JP6078346B2 - 核酸増幅装置、温度制御方法、及び温度制御装置 - Google Patents

核酸増幅装置、温度制御方法、及び温度制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、核酸増幅装置、および温度制御方法に関し、例えば、標的核酸を増幅して検出する核酸検査装置に適用される温度制御方法に関するものである。
感染症や遺伝子検査の手法として、核酸を増幅して検出する核酸増幅技術が利用されている。この核酸増幅技術の例としては、PCR(Polymerase Chain Reaction)法がある。PCR法では、標的核酸を含む反応液を温度調整機能付きブロック(以下「温調ブロック」)に架設し、温度上昇と下降とで規定された温度変化(以下「温度サイクル」)を繰り返すことで、特定の塩基配列を増幅させる。この際、目標温度への迅速な到達、及び到達後に目標温度近傍で温度が安定することが重要となる。
温度安定化のための、一般的な温度制御技術として、PID制御やPI制御を用いることができる。PID制御は、現在温度と目標温度の差(以下「偏差」)に比例した出力を出す比例動作(Proportional Action)と、偏差の積分に比例した出力を出す積分動作(Integral Action)と、偏差の微分に比例した出力を出す微分動作(Derivative Action)の和を出力し、これを熱源の操作量にフィードバックすることで、偏差をなくすように制御する方法である。このように、PID制御は、偏差が生じてからその偏差をどのように制御するかに関する技術である。
特開2011−234639号公報
しかしながら、急激な温度変化を必要とする場合、PI制御やPID制御では、温度制御動作に対する応答性が良くないという課題がある。このため、短時間に温度サイクル(周期)を繰り返すPCR法では、偏差が生じる前に温度制御するようにしている。つまり、反応液の温度を迅速に目標温度に到達させるため、温調ブロックの目標温度を一時的に高く(以下「意図的オーバーシュート」)設定し、意図的オーバーシュートの終了後、PI制御する。
図1は、PI制御のみで反応液温度を目標温度に温調した場合の温度変化を示している。一方、図2は、意図的にオーバーシュートを発生させた後に加冷却PI制御方式で反応液温度を目標温度に温調した場合の温度変化を示している。また、図3は、PI制御で反応液温度を目標温度に温調した場合の温度変化と熱源の出力を示している。
図1に示されるように、PI制御のみを用いると、温調ブロックの温度は目標温度(例えば、73℃)に比較的スムーズに上昇し、安定する。一方、反応液温度は非常に緩やかに上昇し、これでは応答性として好ましいものではない。試薬(反応液)は非常に繊細なものであるため、温度上昇に時間が掛かると試薬の再現性が乏しくなり、試薬が期待通りの動作をしない可能性がある。
そこで、図2に示されるように、温調ブロックの温度上昇に意図的にオーバーシュートを発生させることにより、反応液温度の上昇を制御する。このようにオーバーシュートを発生させると、温調ブロックの温度は一時的に目標温度を大きく超えてしまうが、反応液温度はすばやく目標温度に到達することが分かる。
しかし、意図的オーバーシュート終了後に温調ブロック温度と反応液温度が安定領域においてハンチングを起こし不安定になってしまう。安定領域における反応液の温度変化は、目標温度±0.5℃の範囲に収まることが望ましいが、このハンチングの影響によりそれは困難である可能性が高い。これは、積分動作の操作量算出が時間軸に依存していることが原因として挙げられる。温調ブロックの現在温度が目標温度に到達した際、比例動作は偏差に比例した出力を出すため、ほとんど働かない。しかし、積分動作は偏差の積分より算出されるため、目標温度到達後からマイナス側に積分しても温調ブロックの温度が下降し始めるまでには時間が必要となり、この分だけ対応が遅れる。この性質は、温度上昇する際も同様である。このように積分動作により、安定領域においてハンチングが発生し、温度安定性が悪くなることが分かる。
従って、積分動作を実行しつつも安定領域におけるハンチングの発生を抑制することが望ましい。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、迅速に安定領域にまで反応液温度を上昇させ、当該安定領域において反応液温度の安定を維持することが可能な温度制御技術を提供するものである。
上記課題を解決するために、本発明の温度制御は、温調ブロックの温度変化量(現在周期の温度(℃)− 前回周期の温度(℃))から熱源の操作量を算出する。熱源から発生した熱は、熱源と温調ブロックの温度差が大きければ、温調ブロックに多く伝わる。逆に、熱源と温調ブロックの温度差が小さければ熱はあまり伝わらない(熱伝導フーリエの法則)。よって、温調ブロックの温度変化量が大きい場合、熱源と温調ブロックの温度差は大きく、温調ブロックの温度変化量が小さい場合、熱源と温調ブロックの温度差は小さい。また、温調ブロックの温度変化量が無い場合、熱源と温調ブロックの温度差は無く安定していると言える。なお、実際には放熱等による熱損失があるため温度安定状態においても、温調ブロック温度の目標温度と、温調ブロックの目標温度を維持するために必要な熱源の温度には一定の誤差(以下「オフセット」)が発生する。本明細書においては、説明を分かりやすくするため、オフセットについては言及せず記載する。
以上のことから、温調ブロックの温度が目標温度に到達するタイミングで、温調ブロックの温度変化量を「無し」となるように熱源の操作量を制御することで、ハンチングを抑止して迅速に安定させることが可能となる。
つまり、本発明による標的核酸を増幅させる核酸増幅装置は、検体と試薬を混合した反応液を収容する少なくとも1つの反応容器を保持する温調ブロックと、温調ブロックの温度制御のためのプログラムを格納するメモリと、プログラムを前記メモリから読み出し、温調ブロックの温度制御を制御周期毎に実行するプロセッサと、を有する。温度制御の際、プロセッサは、現周期における温調ブロックの温度と前回周期における温調ブロックの温度との差である実際の温度変化量を算出し、現周期における温調ブロックの温度と温調ブロックの目標温度との偏差量と所定の勾配係数と制御周期から定まる目標の温度変化量と実際の温度変化量とを比較し、当該温度変化量の比較結果に基づいて温調ブロックに対する熱源操作量を決定する。
本発明によれば、迅速に安定領域にまで反応液温度を上昇させ、当該安定領域において反応液温度の安定を維持することが可能になる。
本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。
PI制御のみで反応液温度を目標温度に温調した場合の温度変化を示す図である。 意図的オーバーシュート後、PI制御で反応液温度を目標温度に温調した場合の温度変化を示す図である。 PI制御で反応液温度を目標温度に温調した場合の温度変化と熱源の出力を示し、積分動作によりオーバーシュート・ハンチングが発生していることを説明するための図である。 本発明の実施形態による核酸検査装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態による核酸検査装置における核酸増幅装置の概略構成を示す図である。 温調ブロックの概略構成を示す図である。 本発明の実施形態で用いられる温度制御ブロック図である。 熱源と温調ブロック温度が目標温度に到達するタイミングがずれていることを示す図である。 勾配係数と温度安定性の関係を示す図である。 温調ブロックの温度制御の状況を示す図である。 温度制御処理の具体的内容を説明するためのフローチャートである。 図11のS1111の詳細を説明するためのフローチャートである。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本発明の原理に則った具体的な実施形態と実装例を示しているが、これらは本発明の理解のためのものであり、決して本発明を限定的に解釈するために用いられるものではない。
本実施形態では、当業者が本発明を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本発明の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
更に、本発明の実施形態は、後述されるように、汎用コンピュータ上で稼動するソフトウェアで実装しても良いし専用ハードウェア又はソフトウェアとハードウェアの組み合わせで実装しても良い。
<核酸検査装置の構成>
図4は、本発明の実施形態による核酸検査装置100の全体構成の概略構成を示す図である。
核酸検査装置100は、増幅処理対象となる核酸を含む検体が収容された複数のサンプル容器101と、複数のサンプル容器101が収納されたサンプル容器ラック102と、検体に加えるための種々の試薬が収容された複数の試薬容器103と、複数の試薬容器103が収納された試薬容器ラック104と、検体と試薬を混合するための反応容器105と、未使用の反応容器105が複数収容された反応容器ラック106と、未使用の反応容器105を載置し、サンプル容器101及び試薬容器103のそれぞれから反応容器105に検体及び試薬を分注する反応液調整ポジション107と、検体と試薬の混合液である反応液が収容された反応容器105を蓋部材(図示せず)により密閉する閉栓ユニット108と、密閉された反応容器105に収容された反応液を撹拌する撹拌ユニット109と、を有している。
また、核酸検査装置100は、i)X軸方向(図1の左右方向)に延在するよう設けられたロボットアームX軸110と、Y軸方向(図1の上下方向)に延在するよう配置され、ロボットアームX軸110にX軸方向に対して移動可能に配置されたロボットアームY軸111とを有するロボットアーム装置112と、ii)ロボットアームY軸111にY軸方向に移動可能に設けられ、反応容器105を把持して核酸検査装置100の各部に搬送するグリッパユニット113と、iii)ロボットアームY軸111にY軸方向に移動可能に設けられ、サンプル容器101の検体や試薬容器103の試薬を吸引し、反応液調整ポジション107に載置された反応容器105に吐出する(分注する)分注ユニット114と、iv)分注ユニット114の検体や試薬と接触する部位に装着されるノズルチップ115と、v)未使用のノズルチップ115が複数収容されたノズルチップラック116と、vi)反応容器105に収容された反応液に核酸増幅処理や蛍光検出などを施す核酸増幅装置1と、vii)使用済みのノズルチップ115や使用済み(検査済み)の反応容器105を破棄する廃棄ボックス117と、viii)キーボートやマウス等の入力部118や液晶モニタ等の表示部119を備え、核酸増幅装置1を含む核酸検査装置100の全体動作を制御する全体制御部(コンピュータ或いはプロセッサ)120と、を有している。
各サンプル容器101は、収容された検体毎にバーコード等の識別情報により管理されており、サンプル容器ラック102の各位置に割り当てられた座標等の位置情報により管理されている。同様に、各試薬容器103は、収容された試薬毎にバーコード等の識別情報により管理されており、試薬容器ラック104の各位置に割り当てられた座標等の位置情報により管理されている。これらの識別情報や位置情報は、予め全体制御部120に登録され管理される。また、各反応容器105も識別情報や位置情報により同様に管理されている。
<核酸増幅装置の構成>
図5は、核酸増幅装置1の構成(上方から見た図)を示す図である。図6は、核酸増幅装置1の保持具3に設置される温調ブロックの構成を示す図である。なお、図5及び図6においては、説明のためにカバー7を省略して示す。
核酸増幅装置1は、基礎となるベース2と、反応容器105を保持する構成を有する複数の温調ブロック10を設けた保持具3と、反応容器105に収容された反応液の蛍光検出を行う蛍光検出器6と、保持具3及び蛍光検出器6を覆うカバー7と、を有している。
保持具3は、中心軸を上方に向けて配置された円板形状の保持具ベース4と、保持具ベース4の中心軸周りに、外周の内側に沿って並べて設けられた複数の温調ブロック10と、を有している。
保持具ベース4は、その中心に設けられた回転軸を中心に周方向に回転可能に設けられており、回転駆動装置であるステッピングモータ(図示せず)により回転駆動される。
温調ブロック10は、図6に示すように、温調ブロック10のベースとなる基部11と、基部11に上下方向(図6中上下方向)に突き抜けて設けられた穴状の架設ポジション12と、基部11の下方に設けられた温度調整装置としてのペルチェ素子14及び放熱フィン13と、基部11に設けられ架設ポジション12の近傍の温度を検出する温度センサ15と、を有している。
温調ブロック10の基部11は、例えば、銅、アルミニウム又は各種合金などの熱伝導体により形成されている。この基部11をペルチェ素子14により加熱または冷却することにより、基部11の架設ポジション12に保持された反応容器105の温度を調整する。そして、温度センサ15から基部11の温度を取得しながら、目標温度まで温調ブロック10の温度を変化させる。そして、反応容器105の温度は、熱源であるペルチェ素子14の温度に追従するように制御される。
図5に戻ると、蛍光検出器6は、1つ以上(例えば、本実施の形態では4つ)設けられており、保持具3の外周に沿って等間隔に配置されている。また、蛍光検出器6は、反応容器105の下方(反応容器105の動線の下方)に配置されており、保持具3の回転により反応容器105が上方を通過する際に蛍光検出を行う。
反応容器105に収容された反応液は、試薬により増幅対象となる塩基配列が蛍光標識されている。励起光源から反応容器105に照射された励起光により生じる反応液からの蛍光を蛍光検出器6で検出することにより、反応液における増幅対象となる塩基配列の定量が経時的に行われる。
<温度制御>
図7は、温度制御ブロックを示す図である。図4に示される各ブロックの機能(制御対象以外)は、上記全体制御部120において実現される。
温度制御に必要な系としては、目標温度を設定する設定部401と、操作量を出力する制御部402と、熱源としての操作部403(例えばペルチェ素子)と、温調ブロックなどの制御対象404と、温度を検出しフィードバックする検出部405と、によって構成される。
制御部402は、設定部401から設定された目標温度と、検出部405が検出した制御対象404の温度を用いて、後述のフローチャート(図11参照)に示される温度制御処理に従って演算を行い、操作量を出力する。反応液温度を直接制御できないため、ここでは温調ブロック10を制御対象とし、その温度を制御する。ただし、反応液の温度を直接的には制御できないが、温調ブロック10の温度が安定していれば、反応液の温度も安定することになる。
操作部403は出力された操作量に従い動作することで、現在温度を目標温度に近づけるように制御する。制御部402は、この計算を単位時間周期(単位制御周期:例えば、100ms)で1回ずつ行うことになっている。
<温度制御の原理及び具体的処理内容>
制御部402において実装される制御対象404の操作量を出力する温度制御法は非常に重要である。前述の通り、意図的オーバーシュート終了後の安定領域においてPI制御を用いた場合、温度安定性が低くなる。このような場合、安定した核酸の増幅に悪影響を与えてしまう。また、反応容器の試薬が使用不能になる可能性もある。そこで、本実施形態では、PI制御の代わりに以下のような温度制御法を用いている。
つまり、本発明の実施形態による温度制御は、温調ブロック10の温度変化量(現在周期の温度(℃)− 前回周期の温度(℃))から熱源の操作量を算出する。熱源から発生した熱は、熱源と温調ブロックの温度差が大きければ、温調ブロックに多く伝わる。逆に、熱源と温調ブロック10の温度差が小さければ熱はあまり伝わらない(熱伝導フーリエの法則)。
よって、温調ブロック10の温度変化量が大きい場合、熱源と温調ブロック10の温度差は大きく、温調ブロック10の温度変化量が小さい場合、熱源と温調ブロック10の温度差は小さいことが分かる。また、温調ブロック10の温度変化量が無い場合、熱源と温調ブロック10の温度差は無く安定していると言える。ただし、実際には放熱等による熱損失があるため、温度安定状態においても、温調ブロック10の目標温度と、温調ブロック10の目標温度を維持するために必要な熱源の温度には一定の誤差(以下「オフセット」)が発生する。本明細書においては、説明を分かりやすくするため、オフセットについては言及せず記載することがある。
以上のことから、温調ブロック10の温度が目標温度に到達するタイミングで、温調ブロック10の温度変化量を「無し」となるように熱源の操作量を制御することで、ハンチングを抑止して迅速に安定させることが可能となる(以下「温度勾配制御」という)。
(1)基本的な温度勾配制御の概念
(i)フーリエの法則から分かること
熱伝導の法則では、フーリエの法則が知られている。フーリエの法則は、以下のように表される。
J = −λ × grad T・・・(式1)
ここで、J:熱流速密度、λ:熱伝導率、grad T:温度勾配である。
フーリエの法則に従い温度制御を検討すると以下のように検討することができる。
つまり、熱源から発生した熱は、熱源と温調ブロックの温度差が大きければ、温調ブロックに多く伝わる。逆に、熱源と温調ブロック10の温度差が小さければ温調ブロック10に熱はあまり伝わらない。そして、熱源と温度センサの温度差が無ければ、温調ブロック10に熱は伝わらず、温調ブロックの温度は変化しない。
このことから、温調ブロック10の温度変化量は、熱源温度と温調ブロック10の温度勾配(ラウンドT/ラウンドr: ここで、Tは温度、rは距離を表している)が反映されたものとなることが分かる。具体的には、単位時間における温調ブロックの温度変化量をモニタしていれば、熱源温度と温調ブロックの温度勾配が、「大きい」「小さい」「無し」のいずれかであることを把握できることになる。
(ii)熱源温度と温調ブロックが目標温度に到達するタイミングについて
PI制御、PID制御が安定領域においてハンチングを起こし不安定となる原因は、熱源温度と温調ブロックが目標温度に到達するタイミングが異なることにある。
図8からも分かるように、一般的に、熱源が目標温度に到達するタイミングは、温調ブロック10が目標温度に到達するタイミングより早い。ここで、図8は、熱源と温調ブロック温度が目標温度に到達するタイミングがずれていることを示す図である。なお、図8において「熱源の目標温度」と記されているが、実際は熱源の目標温度設定はできない。つまり、実際はペルチェ14にはセンサが設けられていないので、あくまで想像上の目標の温度となる。ただし、ペルチェ14の温度を実際の制御に用いるわけではない。
図8に示されるようにタイミングのずれがあるため、PI制御やPID制御のような温調ブロック10が目標温度に達してから熱源出力量を調節する制御法を用いると、温調ブロック10が目標温度に達するころには、熱源は目標温度を上回ることになる。従って、熱源の余剰熱が温調ブロックに伝わりオーバーシュート・ハンチングが発生してしまう。
オーバーシュート・ハンチングを抑えるためには、温調ブロック10が目標温度に到達する前に、目標温度以上になっている熱源温度を目標温度に向けて下げ始め、熱源温度と温調ブロック10が目標温度に到達するタイミングを等しくすることが望ましい。
そのように温度制御すれば、熱源と温調ブロックの温度差が無くなり、熱源から温調ブロック10に熱は伝わらず、温調ブロック10の温度は目標温度から変化しない。
(iii)実際の温度変化量
本発明の実施形態では、実際の温度変化量という概念を導入する。実際の温度変化量とは、温調ブロック10の制御周期あたりの温度変化量であり、温調ブロック10の現在周期温度と前回周期温度の差である。
(iv)温度勾配制御
温度勾配制御を実現するためには、現在周期における温調ブロック温度と目標温度との偏差が小さい場合は、実際の温度変化量が小さくなるように制御し、逆に温調ブロック温度と目標温度の偏差が大きい場合は、実際の温度変化量が大きくなるように制御する必要がある。なお、実際の温度変化量が小さいからと言って、目標温度に近付いているとは限らない。目標温度には程遠いが、各周期間の温度変化量が安定している場合があるからである。
温調ブロック温度と目標温度の偏差に応じて「実際の温度変化量」を制御するには、温調ブロック温度と目標温度の偏差から目標とする温度変化量を算出し、制御周期ごとに、「実際の温度変化量」を「目標の温度変化量」に追従させるように変化させることで実現することが可能となる。
目標の温度変化量は、理想的な変化量を表している。例えば、現在周期における温調ブロック10の温度が50℃で、目標温度が70℃だとすると、50℃から70℃まで温調ブロック10の温度を変化させるための操作量を出すことになるが、実際にそれほど急激に温度が伝わらなかったり、放熱があったりするなど、理想である目標の温度変化量のようには実際の温度は変化しない。
そこで、本実施形態では、目標の温度変化量と、目標の温度変化量に対する結果である実際の温度変化量という2つの概念を導入している。例えば、1.5℃(目標の温度変化量)だけ上昇させる制御を実行しても、1.0℃(実際の温度変化量)しか上昇がないときがある。この場合、目標の温度変化量と実際の温度変化量との差分(1.5℃−1.0℃)を各周期において算出することで実際の温度変化量を目標の温度変化量に追従させるようにする。
ここで、「目標の温度変化量」とは温調ブロック温度と目標温度の偏差から算出される、温調ブロック温度が最もオーバーシュート・ハンチングしにくい制御周期あたりの温度変化量のことである。「目標の温度変化量」を求めるために「勾配係数(℃/sec)」を使用する。
勾配係数は単位時間(sec)あたりの温度変化量を計算するための係数であり、実際に温度制御を行って適切な値を定める必要がある。
図9のように、勾配係数が大き過ぎる場合、小さ過ぎる場合では、温調ブロック10の温度安定性は低下する。ここで、図9は、勾配係数と温度安定性の関係を示す図である。勾配係数は、装置の温度特性と目標温度によって決まる係数である。具体的には、実験を繰り返して、対応する装置に適する係数を求める必要がある。例えば、目標温度が50℃のときは2.5℃/sec、70℃のときは1.5℃/secというように求めるパラメータである。なお、目標温度が決まれば勾配係数は固定でも良い(もちろん可変でも良い)。
また、「目標の温度変化量」は温調ブロック温度と目標温度の偏差に応じた変化量とするため、偏差を表す「目標温度(℃)−温度センサ温度(℃)」の項を付け加える。
よって「目標の温度変化量」は、以下の計算式により求められる。
「目標の温度変化量」=(目標温度(℃)−温調ブロック温度(℃))×勾配係数(℃/sec)×単位制御周期(sec) ・・・(式2)
また、「実際の温度変化量」は、以下の計算式により求める。
「実際の温度変化量」=「現在周期の温度(℃)−前回周期の温度(℃)」・・・(式3)
そして、求めた「目標の温度変化量」と「実際の温度変化量」を比較し、以下のように制御する。
「目標の温度変化量」>「実際の温度変化量」・・・最大出力で加熱
「目標の温度変化量」≦「実際の温度変化量」・・・熱源OFF ・・・(式4)
或いは、以下の制御でも可である。
「目標の温度変化量」≧「実際の温度変化量」・・・最大出力で加熱
「目標の温度変化量」<「実際の温度変化量」・・・熱源OFF ・・・(式5)
以上のような温度制御を、勾配ON/OFF制御と呼ぶこととする。この勾配ON/OFF制御は、温度勾配制御の基本形態である。
(2)勾配ON・OFF制御の効果
この勾配ON・OFF制御は、「目標の温度変化量」を「実際の温度変化量」が下回ると最大出力で加熱し、「目標の温度変化量」を「実際の温度変化量」が上回ると熱源OFFにする。
従って、温度制御を開始してから、温調ブロック温度が目標温度を上回る前に熱源をOFFにすることが出来る。また、熱源をOFFにして、温調ブロック10の温度上昇が低下しても、低下し過ぎる前に最大出力で加熱を始めることが出来る。これらにより、温度制御の応答が非常に速い温度制御を実現することが出来る。
(3)変形例
熱源操作量は以下のように制御しても良い。
まず、「目標の温度変化量」と「実際の温度変化量」の偏差(以下、勾配偏差と呼ぶ)を求める。
「勾配偏差」=「目標の温度変化量」−「実際の温度変化量」 ・・・(式6)
次に、比例係数P、積分係数I、微分係数Dを使用して熱源操作量を計算する。
比例値=「勾配偏差」×比例係数P ・・・(式7)
積分値=「勾配偏差」×積分係数I ・・・(式8)
微分値=「現在周期の勾配偏差−前回周期の勾配偏差」×微分係数D ・・・(式9)
式7乃至9の何れかの式を用いて熱源出力量を計算する。
例えば、以下のような制御である。
熱源操作量=比例値 ・・・(式10)
熱源操作量=比例値+積分値 ・・・(式11)
熱源操作量=比例値+積分値+微分値 ・・・(式12)
式10によれば、熱源操作量は、式7による比例値を用いて求められる。応答性を重視する場合には、式10による温度制御を実行すると良い。本発明では、これを勾配P制御と言うことにする。
式11によれば、熱源操作量は、式7及び8によって得られる比例値及び積分値を加算することにより求められる。温度の安定性を重視する場合には、式11による温度制御を実行すると良い。本発明では、これを勾配PI制御と言うことにする。
さらに、式12によれば、熱源操作量は、式7乃至9によって得られる比例値、積分値、及び微分値を加算することによって求められる。本発明では、これを勾配PID制御と言うことにする。
なお、勾配係数を求めた後、比例係数P、積分係数I、微分係数Dも、調整することで温度勾配制御を実現することができる。
(4)具体的処理内容
ここでは、温度制御(PI制御を例にして)の具体的処理内容について、例を挙げながら説明する。ここでは、理解しやすさのため、目標温度やキャリブレーション温度差、オーバーシュート温度差、及び設定時間等について具体的な数値を用いて説明するが、本発明はこれらの具体的な数値に限定されるものではない。
(a)制御条件
図10は、温調ブロック10の温度制御例の概要を示す図である。図10に示されるように、当該温度制御において、反応液の目標温度(反応容器内壁温度)を70℃(加熱開始時温度:37℃)、最終的な温調ブロック10の目標温度(温調ブロック10の目標温度1)を72.3℃、目標温度1の維持時間(設定時間)を15秒、オーバーシュートにおける温調ブロック10の最大温度(温調ブロック10の目標温度2)を77.4℃とする。また、温度が安定しているとする時間を目標温度1±0.5℃で推移している時間帯と定義する。
(b)処理内容
図11は、温度制御処理の具体的内容を説明するためのフローチャートである。図12は、図11のS1111の詳細を説明するためのフローチャートである。
(b−1)温度制御処理全体
S1101において、制御部402は、設定部401から設定された反応液の目標温度(70℃)の情報を取得する。
S1102において、制御部402は、温調ブロック10の目標温度1を算出する。具体的には、反応容器(反応液)の目標温度にキャリブレーション温度差(例えば、2.25℃)を加算することによって温調ブロック10の目標温度1が算出される。なお、このキャリブレーション温度差とは、温調ブロック10と反応液(反応容器)との温度差を意味し、反応容器の温度を維持するために設定される。
S1103において、制御部402は、温調ブロック10の目標温度2を算出する。具体的には、温調ブロック10の目標温度1にオーバーシュート温度差(例えば、5.15℃)を加算することによって温調ブロック10の目標温度1が算出される。なお、このオーバーシュート温度差は、オーバーシュート温度と温調ブロック10との温度差を意味する。
S1104において、制御部402は、温調ブロック10の目標温度2を実現するための操作量(%)を算出し(例えば、図示しないメモリから操作量の設定値を読み出す)、操作部403に操作を指示する(加熱制御)。ここでは、例えば、装置の最大出力の98%で加熱するように操作部403に指示する。
S1105において、制御部402は、温調ブロック10の温度が目標温度2以上になったか判断する。目標温度2以上に達した場合には、処理はS1106に移行し、達していない場合には、加熱制御(S1104)が繰り返される。
S1106において、制御部402は、温調ブロック10の目標温度1を実現するための操作量(%)を算出し(例えば、図示しないメモリから操作量の設定値を読み出す)、操作部403に操作を指示する。S1106では、冷却制御が行われることになる。ここでは、例えば、装置の最大出力の98%で冷却するように操作部403に指示する。
S1107において、制御部402は、温調ブロック10の温度が目標温度1+α(ここでは、2.5℃)以下に下がったか判断する。目標温度2以下になった場合には、処理はS1108に移行し、目標温度2以下になっていない場合には、冷却制御(S1106)が繰り返される。ここで、α(例:2.5℃)は、目標温度2の値に達してから温度勾配制御を実行すると、下がりすぎた段階か加熱することになり、目標温度1付近で温調ブロック10の温度を安定させることが困難だからである。なお、2.5℃は単なる例であり、装置の特性(癖)や環境条件によってαの値は可変に設定することができるようになっている。
S1108において、制御部402は、設定された時間、温調ブロック温度が安定するように温度勾配制御を開始する。ここで、設定時間が15秒となっているため、S1108では15秒間のカウント開始と表現されている。従って、安定制御の時間はユーザによって可変に設定可能である。
S1109において、制御部402は、15秒間のカウント開始から1秒以内であるか否か判定する。ここで、1秒とは、15秒のカウントを開始し、温度勾配制御をして温調ブロック10の温度が安定領域に達したと思われる時間を示している。この値も装置の特性や環境条件によって異なるため、可変に設定することができるようにしても良い。1秒以内であれば(S1109でYesの場合)、処理はS1110に移行し、1秒経過している場合(S1109でNoの場合)、処理はS1111に移行する。
S1110において、制御部402は、勾配係数を補正する。具体的には、S1111で用いる勾配係数(例:0.97)に補正係数(例:0.5)を乗算する。安定領域に達する前は、S1111では、この補正された勾配係数が用いられることになる。なお、勾配係数は、前述の通り、装置の特性や目標温度によって決まる係数である。補正係数についても装置特性や環境条件によって決まる係数である。従って、ユーザによって適宜可変できるようにしても良い。
S1111において、制御部402は、温調ブロック10を目標温度1付近(±0.5以内)となるような操作量を算出し、加熱制御する。S1111の詳細については、図12を参照して後述する。
S1112において、再度、制御部402は、15秒間のカウント開始から1秒以内であるか否か判定する。1秒以内であれば(S1112でYesの場合)、処理はS1114に移行し、1秒経過している場合(S1112でNoの場合)、処理はS1113に移行する。
S1113において、制御部402は、S1111で得られた操作量を、現在の温調ブロック10の温度(現在温度)に従って補正する。例えば、現在温度が(目標温度1−0.3℃)以下の場合、制御部402は、S1111で求めた操作量×1.2を操作部403に指示する。また、現在温度が(目標温度1−0.4℃)以下の場合、制御部402は、S1111で求めた操作量×1.4を操作部403に指示する。このように、現在温度が目標温度1よりも下にあるとき(下側にばらついているとき)には、ばらつきの程度に応じて操作量を増加させている。一方、現在温度が(目標温度1+0.3℃)以上の場合、制御部402は、S1111で求めた操作量×0.8を操作部403に指示する。また、現在温度が(目標温度1+0.4℃)以下の場合、制御部402は、S1111で求めた操作量×0.6を操作部403に指示する。このように、現在温度が目標温度1よりも上にあるとき(上側にばらついているとき)には、ばらつきの程度に応じて操作量を減少させている。
S1114では、制御部402は、安定させる必要がある時間(15秒間)、温度勾配制御を実行したか判断する。15秒経過していれば、処理は終了し、経過していなければ、処理はS1109に戻る。
なお、S1112及びS1113の処理は必ずしも必要ではなく、なかったとしても動作上の問題はない。
(b−2)S1111の詳細
S1201において、制御部402は、現在(現サイクル:現制御周期)の温調ブロック10の温度(現在温度)を取得する。
S1202において、現在温度と目標温度1との偏差1(現在温度−目標温度)を算出する。
S1203において、目標温度勾配を算出する。ここで、目標温度勾配は、勾配係数×偏差1×制御周期(サイクル)で得られる値である。ここでは、勾配係数を0.97℃/s、制御周期を0.1sとする。なお、S1110で勾配係数が補正されている場合には、勾配係数として0.97×0.5が用いられることになる。
S1204において、制御部402は、現サイクルにおける温度勾配(現在温度勾配)を算出する。現在温度勾配は、現在温度−前回温度(前回サイクルにおける温調ブロック10の温度)によって算出される。
S1205において、制御部402は、S1203で求めた目標温度勾配と、S1204で求めた現在温度勾配との偏差(偏差2)を算出する。
S1206において、制御部402は、偏差2に比例係数を乗算して、比例計算量を算出する。ここで、比例係数は勾配係数×P(例:100)によって求められる値である。
S1207において、制御部402は、偏差2に積分係数を乗算した値を積算することにより積分計算量を求める。ここで積分係数は、比例係数の2乗とすることができる。なお、比例係数(P)や積分係数(I)はユーザが任意に設定できるようにしても良い。また、PやIの値は計算式で与えられるものでなくても良い。例えば、P=20、I=0.03など具体的な数値で与えても良い。
S1208において、制御部402は、操作量(装置によって付加可能な最大熱量に対する割合%)を、S1206で求めた比例計算量と、S1207で求めた積分計算量との和とする。
最終的に得られた操作熱量(熱源操作量)は、S1113で補正され、制御対象の温調ブロック10に加えられることになる。
<総括>
(i)本発明の実施形態では、まず、現周期における温調ブロックの温度と前回周期における温調ブロックの温度との差である実際の温度変化量を算出する。次に、現周期における温調ブロックの温度と温調ブロックの目標温度との偏差量と所定の勾配係数(例えば、設定値)と制御周期(例えば、設定値)から定まる目標の温度変化量と、実際の温度変化量とを比較する。そして、温度変化量の比較結果(勾配偏差)に基づいて温調ブロックに対する熱源操作量を決定する。このようにすることにより、ハンチングを起こしやすい状況において、温調ブロックの温度、ひいては反応液の温度を迅速に安定させることが可能となる。
また、温調ブロックの温度を一旦オーバーシュートさせてから目標温度に近づけて温度制御を実行するようにしても良い。温調ブロック温度をオーバーシュートさせながら上昇させると、反応液の温度の上昇をより迅速にすることができる反面、ハンチングを起こし易い状況にしてしまう。本発明の温度制御を用いれば、このようなハンチングを起こし易い状況であっても、迅速に温調ブロックの温度を安定させることが可能となる。
なお、熱源操作量決定に際し、目標温度と現周期における温調ブロックの温度との比較結果に基づいて、熱源操作量を補正し、温調ブロックの温度のハンチングを所定範囲内に収めるようにしても良い。
熱源操作量の決定については、より具体的に、温度変化量の比較結果に基づいて、熱源の最大出力で加熱か、熱源OFFかを切り替えるようにする(勾配ON・OFF制御)。或いは、温度変化量の比較結果に所定の比例係数を乗算して得られた値(比例値)を用いて熱源操作量を決定するようにしても良い(比例値制御)。或いは、比例値に、温度変化量の比較結果に所定の積分係数を乗算した値(積分値)を加算して得られた値を用いて熱源操作量を決定しても良い(積分値制御)。或いは、比例値と積分値に、現周期における温度変化量の比較結果と前回周期における温度変化量の比較結果との差分値に所定の微分係数を乗算した値(微分値)を加算して得られた値を用いて熱源操作量を決定しても良い(微分値制御)。勾配ON・OFF制御、比例値制御、積分値制御、及び微分値制御については、ユーザがGUI(図示せず)から何れの温度制御方法を用いるか選択できるようにしても良い。
(ii)本発明は、実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をシステム或は装置に提供し、そのシステム或は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
また、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータ上のメモリに書きこまれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータのCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。
さらに、実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することにより、それをシステム又は装置のハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD−RW、CD−R等の記憶媒体に格納し、使用時にそのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしても良い。
最後に、ここで述べたプロセス及び技術は本質的に如何なる特定の装置に関連することはなく、コンポーネントの如何なる相応しい組み合わせによってでも実装できることを理解する必要がある。更に、汎用目的の多様なタイプのデバイスがここで記述した教授に従って使用可能である。ここで述べた方法のステップを実行するのに、専用の装置を構築するのが有益であることが判るかもしれない。また、実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。本発明は、具体例に関連して記述したが、これらは、すべての観点に於いて限定の為ではなく説明の為である。本分野にスキルのある者には、本発明を実施するのに相応しいハードウェア、ソフトウェア、及びファームウエアの多数の組み合わせがあることが解るであろう。例えば、記述したソフトウェアは、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
さらに、上述の実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていても良い。
加えて、本技術分野の通常の知識を有する者には、本発明のその他の実装がここに開示された本発明の明細書及び実施形態の考察から明らかになる。記述された実施形態の多様な態様及び/又はコンポーネントは、データを管理する機能を有するコンピュータ化ストレージシステムに於いて、単独又は如何なる組み合わせでも使用することが出来る。明細書と具体例は典型的なものに過ぎず、本発明の範囲と精神は後続する請求範囲で示される。
1・・・核酸増幅装置
2・・・ベース
3・・・保持具
4・・・保持具ベース
10・・・温調ブロック
100・・・核酸検査装置
105・・・反応容器
401・・・設定部
402・・・制御部
403・・・操作部
404・・・制御対象
405・・・検出部

Claims (16)

  1. 標的核酸を増幅させる核酸増幅装置であって、
    検体と試薬を混合した反応液を収容する少なくとも1つの反応容器を保持する温調ブロックと、
    前記温調ブロックの温度制御のためのプログラムを格納するメモリと、
    前記プログラムを前記メモリから読み出し、前記温調ブロックの温度制御を制御周期毎に実行するプロセッサと、を有し、
    前記プロセッサは、現制御周期における前記温調ブロックの温度と前回制御周期における前記温調ブロックの温度との差である実際の温度変化量と、前記現制御周期における前記温調ブロックの目標の温度変化量との比較結果に基づいて、前記現制御周期における前記温調ブロックに対する熱源操作量を決定し、さらに、目標温度と前記現制御周期における温調ブロックの温度とを比較し、当該温度の比較結果に基づいて、前記熱源操作量を補正し、前記温調ブロックの温度のハンチングを所定範囲内に収め、
    前記プロセッサは、前記現制御周期における前記温調ブロックの目標の温度変化量を、前記現制御周期における前記温調ブロックの温度と前記温調ブロックの目標温度との偏差量と、単位時間当たりの温度変化量を計算するための係数である所定の勾配係数と、単位制御周期とを用い、以下の式に基づいて定めることを特徴とする核酸増幅装置。
    温調ブロックの目標の温度変化量=(目標温度−温調ブロック温度)×所定の勾配係数×単位制御周期
  2. 請求項1において、
    前記プロセッサは、前記熱源操作量を決定することを、前記現制御周期における前記温調ブロックの温度と前記温調ブロックの目標温度との偏差量が所定の温度範囲に到達してから実行することを特徴とする核酸増幅装置。
  3. 請求項2において、
    前記プロセッサは、前記熱源操作量を決定することを、前記温調ブロックの温度を一旦オーバーシュートさせ、前記現制御周期における前記温調ブロックの温度と前記温調ブロックの目標温度との偏差量が所定の温度範囲に到達してから実行することを特徴とする核酸増幅装置。
  4. 請求項1において、
    前記プロセッサは、前記温度変化量の比較結果に基づいて、熱源の最大出力で制御か、熱源OFFかを切り替えるように前記熱源操作量を決定することを特徴とする核酸増幅装置。
  5. 請求項1において、
    前記プロセッサは、前記温度変化量の比較結果に所定の比例係数を乗算した値を用いて前記熱源操作量を決定することを特徴とする核酸増幅装置。
  6. 請求項5において、
    前記プロセッサは、さらに、前記温度変化量の比較結果に所定の積分係数を乗算した値を用いて前記熱源操作量を決定することを特徴とする核酸増幅装置。
  7. 請求項6において、
    前記プロセッサは、さらに、現周期における温度変化量の比較結果と前回周期における温度変化量の比較結果との差分値に所定の微分係数を乗算した値を用いて前記熱源操作量を決定することを特徴とする核酸増幅装置。
  8. 請求項2において、
    前記プロセッサは、さらに、前記現制御周期における前記温調ブロックの温度と前記温調ブロックの目標温度との偏差量が所定の温度範囲に到達してからの時間に応じて、前記所定の勾配係数を補正することを特徴とする核酸増幅装置。
  9. 標的核酸を増幅させる核酸増幅装置における温度制御方法であって、
    前記核酸増幅装置は、検体と試薬を混合した反応液を収容する少なくとも1つの反応容器を保持する温調ブロックと、前記温調ブロックの温度制御のためのプログラムを格納するメモリと、前記プログラムを前記メモリから読み出し、前記温調ブロックの温度制御を制御周期毎に実行するプロセッサと、を有し、
    前記温度制御方法は、
    前記プロセッサが、現制御周期における前記温調ブロックの温度と前回制御周期における前記温調ブロックの温度との差である実際の温度変化量を算出するステップと、
    前記プロセッサが、前記現制御周期における前記温調ブロックの目標の温度変化量と比較結果に基づいて、前記現制御周期における前記温調ブロックに対する熱源操作量を決定するステップと、
    前記プロセッサが、前記目標温度と前記現制御周期における温調ブロックの温度との比較結果に基づいて、前記熱源操作量を補正するステップと、
    前記プロセッサが、前記現制御周期における前記温調ブロックの目標の温度変化量を、前記現制御周期における前記温調ブロックの温度と前記温調ブロックの目標温度との偏差量と、単位時間当たりの温度変化量を計算するための係数である所定の勾配係数と、単位制御周期とを用い、以下の式に基づいて定めるステップと、
    を有することを特徴とする温度制御方法。
    温調ブロックの目標の温度変化量=(目標温度−温調ブロック温度)×所定の勾配係数×単位制御周期
  10. 請求項9において、
    前記熱源操作量を決定するステップは、前記プロセッサが、前記現制御周期における前記温調ブロックの温度と前記温調ブロックの目標温度との偏差量が、所定の温度範囲に到達してから実行するステップを含むことを特徴とする温度制御方法。
  11. 請求項10において、さらに、
    前記熱源操作量を決定するステップは、前記プロセッサが、前記温調ブロックの温度を一旦オーバーシュートさせ、前記現制御周期における前記温調ブロックの温度と前記温調ブロックの目標温度との偏差量が所定の温度範囲に到達してから開始するステップを含むことを特徴とする温度制御方法。
  12. 請求項9において、
    前記熱源操作量を決定するステップにおいて、前記プロセッサは、前記温度変化量の比較結果に基づいて、熱源の最大出力で制御か、熱源OFFかを切り替えるように前記熱源操作量を決定することを特徴とする温度制御方法。
  13. 請求項9において、
    前記熱源操作量を決定するステップにおいて、前記プロセッサは、前記温度変化量の比較結果に所定の比例係数を乗算した値を用いて前記熱源操作量を決定することを特徴とする温度制御方法。
  14. 請求項13において、
    前記熱源操作量を決定するステップにおいて、前記プロセッサは、さらに、前記温度変化量の比較結果に所定の積分係数を乗算した値を用いて前記熱源操作量を決定することを特徴とする温度制御方法。
  15. 請求項14において、
    前記熱源操作量を決定するステップにおいて、前記プロセッサは、さらに、現制御周期における温度変化量の比較結果と前回周期における温度変化量の比較結果との差分値に所定の微分係数を乗算した値を用いて前記熱源操作量を決定することを特徴とする温度制御方法。
  16. 請求項9において、さらに、
    前記プロセッサが、前記現制御周期における前記温調ブロックの温度と前記温調ブロックの目標温度との偏差量が所定の温度範囲に到達してからの時間に応じて、前記所定の勾配係数を補正するステップを有することを特徴とする温度制御方法
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