JP4897541B2 - 衝撃吸収式操舵装置 - Google Patents
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Description
上記のように金属板を引き裂くことで衝撃荷重を緩和させる従来の衝撃吸収式操舵装置には、図7に示すように、図示しないステアリングコラムに一体に固定された離脱ブラケット101と、車体側に固定される固定ブラケット102と、これらの間に設けられた衝撃吸収部材103と、を有したものがある。
衝撃吸収部材103は、幅方向ほぼ中央に位置する第1の車体側固定片104と、その両側側方に溝部105,106を介して連接された、第1及び第2のステアリング側固定片107,108と、これら第1及び第2のステアリング側固定片107,108の外側側面に溝部109,110を介して連接された、第2及び第3の車体側固定片111,112とを有している。
第2及び第3の車体側固定片111,112は、その先端が固定ブラケット102に溶接等によって接合固定されている。また、第1及び第2のステアリング側固定片107,108は、その先端が離脱ブラケット101に溶接等によって固定されている。
第1の車体側固定片104の端部には、貫通孔104aが形成されている。固定ブラケット102には、この貫通孔104aに同軸となるように貫通孔102aが形成されている。これら貫通孔102a,104aには、連結ピン113が挿通されており、この連結ピン113によって、第1の車体側固定片104は、固定ブラケット102に固定されている。
また、連結ピン113は、固定ブラケット102の上方に固定されたアクチュエータ114によって進退自在であり、連結ピン113を退避させることで、第1の車体側固定片104を固定ブラケット102から解放できるように構成されている。
上記構成の衝撃吸収式操舵装置は、二次衝突によってステアリングコラムが前記車体に対して相対移動したときに、各固定片が引き裂かれ、その引き裂く際の抵抗によって、運転者への衝撃荷重を緩和することができるものであり、その衝撃荷重が比較的大きい場合には、連結ピン113を進出させた状態で第1の車体側固定片104を固定ブラケット102に固定し、ステアリングコラムの相対移動によって、すべての溝部105,106,109,110に沿って各固定片を引き裂く。
一方、衝撃荷重が比較的小さい場合には、連結ピン113を退避させて第1の車体側固定片104を固定ブラケット102から解放する。このため、第1及び第2のステアリング側固定片107,108と、第2及び第3の車体側固定片111,112との間に位置する溝部109,110のみが引き裂かれ、溝部105,106は引き裂かれない。
すなわち、この衝撃吸収式操舵装置は、二次衝突による衝撃荷重の大きさに応じて、アクチュエータ109を作動させて引き裂く箇所を増減させることができ、当該衝撃吸収式操舵装置が緩和しうる衝撃荷重を可変させることができる(例えば、特許文献1参照)。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、レイアウト性の高い衝撃吸収式操舵装置を提供することを目的とする。
この場合、前記連結部材と、前記一対の第1固定片との接続を容易に解除できる構造にできるとともに、アクチュエータによってその接続解除の制御を容易に行うことができる。
図中、衝撃吸収式操舵装置Sは、自動車などの車両の操舵車輪を操舵するための装置であり、ステアリングコラムCと、このステアリングコラムCに取り付けられるステアリングホイール及びステアリングギヤボックス(いずれも図示せず)と、を備えたものである。前記ステアリングホイールと前記ステアリングギヤボックスとは、長尺の部材であるステアリングコラムCの両端にそれぞれ取り付けられている。図1において、紙面手前側となるステアリングコラムCの端部に、前記ステアリングホイールが取り付けられ、また、紙面奥側の端部に、前記ステアリングギヤボックスが連結される。
なお、以下の説明では、ステアリングコラムCの軸線方向において、前記ステアリングホイールが取り付けられている端部側(紙面手前側)をステアリングホイール側、前記ギヤボックスが取り付けられている端部側(紙面奥側)をギヤボックス側という。
図において、ステアリングコラムCには、当該ステアリングコラムCに固定された離脱ブラケット20と、この離脱ブラケット20の上方に配置された固定ブラケット30と、その上方に配置された衝撃吸収部材40と、を有している。
上記各固定片の内、一対の内ステアリング側固定片42,43、及び、一対の外ステアリング側固定片46,47は、後述するように、各固定部がステアリングコラム側に固定される複数の第1固定片を構成しており、また、一対の車体側固定片44,45は、後述するように、各固定部が車体側に固定される複数の第2固定片を構成している。
両固定部46b,47bは、それぞれの先端部上面に重ね合わされた状態で接続されているレバー48によって互いに連結されている。両固定部46b,47bの先端部には、それぞれ上下方向に貫通する貫通孔46c,47cがそれぞれ設けられるとともに、レバー48の両端部においても、貫通孔48aが、両固定部46b,47bの貫通孔46c,47cの位置に一致させて、それぞれ設けられている。固定部46bの貫通孔46c、及びこれに対応するレバー48の貫通孔48aには、ピン49が挿通されており、当該固定部46bの先端と、レバー48の一端とを接続している。
以上のようにして、レバー48は、ステアリングコラムCの上方に配置された一対の内ステアリング側固定片42,43等を挟んで配置されている一対の外ステアリング側固定片46,47を連結している。
前記制御装置は、車両の衝突による車速の減少レベルが所定値以上である場合には、比較的高い衝撃荷重を伴った衝突と判断し、この場合にはアクチュエータ50に対して、動作させるための信号を出力しない。また、車両の衝突による車速の減少レベルが前記所定値よりも小さい場合には、前記制御装置は比較的低い衝撃荷重を伴った衝突と判断し、この場合にはアクチュエータ50に所定の信号を出力して、プランジャ50aを退避させ、前記接続を解除する。
前記制御装置は、車両の衝突を高荷重衝突と判断すると、衝撃吸収式操舵装置Sのプランジャ48を動作させるための信号を出力しない。このため、外ステアリング側固定片47と、レバー48との接続は解除されることなく維持されるので、レバー48は、一対の外ステアリング側固定片46,47をそれぞれを互いに連結した状態を維持する。
次に、車両の衝突によって運転者が前記ステアリングホイールに二次衝突すると、運転者は、前記ステアリングホイールを車体前方側に押すように衝突するので、運転者及びステアリングホイールには衝撃荷重が作用するとともに、前記ステアリングホイールが取り付けられたステアリングコラムCは、ギヤボックス側へ押される。
ステアリングコラムCに一体に固定された離脱ブラケット20は、固定ボルトBによって、当該離脱ブラケット20と、衝撃吸収部材40の連結部41との間に、車体側に固定された固定ブラケット30を挟持している。そして、上記のように、ステアリングコラムCに衝撃荷重が作用し、ステアリングコラムCがギヤボックス側に向かって押されると、それに伴って、離脱ブラケット20が、ギヤボックス側(図中矢印の方向)へ相対移動しようとする。このとき、固定ボルトBが貫通孔41aに挿通された状態の連結部41も離脱ブラケット20及び固定ボルトBとともに、ギヤボックス側に相対移動するため、内ステアリング側固定部42,43の固定部42b,43bもギヤボックス側に相対移動する。
一方、車体側に固定された固定ブラケット30のスリット31cは、ギヤボックス側に開放しているので、固定ボルトBのギヤボックス側への移動、離脱を妨げない(図3参照)。
つまり、離脱ブラケット20が、ギヤボックス側へ相対移動する場合には、各固定部42b,43b,46b,47bにおいてもギヤボックス側へ相対移動するように、離脱ブラケット20(ステアリングコラムC)に固定された状態となる。
一方、一対の車体側固定片44,45は、上述のようにギヤボックス側に相対移動しないように、固定ブラケット30、すなわち、車体側に固定されている。
従って、衝撃吸収部材40の車体側固定片44,45は、車体側に残り、離脱ブラケット20に固定された衝撃吸収部材40の内ステアリング側固定片42,43の固定部42b,43b、及び、外ステアリング側固定片46,47の固定部46b,47bは、ギヤボックス側に相対移動するので、車体側固定片44と、両ステアリング側固定片42,46との間、及び、車体側固定片45と、両ステアリング側固定片43,47との間には、剪断応力が作用する(図1参照)。
また、上記レバー48は、複数の第1固定片の内の一部である一対の内ステアリング側固定片42,43を挟んで配置された第1固定片である外ステアリング側固定片46,47を互いに連結し、これらを連結した状態でステアリングコラムCが相対移動したときに外ステアリング側固定片46,47の固定部46b,47bを相対移動させる連結部材を構成している。
図5は、低荷重衝突時に、離脱ブラケット20がギヤボックス側へ相対移動したときの態様を示した、衝撃吸収式操舵装置Sの要部の斜視図である。
前記制御装置は、車両の衝突を低荷重衝突と判断すると、アクチュエータ50のプランジャ50aを退避させるための信号を出力する。このため、外ステアリング側固定片47と、レバー48との接続を解除し、レバー48は、一対の外ステアリング側固定片46,47の連結を解除する。
次に、車両の衝突によって運転者が前記ステアリングホイールに二次衝突すると、運転者は、前記ステアリングホイールを車体前方側に押すように衝突するので、運転者及びステアリングホイールには衝撃荷重が作用するとともに、前記ステアリングホイールが取り付けられたステアリングコラムCは、ギヤボックス側へ押される。
このため、車体側固定片44と、外ステアリング側固定片46との間、及び、車体側固定片45と、外ステアリング側固定片47との間には、剪断応力が作用せず、これらの間である溝部M3,M4(図1参照)に沿っては引き裂かれない。
つまり、接続解除手段である上記アクチュエータ50は、レバー48と外ステアリング側固定片47との接続を解除することによって、レバー48が固定部46b,47bをギヤボックス側に相対移動させるのを阻止し、一対の外ステアリング側固定片46,47が引き裂かれるのを解除する。このように、アクチュエータ50と、レバー48とは、当該レバー48と外ステアリング側固定片47との接続を解除することによって、当該レバー48が一対の外ステアリング側固定片46,47を引き裂くことを解除する解除手段を構成している。
また、本実施形態では、各ステアリング側固定片42,43,46,47を、レバー48によって解除可能に連結される固定片を含む複数の第1固定片として構成したが、例えば、車体側に固定される車体側固定片を複数の第1固定片として構成し、ステアリングコラムの相対移動時に、衝突時の衝撃荷重に応じて緩和しうる荷重を変更することができるようにしてもよい。
また、上記実施形態のアクチュエータ50は、例えば、ソレノイド式のアクチュエータを用いてもよいし、火薬式のアクチュエータを用いてもよい。
40 衝撃吸収部材
41 衝撃吸収部
42,43 内ステアリング側固定片(第1固定片)
42b,43b 固定部
44,45 車体側固定片(第2固定片)
44b,45b 車体固定部
46,47 外ステアリング側固定片(第1固定片)
46b,47b 固定部
48 レバー(連結部材)
50 アクチュエータ(接続解除手段)
50a プランジャ(ピン部材)
C ステアリングコラム
S 衝撃吸収式操舵装置
Claims (2)
- 車体側もしくはステアリングコラム側の何れか一方側に固定された固定部を有する金属板からなる複数の第1固定片、及び、他方側に固定された固定部を有するとともに板厚方向に凹む溝部を介して前記複数の第1固定片に連接された金属板からなる複数の第2固定片、を有し、衝撃発生時の前記ステアリングコラムと前記車体との相対移動に伴って前記各固定片の固定部が相対移動し当該各固定片が前記溝部に沿って互いに引き裂かれることで衝撃を吸収する衝撃吸収部材と、
前記複数の第1固定片の内の一部について、前記第2固定片から引き裂かれるのを解除するための解除手段と、を備えた衝撃吸収式操舵装置において、
前記解除手段は、
前記複数の第1固定片の内、ステアリングコラムの上方に配置された少なくとも一つの第1固定片を挟んで配置された一対の第1固定片の固定部それぞれに接続されてこれらを互いに連結し、これら一対の第1固定片を連結した状態で前記ステアリングコラムと前記車体とが相対移動したときに、前記一対の第1固定片の間に位置する第1固定片の固定部に当接することで当該固定部とともに相対移動し、前記一対の第1固定片の固定部を相対移動させる連結部材と、
前記ステアリングコラムの側方に配置され、前記連結部材と、前記一対の第1固定片との接続を解除することによって、前記連結部材が前記一対の第1固定片の固定部を相対移動させるのを阻止し、前記一対の第1固定片が前記第2固定片から引き裂かれるのを解除する接続解除手段と、を有することを特徴とする衝撃吸収式操舵装置。 - 前記連結部材と、前記一対の固定片とは、これら両者それぞれに形成された貫通孔を貫通するピン部材によって接続されており、
前記接続解除手段が、前記ピン部材を前記貫通孔に抜き差し自在に進退させるアクチュエータである請求項1に記載の衝撃吸収式操舵装置。
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