以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る画像形成装置の一例について図1を参照して説明する。図1は同画像形成装置の外観斜視説明図である。
この画像形成装置は、シリアル型画像形成装置である。装置本体1の上面側に開閉可能にカバー101が設けられ、このカバー101を開くことで内部の機構部にアクセスすることができる。また、装置本体1の前面側には、給紙トレイ2と、排紙トレイ3を備えている。
また、装置本体1の前面一側部側には開閉可能なカートリッジ開閉カバー104が設けられている。カートリッジ開閉カバー104を開くことで、装置本体1のカートリッジホルダ4に対して液体カートリッジであるメインタンク(カートリッジともいう。)10の着脱を行うことができる。
次に、同画像形成装置の印字機構部の一例について図2及び図3を参照して説明する。図2は同印字機構部の側面説明図、図3は同印字機構部の要部平面説明図である。
装置本体1の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を移動可能に保持している。そして、後述する主走査モータ554によってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
このキャリッジ33には、液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。他の部材も同様)が搭載されている。記録ヘッド34a、34bは、異なる種類の液体であるイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液滴を吐出する。
ここでは、記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有している。そして、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、それぞれ吐出する。また、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
なお、記録ヘッド34としては、1つの記録ヘッド(液体吐出ヘッド)のノズル面に複数のノズルを並べた各色の液滴を吐出する複数のノズル列を備えるものなどを用いることもできる。
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク35a、35bを搭載している。ヘッドタンク35a、35bは、それぞれ各記録ヘッド34a、34bのノズル列に対応して2つのヘッドタンクを対にしたものであって、複数のヘッドタンクを備える構成である。
一方、カートリッジホルダ4には各色のメインタンク10(10y、10m、10c、10k)が着脱自在に装着される。そして、メインタンク10から後述する送液ポンプ241によって各色の供給チューブ(液体供給経路ともいう。)36を介して各ヘッドタンク35に各色の液体が供給される。
一方、給紙トレイ2の用紙積載部41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する給紙コロ43及び給紙コロ43に対向する分離パッド44を備えている。
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備える。そして、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、後述する副走査モータによってタイミングベルトを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて、再度、カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
さらに、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構81を配置している。
この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための保湿キャップを兼ねる吸引キャップ82aと、保湿キャップ82bと、ノズル面をワイピングするためのワイパ部材(ワイパブレード)83を備えている。
また、維持回復機構81は、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84と、キャリッジ33をロックするキャリッジロック87を備えている。また、このヘッドの維持回復機構81の下方側には維持回復動作によって生じる廃液を収容するための廃液タンク100が装置本体に対して交換可能に装着される。
また、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置している。この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド部材45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送される。更に、用紙42の先端は搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ56によって搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターンで帯電されている。この帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
次に、ヘッドタンク35の一例について図4及び図5を参照して説明する。図4は同ヘッドタンクの模式的上面説明図、図5は同じく模式的正面説明図である。
1つのヘッドタンク35は、液体を保持するための一側部が開口した液体収容部を形成するタンクケース201を有している。なお、本実施形態では、上述したように1つの記録ヘッド34の各ノズル列に対して異なる色の液体を供給するために2つのヘッドタンク35を対に構成している。
このタンクケース201の開口部を撓むことが可能な部材であるフィルム部材203で密閉して、液体収容部202を形成している。そして、タンクケース201内に配置した弾性部材としてバネ204の復元力によってフィルム部材203を常時外方へ勢いを付けている。
このように、タンクケース201のフィルム部材203にバネ204の復元力が作用していることで、タンクケース201の液体収容部202内の液体残量が減少することによって負圧が発生する。
また、タンクケース201の外側には、一端部側を軸206で揺れ動くことが可能なように支持されたフィラからなる変位部材(以下、単に「フィラ」とも表記することがある。)205を有している。
変位部材205は、スプリング210によってタンクケース201側に向けて勢いを付けられ、フィルム部材203に押し付けられている。これにより、フィルム部材203の動きに連動して変位部材205が変位する。
この変位部材205を装置本体1側に配置された本体側検知手段である本体センサ301(図6)などで検知することでヘッドタンク35内の液体残量や負圧などを検知することができる。
また、タンクケース201の上部には、メインタンク10からインクを供給するための供給口部209があり、供給チューブ36に接続されている。また、タンクケース201の側部には、ヘッドタンク35内を大気に開放する大気開放手段である大気開放機構207が設けられている。
この大気開放機構207は、ヘッドタンク35内に通じる大気開放路207aを開閉する弁体207b及びこの弁体207bを閉弁状態になるように勢いを付けるスプリング207cなどを備えている。そして、装置本体側の開閉手段である大気開放ソレノイド302によって、弁体207bを押すことで開かれ、ヘッドタンク35内が大気開放状態(大気に通じた状態)になる。
また、ヘッドタンク35内の液体液面を検出するための電極ピン208(208aと208b)が取り付けられている。液体は電導性を持っており、電極ピン208aと208bの所まで液面が到達すると、電極ピン208aと208b間に電流が流れて両者の抵抗値が変化するため、液面高さが所定高さ以下になったことを検出することができる。
次に、この画像形成装置における液体供給排出系について図6を参照して説明する。図6は同供給排出系の模式的説明図である。
まず、メインタンク10からヘッドタンク35に対する液体供給は、送液手段である送液ポンプ241によって供給チューブ36を介して行なわれる。
なお、送液ポンプ241は、チューブポンプなどで構成した可逆型ポンプ(可逆型送液手段)であり、メインタンク10からヘッドタンク35にインクを供給する送液動作と、ヘッドタンク35からメインタンク10にインクを戻す逆送動作とを行えるようにしている。
また、記録ヘッド34のノズル面をキャッピングする吸引キャップ82aと、吸引キャップ82aに接続された吸引ポンプ812を有する。そして、吸引キャップ82aでキャッピングした状態で吸引ポンプ812を駆動することで吸引チューブ811を介してノズルから液体を吸引することによってヘッドタンク35内の液体を吸引することができる。なお、吸引された廃液は廃液タンク100に排出される。
また、装置本体1側にはヘッドタンク35の大気開放機構207を開閉する部材である大気開放ソレノイド302が配設され、この大気開放ソレノイド302を作動させることで大気開放機構207を開放することができる。
また、メインタンク10からヘッドタンク35の間の液体供給路(供給チューブ36)の圧力が所定圧力以下になったことを検出する圧力検出手段571を備えている。ここでは、メインタンク10と送液ポンプ241との間に圧力検出手段571設けている。
また、ヘッドタンク35の近傍の温度を検出する温度検出手段である温度センサ572、湿度を検出する湿度センサ573を配置している。
なお、上述した送液ポンプ241、大気開放ソレノイド302、吸引ポンプ812の駆動制御、エンド後印刷に係る制御は、制御部500によって行なわれる。
次に、圧力検出手段の一例について図7及び図8を参照して説明する。図7は同圧力検出手段周りの模式的説明図、図8は同圧力検出手段の説明図である。
圧力検出手段571は、液体供給路(供給チューブ36)に介在される圧力検出部701と、圧力検出部701で検出する液体供給路内圧力が所定圧力以下になったことを検知する検知部702とを有する。
圧力検出部701は、メインタンク10に中空ニードル703に通じ、供給チューブ36で送液ポンプ241に通じる流路710を形成する流路形成部材711を有する。流路710の一部は変形可能な弾性部材712で形成している。弾性部材712にはロッド713が連結され、ばね714によってロッド713に対して流路形成部材711の外方に向けて勢いを付けている。
検知部702は、ロッド713に設けられた検知片部(フィラ)715を検知する透過型フォトセンサなどで構成している。流路形成部材711の流路710の圧力が低下してロッド713が流路形成部材711内部の所定の位置まで引き込まれたときに、検知部702は検知片部715を検知する。
このように構成した圧力検出手段571の動作について図9及び図10を参照して説明する。図9はメインタンク−送液ポンプ間の圧力変動の説明に供する説明図、図10は圧力検出手段の動作説明に供する説明図である。
図10(a)に示すように、メインタンク10に所定量の液体が残存しているとき(エンド状態でないとき)である通常送液時には、送液ポンプ241による供給を行ったときでも、図9に示すようにメインタンク10と送液ポンプ241間の流路内圧力は脈動を生じるだけである。
これに対して、図10(b)に示すように、メインタンク10がエンド状態になると、送液ポンプ241による送液を行ったときに、図9に示すようにメインタンク10と送液ポンプ241間の流路内圧力が急激に低下する(負圧が大きくなる)。
したがって、メインタンク10がエンド状態でないときには、図10(a)に示すように、ロッド713の検知片部715は検知部702に対向しない位置にある。
これに対し、メインタンク10がエンド状態になってメインタンク10と送液ポンプ241間の流路内圧力が低下することで、弾性部材712が流路710内に引き込まれてロッド713が図8で矢印C方向に変位し、検知片部715は検知部702に対向する位置になる。
したがって、検知部702が検知片部715を検知するので、メインタンク10がエンド状態になったことを検知できる。
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図11を参照して説明する。図11は同制御部のブロック説明図である。
この制御部500は、装置全体の制御を司るCPU501と、CPU501が実行するプログラムを含む各種プログラムなどの固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503とを備えている。
また、制御部500は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505とを備えている。
また、制御部500は、記録ヘッド34を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ33側に設けた記録ヘッド34を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509とを備えている。
また、制御部500は、キャリッジ33を移動走査する主走査モータ554、搬送ベルト51を周回移動させる副走査モータ555、維持回復機構81のキャップ82やワイパ部材83の移動、吸引ポンプ812などを行なう維持回復モータ556を駆動するためのモータ駆動部510を備えている。
また、制御部500は、帯電ローラ56にACバイアスを供給するACバイアス供給部511と、送液ポンプ241を駆動する供給系駆動部512などを備えている。
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
また、制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、画像読み取り装置、撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する。
この印刷制御部508は、ROM502に格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含む。そして、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動波形を生成してヘッドドライバ509に対して出力する。
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド34の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを選択して記録ヘッド34の圧力発生手段に対して与える。これにより、記録ヘッド34を駆動する。このとき、駆動波形を構成するパルスの一部又は全部或いはパルスを形成する波形用要素の全部又は一部を選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
I/O部513は、前述した圧力検出手段571、温度センサ572、湿度センサ573、カートリッジ開閉カバー104が開かれたことを検知するカートリッジ開閉カバーセンサ574、その他装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、装置の制御に必要な情報を抽出し、各種の制御に使用する。
次に、制御部によるメインタンクからヘッドタンクへの液体充填処理について図12のフロー図を参照して説明する。
この液体充填処理は、メインタンク10からヘッドタンク35への液体充填が必要になったときに開始される。
ここで、充填が必要になったときとは、ヘッドタンク35の液体残量が減少する方向に変位部材205が変位して所定の充填開始位置を超えたとき、ヘッドタンク35内の液体消費量が予め定めた所定量以上になったとき、大気開放機構207を開けて電極ピン208によって液面を検知するまで液体供給する場合などである。
充填処理の開始に伴って、送液ポンプ241を正転して、メインタンク10からヘッドタンク35への液体の送液(正転送液)を開始する。
そして、充填動作が完了したか否かを判別する。充填動作完了は、例えば、(1)ヘッドタンク35の液体残量が増加する方向に変位部材205が変位して所定の充填満タン位置になったか否か、(2)送液ポンプ241の駆動時間が所定時間経過したか否か、(3)送液ポンプ241の回転数が所定回転数になったか否か、(4)電極ピン208で液面を検知したか否か、などで判別できる。
そして、充填動作完了になれば、送液ポンプ241の正転動作を終了して正転送液を終了する。
これに対し、充填動作完了でなければ、圧力検出手段571の検出結果から液体供給経路が所定圧力以下になったか否か、すなわち、メインタンク10がエンド状態になったか否かを判別する。
このとき、所定圧力以下になっていなければ、充填動作を継続する。
一方、充填動作完了になるまでに圧力検出手段571で液体供給経路が所定圧力以下になったとき、すなわち、メインタンク10がエンド状態になったときには、ヘッドタンク35からメインタンク10に液体を戻す逆送処理(第1制御処理)に移行する。
次に、逆送処理(第1制御処理)の第1例について図13のフロー図を参照して説明する。
圧力検出手段571によって液体供給経路内の圧力が所定圧力以下になったことを検出した(エンド状態になった)ときには、ヘッドタンク35内に液体充填を行うことができなかったためヘッドタンク35内の残存液体量が少なくなっている(負圧が大きくなっている)状態にあると想定される。また、メインタンク10側から液体を送液できていないので、送液ポンプ241の供給チューブ36や圧力検出手段571内の負圧が大きくなっている状態が想定される。
このとき、負圧を解除しないでメインタンク10の交換を行うと、液体供給経路の上流側(メインタンク側)から液体供給経路内の負圧の作用によって空気が混入してしまうことになる。液体供給経路に空気が混入すると、次のような不具合が生じる。
例えば、ヘッドタンク35内に送液したときに、泡立ちの作用で、電極ピン208で正確に液面を検知できなくなる。また、大気開放機構207から泡立った液体が漏れて機内に流出し、電気回路に付着すると、電気基板の故障に繋がったり、機内を汚したりする。また、記録ヘッド34内で圧力ダンパとなって吐出不良に繋る可能性もある。
そこで、逆送処理を開始したときには、まず、ヘッドタンク35の大気開放機構207を開放状態にし、ヘッドタンク35内を大気に開放して負圧を解除した後、大気開放機構207を閉じる。
その後、送液ポンプ241を逆転駆動して、ヘッドタンク35側からメインタンク10側に所定量(第1所定量)の液体を逆送し、送液ポンプ241や圧力検出手段571内の負圧を解除する。
そして、逆転動作完了か否かを判別する。
ここで、逆転動作完了は、(1)送液ポンプ241で所定時間逆転送液したか否か、(2)送液ポンプ241を所定回転数逆転したか否か、などで判別できる。
そして、逆転動作が完了したときには、送液ポンプ241の逆転駆動を停止して逆転送液(逆送)を終了し、この逆送処理を終了する。
次に、逆送処理(第1制御処理)の第2例について図14のフロー図を参照して説明する。
上記第1例と同様に、逆送処理を開始したときには、まず、ヘッドタンク35の大気開放機構207を開放状態にし、ヘッドタンク35内を大気に開放して負圧を解除した後、大気開放機構207を閉じる。
その後、キャリッジ33を移動して本体センサ301によってヘッドタンク35の変位部材205を検知可能な位置に移動する。
そして、送液ポンプ241を逆転駆動して、ヘッドタンク35側からメインタンク10側に所定量(第1所定量)の液体を逆送し、送液ポンプ241や圧力検出手段571内の負圧を解除する。
このとき、本体センサ301がヘッドタンク35の変位部材205を検知したか否かを判別する。
そして、本体センサ301がヘッドタンク35の変位部材205を検知したときには、送液ポンプ241の逆転駆動を停止して逆転送液を終了し、この逆送処理を終了する。
なお、逆転送液動作は、大気開放機構207を開閉してから行うので、ヘッドタンク35の負圧形成動作も兼ねており、特に追加の動作を実施することなく、その後のエンド後印刷制御処理(第2制御処理)に移行することができる。
次に、制御部によるエンド後印刷処理(第2制御処理)について図15のフロー図を参照して説明する。
エンド後印刷とは、例えば、カラーインクがエンドになった場合は、モノクロ印字のみを許可する印刷方法である。この場合、カラーインク用の記録ヘッドについては、ノズルの性能を維持できる程度の空吐出やメンテナンスのみを許可し、印字にはカラーインク用の記録ヘッドやノズルを使用しない印刷方法である。
また、ブラックインクがエンド状態になった場合は、カラーの3色のインクを使って、コンポジットブラックでのモノクロ印字を許可することもできる。
こうすることで、手元に新しいメインタンク(カートリッジ)がなくて交換できない場合でも、モノクロ印字が可能となる利点がある。
つまり、エンド後印刷は、エンド状態が検出されたと判定されたメインタンクに対応するヘッドタンクの残存液体の消費を伴う印刷動作である。なお、「対応する」とは、当該ヘッドタンクがエンド状態になったメインタンクから送液を受けるヘッドタンクであるということである。ただし、エンド後印刷でメインタンクからヘッドタンクに送液されることまで意味しない。
本実施形態では、エンド後印刷は、エンド状態が検出されたメインタンクに対応するヘッドタンクの残存液体は画像形成に使用しないで、ノズルの状態を維持するための動作のみに使用し、画像形成はエンド状態が検出されたと判定されていないメインタンクから液体が送液されるヘッドタンクの液体を消費して行う。
まず、エンド後印刷処理では、逆送処理を実施した後、ヘッドタンク35内に残った残存液体量が予め定めた所定残存量(第2所定量)以上か否かを判別する。
このとき、残存液体量が所定残存量以上であれば、エンド後印刷を許可する。
そして、エンド後印刷の指示がされたか否かを判別し、エンド後印刷の指示がされたときにはエンド後印刷モードに移行し、エンド後印刷の指示がされないときにはカートリッジ交換を促す報知をして処理を終了する。
また、残存液体量が所定残存量以上でなければ、エンド後印刷を許可しない。
そして、カートリッジ交換(メインタンクの交換)を促す報知をして、エンド後印刷処理を終了する。
このように、ヘッドタンクの残存液体量が所定残存量以上であるときにのみエンド後印刷を許可することで、エンド後印刷を行うことができない残存液体量である場合にまでエンド後印刷が許可されて、実行され、途中で印刷不能になることを防止できる。
つまり、例えば、カラーインクがエンドになり、モノクロ印字のみを許可するエンド後印刷を行う場合、カラーインクはエンド状態であるので、当然、用紙への吐出という意味では、印字に使用しない。しかしながら、まったくカラーインクを吐出しないとノズル不良が生じることになる。そこで、定期的なノズル状態を維持する動作、例えば空吐出のみを許可する。定期的な空吐出とは、印字前に打つ印字前空吐出や、印刷中に定期的な間隔で打つ印字中空吐出や、印刷終了後に打つ印字後空吐出、ある程度長い時間放置した後に打つ放置後空吐出などがある。
ここで、モノクロ印字を行うことで必要な空吐出のためのカラーインク残量が第2所定量を超えていないと、エンド後印刷に移行しても十分な空吐出を実施できないことになる。そこで、カラーインク残量が第2所定量を超えていないときには、カラーインクがエンドになった時点で、エンド後印刷自体を許可しないようにしている。
次に、上記エンド後印刷制御処理における残存液体量の判定処理の詳細について図16も参照して説明する。
まず、図16(b)に示すヘッドタンク35内に残存する残存液体量VHTは、図16(a)に示す満タン時の液体容量Vfillから、逆送処理における大気開放機構207の開閉で流入する空気量Vairと、その後の逆転送液量Vrevとを減じたものとなり、次の(1)式で表わされる。
ここで、残存液体量VHTが図16(c)に示すように所定残存量VEM以上であるときにエンド後印刷を許可するものとする。このときの所定残存量VEMは、大気開放された状態からの吐出可能液体量Vdisから、逆転送液量Vrevと、その他許容量Vtolを減算することで求められ、次の(2)式で表わされる。
なお、その他許容量Vtolとは、例えば、次の項目である。
(1)1ページを印刷するために必要な液体量
例えば、印刷中にエンド後印刷可能量を常時監視する場合、エンド後印刷可能量を下回ると、その時点で吐出できないと判定され、印刷が終了してしまう。これを避けるために、予め減算している。
つまり、記録モードや環境によっては、空吐出のみの吐出でも、エンド後印刷中に空吐出による消費量(使用量)が第2所定量を上回る可能性がある。例えば、空吐出の消費量を印刷中に常時監視して、エンド後印刷の終了を判断する制御の場合、1枚印刷中に第2所定量を上回ったときにエンド後印刷が終了となり、最後まで出力できなくなる。そこで、例え2枚目でエンド後印刷が終了になったとしても、1枚目は印字を完了できるような所定量を設定する。
(2)マージン
安定的に吐出させるための単なるマージンとして予め減算している。
エンド後印刷時の空吐出やメンテナンスを安定的に行うには、ヘッドタンク35内に残存する残存液体量VHTが、エンド後印刷における空吐出動作で必要な所定残存量VEM対して十分に多いことが必要である。
なお、ヘッドタンク35内に残存する残存液体量VHTが、エンド後印刷における空吐出動作で必要な所定残存量VEM対して少ないと、エンド後印刷の途中で滴吐出(空吐出)できない状態に陥る。その結果、その後にメインタンク10を交換して通常の印刷を行ったときに異常画像が出力される可能性がある。また、異常状態を回復させるために、メンテナンスが必要となって、無駄な液体消費や待ち時間が増加に繋がるという不都合が生じる。
次に、エンド後印刷モード処理の第1例について図17のフロー図を参照して説明する。
エンド後印刷モード処理を開始したときには、エンド後印刷を開始し、上述したように、エンド状態になったメインタンク10に対応するヘッドタンク35以外のヘッドタンク35の液体を使用して印刷を継続する。
そして、エンド状態になったメインタンク10に対応するヘッドタンク35について、空吐出やメンテナンスなどのノズル状態を維持するためには使用されたエンド後印刷中の液体使用量が所定使用量以上か否かを判別する。なお、所定使用量は、前述した所定残存量(第2所定量)としている。
そして、エンド後印刷中の液体消費量が所定使用量以上になったときには、エンド後印刷を終了し、エンド後印刷モードを終了して装置を停止し、メインタンク(カートリッジ)の交換を促すエンド表示(通知)を行う。
すなわち、エンド後印刷モードに移行した後は、エンド状態となった色の液体に関しては、印字用の吐出を禁止し、必要な空吐出やメンテナンスのみを実施許可することで、最低限のノズル維持を行う。
このとき、空吐出やメンテナンスに使用した液体量を、エンド後印刷中液体使用量として記録する。印刷中は、エンド後印刷中液体使用量と所定使用量(第2所定量)を監視し、エンド後印刷可能か否かを判定している。
なお、エンド後印刷中の液体使用量と所定使用量の監視は、随時監視でも良いし、1スキャン毎の監視、あるいは1ページ毎の監視等、監視する単位は特に限定されるものではない。また、エンド後印刷中の液体使用量は、不揮発性メモリ(NVRAM)504等に格納される。
これにより、エンド後印刷が可能な量までは、印刷を継続することができるので、ユーザーにとってもカートリッジ交換するまでの緊急回避的な印刷を継続できる、また、液体消費を監視することで、ヘッドタンク内の負圧が高まって、ノズル異常を起こす前にカートリッジ交換を促すことができる。
次に、エンド後印刷モード処理の第2例について図18のフロー図を参照して説明する。
エンド後印刷モードを開始したときには、エンド後印刷を開始する。そして、エンド後印刷開始後の経過時間が予め定めた所定時間以上になったか否かを判別する。
そして、エンド後印刷開始後の経過時間が所定時間以上になったときには、エンド後印刷を終了し、エンド後印刷モードを終了して装置を停止し、メインタンク(カートリッジ)の交換を促すエンド表示を行う。
すなわち、前記第2実施形態で説明したと同様に、エンド後印刷モードに移行した後は、エンド状態となった色の液体に関しては、印字用の吐出を禁止し、必要な空吐出やメンテナンスのみを実施許可することで、最低限のノズル維持を行う。
一方、印刷前、印刷中、印刷後、電源ON時、メンテナンス前、メンテナンス後など、定期的なタイミングで、エンド後印刷に移行したときからの経過時間が所定時間(例えば、指定日時)経過したか否かを監視する。
エンド後印刷中は、最低限必要な空吐出やメンテナンスしか行っていないため、長期にわたって、この状態を継続されると、新しいカートリッジ交換後に異常画像が出力される可能性が高くなる。これを防止するために、日時制限を設けてエンド後印刷開始からの所定時間経過したときは、エンド後印刷の許可を終了する。
なお、エンド後印刷を開始した時間(日時など)は不揮発性メモリ(NVRAM)504等に格納される。
これによって、エンド後印刷が可能な時期までは、印刷を継続することができるので、ユーザーにとってもカートリッジを交換するまでの緊急回避的な印刷を継続できる。また、エンド後印刷に移行してからの経過時間を監視することで、ノズル内の液体が増粘して吐出不良になる等、ノズル異常を起こす前にカートリッジ交換を促すことができる。
次に、本発明の第2実施形態における逆送処理(第1制御処理)について図19のフロー図を参照して説明する。
本実施形態では、逆送処理を開始したときには、まず、ヘッドタンク35の大気開放機構207を開放状態にし、ヘッドタンク35内を大気に開放して負圧を解除した後、大気開放機構207を閉じる。
その後、カートリッジ開閉カバーセンサ574をチェックしてカートリッジ開閉カバー104が開いているか否かを判別する。
このとき、カートリッジ開閉カバー104が開いていれば、エンド後印刷を許可することなく、カートリッジ交換を促す報知をして、この逆送処理を終了する。
これに対し、カートリッジ開閉カバー104が開いていなければ、前記第1実施形態と同様に、送液ポンプ241を逆転駆動して、ヘッドタンク35側からメインタンク10側に所定量(第1所定量)の液体を逆送し、送液ポンプ241や圧力検出手段571内の負圧を解除する。
そして、逆転動作完了か否かを判別する。
ここで、逆転動作が完了したときには、送液ポンプ241の逆転駆動を停止して、逆転送液を終了し、この逆送処理を終了する。
また、逆転動作が完了していないときには、カートリッジ開閉カバー104が開いているか否かを判別する。
このとき、カートリッジ開閉カバー104が開いていなければ、そのまま逆転動作が完了か否かの判別に戻る。
一方、逆転動作が完了する前にカートリッジ開閉カバー104が開いたことが検知されたときには、逆転送液を終了して、エンド後印刷を許可することなく、カートリッジ交換を促す報知をして、この逆送処理を終了する。
すなわち、エンド状態が検出されてヘッドタンク35からメインタンク10に液体を逆送する逆送処理(第1制御処理)を行うときに、エンド後印刷不可能な状態と判断したときには、エンド後印刷制御処理(第2制御処理)に移ることなく、カートリッジ交換を促す表示(通知ないし報知)を行うようにしている。
装置内の状況によっては、エンド後印刷を実施できない場合がある。
例えば、逆転送液前、あるいは、逆転送液中に、カートリッジ開閉カバー104が開けられた場合、メインタンク10がカートリッジホルダ4から抜かれて液体が噴出するおそれがあるので、送液ポンプ241の逆転を停止する。
この場合、送液ポンプ241を正常に逆転できなかったため、送液ポンプ241や圧力検出手段571内の負圧が解除できていない状態であるため、エンド後印刷は許可しない。
また、カートリッジ開閉カバー104が開けられた時点で、メインタンク10が抜かれたものと判断するため、液体供給経路内に空気が混入したと扱い、カートリッジ交換後に適切な異常回復用のメンテナンス動作を行うようにすることが好ましい。
例えば、送液ポンプ241による正転供給と、吸引キャップ82aによる吸引を繰り返して、液体供給経路内に混入した空気をヘッドタンク35に送り込み、消泡させるメンテナンス動作を行う。
このように、逆送処理中に、カートリッジ開閉カバーが開けられても、異常状態として扱うことができるので、エンド後印刷は実施できないが、カートリッジ交換後に適切なメンテナンスを実施して、状態を回復させることができる。
次に、本発明の第3実施形態における逆送処理(第1制御処理)について図20のフロー図を参照して説明する。
本実施形態では、逆送処理を開始したときには、まず、ヘッドタンク35の大気開放機構207を開放状態にし、ヘッドタンク35内を大気に開放して負圧を解除した後、大気開放機構207を閉じる。
その後、前記第1実施形態と同様に、送液ポンプ241を逆転駆動して、ヘッドタンク35側からメインタンク10側に所定量(第1所定量)の液体を逆送し、送液ポンプ241や圧力検出手段571内の負圧を解除する。
そして、逆転動作完了か否かを判別し、逆転動作が完了したときには、送液ポンプ241の逆転駆動を停止して、逆転送液を終了する。
その後、直近の充填動作開始前に電極ピン208が空気を検知していたか否かを判別する。
このとき、空気を検知していたときには、エンド後印刷を許可することなく、カートリッジ交換を促す報知をして、この第1制御処理を終了する。
また、空気を検知していなければ、そのままこの逆送処理を終了する。
すなわち、直近の充填動作開始前に電極ピン208が空気を検知しているということは、満タン時のヘッドタンク内液体容量Vfillは、本来の満タンの液体容量ではないので、VHT≧VEM、を満たせない可能性がある。
このような場合には、エンド後印刷に必要な所定残存量VEM分の液体消費を保障できないので、エンド後印刷を許可しないとしている。
次に、本発明の第4実施形態における制御処理について図21のフロー図を参照して説明する。
本実施形態では、逆送処理を行った後、エンド後印刷処理(第2制御処理)を開始し、ヘッドタンク35内の残存液体量が所定残存量以上か否かを判別する。
このとき、残存液体量が所定残存量以上であれば、エンド後印刷を許可する。
そして、ユーザーに対して、カートリッジ交換を促す表示と、エンド後印刷が可能である旨の報知とを行う。
ここで、エンド後印刷の指示がされたか否かを判別し、エンド後印刷の指示がされたときにはエンド後印刷モードに移行し、エンド後印刷の指示がされないときにはカートリッジ交換を促す報知をして処理を終了する。
また、残存液体量が所定残存量以上でなければ、エンド後印刷を許可しない。
そして、カートリッジ交換を促す報知をして処理を終了する。
これにより、エンド後印刷に入れない場合を確実に除外することができる。一方で、エンド後印刷に入れる場合にはエンド後印刷を行うか、カートリッジ交換を行うかを、ユーザーが確実に選択できる。
上記実施形態において、エンド後印刷は、エンド状態になっていない他のヘッドタンクの液体を使用して印刷を継続し、エンド状態になったメインタンクから送液を受けるヘッドタンクの残存液体はノズル状態の維持のためにのみ使用する例で説明したが、ヘッドタンク内の残存液体を使用して印刷を行う場合にも適用することができる。
また、上記実施形態における制御部によるエンド後印刷に係わる制御をコンピュータに行わせるための本発明に係るプログラムは前述したROM502に格納されている。
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく液体が付着可能なものの意味である。被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。