JP2014141854A - 構造物荷重と免震装置による地盤の液状化対策構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基礎7に支承された構造物2と構造物直下地盤3を囲む地中壁6とを備える地盤の液状化対策構造1において、基礎7は構造物2との間に免震装置8が介装され、その周縁部に立設された擁壁71外面が地中壁6内面と滑りを許容した状態で接していて構造物2の下方への移動を許容し、地震による水平方向の構造物慣性力は免震装置8により低減され、低減された構造物慣性力が擁壁71を介して地中壁6へと伝達され、構造物直下地盤3へ作用する構造物慣性力による外力を減少させ、地盤のせん断応力を低減する一方、鉛直方向の構造物の荷重全体を前記構造物直下地盤に作用させ、地盤の有効応力を増大する。
【選択図】図1
Description
また、既存構造物に対して液状化対策しようとした場合、地中壁の構造物直下への造成が困難である。
請求項4に係る発明は、セメント系の地盤改良体からなる前記地中壁の外面上部の少なくとも一部は、セメント系の地盤改良体によって補強されていることを特徴としている。
その上、構造物を免震化しているため、構造物の慣性力自体も減少して地盤に作用する外力が減ることで液状化抑制効果をさらに高めることができる。
また、本発明は、構造物の免震化により擁壁を介して地中壁へと伝わる水平力が低減されるため、地中壁に生じる応力を軽減でき、地中壁が損傷することを防ぐことができるものである。
請求項4に係る発明によれば、セメント系の地盤改良体からなる地中壁の外面上部の少なくとも一部がセメント系の地盤改良体によって補強して、地中壁の地震耐力を増強してあるので、地震による水平方向の構造物慣性力による地中壁の破損を防止することかできる。
実施の態様1.3.4は、地盤に構造物荷重が作用する形式の基礎に支承された構造物と構造物直下地盤を囲む地中壁で構築された地中構造体とを備える地盤の液状化対策構造において、基礎が構造物との間に免震装置が介装されるものであるとともに、その周縁部に立設された擁壁外面が地中壁内面と滑りを許容した状態で接していて構造物の下方への移動を許容するものであることで共通している一方、基礎と地中構造体の形態がそれぞれ異なっている。
また、実施の態様2は、実施の態様1の基礎周縁部に立設された擁壁外面を基礎と免震装置の間に構築した地下躯体外壁外面に代えたものである。
前提として、構造物2が載荷されている地盤5は、地盤の下方から非液状化地盤4とその上に積層された液状化の恐れがある地盤3とから構成されている。
そして、この構造物2はこの液状化の恐れがある地盤3に直接支持されるのであり、地中構造体6と構造物2が存在しない条件下で地震による水平荷重を受けたときに、地盤に液状化現象が発生するものである。
地中壁6は、セメント系の地盤改良体、鉄筋コンクリート連壁、鋼矢板、土とセメントスラリーを原位置で混合・攪拌して造成した壁体と鋼材の合成構造であるSMW等で形成することができる。
この構成によって、基礎7は構造物2の下方への動きを拘束することなく、構造物2の下方への移動を許容して構造物の鉛直荷重全体を上記した構造物直下地盤3に作用させ、地盤の有効応力を確実に増大する。
これによって、地盤3のせん断応力が低減することで液状化抑制効果が得られるものである。
なお、免震の方法は、積層ゴム、滑り支承、転がり支承の単独形式でもよいが、これらを組み合わせたハイブリッド形式でもよく、特に形式は問わない。
これにより、構造物直下地盤を囲む地中壁と免震化された構造物荷重による液状化抑制効果を検証した。
この解析モデルは、地中壁6が地表から10mの深さまで構築され、壁厚0.8m、壁間隔15mとしてある。
図4において、構造物荷重を作用させない場合(A)よりも構造物荷重を作用させた場合(B)の方が、過剰間隙水圧比の上昇量が小さくなっていることが判る。
これは、構造物荷重が地中壁で囲まれた地盤に作用することで、地盤の有効応力が増加し、地盤の液状化強度が増加したためと考えられる。
免震化していない構造物の形態では、地震動によって発生した構造物の慣性力が地中壁で囲まれた地盤に直接外力として作用して、液状化を助長することとなるが、構造物を免震化した実施の形態では、構造物上部の加速度が免震によって低減し構造物の慣性力が減少するため、地中壁に囲まれた地盤へ伝達される外力が減少し、液状化抑制効果が高まったことが考えられる。
これによると、構造物荷重を作用させない場合(A)は、地震発生後略15秒後に略液状化し、120秒経過しても液状化現象は消散しない。
構造物荷重を作用させた場合(B)は、略20秒後に液状化するものの略40秒経過すると液状化現象の消散が始まり、略120秒後に液状化現象が略完全に消散する。
これによっても、地中壁に囲まれた地盤へ伝達される外力が減少し、液状化抑制効果が高まったことが裏付けられる。
この実施の態様については、液状化対策構造1は、地下躯体72が構造物2との間に免震装置8が介装されるものであるとともに、その外壁外面が地中壁6内面と滑りを許容した状態で接していて構造物2の下方への移動を許容するものである。
上記したように、この実施の態様についても、液状化対策構造1は、基礎7が構造物2との間に免震装置8が介装されるものであるとともに、その周縁部に立設された擁壁71外面が地中壁6内面と滑りを許容した状態で接していて構造物2の下方への移動を許容するものである。
そして、この地盤に構造物荷重が作用する基礎形式は、パイルド・ラフト基礎とされている。
これによって、構造物2の鉛直荷重は、基礎7自体から構造物直下地盤3に伝達されるのに加えて、摩擦杭9からも該地盤3に伝達される。
このため、より深い層まで地盤の有効応力を増大させることができる。
地中壁6の上部は、地震時において基礎の擁壁71から水平方向の構造物慣性力を受けるから、損傷する可能性が高い。
これにより、地中壁6の耐震性が高まることから、地震による水平振動に耐えることができる。
2 構造物
3 液状化の恐れがある地盤
4 非液状化地盤
5 地盤
6 地中壁
7 基礎
71 擁壁
72 地下躯体
8 免震装置
9 摩擦杭
10 補強体
Claims (4)
- 地盤上面に構造物荷重が作用する形式の基礎に支承された構造物と構造物直下地盤を囲む地中壁で構築された地中構造体とを備える地盤の液状化対策構造において、
前記基礎は、前記構造物との間に免震装置が介装されるとともに、その周縁部に立設された擁壁外面が前記構造物の下方への移動を許容した状態で前記地中壁内面と接していて、
地震による水平方向の構造物慣性力は前記免震装置により低減され、低減された構造物慣性力が基礎周縁部に形成された前記擁壁を介して前記地中壁へと伝達され、前記構造物直下地盤へ作用する構造物慣性力による外力を減少させ、地盤のせん断応力を低減する一方、
鉛直方向の構造物の荷重全体を前記構造物直下地盤に作用させ、地盤の有効応力を増大する、
ことを特徴とする地盤の液状化対策構造。 - 地盤上面に構造物荷重が作用する形式の基礎に支承された構造物と構造物直下地盤を囲む地中壁で構築された地中構造体とを備える地盤の液状化対策構造において、
前記基礎は、前記構造物との間に免震装置が介装されるとともに、前記基礎と前記免震装置の間に構築した地下躯体外壁外面が前記構造物の下方への移動を許容した状態で前記地中壁内面と接していて、
地震による水平方向の構造物慣性力は前記免震装置により低減され、低減された構造物慣性力が前記地下躯体外壁を介して前記地中壁へと伝達され、前記構造物直下地盤へ作用する構造物慣性力による外力を減少させ、地盤のせん断応力を低減する一方、
鉛直方向の構造物の荷重全体を前記構造物直下地盤に作用させ、地盤の有効応力を増大する、
ことを特徴とする地盤の液状化対策構造。 - 前記地盤上面に構造物荷重が作用する形式の基礎は、直接基礎、摩擦杭、パイルド・ラフト基礎のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれかに記載された地盤の液状化対策構造。
- セメント系の地盤改良体からなる前記地中壁の外面上部の少なくとも一部は、セメント系の地盤改良体によって補強されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された地盤の液状化対策構造。
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