JP2014137121A - ベルト式無段変速機の推力機構 - Google Patents

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彬 伊地知
Motoki Tabuchi
元樹 田淵
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Abstract

【課題】トルクカムで発生する推力を、伝達するべきトルクに応じて十分に大きくする。
【解決手段】プーリ2が、回転軸13と一体化されている固定シーブ11とその固定シーブ11に対して接近および離隔するように回転軸13に軸線方向に前後動可能に嵌合された可動シーブ12とを有し、その可動シーブ12を固定シーブ11側に押圧する推力をトルクに応じて発生するトルクカム26と、可動シーブ12を固定シーブ11に向けて押圧するスプリング25とが設けられているベルト式無段変速機の推力機構であって、プーリ2との間でトルクを授受し、かつ回転軸13に対して相対回転可能な回転部材15を有し、トルクカム26は、その回転部材15と可動シーブ12との間に設けられ、スプリング25は、回転軸13と可動シーブ12との間に、可動シーブ12を固定シーブ11側に押圧するように配置されている。
【選択図】 図2

Description

この発明は、ベルトが巻き掛けられた少なくとも一対のプーリの間でトルクを伝達し、かつそれぞれのプーリに対するベルトの巻き掛け半径を連続的に変化させることのできるベルト式無段変速機に関し、特にプーリがベルトを挟み付ける推力を発生する機構に関するものである。
この種の無段変速機は、プーリに対するベルトの巻き掛け半径を連続的に変化させて変速を行うから、ベルトはプーリに摩擦接触させ、その摩擦力によってトルクを伝達するように構成されている。したがって、伝達トルク容量はベルトとプーリとの間で生じる摩擦力やプーリの径に依存するので、所望の伝達トルク容量を設定するために、プーリを固定シーブと可動シーブとによって構成し、その可動シーブを固定シーブ側に押圧する推力を発生する機構を設けている。また、その推力は伝達するべきトルクに応じた推力とすることが望ましいから、伝達するべきトルクに基づいて推力を発生するトルクカムが採用されることがある。特に、ベルトとプーリとが金属接触しないように構成されたいわゆる乾式のベルト式無段変速機では、トルクカムが特には潤滑油を必要としないので、ベルトとプーリとが潤滑油の影響を受けない利点がある。
トルクカムを用いたベルト式無段変速機の一例が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されたベルト式無段変速機は従動プーリ側にトルクカムが設けられた例であり、その従動プーリは伝達軸と一体の固定シーブと、その伝達軸上を軸線方向に前後動しかつ伝達軸と一体となって回転する可動シーブとを有し、その可動シーブの背面側には出力軸が伝達軸と中心軸線を一致させて配置されている。そして、可動シーブの背面と出力軸との間には、トルクを軸線方向の推力に変換するトルクカムが配置され、従動プーリから出力軸に伝達するトルクが大きいほど、推力が大きくなってベルトとプーリとの間の摩擦力すなわち伝達トルク容量が増大するように構成されている。また、可動シーブと出力軸との間には、伝達軸の外周側に嵌合させたコイルスプリングが設けられ、伝達するべきトルクが生じていない場合であっても最低限の推力をこのコイルスプリングによって発生させるように構成されている。
また、特許文献2には、固定シーブが取り付けられた従動軸に、固定シーブに対して接近および離隔する可動シーブを嵌合させ、その可動シーブと従動軸との間にトルクカム装置を設け、さらに可動シーブの背面側に従動軸と一体化させているバネ受けを設け、そのバネ受けと可動シーブの背面との間に、可動シーブを固定シーブ側に押圧するコイルスプリングを配置したベルト式無段変速機が記載されている。
特開2011−80561号公報 特開2002−227949号公報
可動シーブを固定シーブ側に押圧する推力をトルクカムによって生じさせるように構成されたベルト式無段変速機では、上記の特許文献1や特許文献2に記載されているように、コイルスプリングを併用し、トルクが作用していない場合であっても可動シーブを固定シーブ側に押圧して必要最低限程度の推力およびそれに伴う伝達トルク容量を設定している。したがって、ベルト式無段変速機がトルクを伝達している状態では、上記のコイルスプリングとトルクカムとによる推力で可動シーブを固定シーブ側に押圧して所定の伝達トルク容量を設定することになる。
そのトルクカムは、伝達するトルクに応じた推力を発生するように構成されているので、トルクカムに掛かるトルクが小さければ推力が小さくなってしまう。すなわち、上述した特許文献1に記載された構成は、可動シーブと出力軸との間にトルクカムとコイルスプリングとが互いに並列の関係となるように設けられた構成である。また、同様に、特許文献2に記載された構成では、可動シーブと従動軸との間にトルクカム装置が設けられ、またその従動軸と可動シーブとの間にコイルスプリングが設けられている。したがって、これら特許文献1および特許文献2に記載された構成では、可動シーブから出力軸もしくは従動軸にトルクを伝達するものの、そのトルクの一部がトルクカムを経由して伝達され、他の一部がコイルスプリングを介して伝達される。すなわち、コイルスプリングは可動シーブと出力軸もしくは従動軸とに弾性力で押し付けられているから、その接触部に摩擦力が作用する。また、コイルスプリングは弾性変形するものの、直線状態を維持するように応力が生じるから、これらの応力および摩擦力によって、可動シーブと出力軸もしくは従動軸との間でトルクを伝達する作用が生じる。そのため、可動シーブもしくは従動プーリから出力軸などの出力側の部材に伝達されるトルクの全量がトルクカムを通過する訳ではなく、そのトルクの一部がコイルスプリングを経由して出力側の部材に伝達されるので、その分、トルクカムに掛かるトルクが低下する。このように、特許文献1や特許文献2に記載された構成では、ベルト式無段変速機で伝達するべきトルクに対してトルクカムで発生する推力が小さくなってしまう可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、トルクカムに掛かるトルクの低下を可及的に抑制して、伝達するべきトルクに対して必要十分な推力を発生させることのできるベルト式無段変速機の推力機構を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、ベルトが巻き掛けられるプーリが、回転軸と一体化されている固定シーブとその固定シーブに対して接近および離隔するように前記回転軸に該回転軸の軸線方向に前後動可能に嵌合された可動シーブとを有し、その可動シーブを前記固定シーブ側に押圧する推力をトルクに応じて発生するトルクカムと、前記可動シーブを前記固定シーブに向けて押圧するスプリングとが設けられているベルト式無段変速機の推力機構において、前記プーリとの間でトルクを授受し、かつ前記回転軸に対して相対回転可能な回転部材を有し、前記トルクカムは、その回転部材と前記可動シーブとの間に設けられ、前記スプリングは、前記回転軸と前記可動シーブとの間に、前記可動シーブを前記固定シーブ側に押圧するように配置されていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記可動シーブの前記固定シーブ側の面とは反対の背面側に前記トルクカムが配置され、前記可動シーブの背面には前記トルクカムに向けて軸線方向に延びた円筒部が形成され、前記スプリングは、前記円筒部の内部に軸線方向に向けて挿入されてそのスプリングの一方の端部が前記円筒部の内周側の所定箇所に突き当てられ、かつ他方の端部が前記円筒部から延び出ていて前記回転軸に設けられた受け部に突き当てられていることを特徴とするベルト式無段変速機の推力機構である。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記円筒部の内面に前記円筒部の端面から所定長さに亘ってキー挿入溝が形成され、このキー挿入溝にキーが挿入され、前記回転軸の外面に前記キーが差し込まれて前記キーが軸線方向に移動するキー溝が形成され、前記スプリングは、前記キー挿入溝に配置されて前記キーを前記キー挿入溝の前記固定シーブ側の端部に押し付けていることを特徴とするベルト式無段変速機の推力機構である。
この発明によれば、固定シーブに一体化されている回転軸と可動シーブとの間にスプリングが配置されていてそのスプリングの弾性力が、可動シーブを固定シーブ側に押圧する推力として作用する。また、プーリと回転部材との間でトルクが伝達されると、そのトルクがトルクカムに作用するので、そのトルクに応じた軸線方向の推力が発生し、その推力によって可動シーブが固定シーブ側に押圧される。これらスプリングによる推力とトルクカムによる推力とによってベルトが各シーブの間に挟み付けられ、その接触圧力に応じた摩擦力で、プーリとベルトとの間でトルクが伝達される。そして、上記のスプリングは、固定シーブに一体化された回転軸とその回転軸に嵌合された可動シーブとの間に配置されているから、プーリと前記回転部材との間のトルクの授受には関与しない。すなわち、プーリと前記回転部材との間で伝達されるトルクは、全てトルクカムを経由することになる。言い換えれば、プーリと前記回転部材との間で伝達されるトルクの全量がトルクカムに作用するので、トルクカムで生じる軸線方向の推力が、伝達するべきトルクに対して小さくなることを回避もしくは抑制することができる。
また特に請求項2あるいは請求項3の発明によれば、可動シーブを軸線方向に押圧するスプリングの少なくとも一部を、可動シーブの内周側、より具体的に可動シーブに形成されている円筒部の内周側に収容できるので、前記回転軸やこれに関連して設けられている部材によって構成されている部分の軸長を短縮することができる。
この発明で対象とするベルト式無段変速機の原理的な構成を示す概略図である。 この発明に係る推力機構の一例を模式的に示す断面図である。 この発明に係る推力機構におけるトルクの伝達経路と、従来の推力機構におけるトルクの伝達経路とを説明するための図である。 この発明に係る推力機構の他の例を模式的に示す断面図である。 図4のV−V線に沿う断面図である。 2本のスプリングを設けた場合の図5と同様の断面図である。 4本のスプリングを設けた場合の図5と同様の断面図である。
この発明を図に示す具体例を参照してより詳細に説明する。この発明が適用できるベルト式無段変速機は、プーリの溝幅を変更することによりプーリに対するベルトの巻き掛け半径を連続的に変更するように構成された無段変速機であり、したがって変速比を変更することと併せて、ベルトを挟み付けるいわゆる挟圧力を必要に応じた値に設定するために、各プーリは、固定シーブと可動シーブとによって構成されている。そして、この発明は、スプリングおよびトルクカムによって可動シーブに軸線方向の推力を与えて所定の挟圧力および伝達トルク容量を設定するように構成されており、したがってこの発明で対象とするベルト式無段変速機は、ベルトとプーリとの間に潤滑油を供給する必要のないいわゆる乾式のベルト式無段変速機であることが好ましい。
図1にはその一例を模式的に示してあり、駆動プーリ1と従動プーリ2とがそれぞれの中心軸線を互いに平行にして配置されている。駆動プーリ1はエンジンなどの図示しない動力源からトルクが入力されるプーリであって、固定シーブ3と可動シーブ4とによって構成されており、固定シーブ3は駆動軸(入力軸)5に一体化されており、これに対して可動シーブ4は固定シーブ3に対向した状態で駆動軸5に、その軸線方向に前後動しかつ駆動軸5と一体となって回転するように、嵌合させられている。これらのシーブ3,4の互いに対向する面は、テーパ状に形成されていて、これらの対向面の間がベルト6を巻き掛けるベルト溝となっている。したがって駆動プーリ1は、可動シーブ4を軸線方向に前後動させることによりベルト溝の幅(以下、単に溝幅と記すことがある)が変化し、それに応じてベルト6の巻き掛け半径が大小に変化するように構成されている。
可動シーブ4を軸線方向に前後動させる機構は、従来知られている適宜の機構であってよく、図1に示す例では、油圧を必要としない機械式アクチュエータによって構成されている。その機械式アクチュエータは送りねじ機構によって構成されており、上記の駆動軸5と平行にねじ軸7が配置されており、そのねじ軸7に噛み合っているねじ溝が外周部に形成されているねじ車8が、可動シーブ4に回転可能でかつ軸線方向には一体化された状態で取り付けられている。また、ねじ軸7は、減速歯車機構9を介して変速用モータ10に連結されている。すなわち、この変速用モータ10によってねじ軸7を正回転させ、あるいは逆回転させることにより、可動シーブ4が固定シーブ3に対して接近して溝幅が狭くなり、また反対に固定シーブ3から離れて溝幅が広くなるように構成されている。
従動プーリ2は、上記の駆動プーリ1と同様に、固定シーブ11と可動シーブ12とを有し、これらのシーブ11,12の対向面がテーパ状に形成されていることにより、これらのテーパ面の間隔である溝幅が各シーブ11,12の間隔に応じて変化し、その溝幅の変化に応じてベルト6の巻き掛け半径が大小に変化するように構成されている。その固定シーブ11は従動軸(出力軸)13に一体化されており、これに対して可動シーブ12は従動軸13にその軸線方向に前後動できかつ回転方向には従動軸13と一体化するように嵌合させられる。この可動シーブ12の背面側(固定シーブ11とは反対側)に、可動シーブ12を固定シーブ11側に押す押圧力(推力)を発生するための推力機構14が設けられ、この推力機構14からトルクを出力するように構成されている。すなわち、推力機構14は出力用の回転部材(図1の例では出力ギヤ)15に連結され、その出力ギヤ15からデファレンシャルギヤ16にトルクを出力するように構成されている。
図2はこの発明に係る推力機構14の一例を示しており、可動シーブ12は背面側に突出したボス部(円筒部)17を有し、その内周面の軸線方向での両端部にブッシュ18,19が嵌合させられており、可動シーブ12はこれらのブッシュ18,19を介して従動軸13の外周面に軸線方向に前後動できるように嵌合させられている。なお、後端側(図2の右端側)のブッシュ19とボス部17の内周面との間にはサポートリング20が介在され、ブッシュ19はこのサポートリング20によって保持されている。
また、ボス部17の内周部で各ブッシュ18,19の間には、キー21が取り付けられている。このキー21は可動シーブ12と従動軸13とを回転方向で一体化するためのものであって、ボス部17の内周面から内周側に突出している。これに対して従動軸13には、キー21の内周側への突出部を嵌合させて軸線方向に案内するキー溝22が形成されている。なお、このキー溝22は従動軸13の外径が小さくなる段差部から固定シーブ11側に、可動シーブ12が前後動する距離以上の範囲に亘って形成されている。
ボス部17の端面(図2の右側の端面)から軸線方向に所定寸法離れた箇所にバネ受け23が配置されている。このバネ受け23は、従動軸13に嵌合されてロックナット24によって従動軸13に固定された円板状の部材もしくは半径方向で外側に複数のアーム部を突出させた部材である。その円板状の部分もしくはアーム部は、ボス部17の端面と対向しており、これらボス部17の端面とバネ受け23との間に、ボス部17(すなわち可動シーブ12)を固定シーブ11側に押圧するスプリング25が配置されている。このスプリング25は、従動軸13の外周側に嵌合させた1本のコイルスプリングであってよく、あるいは従動軸13を中心とした円周方向に等間隔に配置した複数の圧縮スプリングであってもよい。したがって、図2に示す構成では、スプリング25が可動シーブ12を押圧する反力を従動軸13によってその引っ張り応力として受けるようになっている。
このスプリング25の外周側にトルクカム26が配置されている。このトルクカム26は、上記の従動軸13に相対回転可能に嵌合されたカム本体27を有し、そのカム本体27には、上記のスプリング25の外周側を覆いかつ前記ボス部17の端面に向けた延び出ている円筒部28が設けられている。その円筒部28の先端面(ボス部17の端面に対向する面)は、軸線方向に連続的に突出しかつ後退する円周方向に連続した凹凸面とされており、この凹凸面がカム面となっている。このカム面に摺接させられているカムチップ(カムフォロアー)29が前記ボス部17の端面に取り付けられている。したがってこのトルクカム26は、カム本体27と可動シーブ12との間にトルクが作用した場合、カムチップ29が接触させられているカム面が、軸線方向および円周方向に対して傾斜していることにより、そのトルクおよび傾斜角度に応じた軸線方向の分力すなわち推力が発生し、その推力によって可動シーブ12を固定シーブ11側に押圧するように構成されている。そして、このカム本体27にこの発明における回転部材に相当する出力ギヤ15に連結されている。
つぎに上記のベルト式無段変速機および推力機構の作用について説明すると、駆動側の駆動軸5に伝達されたトルクによりその駆動軸5およびこれと一体の駆動プーリ1が回転し、さらにこの駆動プーリ1に巻き掛けられているベルト6にトルクが伝達されてベルト6が走行する。前述した複合型のベルト6であれば、金属片が駆動プーリ1から押し出され、その金属片が従動プーリ2のベルト溝に入り込んで従動プーリ2を回転方向に押すことにより、駆動プーリ1から従動プーリ2にトルクが伝達される。従動プーリ2における可動シーブ12には、スプリング25の弾性力が常時作用していてベルト6は可動シーブ12と固定シーブ11との間に挟み付けられ、しかもトルクカム26によって、トルクに応じた推力が可動シーブ12を固定シーブ11側に押圧していて、その推力によってもベルト6は可動シーブ12と固定シーブ11との間に挟み付けられている。そして、各シーブ11,12の対向面がテーパ面となっているから、ベルト6には巻き掛け半径を増大させる方向の力が作用し、これがベルト6の張力となっている。したがってベルト6を走行させている状態で、駆動プーリ1における溝幅を前述した変速用モータ10によって変化させると、駆動プーリ1におけるベルト6の巻き掛け半径が溝幅に応じて変化し、それに伴って従動プーリ2における溝幅が押し広げられ、あるいは縮小し、所定の変速比が設定される。このような変速制御は、例えばエンジンの目標回転数を車両の走行状態に基づいて算出し、エンジンの実回転数がその目標回転数に一致するように前述した変速用モータ10をフィードバック制御することにより行われる。
ここで、ベルト6から出力ギヤ15へのトルクの伝達について更には説明すると、ベルト6は従動プーリ2における各シーブ11,12に挟み付けられており、しかもそれらのシーブ11,12は同一の構成であるから、ベルト6から各シーブ11,12に均等にトルク(T/2)が伝達される。これを図3の(a)にブロック図で示してある。その固定シーブ11と一体の従動軸13に可動シーブ12がキー21を介して嵌合させられており、またその従動軸13と可動シーブ12との間には、前述したスプリング25が配置されているから、固定シーブ11から可動シーブ12には、キー21およびスプリング25を介してトルク(T/2)が伝達される。そして、可動シーブ12と出力ギヤ15との間には、カムチップ29およびカム本体27を有するトルクカム26が配置されているから、可動シーブ12から出力ギヤ15にはそのトルクカム26を介してトルク(T)が伝達される。すなわち、従動プーリ2から出力ギヤ15に伝達されるトルクの全量がトルクカム26に掛かることになる。
比較のために、前掲の特許文献1や特許文献2に記載されているベルト式無段変速機におけるトルクの伝達経路について説明すると、図3の(b)に示すように、従動プーリを構成している固定シーブと可動シーブとにはベルトからそれぞれ半々のトルク(T/2)が伝達される。その固定シーブと可動シーブとはキーを介して連結されているから、固定シーブのトルク(T/2)はそのキーを介して可動シーブに伝達される。従来のベルト式無段変速機のトルクカムもカムチップおよびカム本体を備えており、これらカムチップおよびカム本体が可動シーブと出力ギヤなどの出力側部材との間に直列に配列されており、これに加えてコイルスプリングが可動シーブと出力側部材との間に、トルクカムとは並列に配置されている。そのコイルスプリングは可動シーブおよびカム本体に弾性力によって押し付けられ、その接触面で摩擦力(n・μ)が発生するから、その摩擦力と摩擦箇所の半径(r)とに応じたトルク(n・μ・r)がコイルスプリングを介して可動シーブとカム本体との間で伝達される。そして、可動シーブのトルクのうち残余のトルク(T−n・μ・r)がトルクカムを介して可動シーブからカム本体に伝達される。すなわち、可動シーブのトルクは、コイルスプリングとトルクカムとによって出力側部材に伝達されるから、トルクカムに掛かるトルクは、コイルスプリングを経由する分、少なくなる。
このようにこの発明に係る推力機構では、可動シーブ12を固定シーブ11側に押圧する弾性力の反力を、固定シーブ11と一体の従動軸13で受けるように構成されているので、可動シーブ12あるいは従動プーリ2のトルクの全てがトルクカム26に掛かる。そのため、トルクカム26で生じる推力が伝達するトルクに応じた最大限もしくはこれに近いトルクになるので、ベルト挟圧力を伝達するべきトルクに応じた必要十分に大きい挟圧力とすることができる。また、可動シーブ12と固定シーブ11もしくは従動軸13とはキー21によって連結されいるから、スプリング25を捩るように作用するトルクが小さくなり、それに伴ってスプリング25の捩り変形が抑制されてその耐久性を向上させることが可能になる。
つぎに、この発明の他の例を図4および図5を参照して説明する。これらの図に示す例は、可動シーブ12を固定シーブ11側に押圧するスプリング25を、キー挿入溝の内部に配置した例である。すなわち、可動シーブ12を従動軸13に連結するキー21は、可動シーブ12のボス部17の内面に形成されたキー挿入溝30に圧入されて固定されている。このキー挿入溝30は、キー21の厚さ程度の幅の矩形断面の溝であって、図5に示すように円周方向に一定間隔を明けて3本設けられ、それぞれボス部17の端面から軸線方向に、キー21の長さより長い所定の長さに亘って形成されている。したがって、このキー挿入溝30はボス部17の端面側に開口しており、その開口端からキー21がキー挿入溝30の内部にその端部にまで挿入されて固定されている。キー21はキー挿入溝30の端部側の所定の範囲を占めているのみであって、キー挿入溝30の開口端側の部分は溝として空いてある。スプリング25はその溝として空いている部分に、ボス部17の端面側から挿入されていて、スプリング25の先端部分はキー21に押し付けられ、あるいはキー21に固着され、また他方の端部(後端部)は、前述したバネ受け23に押し付けられ、あるいは固着されている。
これら図4および図5に示す構成であっても、従動プーリ2から出力ギヤ15に伝達するトルクの全てがトルクカム26に作用するので、必要十分に大きい推力を得ることができるなど、図2に示す構成と同様の作用を奏する。また、図4および図5に示す構成では、ボス部17の内周側にスプリング25を配置したから、スペースの有効利用を図ることができ、そのためカム本体27の円筒部28を短くし、またこの円筒部28や可動シーブ12のボス部17の外径を小さくして、全体としての構成を小型化することができる。特に、キー挿入溝30の内部にスプリング25を配置することとすれば、キー21を設けることに伴って必要となるキー挿入溝30を利用してスプリング25を配置することになるので、図4および図5に示す構成とすることに伴う新たな部品や加工を少なくし、あるいは皆無とすることができる。
さらに、車両のベルト式無段変速機では、中速域ないし高速域の定常状態での変速比の使用頻度が高く、このような変速比では従動プーリ2におけるベルト6の巻き掛け半径が小さくなる。上述した図4および図5に示す構成では、スプリング25が前記ボス部17の内周側に配置されて、可動シーブ12を軸線方向に押圧する箇所の半径が小さくなる。この押圧箇所は、中速域ないし高速域の変速比を設定する際にベルト6が巻き掛かる半径とほぼ等しくなるので、ベルト6を挟み付けることによる反力とスプリング25による押圧力とがほぼ一直線上で対抗する。そのため、可動シーブ12を傾けるように作用するモーメントがゼロになり、もしくは小さくなる。その結果、ベルト6と可動シーブ12との接触状態が良好になって動力の伝達効率を向上させることができる。また、ベルト6と可動シーブ12との相対的な滑りが抑制されて摩耗や発熱を抑制してベルト6の寿命を向上させることができる。
なお、スプリング25を複数本設ける場合、その数は図5に示すように3本である必要はなく、図6に示すように2本であってもよく、あるいは図7に示すように4本以上であってもよい。スプリング25をこのように複数本設ける場合、円周方向に等間隔に設けることが好ましく,このようにすることにより可動シーブ12の傾きを防止もしくは抑制することができる。また、この発明に係る推力機構は、従動プーリ側に設ける替わりに、駆動プーリ側に設けてその回動シーブを軸線方向に押圧するように構成してもよい。
1…駆動プーリ、 2…従動プーリ、 6…ベルト、 11…固定シーブ、 12…可動シーブ、 13…従動軸(出力軸)、 14…推力機構、 15…出力ギヤ、 17…ボス部(円筒部)、 21…キー、 22…キー溝、 23…バネ受け、 25…スプリング、 26…トルクカム、 27…カム本体、 28…円筒部、 29…カムチップ(カムフォロアー)、 30…キー挿入溝。

Claims (3)

  1. ベルトが巻き掛けられるプーリが、回転軸と一体化されている固定シーブとその固定シーブに対して接近および離隔するように前記回転軸に該回転軸の軸線方向に前後動可能に嵌合された可動シーブとを有し、その可動シーブを前記固定シーブ側に押圧する推力をトルクに応じて発生するトルクカムと、前記可動シーブを前記固定シーブに向けて押圧するスプリングとが設けられているベルト式無段変速機の推力機構において、
    前記プーリとの間でトルクを授受し、かつ前記回転軸に対して相対回転可能な回転部材を有し、
    前記トルクカムは、その回転部材と前記可動シーブとの間に設けられ、
    前記スプリングは、前記回転軸と前記可動シーブとの間に、前記可動シーブを前記固定シーブ側に押圧するように配置されている
    ことを特徴とするベルト式無段変速機の推力機構。
  2. 前記可動シーブの前記固定シーブ側の面とは反対の背面側に前記トルクカムが配置され、
    前記可動シーブの背面には前記トルクカムに向けて軸線方向に延びた円筒部が形成され、
    前記スプリングは、前記円筒部の内部に軸線方向に向けて挿入されてそのスプリングの一方の端部が前記円筒部の内周側の所定箇所に突き当てられ、かつ他方の端部が前記円筒部から延び出ていて前記回転軸に設けられた受け部に突き当てられている
    ことを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機の推力機構。
  3. 前記円筒部の内面に前記円筒部の端面から所定長さに亘ってキー挿入溝が形成され、
    このキー挿入溝にキーが挿入され、
    前記回転軸の外面に前記キーが差し込まれて前記キーが軸線方向に移動するキー溝が形成され、
    前記スプリングは、前記キー挿入溝に配置されて前記キーを前記キー挿入溝の前記固定シーブ側の端部に押し付けている
    ことを特徴とする請求項2に記載のベルト式無段変速機の推力機構。
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