JP2014151589A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】メニスカス保持性能の低下による逆送時におけるノズル内への異物等の引き込みを防止することができない。
【解決手段】ヘッドタンク35を大気開放してメインタンク10からインク供給を行って、記録ヘッド34のノズル内の液体にかかる圧力を大気圧より大きくした後、変位部材205を検知している第2センサ301が変位部材205を検知しなくなった否かで変位部材205が変位したか否かを検知し、ヘッドタンク35からメインタンク109にインクを逆送するとき、変位部材205が変位したことが検知されているときには、逆送の前にワイパ部材83による記録ヘッド34のノズル面の払拭動作を行う。
【選択図】図14

Description

本発明は画像形成装置に関し、特に液滴を吐出する記録ヘッド及び記録ヘッドに液体を供給するヘッドタンクを備える画像形成装置に関する。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。
このような画像形成装置において、ヘッドタンク(サブタンクともいう。)に液体残量に応じて変位する変位部材を有し、変位部材(以下、「フィラ」ともいう。)を検知することによって、ヘッドタンク内の負圧を制御することが行われている。
そして、従来、ヘッドタンクとメインタンクとの間に設けた送液ポンプによる正転送液または逆転送液(逆送)を行ってヘッドタンク内の圧力が狙いの負圧力値になるように送液する際、当該狙いの負圧力値にするための送液前に、ノズル内に形成される液体のメニスカスが維持される範囲内の負圧で送液を行って、変位部材による圧力検知機能が正常に機能しているか否かを判断し、圧力検知機能が正常に機能していないと判断した場合は狙いの負圧力値にするための送液を実行しないよう制御するものが知られている(特許文献1)。
特開2011−189615号公報
上述した特許文献1に開示の構成にあっては、ヘッドタンク内の負圧状態、フィラの状態の確認を行うことはできる。
しかしながら、特許文献1に開示の構成でも、ノズルのメニスカス膜の状態検知や、経時によるメニスカス保持力の低下状態を確認することができない。
そのため、メニスカスが破壊されてノズル面に液体が付着した状態で、逆転送液(逆送)を行うと、ノズル面に付着している液体をノズル内に引き込み、ノズル内への粉塵混入や、隣り合う別種の液体が混入して混色するという課題まで解決することができない。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、メニスカス保持性能の低下による逆送時におけるノズル内への異物等の引き込みを防止することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出するノズルが有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を収容する、液体残量に応じて変位する変位部材を有するヘッドタンクと、
前記記録ヘッド及び前記ヘッドタンクを搭載して往復移動されるキャリッジと、
前記ヘッドタンクに供給する液体を収容するメインタンクと、
前記メインタンクから前記ヘッドタンクに前記液体を送液する送液手段と、
前記ヘッドタンクから前記メインタンクに前記液体を逆送する逆送手段と、
前記記録ヘッドのノズル面を払拭するワイパ部材を有するメンテナンス手段と、
前記ヘッドタンクの前記変位部材を検知する検知手段と、
前記記録ヘッドのノズル内の液体にかかる圧力が大気圧より大きくなった後、前記検知手段によって前記変位部材が変位したか否かを検知する検知動作を行う検知制御手段と、
前記逆送手段で前記ヘッドタンクから前記メインタンクに前記液体を逆送するとき、前記検知制御手段によって前記変位部材が変位したことが検知されているときには、前記逆送の前に前記ワイパ部材による払拭動作を行う逆送制御手段と、を備えている
構成とした。
本発明に係る画像形成装置によれば、メニスカス保持性能の低下による逆送時におけるノズル内への異物等の引き込みを防止することができる。
本発明に係る画像形成装置の一例の機構部を説明する側面説明図である。 同機構部の要部平面説明図である。 ヘッドタンクの一例を示す模式的平面説明図である。 同じく図3の模式的正断面説明図である。 インク供給排出系の説明に供する模式的説明図である。 制御部の概要を説明するブロック説明図である。 ヘッドタンクの変位部材の変位の説明に供する模式的説明図である、 ヘッドタンク変位部材の位置検知の説明に供する模式的平面説明図である。 ヘッドタンク内負圧と液体量の関係を説明する説明図である。 ヘッドタンクのインク供給上限設定位置の説明に供する説明図である。 大気開放時にヘッドタンク内のインク量を充填満タン位置に設定する方法の説明に供する説明図である。 本発明の第1実施形態における検知動作(メニスカス保持性能確認動作)の説明に供する説明図である。 メニスカス保持性能低下が確認されたときの逆送制御の説明に供するインク供給排出系の説明図である。 制御部による検知動作(メニスカス保持性能確認動作)処理の説明に供するフロー図である。 制御部による逆送制御である送液ポンプ吸引処理の説明に供するフロー図である。 本発明の第2実施形態の説明に供する要部平面説明図である。 メニスカス保持性能確認動作(検知動作)におけるヘッドタンクの加圧方法の説明に供する説明図である。 本発明の第3実施形態の説明に供するヘッドタンクの模式的説明図である。 本発明の第4実施形態の説明に供する説明図である。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の全体構成を説明する側面説明図、図2は同装置の要部平面説明図である。
この画像形成装置はシリアル型インクジェット記録装置である。装置本体1の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に移動可能に保持している。キャリッジ33は、主走査モータによってタイミングベルトを介してキャリッジ主走査方向に往復移動する。
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。)を搭載している。各記録ヘッド34は、液滴を吐出する複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有している。記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、それぞれ吐出する。記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク35a、35b(区別しないときは「ヘッドタンク35」という。)を搭載している。このヘッドタンク35には、カートリッジ装填部4に着脱自在に装着される各色のメインタンクであるインクカートリッジ10y、10m、10c、10k(以下、区別しないときは「メインタンク10」という。)と供給チューブ36を介して接続されている。メインタンク10からヘッドタンク35への液体(インク)の送液、ヘッドタンク35からメインタンク10への液体(インク)の送液(これを「逆送」という。)は、送液ポンプユニット24によって行う。
また、キャリッジ33の主走査方向に沿ってエンコーダスケール91が配設され、キャリッジ33にはエンコーダスケール91を読み取るエンコーダセンサ92が設けられている。これらのエンコーダスケール91とエンコーダセンサ92によってキャリッジ位置検出手段であるリニアエンコーダ90を構成し、このリニアエンコーダ90の検出信号によってキャリッジ33の主走査位置(キャリッジ位置)や移動量を検出する。
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向する分離パッド44を備えている。
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えている。
さらに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。この搬送ベルト51は、後述する副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて、再度、カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
さらに、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するためのメンテナンス手段である維持回復機構81を配置している。
この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするためのキャップ82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのワイパ部材(ワイパブレード)83を備えている。また、維持回復機構81は、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84と、キャリッジ33をロックするキャリッジロック87を備えている。また、このヘッドの維持回復機構81の下方側には維持回復動作によって生じる廃液を収容するための廃液タンク100が装置本体に対して交換可能に装着される。
また、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置している。この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド部材45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送される。更に、用紙42は先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
そして、帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
そして、記録ヘッド34のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ33をホーム位置である維持回復機構81に対向する位置に移動する。その後、キャップ部材82によるキャッピングを行ってノズルからの吸引を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
次に、ヘッドタンク35の一例について図3及び図4を参照して説明する。なお、図3は同ヘッドタンク35の1つのノズル列分の模式的上面説明図、図4は同じく模式的正面説明図である。
ヘッドタンク35は、インクを保持するための一側部が開口したインク収容部を形成するタンクケース201を有している。このタンクケース201の開口部は撓むことが可能な部材であるフィルム部材203で密閉してインク収容部202を形成している。そして、タンクケース201内に配置した弾性部材としてバネ204の復元力によってフィルム部材203を常時外方へ付勢している。
このように、タンクケース201のフィルム部材203にバネ204の復元力が作用していることで、タンクケース201のインク収容部202内のインク残量(液体残量)が減少することによって負圧が発生する。
また、タンクケース201の外側には、一端部側を支軸206で揺れ動くことが可能なように支持された変位部材(フィラ)205が、フィルム部材203側に押し付けられて設けられている。変位部材205は、フィルム部材203の動きに連動して変位する。
この変位部材205をキャリッジ33に設ける第1検知手段(第1センサ)251や装置本体側に配置された第2検知手段(第2センサ)301などで検知することでヘッドタンク35内のインク残量や負圧などを検知することができる。
また、タンクケース201の上部には、メインタンク10からインクを供給するための供給口部209があり、インク供給チューブ36に接続されている。また、タンクケース201の側部には、ヘッドタンク35内を大気に開放する大気開放機構(大気開放弁ともいう。)207が設けられている。この大気開放機構207は、ヘッドタンク35内に連通する大気開放路207aを開閉する弁体207b及びこの弁体207bを閉弁状態に勢い付けるスプリング207cなどを備えている。そして、装置本体側の大気開放ソレノイド302によって弁体207bを押すことで開弁されて、ヘッドタンク35内が大気開放状態(大気に連通した状態)になる。
また、ヘッドタンク35内のインク液面高さを検出するための電極ピン208aと208bが取り付けられている。インクは電導性を持っており、電極ピン208aと208bの所までインクが到達すると、電極ピン208aと208b間に電流が流れて両者の抵抗値が変化するため、インク液面高さが所定高さ以下になったことを検出することができる。
次に、この画像形成装置におけるインク供給排出系について図5を参照して説明する。

まず、メインタンク10からヘッドタンク35に対するインク供給は、送液ポンプユニット24の送液手段である送液ポンプ241によって供給チューブ36を介して行なわれる。なお、送液ポンプ241は、チューブポンプなどで構成した可逆ポンプである。これにより、この送液ポンプ241は、メインタンク10からヘッドタンク35にインクを供給する動作(送液動作)と、ヘッドタンク35からメインタンク10にインクを戻す動作(逆送動作)とを行なえるようにしている。
また、維持回復機構81は、前述したように記録ヘッド34のノズル面をキャッピングする吸引キャップ82aと、吸引キャップ82aに接続された吸引ポンプ812を有している。そして、キャップ82aでキャッピングした状態で吸引ポンプ812を駆動することで吸引チューブ811を介してノズルからインクを吸引することによってヘッドタンク35内のインクを吸引することができる。なお、吸引された廃インクは廃液タンク100に排出される。
また、装置本体側にはヘッドタンク35の大気開放機構207を開閉する部材である大気開放ソレノイド302が配設され、この大気開放ソレノイド302を作動させることで大気開放機構207を開放することができる。
さらに、キャリッジ33には変位部材205を検知する第1検知手段である光学センサからなる第1センサ251が設けられ、装置本体側には変位部材205を検知する光学センサからなる第2検知手段である第2センサ301が設けられている。これらの第1センサ251と第2センサ301の検知結果を使用してヘッドタンク35に対するインク供給動作を制御することができる。
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図6を参照して説明する。図6は同制御部の全体ブロック説明図である。
この制御部500は、この装置全体の制御を司り、本発明における検知動作制御、逆送動作制御などの各種制御手段を兼ねるCPU501と、CPU501が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503とを備えている。また、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505を備えている。
また、記録ヘッド34を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ33側に設けた記録ヘッド34を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509を備えている。また、キャリッジ33を移動走査する主走査モータ554、搬送ベルト51を周回移動させる副走査モータ555、維持回復機構81の維持回復モータ556を駆動するためのモータ駆動部510とを備えている。また、帯電ローラ56にACバイアスを供給するACバイアス供給部511と、ヘッドタンク35の大気開放機構207を開閉する装置本体側に設けられた大気開放ソレノイド302、送液ポンプ241を駆動する供給系駆動部512などを備えている。
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
この制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する。また、ROMに格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド34の1行分に相当する画像データに基づいて駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド34の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば圧電素子)に対して印加する。これにより、記録ヘッド34を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
I/O部513は、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ駆動部510、ACバイアス供給部511の制御、ヘッドタンク35に対するインク供給の制御などに使用する。
センサ群515は、前述した第1センサ251、第2センサ301、検知電極ピン208a、208bのほか、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度、湿度を監視するためのサーミスタ(環境温度センサ、環境湿度センサ)を含む。また、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどを含む。I/O部513は、これらの様々のセンサ情報を処理することができる。
この制御部500は、記録ヘッド34のノズル内のインクにかかる圧力が大気圧より大きくなった後、検知手段(第1センサ251又は第2センサ301)によって変位部材205が変位したか否かを検知する検知動作(以下、「メニスカス保持性能確認動作」ともいう。)を行う検知制御手段を兼ねている。
また、制御部500は、逆送手段である送液ポンプ241によってヘッドタンク35からメインタンク10にインクを逆送する逆送動作(以下、「送液ポンプ吸引動作」ともい。)とき、検知制御手段によって変位部材205が変位したことが検知されているときには、逆送の前にワイパ部材83によるノズル面の払拭動作を行う逆送制御手段を兼ねている。
次に、ヘッドタンク35の変位部材205の位置検知について図7及び図8を参照して説明する。図7はヘッドタンクの変位部材の変位の説明に供する模式的説明図、図8は同位置検知の説明に供する模式的平面説明図である。なお、以下の図ではヘッドタンクは簡略化して図示する。
ヘッドタンク35の変位部材205は、内部の液体残量に応じて実線図示の位置と破線図示の位置の間で変位する。
そこで、図8に示すように、装置本体側の第2センサ301にてヘッドタンク35の変位部材205を検知したときのキャリッジ33の位置をエンコーダ90にて記憶しておく。そして、ヘッドタンク35の変位部材205が変位したときに、再度、第2センサ301にてヘッドタンク35の変位部材205を検知するまでキャリッジ33を移動させる。このときのキャリッジ33の位置をエンコーダ90で読取ることで、変位部材205の位置ないし変位量をキャリッジ位置の差分として検知することができる。
このとき、変位部材205の初期位置に対応するヘッドタンク35の液体残量と、変位部材205の変位量に対応する液体量を予め把握しておくことで、検出した変位部材205の変位量からヘッドタンク35内の液体残量を把握することができる。
そこで、例えば、第2センサ301を使用してヘッドタンク35の変位部材205を検知することで液体供給を制御するときには、印刷動作を停止して、第2センサ301によって変位部材205が検知される位置までキャリッジ33を移動させて液体供給動作を行う。
一方、印刷動作中にヘッドタンク35に液体供給を行うときには、第2センサ301によって変位部材205が検知される位置までキャリッジ33を移動させることなく、第1センサ251を使用して液体供給動作を行う。
次に、ヘッドタンク35内の負圧と液体量の関係について図9を参照して説明する。図9はヘッドタンク内負圧と液体量(以下「インク量」ともいう。)の関係を説明する説明図である。
前述したように、ヘッドタンク35内にインクを供給した状態で、ヘッドタンク35内のインクをノズルから吸引して排出させ、あるいは、送液ポンプ241によってメインタンク10に逆送することで、フィルム部材203がバネ204の復元力に抗して内方に引き込まれ、バネ204が圧縮されて負圧が高まる。この状態から、ヘッドタンク35内にインクを供給すると、フィルム部材203が外方向に押し出されるので、バネ204が伸びて負圧が低下する。
ここで、ヘッドタンク35内の負圧が弱すぎる(負圧が低すぎる)と、記録ヘッド34のノズルからのインク漏れが発生し、逆に、負圧が強すぎる(高すぎる)と、ノズルから空気や塵を内部に引き込んで、吐出不良の原因となる。また、良好な滴吐出のために最適化されたメニスカス形状保持するためには、ヘッドタンク35内の負圧(圧力)を一定の範囲内になるように制御する必要がある。
すなわち、図9に示すように、ヘッドタンク35内の負圧はヘッドタンク35内のインク量と相関関係にある。つまり、ヘッドタンク35内のインク量が多いとき、ヘッドタンク35内の負圧は小さく弱い状態であり、インク量が少ないとき、ヘッドタンク35内の負圧は大きく強くなる。
そこで、ヘッドタンク35内からの排出されるインク量を、ヘッドタンク35内の負圧が所定の負圧管理範囲A内に収まる排インク量Bの範囲内になるように、ヘッドタンク35に対するインク供給を制御するようにしている。
この負圧管理範囲Aの下限値(負圧が小さい値、排インク量が少ない値)に対応するヘッドタンク35の排インク量を変位部材205の変位位置で「インク供給上限位置」(インク量で「インク供給上限値」)とする。また、上限値(負圧が大きい値、排インク量が多い値)に対応するヘッドタンク35の排インク量を変位部材205の変位位置で「インク消費下限位置」(インク量で「インク消費下限値」)とする。図9には各位置におけるヘッドタンク35の状態を付記している。
次に、ヘッドタンク35のインク供給上限設定位置について図10を参照して説明する。図10は同設定位置の説明に供する説明図である。
本実施形態においては、ヘッドタンク35は大気開放機構(大気開放弁)207を有する構成としている。大気開放機構207を開けると、ヘッドタンク35内に空気が流入し、フィルム部材203が伸びきるまで変位し、それに伴って変位部材205も変位した位置が大気開放位置となり、これが変位部材205の基準位置となる。本実施形態では、インク供給上限値は、大気開放位置から、変位部材205が、液体残量が減少する方向に所定変位量r1だけ変位した位置に定めている。
なお、前述したように、大気開放位置やインク供給上限位置は、変位部材205を第2センサ301で検知した位置を、キャリッジ33の位置としてエンコーダ90で検出して記憶している。
次に、大気開放時にヘッドタンク35内のインク量を充填満タン位置に設定する方法について図11を参照して説明する。図11は同方法の説明に供する説明図である。
前述したように、ヘッドタンク35は、液面を検知可能な電極ピン208を有し、ヘッドタンク35内を大気と連通するための大気開放路207aを有し、大気開放路207aを開閉する大気開放機構207を有している。
ヘッドタンク35内を充填満タン位置に設定する一例としては、まず図11(a)に示す状態から、大気開放機構207を開いてヘッドタンク35内の負圧を開放することで、図11(b)に示すようにヘッドタンク35内の液面が低下する。
なお、このとき、供給口部209の供給口209aは液面下にあることが好ましい。すなわち、供給口209aが液面上になると、供給口209aか供給口部209を介して供給チューブ36に空気が混入し、次にインクを供給したとき、供給口209aからインクと共に気泡が排出されることがある。この状態で、そのまま供給を続けると、気泡が大気開放機構207内に付着して、弁の固着や液漏れを生じるおそれがある。
そして、ヘッドタンク35の負圧が開放され、液面が下がった後、図11(c)に示すように、インク300を供給する。インク300を供給することで液面が上昇し、電極ピン208a、208bが所定高さの液面を検知するまで、つまり所定の位置までインク300を供給する。
その後、大気開放機構207を閉じて、例えば所定量インクをノズルから排出し、或いはメインタンク10に逆送することで、所定の負圧値となり、ヘッドタンク35のインク量を所定の負圧値が得られる量にすることができる。
このように、本実施形態の構成では、ヘッドタンク35内のインク量及び圧力を、大気圧状態から所定の負圧状態にし、かつ、所定の負圧状態は、一定の範囲内で管理できるように、変位部材205と第2センサ301を用いて確認、制御している。
これにより、変位部材205の位置が想定外の位置にある場合には、ヘッドンタンク35内の圧力が正常でないと判断することができ、不用意なインク供給によるインク漏れや、インク吸引によるノズルからの空気混入などを回避することができる。
しかしながら、ノズルのインクメニスカス膜が所定の張力を保てない状態になったヘッド、例えば経年劣化したヘッドなどでは、ヘッドタンク35内の圧力が大気圧状態では保てても、その状態で大気開放機構207の開閉動作による振動や、弁閉時に発生する圧力変動、キャリッジ33の走査時に発生する供給経路内の圧力変動などで、メニスカス膜に圧力が加わり、メニスカス破壊により、インクが漏れ、ノズル面にインク滴が付着することがある。
この状態で、例えばヘッドタンク35内の圧力が大気圧の状態から、所定の負圧になるように、負圧形成のために送液ポンプ241による吸引動作(逆送動作)を行ったとき、メニスカス膜が破壊されたことにより、容易にノズル面に付着したインクをノズル内に引き込むと同時に当該インクに付着した粉塵なども引き込み、ノズルを詰まらせて、吐出不良を引き起こす原因となる。
また、メニスカス膜が破壊されて、ノズルから溢れたインクが隣り合うノズルに接触した場合、接触したノズルに張られたメニスカスをも破壊して、次々とメニスカスが破壊されたノズル孔が増加する。さらには、同一ノズル面上に配置されたノズル内に別種の液体、例えば別色インクが有るときには、別色インクのノズルにインクが接触した場合、別色インクのメニスカスも破壊されて、ノズル面上に混色したインクが発生することになる。
このような状態で、供給ポンプによる吸引動作(逆送動作)によって負圧形成を行った場合、混色インク滴をノズル内に引き込むことにより、混色インクの引き込み量によっては、繰り返しノズルからのインク消費を伴うメンテナンス動作を多回数行うことになり、無駄なインクと時間を費やすおそれがある。
また、このような状態が発生した場合、装置は停止し、作業は中断され、対象ヘッドの破棄、そして交換が行われるまでの大きなダウンタイムが発生することになる。
そこで、本発明の実施形態では、メニスカス膜の破壊があったかを検知し、更にはメニスカス膜の破壊があったことを検知したときには、直ぐに作業を中断し、対象ヘッドを破棄することはせず、上記粉塵混入や混色問題が発生しないように負圧形成を行う。これにより、作業を中断することなく、作業を継続することができるようにし、また、ヘッド交換寿命の延命を図ることができる。
次に、本発明の第1実施形態について図12を参照して説明する。図12は同実施形態における検知動作(メニスカス保持性能確認動作)の説明に供する説明図である。
上述したように、ヘッドタンク35の大気開放機構207を大気開放状態にすることによって、ヘッドタンク35内の圧力は大気圧になり、変位部材205は、例えば図12(a)に破線図示の位置(大気圧位置)になる。
ここで、ヘッドタンク35内の圧力を所定圧まで上昇させることによって、変位部材205は図12(a)の破線図示の大気圧位置よりも外方の実線図示の位置に変位する。
このとき、ノズルのメニスカス膜に圧力が加わることによってメニスカスが破壊されて、インクがノズルから漏れると、ヘッドタンク35内のインクが消費され、圧力が低下する。
これによって、変位部材205は、図12(b)の実線図示の位置からヘッドタンク35内インク量が少なくなる方向に変位する(例えば破線図示の位置に移動する)。
そこで、図12(a)に示すように、ヘッドタンク35内の圧力を所定圧に上昇させたときの変位部材205を第2センサ301で検知した状態にし、その後、第2センサ301によって変位部材205が変位したか否かを検知する検知動作を行う。
このとき、送液中、又は送液後所定時間が経過した後に、例えば図12(b)に示すように、変位部材205が第2センサ301から外れるように変位したとき、第2センサ301の検知信号から変位部材205が変位した、つまりメニスカスが破壊されたことを検知できる。
このようにして、メニスカスが破壊された、言い換えれば、メニスカス膜を保持できるメニスカス保持性能を有しているか否かを検知することができる。
次に、メニスカス破壊が検知されたときの逆送制御について図13を参照して説明する。図13は同説明に供するインク供給排出系の説明図である。
メニスカス破壊が検知されているとき、すなわち、記録ヘッド34のノズル内のインクにかかる圧力が大気圧より大きくなった後、第2センサ301によって変位部材205が変位したことが検知されているときには、制御部500は、記録ヘッド34のノズル面34nをワイパ部材83で払拭する払拭動作を行う。
その後、制御部500は、送液ポンプ241を逆転駆動してヘッドタンク35からメインタンク10にインクを逆送する逆送動作を行い、ヘッドタンク35内の圧力を低下させて、所定の負圧になるよう負圧形成を行う。
このように、逆送手段でヘッドタンクからメインタンクに液体を逆送するとき、検知制御手段によって変位部材が変位したことが検知されているときには、逆送前にワイパ部材による払拭動作を行う。これにより、ノズル面の残留液体をノズル内に引き込むことが防止されるので、メニスカス保持機能の低下による逆送時におけるノズル内への異物等の引き込みを防止できる。
この場合、ノズル面34nを払拭して清掃する前に、ノズル面34nをキャップ82aで密閉して吸引ポンプ812による吸引動作を行い、ノズルからインクを吸引排出させてもよい。また、ノズル面34nを払拭して清掃した後、所定量のインク滴を吐出させて正常なメニスカス膜を形成する空吐出動作を行ってもよい。
また、記録ヘッド34のノズル内のインクにかかる圧力が大気圧より大きくなった後、第2センサ301によって変位部材205が変位したことが検知されていないときにはそのまま逆送動作を行う。すなわち、メニスカス膜が正常に保持されているときには、制御部500は、記録ヘッド34のノズル面34nをワイパ部材83で払拭する払拭動作を行うことなく、逆送動作を行う。
次に、制御部による検知動作制御であるメニスカス保持性能確認制御処理について図14のフロー図を参照して説明する。
まず、ヘッドタンク35の大気開放機構207を開き、送液ポンプ241の正転駆動を開始し、メインタンク10からヘッドタンク35に送液する。そして、電極ピン208によって液面が検知されたとき、つまり、ヘッドタンク35が満タンになったときに送液ポンプ241の駆動を停止する。
そして、ヘッドタンク35内の圧力が大気圧になっているので大気開放機構207を閉状態にする。
この状態で、送液ポンプ241の正転駆動を開始して、所定量のインクをメインタンク10からヘッドタンク35に供給し、送液ポンプ241の駆動を停止する。この送液動作によって、大気圧にあるヘッドタンク35内の圧力が上がり、ノズルに形成されているメニスカス膜に圧力が加わった状態になる(図12(a)の状態)。このときキャリッジ位置は第2センサ301が変位部材205を検知している位置にする。
その後、所定時間が経過したときに、変位部材205が変位したか、すなわち、第2センサ301が変位部材205を検知しなくなったか否かを判別する。つまり、メニスカス保持性能が低下しているときには、大気圧よりも高い(大きい)圧力を加えることでメニスカス膜が破壊されてインク漏れが発生し、ヘッドタンク35内の圧力が大気圧に近づくように減圧し、変位部材205がヘッドタンク35内方側に向かって変位する。そこで、変位部材205を検知していた第2センサ301が変位部材205を検知しなくなったときには、メニスカス保持性能が低下していると判断である。
そこで、変位部材205が変位したことが検知されたときには、メニスカス保持性能低下状態にあることをVRAM504などの記憶手段に記憶保持する。
このようにして、メニスカス保持性能の確認(検出)が行われる。
なお、上述したメニスカス保持性能の確認動作を行うときの、大気開放機構207を開放した状態で、ヘッドタンク35内が大気圧のときから更に所定量のインク供給を行うことで、ヘッドタンク35内の圧力が上昇する。
この所定量のインクは、ヘッドタンク35に加える所定の圧力(所定圧)でもあり、所定圧とは、ヘッドタンク35内の圧力が大気圧のときに行われるメンテナンス動作における圧力変動によって加わる圧力に対応した圧力である。また、所定圧は、ヘッドタンク35の大気開放を行う大気開放機構207の開閉動作における圧力変動によって加わる圧力、キャリッジ33の移動時にヘッドタンク35内に生じる圧力変動によって加わる圧力に対応する圧力である。
次に、制御部による逆送制御である送液ポンプ吸引処理について図15のフロー図を参照して説明する。
まず、変位部材205が変位したことが検知されたこと、即ち、メニスカス保持性能低下状態にあることが記憶されているか否かを判別する。
そして、メニスカス保持性能低下状態にあることが記憶されているときには、記録ヘッド34のノズル面34nをキャップ82aでキャッピングした後、吸引ポンプ812を駆動してノズルからインクを吸引排出させる。
その後、記録ヘッド34のノズル面34nをワイパ部材83で払拭(ワイピング)する払拭動作を行う。そして、画像形成に寄与しない空吐出滴を吐出する空吐出動作を行う。
そして、送液ポンプ241の逆転駆動を開始して、ヘッドタンク35からメインタンク10への逆送動作を開始する。
なお、ここでは、逆送動作を行う毎に、メニスカス保持性能低下状態にあるか否かの判別を行っているが、逆送動作毎では無く、例えば、前述した図9で示したインク供給上限位置となる所定の負圧値よりも大きいときに限定して行うこともできる。
上述したような処理(制御)を行うことによって、ヘッドタンク内の圧力が大気圧の状態ではメニスカス破壊が起きないヘッドでも、キャリッジ駆動や大気開放弁の開閉動作、ノズル面をキャップするキャッピング動作時の振動や圧力変動によりメニスカス破壊が起きてしまい、ノズル面にインクが付着したまま送液手段による逆送動作で、異物が引き込まれてノズル詰まりが発生し、あるいは、混色が発生するおそれを防止できる。
また、本実施形態により、例えばノズルのメニスカス膜を保持するために維持している所定の負圧ではメニスカス保持が可能で印刷動作にも問題は無いが、所定の負圧よりも弱い圧力のときや、大気開放機構の開弁によって大気圧になったときにはメニスカス破壊によりインク漏れが発生してしまうヘッドであっても、突然の作業の中断や、新たなヘッドとの交換までの作業で発生するダウンタイムを回避することができる。
このように、記録ヘッドのノズル内の液体にかかる圧力が大気圧より大きくなった後、検知手段によって変位部材が変位したか否かを検知する検知動作を行う検知制御手段と、逆送手段でヘッドタンクからメインタンクに液体を逆送するとき、検知制御手段によって変位部材が変位したことが検知されているときには、逆送の前にワイパ部材による払拭動作を行う逆送制御手段とを備えていることで、メニスカス保持性能の低下による逆送時におけるノズル内への異物等の引き込みを防止することができる。
次に、本発明の第2実施形態について図16を参照して説明する。図16は同実施形態の説明に供する要部平面説明図である。
本実施形態は、前述したキャリッジ33上の第1センサ251によってメニスカス保持性能の確認のための変位部材205の検知動作を行うようにしている。
第1センサ251は、前述したようにキャリッジ33上に設けられ、変位部材205が大気圧よりも大きいときの位置(所定の正圧位置)にあることを検知する。
本実施形態では、ヘッドタンク35内の圧力を大気圧にした後、送液ポンプ241によってヘッドタンク35にインクを送液してヘッドタンク35内の圧力を高めて変位部材205を大気圧より外側(外方)に向けて変位させ、第1センサ251によって変位部材205を検知したときに送液動作を停止する。
その後、所定時間経過中(送液中)、又は送液後所定時間が経過した後に、変位部材205が大気圧位置方向へ変化したかを第1センサ251で検知する。
本実施形態では、メニスカス保持性能確認をキャリッジ33の位置に制限されることなく行うことができるようになる。
次に、メニスカス保持性能確認動作(検知動作)におけるヘッドタンクの加圧方法について図17を参照して説明する。図17は同説明に供する説明図である。
まず、ヘッドタンク35の大気開放機構207を開放してヘッドタンク35内を大気圧にし、大気開放機構207を閉じることで密閉状態とする。そして、図17(a)に示すように、このときの変位部材205の位置を例えば第2センサ301で検知したときのキャリッジ位置を記憶する。
次いで、図17(b)に示すように、メニスカス保持性能の確認に必要となる所定圧に対応する変位部材205の変位量分の距離だけキャリッジ33移動させる。これにより、第2センサ301の検知位置は、相対的に、ヘッドタンク35内の圧力が所定圧となったときのフィラ位置(変位部材の位置)となる。
その後、図17(c)に示すように、ヘッドタンク35内がメニスカス保持性能の確認を行う所定圧になる第2センサ301が変位部材205を検知するまで、送液ポンプ241によってヘッドタンク35内にインクを供給して、送液ポンプ241を停止させる。
そして、第2センサ301によって変位部材205を検知している状態で、所定時間経過中(送液中)、又は送液後所定時間が経過した後に、ノズルのメニスカス破壊によりヘッドタンク35内の圧力低下に伴って、第2センサ301が変位部材205を検知しなくなったこと、即ち変位部材205が変位したかを確認する。このとき、図17(d)に示すように、メニスカス破壊によりヘッドタンク35内の圧力が低下したたきには、第2センサ301が変位部材205を検知しなくなる。
また、別の加圧方法としては、次のようにすることもできる。
つまり、変位部材205が、ヘッドタンク35に所定圧が加わった位置にある状態から更にキャリッジ33を所定距離移動して、第2センサ301による検知位置が所定圧を加えた位置よりも圧力が低下したときに検知する位置とする。
そして、所定時間経過中(送液中)、又は送液後所定時間が経過した後に、第2センサ301によって変位部材205を検知したときに、メニスカス膜が破壊して圧力が低下したと判断し、第2センサ301によって変位部材205を検知しないときには、メニスカスが保持されていると判断する動作とすることもできる。
上述した、メニスカス保持性能の確認動作を行うタイミングについては、例えば印刷動作中のキャリッジ走査中に被記録媒体などがヘッドに接触することで紙ジャムが発生したことを検知した後に行うなど、確認動作のタイミングを制限することもできる。
つまり、キャリッジ33が障害により急停止することで、ノズルのメニスカス膜に通常とは異なる圧力が加えられてメニスカス破壊が起こる可能性がある。また、紙ジャムではノズル面への被記録媒体の接触など、メニスカス破壊が起こる可能性があり、更にはノズル面に傷が付き、メニスカス保持性能を著しく低下させる可能性がある。
また、紙ジャムなどノズル面に傷が付きメニスカス保持性能を著しく低下したヘッドについては、大気圧よりも大きい所定圧までヘッドタンク内の圧力を大きくしなくても、メニスカス破壊により変位部材205が変位する可能性がある。
その場合、紙ジャムなどを検知したときには、紙ジャム処理後に、その状態で、第1センサ251や第2センサ301によって変位部材205を検知し、送液後所定時間が経過した後に変位部材205が変位したかを検知することで、メニスカス保持性能の確認を行うようにしてもよい。
つまり、ジャムが発生してキャリッジが停止したとき、ヘッドタンク35内に圧力を与えないで検知動作を行い、又は、ヘッドタンク35内に所定の負圧力を与えて検知動作を行い、若しくはヘッドタンク35内に所定の正圧力を与えて検知動作を行うようにすることができる。
次に、本発明の第3実施形態について図18を参照して説明する。図18は同説明に供するヘッドタンクの模式的説明図である。
本実施形態では、図18(a)に示すように、ヘッドタンク35の電極ピン208によってインク液面を検知するようにインク量を調整する。そして、所定時間経過中又は所定経過後に、電極ピン208がインク液面を検知しなくなったか否かを判別することで、メニスカス保持性能が低下したか否かを確認する。なお、判別手段は、前述した制御部によって構成することができる。
つまり、ジャムなどによってノズル面に傷が付いた場合、メニスカス保持性能が著しく低下する可能性がある。その場合、図18(b)に示すように、所定時間経過中又は所定経過後に、メニスカス破壊によりインク垂れ302が発生し、ヘッドタンク35内の液面高さが低下し、電極ピン208が液面を検知しなくなる。
これによって、メニスカス保持性能を確認することができる。
メニスカス保持性能の確認動作を行うタイミングとしては、例えば、次のようなタイミングとすることができる。
ノズル面を払拭清掃することでノズル面の撥水膜の磨耗や、傷の発生度合いを考慮して、累積ワイピング回数が所定回数を越えたときとする。また、ヘッドの寿命を考慮して、累積吐出量が所定量を越えたとき、あるいは、累積吐出回数が所定回数を越えたときとする。また、画像形成装置の寿命を考慮して、画像形成装置の初期稼動からの累積稼動時間(累積経過時間)が所定時間を越えたときとする。また、これらを複合的に考慮した所定累積値になったときとする。
このようなタイミングでメニスカス保持性能の確認を行うことで、上記のヘッド寿命を定めるパラメータ値に達したときに、無条件にヘッド交換を強いられることなく、適切なヘッド寿命時期を確認することができる。
このように、ジャムが発生してキャリッジが停止したとき、ヘッドタンク内の液体量が液面検知手段で液面を検知する量になるまで送液手段でメインタンクからヘッドタンクに送液し、送液中又は送液後所定時間が経過した後、液面検知手段によって液面が検知されているか否かを判別する判別動作を行う判別制御手段と、逆送手段でヘッドタンクからメインタンクに液体を逆送するとき、判別制御手段で液面検知手段によって液面が検知されていないと判別されているときには、逆送の前にワイパ部材による払拭動作を行う逆送制御手段とを備えていることで、メニスカス保持性能の低下による逆送時におけるノズル内への異物等の引き込みを防止することができる。
次に、本発明の第4実施形態について図19を参照して説明する。図19は同説明に供する説明図である。
本実施形態は、ヘッドタンク35を負圧側にしてメニスカス保持性能を確認する例である。
図19(a)に示すように、第2センサ301の検知位置を所定のメニスカス保持性能確認用の負圧位置になるようにキャリッジ33を移動する。
このときのヘッドタンク35内の圧力は大気圧でもよいが、前述したヘッドタンク内負圧管理の範囲である方が好ましい。これは、大気圧になっている時点で既にインク漏れを起こして、その後の第2センサ301による検知位置まで吸引するときに、ノズル面の垂れインクを吸い上げてしまうおそれがあるためである。
その後、図19(b)に示すように、第2センサ301によって変位部材205が検知されるまで、送液ポンプ241によってヘッドタンク35内からインクを吸引し、ヘッドタンク35内の圧力を所定のメニスカス保持性能確認用の負圧にする。
これにより、ノズルのメニスカス膜に負圧が印加される。この状態で、メニスカス膜が破壊されと、ノズルから空気を引き込み、ヘッドタンク35内の負圧が弱まることで、図13(c)に示すように、変位部材205は破線図示の位置から外方に実線で示すように変位する。
そこで、ヘッドタンク35を所定の負圧にした後、所定時間経過中又は所定経過後に、第2センサ301が変位部材205を検知しなくなったか否か、即ち、変位部材205が変位したか否かを検出する。
ここで、第2センサ301が変位部材205を検知しなくなったときには、メニスカス保持性能が低下していることを記憶する。
その後、前記第1実施形態で説明したように、メニスカス保持性能が低下したことを記憶したヘッドでは、送液ポンプによる吸引動作(逆送動作)前に、ワイパ部材83による払拭動作を行う。
このように、記録ヘッドのノズル内の液体にかかる圧力を所定の負圧よりも強い負圧にした後、検知手段によって変位部材が変位したか否かを検知する検知動作を行う検知制御手段と、逆送手段でヘッドタンクからメインタンクに液体を逆送するとき、検知制御手段によって変位部材が変位したことが検知されているときには、逆送の前にワイパ部材による払拭動作を行う逆送制御手段とを備えていることで、メニスカス保持性能の低下による逆送時におけるノズル内への異物等の引き込みを防止することができる。
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味である。被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味する。また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らない。記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。
10 インクカートリッジ(メインタンク)
33 キャリッジ
34、34a、34b 記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
35 ヘッドタンク
81 維持回復機構
201 タンクケース(液体収容部)
203 フィルム部材
205 変位部材(フィラ)
241 送液ポンプ
251 第1センサ(第1検知手段)
301…第2センサ(第2検知手段)
500…制御部

Claims (10)

  1. 液滴を吐出するノズルが有する記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドに供給する液体を収容する、液体残量に応じて変位する変位部材を有するヘッドタンクと、
    前記記録ヘッド及び前記ヘッドタンクを搭載して往復移動されるキャリッジと、
    前記ヘッドタンクに供給する液体を収容するメインタンクと、
    前記メインタンクから前記ヘッドタンクに前記液体を送液する送液手段と、
    前記ヘッドタンクから前記メインタンクに前記液体を逆送する逆送手段と、
    前記記録ヘッドのノズル面を払拭するワイパ部材を有するメンテナンス手段と、
    前記ヘッドタンクの前記変位部材を検知する検知手段と、
    前記記録ヘッドのノズル内の液体にかかる圧力が大気圧より大きくなった後、前記検知手段によって前記変位部材が変位したか否かを検知する検知動作を行う検知制御手段と、
    前記逆送手段で前記ヘッドタンクから前記メインタンクに前記液体を逆送するとき、前記検知制御手段によって前記変位部材が変位したことが検知されているときには、前記逆送の前に前記ワイパ部材による払拭動作を行う逆送制御手段と、を備えている
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記検知制御手段は、前記変位部材の変位が検知されたことを記憶保持する記憶手段を有し、
    前記逆送制御手段は、前記記憶手段に前記変位部材の変位が検知されたことが記憶されているときに、前記逆送前に前記払拭動作を行わせる
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記検知制御手段は、前記送液手段によって前記メインタンクから前記ヘッドタンクへの液体供給を行わせて、前記ヘッドタンク内の圧力を大気圧より大きい所定の圧力にし、前記記録ヘッドのノズル内の液体にかかる圧力を大気圧より大きくする手段を有し、
    前記所定の圧力は、前記ヘッドタンク内の圧力が大気圧のときに行われるメンテナンス動作における圧力変動分を含む圧力である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記検知制御手段は、前記ノズル内の液体にかかる圧力を大気圧よりも大きくした後、所定時間が経過した後に前記検知手段によって前記変位部材が変位したか否かを検知させる
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
  5. 前記検知手段は、
    前記キャリッジに設けられ、
    前記変位部材が前記ヘッドタンク内の圧力が大気圧よりも大きいときの位置にあるときに前記変位部材を検知する位置に配置されている。
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
  6. 前記キャリッジの位置を検出するキャリッジ位置検出手段を有し、
    前記検知手段は、装置本体側に設けられている
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
  7. 前記検知制御手段は、
    ジャムが発生して前記キャリッジが停止したとき、
    前記ヘッドタンク内に圧力を与えないで前記検知動作を行い、
    又は、前記ヘッドタンク内に所定の負圧力を与えて前記検知動作を行い、
    若しくは前記ヘッドタンク内に所定の正圧力を与えて前記検知動作を行う
    ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置
  8. 前記検知制御手段は、
    前記ワイパ部材による累積ワイピング回数が所定回数を越えたとき、
    装置の初期稼動からの累積経過時間が所定時間を越えたとき、
    前記記録ヘッドの累積吐出量が所定量を越えたとき、
    前記記録ヘッドの累積吐出回数が所定回数を越えたとき、
    の少なくともいずれかで、前記検知動作を行う
    ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
  9. 液滴を吐出するノズルが有する記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドに供給する液体を収容するヘッドタンクと、
    前記記録ヘッド及び前記ヘッドタンクを搭載して往復移動されるキャリッジと、
    前記ヘッドタンクに供給する液体を収容するメインタンクと、
    前記メインタンクから前記ヘッドタンクに前記液体を送液する送液手段と、
    前記ヘッドタンクから前記メインタンクに前記液体を逆送する逆送手段と、
    前記記録ヘッドのノズル面を払拭するワイパ部材を有するメンテナンス手段と、
    前記ヘッドタンクの液面高さを検知する液面検知手段と、
    ジャムが発生して前記キャリッジが停止したとき、前記ヘッドタンク内の液体量が前記液面検知手段で液面を検知する量になるまで前記送液手段で前記メインタンクから前記ヘッドタンクに送液し、送液中又は送液後所定時間が経過した後、前記液面検知手段によって液面が検知されているか否かを判別する判別動作を行う判別制御手段と、
    前記逆送手段で前記ヘッドタンクから前記メインタンクに前記液体を逆送するとき、前記判別制御手段で前記液面検知手段によって液面が検知されていないと判別されているときには、前記逆送の前に前記ワイパ部材による払拭動作を行う逆送制御手段と、を備えている
    ことを特徴とする画像形成装置。
  10. 液滴を吐出するノズルが有する記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドに供給する液体を収容する、液体残量に応じて変位する変位部材を有するヘッドタンクと、
    前記記録ヘッド及び前記ヘッドタンクを搭載して往復移動されるキャリッジと、
    前記ヘッドタンクに供給する液体を収容するメインタンクと、
    前記メインタンクから前記ヘッドタンクに前記液体を送液する送液手段と、
    前記ヘッドタンクから前記メインタンクに前記液体を逆送する逆送手段と、
    前記記録ヘッドのノズル面を払拭するワイパ部材を有するメンテナンス手段と、
    前記ヘッドタンクの前記変位部材を検知する検知手段と、
    前記記録ヘッドのノズル内の液体にかかる圧力を所定の負圧よりも強い負圧にした後、前記検知手段によって前記変位部材が変位したか否かを検知する検知動作を行う検知制御手段と、
    前記逆送手段で前記ヘッドタンクから前記メインタンクに前記液体を逆送するとき、前記検知制御手段によって前記変位部材が変位したことが検知されているときには、前記逆送の前に前記ワイパ部材による払拭動作を行う逆送制御手段と、を備えている
    ことを特徴とする画像形成装置。
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