JP2014150729A - 調味料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
植物蛋白、魚肉蛋白、動物蛋白及び酵母、又はそれらを含む蛋白質含有素材を調味料原料として、腐敗細菌増殖の危惧無しに、温和な条件での麹使用による分解、熟成作用で得られる調味料、並びにそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】
植物蛋白、魚肉蛋白、動物蛋白および酵母、又はそれらを含有する蛋白質含有素材を調味料原料として耐酸性蛋白分解酵素活性を有する麹で分解、熟成する。諸味のpHをpH2.0から4.5、好ましくはpH2.5から3.5の条件に維持しつつ分解、熟成することにより腐敗細菌増殖の危惧無しに調味料を製造出来る。
【選択図】なし
Description
本発明で用いる植物蛋白、魚肉蛋白、動物蛋白及び酵母、又はそれらを含む蛋白質含有素材とは以下に説明する様な物である。植物蛋白又はそれらを含む蛋白質含有素材とは蛋白質を豊富に含有する豆類、芋類、穀類、又はそれらから部分分離された植物蛋白、又はそれらの加工品で調味料原料となりうるものであれば特別に限定されない。例えば、コーングルテン、小麦グルテン、脱脂大豆、蕎麦粕、菜種粕及びジャガイモ蛋白等が挙げられる。
豆腐、惣菜生産時に副生する煮汁、オカラ等も使用可能である。魚介類蛋白またはそれらを含む蛋白質含有素材とは魚介類およびそれらの加工品で調味料生産原料となりうるものであれば特に限定されない。例えば鰯、鯖、鮭、鱒、鰹、鮪等の魚類、及びアサリ、蛤、牡蠣、帆立等の魚介類及びそれらの加工残渣が挙げられる。また、例えば鰹節、鯖節、鰯節等の乾燥物でも良い。各種魚介類を乾燥した魚粉も使用出来る。出汁生産の過程で副生する抽出残渣も蛋白質を豊富に含有しており本発明の原料として使用出来る。また、節生産、缶詰生産等の際に副生する魚頭、鰓、中骨等の残渣も原料として使用出来る。節、缶詰め生産工程で副生する煮汁も使用可能である。動物蛋白又はそれらを含む蛋白質含有素材とは鳥獣肉又はその加工品由来の、例えば、骨付き、又は骨無しの各種の鳥獣肉又はそれらの出汁抽出残渣等の調味料原料として使用出来るものであれば特に限定されない。骨や内臓を含むものでも、またはそれらを除いた物でも良い。脱脂粉乳、乾燥ホエイ等の乳製品副産物も本発明の調味料原料として使用可能である。酵母又はそれらを含む蛋白質含有素材とは、パン酵母、アルコール酵母、キャンディダ酵母菌体そのものまたはそれらの加工品で調味料生産原料となりうるものであれば特に限定されない。アルコール発酵、焼酎諸味蒸留残渣等の酵母菌体が濃縮されたものも調味料原料となり得る。
本発明で使用する耐酸性蛋白分解酵素活性を有する麹とは耐酸性エンド型蛋白分解酵素である酸性プロテアーゼと耐酸性エキソ型蛋白分解酵素である酸性カルボキシペプチダーゼを豊富に含む麹である。酸性プロテアーゼ、及び酸性カルボキシペプチダーゼは酸性PH領域で酵素自体が安定であると共に基質蛋白質及びペプチドを良く分解する。尚、これら酵素の性質に関してはAmino Acid.Nucleic Acid誌の第27号(1973年)の28頁から32頁に一島等により“Aspergillus属の生産する酸性カルボキシペプチダーゼの性質”と
題して、また1970年出版のMethods in Enzymology,19巻Proteolytic Enzymesの372頁から397頁にJ.SodecとT.Hofmannにより説明されている。
本発明の耐酸性蛋白分解酵素を有する麹製造用の麹菌株としてはエンド型蛋白分解酵素である酸性プロテアーゼ、及びエキソ型蛋白分解酵素である酸性カルボキシぺプチダーゼを良く生産する能力のあるものを使用すれば良い。または、酸性プロテアーゼ高生産菌と酸性カルボキシペプチダーゼ高生産菌の2菌株を混合培養しても良く、又は別別に培養して得られた麹を混合して分解、熟成に使用しても良い。
本発明に使用する麹菌はこれら両酵素、即ち、酸性プロテアーゼ及び酸性カルボキシペプチダーゼを生産する性質を有するものであれば特に限定されないが、例えばアスペルギルス・アワモリ(Aspergillusawamori)、アスペルギルス・フェニシス(Aspergillus phoenicis)、アスペルギルス・タマリ(Aspergillus tamari)、アスペルギルス・ウサミ(Aspergillus usamii)、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachi)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)を挙げることが出来る。
耐酸性麹を生産するために上記の麹菌を接種する培地としてはこれらの麹菌が充分生育可能なものであれば特に限定されないが、例えば、一般的な穀類として、米、燕麦、大麦、小麦、大豆、玉蜀黍、粟等が挙げられる。また、これらの穀類に魚粉末、魚残渣、節抽出残渣等を加えても良い。
製麹用の培地は通常、麹菌を接種する前に30分程度蒸し器で過熱する。次いで30℃程度に冷却後に麹菌胞子を加え、混合する(床揉み)、製麹器で培地温度を26℃から35℃に制御して2日から4日の培養を行う。培養途中は培地温度の上昇を防ぐために2から4回の切り返しを行う。
上記の操作で得られた耐酸性蛋白分解酵素活性を有する麹は蛋白質含有素材と共に仕込み水中に分散させたのち、諸味のpHを塩酸、硫酸等で2.0〜4.5、好ましくは2.5〜3.5の範囲に調整する。諸味は15℃〜35℃、好ましくは20℃〜30℃の環境で静置する。寒い期間、つまり秋から冬場を除けば室温放置でも良い。諸味は時々攪拌し、PHを初期設定の範囲に調整する。
開放系タンクでの作業に於いても諸味中にはこのpH範囲、特に2.5〜3.5の状態では腐敗細菌の増殖は見られない。また調味料原料として使用出来る蛋白質含有素材は多様かつ多種類であり、それらの中には当然ながら細菌類が相当量含まれているものも有る。しかしながら、本発明の実施に於いては原料を最初の段階で加熱殺菌する操作は必須では無い。これは、諸味中のpHが酸性領域に調整されるため、本発明の実施PH条件の諸味中では原料中に含まれていた細菌類も分解の進行途中で死滅するからである。
諸味の分解開始1日〜2日後にかけて酵母の増殖が見られる場合がある。これは、調味料原料として使用される各種の蛋白質含有素材、または使用する麹中に混入している酵母菌のうちpH2.5〜3.5で生育可能な菌種が増殖することに因る。また、麹菌を培養する製麹過程で培地の温度調整のための切り返し等の作業時にどうしても空中浮遊酵母が培地に混入することと、諸味の維持管理が開放系で行う関係上、空中浮遊酵母が諸味中に混入することは避けられない。この酵母発酵により、微量であるがアルコールが生成すると共に、魚介類原料が調味料原料とする場合には原料持ち込みの魚臭成分であるアミン化合物等が酵母代謝で分解除去される。また、蓄肉、家畜内臓等を原料とした場合には生臭さ、畜肉臭を酵母の代謝作用で低減させることが出来る。
他方、鰹節、鰯節等の節臭を最後まで分解無しに保持したい場合がある。その場合には請求項2に記した様に、エタノールを諸味中に2.0容量%〜6.0容量%添加する。2.0容量%未満のアルコール添加では酵母の増殖を抑制することは困難である。また6.0%以上のアルコールを添加した場合には特にエキソ型蛋白分解酵素の反応が阻害される。その結果、遊離アミノ酸の生成が抑制されて得られる調味料の呈味性が良くない結果となる。また、アルコールを多く使用することは製造コストの上昇になり得策でない。2.0容量%以上のアルコールが諸味の分解開始時点で添加された場合には分解、熟成過程に於ける諸味中の酵母増殖は見られず、鰹節等の香気は充分調味液中に保存される結果となる。
本発明に於いて、分解、熟成に際して諸味中に食塩を添加することは任意である。即ち、食塩無添加でも本発明による調味料は腐敗細菌増殖の危惧無しに製造可能である。しかしながら、蛋白質含有素材原料から塩可溶性蛋白質の溶解を促進させる目的で諸味中へ食塩を添加しても良い。また、麹菌の蛋白分解酵素、特にエキソ型蛋白分解酵素の活性は5.0重量%以上の食塩共存では阻害を受けるために諸味中の蛋白原料の分解を制御するために食塩を諸味に添加することは可能である。例えば、蛋白質含有素材からのエンド型蛋白分解酵素による蛋白質の分解、全窒素量の増加、即ちペプチドの生産は諸味分解開始後1日から2日で完了するが、その時点で食塩を適量添加してエキソ型蛋白分解酵素の作用を調整することで、ペプチドの含有率の高い呈味性調味料を得ることが出来る。諸味中の食塩濃度が10重量%以上ではエンド型蛋白分解酵素、エキソ型蛋白分解酵素の反応が共に強く阻害を受けるために、食塩の添加は10重量%以内とする。尚、分解、熟成が終わった後は任意に食塩は添加出来る。例えば、諸味の圧搾濾過処理で得られた調味料のPHを中性領域に調整したのちは保存性を高める目的で食塩濃度を15から18重量%にしても良い。
本発明に於いては、諸味の分解、熟成の温度は15℃〜35℃で良く、好ましくは、20℃〜30℃で行う。通常は冷却、過熱費用を要せずに室温で分解、熟成作業を実施出来るのが本発明の大きな特徴の一つである。冬場に於いても空調を設置した室内であれば分解、熟成作業は室温で実施可能である。諸味の分解、熟成の期間は通常7日(1週間)以上49日(7週間)以下、好ましくは14日(2週間)以上35日(5週間)以下とする。アミノ態窒素、遊離アミノ酸の量、即ち呈味性は7日未満では弱く、7日以降で徐徐に増加する。14日を過ぎると増加速度は徐徐に減速し、35日を過ぎるとさらに低下する。49日を過ぎると増加は殆ど見られなくなる。製造の効率、コストから考えてこれ以上長期に続けることは良くない。
本発明に於ける調味料の生産に於いて、蛋白質含有素材の分解は、先ずエンド型蛋白分解酵素による素材蛋白の可溶化、液中の全窒素量の増加、及びペプチドの生成、次いでエキソ型蛋白分解酵素によるペプチドから遊離アミノ酸の生成、即ちアミノ態窒素量の増加が進行する。本発明に於いては食塩無添加または低食塩濃度の分解であるため、蛋白分解酵素の塩による酵素反応阻害が無いために分解反応は醤油、魚醤油等の諸味に較べると非常に迅速に進行する。
エンド型蛋白分解酵素による酵素分解反応の進行具合を観察するためには諸味中の可溶性粗蛋白量、すなわち全窒素量を測定すれば良い。分析方法としてはキルダール分析が通常実施されるが、より簡便的には糖度計を用いて可溶性固形分値としてBrix(%)を測定することで概要を把握することが可能である。本発明実施に於いて、特に塩無添加での諸味では糖度計でのBrix(%)値への塩の干渉が無いためにかなり明確に粗蛋白量、その値から全窒素(TN)を推測可能である。本発明の実施例に於いては、数種類の蛋白溶液、アミノ酸溶液のBrix(%)測定値を勘案して、全窒素量の数値を求めた。また、エキソ型蛋白分解酵素による遊離アミノ酸の生産量、即ちアミノ態窒素量の数値を測定する方法としてはアミノ酸分析装置によるアミノ酸定量が確実であるが、より簡便にはホルモール滴定、または薄層クロマトグラフィーにより概要を知ることが出来る。
本発明に於いて、エンド型蛋白分解酵素による素材原料蛋白の可溶化及びペプチド生成の進行、即ち全窒素量の増加は諸味を糖度計で分析してBrix(%)値の経時的観測を実施することで推測可能である。即ちBrix(%)値が平衡に達した時点がエンド型蛋白分解酵素反応の終点と看做しうる。また、これは諸味中の素材原料自体の溶解、例えば魚介類の肉質部分が可溶化して骨だけになること、また貝類、例えば帆立の身が完全に溶解して無くなることにより視覚的にも確認が可能である。本発明に於いては通常は2〜3日で当該反応は終了する。
しかしながら、エキソ型蛋白分解酵素の反応はエンド型蛋白分解酵素の反応に較べ更に時間を要する場合が多い。エキソ型蛋白分解酵素の進行具合、即ちアミノ態窒素量の増加はホルモール滴定、または薄層クロマトグラフィーで分析可能である。即ち、経時的に分析を行い分析値の増加が見られなくなり定常値になったところで分解の終点とする。本発明に於いては通常は3週間〜5週間で当該反応は終了する。
本発明に於いては諸味の温度は15℃〜35℃と耐酸性蛋白分解酵素にとって非常に安定性の高い温度条件で実施される。また、諸味のPHも2.0〜4.5であり耐酸性蛋白分解酵素にとって非常に安定性の高いpH条件である。これらの結果、麹由来の蛋白分解酵素は本発明の分解、熟成中も活性を保持された状態を保っている。製麹条件により麹の有する耐酸性蛋白分解酵素活性も増減する場合があるが、麹の酵素活性が弱い場合でも、諸味中の酵素活性が保持されているため、調味料原料の分解が遅い場合には分解時間を延長することで容易に対応可能である。即ち、上記したBrix(%)値、ホルモール滴定値が所期値に達するまで諸味の分解、熟成時間を延長することで対処出来るのである。これまでに報告されている多くの製造方法では、諸味の雑菌汚染を防ぐために、高温反応をする場合が多く結果的に分解途中で蛋白分解酵素が熱変性で活性を失うことが多かった。更に、本発明の実施はこれまで報告されている多くの方法にくらべ、15℃〜35℃と低い温度で行なわれる結果、得られた調味料が良好な香気を示すのが特徴である。40℃以上で分解した場合には得られた調味料に加熱臭、焦げ臭の付着が避けられなかった。
本発明で実施するpH条件では諸味中に汚染細菌の増殖は殆ど見られない。その結果、例えばセレウス菌等による細菌毒素生成の恐れは無い。また、汚染細菌の脱炭酸酵素反応によるヒスチジンからのヒスタミンの生成等の心配も無い。この結果、衛生的に高品質の調味料を製造することが出来る。
本発明に於いては諸味のpHが酸性領域で維持されるため、褐変の原因であるアミノーカルボニル反応が抑制される。そのために非常に薄色の調味料が得られる。この点でこれまで報告されている麹利用調味料が濃口醤油と同等の濃い着色を有するのと非常に異なる特長を有する。
また、麹を用いた発酵生産に於いては酵素分解反応のみでは解析出来ない現象もある。これは、恐らくは、麹菌体の自己消化作用によって活性化された各種の酵素反応等の複合作用によると考えられる。その為に、分解終了後もある程度の期間、熟成を行う場合がある。
本発明の調味料は諸味をそのまま圧搾、濾過、又は遠心分離により固液分離し、滓下げ、冷却保存等で濁り除去し、デカンテーションで油を除くことで清澄な調味料を得ることが出来る。通常は80℃、30分程度の火入れ処理をして製品とする。調味料のpHはそのままでも良いが、PH調整剤を用いて5.0内外のpHに調整しても良い。また、一般的に使用される香料、酸味料、甘味料、呈味剤、増粘剤、食品添加物等を任意に添加しても良い。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
脱脂大豆2.4kgと上記したアスペルギルス・フェニシスの麹1.6kgを16Lの水に分散させ、ついで塩酸でpHを3.0に調整した。諸味を入れた容器を28℃の恒温室に置いて分解、熟成作業を開始した。諸味のpHが2.5から3.5の範囲になるように必要に応じて塩酸又はカセイソーダを添加した。比較例として諸味のpHを1.2から1.8の範囲に調整したもの、及びpHを4.7から5.3の範囲に設定する以外は同様の方法で分解、熟成を行った。
本発明の条件に於いては、分解開始後、全窒素の指標であるBrix(%)は時間の経過につれて増加した。1日経過後にその増加程度はゆるやかとなり、3日後にその値は一定値となった。他方、アミノ態窒素の指標であるホルモール滴定値、及び薄層クロマト分析では3週間後にそれらの測定値が一定となった。これらの結果、3週間で諸味の分解を終了した。その後、諸味を圧搾濾過して調味料を得た。
全窒素は約1.5重量%、アミノ態窒素は0.7重量%であった。諸味中の一般細菌数は分解終了時で1g諸味当たり1000CFU以下であり、殆んど細菌の汚染は見られなかった。
pHを4.8に調整して80℃、30分間火入れ処理を行い品質の評価を行った。呈味性の高い、薄色の調味料が得られた。尚、諸味には分解開始2日頃から酵母の増殖が観察された。酵母により糖分がアルコールに代謝されることでアミノカルボニル反応による着色化が抑制されたと考えられる。
比較例として諸味pHを4.7から5.3に調整した場合には分解開始2日目から異臭が発生し腐敗細菌の増殖が見られたのでその時点で分解を終了させた。比較例として諸味pHを1.2から1.8に調整した諸味ではBrix(%)、アミノ態窒素共に上昇は遅く、3週間後に得られた調味液の全窒素は約0.6重量%、アミノ態窒素は0.3重量%であった。
pHを4.9に調整して80℃、30分の火入れ処理をおこない品質の評価を行なった。両試験区共に、呈味性の高い調味料であった。試験区1(0%)に於いては高級感のある調味料であるが節臭が薄い様に感じられた。試験区2(3%)では節臭が充分残っており、薄色で高級感と共にコク味の強い調味料であった。これらの差は諸味中に増殖した酵母による節臭成分の分解代謝の有無に起因すると思われる。
(実施例5)
アルコール酵母が濃縮された状態である米焼酎蒸留粕2Lに実施例1で示した方法で調製したアスペルギルス・フェニシスの麹200gを分散させ、諸味のpHを塩酸で3.0に調整した。諸味を入れた容器を28℃の恒温室に置いて分解、熟成を行なった。諸味のpHが2.5から3.5の範囲に維持されるように、時々pH調整を行なった。分解開始時点から酵母の増殖が見られ、炭酸ガスの発生が観察された。分解開始後に、全窒素濃度の指標であるBrix(%)値は時間の経過と共に増加して、1日目にその増加はゆるやかになり、2日目にその値は一定値となった。他方、遊離アミノ酸の指標であるホルモール滴定の値は1周間後にその増加はゆるやかとなり、2週間後にその値は一定値となった。その後に更に2週間の熟成を行なった後に分解、熟成作業を終了させた。諸味中の一般細菌数は分解、熟成の終了時点で諸味1g当たり1000CFU以下であり、諸味中の汚染細菌は殆んど見られなかった。pHを5.1に調整して80℃、30分の火入れ処理を行なった後に品質の評価を行なった。得られた調味液の全窒素は約0.9重量%、アミノ態窒素は0.5重量%であった。調味液は薄色の高級感、発酵食品の風味を強く感じさせると共に良好な香味、コク味を呈した。
Claims (2)
- 植物蛋白、魚肉蛋白、動物蛋白及び酵母、又はそれらを含む蛋白質含有素材を調味料原料として耐酸性蛋白分解酵素活性を有する麹でpH2.0から4.5、好ましくはpH2.5から3.5の条件に於いて分解、熟成することで腐敗細菌増殖の危惧無しに製造出来る調味料、及びその製造方法。
- 分解、熟成の開始時にエタノールを2.0容量%から6.0容量%含有することを特徴とする請求項1に記載の調味料、及びその製造方法。
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