JP2014131493A - 核酸増幅装置、温度制御方法、及び温度制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】温調ブロックの温度が目標温度に到達するタイミングに従い、温調ブロックの温度変化量(現在周期の温度(℃)−前回周期の温度(℃))を「大」から「無し」となるように熱源の操作量を制御することで、ハンチングを抑止して迅速に安定させることが可能となる、核酸検査装置に適用される温度制御方法、および、前記温度制御方法が適用された核酸検査装置。
【選択図】図10
Description
本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。
図4は、本発明の実施形態による核酸検査装置100の全体構成の概略構成を示す図である。
図5は、核酸増幅装置1の構成(上方から見た図)を示す図である。図6は、核酸増幅装置1の保持具3に設置される温調ブロックの構成を示す図である。なお、図5及び図6においては、説明のためにカバー7を省略して示す。
図7は、温度制御ブロックを示す図である。図4に示される各ブロックの機能(制御対象以外)は、上記全体制御部120において実現される。
制御部402において実装される制御対象404の操作量を出力する温度制御法は非常に重要である。前述の通り、意図的オーバーシュート終了後の安定領域においてPI制御を用いた場合、温度安定性が低くなる。このような場合、安定した核酸の増幅に悪影響を与えてしまう。また、反応容器の試薬が使用不能になる可能性もある。そこで、本実施形態では、PI制御の代わりに以下のような温度制御法を用いている。
(i)フーリエの法則から分かること
熱伝導の法則では、フーリエの法則が知られている。フーリエの法則は、以下のように表される。
J = −λ × grad T・・・(式1)
ここで、J:熱流速密度、λ:熱伝導率、grad T:温度勾配である。
つまり、熱源から発生した熱は、熱源と温調ブロックの温度差が大きければ、温調ブロックに多く伝わる。逆に、熱源と温調ブロック10の温度差が小さければ温調ブロック10に熱はあまり伝わらない。そして、熱源と温度センサの温度差が無ければ、温調ブロック10に熱は伝わらず、温調ブロックの温度は変化しない。
PI制御、PID制御が安定領域においてハンチングを起こし不安定となる原因は、熱源温度と温調ブロックが目標温度に到達するタイミングが異なることにある。
本発明の実施形態では、実際の温度変化量という概念を導入する。実際の温度変化量とは、温調ブロック10の制御周期あたりの温度変化量であり、温調ブロック10の現在周期温度と前回周期温度の差である。
温度勾配制御を実現するためには、現在周期における温調ブロック温度と目標温度との偏差が小さい場合は、実際の温度変化量が小さくなるように制御し、逆に温調ブロック温度と目標温度の偏差が大きい場合は、実際の温度変化量が大きくなるように制御する必要がある。なお、実際の温度変化量が小さいからと言って、目標温度に近付いているとは限らない。目標温度には程遠いが、各周期間の温度変化量が安定している場合があるからである。
勾配係数は単位時間(sec)あたりの温度変化量を計算するための係数であり、実際に温度制御を行って適切な値を定める必要がある。
「目標の温度変化量」=(目標温度(℃)−温調ブロック温度(℃))×勾配係数(℃/sec)×制御周期(sec) ・・・(式2)
「実際の温度変化量」=「現在周期の温度(℃)−前回周期の温度(℃)」・・・(式3)
「目標の温度変化量」>「実際の温度変化量」・・・最大出力で加熱
「目標の温度変化量」≦「実際の温度変化量」・・・熱源OFF ・・・(式4)
「目標の温度変化量」≧「実際の温度変化量」・・・最大出力で加熱
「目標の温度変化量」<「実際の温度変化量」・・・熱源OFF ・・・(式5)
この勾配ON・OFF制御は、「目標の温度変化量」を「実際の温度変化量」が下回ると最大出力で加熱し、「目標の温度変化量」を「実際の温度変化量」が上回ると熱源OFFにする。
熱源操作量は以下のように制御しても良い。
まず、「目標の温度変化量」と「実際の温度変化量」の偏差(以下、勾配偏差と呼ぶ)を求める。
「勾配偏差」=「目標の温度変化量」−「実際の温度変化量」 ・・・(式6)
比例値=「勾配偏差」×比例係数P ・・・(式7)
積分値=「勾配偏差」×積分係数I ・・・(式8)
微分値=「現在周期の勾配偏差−前回周期の勾配偏差」×微分係数D ・・・(式9)
式7乃至9の何れかの式を用いて熱源出力量を計算する。
熱源操作量=比例値 ・・・(式10)
熱源操作量=比例値+積分値 ・・・(式11)
熱源操作量=比例値+積分値+微分値 ・・・(式12)
ここでは、温度制御(PI制御を例にして)の具体的処理内容について、例を挙げながら説明する。ここでは、理解しやすさのため、目標温度やキャリブレーション温度差、オーバーシュート温度差、及び設定時間等について具体的な数値を用いて説明するが、本発明はこれらの具体的な数値に限定されるものではない。
図10は、温調ブロック10の温度制御例の概要を示す図である。図10に示されるように、当該温度制御において、反応液の目標温度(反応容器内壁温度)を70℃(加熱開始時温度:37℃)、最終的な温調ブロック10の目標温度(温調ブロック10の目標温度1)を72.3℃、目標温度1の維持時間(設定時間)を15秒、オーバーシュートにおける温調ブロック10の最大温度(温調ブロック10の目標温度2)を77.4℃とする。また、温度が安定しているとする時間を目標温度1±0.5℃で推移している時間帯と定義する。
図11は、温度制御処理の具体的内容を説明するためのフローチャートである。図12は、図11のS1111の詳細を説明するためのフローチャートである。
S1101において、制御部402は、設定部401から設定された反応液の目標温度(70℃)の情報を取得する。
なお、S1112及びS1113の処理は必ずしも必要ではなく、なかったとしても動作上の問題はない。
S1201において、制御部402は、現在(現サイクル:現制御周期)の温調ブロック10の温度(現在温度)を取得する。
S1202において、現在温度と目標温度1との偏差1(現在温度−目標温度)を算出する。
(i)本発明の実施形態では、まず、現周期における温調ブロックの温度と前回周期における温調ブロックの温度との差である実際の温度変化量を算出する。次に、現周期における温調ブロックの温度と温調ブロックの目標温度との偏差量と所定の勾配係数(例えば、設定値)と制御周期(例えば、設定値)から定まる目標の温度変化量と、実際の温度変化量とを比較する。そして、温度変化量の比較結果(勾配偏差)に基づいて温調ブロックに対する熱源操作量を決定する。このようにすることにより、ハンチングを起こしやすい状況において、温調ブロックの温度、ひいては反応液の温度を迅速に安定させることが可能となる。
2・・・ベース
3・・・保持具
4・・・保持具ベース
10・・・温調ブロック
100・・・核酸検査装置
105・・・反応容器
401・・・設定部
402・・・制御部
403・・・操作部
404・・・制御対象
405・・・検出部
Claims (15)
- 標的核酸を増幅させる核酸増幅装置であって、
検体と試薬を混合した反応液を収容する少なくとも1つの反応容器を保持する温調ブロックと、
前記温調ブロックの温度制御のためのプログラムを格納するメモリと、
前記プログラムを前記メモリから読み出し、前記温調ブロックの温度制御を制御周期毎に実行するプロセッサと、を有し、
前記プロセッサは、現周期における前記温調ブロックの温度と前回周期における前記温調ブロックの温度との差である実際の温度変化量を算出し、前記現周期における前記温調ブロックの温度と前記温調ブロックの目標温度との偏差量と所定の勾配係数と前記制御周期から定まる目標の温度変化量と前記実際の温度変化量とを比較し、当該温度変化量の比較結果に基づいて前記温調ブロックに対する熱源操作量を決定することを特徴とする核酸増幅装置。 - 請求項1において、
前記プロセッサは、前記温調ブロックの温度を一旦オーバーシュートさせてから前記目標温度に近づけて前記温度制御を実行することを特徴とする核酸増幅装置。 - 請求項2において、
前記プロセッサは、さらに、前記目標温度と前記現周期における温調ブロックの温度とを比較し、当該温度の比較結果に基づいて、前記熱源操作量を補正し、前記温調ブロックの温度のハンチングを所定範囲内に収めるようにすることを特徴とする核酸増幅装置。 - 請求項2において、
前記プロセッサは、前記温度変化量の比較結果に基づいて、熱源の最大出力で加熱か、熱源OFFかを切り替えるように前記熱源操作量を決定することを特徴とする核酸増幅装置。 - 請求項2において、
前記プロセッサは、前記温度変化量の比較結果に所定の比例係数を乗算した値を用いて前記熱源操作量を決定することを特徴とする核酸増幅装置。 - 請求項5において、
前記プロセッサは、さらに、前記温度変化量の比較結果に所定の積分係数を乗算した値を用いて前記熱源操作量を決定することを特徴とする核酸増幅装置。 - 請求項6において、
前記プロセッサは、さらに、現周期における温度変化量の比較結果と前回周期における温度変化量の比較結果との差分値に所定の微分係数を乗算した値を用いて前記熱源操作量を決定することを特徴とする核酸増幅装置。 - 標的核酸を増幅させる核酸増幅装置における温度制御方法であって、
前記核酸増幅装置は、検体と試薬を混合した反応液を収容する少なくとも1つの反応容器を保持する温調ブロックと、前記温調ブロックの温度制御のためのプログラムを格納するメモリと、前記プログラムを前記メモリから読み出し、前記温調ブロックの温度制御を制御周期毎に実行するプロセッサと、を有し、
前記温度制御方法は、
前記プロセッサが、現周期における前記温調ブロックの温度と前回周期における前記温調ブロックの温度との差である実際の温度変化量を算出するステップと、
前記プロセッサが、前記現周期における前記温調ブロックの温度と前記温調ブロックの目標温度との偏差量と所定の勾配係数と前記制御周期から定まる目標の温度変化量と前記実際の温度変化量とを比較するステップと、
前記プロセッサが、前記温度変化量の比較結果に基づいて前記温調ブロックに対する熱源操作量を決定するステップと、
を有することを特徴とする温度制御方法。 - 請求項8において、さらに、
前記プロセッサが、前記温調ブロックの温度を一旦オーバーシュートさせてから前記目標温度に近づけてから前記温度制御を開始するステップを有することを特徴とする温度制御方法。 - 請求項9において、さらに、
前記プロセッサが、前記目標温度と前記現周期における温調ブロックの温度とを比較し、当該温度の比較結果に基づいて、前記熱源操作量を補正し、前記温調ブロックの温度のハンチングを所定範囲内に収めるようにするステップを有することを特徴とする温度制御方法。 - 請求項9において、
前記熱源操作量を決定するステップにおいて、前記プロセッサは、前記温度変化量の比較結果に基づいて、熱源の最大出力で加熱か、熱源OFFかを切り替えるように前記熱源操作量を決定することを特徴とする温度制御方法。 - 請求項9において、
前記熱源操作量を決定するステップにおいて、前記プロセッサは、前記温度変化量の比較結果に所定の比例係数を乗算した値を用いて前記熱源操作量を決定することを特徴とする温度制御方法。 - 請求項12において、
前記熱源操作量を決定するステップにおいて、前記プロセッサは、さらに、前記温度変化量の比較結果に所定の積分係数を乗算した値を用いて前記熱源操作量を決定することを特徴とする温度制御方法。 - 請求項13において、
前記熱源操作量を決定するステップにおいて、前記プロセッサは、さらに、現周期における温度変化量の比較結果と前回周期における温度変化量の比較結果との差分値に所定の微分係数を乗算した値を用いて前記熱源操作量を決定することを特徴とする温度制御方法。 - 熱源の温度を制御する温度制御装置であって、
熱源と、
当該熱源の温度制御のためのプログラムを格納するメモリと、
前記プログラムを前記メモリから読み出し、前記熱源の温度制御を制御周期毎に実行するプロセッサと、を有し、
前記プロセッサは、現周期における前記熱源の温度と前回周期における前記熱源の温度との差である実際の温度変化量を算出し、前記現周期における前記熱源の温度と前記熱源の目標温度との偏差量と所定の勾配係数と前記制御周期から定まる目標の温度変化量と前記実際の温度変化量とを比較し、当該温度変化量の比較結果に基づいて前記熱源に対する熱源操作量を決定することを特徴とする温度制御装置。
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