JP2012240628A - ステアリングコラムの支持装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】二次衝突時にコラム側ブラケットに加わるモーメントに拘らず、このコラム側ブラケットが前方に離脱する過程で擦れ合う部材との間に作用する摩擦力を低く抑える。そして、衝突事故の際の運転者の保護充実を図り易い構造を実現する。
【解決手段】前記コラム側ブラケット13aの上板部46の前部上面と、車体側ブラケット10dの下面との間、同じく中間部乃至後部上面と、このコラム側ブラケット13aに結合固定した係止カプセル11bの下面との間に、合成樹脂製のプレート部62a、62bを介在させる。前記モーメントに基づいて当接部の面圧が高くなる部分に、摩擦係数が低い合成樹脂製のプレート部62a、62bが存在するので、前記課題を解決できる。
【選択図】図2
【解決手段】前記コラム側ブラケット13aの上板部46の前部上面と、車体側ブラケット10dの下面との間、同じく中間部乃至後部上面と、このコラム側ブラケット13aに結合固定した係止カプセル11bの下面との間に、合成樹脂製のプレート部62a、62bを介在させる。前記モーメントに基づいて当接部の面圧が高くなる部分に、摩擦係数が低い合成樹脂製のプレート部62a、62bが存在するので、前記課題を解決できる。
【選択図】図2
Description
この発明は、運転席に設けたステアリングホイールの操作に基づいて前輪に舵角を付与する為の自動車用ステアリング装置を構成する、ステアリングコラム用支持装置の改良に関する。
[従来技術の説明]
自動車用ステアリング装置は、図5に示す様に構成して、ステアリングホイール1の回転をステアリングギヤユニット2の入力軸3に伝達し、この入力軸3の回転に伴って左右1対のタイロッド4、4を押し引きして、前車輪に舵角を付与する様にしている。前記ステアリングホイール1は、ステアリングシャフト5の後端部に支持固定されており、このステアリングシャフト5は、円筒状のステアリングコラム6を軸方向に挿通した状態で、このステアリングコラム6に回転自在に支持されている。又、前記ステアリングシャフト5の前端部は、自在継手7を介して中間シャフト8の後端部に接続し、この中間シャフト8の前端部を、別の自在継手9を介して、前記入力軸3に接続している。尚、この中間シャフト8は、トルクを伝達可能に、且つ、衝撃荷重により全長を収縮可能に構成している。そして、衝突事故の際(次述する一次衝突の際)に、前記ステアリングギヤユニット2の後方への変位に拘らず、前記ステアリングシャフト5を介して前記ステアリングホイール1が後方に向けて変位する(運転者の身体に向けて突き上げられる)事を防止できる様に構成している。
自動車用ステアリング装置は、図5に示す様に構成して、ステアリングホイール1の回転をステアリングギヤユニット2の入力軸3に伝達し、この入力軸3の回転に伴って左右1対のタイロッド4、4を押し引きして、前車輪に舵角を付与する様にしている。前記ステアリングホイール1は、ステアリングシャフト5の後端部に支持固定されており、このステアリングシャフト5は、円筒状のステアリングコラム6を軸方向に挿通した状態で、このステアリングコラム6に回転自在に支持されている。又、前記ステアリングシャフト5の前端部は、自在継手7を介して中間シャフト8の後端部に接続し、この中間シャフト8の前端部を、別の自在継手9を介して、前記入力軸3に接続している。尚、この中間シャフト8は、トルクを伝達可能に、且つ、衝撃荷重により全長を収縮可能に構成している。そして、衝突事故の際(次述する一次衝突の際)に、前記ステアリングギヤユニット2の後方への変位に拘らず、前記ステアリングシャフト5を介して前記ステアリングホイール1が後方に向けて変位する(運転者の身体に向けて突き上げられる)事を防止できる様に構成している。
上述の様な操舵装置を組み込んだ自動車が他の自動車等に衝突する衝突事故の際には、他の自動車等に衝突する一次衝突に続いて、運転者の身体が前記ステアリングホイール1に衝突する、二次衝突が発生する。この二次衝突の際に運転者の身体に加わる衝撃を緩和する為に、前記ステアリングコラム6を車体に固定した車体側ブラケット10に対し、前方に向いた大きな力が加わった場合に脱落する様に、係止カプセル11及びボルト若しくはスタッド12を介して支持している。この部分の従来構造に関しては、例えば特許文献1に記載される等により、従来から広く知られている。先ず、前記部分の従来構造の1例に就いて、図6〜8により説明する。
図6に示した構造は、ステアリングシャフト5の後端部でステアリングコラム6aの後方に突出した部分に固定したステアリングホイール1(図5参照)の高さ位置を調節可能とした、チルト機構を組み込んでいる。この為に、前記ステアリングコラム6aの中間部をコラム側ブラケット13に、調節ロッド14を介して支持し、このコラム側ブラケット13を前記車体側ブラケット10(図5参照)に、図6に矢印で示す様に前方に向いた大きな力が加わった場合に脱落する様に支持している。前記コラム側ブラケット13は、鋼板等の金属板を曲げ形成して成るもので、それぞれが上下方向に設けられた左右1対の支持板部15、15と、これら両支持板部15、15の上端部から前記ステアリングコラム6aの両側方に突出する状態で、互いに反対方向に設けられた1対の取付板部16、16とを有する。前記両支持板部15、15の下端縁同士は連結部(図示省略)により連結して、前記コラム側ブラケット13を一体としている。
前記両取付板部16、16には係止切り欠き17、17を、それぞれこれら両取付板部16、16の後端縁に開口する状態で設けている。これら両係止切り欠き17、17の形状は、前方(奥側)に向かう程幅寸法が小さくなる、略台形である。そして、前記両係止切り欠き17、17の内側に、それぞれ係止カプセル11、11を組み付けている。これら両係止カプセル11、11は、合成樹脂を射出成形する事により、或いは軽合金をダイキャスト成形する事により造ったもので、それぞれの左右両側面に係止溝18、18を有する。これら左右両側面に形成した1対の係止溝18、18の溝底同士の間隔は、前記両係止切り欠き17、17の幅に合わせて、前方に向かう程狭くしている。言い換えれば、前記両係止溝18、18は、前方に向かう程深くしている。
上述の様な両係止カプセル11、11は、それぞれの係止溝18、18と、前記両取付板部16、16の一部で前記両係止切り欠き17、17の両側部分とを係合させる事により、これら両取付板部16、16に対し支持している。又、これら両取付板部16、16の一部で前記両係止切り欠き17、17の両側部分に形成した、特許請求の範囲に記載した固定側容積部である小通孔(図示省略)と、前記両係止カプセル11、11に形成した、特許請求の範囲に記載した変位側容積部である小通孔19、19とを整合させた状態で、これら各小通孔に掛け渡す様に、特許請求の範囲に記載した連結部材である、合成樹脂製の係止ピンを設置(前記各小通孔19、19内に射出成形)する。この状態で前記両係止カプセル11、11が前記両取付板部16、16に対し、大きな衝撃荷重が加わった場合にのみ後方に脱落する状態で支持される。
そして、前述の図5に示した様に、前記両係止カプセル11、11の中央部に設けた通孔20(図7〜8参照)を挿通した、前記ボルト若しくはスタッド12により、これら両係止カプセル11、11を前記車体側ブラケット10に対し支持固定する。これら両係止カプセル11、11と前記両取付板部16、16とは、前記両係止切り欠き17、17の両側部分と前記各係止溝18、18との係合、並びに、前記各小通孔19、19に掛け渡された、合成樹脂製の係止ピンにより、或る程度大きな強度及び剛性で結合されている。従って、通常時には、前記コラム側ブラケット13が車体に対し、しっかりと支持される。
衝突事故に伴う二次衝突時に、前記ステアリングホイール1から前記ステアリングコラム6aに対し、前方に向いた強い力が加わると、前記各小通孔19、19に掛け渡された係止ピンが裂断し、前記両係止カプセル11、11が前記両係止切り欠き17、17から後方に抜け出る(実際には、これら両係止カプセル11、11がそのままの位置に止まったまま、前記両取付板部16、16が前方に変位する)。そして、前記ステアリングホイール1の前方への変位を許容して、このステアリングホイール1に衝突した運転者の身体に加わる衝撃を緩和する。
又、二次衝突時にステアリングコラムの前方への離脱を安定させる為に、車体側ブラケットと係止カプセルとの係合部を幅方向中央部の1箇所にのみ設けた構造が、特許文献2に記載されている。
又、二次衝突時にステアリングコラムの前方への離脱を安定させる為に、車体側ブラケットと係止カプセルとの係合部を幅方向中央部の1箇所にのみ設けた構造が、特許文献2に記載されている。
[先発明の説明]
図9〜12は、前記特許文献2に記載された発明とは異なるが、先に考えた、車体側ブラケット10aと係止カプセル11aとの係合部を、幅方向中央部の1箇所にのみ設けた構造の第1例を示している。この先発明に係る構造の第1例では、ステアリングホイール1(図5参照)の上下位置を調節する為のチルト機構と、同じく前後位置を調節する為のテレスコピック機構との両方を備えている。このうちのテレスコピック機構を構成する為に、ステアリングコラム6bを、前側のインナコラム21の後部を後側のアウタコラム22の前部に内嵌して全長を伸縮可能とした、テレスコープ状のものを使用している。そして、前記ステアリングコラム6bの内径側にステアリングシャフト5aを、回転自在に支持している。
図9〜12は、前記特許文献2に記載された発明とは異なるが、先に考えた、車体側ブラケット10aと係止カプセル11aとの係合部を、幅方向中央部の1箇所にのみ設けた構造の第1例を示している。この先発明に係る構造の第1例では、ステアリングホイール1(図5参照)の上下位置を調節する為のチルト機構と、同じく前後位置を調節する為のテレスコピック機構との両方を備えている。このうちのテレスコピック機構を構成する為に、ステアリングコラム6bを、前側のインナコラム21の後部を後側のアウタコラム22の前部に内嵌して全長を伸縮可能とした、テレスコープ状のものを使用している。そして、前記ステアリングコラム6bの内径側にステアリングシャフト5aを、回転自在に支持している。
前記ステアリングシャフト5aは、前側に配置した円杆状のインナシャフトの後部に設けた雄スプライン部と、後側に配置した円管状のアウタシャフト23の前部に設けた雌スプライン部とをスプライン係合させる事により、トルクの伝達を可能に、且つ、伸縮を可能に構成している。前記アウタシャフト23は、後端部を前記アウタコラム22の後端開口よりも後方に突出させた状態でこのアウタコラム22の内径側に、単列深溝型の玉軸受24等、ラジアル荷重及びスラスト荷重を支承可能な軸受により、回転のみ可能に支持している。前記ステアリングホイール1は、前記アウタシャフト23の後端部に支持固定する。このステアリングホイール1の前後位置を調節する際には、このアウタシャフト23と共に前記アウタコラム22が前後方向に変位し、前記ステアリングシャフト5a及び前記ステアリングコラム6bが伸縮する。
又、このステアリングコラム6b(を構成する前記インナコラム21)の前端部に、電動式パワーステアリング装置を構成する減速機等を収納する為のハウジング25を、結合固定している。このハウジング25の上面には、前記電動式パワーステアリング装置の補助動力源となる電動モータ26と、この電動モータ26への通電を制御する為の制御器27とを支持固定している。そして、前記チルト機構を構成する為に、前記ハウジング25を車体に対し、横軸を中心とする揺動変位を可能に支持している。この為に本例の場合には、前記ハウジング25の上部前端に支持筒28を、左右方向に設けている。そして、この支持筒28の中心孔29に挿通したボルト等の横軸により、前記ステアリングコラム6bの前端部を前記車体に対し、このステアリングコラム6bの後部を昇降させる方向の揺動変位を可能に支持している。
又、前記ステアリングコラム6bの中間部乃至後部を構成する、前記アウタコラム22の前半部の内径を、弾性的に拡縮可能としている。この為に、このアウタコラム22の下面にスリット30を、軸方向に形成している。このスリット30の前端部は、このアウタコラム22の前端縁、又は、このアウタコラム22の前端寄り部分の上端部を除いた部分に形成した周方向透孔31(後述する図15参照)に開口させている。又、前記スリット30を幅方向両側から挟む部分に、それぞれが厚肉平板状の1対の被支持板部32、32を設けている。これら両被支持板部32、32が、前記ステアリングホイール1の位置調節時に、前記アウタコラム22と共に変位する、変位側ブラケットとして機能する。
図示の先発明に係る構造の場合、前記両被支持板部32、32をコラム側ブラケット13aに対し、上下位置及び前後位置の調節を可能に支持している。このコラム側ブラケット13aは、通常時には車体に対し支持されているが、衝突事故の際には、二次衝突の衝撃に基づいて、前方に離脱し、前記アウタコラム22の前方への変位を許容する様にしている。この為に、前記コラム側ブラケット13aを車体側ブラケット10aに対し、二次衝突時に加わる衝撃荷重により、前方への離脱を可能に支持している。
前記チルト機構及び前記テレスコピック機構の調節部は、前記両被支持板部32、32を、前記コラム側ブラケット13aを構成する左右1対の支持板部33、33で挟持する事により構成している。これら両支持板部33、33には、前記支持筒28を車体に対し支持した横軸を中心とする部分円弧形の上下方向長孔34を、前記両被支持板部32、32には、前記アウタコラム22の軸方向に長い前後方向長孔35を、それぞれ形成している。そして、これら各長孔34、35に調節ロッド14aを挿通している。この調節ロッド14aの基端部(図10の右端部)に設けた頭部36は、一方(図10の右方)の支持板部33に形成した上下方向長孔に、この上下方向長孔に沿った変位のみを可能に(回転を阻止した状態で)係合させている。これに対して、前記調節ロッド14aの先端部(図10の左端部)に螺着したナット37と他方(図10の左方)の支持板部33の外側面との間に、駆動側カム38と被駆動側カム39とから成るカム装置40を設けている。そして、このうちの駆動側カム38を、調節レバー41により回転駆動可能としている。
前記ステアリングホイール1の位置調節を行う際には、前記調節レバー41を所定方向(下方)に回動させる事により前記駆動側カム38を回転駆動し、前記カム装置40の軸方向寸法を縮める。そして、前記被駆動側カム39と前記頭部36との、互いに対向する内側面同士の間隔を拡げ、前記両支持板部33、33が前記両被支持板部32、32を抑え付けている力を解放する。同時に、前記アウタコラム22の前部で前記インナコラム21の後部を内嵌した部分の内径を弾性的に拡げ、これらアウタコラム22の前部内周面とインナコラム21の後部外周面との当接部に作用している面圧を低下させる。この状態で、前記調節ロッド14aが前記上下方向長孔34と前記前後方向長孔35との間で変位できる範囲で、前記ステアリングホイール1の上下位置及び前後位置を調節できる。
このステアリングホイール1を所望位置に移動させた後、前記調節レバー41を前記所定方向とは逆方向(上方)に回動させる事により、前記カム装置40の軸方向寸法を拡げる。そして、前記被駆動側カム39と前記頭部36との、互いに対向する内側面同士の間隔を縮め、前記両支持板部33、33により前記両被支持板部32、32を強く抑え付ける。同時に、前記アウタコラム22の前部で前記インナコラム21の後部を内嵌した部分の内径を弾性的に縮め、これらアウタコラム22の前部内周面とインナコラム21の後部外周面との当接部に作用している面圧を高くする。この状態で、前記ステアリングホイール1の上下位置及び前後位置が調節後の位置に保持される。
尚、本例の場合には、前記ステアリングホイール1を調節後の位置に保持する為の保持力を高くする為に、前記両支持板部33、33の内側面と前記両被支持板部32、32の外側面との間に、それぞれ摩擦板ユニット42、42を挟持している。これら両摩擦板ユニット42、42は、前記上下方向長孔34と整合する長孔を形成した1乃至複数枚の第一摩擦板と、前記前後方向長孔35と整合する長孔を形成した1乃至複数枚の第二摩擦板とを交互に重ね合わせたもので、摩擦面積を増大させ、前記保持力を高くする役目を有する。この様な摩擦板ユニット42、42の具体的な構造及び作用に就いては、例えば特許文献3、4に記載される等により従来から知られており、本発明の要旨とも関係しないので、詳しい図示並びに説明は省略する。
更に、前記コラム側ブラケット13aは、前記車体側ブラケット10aに対し、二次衝突の衝撃荷重により前方に離脱はするが、二次衝突が進行した状態でも脱落しない様に支持している。前記車体側ブラケット10aは、車体側に支持固定されて、二次衝突時にも前方に変位する事がないもので、鋼板等の十分な強度及び剛性を有する金属板に、プレスによる打ち抜き加工及び曲げ加工を施す事により造っている。この様な車体側ブラケット10aは、両側縁部及び後端縁部を下方に折り曲げる事で曲げ剛性を向上させており、幅方向中央部に前端縁側が開口した係止切り欠き17aを、後部のこの係止切り欠き17aを左右両側から挟む後部両側位置に1対の取付孔43、43を、それぞれ形成している。前記係止切り欠き17aは、前記係止カプセル11aにより覆われた、前記車体側ブラケット10aの後端部近傍まで形成している。この様な前記車体側ブラケット10aは、前記両取付孔43、43を挿通したボルト若しくはスタッドにより、車体に対し支持固定される。
上述の様な車体側ブラケット10aに対して前記コラム側ブラケット13aを、前記係止カプセル11aを介して、二次衝突時に前方への離脱を可能に結合している。この係止カプセル11aは、軟鋼等の鉄系合金に鍛造加工等の塑性加工を施したり、アルミニウム系合金、マグネシウム系合金等の軽合金をダイキャスト成形する事により、或いは、ポリアセタール等の高強度の高機能樹脂を射出成形する事により、図12に示す様な形状に、一体に造っている。そして、左右方向に関する幅寸法、並びに、前後方向に関する長さ寸法を、下半部に比べ上半部で大きくして、前記係止カプセル11aの左右両側面及び後側面の上半部に、両側方及び後方に突出する鍔部44を設けている。この様な係止カプセル11aは、下半部を前記係止切り欠き17aに係合(内嵌)した状態で、前記車体側ブラケット10aに対し、二次衝突時に加わる衝撃荷重に基づいて前方への離脱を可能に支持している。この為に、前記鍔部44と、前記車体側ブラケット10aの一部で前記係止切り欠き17aの周縁部との、互いに整合する複数箇所(図示の例では8箇所ずつ)に、それぞれ小通孔19a、19bを形成している。そして、これら各小通孔19a、19b同士の間に、それぞれ係止ピン45、45を掛け渡している。
これら各係止ピン45、45は、前記各小通孔19a、19bを整合させた状態でこれら各小通孔19a、19b内に合成樹脂を注入する(インジェクション成形する)事により、これら各小通孔19a、19b同士の間に掛け渡す。この状態で、前記各係止ピン45、45を構成する合成樹脂材料の一部が、前記車体側ブラケット10aの上下両面と、相手面である、前記鍔部44の下面及び前記コラム側ブラケット13aの上面との間に入り込む。そして、これら各面同士の間に存在する微小隙間に拘らず、前記車体側ブラケット10aに対する前記コラム側ブラケット13aの取付部のがたつきを解消する。尚、図12には、明りょう化の為に、前記がたつきの原因となる隙間の高さを、実際よりも大きく描いている。上述の様に前記各小通孔19a、19b同士の間に前記各係止ピン45、45を掛け渡す事により、前記係止カプセル11aを前記車体側ブラケット10aに対し、二次衝突時に加わる衝撃荷重により前方への離脱を可能に支持する。尚、図9〜12に示した構造の場合には、前記鍔部44の下面と前記コラム側ブラケット13aの上板部46の上面との間部分が、前記車体側ブラケット10aの一部で前記係止切り欠き17aの周縁部を係止する為の係止溝18a、18aとなる。又、前記上板部46は、前記コラム側ブラケット13aを構成する左右1対の支持板部33、33の上端縁同士を連続させる状態で設けられている。
上述の様な係止カプセル11aは前記コラム側ブラケット13aに対し、複数本(図示の例では3本)のボルト47、47とナット48、48とにより、前記衝撃荷重に拘らず非分離な状態で、結合固定している。即ち、前記係止カプセル11a及び前記コラム側ブラケット13aの互いに整合する位置に形成した通孔を下方から挿通した、前記各ボルト47、47の先端部(上端部)で前記係止カプセル11aの上面から突出した部分に、前記各ナット48、48を螺合し更に締め付ける事で、前記係止カプセル11aと前記コラム側ブラケット13aとを結合固定している。従って、二次衝突時に前記アウタコラム22からこのコラム側ブラケット13aに伝わった前記衝撃荷重は、そのまま前記係止カプセル11aに伝わり、前記各係止ピン45、45の裂断に伴ってこの係止カプセル11aが前方に変位するのと同期して、前記アウタコラム22も前方に変位する。
この様に、二次衝突時にこのアウタコラム22と共に前方に変位する、前記係止カプセル11aを係止した、前記係止切り欠き17aの前後方向に関する長さL17は、この係止カプセル11aの同方向の長さL11よりも十分に大きい(L17≫L11)。先発明に係る構造の場合には、前記係止切り欠き17aの長さL17を、前記係止カプセル11aの長さL11の2倍以上(L17≧2L11)確保している。そして、二次衝突時に前記アウタコラム22と共に前記係止カプセル11aが前方に変位し切った(ステアリングホイール1から加わった衝撃荷重では、それ以上前方に変位しなくなった)状態でも、この係止カプセル11aを構成する前記鍔部44の少なくとも後端部で、前記ステアリング6b及び前記コラム側ブラケット13a等の重量を支承可能な部分が、前記係止切り欠き17aから抜け切らない様にしている。即ち、二次衝突が進行した状態でも、前記係止カプセル11aの上半部の幅方向両側部分に形成した前記鍔部44のうちの後端部が、前記車体側ブラケット10aの前端部の上側に位置して、前記係止カプセル11aが脱落するのを防止できる様にしている。
上述の様に構成する先発明に係るステアリングコラム用支持装置によれば、二次衝突時に前記ステアリングホイール1を前方に安定して変位させる為のチューニングが容易で、しかも、二次衝突が進行した状態でも前記ステアリングホイール1が過度に下降する事を防止できる。
先ず、二次衝突時にステアリングホイール1を前方に安定して変位させる為のチューニングの容易化は、前記車体側ブラケット10aと前記コラム側ブラケット13a及び係止カプセル11aとを、この車体側ブラケット10aの幅方向中央部のみで係合させる事により図れる。即ち、前記単一の係止カプセル11aを、前記アウタコラム22の直上部分に配置している為、二次衝突時に前記ステアリングホイール1から前記アウタシャフト23及び前記アウタコラム22を通じて前記係止カプセル11aに伝わった衝撃荷重が、この係止カプセル11aと前記車体側ブラケット10aとを結合している、前記各係止ピン45、45に、ほぼ均等に加わる。そして、前記単一の係止カプセル11aと前記車体側ブラケット10aとを結合している前記各係止ピン45、45が、実質的に同時に裂断する。この結果、前記コラム側ブラケット13a等を介して前記係止カプセル11aと結合された前記アウタコラム22の前方への変位が、中心軸の傾斜角度を過度に変化させる事無く、安定して行われる。
更に、二次衝突が進行した状態でも前記ステアリングホイール1が過度に下降するのを防止する事は、前記係止切り欠き17aの前後方向長さL17を前記係止カプセル11aの前後方向の長さL11よりも十分に大きくしている事により図れる。即ち、これら両長さL17、L11をこの様に規制している為、二次衝突が進行し、前記ステアリングホイール1と共に、前記係止カプセル11aが前方に変位し切った状態でも、この係止カプセル11a全体が前記係止切り欠き17aから前方に抜け出る事はない。この為、二次衝突が進行した状態でも、前記アウタコラム22の支持力を確保して、このアウタコラム22、及び、前記アウタシャフト23を介してこのアウタコラム22に支持された、前記ステアリングホイール1が、過度に下降する事を防止できる。そして、事故の程度によっては、二次衝突後にも、前記ステアリングホイール1の操作を可能にして、事故車両を路肩に退避させる等の処置を行い易くできる。尚、車体側ブラケットの前後方向寸法を十分に確保できれば、係止切り欠きの前端部を、この車体側ブラケットの前端縁に開口させなくても良い(前端が塞がれた透孔を係止切り欠きとしても良い)。この場合には、前記車体側ブラケットの前後方向寸法が長くなる代わりに、この車体側ブラケットの剛性確保が容易になる。
次に、図13は、先発明に係る構造の第2例を示している。本例の構造に組み込む係止カプセル11bは、十分な強度及び剛性を有する金属板を曲げ形成して成るもので、基板部49と、左右1対の立ち上がり部50、50と、左右1対の庇部51、51とを備える。このうちの基板部49は、平板状である。又、前記両立ち上がり部50、50は、この基板部49の幅方向両端部から上方に、ほぼ直角に折れ曲がっている。更に、前記両庇部51、51は、前記両立ち上がり部50、50の上端から互いに反対方向に、ほぼ直角に折れ曲がっている。前記両庇部51、51の下面と前記基板部49の下面との間に存在する段差の高さHは、車体側ブラケット10aを構成する金属板の厚さTと同じか、この厚さTよりも僅かに大きく(H≧T)している。
この様な本例の構造の場合には、前記両庇部51、51の下面とコラム側ブラケット13aの上板部46の上面との間部分が、車体側ブラケット10aの一部で係止切り欠き17aの幅方向両端縁部を係止する為の係止溝18b、18bとなる。本例の場合には、上述の様な係止カプセル11bをコラム側ブラケット13aの上板部46に対し、円板状の頭部52を有するボルト47a、47aとナット48、48とにより結合固定している。これら各ボルト47a、47aの頭部52、52及び前記係止カプセル11bの厚さ(上下方向寸法)が小さい分、上述した先発明に係る構造の第1例に比べ、組立高さの増大を抑えられて、小型・軽量化を図れる。
次に、図14〜17は、先発明の構造の第3例を示している。本例の構造の場合には、係止カプセル11cとコラム側ブラケット13aとを、炭素鋼板等、互いに溶接可能で、しかも十分な強度及び剛性を確保できる、同種の金属板により造っている。又、前記係止カプセル11cの形状に関しては、上述した先発明に係る構造の第2例に組み込むものと同様である。
本例の場合に前記係止カプセル11cは、基板部49を前記コラム側ブラケット13aの上板部46に重ね合わせた状態で、この上板部46の上面に、溶接53、53により固定している。この様にこの上板部46の上面に前記係止カプセル11cを溶接固定した状態で、この上板部46の上面両端寄り部分とこの係止カプセル11cの幅方向両端部に設けた庇部51、51の下面との間に、車体側ブラケット10aを構成する金属板の一部で、係止切り欠き17aの幅方向両端縁部を挿入可能な係止溝18c、18cが形成される。そこで、これら両係止溝18c、18cに、前記金属板のうちで前記係止切り欠き17aの幅方向両端縁部を挿入し、前記両庇部51、51と、前記金属板のうちで前記係止切り欠き17aの幅方向両端縁部とを重ね合わせた状態で、この重なり合った部分に互いに整合する状態で設けられた小通孔19a、19b内に合成樹脂を射出成形して係止ピン45、45を構成する。この状態で、前記係止カプセル11c及び前記コラム側ブラケット13aが前記車体側ブラケット10aに対し、二次衝突時の衝撃荷重により、前方への離脱を可能に結合される。
上述の様に構成する本例の構造の場合には、それぞれが金属板製である、前記係止カプセル11cと前記コラム側ブラケット13aとを溶接53、53により結合固定する為、前述の図9〜16に示した先発明の第1〜2例の構造に対して、ボルト及びナットの存在に基づく組立高さの増大を抑えられて、より一層の小型・軽量化を図れる。又、ボルト及びナットが不要になる事に基づいて低コスト化を、小型化に基づいてステアリング装置設置部分の設計の自由度確保を、それぞれ図れる。
又、図18に示した先発明に係る構造の第4例の様に、左右側方及び後方に突出する庇部51aを有する係止カプセル11dを使用し、この係止カプセル11dと車体側ブラケット10aとを、左右両側辺と後端辺との3辺で、それぞれ係止ピン45、45により結合する構造も採用できる。尚、図18に示した先発明構造の場合には、前記係止カプセル11dの基板部49aの中央部に透孔54を形成し、この透孔54の内周縁のうちの前端縁を除く部分と、コラム側ブラケット13の上板部46の上面との間に、それぞれ溶接53aを施している。
又、図19に示した先発明に係る構造の第5例の様に、車体側ブラケット10b及びコラム側ブラケット13bを構成する各板部の一部を曲げ加工して、これら各板部の断面係数を高くすれば、これら各ブラケット10b、13bの剛性を高くできる。そして、通常時に於けるステアリングホイール1(図5参照)の支持剛性を高くすると共に、二次衝突時に於ける、前記コラム側ブラケット13bの前方への離脱を円滑化できる。
更に、図20〜23に示した先発明の構造の第6例によれば、車体側ブラケット10cに対するコラム側ブラケット13aの支持剛性を、安定して十分に大きくできる。この車体側ブラケット10cの幅方向中央部に形成した係止切り欠き17bの周囲部分乃至は内周縁部に、それぞれが固定側容積部である小通孔19b、19bと切り欠き部55、55とを形成している。このうちの各切り欠き部55、55は、それぞれ前記係止切り欠き17b側に開口している。
又、前記車体側ブラケット10cの下面に、前記各小通孔19b、19bと前記各切り欠き部55、55とを合計した数と同数の凹部56a、56bを、それぞれの一端を前記各小通孔19b、19b又は前記各切り欠き部55、55に通じさせた状態で形成している。前記各凹部56a、56bの他端は、前記車体側ブラケット10cの下面と、前記コラム側ブラケット13aを構成する上板部46の上面とが対向している部分よりも外部空間側に開口する。このコラム側ブラケット13aは、左右1対の支持板部33、33の上端縁と前記上板部46の左右両端縁とを、断面円弧形の湾曲部57、57により連続させており、前記各凹部56a、56bの他端部は、これら両湾曲部57、57の上面に対向する部分に位置する事で、前記外部空間に露出している。尚、図23の鎖線xは、前記上板部46のうちで、前記両湾曲部57、57を除いた平坦部分、即ち、前記車体側ブラケット10cの下面に当接し得る部分の範囲を表している。
前記コラム側ブラケット13a及び係止カプセル11eは、複数本(図示の場合には3本)のボルト47a、47aとナット48、48とにより組み合わせた状態で、前記各係止ピン45a、45aにより結合している。これら各係止ピン45a、45aを形成するには、前記係止カプセル11eの庇部51aに形成した小通孔19a、19aと、前記車体側ブラケット10c側に形成した小通孔19b、19b及び前記各切り欠き部55、55とを整合させる。そして、前記庇部51aに形成した小通孔19a、19aの側から、これら各小通孔19a、19b及び切り欠き部55、55に、熱可塑性の合成樹脂を、加熱溶融した状態で注入(射出成形)する。
前記各小通孔19a、19b及び切り欠き部55、55に注入された合成樹脂は、これら各小通孔19a、19b及び切り欠き部55、55内で冷却・固化されて、前記各係止ピン45a、45aとなる。この状態で、前記コラム側ブラケット13a及び前記係止カプセル11eが前記車体側ブラケット10cに対し、二次衝突時に加わる衝撃荷重に基づいて、前方への離脱を可能に支持される。又、前記各係止ピン45a、45aを構成する合成樹脂の一部が、前記各凹部56a、56b内に進入し、これら各凹部56a、56bを通じて、外部空間側に露出する。又、前記各切り欠き部55、55内に進入した合成樹脂の一部は、図22に示す様に、これら各切り欠き部55、55の開口端にまで達し、更に、前記係止カプセル11eを構成する左右1対の立ち上がり部50、50の外側面と、前記車体側ブラケット10cの係止切り欠き17bの内側縁との間の隙間内にまで進入する。
前記各係止ピン45a、45aの射出成形に伴って、これら各係止ピン45a、45aを構成する合成樹脂の一部が、前記各凹部56a、56bを通じて外部空間側に露出する。そして、この様に外部空間側に露出した合成樹脂の存在の有無はより容易に確認でき、前記各係止ピン45a、45aを構成する合成樹脂が、前記車体側ブラケット10cの下面と、前記コラム側ブラケット13aの上板部46の上面との間に、十分に浸透した状態である事が分かる。そして、この状態では、これら両ブラケット10c、13aが、互いに対向する面同士の間に存在する微小隙間に基づいて変位する事を抑えられる。従って、前記車体側ブラケット10cに対する前記コラム側ブラケット13aの支持剛性を安定して確保する。
又、前記各凹部56a、56bの存在に基づき、前記各係止ピン45a、45aを構成する合成樹脂が、前記上板部46の平坦部分の幅方向端縁にまで存在し、且つ、当該部分で、この上板部46の上面と前記車体側ブラケット10cの下面との間で挟持された状態となる。従って、この車体側ブラケット10cの下面と前記コラム側ブラケット13aの上面との間に存在する合成樹脂の、幅方向に関するスパンを長くできて、前記支持剛性を確保し易い。又、前記各切り欠き部55、55から前記両立ち上がり部50、50の外側面と前記係止切り欠き17bの内側縁との間の隙間内にまで進入し固化した合成樹脂が、前記係止カプセル11eと前記車体側ブラケット10cとの結合部の、幅方向に関する剛性を向上させる。更に、前記隙間内で固化した合成樹脂が、前記外側面と前記係止切り欠き17bの内側縁とが直接擦れ合う事を防止する。この為、この内側縁が裂断面の如く、粗く、摩擦係数が大きい面であっても、二次衝突時に、前記係止カプセル11eが前記係止切り欠き17bから前方に抜け出易くできる。
尚、それぞれが金属板製である、コラム側ブラケット13aの上板部46と係止カプセル11b、11c、11d、11eとを結合固定する為の手段は、ボルト・ナットや溶接に限るものではない。リベットによったり、バーリングかしめによったり、図24に示す様にクリンチングによったり、図25に示す様にセルフピアスリベット58によったりする事もできる。
ところで、前述した従来構造、或いは上述した先発明の構造の何れにしても、二次衝突時に於ける運転者保護をより一層充実させる事が好ましい。この為に、この二次衝突時にコラム側ブラケットの前方への変位開始をより一層円滑に行なわせる事が効果がある。そして、この変位開始の為に要する離脱荷重を低く抑える為には、次の様な点を改良する事が望まれる。前記二次衝突時にはステアリングシャフト5aを介してステアリングコラム6bのアウタコラム22に、図26に矢印αで示す様に、前方に向いた衝撃荷重が加わる。そして、この衝撃荷重がコラム側ブラケット13aに対し、調節ロッド14aと上下方向長孔34との係合部から入力される。この結果、このコラム側ブラケット13aに、図26に矢印βで示す様に、同図の時計方向のモーメントが加わる。尚、前記衝撃荷重の作用方向がほぼ水平方向前方であるのに対して、ステアリングコラム6bは、前側が低く、後側が高くなる方向に傾斜している。従って、前記係合部から前記コラム側ブラケット13aに入力される衝撃荷重は、前記傾斜に基づく分だけ小さくなる(前記ステアリングコラム6bの軸方向の分力となる)。
何れにしても、前記二次衝突時に前記コラム側ブラケット13aは、前記矢印βで示したモーメントを受けつつ前方に押されて、車体側ブラケット10aから前方に離脱する。この離脱の過程で、この車体側ブラケット10aのうち、係止切り欠き17a(図9参照)の両側部分の上下両面と、係止カプセル11aの鍔部44(又は庇部51)の下面及び前記コラム側ブラケット13aの上板部46の上面とが擦れ合う。前記離脱荷重を低く抑える為には、この擦れ合いに基づく摩擦力を低く抑える必要がある。ところが、二次衝突時に、前記コラム側ブラケット13aに前記矢印βで示した様なモーメントが加わると、図27に太線で示した、前記上板部46の上面前寄り部分と前記車体側ブラケット10aの下面との当接部、並びに、前記鍔部44(又は庇部51)の下面とこの車体側ブラケット10aの上面との当接部の面圧が高くなる。この結果、そのままでは、前記擦れ合いに基づく摩擦力が大きく、前記離脱荷重が大きくなる傾向になって、衝突事故の際の運転者保護の面から不利になる。
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、二次衝突時にコラム側ブラケットに加わるモーメントに拘らず、このコラム側ブラケットが前方に離脱する過程で擦れ合う部材との間に作用する摩擦力を低く抑える事ができ、衝突事故の際の運転者の保護充実を図り易い構造を実現すべく発明したものである。
本発明のステアリングコラムの支持装置の発明は、従来から知られているステアリングコラムの支持装置と同様に、ステアリングコラムと、コラム側ブラケットと、車体側ブラケットと、係止カプセルとを備える。そして、この係止カプセルをこれら両ブラケットのうちの一方のブラケットに対し、合成樹脂製の連結部材を介して、前記二次衝突時に加わる衝撃荷重に基づいて、前記一方のブラケットに対し離脱可能に結合して成る。
特に、本発明のステアリングコラム用支持装置に於いては、前記一方のブラケットの上下両面と、前記両ブラケットのうちの他方のブラケット又は前記係止カプセルの一部である相手面との距離を部分的に異ならせる。又、前記一方のブラケットの上下両面とこの相手面との間部分のうち、前記二次衝突の際に前記ステアリングコラムから前記コラム側ブラケットに加わるモーメントに基づいて当接圧が高くなる部分に、前記連結部材を構成する合成樹脂の一部を進入させる。そして、この合成樹脂製のプレート部を形成する。
上述の様に構成する本発明のステアリングコラムの支持装置によれば、二次衝突時にコラム側ブラケットに作用するモーメントに基づいて当接圧が高くなる部分に、金属に比べて摩擦係数が低い合成樹脂製のプレート部が、安定して存在する状態となる。この為、前記モーメントに基づく当接圧の上昇に拘らず、二次衝突時に前記コラム側ブラケットが前方に離脱する過程で擦れ合う部分の摩擦力を低く抑えて、衝突事故の際の運転者の保護充実を図り易くできる。
[実施の形態の第1例]
図1〜2は、請求項1〜5に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例を含めて本発明の特徴は、二次衝突時にコラム側ブラケットを前方に変位させる為の離脱荷重を低く抑えるべく、この二次衝突時に当接圧が高くなる部分に摩擦係数が低い合成樹脂を安定して介在させる為の構造にある。その他の部分の構造に関しては、先に説明した従来構造或いは先発明に係る構造と同様である。特に、本例の構造は、前記特徴部分を除き、前述の図13に示した先発明に係る構造の第2例と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
図1〜2は、請求項1〜5に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例を含めて本発明の特徴は、二次衝突時にコラム側ブラケットを前方に変位させる為の離脱荷重を低く抑えるべく、この二次衝突時に当接圧が高くなる部分に摩擦係数が低い合成樹脂を安定して介在させる為の構造にある。その他の部分の構造に関しては、先に説明した従来構造或いは先発明に係る構造と同様である。特に、本例の構造は、前記特徴部分を除き、前述の図13に示した先発明に係る構造の第2例と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合には、車体側ブラケット10dのうちで係止切り欠き17a(図9参照)の両側部分の上下両面と、コラム側ブラケット13aを構成する上板部46の上面及び係止カプセル11bの庇部51の下面との距離を部分的に異ならせている。この為に本例の場合には、前記上板部46の上面と前記庇部51の下面との間隔Dを、前記車体側ブラケット10dを構成する金属板の厚さ寸法Tよりも十分に(例えば0.3〜2mm程度、好ましくは0.5〜1mm程度)大きくしている。そして、この車体側ブラケット10dを構成する金属板の前後方向中間部で、前記上板部46の上面と前記庇部51の下面との間に挟まれる部分に、段差部59を形成している。前記車体側ブラケット10dは、この段差部59よりも前側部分が、同じく後側部分よりも上方(前記庇部51の下面寄り部分)に存在する。
前記車体側ブラケット10dのうちで係止切り欠き17a(図13参照)の両側部分を、前記上板部46の上面と前記庇部51の下面との間の係止溝18bに挿入した状態では、この上板部46のうちで前記段差部59よりも前側部分に関しては、上面が前記庇部51の下面と当接し、下面が前記上板部46の上面と離隔して、これら両面同士の間に、前下側隙間空間60を介在させる。これに対して、前記段差部59よりも後側部分に関しては、下面が前記上板部46の上面と当接し、上面が前記庇部51の下面と離隔して、これら両面同士の間に、後上側隙間空間61を介在させる。
本例の場合には、前記コラム側ブラケット13aと前記係止カプセル11bとをボルトとナットとにより結合固定した状態で、前記車体側ブラケット10dと、合成樹脂製の係止ピン45、45を介して、二次衝突時の衝撃荷重により離脱可能に組み合わせている。これら各係止ピン45、45は、前記係止カプセル11bと前記車体側ブラケット10dとの互いに整合する部分に形成した小通孔19a、19bに、溶融した熱可塑性の合成樹脂を注入し、固化させる(射出成形する)事により形成する。この射出成形時にこの合成樹脂の一部が、前記前下側隙間空間60及び前記後上側隙間空間61内に入り込み、これら両隙間空間60、61の一部で前記各小通孔19a、19bの不連続部の周囲部分に、それぞれプレート部62a、62bを形成する。
本例の場合、ステアリングコラム6bの傾斜角度が緩く、調節ロッド14aが前記コラム側ブラケット13aの下寄り部分に設置されている。従って、二次衝突時にこのコラム側ブラケット13aには、図2に矢印γで示す様に、前記上板部46の前寄り部分を押し上げ、同じく中間部乃至後寄り部分を引き下げる方向のモーメントが加わる。この為、前記各プレート部62a、62bが形成されている部分は、このモーメントに基づいて、前記車体側ブラケット10dの上下面と、相手面である、前記上板部46の上面又は前記庇部51の下面との当接圧が高くなる部分となる。
上述の様に本例のステアリングコラムの支持装置の場合には、二次衝突時に前記コラム側ブラケット13aに作用するモーメントに基づいて当接圧が高くなる各部分に、合成樹脂製の前記各プレート部62a、62bを、安定して存在させられる。即ち、前記車体側ブラケット10dの前後方向中間部に前記段差部59を形成する事により、前記各プレート部62a、62bを形成すべき部分に、それぞれが前記合成樹脂を確実に進入させられるだけの厚さ寸法を有する、前記前下側隙間空間60及び前記後上側隙間空間61を設けている。この為、前記当接圧が高くなる各部分に、それぞれが十分な厚さ寸法を有する前記各プレート部62a、62bを、確実に形成できる。この結果、前記二次衝突時に、前記車体側ブラケット10dの上下面と相手面とが、金属同士で擦れ合う事を防止できる。前記各プレート部62a、62bは、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂の如く、金属に比べて遥かに摩擦係数が低い合成樹脂製であるから、二次衝突に伴って発生する、前記モーメントに基づく前記各部分の当接圧の上昇に拘らず、前記車体側ブラケット10dからの前記コラム側ブラケット13a及び前記係止カプセル11bの、前方への離脱を円滑に行わせる事ができる。この結果、二次衝突発生の瞬間に運転者の身体に加わる衝撃(ピーク荷重)を低く抑えて、衝突事故の際の運転者の保護充実を図り易くできる。
[実施の形態の第2例]
図3は、請求項1〜4、6に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合も、上述した実施の形態の第1例の場合と同様に、コラム側ブラケット13aを構成する上板部46の上面と、係止カプセル11bに設けた庇部51の下面との間隔Dを、車体側ブラケット10aを構成する金属板の厚さ寸法Tよりも十分に大きくしている。但し、本例の場合には、上述の第1例の場合とは異なり、前記車体側ブラケット10aを構成する金属板のうち、係止切り欠き17a(図13参照)の両側部分で前記上板部46の上面と前記庇部51の下面との間に挿入される部分が、段差部等を持たない平板状である。
図3は、請求項1〜4、6に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合も、上述した実施の形態の第1例の場合と同様に、コラム側ブラケット13aを構成する上板部46の上面と、係止カプセル11bに設けた庇部51の下面との間隔Dを、車体側ブラケット10aを構成する金属板の厚さ寸法Tよりも十分に大きくしている。但し、本例の場合には、上述の第1例の場合とは異なり、前記車体側ブラケット10aを構成する金属板のうち、係止切り欠き17a(図13参照)の両側部分で前記上板部46の上面と前記庇部51の下面との間に挿入される部分が、段差部等を持たない平板状である。
特に、本例の場合には、前記車体側ブラケット10aを構成する金属板を、前記上板部46の上面と前記庇部51の下面との間の隙間内に、これら上面及び下面に対し傾斜して配置している。従って、前記上板部46の上面と前記車体側ブラケット10aの下面との間には、前側に向かう程厚さ寸法が大きくなる方向に傾斜した、くさび状の前下側隙間空間60aが存在する状態となる。これに対して、前記車体側ブラケット10aの上面と前記庇部51との下面との間には、後側に向かう程厚さ寸法が大きくなる方向に傾斜した、くさび状の後上側隙間空間61aが存在する状態となる。
この様な各隙間空間60a、61aの存在に基づき、前記車体側ブラケット10aと前記庇部51との互いに整合する部分に形成した各小通孔19a、19bに合成樹脂を射出成形すると、各係止ピン45、45が形成されると同時に、前記車体側ブラケット10aの上下両面と、前記上板部46の上面及び前記庇部51の下面との間に、それぞれ厚さ寸法が前後方向に亙り漸次変化する、くさび状のプレート部62c、62dが形成される。本例の場合も、二次衝突時に前記コラム側ブラケット13aには、前記上板部46の前寄り部分を押し上げ、同じく中間に乃至後寄り部分を引き下げる方向のモーメントが加わる。そして、このモーメントに基づいて当接圧が高くなる部分に、十分な厚さ寸法を有する、前記各プレート部62c、62dが存在するので、二次衝突時に、前記車体側ブラケット10aからの前記コラム側ブラケット13a及び前記係止カプセル11bの、前方への離脱を円滑に行わせる事ができる。
[実施の形態の第3例]
図4は、請求項1〜4、7に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、前述した実施の形態の第1例及び上述した第2例とは異なり、コラム側ブラケット13aを構成する上板部46の上面と、係止カプセル11bに設けた庇部51の下面との間隔Dを、車体側ブラケット10aを構成する金属板の厚さ寸法Tとほぼ同じ(D≒T)としている。即ち、前記両面同士の間隔Dを、これら両面同士の間に前記車体側ブラケット10aの一部で係止切り欠き17a(図13参照)の両側部分をがたつきなく係合させる(対向する面を全面に亙り当接させる)寸法としている。
図4は、請求項1〜4、7に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、前述した実施の形態の第1例及び上述した第2例とは異なり、コラム側ブラケット13aを構成する上板部46の上面と、係止カプセル11bに設けた庇部51の下面との間隔Dを、車体側ブラケット10aを構成する金属板の厚さ寸法Tとほぼ同じ(D≒T)としている。即ち、前記両面同士の間隔Dを、これら両面同士の間に前記車体側ブラケット10aの一部で係止切り欠き17a(図13参照)の両側部分をがたつきなく係合させる(対向する面を全面に亙り当接させる)寸法としている。
これに合わせて本例の場合には、前記車体側ブラケット10aの一部で係止切り欠き17aの両側部分に、前後方向にずらせた状態で形成した複数の小通孔19b、19bの上下両端開口部のうち、前端の小通孔19bの下端開口部と、中間部及び後端の小通孔19b、19bの上端開口部とに、それぞれが円形の凹部63、63を形成している。これら各凹部63、63は、それぞれの内径側が前記各小通孔19b、19bと通じており、又、これら各凹部63、63の直径Rは、前記各小通孔19b、19bの内径rよりも十分に大きい(R≫r)。従って、これら各小通孔19b、19b及び係止カプセル11bの庇部51に形成した小通孔19a、19a部分に係止ピン45、45を、合成樹脂の射出成形により造ると、この合成樹脂の一部が前記各凹部63、63内に流入して固化し、それぞれプレート部62e、62fを形成する。本例の場合も、二次衝突時に前記コラム側ブラケット13aに加わるモーメントに基づいて当接圧が高くなる部分に、前記各プレート部62e、62fが存在するので、二次衝突時に、前記車体側ブラケット10aからの前記コラム側ブラケット13a及び前記係止カプセル11bの、前方への離脱を円滑に行わせる事ができる。
以上の説明は、車体側ブラケットとコラム側ブラケットとを、これら両ブラケットの幅方向中央部の1箇所にのみ設けた係止カプセルを介して結合する構造に本発明を適用した場合に就いて説明した。但し、本発明は、前述した、各先発明に係る構造で実施できる事は勿論、請求項10に記載した発明の様に、車体側ブラケットとコラム側ブラケットとを、これら両ブラケットの幅方向両端寄り部分の2箇所位置に設けた、1対の係止カプセル11、11を介して結合する、前述の図6〜8に示した構造に適用する事もできる。即ち、これら両係止カプセル11、11自体が合成樹脂製である場合には、本発明を適用する必要性は乏しいが、アルミニウム合金等の金属製である場合には、本発明を適用する事により、二次衝突時の離脱荷重の低減を図れる。この場合には、例えば、合成樹脂製のプレート部を、両取付板部16、16の上面前寄り部分及び下面後寄り部分と係止溝18、18の内面との間に設ける。この様な構造を得る為には、例えばこれら各係止溝18、18の上下方向に関する幅寸法を前記両取付板部16、16の厚さ寸法よりも十分に大きくする。そして、前述の図3に示した実施の形態の第2例の構造と同様に、前記両取付板部16、16のうちで係止切り欠き17、17の両側部分を前記各係止溝18、18内に斜めに配置した状態で、合成樹脂製の連結部材を射出成形する。勿論、図2、4に示した、実施の形態の第1、3例の構造を適用する事もできる。
又、ステアリングコラムの傾斜角度が大きい、係止カプセルの設置位置に対して調節ロッドの設置位置が後ろ寄りである等、ステアリングコラムの設計諸元によっては、二次衝突時にコラム側ブラケットに加わるモーメントの方向が、図示の例とは逆(図1〜4で時計方向)になる可能性もある。この様な場合には、摩擦低減の為の合成樹脂製のプレート部を、図2〜4の場合とは逆側に設ける。
又、請求項8〜9に記載した発明の様に、本発明と、前述の図20〜23に示した先発明の構造とを、組み合わせて実施する事もできる。
更に、請求項11に記載した発明の様に、各プレート部を構成する合成樹脂を、合成樹脂中に潤滑油を混入した含油樹脂としたり、或いは請求項12に記載した発明の様に、各プレート部を介して車体側ブラケットの上下面と対向する面に、低摩擦材製のコーティング層を形成する事もできる。この様な請求項11〜12に記載した発明によれば、二次衝突時に於けるコラム側ブラケットの離脱荷重をより一層低減して、衝突事故の際の運転者保護を、より一層充実させ易くできる。
又、請求項8〜9に記載した発明の様に、本発明と、前述の図20〜23に示した先発明の構造とを、組み合わせて実施する事もできる。
更に、請求項11に記載した発明の様に、各プレート部を構成する合成樹脂を、合成樹脂中に潤滑油を混入した含油樹脂としたり、或いは請求項12に記載した発明の様に、各プレート部を介して車体側ブラケットの上下面と対向する面に、低摩擦材製のコーティング層を形成する事もできる。この様な請求項11〜12に記載した発明によれば、二次衝突時に於けるコラム側ブラケットの離脱荷重をより一層低減して、衝突事故の際の運転者保護を、より一層充実させ易くできる。
1 ステアリングホール
2 ステアリングギヤユニット
3 入力軸
4 タイロッド
5、5a ステアリングシャフト
6、6a、6b ステアリングコラム
7 自在継手
8 中間シャフト
9 自在継手
10、10a、10b、10c、10d 車体側ブラケット
11、11a、11b、11c、11d、11e 係止カプセル
12 ボルト若しくはスタッド
13、13a、13b コラム側ブラケット
14、14a 調節ロッド
15 支持板部
16 取付板部
17、17a、17b 係止切り欠き
18、18a、18b、18c 係止溝
19、19a、19b 小通孔
20 通孔
21 インナコラム
22 アウタコラム
23 アウタシャフト
24 玉軸受
25 ハウジング
26 電動モータ
27 制御器
28 支持筒
29 中心孔
30 スリット
31 周方向透孔
32 被支持板部
33 支持板部
34 上下方向長孔
35 前後方向長孔
36 頭部
37 ナット
38 駆動側カム
39 被駆動側カム
40 カム装置
41 調節レバー
42 摩擦板ユニット
43 取付孔
44 鍔部
45、45a 係止ピン
46 上板部
47、47a ボルト
48 ナット
49、49a 基板部
50 立ち上がり部
51、51a 庇部
52 頭部
53、53a 溶接
54 透孔
55 切り欠き部
56a、56b 凹部
57 湾曲部
58 セルフピアスリベット
59 段差部
60、60a 前下側隙間空間
61、61a 後上側隙間空間
62a、62b、62c、62d、62e、62f プレート部
63 凹部
2 ステアリングギヤユニット
3 入力軸
4 タイロッド
5、5a ステアリングシャフト
6、6a、6b ステアリングコラム
7 自在継手
8 中間シャフト
9 自在継手
10、10a、10b、10c、10d 車体側ブラケット
11、11a、11b、11c、11d、11e 係止カプセル
12 ボルト若しくはスタッド
13、13a、13b コラム側ブラケット
14、14a 調節ロッド
15 支持板部
16 取付板部
17、17a、17b 係止切り欠き
18、18a、18b、18c 係止溝
19、19a、19b 小通孔
20 通孔
21 インナコラム
22 アウタコラム
23 アウタシャフト
24 玉軸受
25 ハウジング
26 電動モータ
27 制御器
28 支持筒
29 中心孔
30 スリット
31 周方向透孔
32 被支持板部
33 支持板部
34 上下方向長孔
35 前後方向長孔
36 頭部
37 ナット
38 駆動側カム
39 被駆動側カム
40 カム装置
41 調節レバー
42 摩擦板ユニット
43 取付孔
44 鍔部
45、45a 係止ピン
46 上板部
47、47a ボルト
48 ナット
49、49a 基板部
50 立ち上がり部
51、51a 庇部
52 頭部
53、53a 溶接
54 透孔
55 切り欠き部
56a、56b 凹部
57 湾曲部
58 セルフピアスリベット
59 段差部
60、60a 前下側隙間空間
61、61a 後上側隙間空間
62a、62b、62c、62d、62e、62f プレート部
63 凹部
Claims (12)
- 内側にステアリングシャフトを回転自在に支持する為のステアリングコラムと、このステアリングコラムに支持されて二次衝突時にこのステアリングコラムと共に前方に変位するコラム側ブラケットと、車体側に支持固定されて、二次衝突時にも前方に変位する事のない車体側ブラケットと、これらコラム側、車体側両ブラケット同士を結合する為、これら両ブラケット同士の間に設けられた係止カプセルとを備え、この係止カプセルをこれら両ブラケットのうちの一方のブラケットに対し、合成樹脂製の連結部材を介して、前記二次衝突時に加わる衝撃荷重に基づいて、前記一方のブラケットに対し離脱可能に結合して成るステアリングコラム用支持装置に於いて、この一方のブラケットの上下両面と、前記両ブラケットのうちの他方のブラケット又は前記係止カプセルの一部である相手面との距離を部分的に異ならせ、前記一方のブラケットの上下両面とこの相手面との間部分のうち、前記二次衝突の際に前記ステアリングコラムから前記コラム側ブラケットに加わるモーメントに基づいて当接圧が高くなる部分に、前記連結部材を構成する合成樹脂の一部を進入させて、この合成樹脂製のプレート部を形成した事を特徴とするステアリングコラム用支持装置。
- 前記コラム側ブラケットを前記車体側ブラケットの下側に配置しており、この車体側ブラケットの一部に形成された、この車体側ブラケットの前後方向に長い係止切り欠きに、前記コラム側ブラケットの上面に固定された係止カプセルを係止すると共に、この係止カプセルの幅方向両端部を、前記係止切り欠きの幅方向両周縁部で前記車体側ブラケットの上側に位置させており、前記係止カプセルのうちで前記車体側ブラケットの一部と厚さ方向に重畳する部分に形成した変位側容積部とこの車体側ブラケットのうちでこの変位側容積部に整合する部分に設けられた固定側容積部との間に合成樹脂を、これら両容積部同士の間に掛け渡す状態で射出成形する事により、前記連結部材としており、前記車体側ブラケットの上下両面と、前記コラム側ブラケット又は前記係止カプセルの一部である相手面との距離を部分的に異ならせ、前記車体側ブラケットの上下両面と前記相手面との間部分のうち、前記二次衝突の際に前記ステアリングコラムから前記コラム側ブラケットに加わるモーメントに基づいて当接圧が高くなる部分に、前記連結部材を構成する合成樹脂の一部を進入させて、この合成樹脂製のプレート部を形成した、請求項1に記載したステアリングコラム用支持装置。
- 前記係止切り欠きが前記車体側ブラケットの幅方向中央部の1箇所に形成されており、前記コラム側ブラケットの上端部に設けた上板部の上面の幅方向中央部に、前記係止カプセルを固定しており、この上板部の上面とこの係止カプセルの幅方向両端部に設けた庇部の下面との間に、前記車体側ブラケットの一部で前記係止切り欠きの幅方向両側部分を係合させている、請求項2に記載したステアリングコラム用支持装置。
- 前記二次衝突時に前記コラム側ブラケットに加わるモーメントの方向が、このコラム側ブラケットの前寄り部分を上方に、同じく後寄り部分を下方に、それぞれ変位させる方向であり、前記二次衝突の際に前記モーメントに基づいて当接圧が高くなる部分が、前記上板部の上面前寄り部分と前記車体側ブラケットの下面との対向部分、並びに、前記庇部の下面と前記車体側ブラケットの上面との対向部分である、請求項3に記載したステアリングコラム用支持装置。
- 前記上板部の上面と前記庇部の下面との間隔が前記車体側ブラケットを構成する金属板の厚さ寸法よりも大きく、この金属板の一部で少なくとも前記上板部の上面と前記庇部の下面との間に挟まれる部分の前後方向中間部に段差部が形成されており、この段差部を境に前後方向の一方の部分では、前記上板部の上面と前記金属板の下面との間に、同じく他方の部分では、前記両庇部の下面とこの金属板の上面との間に、それぞれ前記合成樹脂製のプレート部を形成している、請求項3〜4のうちの何れか1項に記載したステアリングコラム用支持装置。
- 前記上板部の上面と前記庇部の下面との間隔が前記車体側ブラケットを構成する金属板の厚さ寸法よりも大きく、この金属板が前記上板部の上面と前記庇部の下面との間の隙間内に、これら上面及び下面に対し傾斜した状態で存在しており、前記金属板の上下両面と前記上板部の上面及び前記両庇部の下面との間に、それぞれ厚さ寸法が前後方向に亙り漸次変化するくさび状のプレート部が形成されており、これら各プレート部の厚さ寸法が、モーメントに基づいて当接圧が高くなる側で逆側よりも大きくなっている、請求項3〜4のうちの何れか1項に記載したステアリングコラム用支持装置。
- 前記上板部の上面と前記庇部の下面との間隔が、前記車体側ブラケットを構成する金属板をがたつきなく係合させる寸法であり、前記変位側容積部と前記固定側容積部とのうちの少なくとも一方の容積部のうち、前記車体側ブラケットの上面又は下面と前記上板部の上面又は前記庇部の下面との重ね合わせ部に位置する開口部分に、当該容積部の奥部分よりも面積が大きくなった凹部を設けており、この凹部内に合成樹脂を進入させる事により前記各プレート部を構成している、請求項3〜4のうちの何れか1項に記載したステアリングコラム用支持装置。
- 前記車体側ブラケットの複数箇所に設けた各固定側容積部のうちの少なくとも一部の固定側容積部が、前記係止切り欠きの内周縁に開口する切り欠き部であり、前記連結部材を構成する為にこの切り欠き部に送り込まれた合成樹脂の一部が、前記係止切り欠きの内周縁と前記係止カプセルの一部外周縁との間に入り込んでいる、請求項2〜7のうちの何れか1項に記載したステアリングコラム用支持装置。
- 前記車体側ブラケットの下面と前記コラム側ブラケットの上面とのうちに少なくとも一方の面に、一端を前記固定側容積部に通じさせると共に、他端を前記車体側ブラケットの下面と前記コラム側ブラケットの上面とが対向している部分よりも外部空間側に開口する凹部を形成し、前記連結部材を構成する合成樹脂の一部を、この凹部を通じて前記外部空間側に露出させた、請求項2〜8のうちの何れか1項に記載したステアリングコラム用支持装置。
- 前記コラム側ブラケットの上端部で前記ステアリングコラムを幅方向両側から挟む位置に設けられた左右1対の取付板部にそれぞれ係止切り欠きが、これら両取付板部の後端縁側に開口する状態で形成されており、これら両係止切り欠きにそれぞれ係止カプセルを係合させると共に、前記両取付板部の一部でこれら両係止切り欠きの両側部分を、前記両係止カプセルの左右両側に形成した係止溝に係合させた状態で、これら両係止切り欠きの両側部分と両係止カプセルの左右両端部分との互いに整合する部分に形成した係止孔内に合成樹脂を射出成形する事により、前記連結部材を構成しており、この合成樹脂の一部を、前記両取付板部の一部でこれら両係止切り欠きの両側部分の上面又は下面と前記各係止溝の内面との間に進入させて前記各プレート部を形成した、請求項1に記載したステアリングコラム用支持装置。
- 前記各プレート部を構成する合成樹脂が、合成樹脂中に潤滑油を混入した含油樹脂である、請求項1〜10のうちの何れか1項に記載したステアリングコラム用支持装置。
- 前記各プレート部を介して前記車体側ブラケットの上下面と対向する面に、低摩擦材製のコーティング層を形成している、請求項1〜11のうちの何れか1項に記載したステアリングコラム用支持装置。
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