JP6505538B2 - 自動分析装置、遺伝子検査装置及び温度制御方法 - Google Patents

自動分析装置、遺伝子検査装置及び温度制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動分析装置や遺伝子検査装置における温度制御技術に関する。
サンプルに含まれる成分量などを自動的に分析する装置として自動分析装置がある。自動分析装置には、試料と試薬との混合液を収容する反応セルを収容する反応ディスクと、反応ディスクに載置した反応セルの温度を一定に保持する反応槽(恒温槽)とが設けられている。自動分析装置における温度制御では、目標温度(設定温度)への迅速な到達と、到達後の安定した温度保持が重要である。
特許文献1では、核酸増幅装置の温度制御に関し、(1) 現在の制御周期における温調ブロックの温度と前回の制御周期における温調ブロックの温度との差である実際の温度変化量(温度の時間微分値)と、(2) 現在の制御周期における温調ブロックの温度と目標温度との差(目標温度変化量)とを比較し、この比較結果に基づいて熱源の操作量を決定する手法が説明されている。以下、この特許文献1に記載の手法を「速度を利用したS制御」という。
特開2014−131493号公報
「速度を利用したS制御」は、一般的な制御手法(古典制御)における調整の困難性や温度の安定性といった課題を改善することができる。しかし、「速度を利用したS制御」は、実際の温度変化量を求めるために、前回の制御周期に測定された温度を必要とし、多くの場合、複雑なプログラム制御が必要とされる。また、「速度を利用したS制御」は、温度監視領域と熱源が離れている場合や温度監視領域の熱伝導性が低い場合には適さない。
そこで、本発明者は、必ずしも複雑なプログラム制御を必要とせず、しかも、装置構成によらず、温度監視領域の温度を高精度に制御できる技術を提供する。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の技術を採用する。本明細書は上記課題を解決する態様を複数含んでいるが、その一態様として、「出力熱量を可変又は切り替えることが可能な熱源と、温度監視領域の近くに位置し、第1の測定温度を出力する第1の温度センサと、第1の温度センサとは異なる位置において、第2の測定温度を出力する第2の温度センサと、各処理時点における前記第1の測定温度と目標温度との差分値に比例する第1の差分値ΔTAと、前記各処理時点における前記第1の測定温度と前記第2の測定温度との間の第2の差分値ΔTBとに基づいて前記熱源の出力熱量を制御する制御部とを有する自動分析装置」を提供する。
前述の一態様に係る自動分析装置は、必ずしも複雑なプログラム制御を必要とせず、しかも、装置構成によることなく温度監視領域の温度を高精度に制御することができる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
実施形態に係る自動分析装置の全体構成を示す図。 温度制御方法の分類を説明する図。 実施形態に係る温度制御系を説明する図。 実施形態に係る温度制御系での制御動作を説明するフローチャート。 古典制御が想定する温度制御系を示す図(古典モデル1)。 古典制御が想定する温度制御系を示す図(古典モデル2)。 ヒーター付近の流路における温度分布を説明する図(実施形態)。 温度センサと参照用温度センサで測定される温度の時間変化を説明する図。 勾配係数Gdiffの変更と制御結果の精度との関係を説明するイメージ図。 熱源と温度センサ対をそれぞれ複数含む温度制御系を説明する図。 単一の入力部と単一の出力部を備える温度制御系について、「速度差を利用したS制御」と「温度差を利用したS制御」とを組み合わせる手法を説明する図。 図11で説明する組み合わせ手法の制御イメージを説明する図。 実施形態に係る免疫自動分析装置の全体構成を示す図。 プレウォッシュ機構の概略構成を示す図。 実施形態に係る遺伝子検査装置/DNAシーケンサの全体構成を示す図。 「温度差を利用したS制御」におけるON/OFF制御方式によって、単一の入力部と単一の出力部で構成される温度制御系を温度制御する場合のシミュレーション結果を示す図。 古典制御のON/OFF制御方式によって、単一の入力部と単一の出力部で構成される温度制御系を温度制御する場合のシミュレーション結果を説明する図(比較例)。 「温度差を利用したS制御」におけるPI制御方式どうしを組み合わせた手法によって、複数の入力部と複数の出力部で構成される温度制御系を温度制御する場合のシミュレーション結果を説明する図。 図18のシミュレーション結果を拡大して示す図。 古典制御のON/OFF制御方式によって、複数の入力部と複数の出力部で構成される温度制御系を温度制御する場合のシミュレーション結果を説明する図(比較例)。
以下、個々の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、説明の全体を通して、各図における同一の構成部分には同一の符号を付すものとし、説明を省略することがある。
(1)自動分析装置の全体構成
図1に、自動分析装置の全体構成を示す。自動分析装置は、装置本体10と、制御回路30と、インタフェースとしてのコンピュータ40とで構成される。装置本体10は、サンプルディスク11、試薬ディスク12、反応ディスク13の3種類のディスクと、これらのディスク間でサンプルや試薬を反応セル14に移動させる分注機構(サンプルプローブ15、試薬プローブ16)、反応セル14に光源光を照射する光源17、その透過光を検出する検出器18、反応ディスク温度を一定に保つための反応槽水流路19、ヒーター20、保冷庫21で構成される。
サンプルディスク11の外周部には、サンプルを収めるサンプル容器を搭載可能な複数のホルダが設けられている。分析を開始する前に、1つ又は複数のサンプル容器がサンプルディスク11のホルダに搭載される。試薬ディスク12の外周部には、試薬を収める試薬容器を搭載可能な複数のホルダが設けられている。やはり、分析を開始する前に、1つ又は複数の試薬容器が試薬ディスク12のホルダに搭載される。反応ディスク13の外周部には、サンプルと試薬の混合液を収める反応セル14を保持する複数のホルダが設けられている。
反応ディスク13は、不図示の反応槽(「恒温槽」ともいう。)内を循環する熱伝導媒体としての液体(例えば水)に浸漬されている。反応ディスク13に搭載された反応セル14の温度は、反応槽内を循環する液体によって目標温度に管理される。反応槽水流路19は、反応槽、ヒーター20及び保冷庫21の間を互いに接続している。液体は、熱源としてのヒーター20によって加熱され、保冷庫21によって冷却される。なお、本明細書では、ヒーター20と保冷庫21を総称して熱源ともいう。
図1では図示していないが、実施形態に係る自動分析装置では、反応槽水流路19に沿って2つの温度センサが配置されており、制御回路30(又はコンピュータ40)が、これら2つの温度センサの測定温度に基づいて熱源を制御し、反応セル14の温度を所望の温度に制御する。制御回路30によって実現される温度制御の詳細については後述する。なお、自動分析装置の一般的な制御動作はコンピュータ40が実行する。
以下、自動分析装置で実行される分析動作の概要を説明する。分析動作の開始後、サンプルプローブ15は、サンプル容器から一定量のサンプルを所定の反応セル14に分注し、試薬プローブ16は、試薬容器から一定量の試薬を所定の反応セル14に分注する。反応セル14内のサンプルと試薬は、不図示の撹拌部によって撹拌されて混合液となる。この後、反応セル14には光源17から光源光が照射される。反応セル14を透過した光は、回折格子で分光された後、検出器18に入射する。検出器18は、入射光の光量データをコンピュータ40に送信する。コンピュータ40は、受信した光量データに基づいて、所望の分析処理を実行し、分析結果を表示画面に表示する。
(2)温度制御の種類
図2に、温度制御の分類を記す。実施形態に係る温度制御は、「温度差を利用したS制御」にあたる。図2では、「温度差を利用したS制御」に対応する分類を破線で囲んで示している。
(3)温度制御の概要
自動分析装置では、反応セル14の温度が目標温度に保たれるように、反応槽水流路19に沿って配置されるヒーター20や保冷庫21を駆動制御する。図3に、反応ディスク13の全体を収容する反応槽23と、その周囲に形成される温度制御系とを模式的に示す。反応槽23は反応槽水24で満たされている。反応槽23から排出された反応槽水24は、保冷庫21、ヒーター20を順に経て反応槽23に戻る。すなわち、反応槽水24は、図中の矢印25の方向に循環している。
本実施形態の場合、ヒーター20と反応槽23とを接続する部分の反応槽水流路19(いわゆる管)には、2つの温度センサ26及び27が流路に沿って設けられている。以下、2つの温度センサのうちヒーター20に近い側の温度センサを「参照用温度センサ27」と呼び、その測定温度を「参照温度」と呼ぶ。また、2つの温度センサのうちヒーター20から遠い側の温度センサを「温度センサ26」と呼び、その測定温度を「現在温度」と呼ぶ。反応槽水24の温度を正確に測定できるように、温度センサ26は、反応槽23の近傍に配置される。
なお、「温度センサ26」は特許請求の範囲における「第1の温度センサ」に対応し、「現在温度」は「第1の測定温度」に対応する。また、「参照用温度センサ27」は特許請求の範囲における「第2の温度センサ」に対応し、「参照温度」は特許請求の範囲における「第2の測定温度」に対応する。
図3に示すように、ヒーター20から温度センサ26までの距離は、ヒーター20から参照用温度センサ27までの距離よりも長い(等しくない)関係を満たしている。このため、温度センサ26の測定温度(現在温度)は、恒温状態(目標温度に保たれている状態)を除き、参照用温度センサ27の測定温度(参照温度)とは一致しない。現在温度と参照温度は、いずれも測定温度信号として対応する温度センサから制御回路30(又はコンピュータ40)に出力される。
図4に、制御回路30(又はコンピュータ40)で実行される温度制御の概要を示す。制御回路30(又はコンピュータ40)は、予め定められた又は任意の処理時点において、以下の処理を実行する。処理時点は、例えば周期的(一定時間毎)に与えられても良いし、ランダムに与えられても良いし、特定のイベントに連動して実行されても良い。
・ステップS1
制御回路30(又はコンピュータ40)は、目標温度(設定温度)と現在温度との差に比例した設定値(以下、「設定温度差」という。)を算出する。設定温度差は、各処理時点における温度センサ26の測定温度と参照用温度センサ27の測定温度との差の目標値として用いられる。
・ステップS2
制御回路30(又はコンピュータ40)は、現在温度と参照温度との温度差(以下、「現在温度差」という。)を算出する。なお、現在温度差は、温度センサ26と参照用温度センサ27の取付位置の違いによる距離微分値に相当する。
・ステップS3
制御回路30(又はコンピュータ40)は、設定温度差と現在温度差とに基づいてヒーター20の出力熱量を制御する。例えば設定温度差と現在温度差との大小関係に基づいて熱源をオン/オフ制御する手法、PI制御する手法、PID制御する手法、D制御する手法などがある。具体的な制御手法については後述する。
ところで、制御回路30(又はコンピュータ40)が算出する「温度差」は、フィードバック制御でいうところの「設定値」と「現在値」に当たる。以下では、温度差を使用する制御方法を「温度差を利用したS制御」と呼ぶ。
(4)古典的な制御手法
「温度差を利用したS制御」の理解のため、まず、古典的な制御手法について説明する。図2に示すように、古典的な制御手法は、おおよそON/OFF制御、PI制御、PID制御に分類できる。
図5に、古典的な温度制御系を示す。図5に示す温度制御系は、1つの温度センサ26のみを用いる点で、「温度差を利用したS制御」と異なる。以下では、コンピュータ40による制御周期を、1, 2, 3, …, n-2, n-1, n, n+1, n+2…周期目と表現し、現在周期をnと表現する。また、温度センサ26の測定温度をTtemp(n)、設定温度をTset、熱源(ヒーター20/保冷庫21)の出力量をY(n)(+値はヒーター20の出力量を意味し、−値は保冷庫21の出力値を意味する)と表現する。
(4−1)ON/OFF制御
ON/OFF制御の場合、図5におけるコンピュータ40は、制御周期ごとに、以下の条件に基づいて熱源を切り替え制御する。
・Ttemp(n) > Tsetの場合:
ヒーター20をオフ制御し、保冷庫21をオン制御する。
・Ttemp(n) ≦ Tsetの場合:
ヒーター20をオン制御し、保冷庫21をオフ制御する。
(4−2)PI制御
PI制御の場合、図5におけるコンピュータ40は、以下の計算式に従って制御周期ごとにY(n)を算出し、熱源を制御する。
・ΔT(n) = Tset − Ttemp(n) …(1-1)
・Yp(n) = ΔT(n) × P …(1-2)
・YI(n) += ΔT(n) × I …(1-3)
・Y(n) = Yp(n) + YI (n) …(1-4)
ここで、ΔTは偏差(温度の時間微分)であり、Pは比例係数であり、Iは積分係数であり、Yは熱源の出力量であり、Ypは比例出力量であり、YIは積分出力量であり、+=は「制御周期ごとに積算する」という意味である。
(4−3)PID制御
PID制御の場合、図5におけるコンピュータ40は、以下の計算式に従って制御周期ごとにY(n)を算出し、熱源を制御する。
・ΔT(n) = Tset − Ttemp(n) …(2-1)
・Yp(n) = ΔT(n) × P …(2-2)
・YI(n) += ΔT(n) × I …(2-3)
・YD(n) = (ΔT(n) −ΔT(n−1))×D …(2-4)
・Y(n) = Yp(n) + YI(n) + YD(n) …(2-5)
ここで、Dは微分係数であり、YDは微分出力量であり、+=は「制御周期ごとに積算する」という意味である。
(5)温度センサと流量センサを用いる制御手法
図6に、古典的な温度制御系の他の例を示す。この温度制御系は、流量センサ28によって測定される反応槽水24の流量の情報を、古典的な制御手法による制御の補正に用いる手法である。以下の説明では、流量センサ28によって測定される流量をQtemp(n)と表現する。
(5−1)PI制御+フィードフォワード制御
PI制御とフィードフォワード制御を組み合わせる場合、図6におけるコンピュータ40は、以下の計算式に従って制御周期ごとにY(n)を算出し、熱源を制御する。
・ΔT(n) = Tset − Ttemp(n) …(3-1)
・ΔQ(n) = Qtemp(n) − Qtemp(n−1) …(3-2)
・Yp(n) = ΔT(n) × P …(3-3)
・YI(n) += ΔT(n) × I …(3-4)
・YF(n) =ΔQ(n) × F …(3-5)
・Y(n) = Yp(n) + YI(n) + YF(n) …(3-6)
ここで、ΔTは偏差、ΔQは外乱(この場合は流量変化)、Pは比例係数、Iは積分係数、Fはフィードフォワード係数、Yは熱源の出力量、Ypは比例出力量、YIは積分出力量、YFはフォードフォワード出力量、+=は「制御周期ごとに積算する」という意味とする。ただし、外乱検知方法は制御系に依存するため、(3-2)式は一例である。
(6)特許文献1の制御手法(速度を利用したS制御)
特許文献1の制御手法は、古典的な制御手法と同じく1つの温度センサを使用する制御手法であり、現在の制御周期の温度と前回の制御周期の温度との差分(温度の時間微分、つまり速度)を使用する。具体的には、[1]制御周期ごとに設定温度と現在温度の差に比例した設定温度変化速度を算出し、[2]実際の温度変化速度(以下、「現在温度変化速度」という。)を算出し、[3]設定温度変化速度と現在温度変化速度を比較し、その偏差から出力量を計算する、という手順で出力量を計算する。つまり、フィードバック制御でいう「設定値」と「現在値」は「温度変化速度」である。
(6−1)ON/OFF制御
ON/OFF制御の場合、図5のコンピュータ40は、以下の条件に基づいて熱源を切り替え制御する。
・Tspeed(n) = (Tset −Ttemp(n))×Gspeed×Δn …(4-1)
・Mspeed(n) = Ttemp(n) − Ttemp(n−1) …(4-2)
・Mspeed(n) > Tspeed (n)の場合:
ヒーター20をオフ制御し、保冷庫21をオン制御する。
・Mspeed(n) ≦ Tspeed (n)の場合:
ヒーター20をオン制御し、保冷庫21をオフ制御する。
ここで、Gspeedは勾配係数(速度)であり、Δnは制御周期間隔であり、Tspeedは設定温度変化速度(各制御周期おける温度変化速度の設定値)であり、Mspeed(n)は現在温度変化速度(各制御周期おける実際の温度変化速度)という意味である。
(6−2)PI制御
PI制御の場合、図5におけるコンピュータ40は、以下の計算式に従って制御周期ごとに熱源を制御する。
・Tspeed(n) = (Tset −Ttemp(n))×Gspeed×Δn …(5-1)
・Mspeed(n) = Ttemp(n) − Ttemp(n−1) …(5-2)
・ΔT(n) = Tspeed(n) −Mspeed(n) …(5-3)
・Yp(n) = ΔT(n) ×P …(5-4)
・YI(n) += ΔT(n) ×I …(5-5)
・Y(n) = Yp(n) + YI(n) …(5-6)
ここで、ΔTは偏差であり、Pは比例係数であり、Iは積分係数であり、Yは熱源の出力量であり、Ypは比例出力量であり、YI は積分出力量であり、+=は「制御周期ごとに積算する」という意味である。
(6−3)PID制御
PID制御の場合、図5におけるコンピュータ40は、以下の計算式に従って制御周期ごとに熱源を制御する。
・Tspeed(n) = (Tset −Ttemp(n))×Gspeed×Δn …(6-1)
・Mspeed(n) = Ttemp(n) − Ttemp(n−1) …(6-2)
・ΔT(n) = Tspeed(n) −Mspeed(n) …(6-3)
・Yp(n) = ΔT(n) ×P …(6-4)
・YI(n) += ΔT(n) ×I …(6-5)
・YD(n) = (ΔT(n) −ΔT(n−1))×D …(6-6)
・Y(n) = Yp(n) + YI(n) +YD(n) …(6-7)
ここで、Dは微分係数であり、YD は微分出力量であり、+=は「制御周期ごとに積算する」という意味とする。
(6−4)まとめ
「速度を利用したS制御」は、古典的な制御手法が抱える技術課題を解決できるものの、温度の変化速度を計算するために、前回の制御周期で測定した温度を、次回の制御周期における計算用に記憶する必要がある。また、「速度を利用したS制御」では、多くの場合、プログラムを介しての制御が必要である。
また、「速度を利用したS制御」では、現在温度の変化速度を計算するために、制御周期を設定する必要があるが、時間分解能に限界があり、制御周期の間に発生した外乱に対して、出力量を変化させることができない。また、温度センサが熱源から非常に離れている場合、熱源の熱が温度センサに伝わるまで時間がかかり、その間、熱源の出力量の調節が出来ず、熱源の出力量の切り替えが遅れてしまう。
(7)実施形態の制御(温度差を利用したS制御)
図7を使用し、実施形態に係る制御が前提とする原理について説明する。反応槽水24の流速は、図7に示すように、一般に流路中心付近で速く、流路壁付近で遅くなる。図7は、ヒーター20がオン制御された直後において、X1-Y1流路断面が、ヒーター20から受け取る熱量は均一であり、その際の温度も均一であるものとして描いている。
反応槽水流路19内における反応槽水24の流速分布31より、X1-Y1流路断面上で暖められた流路中心付近の反応槽水24は、流路壁付近の反応槽水24よりも先にX2-Y2流路断面に到達すると考えられる。このため、X2-Y2流路断面上における反応槽水24の温度は均一にはならないと考えられる。つまり、X2-Y2流路断面上では、温度不均一による熱移動32の発生が想定される。更に、流路壁への熱移動32の発生も想定される。よって、ヒーター20による加熱中、X2-Y2流路断面上の平均温度は、X1-Y1流路断面上の平均温度よりも低くなると想定される。
温度センサ26の温度が目標温度に到達し、ヒーター20がオフ制御されると、X1-Y1流路断面上で新たな熱量の授与がなくなる。その結果、反応槽水流路19内の温度と流路壁温度が次第に均一になると考えられる。よって、温度センサ26の測定温度が目標温度で安定すると、X2-Y2流路断面上の平均温度は、X1-Y1流路断面上の平均温度と等しくなると想定される。
つまり、この温度制御系でも、「地点1の温度変化は、地点1と地点2の温度差に比例する」というニュートンの冷却の法則に類似する原理が成立する。ここで、「地点1」は温度センサ26の取付位置に相当し、「地点2」は参照用温度センサ27の取付位置に相当する。
前述の原理の下、各状態で望まれる状態を表現すると以下のようになる。
・現在温度が目標温度と離れているとき(加熱期)
参照用温度センサ27と温度センサ26の温度差を大きくして、温度センサ26の温度上昇を速くしたい。
・現在温度が目標温度と近いとき(目標温度付近)
参照用温度センサ27と温度センサ26の温度差を小さくして、温度センサ26の温度上昇を遅くしたい。
・現在温度が目標温度に到達するとき(安定期)
参照用温度センサ27と温度センサ26の温度差を0(ゼロ)にして、温度センサ26の温度を目標温度に留めたい。
図8に、前述の状態を実現する理想的な温度制御のイメージを示す。図8の任意時間における温度センサ26と参照用温度センサ27の温度差は、以下の数式で表現することができる。
・任意時間での温度センサ26の測定温度と参照用温度センサ27の測定温度の差
=(目標温度−現在値)×G diff …(7-1)
ここで、G diff は勾配係数(温度差)とする。(7-1)式は、理想的な温度変化を表現している。
「温度差を利用したS制御」は、(7-1)式を、フィードバック制御でいう「設定値」として扱う。
・Tdiff (n) = (Tset − Ttemp(n))×Gdiff …(7-2)
ここで、Tdiff (n)は設定温度差、Tsetは温度センサ26における目標温度、Ttemp(n)は温度センサ26における現在温度とする。なお、「温度差を利用したS制御」は、「速度を利用したS制御」とは異なり、制御周期を必須としない。
フィードバック制御でいう「設定値」が「温度差」になったので、「現在値」も「温度差」を扱うものとする。
・Mdiff(n) = Trefe(n) −Ttemp(n) …(7-3)
ここで、Mdiff(n)は現在温度差、Trefe(n)は参照用温度センサ27における現在温度とする。
(7-3)式は、温度センサ26よりも参照用温度センサ27の方が熱源の近くに位置するものとし、加熱制御を想定する。定常状態になってもTtemp(n)とTrefe(n)に偏差がある場合、その偏差によって(7-3)式を補正するか、目標温度を補正するかのいずれかの対応を実施することが望ましい。
(7−1)ON/OFF制御
ON/OFF制御の場合、制御回路30(図3)は、処理時点毎に、以下の条件に基づいて熱源を切り替え制御する。処理時点は、ランダムに与えられても良いし、周期的に与えられても良い。
・Tdiff (n) = (Tset − Ttemp(n))×Gdiff …(8-1)
・Mdiff(n) = Trefe(n) − Ttemp(n) …(8-2)
・Mdiff(n) > Tdiff (n)の場合:ヒーター20をオフ制御し、保冷庫21をオン制御する。
・Mdiff(n) ≦ Tdiff (n)の場合:ヒーター20をオン制御し、保冷庫21をオフ制御する。
ただし、温度センサ26よりも参照用温度センサ27の方が熱源に近くに位置するものとし、加熱制御を想定する。
(7−2)PI制御
PI制御の場合、制御回路30(図3)は、以下の計算式に従って処理時点ごとにYを求め、熱源を制御する。処理時点は、ランダムに与えられても良いし、周期的に与えられても良い。
・Tdiff (n) = (Tset − Ttemp(n))×Gdiff …(9−1)
・Mdiff(n) = Trefe(n) − Ttemp(n) …(9−2)
・ΔT(n) = Tdiff (n) − Mdiff(n) …(9−3)
・Yp(n) = ΔT(n) × P …(9−4)
・YI(n) += ΔT(n) × I …(9−5)
・Y(n) = Yp(n) + YI(n) …(9−6)
ここで、ΔTは偏差、Pは比例係数、Iは積分係数、Yは熱源の出力量、Ypは比例出力量、YIは積分出力量、+=は「処理時点ごとに積算する」という意味である。なお、温度センサ26よりも参照用温度センサ27の方が熱源の近くに位置するものとし、加熱制御を想定する。
(7−3)PID制御
PID制御の場合、図3における制御回路30は、以下の計算式に従って制御周期ごとにYを求め、熱源(ヒーター20/保冷庫21)を制御する。この制御では、処理時点が一定間隔で現れる。
・Tdiff (n) = (Tset− Ttemp(n))×Gdiff …(10−1)
・Mdiff(n) = Trefe(n) −Ttemp(n) …(10−2)
・ΔT(n) = Tdiff (n) − Mdiff(n) …(10−3)
・Yp(n) = ΔT(n) × P …(10−4)
・YI(n) += ΔT(n) × I …(10−5)
・YD(n) = (ΔT(n) −ΔT(n−1))×D …(10−6)
・Y(n) = Yp(n) + YI(n) + YD(n) …(10−7)
ここで、Dは微分係数、YDは微分出力量、+=は「制御周期ごとに積算する」という意味とする。なお、温度センサ26よりも参照用温度センサ27の方が熱源の近くに位置するものとし、加熱制御を想定する。
(7−4)D制御
D制御は、PID制御の簡易版である。従って、D制御の場合、制御回路30(図3)は、PID制御の場合の(10−1)〜(10−3)と(10−6)に基づいて制御周期ごとに熱源を制御する。
・Tdiff (n) = (Tset− Ttemp(n))×Gdiff …(11−1)
・Mdiff(n) = Trefe(n) −Ttemp(n) …(11−2)
・ΔT(n) = Tdiff (n) − Mdiff(n) …(11−3)
・YD(n) = (ΔT(n) −ΔT(n−1))×D …(11−4)
なお、温度センサ26よりも参照用温度センサ27の方が熱源の近くに位置するものとし、加熱制御を想定する。
(7−5)まとめ
実施形態に係る手法である「温度差を利用したS制御」のうちPID制御やD制御は、制御周期を考慮する必要があり、その制御内容は、ON/OFF制御やPI制御の場合に比べて複雑化する。このため、以下では、基本的に、ON/OFF制御やPI制御について説明する。また、前述の説明では、「温度差を利用したS制御」を反応槽23の温度制御系に適用しているが、固体間の温度制御系にも適用することができる。反応槽23の温度制御系が流路を介して熱移動するのに対し、固体の温度制御系は、熱伝導を介して熱移動する点で異なる。
(8)調整作業
図8に示したように、「温度差を利用したS制御」では、現在温度(温度センサ26の測定温度)が目標温度を超える前に、熱源のオン制御とオフ制御を切り替える制御を理想とする。ここでは、制御回路30による制御タイミングを最適化するために行う調整作業について説明する。
(8−1)ON/OFF制御
ここでの目的は、勾配係数(温度差)Gdiff値を最適値に調整することである。
(1)作業1:温度センサ26と参照用温度センサ27の距離の探索
まず、作業者は、ヒーター20をON制御し、反応槽水24の加熱を開始する。このときの加熱は、ヒーター20の最大出力で行う。作業者は、最大出力での加熱中における温度センサ26の測定温度と参照用温度センサ27の測定温度を確認し、2つの測定温度の間に所定の温度差を確認できる距離(取付位置)を探す。所定の温度差は、温度センサ(温度センサ26、参照用温度センサ27)自体の誤差、水流による誤差よりも大きいことが望ましい。また、参照用温度センサ27は熱源(ここではヒーター20)に近いことが望ましい。
(2)作業2:おおよその勾配係数(温度差)Gdiffの決定
作業1で確定した取付位置に温度センサ26と参照用温度センサ27を配置した状態で、作業1と同様、ヒーター20をON制御し、反応槽水24の加熱を開始する。ここでの加熱も、ヒーター20の最大出力で行う。作業者は、最大出力での加熱中、温度センサ26の測定温度と参照用温度センサ27の測定温度の温度差を確認する。この温度差を、おおよそのGdiff値に決定する。
(3)作業3:作業の繰り返しによるGdiff値の決定
作業2で決定した「おおよそのGdiff値」を基準値に用いて新たに設定したGdiff値を使用して温度制御を実施し、制御結果を確認するという作業を繰り返す。精度の高い温度制御結果になるGdiff値を見つけたら、その値をGdiff値に決定する。このときの作業は、最適なGdiff値を探すのではなく、不安定になるGdiff値を探して避けるように設定するのが望ましい。その理由は、「温度差を利用したS制御」は精度が高いため、少しだけGdiff値を変更しても、制御結果に影響を与えるとは限らないためである。図9に、勾配係数Gdiffを可変した場合における制御結果の精度の変化を示す。図9の場合、値(a)より低い範囲、又は、値(b)より高い範囲で制御結果の精度が低下している。そこで、値(a)と値(b)の中点にあたる値(c)を、勾配係数Gdiffの値に決定する。
(8−2)PI制御
ここでの目的は、勾配係数(温度差)Gdiff値、比例係数P値、積分係数I値のそれぞれを最適値に調整することである。調整作業は、勾配係数(温度差)Gdiff値の決定→比例係数P値の決定→積分係数I値の決定の順に行う。
(1)作業1:温度センサ26と参照用温度センサ27の距離の探索
ON/OFF制御の場合の作業1と同じ手順で、温度センサ26と参照用温度センサ27の取付位置を決定する。
(2)作業2:おおよその勾配係数(温度差)Gdiffの決定
ON/OFF制御の場合の作業2と同じ手順で、おおよそのGdiff決定する。
(3)作業3:おおよその比例係数P値と積分係数I値の決定
ここでは、比例係数P値と積分係数I値を求める。「温度差を利用したS制御」のPI制御では、古典制御とは異なり、比例出力量と積分出力量を互いに補正し合うように動作させる必要はない。なぜなら、温度制御に必要な情報は、以下の2点に絞られるためである。
(a)温度センサ26が目標温度で安定しているときは、目標温度を維持する出力量を熱源が出し続けること
(b)温度センサ26が目標温度から外れたときは、迅速に熱源の出力量を調節すること
「温度差を利用したS制御」のPI制御では、(a)の情報を積分出力量で計算するように設計し、(b)の情報を比例出力量で計算するように設計することが望ましい。つまり、「温度差を利用したS制御」のPI制御では、温度制御のいずれかのタイミングで、積分出力量に固定値(=設定温度を維持する出力量)を代入し、積分係数I値を0(ゼロ)に設定することが望ましい。
まず、P=0を設定して「目標温度を維持する出力量」と、積分係数I(=0)を決定する。目標温度を維持する出力量は、ある任意の出力量を熱源から出し続けた状態で、十分に時間が経過したときに温度センサ26の測定温度が安定したときにおける温度とその際の出力量との関係から算出することができる。
「目標温度を維持する出力量」、及び、積分係数I(=0)が決定したら、次に、比例係数Pを求める。勾配係数Gdiff値についての図9と同様に、比例係数P値を変更しながら温度制御を実施し、制御結果の精度を確認する作業を繰り返す。この繰り返し作業により求められた精度の高い温度制御の結果から最適な比例係数P値を見つけ、その値を最終的な比例係数P値に決定する。
このとき、温度制御を開始しても、目標温度に温度が到達しなければ、比例係数Pが小さすぎることを意味する。目標温度を維持する出力量が変化する制御系の場合には、比例係数Pを決定した後に、積分係数I値も、図9と同様の手法により設定するのがよい。
以上がPI制御の場合の調整方法である。この調整方法は、各値を1個ずつ調整できるため、調整は容易になる。各値についての調整は、図9に示すように精度が不安定になる調整値を見つけた時点で終了することができる(完了基準)ため、調整が容易で、調整工数も計算しやすいという大きなメリットがある。
このように調整方法が容易になるのは、「温度差を利用したS制御」が、ON/OFF制御であっても、現在温度が目標温度を超える前に、熱源のON/OFFを切り替えることができ、制御が複雑にならないためである。
(9)制御回路30のロジック回路化
上述の通り、「速度を利用したS制御(特許文献1の制御手法)」では、現在温度の変化速度を求めるために、複数の制御周期に対応する各種の情報を記憶しておく必要がある。一方で、「温度差を利用したS制御(実施形態に係る制御方法)」におけるON/OFF制御方式では、処理時点における情報だけで温度制御を実現することができる。また、「温度差を利用したS制御(実施形態の制御方法)におけるPI制御方式の場合も、通常、積分出力量は固定値であるため、処理時点の情報だけで温度制御を実現することができる。
従って、「温度差を利用したS制御」に属する各種の制御方式のうち少なくともON/OFF制御方式とPI制御方式については、いわゆるロジック回路(例えばオペアンプ、アナログ乗算器)だけで温度制御を実現することができる。この場合、温度制御のためのプログラムの開発工数を全てカットでき、自動分析装置への適用容易性を高めることができる。
(10)時間分解能
さらに、「温度差を利用したS制御(実施形態の制御方法)」に属する各種の制御方式のうち少なくともON/OFF制御方式とPI制御方式では、「速度を利用したS制御(特許文献1の制御手法)」のように温度の変化速度を出力しないため、制御周期を設定する必要がない。このため、「温度差を利用したS制御(実施形態の制御方法)」では、時間分解能を自由に設定することも、可変することもできる。そこで、前述の「(7)実施形態の制御(温度差を利用したS制御)」の項では、「処理時点」なる表現を用いている。
また、「温度差を利用したS制御(実施形態の制御方法)」では、仮に温度センサ26を熱源(ヒーター20)から遠く離れた位置に設置する必要があったとしても、参照用温度センサ27を熱源(ヒーター20)の近くに設置できるため、外乱が発生しても直ちに出力量を可変することが可能になる。
(11)熱源と温度センサ対をそれぞれ複数含む温度制御系への応用
前述の説明では、単一の温度センサ対(温度センサ26及び参照用温度センサ27)から計測される温度差に基づいて、単一の熱源(ヒーター20及び保冷庫21)の出力量を制御する場合について説明した。
ここでは、前述の「温度差を利用したS制御」を、熱源と温度センサ対をそれぞれ複数組含む温度制御系に応用する場合について説明する。この場合の制御原理を、図10を用いて説明する。図10は、3つの熱源と、対応する3つの温度センサ対とを有する温度制御系を表している。
第1の温度センサ対は、温度センサ1(51)と参照用温度センサ1(61)で構成される。第2の温度センサ対は、温度センサ2(52)と参照用温度センサ2(62)で構成される。第3の温度センサ対は、温度センサ3(53)と参照用温度センサ3(63)で構成される。図10の場合、3つの温度センサ対は、いずれも温調ブロック81に取り付けられている。
制御回路30(又はコンピュータ40)は、温度センサ1〜3及び参照用温度センサ1〜3のそれぞれから測定温度を入力する。制御回路30(又はコンピュータ40)は、後述する処理に基づいて、ペルチェ1(71)、ペルチェ2(72)、ペルチェ3(73)の出力量を個別に制御する。ただし、設定温度は1つである。従って、制御回路30(又はコンピュータ40)は、温度センサ1〜3の温度が均一になるように(すなわち目標温度に一致するように)温度を制御する。具体的には、加熱中か冷却中かを問わず、制御回路30(又はコンピュータ40)は、温度センサ1〜3の温度が均一になるようにペルチェ1〜3の加熱又は冷却を制御する。この制御を通じ、5つの反応セル14の温度が均一化される。
以下では、制御周期を、1, 2, 3, …, n-2, n-1, n, n+1, n+2…周期目と表現するものとし、現在周期をnと表現する。また、温度センサ1〜3の測定温度をTtemp1(n)〜Ttemp3(n)と表現し、参照用温度センサ1〜3の測定温度(ペルチェ1〜3の近傍温度)をTrefe1(n)〜Trefe3(n)と表現し、設定温度をTsetと表現し、ペルチェ1〜3の出力量をY1(n)〜Y3(n)(+値なら加熱、−値なら冷却とする)と表現する。
(11−1)温度差を利用したS制御の組み合わせの考え方
図10に示すように、温度センサ1の測定温度には、ペルチェ1からの熱伝導82だけでなく、ペルチェ2からの熱伝導82も影響する。温度センサ2の測定温度には、ペルチェ2からの熱伝導82だけでなく、ペルチェ1からの熱伝導82とペルチェ3からの熱伝導82も影響する。温度センサ3の測定温度には、ペルチェ3からの熱伝導82だけでなく、ペルチェ2からの熱伝導82も影響する。
そこで、各温度センサ対について計算される熱源の出力量を、隣接領域との温度差から計算される熱源の出力量によって補正することを考える。補正の仕方には幾つかの方法が考えられる。以下、代表的な仕組みを説明する。
(11−2)組み合わせバージョン1
ここでは、温度センサ1〜3のうちの1つを基準センサに設定する。例えば温度センサ1を基準センサに設定する。
ペルチェ1の出力量Y1(n)は、Ttemp1(n)とTrefe1(n)との間の「温度差を利用したS制御」により計算する。出力量Y1(n)の補正は行わない。
ペルチェ2の出力量Y2(n)は、Ttemp2(n)とTrefe2(n)との間の「温度差を利用したS制御」により計算した値を、Ttemp1(n)とTtemp2(n)との間の「温度差を利用したS制御」により計算した値で補正することにより求める。
ペルチェ3の出力量Y3(n)は、Ttemp3(n)とTrefe3(n)との間の「温度差を利用したS制御」により計算した値を、Ttemp1(n)とTtemp3(n)との間の「温度差を利用したS制御」により計算した値で補正することにより求める。以上の計算方法を式で表すと以下のようになる。
・Y1(n) = Y(refe1-temp1)diff-PI(n) …(12-1)
・Y2(n) = Y(refe2-temp2)diff-PI(n)+ Y(temp2)-(temp1)diff-PI(n) …(12-2)
・Y3(n) = Y(refe3-temp3)diff-PI(n)+ Y(temp3)-(temp1)diff-PI(n) …(12-3)
ここで、Y(refeN-tempN)diff-PI(n)は、温度センサNと参照用温度センサNとの間の「温度差を利用するS制御」のうちPI制御方式で計算した出力量を意味し、Y(tempN)-(tempM)diff-PI(n)は、温度センサNと温度センサMとの間の「温度差を利用するS制御」のうちPI制御方式で計算した出力量を意味する。なお、Y(temp2)-(temp1)diff-PI(n)とY(temp3)-(temp1)diff-PI(n)の出力量の計算において、目標温度は、温度センサ1の現在温度を目標温度とする。
「温度差を利用するS制御」は、前述したように自動分析装置への適用が容易であり、かつ、その調整も簡易であるので、図10に示すような多入力多出力型の温度制御に適している。なお、前述の(12-1)〜(12-3)式は、あくまでも一例であり、出力量Y1(n)〜Y3(n)は、どの温度センサを基準センサとして計算してもよい。また、温度センサの種類は問わない。また、前述の(12-1)〜(12-3)式では、PI制御方式を適用して出力量を計算しているが、PID制御方式などを適用して出力量を計算しても良い。
(11−3)組み合わせバージョン2
ここでも、温度センサ1〜3のうち温度センサ1を基準センサに設定する。ここでは、全てのペルチェの出力量のベース値を、基準センサに対応するペルチェ1の出力量に統一し、各ペルチェに固有の補正値で補正する手法について説明する。以上の計算方法を式で表すと以下のようになる。
・Y1(n) = Y(refe1-temp1)diff-PI(n) …(13-1)
・Y2(n) = Y1(n)+ Y(temp2)-(temp1)diff-PI(n) …(13-2)
・Y3(n) = Y1(n)+ Y(temp3)-(temp1)diff-PI(n) …(13-3)
(11−4)組み合わせバージョン3
ここでは、温度センサ1〜3の中から基準センサを設定しないものとする。この場合、ベースとなる出力量は、各ペルチェに対応する温度センサ対の温度差を利用したS制御で計算し、対応する温度センサへの熱伝導82を生じさせる温度センサ対の温度差を利用したS制御で計算される値で補正する。以上の計算方法を式で表すと以下のようになる。
・Y1(n) = Y(refe1-temp1)diff-PI(n)+ Y(temp2)-(temp1)diff-PI(n) …(14-1)
・Y2(n) = Y(refe2-temp2)diff-PI(n)+ {Y(temp2)-(temp1)diff-PI(n)+ Y(temp2)-(temp3)diff-PI(n)}/2 …(14-2)
・Y3(n) = Y(refe3-temp3)diff-PI(n)+ Y(temp2)-(temp3)diff-PI(n) …(14-3)
(11−5)他の組み合わせバリエーション
前述の組み合わせバリエーションでは、いずれの場合も、出力量のベース値とその補正値を「温度差を利用したS制御」で計算しているが、一方の計算に、「速度を利用したS制御速度」に記載の計算手法を用いることもできる。
(11−5−1)単一入力/単一出力で構成される温度制御系の応用例
ここでは、温度制御系が単一の入力部(温度センサ)と単一の出力部(熱源)で構成される場合における応用例を説明する。具体的には、温度制御に「速度を利用したS制御」と「温度差を利用したS制御」とを組み合わせた手法を用いる場合について説明する。なお、本明細書において、入力についての「単一」とは、「一対」又は「一組」の意味で使用する。
制御原理を以下に示す。図11は、本実施の形態に係る単一の入力部と単一の出力部を備える温度制御系において、「速度差を利用したS制御」と「温度差を利用したS制御」とを組み合わせる場合の構成例を表している。図11と図3との相違点は、参照用温度センサ27の取り付け位置である。図11の場合、参照用温度センサ27は、保冷庫21よりも上流側に配置される点で、図3の設置位置と相違する。もっとも、参照用温度センサ27の設置位置は任意である。
この例の場合も、制御回路30(又はコンピュータ40)は、温度センサ26の測定温度と参照用温度センサ27の測定温度を入力し、所定時点に熱源の出力量を制御する。本例の場合、目標温度は、温度センサ26についてのみ設定し、参照用温度センサ27については設定しない。
以下では、温度センサ26の測定温度をTtemp(n)、参照用温度センサ27の測定温度をTrefe(n)、目標温度をTset、熱源(ヒータ−20/保冷庫21)の出力量をY(n)(+値なら加熱、−値なら冷却とする)と表現する。
図12に、「温度差を利用したS制御」と「速度を利用したS制御」を組み合わせる制御のイメージを示す。図12は、図11に示した温度制御系において温度が安定した際に外乱が発生した場合の測定温度の変化を表している。図中の時点Aは、熱源側から余分な熱が発生した状態(外乱)を表している。この図中の時点Bは、その外乱が、まず参照用温度センサ27に伝わって測定温度が上昇した様子を、図中の時点Cは、その外乱が、温度センサ26にも伝わり、測定温度が上昇し始める様子を示している。なお、時点Cでは、既に熱源の制御が行われ、参照用温度センサ27の測定温度の下降が開始されている。図中の時点Dでは、温度が安定状態に戻っている。
熱源が1つ(すなわち、単一出力)の場合、「速度を利用したS制御」だけでも熱源の制御は可能である。しかし、時点Bのように、参照用温度センサ27の測定温度が上昇しても、温度センサ26の測定温度は未だ上昇を開始していないタイミングでは、「速度を利用したS制御」によって熱源の出力量を変えることはできない。「速度を利用したS制御」による熱源の出力量の可変制御は、時点Cのタイミングから可能になる。だからと言って、フィードフォワード制御のように、外乱を検知した時点Bのタイミングで、直ちに熱源の出力量を補正することがベストとも限らない。
そこで、「速度を利用したS制御」によって計算される出力量に対して、「温度差を利用したS制御」によって計算される出力量(ここでは補正量)を徐々に増やしていく方法を提案する。例えば以下の計算式に従って制御周期ごとに熱源を制御する。
・Y(n) = Yspeed-PI(n) + Ydiff-I(n) …(15-1)
ここで、Yspeed-PI(n)は、温度センサ26の測定温度のみを使用する「速度を利用したS制御」のPI制御によって計算した出力量であり、Ydiff-I(n)は、温度センサ26と参照用温度センサ27の各測定温度を使用する「温度差を利用したS制御」のI制御で計算した出力量である。なお、(15-1)式は一例であり、様々な制御方式(PI制御、PID制御など)との組み合わせも可能である。
(15-1)式の「温度差を利用したS制御」はI制御なので、外乱検知の影響を徐々に積算してから出力量を補正するため、外乱が検知された時点Bでは出力量の補正はほとんど行われず、例えば時点Bと時点Cの中間タイミングで出力量の補正が行われるようにできる。ここで、補正量は「温度差を利用したS制御」によって計算されるので、現在の温度差が設定された温度差に戻れば補正量も徐々に小さくしていくことができる。例えば外乱の影響が残る時点Cにおいて、補正量をほとんどゼロにすることができる。
この手法によれば、外乱が温度センサ26の測定温度に影響を与える前に(「速度を利用したS制御」が開始する前に)、出力量の補正を行うことができる。
(12)各種装置への応用
前述した「温度差を利用したS制御」は、基本的に複雑なプログラムを必要としないため、自動分析装置における温度制御への適用及び調整が容易である。このため、前述した「温度差を利用したS制御」は、生化学、免疫、血液凝固分析用の自動分析装置以外の装置、例えば遺伝子検査装置(バッチ処理)やDNAシーケンサにおける高精度なPCR温度制御にも適用することができる。
また、外乱の多い温度制御系においては、「速度を利用したS制御」と「温度差を利用したS制御」とを組み合わせることにより、外乱を検知したら直ちに出力量を補正するのではなく、適切なタイミングで適切な出力量の補正を実現することができる。
(12−1)生化学/免疫自動分析装置への適用
以下では、自動分析装置の一例として、生化学/免疫自動分析装置(以下では、「生化学自動分析装置」という。)への適用例を説明する。なお、生化学自動分析装置の基本構成は図1に示す装置構成と同じであるものとする。
(12−1−1)温度差を利用したS制御のON/OFF制御
ここでは、図3に示す温度制御系を採用する生化学自動分析装置における温度制御に、「温度差を利用したS制御」のON/OFF制御方式(「(7−1)ON/OFF制御」の項に示す。)を適用する場合について説明する。この場合、図3における制御回路30をロジック回路で実現することができる。G diff 係数に該当する回路部分は、予め「(8−1)ON/OFF制御」の項に示す手順に従って調整しておく。
本装置では、コンピュータ40が、専用のソフトウェアアプリケーションを通じて温度制御を開始すると、制御回路30による熱源(ヒーター20/保冷庫21)の温度制御が開始されるようにロジック回路の回路基盤を設計しておく。この場合、制御回路30のみで熱源(ヒーター20/保冷庫21)のオン/オフ制御が実行される。この際、制御回路30は、温度センサ26の測定温度が目標温度37℃となるように熱源の制御を実施する。
(12−1−2)温度差を利用したS制御のPI制御
ここでは、図3に示す温度制御系を採用する生化学自動分析装置における温度制御に、「温度差を利用したS制御」のPI制御方式(「(7−2)PI制御」の項に示す。)を適用する場合について説明する。この場合も、図3における制御回路30をロジック回路で実現することができる。
本装置の場合も、コンピュータ40が、専用のソフトウェアアプリケーションを通じて温度制御を開始すると、制御回路30による熱源(ヒーター20/保冷庫21)の温度制御が開始されるようにロジック回路の回路基盤を設計しておく。このとき、(10-5)式のI係数に対応する回路部分はロジック回路の回路基盤から除外される。(10-5)式のYI(n)に対応する回路部分には固定値を入力できるように回路基盤を設計する。なお、「(7−2)PI制御」の項に示す各係数に該当する回路構成は、「(8−2)PI制御」の項に示す手順に従って調整しておく。
この装置構成の場合も、装置本体の電源が投入され、専用のソフトウェアアプリケーションによる温度制御が開始された後は、制御回路30のみで熱源(ヒーター20/保冷庫21)の温度制御が実行される。この際、制御回路30は、温度センサ26の測定温度が目標温度37℃となるように熱源の制御を実施する。
(12−1−3)速度を利用したS制御+温度差を利用したS制御の組み合わせ(単一出力の場合)
ここでは、免疫自動分析装置における温度制御に、「速度を利用したS制御」と「温度差を利用したS制御」を組み合わせた制御手法を適用する場合について説明する。図13に、免疫自動分析装置90の全体構成を示す。図13には、図1との対応部分に同一符号を付して示している。
免疫自動分析装置90は、試薬を保冷する試薬ディスク12、検体91や試薬が入った反応セル14を保持する反応ディスク13、検体91を分注するサンプルプローブ15、試薬を分注する試薬プローブ16、反応セル14を一定温度に保つ不図示の反応槽23、一定温度を保ちながら電気化学発光による発光を検出する測定機構92、一定温度を保ちながら反応液やシステム試薬を供給するリザーバ機構93、一定温度を保ちながら反応液中の成分を分離するプレウォッシュ機構94、反応セル14や分注用チップを供給するドロワ95、これらを制御する制御回路30、インタフェースとしてのコンピュータ40で構成される。
ここでは、制御回路30が、前述の実施形態と同じく、反応槽23における反応槽水24の温度を設定温度に保つように動作する。図13の免疫自動分析装置90は、図11に示す構成の温度制御系を採用している。このため、制御回路30は、(15-1)式に対応するプログラム(以下、「温度制御プログラム」という。)を実行し、「速度を利用したS制御」と「温度差を利用したS制御」とを組み合わせた温度制御(単一出力)を実現する。
免疫自動分析装置90では、装置電源が投入されて、専用のソフトウェアアプリケーションが温度制御を開始すると、制御回路30による温度制御が開始されるように設計される。制御回路30は、温度制御が開始すると、温度制御プログラムのみで熱源(ヒーター20/保冷庫21)を制御し、反応槽水24の温度を設定温度である37℃に制御する。なお、「速度を利用したS制御」の各係数を先に調整した後、「温度差を利用したS制御」の各係数を調整する。
(12−1−4)温度差を利用したS制御のPI制御(反応槽以外への適用)
図3又は図11に示す構成を有する免疫自動分析装置90(図13)では、反応槽23以外の機構部(例えば測定機構92、リザーバ機構93、プレウォッシュ機構94)でも、温度制御が必要になる。図14に、これらの機構部の代表例として、プレウォッシュ機構94の概略構成を示す。プレウォッシュ機構94には、ペルチェ96、温度センサ26、参照用温度センサ27が取り付けられている。この種の構成を有する機構部の温度制御には、「温度差を利用したS制御」のPI制御方式((9-1)〜(9-6)式)を用いるように設計し、いずれも温度センサ26の測定温度が28℃になるように温度制御する。
(12−1−5)温度差を利用したS制御のD制御(反応槽以外への適用)
前述の実施形態では、反応槽以外の機構部の温度制御に「温度差を利用したS制御」のPI制御方式を用いたが、温度差を利用したS制御のD制御方式((11-1)〜(11-4)式)を適用することもできる。この場合、(11-4)式で計算されるYD(n)に基づいて、各機構部をいずれも28℃に温度制御する。
(12−2)遺伝子検査装置/DNAシーケンサへの適用
(12−2−1)温度差を利用したS制御同士の組み合わせ(多入力/多出力)
図15に、実施形態に係る遺伝子検査装置/DNAシーケンサの全体構成を示す。なお、図15には、図1及び図10との対応部分に同一符号を付して示している。温調ブロック81には、反応セル14、ペルチェ71〜73、温度センサ51〜53、参照用温度セン61〜63が取り付けられている。温調ブロック81は、その温度を一定に保つ反応槽(恒温槽)103に格納されている。反応セル14には、光源17から発せられた励起光が照射される。反応セル14からの蛍光は、光学ミラー102、光学フィルタ101を通じて、検出器18で検出される。これらの各部は、コンピュータ40を通じて制御される。
制御回路30は、「温度差を利用したS制御」同士の組み合わせた(多入力/多出力の)計算式(例えば(12-1)〜(12-3)式)に対応するプログラムを実行するように設計する。勿論、(13-1)〜(13-3)式や(14-1)〜(14-3)式を適用することもできる。
本装置の場合も、装置本体の電源が投入されて、専用のソフトウェアアプリケーションが温度制御を開始すると、制御回路30の動作のみで温度センサ51〜53の測定温度が設定温度37℃となるように熱源(ペルチェ71〜73)が制御される。
装置電源を投入後、ユーザが、専用のユーザーインターフェースからPCR反応開始(分析開始)を要求すると、専用のソフトウェアアプリケーションがPCR温調プロトコルを、制御回路30のプログラムとしてセットする。その後、制御回路30は、PCR温度制御を開始し、組み込まれているプログラム動作のみでPCR温度制御を実行する。
(12−2−2)速度を利用したS制御と温度差を利用したS制御の組み合わせ(多入力、多出力)
図15に、実施形態に係る遺伝子検査装置/DNAシーケンサの制御には、前述の(16-1)式で示す多入力/多出力の温度制御系のうち、「温度差を利用したS制御」の項に前述の(13-1)〜(13-3)式等で与えられる補正方法を適用して、PCR温度制御を行うこともできる。
本装置の場合、目標温度は、ステップ入力ではなくライン入力(一定速度で設定温度を変化させる)で与えられる。その結果、「速度を利用したS制御」による出力量の計算対象となる温度センサの温度変化速度を一定にできる。調整は、以下のように行う。「速度を利用したS制御」による出力量の計算対象となる温度センサ26には、温調ブロック81の中心に位置する温度センサ52を選択する。温度センサ51と温度センサ53は、温度センサ52からみて点対称になるため、同時に、同じ設定値により調整することができる。計算式の調整時には、まず「速度を利用したS制御」の各係数を調整し、その後、「温度差を利用したS制御」の各係数を調整する。
(13)実験結果
以下、前述の実施形態で説明した制御手法の実験結果について説明する。
(13−1)単一入力/単一出力の温度制御シミュレーション
図16に、温度差を利用したS制御のうちON/OFF制御方式(「(7−1)ON/OFF制御」の項の制御技術)を採用する場合における温度制御シミュレーションの結果を示す。本シミュレーションモデルでは、説明を簡潔にするため、反応槽、ヒーター、保冷庫の代わりに温調ブロックとペルチェを使用するものとし、それぞれ表1に示す条件を満たすものとする。なお、アルミブロックは、温調ブロックの構成部品である。
Figure 0006505538
本シミュレーションモデル自体の温度制御特性との比較のため、図17に、「(4−1)ON/OFF制御」で説明した古典的な制御手法を用いる場合のシミュレーション結果を示す。
(13−2)複数入力/複数出力の温度制御シミュレーション
図18及び図19に、温度差を利用したS制御におけるPI制御方式(「(11−2)組み合わせバージョン1」の項の制御技術)を組み合わせる場合における温度制御シミュレーションの結果を示す。本シミュレーションモデルでは、説明を簡潔にするため、反応セル、温度センサ、コンピュータの実態は考慮せず、表2に示す条件を満たすものとする。なお、アルミブロックは、温調ブロックの構成部品である。
Figure 0006505538
本シミュレーションモデル自体の温度制御特性との比較のため、図20に、「(4−1)ON/OFF制御」で説明した古典的な制御手法を用いる場合のシミュレーション結果を示す。
10…装置本体
11…サンプルディスク
12…試薬ディスク
13…反応ディスク
14…反応セル
15…サンプルプローブ
16…試薬プローブ
17…光源
18…検出器
19…反応槽水流路
20…ヒーター
21…保冷庫
22…矢印(反応ディスクの回転方向)
23…反応槽
24…反応槽水
25…矢印(反応槽水の流れの方向)
26…温度センサ
27…参照用温度センサ
28…流量センサ
30…制御回路
31…流速分布
32…熱移動
40…コンピュータ
51…温度センサ1
52…温度センサ2
53…温度センサ3
61…参照用温度センサ1
62…参照用温度センサ2
63…参照用温度センサ3
71…ペルチェ1
72…ペルチェ2
73…ペルチェ3
81…温調ブロック
82…熱伝導
90…免疫自動分析装置
91…検体
92…測定機構
93…リザーバ機構
94…プレウォッシュ機構
95…ドロワ
96…ペルチェ
101…光学フィルタ
102…光学ミラー
103…反応槽

Claims (13)

  1. 出力熱量を可変又は切り替えることが可能な熱源と、
    温度監視領域の近くに位置し、第1の測定温度を出力する第1の温度センサと、
    前記第1の温度センサとは異なる位置において、第2の測定温度を出力する第2の温度センサと、
    各処理時点における前記第1の測定温度と目標温度との差分値に比例する第1の差分値ΔTAと、前記各処理時点における前記第1の測定温度と前記第2の測定温度との間の第2の差分値ΔTBとに基づいて前記熱源の出力熱量を制御する制御部と
    を有する自動分析装置。
  2. 請求項1に記載の自動分析装置において、
    前記第2の温度センサは、前記熱源と前記第1の温度センサとの中間に位置する
    ことを特徴とする自動分析装置。
  3. 請求項1に記載の自動分析装置において、
    前記制御部は、ロジック回路である
    ことを特徴とする自動分析装置。
  4. 請求項1に記載の自動分析装置において、
    前記制御部は、
    前記第1の差分値ΔTAと前記第2の差分値ΔTBを比較し、
    前記第1の差分値ΔTAが前記第2の差分値ΔTBより大きいとき、前記熱源をオン制御し、
    前記第1の差分値ΔTAが前記第2の差分値ΔTBより小さいとき、前記熱源をオフ制御する
    ことを特徴とする自動分析装置。
  5. 請求項1に記載の自動分析装置において、
    冷却源を更に有し、
    前記制御部は、
    前記第1の差分値ΔTAと前記第2の差分値ΔTBを比較し、
    前記第1の差分値ΔTAが前記第2の差分値ΔTBより大きいとき、前記熱源をオン制御すると共に、前記冷却源をオフ制御し、
    前記第1の差分値ΔTAが前記第2の差分値ΔTBより小さいとき、前記冷却源をオン制御すると共に、前記熱源をオフ制御する
    ことを特徴とする自動分析装置。
  6. 請求項1に記載の自動分析装置において、
    前記制御部は、
    前記第1の差分値ΔTAと前記第2の差分値ΔTBとの偏差(=ΔTA−ΔTB)を計算し、
    前記各処理時点における前記偏差(=ΔTA−ΔTB)に比例係数を乗算して第1の値を計算し、
    前記各処理時点における前記偏差(=ΔTA−ΔTB)に積分係数を乗算した値を積分することにより第2の値を計算し、
    前記第1の値と前記第2の値の加算値により前記熱源を制御する
    ことを特徴とする自動分析装置。
  7. 請求項1に記載の自動分析装置において、
    前記制御部は、
    前記各処理時点に、前記第1の差分値ΔTAと前記第2の差分値ΔTBとの偏差(=ΔTA−ΔTB)を計算し、
    前記各処理時点における前記偏差(=ΔTA−ΔTB)に比例係数を乗算して第1の値を計算し、
    前記各処理時点における前記偏差(=ΔTA−ΔTB)に積分係数を乗算した値を積分することにより第2の値を計算し、
    前回の前記処理時点における前記偏差(=ΔTA−ΔTB)と現在の前記処理時点における前記偏差(=ΔTA−ΔTB)との差分値に微分係数を乗算して第3の値を計算し、
    前記第1の値、前記第2の値及び前記第3の値の加算値により前記熱源を制御する
    ことを特徴とする自動分析装置。
  8. 請求項1に記載の自動分析装置において、
    前記制御部は、
    前記各処理時点に、前記第1の差分値ΔTAと前記第2の差分値ΔTBとの偏差(=ΔTA−ΔTB)を計算し、
    前回の前記処理時点における前記偏差(=ΔTA−ΔTB)と現在の前記処理時点における前記偏差(=ΔTA−ΔTB)との差分値に微分係数を乗算した値により前記熱源を制御する
    ことを特徴とする自動分析装置。
  9. 請求項1に記載の自動分析装置において、
    前記熱源と、前記第1の温度センサと、前記第2の温度センサで構成される組を複数有し、
    前記制御部は、
    第1の組について、各処理時点における前記第1の測定温度と目標温度との差分値に比例する第1の差分値ΔTAと、前記各処理時点における前記第1の測定温度と前記第2の測定温度との間の第2の差分値ΔTBとの差分(=ΔTA−ΔTB)から計算される第1の出力熱量によって前記熱源を制御し、
    前記第1の組とは異なる第2の組について、前記各処理時点における前記第1の測定温度と目標温度との差分値に比例する前記第1の差分値ΔTAと、前記各処理時点における前記第1の測定温度と前記第2の測定温度との間の第2の差分値ΔTBとの差分(=ΔTA−ΔTB)から計算される第1の出力熱量を、前記第1の組における前記第1の測定温度と前記第2の組における前記第1の測定温度との差分から計算される第2の出力熱量によって補正し、補正後の出力熱量により前記熱源を制御する
    ことを特徴とする自動分析装置。
  10. 請求項1に記載の自動分析装置において、
    前記熱源と、前記第1の温度センサと、前記第2の温度センサで構成される組を複数有し、
    前記制御部は、
    第1の組について、各処理時点における前記第1の測定温度と目標温度との差分に比例する第1の差分値ΔTAと、前記各処理時点における前記第1の測定温度と前記第2の測定温度との間の第2の差分値ΔTBとの差分(=ΔTA−ΔTB)から計算される第1の出力熱量によって前記熱源を制御し、
    前記第1の組とは異なる第2の組について、前記各処理時点における前記第1の組に対応する前記第1の測定温度と前記第2の組に対応する前記第1の測定温度との差分から計算される第2の出力熱量によって、前記第1の出力熱量を補正し、
    補正後の出力熱量により前記熱源を制御する
    ことを特徴とする自動分析装置。
  11. 請求項1に記載の自動分析装置において、
    前記制御部は、
    (a)現在の前記処理時点における前記第1の測定温度と前記目標温度との偏差量に、所定の勾配係数と制御周期間隔とを乗算して求められる値と、(b)前回の前記処理時点における前記第1の測定温度と現在の前記処理時点における前記第1の測定温度との間の変化量と、から計算される第1の出力熱量を、
    前記第1の差分値ΔTAと前記第2の差分値ΔTBに基づいて計算される第2の出力熱量で補正し、
    補正後の出力熱量により前記熱源を制御する
    ことを特徴とする自動分析装置。
  12. 検体と試薬を混合した反応液を収容する少なくとも1つの反応容器を保持する温調ブロックと、
    前記温調ブロックに与える出力熱量を可変又は切り替えることが可能な熱源と、
    温度監視領域の近くに位置し、第1の測定温度を出力する第1の温度センサと、
    前記第1の温度センサとは異なる位置において、第2の測定温度を出力する第2の温度センサと、
    各処理時点における前記第1の測定温度と目標温度との差分値に比例する第1の差分値ΔTAと、前記各処理時点における前記第1の測定温度と前記第2の測定温度との第2の差分値ΔTBとに基づいて前記熱源の出力熱量を制御する制御部と
    を有する遺伝子検査装置。
  13. 出力熱量を可変又は切り替えることが可能な熱源と、温度監視領域の近くに位置し、第1の測定温度を出力する第1の温度センサと、前記第1の温度センサとは異なる位置において、第2の測定温度を出力する第2の温度センサと、前記熱源の出力熱量を制御する制御部とを有する自動分析装置における温度制御方法において、
    前記制御部は、
    各処理時点における前記第1の測定温度と目標温度との差分値に比例する第1の差分値ΔTAを計算し、
    前記各処理時点における前記第1の測定温度と前記第2の測定温度との第2の差分値ΔTBを計算し、
    前記第1の差分値ΔTAと前記第2の差分値ΔTBに基づいて前記熱源の出力熱量を制御する
    ことを特徴とする温度制御方法。

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