を介して天井梁15Aの底面に固定される固定端部42と、第1垂直材38の側に位置して第1垂直材38に対する上下方向の固定位置を調節可能な開口部43とを有する。なお、第1垂直材38の上端部の寸法調節材41の開口部43に対する固定位置を調節(固定ボルトおよびナットによって第1垂直材38の上端部を寸法調節材41の開口部43に固定)することにより、開口部43の長さ寸法の限度で第1トラス構造物18a〜18fの上下方向の高さ寸法を調節することができる。寸法調節材41によって第1トラス構造物18a〜18fの上下方向の寸法を調節することで、トラス構造物18a〜18fの上下方向の寸法を耐震補強壁11の構築箇所の高さ寸法に一致させることができる。
第1トラス構造物18a〜18fでは、その上端部(寸法調節材41の固定端部42)が所定の固定手段を介して天井梁15Aの底面の位置決めされた上方第1取付位置29(上方第1墨出し位置)に固定されている。さらに、その下端部(第1垂直材38の下端部)が所定の固定手段を介して床梁15Bの頂面の位置決めされた下方第1取付位置30(下方第1墨出し位置)に固定されている。なお、天井梁15Aの底面の上方第1取付位置29と床梁15Bの頂面の下方第1取付位置30とが上下方向において略正確に一致している。固定手段の具体例としては、第1アングル44、アンカーボルト、アジャスターボルトを使用し、第1トラス構造物18a〜18fを天井梁15Aの底面や床梁15Bの頂面に固定する。
天井梁15Aの底面の位置決めされた上方第1取付位置29(パネル16a〜16fの当接面23の直後の位置)に横方向へ並ぶ複数のアンカーホールが穿孔され、それらアンカーホールに樹脂アンカーや機械式アンカーを設置し、第1アングル44に形成されたボルト孔にアンカーボルトを挿通するとともにそのアンカーボルトをアンカーホールに螺着することで、第1アングル44が上方第1取付位置29に強固に固定される。床梁15Bの頂面の位置決めされた下方第1取付位置30(パネル16a〜16fの当接面23の直後の位置)に横方向へ並ぶ複数のアンカーホールが穿孔され、それらアンカーホールに樹脂アンカーや機械式アンカーを設置し、第1アングル44に形成されたボルト孔にアンカーボルトを挿通するとともにそのアンカーボルトをアンカーホールに螺着することで、第1アングル44が下方第1取付位置30に強固に固定される。
次に、第1アングル44に穿孔されたボルト螺着孔と第1トラス構造物18a〜18fの寸法調節材41の固定端部42に穿孔されたボルト螺着孔とにアジャスターボルトを螺着し、そのボルトにナットを螺着することで、固定端部42が第1アングル44に強固に固定される。さらに、第1アングル44に穿孔されたボルト螺着孔と第1トラス構造物18a〜18fの第1垂直材38の下端部に穿孔されたボルト螺着孔とにアジャスターボルトを螺着し、そのボルトにナットを螺着することで、第1垂直材38の下端部が第1アングル44に強固に固定される。
第1トラス構造物18a〜18fの上下方向の高さ寸法を調節しつつ、第1アングル44に寸法調節材41の固定端部42を固定するとともに、第1アングル44に第1垂直材38の下端部を固定すると、第1垂直材38が第1型枠パネル16a〜16fの当接面23に当接(密着)する。したがって、それら第1トラス構造物18a〜18fにより、スペース13にコンクリート12を打設したときのコンクリート12の側圧によるそれら第1型枠パネル16a〜16fの前後方向後方への膨隆が押さえられ、パネル16a〜16fの前後方向後方への変形や積み重ねたパネル16a〜16fの崩落が防止される。
なお、第1型枠パネル16a,16dの上端部の厚み寸法が残余の部位のそれよりも小さく、それによって第1アングル44の厚みが上端部に吸収され、第1アングル44が邪魔することなく、第1垂直材38がパネル16a〜16fの当接面23に確実に当接(密着)する。また、第1型枠パネル16c,16fの下端部の厚み寸法が残余の部位のそれよりも小さく、それによって第1アングル44の厚みが下端部に吸収され、第1アングル44が邪魔することなく、第1垂直材38がパネル16a〜16fの当接面23に確実に当接(密着)する。
第1トラス構造物18a〜18fの第2垂直材39には、取っ手33から延びる連結布紐35(連結部材)が強く結び付けられている。型枠10では、それら第1型枠パネル16a〜16fの取っ手33と第1トラス構造物18a〜18fとが連結布紐35を介して連結され、パネル16a〜16fのコンクリート打設前における第2型枠パネル17a〜17fの側への倒れ込みが防止される。なお、連結部材としてゴムバンドを使用する場合、そのゴムバンドを取っ手33から伸長させた状態でトラス構造物18a〜18fに引っ掛ける。
第1横架設材20a〜20cは、第1トラス構造物18a〜18fの前後方向後方(トラス構造物18a〜18fの第2垂直材39の直後)に位置しつつトラス構造物18a〜18fに固定されて横方向へ直状に延びている。それら第1横架設材20a〜20cは、上下方向へ所定寸法離間して並んでいる。第1横架設材20a〜20cは、図1,3に示すように、鉄やアルミ、真鍮、合金等の金属から作られた断面形状が円形の中空の金属筒であるが、鉄やアルミ、真鍮、合金等の金属から作られた断面形状が四角形の中空の金属管を使用することもできるとともに、H型鋼やI型鋼、角型鋼材等の鋼材を使用することもできる。横架設材20a〜20cは、固定金具45を介して第1トラス構造物18a〜18fの第2垂直材39に強固に固定されている。
第1横架設材20aが横方向へ並ぶ第1型枠パネル16a,16dの後方に配置され、第1横架設材20bが横方向へ並ぶパネル16b,16eの後方に配置されているとともに、第1横架設材20cが横方向へ並ぶパネル16c,16fの後方に配置されている。なお、型枠10に3本の横架設材20a〜20cが設置されているが、型枠10に設置する横架設材の本数に特に限定はなく、構築する耐震補強壁11の横方向の寸法や厚み寸法等を考慮した構造計算によって使用する横架設材に本数が決定される。
それら第1横架設材20a〜20cにより、スペース13にコンクリート12を打設したときのコンクリート12の側圧によるそれら第1トラス構造物18a〜18fの前後方向後方への膨隆が押さえられ、トラス構造物18a〜18fの前後方向後方への変形や横方向への撓みが防止される。その結果、コンクリート12の側圧によるそれら第1型枠パネル16a〜16fの前後方向後方への膨隆が押さえられ、パネル16a〜16fの前後方向後方への変形や積み重ねたパネル16a〜16fの崩落が防止される。
第2トラス構造物19a〜19f(第2縦架設材)は、それら第2型枠パネル17a〜17fの前後方向前方に位置して上下方向へ直状に延びている。それら第2トラス構造物19a〜19fは、横方向へ所定寸法離間して並んでいる。上下方向へ並ぶ1組の第2型枠パネル17a〜17cには、3個の第2トラス構造物19a〜19cが設置されている。1個の第2トラス構造物19aが1組の第2型枠パネル17a〜17cの一方の側縁部に配置され、1個の第2トラス構造物19cが1組のパネル17a〜17cの他方の側縁部に配置されているとともに、1個の第2トラス構造物19bが1組のパネル17a〜17cの横方向中央部に配置されている。
上下方向へ並ぶ1組の第2型枠パネル17d〜17fには、3個の第2トラス構造物19d〜19fが設置されている。1個の第2トラス構造物19dが1組の第1型枠パネル17d〜17fの一方の側縁部に配置され、1個の第2トラス構造物19fが1組のパネル17d〜17fの他方の側縁部に配置されているとともに、1個の第2トラス構造物19eが1組のパネル17d〜17fの横方向中央部に配置されている。なお、1組のパネル17a〜17cやパネル17d〜17fに対する第2トラス構造物19a〜19fの個数について特に限定はなく、構築する耐震補強壁11の横方向の寸法や厚み寸法等を考慮した構造計算により、1組のパネル17a〜17cやパネル17d〜17fに対して設置する第2トラス構造物19a〜19fの個数が決定される。
第2トラス構造物19a〜19fは、第2型枠パネル17a〜17fの当接面23に対向して上下方向へ直状に延びる第1垂直材38と、第1垂直材38から前後方向前方へ所定寸法離間して上下方向へ直状に延びる第2垂直材39と、第1垂直材38と第2垂直材39との間に位置して上下方向へジグザグに延びるトラス材40と、トラス構造物19a〜19fの高さ寸法を調節可能な寸法調節材41とから作られている。第2トラス構造物19a〜19fでは、第1垂直材38とトラス材40とがボルトおよびナットによって強固に連結され、第2垂直材39とトラス材40とがボルトおよびナットによって強固に連結されている。
寸法調節材41は、後記する第2アングル46を介して天井梁15Aの底面に固定される固定端部42と、第1垂直材38の側に位置して第1垂直材38に対する上下方向の固定位置を調節可能な開口部43とを有する。なお、第1垂直材38の上端部の寸法調節材41の開口部43に対する固定位置を調節(固定ボルトおよびナットによって第1垂直材38の上端部を寸法調節材41の開口部43に固定)することにより、開口部43の長さ寸法の限度で第2トラス構造物19a〜19fの上下方向の高さ寸法を調節することができる。寸法調節材41によって第2トラス構造物19a〜19fの上下方向の寸法を調節することで、トラス構造物19a〜19fの上下方向の寸法を耐震補強壁11の構築箇所の高さ寸法に一致させることができる。
第2トラス構造物19a〜19fでは、その上端部(寸法調節材41の固定端部42)が所定の固定手段を介して天井梁15Aの底面の位置決めされた上方第2取付位置31(上方第2墨出し位置)に固定されている。さらに、その下端部(第1垂直材38の下端部)が所定の固定手段を介して床梁15Bの頂面の位置決めされた下方第2取付位置32(下方第2墨出し位置)に固定されている。なお、天井梁15Aの底面の上方第2取付位置31と床梁15Bの頂面の下方第2取付位置32とが上下方向において略正確に一致している。固定手段の具体例としては、第2アングル46、アンカーボルト、アジャスターボルトを使用し、第2トラス構造物19a〜19fを天井梁15Aの底面や床梁15Bの頂面に固定する。
天井梁15Aの底面の位置決めされた上方第2取付位置31(パネル17a〜17fの当接面23の直前の位置)に横方向へ並ぶ複数のアンカーホールが穿孔され、それらアンカーホールに樹脂アンカーや機械式アンカーを設置し、第2アングル46に形成されたボルト孔にアンカーボルトを挿通するとともにそのアンカーボルトをアンカーホールに螺着することで、第2アングル46が上方第2取付位置31に強固に固定される。床梁15Bの頂面の位置決めされた下方第2取付位置32(パネル17a〜17fの当接面23の直前の位置)に横方向へ並ぶ複数のアンカーホールが穿孔され、それらアンカーホールに樹脂アンカーや機械式アンカーを設置し、第2アングル46に形成されたボルト孔にアンカーボルトを挿通するとともにそのアンカーボルトをアンカーホールに螺着することで、第2アングル46が下方第2取付位置32に強固に固定される。
次に、第2アングル46に穿孔されたボルト螺着孔と第2トラス構造物19a〜19fの寸法調節材41の固定端部42に穿孔されたボルト螺着孔とにアジャスターボルトを螺着し、そのボルトにナットを螺着することで、固定端部42が第2アングル46に強固に固定される。さらに、第2アングル46に穿孔されたボルト螺着孔と第2トラス構造物19a〜19fの第1垂直材38の下端部に穿孔されたボルト螺着孔とにアジャスターボルトを螺着し、そのボルトにナットを螺着することで、第1垂直材38の下端部が第2アングル46に強固に固定される。
第2トラス構造物19a〜19fの上下方向の高さ寸法を調節しつつ、第2アングル46に寸法調節材41の固定端部42を固定するとともに、第2アングル46に第1垂直材38の下端部を固定すると、第1垂直材38が第2型枠パネル17a〜17fの当接面23に当接(密着)する。したがって、それら第2トラス構造物19a〜19fにより、スペース13にコンクリート12を打設したときのコンクリート12の側圧によるそれら第2型枠パネル17a〜17fの前後方向前方への膨隆が押さえられ、パネル17a〜17fの前後方向前方への変形や積み重ねたパネル17a〜17fの崩落が防止される。
なお、第2型枠パネル17a,17dの上端部の厚み寸法が残余の部位のそれよりも小さく、それによって第2アングル46の厚みが上端部に吸収され、第2アングル46が邪魔することなく、第1垂直材38がパネル17a〜17fの当接面23に確実に当接(密着)する。また、第2型枠パネル17c,17fの下端部の厚み寸法が残余の部位のそれよりも小さく、それによって第2アングル46の厚みが下端部に吸収され、第2アングル46が邪魔することなく、第1垂直材38がパネル17a〜17fの当接面23に確実に当接(密着)する。
第2トラス構造物19a〜19fの第2垂直材39には、取っ手33から延びる連結布紐35(連結部材)が強く結び付けられている。型枠10では、それら第2型枠パネル17a〜17fの取っ手33と第2トラス構造物19a〜19fとが連結布紐35を介して連結され、パネル17a〜17fのコンクリート打設前における第1型枠パネル16a〜16fの側への倒れ込みが防止される。なお、連結部材としてゴムバンドを使用する場合、そのゴムバンドを取っ手33から伸長させた状態でトラス構造物19a〜19fに引っ掛ける。
第2横架設材21a〜21cは、第2トラス構造物19a〜19cの前後方向前方(トラス構造物19a〜19cの第2垂直材39の直前)に位置しつつトラス構造物19a〜19cに固定されて横方向へ直状に延びている。それら第2横架設材21a〜21cは、上下方向へ所定寸法離間して並んでいる。それら第2横架設材21a〜21cは、図2,3に示すように、鉄やアルミ、真鍮、合金等の金属から作られた断面形状が円形の中空の金属筒であるが、鉄やアルミ、真鍮、合金等の金属から作られた断面形状が四角形の中空の金属管を使用することもできるとともに、H型鋼やI型鋼、角型鋼材等の鋼材を使用することもできる。横架設材21a〜21cは、固定金具45を介して第2トラス構造物19a〜19cの第2垂直材39に強固に固定されている。
第2横架設材21aが横方向へ並ぶ第2型枠パネル17a,17dの前方に配置され、第2横架設材21bが横方向へ並ぶパネル17b,17eの前方に配置されているとともに、第2横架設材21cが横方向へ並ぶパネル17c,17fの前方に配置されている。なお、型枠10に3本の横架設材21a〜21cが設置されているが、型枠10に設置する横架設材の本数に特に限定はなく、構築する耐震補強壁11の横方向の寸法や厚み寸法等を考慮した構造計算によって使用する横架設材の本数が決定される。
それら第2横架設材21a〜21cにより、スペース13にコンクリート12を打設したときのコンクリート12の側圧によるそれら第2トラス構造物19a〜19cの前後方向後方への膨隆が押さえられ、トラス構造物19a〜19cの前後方向後方への変形や横方向への撓みが防止される。その結果、コンクリート12の側圧によるそれら第2型枠パネル17a〜17fの前後方向後方への膨隆が押さえられ、パネル17a〜17fの前後方向後方への変形や積み重ねたパネル17a〜17fの崩落が防止される。
なお、型枠10では、第1および第2トラス構造物18a〜18c,19a〜19cの他に、第1および第2縦架設材として、鉄やアルミ、真鍮、合金等の金属から作られた断面形状が四角形の金属柱や他の形状の金属柱を使用することもできるとともに、H型鋼や角型鋼管(コラム)、I型鋼、C型鋼、溝型鋼等の鋼材を使用することもできる。
図6は、型枠10を使用した耐震補強壁11の施工手順の一例を示す図であり、図7は、図6の側面図である。図8は、図6から続く耐震補強壁11の施工手順を示す図であり、図9は、図8の側面図である。図6,7では、上下方向を矢印Aで示し、横方向の矢印B(図6のみ)で示すとともに、前後方向を矢印C(図7のみ)で示す。なお、図6,7は、アングル設置工程が完了した状態を示し、図8,9は、トラス構造物第1設置工程が完了した状態を示す。図6,7では、スペース13に配筋される鉄筋(埋込アンカー、縦筋、横筋、柱筋、フープ筋、あばら筋、斜め補強筋等)の図示を省略している。
鉄筋コンクリート製の耐震補強壁11は、位置決め工程、アングル設置工程、トラス構造物第1設置工程(縦架設材第1設置工程)、パネル設置工程、トラス構造物第2設置工程(縦架設材第2設置工程)、横架設材設置工程の各工程を実施することで型枠10を組み立てた後、コンクリート打設工程、型枠取り外し工程の各工程を実施することによって作られる。最初に位置決め工程を行う。
位置決め工程では、建物内部の耐震補強壁11の構築箇所の天井梁15Aの底面(構築箇所上部)に第1トラス構造物18a〜18f(第1アングル44)および第1型枠パネル16a〜16fを設置する上方第1取付位置29(上方第1墨出し位置)を正確に位置決め(墨出し)するとともに、床梁15Bの頂面(構築箇所下部)に第1トラス構造物18a〜18f(第1アングル44)および第1型枠パネル16a〜16fを設置する下方第1取付位置30(下方第1墨出し位置)を正確に位置決め(墨出し)する。
さらに、構築箇所の天井梁15Aの底面(構築箇所上部)に第2トラス構造物19a〜19f(第2アングル46)および第2型枠パネル17a〜17fを設置する上方第2取付位置31(上方第2墨出し位置)を正確に位置決め(墨出し)するとともに、床梁15Bの頂面(構築箇所下部)に第2トラス構造物19a〜19f(第2アングル46)および第2型枠パネル17a〜17fを設置する下方第2取付位置32(下方第2墨出し位置)を正確に位置決め(墨出し)する。
上方第1取付位置29に横方向へ延びる上方第1ライン(墨出し線)(図示せず)を引くとともに、下方第1取付位置30に横方向へ延びる下方第1ライン(墨出し線)(図示せず)を引く。上方第1取付位置29から前後方向前方へ離間した上方第2取付位置31に横方向へ延びる上方第2ライン(墨出し線)(図示せず)を引くとともに、下方第1取付位置30から前後方向前方へ離間した下方第2取付位置32に横方向へ延びる下方第2ライン(墨出し線)(図示せず)を引く。上方第2取付位置31の上方第1取付位置29から前後方向前方への離間寸法および下方第2取付位置32の下方第1取付位置30から前後方向前方への離間寸法は同一である。
天井梁15Aの底面に上方第1ラインおよび上方第2ラインを引くとともに、床梁15Bの頂面に下方第1ラインおよび下方第2ラインを引いた後、図示はしていないが、それらラインの間に鉄筋(埋込アンカー、縦筋、横筋、柱筋、フープ筋、あばら筋、斜め補強筋等)を配筋する配筋工程を行う。なお、配筋工程では、既存の手順で鉄筋を第1ラインと第2ラインと間に据え付ける。ラインの間に鉄筋を配筋した後、アングル設置工程を行う。アングル設置工程の後に鉄筋を配筋してもよい。アングル設置工程では、天井梁15Aの底面の上方第1取付位置29および床梁15Bの頂面の下方第1取付位置30に第1アングル44を取り付けるとともに、天井梁15Aの底面の上方第2取付位置31および床梁15Bの頂面の下方第2取付位置32に第2アングル46を取り付ける。
アングル設置工程では、上方第1取付位置29の上方第1ラインに沿って横方向へ並ぶ複数のアンカーホールを穿孔し、それらアンカーホールに樹脂アンカーや機械式アンカーを設置するとともに、下方第1取付位置30の下方第1ラインに沿って横方向へ並ぶ複数のアンカーホールを穿孔し、それらアンカーホールに樹脂アンカーや機械式アンカーを設置する。次に、第1トラス構造物18a〜18fの上端部(寸法調節材41の固定端部42)が上方第1取付位置29に正確に位置するとともに、第1トラス構造物18a〜18fの下端部が下方第1取付位置30に正確に位置するように、第1アングル44をそれらラインに配置し、第1アングル44に形成されたボルト孔にアンカーボルトを挿通するとともにそのアンカーボルトをアンカーホールに螺着して第1アングル44を上方第1取付位置29および下方第1取付位置30に強固に固定する。
上方第2取付位置30の上方第2ラインに沿って横方向へ並ぶ複数のアンカーホールを穿孔し、それらアンカーホールに樹脂アンカーや機械式アンカーを設置するとともに、下方第2取付位置32の下方第2ラインに沿って横方向へ並ぶ複数のアンカーホールを穿孔し、それらアンカーホールに樹脂アンカーや機械式アンカーを設置する。次に、第2トラス構造物19a〜19fの上端部(寸法調節材41の固定端部42)が上方第2取付位置31に正確に位置するとともに、第2トラス構造物19a〜19fの下端部が下方第2取付位置32に正確に位置するように、第2アングル46をそれらラインに配置し、第2アングル46に形成されたボルト孔にアンカーボルトを挿通するとともにそのアンカーボルトをアンカーホールに螺着して第2アングル46を上方第2取付位置31および下方第2取付位置32に強固に固定する。
上方第1取付位置29および下方第1取付位置30に第1アングル44を取り付けるとともに、上方第2取付位置31および下方第2取付位置32に第2アングル46を取り付けた後、トラス構造物第1設置工程(縦架設材第1設置工程)を行う。トラス構造物第1設置工程では、パネル設置工程において上下方向に重ねる1組の第1型枠パネル16a〜16cに対応する位置に1個の第1トラス構造物18a(第1縦架設材)を取り付けるとともに、パネル設置工程において上下方向に重ねる1組の第2型枠パネル17a〜17cに対応する位置に1個の第2トラス構造物19a(第2縦架設材)を取り付ける。
トラス構造物第1設置工程では、第1アングル44に穿孔されたボルト螺着孔と第1トラス構造物18aの第1垂直材38の下端部に穿孔されたボルト螺着孔とにアジャスターボルトを螺着し、そのボルトにナットを螺着して第1垂直材38の下端部を第1アングル44に強固に固定する。第1トラス構造物18aの上下方向の高さ寸法を調節するために、第1垂直材38の上端部の寸法調節材41の開口部43に対する固定位置を決める。固定位置を決めた後、その固定位置において第1垂直材38の上端部を寸法調節材41の開口部43に強固に固定する。第1垂直材38の上端部と寸法調節材41とは固定ボルトおよびナットを介して固定される。さらに、第1アングル44に穿孔されたボルト螺着孔と寸法調節材41の固定端部42に穿孔されたボルト螺着孔とにアジャスターボルトを螺着し、そのボルトにナットを螺着して寸法調節材41の固定端部42を第1アングル44に強固に固定する。第1トラス構造物18aを第1アングル44に取り付けることで、図8,9に示すように、第1トラス構造物18aが上方第1取付位置29と下方第1取付位置30との間に設置される。
第2アングル46に穿孔されたボルト螺着孔と第2トラス構造物19aの第1垂直材38の下端部に穿孔されたボルト螺着孔とにアジャスターボルトを螺着し、そのボルトにナットを螺着して第1垂直材38の下端部を第2アングル46に強固に固定する。第2トラス構造物19aの上下方向の高さ寸法を調節するために、第1垂直材38の上端部の寸法調節材41の開口部43に対する固定位置を決める。固定位置を決めた後、その固定位置において第1垂直材38の上端部を寸法調節材41の開口部43に強固に固定する。第1垂直材38の上端部と寸法調節材41とは固定ボルトおよびナットを介して固定される。さらに、第2アングル46に穿孔されたボルト螺着孔と寸法調節材41の固定端部42に穿孔されたボルト螺着孔とにアジャスターボルトを螺着し、そのボルトにナットを螺着して寸法調節材41の固定端部42を第2アングル46に強固に固定する。第2トラス構造物19aを第2アングル46に取り付けることで、図9に示すように、第2トラス構造物19aが上方第2取付位置31と下方第2取付位置32との間に設置される。
図10は、図9から続く耐震補強壁11の施工手順を示す正面図であり、図11は、図10から続く耐震補強壁11の施工手順を示す背面図である。図12は、図11から続く耐震補強壁11の施工手順を示す正面図であり、図13は、図12から続く耐震補強壁11の施工手順を示す背面図である。図14は、図13から続く耐震補強壁11の施工手順を示す正面図であり、図15は、図14から続く耐震補強壁11の施工手順を示す背面図である。図16は、図15から続く耐震補強壁11の施工手順を示す正面図であり、図17は、図16から続く耐震補強壁11の施工手順を示す背面図である。図18は、図17の側面図である。なお、図10,11,14,15は、パネル設置工程が完了した状態を示し、図12,13,16,17は、トラス構造物第2設置工程が完了した状態を示す。図10,11,12,13,17では、スペース13に配筋された鉄筋の図示を省略している。
第1および第2トラス構造物18a,19aを各取付位置29〜32に設置した後、パネル設置工程を行う。パネル設置工程では、図10に示すように、第1トラス構造物18aに対して3枚の第1型枠パネル16a〜16cをパネル16c→パネル16b→パネル16aの順に設置するとともに、図11に示すように、第2トラス構造物19aに対して3枚の第2型枠パネル17a〜17cをパネル17c→パネル17b→パネル17aの順に設置する。なお、第2型枠パネル17aには、第1および第2型枠パネル16a〜16c,17a〜17cの間のスペース13にコンクリート12を打設するための打設口36が作られ、第2型枠パネル17b,17cには、スペース13にコンクリート12を打設するときに、スペース13へのコンクリート12の打設状態を確認可能な確認窓37が作られている。
パネル16cの下面25が下方第1ライン(下方第1設置位置30)に位置するとともに、パネル16aの上面24が上方第1ライン(上方第1設置位置29)に位置するように、第1トラス構造物18aの直前にそれらパネル16a〜16cを配置する。第1トラス構造物18aの直前にそれらパネル16a〜16cを配置すると、第1アングル44の天井梁15Aの底面から下方に延びる部分がパネル16aの上端部に当接するとともに、第1アングル44の床梁15Bの頂面から上方に延びる部分がパネル16cの下端部に当接し、パネル16a,16cの残余の部位における当接面23とパネル16bの当接面23とが第1アングル44の天井梁15Aの底面から下方に延びる部分や第1アングル44の床梁15Bの頂面から上方に延びる部分よりもわずか前方に位置し、パネル16a,16cの残余の部位における当接面23とパネル16bの当接面23とが第1トラス構造物18aの第1垂直材38に当接する。
第1型枠パネル16a〜16cを設置すると、最下に位置するパネル16cの下面25が床梁15Bの頂面の下方第1設置位置30に位置し、パネル16cの上面24が中間に位置するパネル16bの下面25に当接(密着)し、パネル16cとパネル16bとが上下方向へ重なり合う。中間に位置するパネル16bの上面24が最上に位置するパネル16aの下面25に当接(密着)し、パネル16bとパネル16aとが上下方向へ重なり合い、パネル16aの上面24が天井梁15Aの底面の上方第1設置位置29に位置する。それらパネル16a〜16cの側面26は、柱14Aに当接(密着)する。
第1型枠パネル16a〜16cを配置した後、パネル16a〜16cに取り付けられた取っ手33に連結布紐35(連結部材)を結び付けるとともに、その布紐35を第1トラス構造物18aの第2垂直材39に結び付ける。取っ手33と第1トラス構造物18aとを布紐35で連結することで、パネル16a〜16cがトラス構造物18aに連結されてそれらパネル16a〜16cがトラス構造物18aに支持され、パネル16a〜16cの第2型枠パネル17a〜17c(第2トラス構造物19a)の側への倒れ込みが防止される。なお、第1型枠パネル16a〜16cを配置すると、第1トラス構造物18aがパネル16a〜16cの一方の側部に位置する。
パネル17cの下面25が下方第2ライン(下方第2設置位置32)に位置するとともに、パネル17aの上面24が上方第2ライン(上方第2設置位置31)に位置するように、第2トラス構造物19aの直後にそれらパネル17a〜17cを配置する。第2トラス構造物19aの直後にそれらパネル17a〜17cを配置すると、第2アングル46の天井梁15Aの底面から下方に延びる部分がパネル17aの上端部に当接するとともに、第2アングル46の床梁15Bの頂面から上方に延びる部分がパネル17cの下端部に当接し、パネル17a,17cの残余の部位における当接面23とパネル17bの当接面23とが第2アングル46の天井梁15Aの底面から下方に延びる部分や第2アングル46の床梁15Bの頂面から上方に延びる部分よりもわずか後方に位置し、パネル17a,17cの残余の部位における当接面23とパネル17bの当接面23とが第2トラス構造物19aの第1垂直材39に当接する。
第2型枠パネル17a〜17cを設置すると、最下に位置するパネル17cの下面25が床梁15Bの頂面の下方第2設置位置32に位置し、パネル17cの上面24が中間に位置するパネル17bの下面25に当接(密着)し、パネル17cとパネル17bとが上下方向へ重なり合う。中間に位置するパネル17bの上面24が最上に位置するパネル17aの下面25に当接(密着)し、パネル17bとパネル17aとが上下方向へ重なり合い、パネル17aの上面24が天井梁15Aの底面の上方第2設置位置31に位置する。それらパネル17a〜17cの側面27は、柱14Aに当接(密着)する。
第2型枠パネル17a〜17cを配置した後、パネル17a〜17cに取り付けられた取っ手33に連結布紐35(連結部材)を結び付けるとともに、その布紐35を第2トラス構造物19aの第2垂直材39に結び付ける。取っ手33と第2トラス構造物19aとを布紐35で連結することで、パネル17a〜17cがトラス構造物19aに連結されてそれらパネル17a〜17cがトラス構造物19aに支持され、パネル17a〜17cの第1型枠パネル16a〜16c(第1トラス構造物18a)の側への倒れ込みが防止される。なお、第2型枠パネル17a〜17cを配置すると、第2トラス構造物19aがパネル17a〜17cの一方の側部に位置する。
第1および第2型枠パネル16a〜16c,17a〜17cを設置した後、トラス構造物第2設置工程(縦架設材第2設置工程)を行う。トラス構造物第2設置工程では、パネル設置工程において上下方向に重ねた1組のパネル16a〜16cの直後にあらたに2個の第1トラス構造物18b,18cを取り付ける。トラス構造物第2設置工程では、図12に示すように、1個の第1トラス構造物18bがパネル16a〜16cの横方向中央部に位置するようにトラス構造物18bを上方第1取付位置29と下方第1取付位置30との間に設置するとともに、1個の第1トラス構造物18cがパネル16a〜16cの他方の側部に位置するようにトラス構造物18cを上方第1取付位置29と下方第1取付位置30との間に設置する。第1トラス構造物18b,18cの上下方向の高さ寸法を調節しつつ、第1アングル44に第1垂直材38の下端部を固定するとともに、第1アングル44に寸法調節材41の固定端部42を固定すると、天井梁15Aの底面と床梁15Bの頂面との間において上下方向へ延びる3個の第1トラス構造物18a〜18cが横方向へ所定寸法離間して設置される。
トラス構造物第2設置工程における第1トラス構造物18b,18cの設置手順は、トラス構造物第1設置工程における第1トラス構造物18aのそれと同一であるから、トラス構造物第1設置工程の説明を援用し、その説明は省略する。トラス構造物第2設置工程において第1トラス構造物18b,18cを設置すると、パネル16a,16cの残余の部位における当接面23とパネル16bの当接面23とが第1トラス構造物18b,18cの第1垂直材38に当接する。2個の第1トラス構造物18b,18cを設置した後、パネル16a〜16cに取り付けられた取っ手33に連結布紐35を結び付けるとともに、その布紐35を第1トラス構造物18b,18cの第2垂直材39に結び付ける。
なお、2個の第1トラス構造物18b,18cを設置すると、一方のトラス構造物18bがパネル16a〜16cの中央部に位置し、他方のトラス構造物18cがパネル16a〜16cの他方の側部に位置する。型枠10では、横方向へ並ぶ3個の第1トラス構造物18a〜18cにより、スペース13にコンクリート12を打設したときの第1型枠パネル16a〜16cの前後方向後方への変形や積み重ねたそれらパネル16a〜16cの崩落が防止される。
トラス構造物第2設置工程では、パネル設置工程において上下方向に重ねた1組のパネル17a〜17cの直前にあらたに2個の第2トラス構造物19b,19cを取り付ける。トラス構造物第2設置工程では、図13に示すように、1個の第2トラス構造物19bがパネル17a〜17cの横方向中央部に位置するようにトラス構造物19bを上方第2取付位置31と下方第2取付位置32との間に設置するとともに、1個の第2トラス構造物19cがパネル17a〜17cの他方の側部に位置するようにトラス構造物19cを上方第2取付位置31と下方第2取付位置32との間に設置する。第2トラス構造物19b,19cの上下方向の高さ寸法を調節しつつ、第2アングル46に第1垂直材38の下端部を固定するとともに、第2アングル46に寸法調節材41の固定端部42を固定すると、天井梁15Aの底面と床梁15Bの頂面との間において上下方向へ延びる3個の第2トラス構造物19a〜19cが横方向へ所定寸法離間して設置される。
トラス構造物第2設置工程における第2トラス構造物19b,19cの設置手順は、トラス構造物第1設置工程における第2トラス構造物19aのそれと同一であるから、トラス構造物第1設置工程の説明を援用し、その説明は省略する。トラス構造物第2設置工程において第2トラス構造物19b,19cを設置すると、パネル17a,17cの残余の部位における当接面23とパネル17bの当接面23とが第2トラス構造物19b,19cの第1垂直材38に当接する。2個の第2トラス構造物19b,19cを設置した後、パネル17a〜17cに取り付けられた取っ手33に連結布紐35を結び付けるとともに、その布紐35を第2トラス構造物19b,19cの第2垂直材39に結び付ける。
なお、2個の第2トラス構造物19b,19cを設置すると、一方のトラス構造物19bがパネル17a〜17cの中央部に位置し、他方のトラス構造物19cがパネル17a〜17cの他方の側部に位置する。型枠10では、横方向へ並ぶ3個の第2トラス構造物19a〜19cにより、スペース13にコンクリート12を打設したときの第2型枠パネル17a〜17cの前後方向前方への変形や積み重ねたそれらパネル17a〜17cの崩落が防止される。
トラス構造物第2設置工程において第1および第2トラス構造物を設置した後、図12,13に示すように、再びトラス構造物第1設置工程を行う。トラス構造物第1設置工程では、図12に示すように、1個の第1トラス構造物18dをパネル設置工程において設置したパネル16a〜16cの横方向側方であって上方第1取付位置29と下方第1取付位置30との間に設置するとともに、図13に示すように、1個の第2トラス構造物19dをパネル設置工程において設置したパネル16a〜16cの横方向側方であって上方第2取付位置31と下方第2取付位置32との間に設置する。トラス構造物第1設置工程における第1トラス構造物18dや第2トラス構造物19dの設置手順は、図8,9において説明したそれと同一であるから、その説明は省略する。
トラス構造物第1設置工程において第1および第2トラス構造物を各取付位置に取り付けた後、図14,15に示すように、再びパネル設置工程を行う。パネル設置工程では、図14に示すように、第1トラス構造物18dに対して3枚の第1型枠パネル16d〜16fをパネル16f→パネル16e→パネル16dの順に設置するとともに、図15に示すように、第2トラス構造物19dに対して3枚の第2型枠パネル17d〜17fをパネル17f→パネル17e→パネル17dの順に設置する。パネル設置工程における第1型枠パネル16d〜16fや第2型枠パネル17d〜17fの設置手順は、図10,11において説明したそれと同一であるから、その説明は省略する。
第1トラス構造物18dの直前にそれらパネル16d〜16fを配置すると、パネル16d,16fの残余の部位における当接面23とパネル16eの当接面23とが第1トラス構造物18dの第1垂直材38に当接する。また、最下に位置するパネル16fの下面25が床梁15Bの頂面の下方第1設置位置30に位置し、パネル16fの上面24が中間に位置するパネル16eの下面25に当接(密着)し、パネル16fとパネル16eとが上下方向へ重なり合う。中間に位置するパネル16eの上面24が最上に位置するパネル16dの下面25に当接(密着)し、パネル16eとパネル16fとが上下方向へ重なり合い、パネル16dの上面24が天井梁15Aの底面の上方第1設置位置29に位置する。それらパネル16d〜16fの側面26,27は、パネル16a〜16cの側面27と柱14Bとに当接(密着)する。パネル設置工程を再度行って第1型枠パネル16d〜16fを配置した後、パネル16d〜16fに取り付けられた取っ手33に連結布紐35を結び付けるとともに、その布紐35を第1トラス構造物18dの第2垂直材39に結び付ける。
第2トラス構造物19dの直後にそれらパネル17d〜17fを配置すると、パネル17d,17fの残余の部位における当接面23とパネル17eの当接面23とが第2トラス構造物19dの第1垂直材38に当接する。また、最下に位置するパネル17fの下面25が床梁15Bの頂面の下方第2設置位置32に位置し、パネル17fの上面24が中間に位置するパネル17eの下面25に当接(密着)し、パネル17fとパネル17eとが上下方向へ重なり合う。中間に位置するパネル17eの上面24が最上に位置するパネル17dの下面25に当接(密着)し、パネル17eとパネル17dとが上下方向へ重なり合い、パネル17dの上面24が天井梁15Aの底面の上方第2設置位置31に位置する。それらパネル17d〜17fの側面26,27は、パネル17a〜17cの側面27と柱14Bとに当接(密着)する。パネル設置工程を再度行って第2型枠パネル17d〜17fを配置した後、パネル17d〜17fに取り付けられた取っ手33に連結布紐35を結び付けるとともに、その布紐35を第2トラス構造物19dの第2垂直材38に結び付ける。
第1および第2型枠パネル16d〜16f,17d〜17fを設置した後、図16,17に示すように、再びトラス構造物第2設置工程を行う。トラス構造物第2設置工程では、図16に示すように、1個の第1トラス構造物18eが第1型枠パネル16d〜16fの横方向中央部に位置するようにトラス構造物18eを上方第1取付位置29と下方第1取付位置30との間に設置するとともに、1個の第1トラス構造物18fがパネル16d〜16fの他方の側部に位置するようにトラス構造物18fを上方第1取付位置29と下方第1取付位置30との間に設置する。
トラス構造物第2設置工程を再度行って第1トラス構造物18e,18fを設置すると、パネル16d,16fの残余の部位における当接面23とパネル16eの当接面23とが第1トラス構造物18e,18fの第1垂直材38に当接する。第1トラス構造物18e,18fを設置した後、パネル16d〜16fに取り付けられた取っ手33に連結布紐35を結び付けるとともに、その布紐35を第1トラス構造物18e,18fの第2垂直材39に結び付ける。なお、一方のトラス構造物18eがパネル16d〜16fの中央部に位置し、他方のトラス構造物18fがパネル16d〜16fの他方の側部に位置する。型枠10では、横方向へ並ぶ3個の第1トラス構造物18d〜18fにより、スペース13にコンクリート12を打設したときの第1型枠パネル16d〜16fの前後方向前方への変形や積み重ねたそれらパネル16d〜16fの崩落が防止される。
トラス構造物第2設置工程では、図17に示すように、1個の第2トラス構造物19eが第2型枠パネル17d〜17fの横方向中央部に位置するようにトラス構造物19eを上方第2取付位置31と下方第2取付位置32との間に設置するとともに、1個の第2トラス構造物19fがパネル17d〜17fの他方の側部に位置するようにトラス構造物19fを上方第2取付位置31と下方第2取付位置32との間に設置する。
トラス構造物第2設置工程を再度行って第2トラス構造物19e,19fを設置すると、パネル17d,17fの残余の部位における当接面23とパネル17eの当接面23とが第2トラス構造物19e,19fの第1垂直材38に当接する。第2トラス構造物19e,19fを設置した後、パネル17d〜17fに取り付けられた取っ手33に連結布紐35を結び付けるとともに、その布紐35を第2トラス構造物19e,19fの第2垂直材39に結び付ける。なお、一方のトラス構造物19eがパネル17d〜17fの中央部に位置し、他方のトラス構造物19fがパネル17d〜17fの他方の側部に位置する。型枠10では、横方向へ並ぶ3個の第2トラス構造物19d〜19fにより、スペース13にコンクリート12を打設したときの第2型枠パネル17d〜17fの前後方向前方への変形や積み重ねたそれらパネル17d〜17fの崩落が防止される。
図19は、図17から続く耐震補強壁11の施工手順を示す側面図であり、図20は、スペース13へのコンクリート12の打設を説明する側面図である。図19は、図1,2の側面図であり、横架設材設置工程が完了し、型枠10の組み立てが終了した状態を示す。図19,20では、スペース13に配筋された鉄筋の図示を省略している。トラス構造物第2設置工程によって上下方向へ並ぶ2組の第1型枠パネル16a〜16fの直後に第1トラス構造物18a〜18fを設置し、上下方向へ並ぶ2組の第2型枠パネル17a〜17fの直前に第2トラス構造物18a〜18fを設置した後、横架設材設置工程を行う。
横架設材設置工程では、図1および図19に示すように、横方向へ延びる3本の第1横架設材20a〜20cを上下方向へ所定寸法離間させた状態でそれら第1トラス構造物17a〜17fの直後に設置固定する。横架設材設置工程では、固定金具45を利用して第1横架設材20a〜20cを各第1トラス構造物17a〜17fの第2垂直材39に強固に固定する。第1横架設材20a〜20cを第1トラス構造物17a〜17fに固定すると、横架設材20aがパネル16a,16dの前後方向後方であってパネル16a,16dの上下方向中央部に位置し、横架設材20bがパネル16b,16eの前後方向後方であってパネル16b,16eの上下方向中央部に位置するとともに、横架設材20cがパネル16c,16fの前後方向後方であってパネル16c,16fの上下方向中央部に位置する。型枠10では、それら第1横架設材20a〜20cによって各第1トラス構造物17a〜17fの前後方向前方への変形や横方向への撓みが防止される。
横架設材設置工程では、図2および図19に示すように、横方向へ延びる3本の第2横架設材21a〜21cを上下方向へ所定寸法離間させた状態でそれら第2トラス構造物18a〜18fの直前に設置固定する。横架設材設置工程では、固定金具45を利用して第2横架設材21a〜21cを各第2トラス構造物18a〜18fの第2垂直材39に強固に固定する。第2横架設材21a〜21cを第2トラス構造物18a〜18fに固定すると、横架設材21aがパネル17a,17dの前後方向前方であってパネル17a,17dの上下方向中央部に位置し、横架設材21bがパネル17b,17eの前後方向前方であってパネル17b,17eの上下方向中央部に位置するとともに、横架設材21cがパネル17c,17fの前後方向前方であってパネル17c,17fの上下方向中央部に位置する。型枠10では、それら第2横架設材21a〜21cによって各第2トラス構造物17a〜17fの前後方向前方への変形や横方向への撓みが防止される。
位置決め工程、アングル設置工程、トラス構造物第1設置工程、パネル設置工程、トラス構造物第2設置工程、横架設材設置工程が完了すると、型枠10の組立が終了する。第1型枠パネル16a〜16fと第2型枠パネル17a〜17fとの間には、コンクリート12を打設する所定容積のスペース13が形成されている。なお、図示はしていないが、スペース13にコンクリート12を打設するときのスペース13に存在する空気を外部に逃がす空気孔がいずれかのパネル16a〜16f,17a〜17fに形成されている。
型枠10を組み立てた後、コンクリート打設工程を行う。コンクリート打設工程では、図20に示すように、第2型枠パネル17aに形成された打設口36からスペース13にコンクリート12を打設する。スペース13へのコンクリート12の打設は、図示はしていないが、コンクリートミキサーから延びるホースをパネル17aの打設口36に接続し、打設口36からスペース13にコンクリート12を圧入する。スペース13の空気は、いずれかのパネル16a〜16f,17a〜17fに形成された空気孔から外部に排気される。コンクリート打設工程では、確認窓37からスペース13を視認しつつ、確認窓37を利用してスペース13へのコンクリート12の打設状態を判断しながら、コンクリート12の打設作業が行われる。
コンクリート打設工程において、パネル17aに作られた打設口36を利用することで、コンクリート12をスペース13に容易に打設することができ、建物の内部の耐震補強壁11の構築箇所にコンクリート12を容易に打設することができる。また、スペース13へのコンクリート12の打設状態を確認窓36から確認することができるから、スペース13全域にコンクリート12を確実に打設することができる。
コンクリート打設工程によってコンクリート12をスペース13に打設すると、スペース13に流入したコンクリート12の側圧が第1型枠パネル16a〜16fに作用する。コンクリート12の側圧がパネル16a〜16fに作用すると、各パネル16a〜16fが前後方向後方へ膨隆しようとするが、それらトラス構造物17a〜17fによってパネル16a〜16fの膨隆が押さえられ、コンクリート12の側圧によるパネル16a〜16fの変形や積み重ねたパネル16a〜16fの崩落が防止される。また、コンクリート12の側圧によってそれらトラス構造物17a〜17fが前後方向後方へ膨隆しようとするが、それら横架設材20a〜20cによって各トラス構造物17a〜17fの膨隆が押さえられ、コンクリート12の側圧によるトラス構造物17a〜17fの変形や撓みが防止される。
また、コンクリート打設工程によってコンクリート12をスペース13に打設すると、スペース13に流入したコンクリート12の側圧が第2型枠パネル17a〜17fに作用する。コンクリート12の側圧がパネル17a〜17fに作用すると、各パネル17a〜17fが前後方向前方へ膨隆しようとするが、それらトラス構造物18a〜18fによってパネル17a〜17fの膨隆が押さえられ、コンクリート12の側圧によるパネル17a〜17fの変形や積み重ねたパネル17a〜17fの崩落が防止される。また、コンクリート12の側圧によってそれらトラス構造物18a〜18fが前後方向前方へ膨隆しようとするが、それら横架設材21a〜21cによって各トラス構造物18a〜18fの膨隆が押さえられ、コンクリート12の側圧によるトラス構造物18a〜18fの変形や撓みが防止される。
型枠10では、第1および第2型枠パネル16a〜16f,17a〜17fの6面22〜27にポリウレア樹脂28が塗布され、硬化したポリウレア樹脂28によってパネル16a〜16f,17a〜17f自体の曲げ強度が大幅に増加しているから、コンクリート12の側圧が各パネル16a〜16f,17a〜17fに作用したとしても、パネル16a〜16f,17a〜17fが曲がることはなく、パネル16a〜16f,17a〜17fの直状状態を維持することができる。また、パネル16a〜16f,17a〜17fの強度がポリウレア樹脂28の被膜層によって増加し、使用中におけるパネル16a〜16f,17a〜17fの座屈や破損、曲がり等の変形が防止されるから、パネル16a〜16f,17a〜17fの間のスペース13にコンクリート12を十分に滞留させることができる。
スペース13にコンクリート12を打設した後、コンクリート12を所定期間養生する。コンクリート12の養生期間が経過した後、型枠取り外し工程を行う。型枠取り外し工程では、トラス構造物18a〜18f,19a〜19fの第2垂直材39から固定金具45を外し、各トラス構造物18a〜18f,19a〜19fから横架設材20a〜20c,21a〜21cを取り外す。横架設材20a〜20c,21a〜21cを取り外した後、連結布紐35をトラス構造物18a〜18f,19a〜19fの第2垂直材39からほどき、第1および第2アングル44,46のボルト螺着孔および寸法調節材41の固定端部42のボルト螺着孔からアジャスターボルトを取り外し、寸法調節材41の固定端部42とアングル44,46との固定を解除するとともに、アングル44,46のボルト螺着孔および第1垂直材38の下端部のボルト螺着孔からアジャスターボルトを取り外し、第1垂直材38の下端部とアングル44,46との固定を解除し、天井梁15Aの底面や床梁15Bの頂面からそれらトラス構造物18a〜18f,19a〜19fを取り外す。
トラス構造物18a〜18f,19a〜19fを取り外した後、床梁15Bの頂面の下方第1取付位置30や下方第2取付位置32に穿孔されたアンカーホールの樹脂アンカーや機械式アンカーからアンカーボルトを抜き取り、床梁15Bとアングル44,46との固定を解除するとともに、天井梁15Aの底面の上方第1取付位置29や上方第2取付位置30に穿孔されたアンカーホールの樹脂アンカーや機械式アンカーからアンカーボルトを抜き取り、天井梁15Aとアングル44,46との固定を解除する。
アングル44,46を取り外した後、第1および第2型枠パネル16a〜16f,17a〜17fの取っ手33を手で把持しつつ、パネル16a〜16f,17a〜17fを前後方向後方や前後方向前方へ引っ張り、パネル16a〜16f,17a〜17fを取り外す。それらパネル16a〜16f,17a〜17fの6面23〜27にはポリウレア樹脂28が塗布され、6面23〜27の摩擦抵抗が大幅に低下しているから、養生後の硬化したコンクリート12がパネル16a〜16f,17a〜17fに付着することなく、コンクリート12からパネル16a〜16f,17a〜17fを容易に取り外すことができる。型枠10を形成する全ての部材を取り外し、組み立てた型枠10を取り外す(分解する)ことで、新設の鉄筋コンクリート製の耐震補強壁11が作られる。
型枠10は、複数個のトラス構造物18a〜18f,19a〜19f(縦架設材)と複数本の横架設材20a〜20c,21a〜21cとを利用することで、それらパネル16a〜16f,17a〜17fとの間のスペース13に打設されたコンクリート12の側圧に十分に耐えることができ、互いに対向するパネル16a〜16fとパネル17a〜17fとの並行状態を維持することができるから、スペース13にコンクリート12を確実に打設することができ、既設の建物の内部に構造計算された設計どおりの新たな鉄筋コンクリート製の耐震補強壁11(コンクリート構造物)を作ることができる。
型枠10は、それを組み立てる際に複数本のセパレータを設置する必要はなく、セパレータを設置する手間や時間を省くことができるのみならず、型枠大工の経験や勘に頼る必要はなく、短時間に効率よく組み立てることができるとともに、手間を要さずに廉価に組み立てることができる。また、型枠10は、スペース13にセパレータを設置する必要がないことから、セパレータがスペース13に配筋する鉄筋の邪魔になることはなく、スペース13に自由に鉄筋(埋込アンカー、縦筋、横筋、柱筋、フープ筋、あばら筋、斜め補強筋等)を配筋することができ、強固な鉄筋コンクリート製の耐震補強壁11を作ることができる。型枠10は、パネル16a〜16f,17a〜17fの6面23〜27の強度や平滑度がポリウレア樹脂28の被膜層によって維持されるから、使用済みのパネル16a〜16f,17a〜17fを繰り返して使用することができ、ベニヤ板を使い捨てにする型枠と比較し、型枠10にかかるコストを大幅に低減させることができる。