JP3393201B2 - ステアリング装置の連結装置 - Google Patents

ステアリング装置の連結装置

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JP3393201B2
JP3393201B2 JP13869095A JP13869095A JP3393201B2 JP 3393201 B2 JP3393201 B2 JP 3393201B2 JP 13869095 A JP13869095 A JP 13869095A JP 13869095 A JP13869095 A JP 13869095A JP 3393201 B2 JP3393201 B2 JP 3393201B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はステアリング装置の連結
装置に関し、より詳しくは、ステアリング装置に対して
ステアリングホイール側から衝撃的な荷重が掛かった際
にステアリング装置を車体側部材から離脱させるように
した連結装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ステアリング装置に対して軸方向
に衝撃的な荷重が掛かった際にステアリング装置を車体
側部材から離脱させて、その衝撃を吸収させるようにし
た連結装置は知られている。そして、従来、このような
連結装置は、ステアリング装置を支持するブラケットと
車体側部材とを所定の離脱荷重で固定するカプセルと、
該カプセルの所定位置に穿設した貫通孔に嵌合した円筒
部材と、該円筒部材に挿通して上記カプセルを上記ブラ
ケットと上記車体側部材とのいずれか一方に挟圧固定
し、他方を上記カプセルに挟持させる連結部材とを備え
ている(例えば、実開昭56−18267号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来の連結装置においては、カプセルにおける円筒部材を
貫通孔に対して固着していたものである。そのため、製
造誤差等によって貫通孔に対する円筒部材の固着位置が
軸方向にばらつくことがあった。このように、貫通孔に
対する円筒部材の固着位置がばらつくと、同一のトルク
でボルトを締め付けてカプセルを車体側部材に連結した
としても、車体側部材と座金とで挟圧されているカプセ
ルに対する押圧力がばらつくので、ブラケット(ステア
リング装置)がカプセルから離脱する際の離脱荷重が安
定しないという欠点が生じる。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような事情に鑑み、
本発明は、ステアリング装置を支持するブラケットと車
体側部材とを所定の離脱荷重で固定するカプセルと、該
カプセルの所定位置に穿設した貫通孔に嵌合した円筒部
材と、該円筒部材に挿通して上記カプセルを上記ブラケ
ットと上記車体側部材とのいずれか一方に挟圧固定し、
他方を上記カプセルに挟持させる連結部材とを有するス
テアリング装置の連結装置において、上記カプセルは、
所定位置にそれぞれ貫通孔を穿設するとともに相互に分
離させて形成した一側部および他側部と、折り曲げ可能
に形成されて上記一側部と他側部とを接続する連結部と
を備えて、上記連結部を折り曲げて上記一側部と他側部
とを対向させて相互に一体に連結するように構成されて
おり、相互に一体に連結した上記一側部および他側部の
少なくとも一方の貫通孔に対して上記円筒部材を軸方向
に移動可能に嵌合させたものである。
【0005】
【作用】このような構成によれば、カプセルの製造時
に、その貫通孔に対する円筒部材の嵌合位置が軸方向に
ずれていたとしても、カプセルを上記ブラケットあるい
は車体側部材に連結する際に円筒部材が貫通孔に対して
相対移動することができる。これにより、カプセルが適
正位置に挟圧され、カプセルに対する押圧力を一定にす
ることができる。そのため、ブラケット(ステアリング
装置)がカプセルから離脱する際の離脱荷重を一定にす
ることができる。したがって、ステアリング装置が離脱
する際の離脱荷重を安定させることができる。
【0006】
【実施例】以下図示実施例について本発明を説明する
と、図1において1は自動車のステアリングホイールで
あり、このステアリングホイール1はステアリングコラ
ム2の上端に設けられている。図2に示すように、ステ
アリングコラム2には、左右両側に向けて突出する羽根
状のブラケット3を一体に連結している。ブラケット3
における左右の2か所には、上方側が開口した切欠き部
3aをそれぞれ形成している。上記各切欠き部3aには
合成樹脂製のカプセル4を係合させてあり、カプセル4
は、頭部に押え部材としての座金5を係合させた連結部
材であるボルト6によって車体側部材7に連結されてい
る。そして、車体側部材7に連結されたカプセル4によ
って、切欠き部3aの隣接位置となるブラケット3の両
面が挟持されており、これによって、ステアリングコラ
ム2は所定の離脱荷重によって離脱可能にカプセル4
(車体側部材7)に保持されている(図10参照)。し
たがって、ステアリングホイール1が上記離脱荷重を越
えるような衝撃的な荷重を受けた場合には、ブラケット
3およびステアリングコラム2はカプセル4から離脱す
るようになっており、その際にはステアリングコラム2
の下方側に設けた従来公知の衝撃吸収機構8が座屈する
ようになっている。これによって、ステアリングホイー
ル1側からステアリングコラム2に加わる衝撃を吸収で
きるようになっている。しかして、図3ないし図6に示
すように、本実施例のカプセル4は、ほぼ同じ台形の輪
郭を有する一側部4Aと他側部4Bとを備え、これら一
側部48Aと他側部4Bとは一対の連結部4Cによって
連結されている。カプセル4は、上記連結部4Cを折り
曲げて、分割状態の一側部4Aと他側部4Bとを対向さ
せて相互に一体に連結し、その状態において、上記切欠
き部3aに係合させるようになっている。一側部4Aお
よび他側部4Bの中央には、それぞれ上記ボルト6の軸
部が挿通される貫通孔4a,4bを穿設してあり、一側
部4Aの貫通孔4aには、鉄製で円筒状のカラー11を
嵌合している。また、図3に示した一側部4Aおよび他
側部4Bにおける内面側には、上記貫通孔4a,4bを
囲繞して平坦な会合面4c、4c’を突設して、貫通孔
4a,4bの軸方向寸法を長くしてあり、それによって
貫通孔4aによるカラー11の保持力を向上させてい
る。上記会合面4c、4c’の外方側(両側)には、ブ
ラケット3の両面と当接する平坦な当接面4d、4d’
をそれぞれ形成している。後に詳述するが、カプセル4
は、合成樹脂を射出成型して製造するようにしてあり、
その際、カラー11を予め鋳型の所定位置に位置させて
射出成型するようにしている。そのため、製造後のカプ
セル4は、一側部4Aの貫通孔4aにカラー11を嵌合
した状態となっており、また、図3から図5に示すよう
に、一側部4A、連結部4Cおよび他側部4Bは略同一
平面上に維持されるようになっている。そして、ボルト
6を用いてカプセル4を車体側部材7に連結してブラケ
ット3を保持する際には、両連結部4Cを折り曲げて図
3に示した一側部4Aおよび他側部4Bにおける内面側
を相互に対向させるとともに会合面4c、4c’を相互
に当接しないように対向させ、かつカラー11の端部外
を他側部4Bの貫通孔4bに嵌合させる。また、この
とき当接面4d、4d’をブラケット3の両面にそれぞ
れ当接させるとともに、図4に示した一側部4Aの外面
を車体側部材7に当接させ、また他側部4Bの外面を座
金5に当接させる。この状態において、ボルト6をカプ
セル4のカラー11に挿通させてカプセル4を車体側部
材7に連結するとともに、カプセル4の両当接面4d,
4d’によってブラケット3を挟持して保持するように
している。図3に示すように、両連結部4Cの間となる
一側部4Aおよび他側部4Bの会合面4c,4c’に
は、円弧状の凹部4e,4e’を形成している。これら
各凹部4e,4e’の両側には、ステアリングコラム2
の軸方向に伸びる左右一対のリブ4r,4r’をそれぞ
れ形成している。これら各凹部4e,4e’の両側に設
けた各一対のリブ4r,4r’は、連結完了後において
切欠き部3a内に位置するので、ステアリングコラム2
に対して軸方向と交差する方向から荷重が掛かったとし
ても、ステアリングコラム2が左右方向にむけて傾かな
いようになっている。上記一側部4Aにおける凹部4e
から連続する両連結部4Cの中間の位置には第1係合爪
4fを突設してあり、この第1係合爪4fと対向する他
側部4Bには、第1係合爪4fと係合する第1係合部4
gを形成している。また、一側部4Aには、貫通孔4a
を挟んで第1係合爪4fと反対側の位置に第2係合爪4
hを形成している。他方、両連結部4Cを折り曲げた際
に第2係合爪4hと対向する他側部4Bには、上記第2
係合爪4hと係合する第2係合部4iを形成している。
次に、図3に示すように、一側部4Aの当接面4dに
は、貫通孔4aを挟んだ両側に長穴状の凹部4j、4j
を形成してあり、これらと対向する他側部4Bの当接面
4d’にも長穴状の凹部4j’、4j’を形成してい
る。また、他側部4Bの当接面4d’の4隅の位置に
は、それぞれ有底孔からなる凹部4k、4k’を形成し
ている。さらに、図4に示すように、凹部4j’、4
j’の裏面の位置となる一側部4Bの外面には、貫通孔
4bを挟んだ両側に、貫通孔4bの輪郭に沿った円弧状
突起4lを設けている。これらの突起4lの輪郭とな
る縁部は隣接する外面よりも窪ませている。なお、当接
面4d,4d’に設けた長穴状の凹部4j、4j’はス
テアリングコラム2の軸方向に沿って出来るだけ長く設
けた方がよく、ブラケット3の縁部3bに略沿うように
若干斜めに配置して、離脱時にも安定かつ良好な荷重分
布が当接面4d,4d’に配されるようになっている。
次に、図3に示すように、一側部4Aにおける第2係合
爪4hの隣接箇所には左右一対の係合凸部4mを突設す
るとともに、一側部4Aにおける凹部4eの隣接箇所に
も左右一対の係合凸部4nを突設している。これらの2
対の係合凸部4m、4nを、図2に示したブラケット3
の切欠き部3aにおける上下方向の縁部3bの上下両側
にそれぞれ係合させることで、ブラケット3の左右方向
に対するカプセル4の取付位置を規制するようにしてい
る。この図2に示すように、ブラケット3の切欠き部3
aは、下端部から上端部にわたって徐々に間隔が広くな
る台形状としているので、上下位置の各係合凸部4m、
4nが隔てた間隔は、左右の縁部3bが隔てた間隔に合
わせて寸法を調整してあり、また、各係合凸部4m、4
nは縁部3bの方向に合わせて斜めに形成している。な
お、当接面4d,4d’でブラケット3を挟むようにし
てあるので、会合面4c,4c’同士は必ずしも当接す
る必要はなく、むしろ取付後に会合面4c,4c’の間
に隙間を設けるようにすれば、押圧荷重が当接面4d,
4d’へ配分されて面圧向上にも寄与して好ましい。同
様に、係合凸部4m,4nは他側部4Bの当接面4d’
に当接しないような高さにすると良い。さらに、図3に
示すように、一側部4Aの左方側の当接面4dにおける
第2係合爪4hの左方側には円柱状の基準ピン4pを突
設してあり、また上記貫通孔4aを挟んで基準ピン4p
と反対側には円柱状の調整ピン4qを突設している。基
準ピン4pおよび調整ピン4qの高さは同じ高さとして
いるが、図5、図6に示すように会合面4cよりも少し
高くしている。他方、図2に示すように、本実施例のブ
ラケット3には、切欠き部3aにおける上方部両側にお
よび下方部右側の3か所に同一内径の係合孔3cを穿設
するとともに、下方部の左側には、ステアリングコラム
2の軸心と略直交する方向(切欠き部3aの切欠き方向
と略直交する方向、すなわちブラケット3の略離脱方
向)に長穴3dを穿設している。長穴3dの短径(内
径)はカプセル4の基準ピン4pの外径と同一に設定し
ているが、3か所の係合孔3cの径は調整ピン4qが遊
嵌合される寸法に設定している。そして、上述した基準
ピン4pは長穴3dに嵌合されるとともに、調整ピン4
qは図2における上方部右側の係合孔3cに嵌合される
ようになっている。なお、基準ピン4pや調整ピン4q
の高さはブラケット3に設けた長穴3d、係合孔3cに
嵌合して所定の離脱荷重が発揮しうる高さに設定してお
けばよい。これらのピンは必要に応じて高さを高くし
て、他側部4Bの凹部4k、4k’まで伸びるようにし
て、他側部4Bの側でもピンの剪断ができるように構成
することで、離脱荷重を高くすることができる。その場
合、他側部4Bの凹部4k、4k’の大きさは、剪断荷
重が一層安定するように、係合孔3cや長穴3dより小
さく設定すると良い。また、本実施例では調整ピン4q
は一か所だけに設けているが、ブラケット3側の3か所
の係合孔3cの位置に合わせて調整ピン4qを2か所な
いし3か所設けても良く、そのように構成すれば、変更
可能な離脱荷重の大きさを拡大することができる。そし
て、カプセル4を用いてブラケット3を車体側部材7に
保持する際には、基準ピン4pをブラケット3の長穴3
dの一方に嵌合させるとともに、調整ピン4qを上方部
右側の係合孔3cに遊嵌合させて、各切欠き部3aの上
下方向におけるカプセル4の取付位置を規制する様にし
ている。このようにカプセル4を用いてブラケット3を
車体側部材7に保持する際には、先ず、一側部4Aに設
けた基準ピン4p、調整ピン4qをブラケット3側の長
穴3dおよび係合孔3cにそれぞれ嵌合させるととも
に、一側部4Aに設けた上下各一対の係合凸部4m,4
nを切欠き部3aの縁部3bの下両側、上両側にそれぞ
れ係合させる。これによって、カプセル4の一側部4A
が切欠き部3aの所定位置に係合されるとともに、当接
面4dを切欠き部3aに隣接するブラケット3の裏面に
重合させる。この状態となったら、連結部4Cを折り曲
げて他側部4Bを手前側に倒しつつ一側部4Aに対して
対向させるとともに、切欠き部3aの空間を介して第1
係合爪4fと第1係合部4gとを相互に係合させ、また
第2係合爪4hと第2係合部4iとを相互に係合させ
る。この時にはカラー11における他端11B側の外周
部が他側部4Bの貫通孔4bに遊嵌合され、かつ当接面
4d’が切欠き部3aに隣接するブラケット3の前面に
重合する。これによって、それまで分割状態であったカ
プセル4の一側部4Aと他側部4Bとが一体に連結され
るとともに、カプセル4が切欠き部3aの所定位置に係
合されたことになる。この状態において、頭部に座金5
を係合させたボルト6をカプセル4のカラー11に挿通
して、カプセル4を車体側部材7に連結するようにして
いる。さらに、本実施例では、カプセル4に嵌合した円
筒状のカラー11は、鉄製の巻きブッシュから構成して
いる。したがって、本実施例のカラー11は、円周方向
に不連続となっており、また、相互に対向する突き合わ
せ面11aの外周側の縁部はそれぞれ斜めに面取りして
いる(図8)。このように巻きブッシュからなる本実施
例のカラー11は、鋳型に合成樹脂を射出成型してカプ
セル4を製造する前に、上記一側部4Aの貫通孔4aと
なる位置に予め配置しておき、その状態で一体成型する
ようにしている。また、このように一体成型するに当っ
ては、巻きブッシュからなるカラー11の突き合わせ面
11aを相互に近接させてカラー11を縮径させた状態
を維持するようにしている。したがって、合成樹脂を射
出成型してカプセル4の製造が終了した時には、カプセ
ル4の一側部4Aの貫通孔4aにカラー11が一体に嵌
合された状態となり、しかも、カラー11は拡径する方
向に内部応力が残留したまま貫通孔4aに嵌合されるこ
とになる。この時には、突合せ面11aが相互に当接ま
たは当接する程度まで近接しており、したがって、両突
合せ面11aの面取り部分によって断面略三角形の直線
状の空間が形成され、そこに合成樹脂が充填されて凝固
する様になっている(図3、図4)。そして、この面取
り部分に充填された合成樹脂によって、カラー11はカ
プセル4の貫通孔4aに対して回転不能になっている。
このように、本実施例では、一側部4Aの貫通孔4aに
カラー11を嵌合しているが、カラー11に対して軸方
向に力が作用した時には、カラー11は一側部4Aの貫
通孔4aに対して軸方向に相対移動出来るようになって
いる。上記カラー11の軸方向寸法は、図9ないし図1
0に示したように、ブラケット3の切欠き部3aにカプ
セル4を係合させ、かつ対向する当接面4d,4d’を
ブラケット3に当接させた状態において、他側部4Bに
設けた突起4lの先端から一側部の外面に至るまでの左
右方向の寸法よりもわずかに短く設定している。本実施
例では、上述したように、カラー11を嵌合した状態で
カプセル4を一体成型した際には、図5に示すように、
カラー11における軸方向の一端11Aは、一側部4A
の外面よりも若干外方側に突出した状態となっており、
他方、カラー11における他端11Bは第2係合爪4h
の先端と同じほど突出した状態となっている(図6、図
7参照)。上述のように、本実施例では、残留応力を維
持したままのカラー11を一側部4Aの貫通孔4aに一
体成型し、かつ貫通孔4aに対して回転不能となるよう
にしているが、該カラー11は軸方向に所定の荷重が掛
かった場合には、貫通孔4aに対して軸方向に摺動出来
るようになっている。そして、本実施例では、上述のよ
うにカラー11を貫通孔4aの位置に一体成型する際の
摩擦力は、カラー11を保持可能な最低荷重以上で、か
つ締め付け荷重よりは小さな摩擦力となるように調整し
ている。したがって、製造後のカプセル4にはカラー1
1が一体に嵌着された状態となり、カラー11に対して
軸方向の力が作用しない自然状態ではカラー11の内部
応力によって該カラー11が貫通孔4aに対して圧接し
ている。そのため、カプセル4の持ち運びの際にカラー
11が貫通孔4aから離脱しないようになっている。他
方、このカラー11は、図9に示した連結作業の開始後
に、カプセル4の貫通孔4aに対してカラー11を軸方
向に相対移動させるような力が作用して、その摩擦力が
所定値を越えた時には、カプセル4の貫通孔4aに対し
てカラー11が軸方向に相対移動されるようになってい
る。なお、カラー11は上述したように必ずしもカプセ
ル4の製造時に一体成型する必要はなく、カラー11を
予め鋳型に配置しないままでカプセル4を射出成型し、
その後から巻きブッシュからなるカラー11を縮径させ
てカプセル4の貫通孔4aに圧入するようにしても良
い。また、この場合、カラー11は巻きブッシュである
必要はなく、従来同様に円周方向に連続するブッシュで
あっても良い。カラー11は、上述した鉄製の他、硬質
樹脂とする等カプセル4より強度の高いものを用いると
良い。これらの場合に必要なことは、上述したように、
貫通孔にカラー11を圧入した際の摩擦力が上述した値
となるようにすればよい。また、本実施例でいうカプセ
ル4への各孔等の穿設とは上記のように製されたものを
含むものである。以上のように構成した本実施例のカプ
セル4は、製造終了後の状態においては、図3ないし図
5に示すように、貫通孔4aに巻きブッシュからなるカ
ラー11が一体に嵌合された状態となっており、また、
一側部4A、連結部4Cおよび他側部4Bは実質的に同
一平面上となる開いた状態に維持されている。このカプ
セル4を用いてブラケット3を車体側部材7に保持する
際には、先ず、一側部4Aに設けた基準ピン4p、調整
ピン4qをブラケット3側の長穴3dおよび係合孔3c
にそれぞれ嵌合させるとともに、一側部4Aに設けた上
下各一対の係合凸部4m,4nを切欠き部3aの縁部3
bの係合させる。このとき、当接面4dも切欠き部3a
の隣接位置となるブラケット3の裏面に重合される。こ
れによって、カプセル4の一側部4Aが切欠き部3aの
所定位置に係合される。なお、図2に示した例とは別
に、係合孔3cおよび長穴3dをそれぞれ左右対称位置
に各一対穿設した場合には、図2における背面側から一
側部4Aを切欠き部3aに係合させた前述の実施例に代
え、図2における手前側から係合させても良い。なお、
カプセル4の組付け方向を特定したい場合は、左右いず
れかの長穴3dあるいは係合孔3cを廃止したり、寸法
変更するか、若しくはカプセル4に所望の突起を設ける
などして、誤組付け防止の設計をすると良い。次に、こ
の状態となったら、連結部4Cを折り曲げて他側部4B
を一側部4Aに対向させるとともに、切欠き部3aの空
間を介して第1係合爪4fと第1係合部4gとを相互に
係合させ、また第2係合爪4hと第2係合部4iとを相
互に係合させる。このとき、カラー11における他端1
1B側の外周部が他側部4Bの貫通孔4bに遊嵌合さ
れ、かつ、他側部4Bの当接面4d’が切欠き部3aの
隣接位置となるブラケット3の後面に重合する。また、
一側部4Aおよび他側部4Bの会合面4c、4c’も相
互に係合するようにしても良いが、隙間を設けるように
した方が好ましい。これによって、それまで分割状態で
あったカプセル4の一側部4Aと他側部4Bとが一体に
連結されるとともに、切欠き部3aの所定位置にカプセ
ル4が係合されたことになる(図2、図9)。この状態
において、頭部に座金5を係合させたボルト6をカプセ
ル4のカラー11に挿通して、車体側部材7に連結する
ようにしている。この状態では、図9に示すように、カ
ラー11の他端11Bは突起4lよりも内方側(左方
側)に位置する一方、カラー11の一端11Aは一側部
4Aにおける外面よりも突出し、したがって、カラー1
1の一端11Aが車体側部材7と当接している。このよ
うに、図9に示したボルト6の締め付けを開始した時に
は、カラー11の一端11Aだけが車体側部材7に当接
しており、やがてボルト6の締め付けが進行するのに伴
って、座金5がカプセル4の突起4lに当接し、さら
に、その後のボルト6の締め付けに伴って座金5に当接
したカプセル4全体がカラー11に対して左方側にむけ
て相対移動された後、車体側部材7に対してカプセル4
の対向面(左方側の外面)が当接する。この状態におい
ては、座金5はカラー11の他端11Bからわずかに離
隔しており、この後、さらにボルト6を所定のトルクで
締め付けることにより、カプセル4が少し圧縮されて座
金5がカラー11の他端11Bに当接する。これによっ
て、カプセル4がボルト5と座金7とによって車体側部
材7に連結されるとともに、切欠き部3aの周辺となる
ブラケット3の両面がカプセル4における当接面4d,
4d’によって強く挟持され、したがって、ブラケット
3およびステアリングコラム2が所定の離脱荷重で離脱
可能にカプセル4に保持される。この時点でブラケット
3の車体側部材7への連結作業が終了する。このように
して連結作業が終了した時点では、カプセル4の当接面
4d,4d’に凹部4j,4j’を形成しているので、
それらの周囲となる当接面4d,4d’がブラケット3
の両面に対して均一な面圧で強く圧接されるようにな
る。また、本実施例では、当接面4d,4d’に凹部4
j,4j’を形成しているので、合成樹脂によってカプ
セル4を射出成型する際に当接面4d,4d’に材料の
ひけによる捩れが生じにくくなり、したがって、カプセ
ル4の製造終了時に当接面4d,4d’が平坦面として
維持されるようになる。そのため、より一層当接面4
d,4d’がブラケット3の両面に対して均一な面圧で
強く圧接されることになる。また、カプセル4における
他側部4Bでは、突起4lが座金5と当接して、突起4
の隣接位置の平坦な外面は座金5と当接しないので、
座金5に突起4lが安定した荷重で当接する。このよう
に、本実施例のカプセル4は、ブラケット3との当接面
4d,4d’に凹部4j,4j’を設けて当接面4d,
4d’の面圧を均一となるように構成してあり、またカ
プセル4における座金5との当接部は突起4lとなり、
その部分の面圧が安定するので、連結作業が終了した後
のカプセル4からのステアリングコラム2の離脱荷重が
ばらつくことを防止することができ、それによって、ス
テアリングコラム2の離脱荷重を一定にすることができ
る。しかも、本実施例では、カプセル4における座金5
との当接箇所は、円弧状の突起4lとなっているので、
突起4lの裏面となる凹部4j,4j’の周囲の当接面
4d,4d’の面圧を均一に向上させることができる。
それによって、ステアリングコラム2の離脱荷重を一定
にすることができる。また、凹部4j,4j’および
起4lを設けたことによって、当接面4d,4d’に微
小な凹凸や歪、うねり等が生じていたとしても、当接面
4d,4d’の面圧を安定させることができる。また、
本実施例では、ブラケット3の長穴3dにカプセル4側
の基準ピン4pを嵌合させ、かつカプセル4の係合凸部
4m,4nを切欠き部3aの縁部3bに係合させること
で、切欠き部3aに対するカプセル4の係合位置を常に
一定にすることができるので、この意味においてもステ
アリングコラム2の離脱荷重がばらつくことを防止する
ことができ、それによって、ステアリングコラム2の離
脱荷重を一定にすることができる。さらに、本実施例で
は、組付け終了後にステアリングホイール1に対して上
方側から衝撃的な荷重が掛かった場合には、ブラケット
3がカプセル4に対して下方側に向けて摺動し、かつブ
ラケット3の係合孔3c,長穴3dによってカプセル4
の調整ピン4qおよび基準ピン4pが剪断されて、ブラ
ケット3およびステアリングコラム2がカプセル4から
離脱する。本実施例では、カプセル4を製造する際に上
記調整ピン4pの外径を所定の離脱荷重が得られる外径
に調整するようにしている。これによって、離脱荷重を
容易に所定の離脱荷重に設定することができる。したが
って、ステアリングコラム2の離脱荷重を一定にするこ
とができる。また、上述したように本実施例では、カラ
ー11は巻きブッシュからなり、摩擦力は所定の摩擦力
に設定しているので、製造終了後のカプセル4の貫通孔
4が時間の経過とともに樹脂クリープによって僅かに拡
径したとしても、カラー11に残留した内部応力によっ
てカラー11が拡径する方向に付勢されているために、
カラー11の外周部は貫通孔4aの内周面に常時圧接し
た状態が維持される。したがって、カプセル4の製造終
了後に時間が経過してからカプセル4を持ち運ぶに当た
って、カプセル4の貫通孔4aからカラー11が脱落す
るようなことはない。また、上述したカプセル4の車体
側部材7への連結時にはボルト6の締め付けに伴って、
カラー11はカプセル4の貫通孔4aに対して軸方向に
相対移動した後、車体側部材7と座金5とで挟持されて
貫通孔4aに対して軸方向における好適な位置に位置す
るようになる。そのため、連結作業終了後に車体側部材
7と座金5とで挟持されるカプセル4に対してボルト6
の締め付けによる締め付け荷重の過多あるいは、不足が
生じるようなことがなく、したがって、ステアリングコ
ラム2の離脱荷重を一定にすることができる。
【0007】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、ステア
リングコラムが離脱する際の離脱荷重を安定させること
ができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す側面図
【図2】図1に示した構成部材の要部の正面図
【図3】図1に示したカプセルの製造後の状態を示す平
面図
【図4】図3の背面図
【図5】図4の左側面図
【図6】図3のVI−VI線に沿う断面図
【図7】図3の要部の底面図
【図8】図3に示したカラーの断面図
【図9】図1に示した要部の連結作業開始時の状態を示
す断面図
【図10】図1に示した要部の連結作業終了時の状態を
示す断面図
【符号の説明】
2 ステアリングコラム 3 ブラケット 4 カプセル 5 座金(押え部
材) 6 ボルト 7 車体側部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 正和 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 白澤 博郎 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭52−13228(JP,A) 実開 昭53−429(JP,U) 実開 昭61−61279(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 1/00 - 1/28

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステアリング装置を支持するブラケット
    と車体側部材とを所定の離脱荷重で固定するカプセル
    と、該カプセルの所定位置に穿設した貫通孔に嵌合した
    円筒部材と、該円筒部材に挿通して上記カプセルを上記
    ブラケットと上記車体側部材とのいずれか一方に挟圧固
    定し、他方を上記カプセルに挟持させる連結部材とを有
    するステアリング装置の連結装置において、上記カプセルは、所定位置にそれぞれ貫通孔を穿設する
    とともに相互に分離させて形成した一側部および他側部
    と、折り曲げ可能に形成されて上記一側部と他側部とを
    接続する連結部とを備えて、上記連結部を折り曲げて上
    記一側部と他側部とを対向させて相互に一体に連結する
    ように構成されており、相互に一体に連結した上記一側
    部および他側部の少なくとも一方の貫通孔に対して上記
    円筒部材を軸方向に移動可能に嵌合させたこと を特徴と
    するステアリング装置の連結装置。
  2. 【請求項2】 上記円筒部材は上記貫通孔に嵌合された
    際に拡径方向にバネ作用を有することを特徴とする請求
    項1に記載のステアリング装置の連結装置。
  3. 【請求項3】 上記円筒部材は円周方向に不連続な巻き
    ブッシュからなり、この巻きブッシュの突合せ面を相互
    に近接するように縮径させた状態で該巻きブッシュを上
    記貫通孔に嵌合させたことを特徴とする請求項2に記載
    のステアリング装置の連結装置。
  4. 【請求項4】 上記円筒部材は上記貫通孔に対して回転
    不能に嵌合されており、かつ、上記円筒部材は該円筒部
    材に対して軸方向に所定の荷重が掛かると上記貫通孔に
    対して軸方向に移動することを特徴とする請求項1から
    請求項3のいずれか1に記載のステアリング装置の連結
    装置。
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