JP2014144747A - ステアリングコラム装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】吊り下げボルトの締め付けトルクの管理を容易にして組立工数を削減でき且つ離脱荷重のばらつきを抑制できるステアリングコラム装置を提供。
【解決手段】ステアリングコラム装置1が、固定ブラケット23に支持され、チルトブラケット24を介してアッパージャケット16を吊り下げて、二次衝突時にコラム移動方向に移動可能な吊り下げボルト25を備える。吊り下げボルト25は、固定ブラケット23の第1板30とチルトブラケット24の第2板32とを挿通しナット34に螺合する。吊り下げボルト25の段部55を第2板32に当接させた状態で、吊り下げボルト25の頭部52と第2板30との間に介在する皿ばね42が、第1板30を第2板32側に弾性的に付勢する。且つ段部55とナット34との間で第2板32を挟持することで、第1板30と第2板32とを締結する。
【選択図】図2

Description

本発明はステアリングコラム装置に関する。
ステアリングコラム装置では、車両が他の車両にぶつかる一次衝突に続いて、運転者がステアリングホイールにぶつかる二次衝突が発生する。その二次衝突時の衝撃を吸収するために、ステアリングコラムの一部を車体から離脱させてコラム軸方向に移動させる離脱構造が種々提案されている。
特許文献1では、二次衝突時に互いに離脱する車体側ブラケットとコラム側ブラケットとを、ボルトおよびナットによって剛的に締結する組み付け工程が提案されている。その組み付け工程では、コラムブラケットに対して正規の組み付け位置からずれた仮組み付け位置で車体側ブラケットを仮組み付けした後、コラム側ブラケットに対して車体側ブラケットを正規の組み付け位置まで移動させるときの移動荷重を計測し、計測された実際の移動荷重を用いて求められた締め付けトルクの狙い値で両ブラケットを締結する。
特開2012−131444号公報
しかしながら、特許文献1のように、両ブラケットを剛的に締め付ける場合、両ブラケット間の摩擦状態によってボルトの締め付けトルクの狙い値が大きく変化する。したがって、離脱荷重を精度良く設定するために、全品個別にトルク管理が必要であり、組立工数が増大する。
そこで、本発明の目的は、吊り下げボルトの締め付けトルクの管理を容易にして組立工数を削減でき、しかも離脱荷重のばらつきを抑制することができるステアリングコラム装置を提供することである。
前記目的を達成するため、請求項1の発明は、車体側部材(13)に固定された第1板(30)を含み、前記第1板に、二次衝突時のコラム移動方向(X1)と平行に延びる長孔からなる第1孔(31)が形成された固定ブラケット(23)と、一端に操舵部材(2)が連結されたステアリングシャフト(3)を回転可能に支持する可動ジャケット(16)と、二次衝突時に前記可動ジャケットと共に前記コラム移動方向に移動するように前記可動ジャケットを支持し、前記第1板に対向する第2板(32)を含み、前記第2板に、前記第1孔に対向する第2孔(33)が形成された可動ブラケット(24)と、前記第1板に支持され、前記可動ブラケットを介して前記可動ジャケットを吊り下げて、二次衝突時に前記コラム移動方向に移動可能な吊り下げ機構(T1,T2)と、を備え、前記吊り下げ機構は、前記第1孔および前記第2孔を挿通する吊り下げボルト(25)と、前記吊り下げボルトに螺合し前記吊り下げボルトと共同して前記第1板と前記第2板とを連結するナット(34)と、を含み、前記吊り下げボルトは、頭部(52)と、前記頭部よりも小径で前記頭部に連なり前記第1孔に挿通された大径部(53)と、前記大径部に連なり前記第2孔を挿通された小径部(54)と、前記大径部と前記小径部との間に形成され前記第2板に当接した段部(55)と、前記小径部に設けられ前記ナットに螺合したねじ部(56)と、を含み、前記ナットと前記段部との間に、前記第2板が挟持され、前記吊り下げ機構は、前記頭部と前記第1板との間に介在して前記第1板を前記第2板側に付勢する板ばね(42)を含むステアリングコラム装置(1)を提供する。
なお、括弧内の英数字は、後述する実施形態における対応構成要素等を表すが、このことは、むろん、本発明がそれらの実施形態に限定されるべきことを意味するものではない。以下、この項において同じ。
また、請求項2のように、前記第1孔は、前記コラム移動方向とは直交する方向に離隔して一対設けられ、前記第2孔は、前記コラム移動方向とは直交する方向に離隔して一対設けられ、前記吊り下げボルトは、一対設けられて、対応する第1孔および対応する第2孔にそれぞれ挿通され、前記板ばねは、一対設けられて、それぞれ対応する吊り下げボルトを挿通させた環状の皿ばねであってもよい。
また、請求項3のように、前記吊り下げ機構は、前記板ばねと前記第1板との間に介在した介在板(43)を備え、前記介在板と前記第1板との摺動部の少なくとも一方が、低摩擦材で構成されていてもよい。
また、請求項4のように、前記介在板は、前記一対の吊り下げボルトがそれぞれ挿通された一対の吊り下げ軸挿通孔を有し、前記コラム移動方向とは直交する方向に延びて前記一対の板ばねとしての皿ばねを受ける単一の長板であってもよい。
請求項1の発明によれば、吊り下げボルトの段部を第2板に当接させた状態で、吊り下げボルトの頭部と第2板との間に介在する板ばねが、第1板を第2板側に弾性的に付勢すると共に、段部とナットとの間で第2板を挟持することで、第1板と第2板とを締結している。すなわち、いわゆる締め切り型である吊り下げボルトの締め付け力が、二次衝突時に相対移動する第1板と第2板との間の摩擦に影響を与えないので、締め付けトルクの管理が容易である。特許文献1のような全品個別のトルク調整も不要であり、組立工数を削減することができる。
また、吊り下げボルトという単一の部材における頭部と段部との位置精度が高く、その位置精度の高い頭部と段部との間隔によって、頭部と第2板との間隔を規制するので、頭部と第2板との間隔を精度良く設定することができる。したがって、板ばねの初期荷重を精度良く設定することができるので、二次衝突時の離脱荷重のばらつきを抑制することができる。
また、請求項2の発明によれば、一対の吊り下げボルトが設けられる場合にも、吊り下げボルトがいわゆる締め切り型であるので、一対の吊り下げボルトを交互に増し締めするような作業は不要であり、組立工数を格段に削減することができる。
また、請求項3の発明によれば、板ばねと第1板との間に介在した介在板と、第1板との摺動部の少なくとも一方が、低摩擦材で構成されているので、二次衝突時に、一対の吊り下げボルト、一対の皿ばね等をスムーズにコラム移動方向に移動させることができる。
また、請求項4の発明によれば、介在板が、コラム移動方向とは直交する方向に延び、一対の吊り下げボルトをそれぞれ挿通させた単一の長板であるので、二次衝突時に、一対の吊り下げボルト等をこじり生ずることなく、コラム移動方向に真直に移動させることができる。
本発明の一実施形態のステアリングコラム装置の模式的側面図であり、ステアリングコラム装置の概略構成を示している。 図1のステアリングコラム装置の概略断面図であり、図1のII−II線に沿う断面を示している。 図1のステアリングコラム装置の分解斜視図である。 固定ブラケットと、一対の吊り下げ機構と、連結・離脱機構との一部破断概略平面図である。 第1板と第2板との連結状態の断面図であり、樹脂ピンの軸線を含む前後方向の断面を示している。 二次衝突時の第1板と第2板との断面図であり、樹脂ピンの剪断によって第2板が第1板の所定位置からコラム移動方向へ離脱した状態を示している。 図2のVII −VII 線に沿う断面図であり、第1板および連結・離脱機構の断面を示している。 図2のVIII−VIII線に沿う断面図であり、第2板および連結・離脱機構の断面を示している。 本発明の別の実施形態において、固定ブラケットと、一対の吊り下げ機構と、連結・離脱機構との一部破断概略平面図である。
本発明の好ましい実施形態の添付図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施形態のステアリングコラム装置の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、ステアリングコラム装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2に連結されたステアリングシャフト3と、ステアリングシャフト3に自在継手4を介して連結された中間軸5と、中間軸5に自在継手6を介して連結されたピニオン軸7と、ピニオン軸7の端部近傍に設けられたピニオン7aに噛み合うラック8aを有する転舵軸としてのラック軸8とを備えている。
ピニオン軸7およびラック軸8を含むラックアンドピニオン機構によって、操舵機構A1が構成されている。ラック軸8は、車体側部材9に固定されたハウジング10によって、車両の左右方向に沿う軸方向(紙面とは直交する方向)に移動可能に、支持されている。ラック軸8の各端部は、図示していないが、対応するタイロッドおよび対応するナックルアームを介して対応する転舵輪に連結されている。
ステアリングシャフト3は、例えばスプライン結合を用いて、同行回転可能に且つ軸方向に相対移動可能に連結されたアッパーシャフト11およびロアーシャフト12を有している。ステアリングシャフト3は、車体側部材13,14に固定されたステアリングコラム15によって、図示しない軸受を介して回転可能に支持されている。
ステアリングコラム15は、軸方向に相対移動可能に嵌め合わされた筒状のアッパージャケット16(可動ジャケット)と、筒状のロアージャケット17と、ロアージャケット17の軸方向下端に連結されたハウジング18とを備えている。ハウジング18内には、操舵補助用の電動モータ19の動力を減速してロアーシャフト12に伝達する減速機構20が収容されている。減速機構20は、電動モータ19の回転軸(図示せず)と同行回転可能に連結された駆動ギヤ21と、駆動ギヤ21に噛み合いロアーシャフト12と同行回転する被動ギヤ22とを有している。
本実施の形態では、ステアリングコラム装置1が電動パワーステアリング装置に適用された例に則して説明するが、本発明をマニュアルステアリング装置に適用するようにしてもよい。また、本実施の形態では、ステアリングコラム装置1がチルト調節可能である場合に則して説明するが、本発明をチルト調整機能を持たないステアリングコラム装置に適用するようにしてもよいし、チルト調整可能でテレスコピック調整可能なステアリングコラム装置に適用してもよい。
概略断面図である図2に示すように、ステアリングコラム装置1は、固定ブラケット23によって支持され、可動ブラケットとしてのチルトブラケット24を介してアッパージャケット16を吊り下げる一対の吊り下げ機構T1,T2を備えている。吊り下げ機構T1,T2は、二次衝突時に、チルトブラケット24およびアッパージャケット16と共に、コラム移動方向X1(図1参照。図2では紙面と直交する方向)に移動する。
すなわち、図1および図2に示すように、車体側部材13に固定された固定ブラケット23に、可動ブラケットとしてのチルトブラケット24が、一対の吊り下げ機構T1,T2の吊り下げ軸としての吊り下げボルト25を介して吊り下げられている。一方、ステアリングコラム15のアッパージャケット16には、コラムブラケット26が固定されている。
図1および図2に示すように、ステアリングコラム装置1は、操作レバー27の操作に応じて、締付軸28によってチルトブラケット24を介して、チルト調整後のコラムブラケット26の位置(ひいてはアッパージャケット16および操舵部材2の位置)をロックしたりロックを解除したりするロック機構29を備えている。
図2、図3に示すように、チルトブラケット24は、一対の側板41を備えており、図2に示すように、コラムブラケット26は、チルトブラケット24の一対の側板41にそれぞれ対向する一対の側板71と、一対の側板71の下端間を連結する連結板72とを備えた溝形をなしている。
図2を参照して、締付軸28は、チルトブラケット24およびコラムブラケット26の側板41,71を貫通するボルトからなる。締付軸28に螺合するナット73を、操作レバー27の回転操作によって回転させることにより、締付軸28としてのボルトの頭部とナット73との間に、両側板41,71を締め付け、両側板41,71をロックする。これにより、チルト調整後の操舵部材2の位置をロックし、チルトロックを達成するようにしている。
また、ステアリングコラム装置1は、固定ブラケット23の第1板30とチルトブラケット24の第2板32とを連結し、二次衝突時に、第2板32を第1板30の所定位置(図5に示される位置)から図6に示すようにコラム移動方向X1へ離脱させる連結・離脱機構R1とを備えている。
図2および一部破断概略平面図である図4に示すように、連結・離脱機構R1は、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に関して、一対の吊り下げ機構T1,T2の間(すなわち固定ブラケット23の第1板30の後述する一対の第1孔31の間)に配置されている。具体的には、連結・離脱機構R1は、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に関して、一対の第1孔31の間(すなわち一対の吊り下げボルト25の間)の中央位置に配置されている。
図1を参照して、固定ブラケット23は、二次衝突時のコラム移動方向X1(ステアリングシャフト3の軸方向に相当)に平行な第1板30を備えている。第1板30には、コラム移動方向X1に平行に延びる長孔からなる、吊り下げ機構T1,T2用の第1孔31が形成されている。一方、チルトブラケット24(可動ブラケット)は、第1板30に対向する第2板32を備えている。第2板32には、第1孔31の一部と対向する、吊り下げ機構T1,T2用の第2孔33が形成されている。
吊り下げボルト25は、第1板30の第1孔31および第2板32の第2孔33を挿通して、ナット34に螺合するボルトにより構成されている。ナット34と共同して第1板30と第2板32とを連結した吊り下げボルト25が、チルトブラケット24(可動ブラケット)およびコラムブラケット26を介してアッパージャケット16(可動ジャケット)を吊り下げている。また、吊り下げボルト25は、二次衝突時に、第1孔31に沿って、チルトブラケット24(可動ブラケット)、コラムブラケット26およびアッパージャケット16と共に、コラム移動方向X1に移動可能である。
車体側部材14に固定されたロアーブラケット35が、ピボット軸であるチルト中心軸36を支持している。チルト中心軸36は、ステアリングコラム15のハウジング18を介して、ロアージャケット17を、当該チルト中心軸36の回りに揺動可能に支持している。
図2および図3に示すように、各吊り下げ機構T1,T2は、吊り下げボルト25と、板ばねとしての皿ばね42と、ナット34等により構成されている。連結・離脱機構R1は、二次衝突時に剪断する樹脂ピン61と、樹脂ピン61の軸方向の一部に嵌合した円筒状の金属カラー62とで構成されている。
図3を参照して、固定ブラケット23は、第1板30の一対の側縁からそれぞれ下向きに延設された一対の側板37と、一対の側板37からそれぞれ外側方へ延設された一対の取付板38とを備えている。固定ブラケット23は、例えば板金により形成されている。各取付板38に設けられたねじ挿通孔39(図3および図4参照)を挿通した固定ボルト40(図4参照)によって、各取付板38が、車体側部材13に固定されている。これにより、固定ブラケット23が車体側部材13に固定されている。
図2〜図4を参照して、固定ブラケット23の第1板30において、第1孔31は、一対の吊り下げボルト25に対応して一対設けられている。一対の第1孔31は、二次衝突時のコラム移動方向X1と平行に延び、また、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に離隔している。
図2、図3に示すように、チルトブラケット24(可動ブラケット)は、例えば板金により形成されている。チルトブラケット24は、第2板32と、第2板32の一対の側縁から下向きに延設された一対の側板41とを備えており、溝形をなしている。第2板32と各側板41との連結部は、図2、図3に示すように湾曲状に形成されていてもよい。
チルトブラケット24の第2板32において、第2孔33は、一対の吊り下げボルト25に対応して一対設けられている。各吊り下げボルト25は、板ばねとしての環状の皿ばね42と、第1介在板43の対応する挿通孔44と、第1板30の対応する第1孔31と、第2板32の対応する第2孔33とを順次に挿通して、ナット34にねじ込まれている。これにより、吊り下げボルト25がチルトブラケット24を吊り下げている。
第1介在板43は、図3および図4に示すように、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に延びる長板からなり、図2に示すように、両皿ばね42と第1板30の上面30aとの間に介在している。第1介在板43の少なくとも第1板30側の面が、例えばフッ素樹脂等の低摩擦材で構成されている。すなわち、第1介在板43全体が、低摩擦材で構成されていてもよいし、第1介在板43の第1板30側の面に、低摩擦材が被覆されていてもよい。
第1板30と第2板32との間には、二次衝突時に第2板32が第1板30に対して、コラム移動方向X1に移動するときの摺動抵抗を低減させる働きをする第2介在板45と第3介在板46とが介在している。
第2介在板45は、第2板32のコラム移動方向X1側の端部である第1端部321に係止された溝形のユニット45Uを構成している。すなわち、ユニット45Uは、第2板32の上面32aおよび第1板30の下面30bに沿う第2介在板45と、第2介在板45と対向し且つ第2板32の下面32bに沿う対向板47と、第2介在板45と対向板47とを連結し且つ第2板32のコラム移動方向X1側の端縁に当接する連結板48とを備えている。
第2介在板45の少なくとも第1板30側の面が、例えばフッ素樹脂等の低摩擦材で構成されている。すなわち、第2介在板45ないしユニット45Uが、低摩擦材で構成されていてもよいし、第2介在板45の第1板30側の面に、低摩擦材が被覆されていてもよい。
第3介在板46は、第1板30のコラム移動方向X1とは反対側の端部である第2端部302および第2板32のコラム移動方向X1とは反対側の端部である第2端部322に係止されたユニット46Uを構成している。すなわち、ユニット46Uは、第2板32の上面32aおよび第1板30の下面30bに沿う第3介在板46と、第3介在板46に対向し且つ第1板30の上面30aに沿う対向板49とを備えている。また、ユニット46Uは、第3介在板46と対向板49とを連結し且つ第1板30のラコム移動方向X1とは反対側の端縁に当接する連結板50と、第2板32の第2端部322に引っ掛け係止される例えば鉤形フック状の係止部51とを備えている。
第3介在板46の少なくとも第2板32側の面が、例えばフッ素樹脂等の低摩擦材で構成されている。すなわち、第3介在板46ないしユニット46Uが、低摩擦材で構成されていてもよいし、第3介在板46の第2板32側の面に、低摩擦材が被覆されていてもよい。
図2および図3に示すように、各吊り下げボルト25は、頭部52と、頭部52に連なり頭部52より小径の大径部53と、大径部53に連なり大径部53より小径の小径部54と、大径部53と小径部54との間に形成された段部55と、小径部54に設けられたねじ部56とを備えている。頭部52には、例えば六角孔形状の工具係合部57が設けられている。
図2に示すように、大径部53が、環状の皿ばね42と、第1介在板43の挿通孔44と、第1板30の第1孔31とを挿通している。段部55は、第2板32の上面32aに当接し、上面32aによって受けられている。段部55とナット34との間で第2板32が挟持されて、吊り下げボルト25と第2板32とが固定されている。
頭部52と段部55との間隔H1(大径部53の軸長に相当)は、第1板30と第2板32との間に介在する第2介在板45の板厚(ないし第3介在板46の板厚)と、第1板30の板厚と、第1板30の上面30aに沿う第1介在板43の板厚と、最圧縮時の皿ばね42の板厚との合計よりも大きくされている。これにより、皿ばね42が、第1介在板43を介して第1板30を第2板32側へ弾性的に付勢している。
連結・離脱機構R1の樹脂ピン61は、例えば断面円形の頭部63と、頭部63よりも小径の円柱状の軸部64とを備えている。円筒状の金属カラー62は、軸部64の外周に嵌合されている。金属カラー62の外径は、樹脂ピン61の頭部63の外径と等しくされている。金属カラー62の軸方向の第1端部621が、樹脂ピン61の頭部63に当接し、金属カラー62の軸方向の第2端部622が、第2板32の上面32aによって受けられている。これにより、樹脂ピン61および金属カラー62が、第2板32の下方へ脱落することが防止されている。
一方、第1介在板43が、樹脂ピン61の頭部63の上方を覆うように配置されることで、樹脂ピン61の上方への脱落が防止されている。また、第1介在板43には、樹脂ピン61の頭部63に対向して、頭部63の外径よりも小さい覗き孔65が形成されている。連結・離脱機構R1の組立後に、第1介在板43の覗き孔65を通して樹脂ピン61の頭部63を視認することにより、樹脂ピン61の組み付け忘れ等の作業不良を容易に判断することができる。
樹脂ピン61の頭部63と金属カラー62の大部分とは、固定ブラケット23の第1板30の、連結・離脱機構R1用の第1孔66に挿通されている。金属カラー62の一部は、第1孔66から突出している。樹脂ピン61の軸部64のうち、金属カラー62から突出した部分が、チルトブラケット24(可動ブラケット)の第2板32の、連結・離脱機構R1用の第2孔67に挿通されている。
図2のVII −VII 線に沿う断面である図7に示すように、第1板30の連結・離脱機構R1用の第1孔66は、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に関して、吊り下げ機構T1,T2用の第1孔31間の中央位置に配置されている。すなわち、樹脂ピン61は、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に関して、一対の吊り下げボルト25間の中央位置に配置されている。
また、第1板30の連結・離脱機構R1用の第1孔66は、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に長い横長孔に形成されている。これにより、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に関して、金属カラー62の外周と第1孔66の内周との間に隙間S1,S2が設けられている。
隙間S1,S2があるので、運搬時や組み付け時に、何らかの外力によって、第1板30と第2板32とが、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に、多少位置ずれを生じたとしても、樹脂ピン61が剪断することがない。
図2のVIII−VIII線に沿う断面である図8に示すように、チルトブラケット24の第2板32の、連結・離脱機構R1用の第2孔67は、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に関して、吊り下げ機構T1,T2用の一対の第2孔33間の中央位置に配置されている。第2孔67は、樹脂ピン61の軸部64の外径と同じか又は若干大きい内径を持つ円孔により形成されている。
二次衝突時には、金属カラー62の第2端部622と第2板32との合わせ面のずれによって、樹脂ピン61の軸部64が剪断される。金属カラー62の第2端部622の内周縁で構成される剪断刃は、円弧状であり、第2板32の第2孔67の縁部で構成される剪断刃も、円弧状である。
本実施形態によれば、図2に示すように、吊り下げボルト25の段部55を第2板32に当接させた状態で、吊り下げボルト25の頭部52と第2板32との間に介在する板ばねとしての皿ばね42が、第1板30を第2板32側に弾性的に付勢すると共に、段部55とナット34との間で第2板32を挟持することで、第1板30と第2板32とを締結している。すなわち、いわゆる締め切り型である吊り下げボルト25の締め付け力が、二次衝突時に相対移動する第1板30と第2板32との間の摩擦に影響を与えないので、締め付けトルクの管理が容易である。特許文献1のような全品個別のトルク調整も不要であり、組立工数を削減することができる。
また、吊り下げボルト25という単一の部材における頭部52と段部55との位置精度が高く、その位置精度の高い頭部52と段部55との間の間隔H1によって、頭部52と第2板32との間隔を規制するので、頭部52と第2板32との間隔を精度良く設定することができる。したがって、皿ばね42の初期荷重を精度良く設定することができるので、二次衝突時の離脱荷重のばらつきを抑制することができる。
また、本実施形態のように一対の吊り下げボルト25が設けられる場合にも、吊り下げボルト25がいわゆる締め切り型であるので、一対の吊り下げボルト25を交互に増し締めするような作業は不要であり、組立工数を格段に削減することができる。また、ナット34を第2板32に溶接したり、ナット34を第2板32ないし吊り下げボルト25にかしめ付けたりする作業が不要であり、この点からも組立工数を削減することができる。
また、皿ばね42と第1板30との間に介在した第1介在板43と、第1板30との摺動部の少なくとも一方が、低摩擦材で構成されているので、二次衝突時に、一対の吊り下げボルト25、一対の皿ばね42等をスムーズにコラム移動方向X1に移動させることができる。
また、第1介在板43が、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に延び、一対の吊り下げボルト25をそれぞれ挿通させた単一の長板であるので、二次衝突時に、一対の吊り下げボルト25等をこじり生ずることなく、コラム移動方向X1に真直に移動させることができる。
また、第1板30と第2板32との間に、二次衝突時に第2板32と同行移動する第2介在板45を介在させ、第2介在板45の少なくとも第1板30側の面を低摩擦材で構成している。また、第1板30と第2板32との間に、第1板30に保持されて、二次衝突時に、第2板32の上面32aに対して相対移動するおよ第3介在板46を介在させ、第2板32と摺動する第3介在板46の少なくとも第2板32側の面を低摩擦材で構成している。
これら第1介在板43、第2介在板45および第3介在板46の働きで、二次衝突時に、第1板30と第2板32とをよりスムーズに相対移動させることができる。したがって、こじりの発生をより確実に抑制することができる。
二次衝突時に、チルトブラケット24(可動ブラケット)の第2板32を固定ブラケット23の第1板30の所定位置(図5参照)からコラム移動方向X1に離脱させる連結・離脱機構R1が、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に関して、一対の長孔からなる第1孔31の間のみに設けられているので、二次衝突時の固定ブラケット23に対するチルトブラケット24のこじりの発生を抑制して、チルトブラケット24をコラム移動方向X1に真直に移動させることができる。
また、二次衝突時に、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に関して、一対の第1孔31の間に単一で設けられた樹脂ピン61が剪断することにより、固定ブラケット23の第1板30の所定位置からチルトブラケット24の第2板32を離脱させる。二次衝突時に、樹脂ピン61回りのモーメントの不均衡が生じることを抑制でき、両ブラケット23,24のこじりの発生を抑制して、チルトブラケット24をコラム移動方向X1に真直に移動させることができる。
特に、連結・離脱機構R1が、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に関して、一対の第1孔31の間の中央位置に配置されているので、二次衝突時に、こじりの発生を確実に抑制して、チルトブラケット24をコラム移動方向X1に確実に真直に移動させることができる。
また、二次衝突時に、図5、図6に示すように、第1板30と第2板32との相対移動に伴って軸部64の一部641が残りの部分から分離するように剪断する連結・離脱機構R1の樹脂ピン61が、第1板30の第1孔66と第2板32の第2孔67とに挿通されている。図7に示すように、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に関して、第1孔66と樹脂ピン61とが所定量相対移動可能である。具体的には、樹脂ピン61の外周に嵌合された金属カラー62の外周と第1孔66の内周との間に、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に関して隙間S1,S2が設けられている。したがって、車両への組み付け前のステアリングコラム装置1を運搬するときや、ステアリングコラム装置1を車両へ組み付けるときに、何らかの外力で横方向の衝撃が加わったとしても、樹脂ピン61が剪断することがない。
また、図8に示すように、樹脂ピン61が挿通する第2孔67が、コラム移動方向X1とは反対側の領域で、円弧状の断面形状をなしている(具体的には、第2孔67の断面全体が円形をなしている)。したがって、二次衝突時に、樹脂ピン61がコラム移動方向X1に倒れる(いわゆる転ぶ)ようなことがなく、スムーズに剪断する。したがって、安定した衝撃吸収荷重を得ることができる。
また、図5に示すように、樹脂ピン61が第1孔66および第2孔67に跨がるストレートな断面形状の円柱状部(軸部64に相当)を含んでいるので、樹脂ピン61の剪断面積が一定となり、安定した衝撃吸収荷重を得ることができる。
また、図5に示すように、内周が円断面をなす金属カラー62が、樹脂ピン61の円柱状部(軸部64)の外周に嵌合し、金属カラー62が、第1板30の第1孔66に挿通されて、金属カラー62の第2端部622が第2板32の上面32aの第2孔67の周縁によって受けられている。したがって、二次衝突時に、樹脂ピン61を剪断する一対の剪断刃として機能する一対の部位間(金属カラー62の第2端部622の内周と第2孔67の上端の周縁)の、樹脂ピン61の軸方向に関する隙間を殆どなくすことができる。したがって、剪断時に樹脂ピン61に曲げが及ぼされることがなく、樹脂ピン61の剪断荷重を安定させることができる。
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、図4の実施形態の連結・離脱機構R1に代えて、図9の実施形態に示すように、コラム移動方向X1に並ぶ単一列で設けられた複数の樹脂ピン61A,61B,61Cを含む連結・離脱機構R10を用いてもよい。各樹脂ピン61A,61B,61Cは、それぞれ、対応する第1孔66A,66B,66Cに挿通されている。樹脂ピン61A,61B,61Cの列は、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に関して、一対の第1孔31間の中央位置に配置されている。
本実施形態においても、図4の実施形態と同じ効果を奏することができる。しかも、樹脂ピン61A,61B,61Cの個数の選択によって離脱荷重を容易に設定することができる。本実施形態において、図4の実施形態の構成要素と同じ構成要素には、図4の実施形態の構成要素の参照符号と同じ参照符号を付してある。
その他、本発明の請求項記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
1…ステアリングコラム装置、2…操舵部材、3…ステアリングシャフト、13…車体側部材、15…ステアリングコラム、16…アッパージャケット(可動ジャケット)、23…固定ブラケット、24…チルトブラケット(可動ブラケット)、25…吊り下げボルト、26…コラムブラケット、27…操作レバー、28…締付軸、29…ロック機構、30…第1板、31…(吊り下げ機構用の)第1孔、32…第2板、33…(吊り下げ機構用の)第2孔、34…ナット、42…皿ばね(板ばね)、43…第1介在板、44…挿通孔、45…第2介在板、45U…ユニット、46…第3介在板、46U…ユニット、52…頭部、53…大径部、54…小径部、55…段部、56…ねじ部、61;61A,61B,61C…樹脂ピン、62…金属カラー、63…頭部、64…軸部、65…覗き孔、66;66A,66B,66C…(連結・離脱機構用の)第1孔、67…(連結・離脱機構用の)第2孔、R1;R10…連結・離脱機構、T1,T2…吊り下げ機構、X1…コラム移動方向、Y1…コラム移動方向とは直交する方向

Claims (4)

  1. 車体側部材に固定された第1板を含み、前記第1板に、二次衝突時のコラム移動方向と平行に延びる長孔からなる第1孔が形成された固定ブラケットと、
    一端に操舵部材が連結されたステアリングシャフトを回転可能に支持する可動ジャケットと、
    二次衝突時に前記可動ジャケットと共に前記コラム移動方向に移動するように前記可動ジャケットを支持し、前記第1板に対向する第2板を含み、前記第2板に、前記第1孔に対向する第2孔が形成された可動ブラケットと、
    前記第1板に支持され、前記可動ブラケットを介して前記可動ジャケットを吊り下げて、二次衝突時に前記コラム移動方向に移動可能な吊り下げ機構と、を備え、
    前記吊り下げ機構は、前記第1孔および前記第2孔を挿通する吊り下げボルトと、前記吊り下げボルトに螺合し前記吊り下げボルトと共同して前記第1板と前記第2板とを連結するナットと、を含み、
    前記吊り下げボルトは、頭部と、前記頭部よりも小径で前記頭部に連なり前記第1孔に挿通された大径部と、前記大径部に連なり前記第2孔を挿通された小径部と、前記大径部と前記小径部との間に形成され前記第2板に当接した段部と、前記小径部に設けられ前記ナットに螺合したねじ部と、を含み、
    前記ナットと前記段部との間に、前記第2板が挟持され、
    前記吊り下げ機構は、前記頭部と前記第1板との間に介在して前記第1板を前記第2板側に付勢する板ばねを含むステアリングコラム装置。
  2. 請求項1において、前記第1孔は、前記コラム移動方向とは直交する方向に離隔して一対設けられ、
    前記第2孔は、前記コラム移動方向とは直交する方向に離隔して一対設けられ、
    前記吊り下げボルトは、一対設けられて、対応する第1孔および対応する第2孔にそれぞれ挿通され、
    前記板ばねは、一対設けられて、それぞれ対応する吊り下げボルトを挿通させた環状の皿ばねであるステアリングコラム装置。
  3. 請求項2において、前記吊り下げ機構は、前記板ばねと前記第1板との間に介在した介在板を備え、
    前記介在板と前記第1板との摺動部の少なくとも一方が、低摩擦材で構成されているステアリングコラム装置。
  4. 請求項3において、前記介在板は、前記一対の吊り下げボルトがそれぞれ挿通された一対の吊り下げ軸挿通孔を有し、前記コラム移動方向とは直交する方向に延びて前記一対の板ばねとしての皿ばねを受ける単一の長板であるステアリングコラム装置。
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