JP2014129302A - 新規ジェミニ型化合物とその製造方法およびそれを用いたカチオン性界面活性剤、分散剤 - Google Patents

新規ジェミニ型化合物とその製造方法およびそれを用いたカチオン性界面活性剤、分散剤 Download PDF

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Abstract

【課題】低い臨界ミセル濃度、高い表面張力低下能などの優れた界面活性を併せ持ち、皮膚刺激も少なく生体への安全性を有し、優れた生分解性を有するアミン塩型の新規ジェミニ型化合物とその製造方法及びそれを用いたカチオン性界面活性剤、分散剤を提供する。
【解決手段】下記式(I):
Figure 2014129302

nは1〜22の整数、R1は炭素原子数1〜22のアルキレン基、R2は炭素原子数1〜22のアルキル基(R1‐CH‐CH‐R2部分の炭素原子数が9〜25となるように選択される)、R3はアルキル基等、R4およびR5は水素原子、メチル基、またはエチル基。Xは塩となる対アニオン。)で表されるジェミニ型化合物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ジェミニ型化合物とその製造方法およびそれを用いたカチオン性界面活性剤、分散剤に関するものである。
界面活性剤には様々な構造のものがあるが、例えば、天然原料である脂肪酸を用いた固形石鹸などのアニオン性の1鎖1親水基型界面活性剤は、良好な生分解性や安全性を示すため、一般に広く使用されている。
カチオン(陽イオン)性界面活性剤は、4級アンモニウム塩型とアミン塩型とに大別され、水溶液中において正に帯電し、殺菌性、脱臭性、吸着性の強さなどに特徴がある。需要量はアニオン性界面活性剤等の他の種類の界面活性剤と比べて少ないものの、その性質を利用して、柔軟剤、帯電防止剤、殺菌剤、ヘアーリンス基材など多種の製品に使用されている。
アミン塩型の1鎖1親水基型界面活性剤は、例えばアルキルアミンやアミドアミンを塩酸や硫酸のような無機酸、酢酸や乳酸などの低級有機酸で中和することで水溶性のアミン塩にした形が一般的であり、乳化剤、乳化破壊剤、浮遊選鉱剤、防錆剤、繊維助剤、顔料分散剤、繊維柔軟剤等に使用されている。また、アミノ酸アルキルエステル塩酸塩としての検討もなされている(非特許文献1)。
最近では、優れた界面活性を有し、界面活性剤の使用量を削減できる環境に優しい次世代の界面活性剤として、2鎖2親水基型界面活性剤(ジェミニ型界面活性剤)に期待が寄せられ、その新規界面活性剤の様々な研究開発がなされている(非特許文献2)。ジェミニ型界面活性剤は、一般に臨界ミセル濃度(cmc)が通常の1鎖1親水基型界面活性剤に比べて1/10から1/1000低く、また表面張力低下能が高いなどの優れた特徴を有することから、様々な構造のジェミニ型界面活性剤が合成されている。
例えば、特許文献1には多鎖二極性基化合物が開示され、特許文献2にはジェミニ型界面活性剤および補助両親媒性化合物を含有する界面活性剤組成物が開示されている。
また、親水基の種類が異なるもの、アルキル鎖の長さが非対称な構造を持つもの、親水基とアルキル鎖の長さがそれぞれ非対称な構造を持つ2鎖2親水基型界面活性剤も研究されている(非特許文献3)。
しかし、2鎖2親水基型界面活性剤は、その製造にあたって比較的高価な原料の使用を余儀なくされることが多く、通常、2鎖2親水基型界面活性剤の合成には、1鎖1親水基型界面活性剤同士をつなぐ連結基(スペーサー)と呼ばれる部分をその界面活性剤の主鎖に結合するための反応を行う必要があるため、工程数が増えてしまうという問題がある。
さらに、疎水基2鎖の非対称な長さを有する2鎖2親水基型界面活性剤の合成には、それぞれ鎖長の異なる疎水基を持つ1鎖1親水基型界面活性剤を2種類準備し、それらを結合させる必要があるため、より反応工程数が増えてしまうなどの問題がある。
本発明者らは、オレイン酸を原料に用いて、カルボン酸基を含む生分解性に優れたジェミニ型界面活性剤を開発した(特許文献3)。このジェミニ型界面活性剤は、原料として、工業的に入手し易く、連結基へと誘導する二重結合部位を有する不飽和脂肪酸またはそのエステルを用いることにより、容易に合成が可能で、良好な生分解性、生体への安全性を有している。
一方、カチオン性のジェミニ型界面活性剤は、主に、合成しやすさから4級アンモニウム塩型が多く、様々な構造のジェミニ型界面活性剤が合成されている。本発明者らも、オレイン酸を原料に用いて、抗菌性の高いジェミニ型界面活性剤を開発した(特許文献4)。特に4級アンモニウム塩型は抗菌性に優れる特徴を持つため、その特徴を生かした分野での応用が既になされている(特許文献5)。
特開2000−219654号公報 特表2003−509571号公報 特開2011−157354号公報 特開2012−062246号公報 特許第4152353号公報
アミノ酸系界面活性剤(第2報)アミノ酸エステル塩酸塩の界面特性、吉田良之助、竹原将博、坂本一民 油化学、第25巻 第3号(1976)141-144 R. Zana, J.Xia (Eds.), Gemini Surfactants, Synthesis, Interfacial and Solution-Phase Behavior, and Applications, Marcel Dekker, New York, 2003 E. Alami and K. Holmberg, Advances in Colloid and Interface Science 100-102 (2003) 13-46 A.R. Tehrani-Bagha and K. Holmberg , Langmuir, 26, (12) 9276-9282 (2010)
しかしながら、4級アンモニウム塩型のジェミニ型界面活性剤は、抗菌性が優れる一方で刺激性があるため、パーソナルケア等の人体に接触するような用途での使用は制限されやすく、また生分解性が低いという欠点がある。生分解性を持つカチオン性のジェミニ型も研究されているが(非特許文献4)、生分解性はあるものの優れた生分解性とは言い難く、さらにアミン塩型のジェミニ型界面活性剤についての研究はほとんどされていなかった。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、ジェミニ構造特有の低い臨界ミセル濃度、高い表面張力低下能などの優れた界面活性を併せ持ち、皮膚刺激も少ないため生体への安全性を有し、さらに優れた生分解性を有するアミン塩型の新規ジェミニ型化合物とその製造方法およびそれを用いたカチオン性界面活性剤、分散剤を提供することを課題としている。
本発明のジェミニ型化合物は、下記式(I):
Figure 2014129302
(式中、-CnH2n+1は直鎖もしくは分岐のアルキル基を示し、nは1〜22の整数を示す。R1は炭素原子数1〜22のアルキレン基を示し、R2は炭素原子数1〜22のアルキル基を示す。ただし、R1およびR2は、R1‐CH‐CH‐R2部分の炭素原子数が9〜25となるように選択される。R3は水素原子、炭素原子数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素原子数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキルチオアルキル基、炭素原子数1〜3の直鎖もしくは分岐のアルキル基にチオール基が結合したチオール含有アルキル基、フェニル基、炭素原子数1〜3で1級もしくは2級ヒドロキシ基を有するヒドロキシアルキル基、またはヒドロキシフェニル基を示し、R3が水素原子以外の場合、*は不斉炭素中心であり、D体、L体、またはD,L体混合物を示す。R4およびR5はそれぞれ独立に水素原子、メチル基、またはエチル基を示す。Xは塩となる対アニオンを示す。)で表される。
また本発明によれば、前記のジェミニ型化合物を含む、界面活性剤が提供される。
また本発明によれば、前記のジェミニ型化合物を含む、分散剤が提供される。
本発明のジェミニ型化合物の製造方法は、下記式(II):
Figure 2014129302
(式中、-CnH2n+1は直鎖もしくは分岐のアルキル基を示し、nは1〜22の整数を示す。R1は炭素原子数1〜22のアルキレン基を示し、R2は炭素原子数1〜22のアルキル基を示す。ただし、R1およびR2は、R1‐CH‐CH‐R2部分の炭素原子数が9〜25となるように選択される。)で表わされる不飽和脂肪酸アルキルエステルの二重結合を酸化剤の存在下で酸化し、次いで塩基を作用させることにより、あるいは、下記式(III):
Figure 2014129302
(式中、R1、R2は前記と同義である。)で表わされる不飽和脂肪酸の二重結合を酸化剤および酸の存在下で酸化し、次いで塩基を作用させてジヒドロキシ脂肪酸を得た後、脂肪族アルコールとのエステル合成反応を触媒の存在下で行うことにより、下式(IV):
Figure 2014129302
(式中、n、R1、R2は前記と同義である。)で表わされるジヒドロキシ脂肪酸アルキルエステルを合成する工程と、
このジヒドロキシ脂肪酸アルキルエステルと、下記式(V):
Figure 2014129302
(式中、R3は水素原子、炭素原子数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素原子数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキルチオアルキル基、炭素原子数1〜3の直鎖もしくは分岐のアルキル基にチオール基が結合したチオール含有アルキル基、フェニル基、炭素原子数1〜3で1級もしくは2級ヒドロキシ基を有するヒドロキシアルキル基、またはヒドロキシフェニル基を示し、R3が水素原子以外の場合、*は不斉炭素中心であり、D体、L体、またはD,L体混合物を示す。R4およびR5はそれぞれ独立に水素原子、メチル基、またはエチル基を示す。)で表されるアミノ酸をN-保護したN-保護体とのエステル合成反応を触媒の存在下で行い、次いで脱保護する工程とを含む。
本発明のジェミニ型化合物は、ジェミニ構造特有の低い臨界ミセル濃度、高い表面張力低下能などの優れた界面活性を併せ持ち、皮膚刺激も少ないため生体への安全性を有し、優れた生分解性を有する。さらに本発明のジェミニ型化合物は、低濃度から微粒子に吸着し優れた分散性を有する。
本発明のジェミニ型化合物の製造方法によれば、工業的に入手し易い天然由来の不飽和脂肪酸などを原料に用いて、非対称な長さを有する疎水基2鎖と、アミノ酸エステル系カチオンとを容易に導入することができるので、反応工程数が少なく容易に合成することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のジェミニ型化合物は、上記式(I)で表される。
このアミン塩型のジェミニ型化合物は、工業的に入手し易い天然由来の不飽和脂肪酸を原料に用いて、その末端のカルボキシル基に脂肪族アルコールを導入してアルキルエステル基とした炭化水素鎖と、不飽和脂肪酸由来の炭化水素鎖との2鎖疎水基を有し、かつ、原料の不飽和脂肪酸の二重結合部位がジェミニ型界面活性剤で言う連結基となり、その二重結合部分を酸化して得られたジヒドロキシ脂肪酸アルキルエステルのヒドロキシ基に、N-保護したアミノ酸を導入し、脱保護して得られる2鎖2親水基を有するカチオン性ジェミニ型の分子構造を特徴としている。
式(I)において、-CnH2n+1は直鎖または分岐のアルキル基を示し、nは1〜22の整数を示す。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基、n-ヘニコシル基、n-ドコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、2-エチルヘキシル基などが挙げられる。
これらの中でも、疎水性相互作用を確保する点、原料価格や安全性の点などを考慮すると、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基、n-オクタデシル基、n-ドコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、2-エチルヘキシル基が好ましい。
式(I)において、R1は炭素原子数1〜22のアルキレン基を示す。
アルキレン基R1としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ぺンチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基、n-オクチレン基、n-ノニレン基、n-デシレン基、n-ウンデシレン基、n-ドデシレン基、n-トリデシレン基、n-テトラデシレン基、n-ペンタデシレン基、n-ヘキサデシレン基、n-ヘプタデシレン基、n-オクタデシレン基、n-ノナデシレン基、n-イコシレン基、n-ヘンイコシレン基、n-ドコシレン基などが挙げられる。
これらの中でも、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基、n-オクチレン基、n-ノニレン基、n-デシレン基、n-ウンデシレン基、n-ドデシレン基、n-トリデシレン基、n-ペンタデシレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基、n-ノニレン基、n-デシレン基、n-ウンデシレン基がより好ましい。
式(I)において、R2は炭素原子数1〜22のアルキル基を示す。
アルキル基R2としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基、n-ヘニコシル基、n-ドコシル基などが挙げられる。
これらの中でも、疎水性相互作用を確保する点、原料価格や安全性の点などを考慮すると、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ノナデシル基が好ましい。
式(I)において、R1およびR2は、‐R1‐CH‐CH‐R2部分の炭素原子数が9〜25となるように選択される。
‐R1‐CH‐CH‐R2部分としては、例えば、-(CH2)2-CH-CH-(CH2)4CH3、-(CH2)7-CH-CH-CH3、-CH2-CH-CH-(CH2)7-CH3、-(CH2)2-CH-CH-(CH2)6CH3、-(CH2)3-CH-CH-(CH2)5CH3、-(CH2)7-CH-CH-(CH2)2CH3、-(CH2)2-CH-CH-(CH2)8CH3、-(CH2)3-CH-CH-(CH2)7CH3、-(CH2)7-CH-CH-(CH2)3CH3、-(CH24-CH-CH-(CH2)7CH3、-(CH2)7-CH-CH-(CH2)4CH3、-CH2-CH-CH-(CH2)11CH3、-(CH2)5-CH-CH-(CH2)7CH3、-(CH2)7-CH-CH-(CH2)5CH3、-(CH2)5-CH-CH-(CH2)8CH3、-(CH2)6-CH-CH-(CH2)7CH3、-(CH2)7-CH-CH-(CH2)6CH3、-CH2-CH-CH-(CH2)13CH3、-(CH2)2-CH-CH-(CH2)12CH3、-(CH2)4-CH-CH-(CH2)10CH3、-(CH2)5-CH-CH-(CH2)9CH3、-(CH2)6-CH-CH-(CH2)8CH3、-(CH2)7-CH-CH-(CH2)7CH3、-(CH2)9-CH-CH-(CH2)5CH3、-(CH2)7-CH-CH-(CH2)8CH3、-(CH2)9-CH-CH-(CH2)7CH3、-(CH2)10-CH-CH-(CH2)7CH3、-(CH2)11-CH-CH-(CH2)7CH3、-(CH2)8-CH-CH-(CH2)11CH3、-(CH2)12-CH-CH-(CH2)7CH3、-(CH2)13-CH-CH-(CH2)7CH3、-(CH2)3-CH-CH-(CH2)18CH3、-(CH2)15-CH-CH-(CH2)6CH3、-(CH2)15-CH-CH-(CH2)7CH3などが挙げられる。
これらの中でも、疎水性相互作用を確保する点、原料価格や安全性の点などを考慮すると、-CH2-CH-CH-(CH2)7-CH3、-(CH2)2-CH-CH-(CH2)6CH3、-(CH2)3-CH-CH-(CH2)5CH3、-(CH2)2-CH-CH-(CH2)8CH3、-(CH2)3-CH-CH-(CH2)7CH3、-(CH2)4-CH-CH-(CH2)7CH3、-CH2-CH-CH-(CH2)11CH3、-(CH2)5-CH-CH-(CH2)7CH3、-(CH2)7-CH-CH-(CH2)5CH3、-(CH2)5-CH-CH-(CH2)8CH3、-(CH2)6-CH-CH-(CH2)7CH3、-(CH2)7-CH-CH-(CH2)6CH3、-CH2-CH-CH-(CH2)13CH3、-(CH2)2-CH-CH-(CH2)12CH3、-(CH2)4-CH-CH-(CH2)10CH3、-(CH2)5-CH-CH-(CH2)9CH3、-(CH2)6-CH-CH-(CH2)8CH3、-(CH2)7-CH-CH-(CH2)7CH3、-(CH2)9-CH-CH-(CH2)5CH3、-(CH2)7-CH-CH-(CH2)8CH3、-(CH2)9-CH-CH-(CH2)7CH3、-(CH2)10-CH-CH-(CH2)7CH3、-(CH2)11-CH-CH-(CH2)7CH3が好ましい。
式(I)において、R3は水素原子、炭素原子数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素原子数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキルチオアルキル基、炭素原子数1〜3の直鎖もしくは分岐のアルキル基にチオール基が結合したチオール含有アルキル基、フェニル基、炭素原子数1〜3で1級もしくは2級ヒドロキシ基を有するヒドロキシアルキル基、またはヒドロキシフェニル基を示す。R3が水素原子以外の場合、*は不斉炭素中心であり、D体、L体、またはD,L体混合物を示す。
炭素原子数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。中でも、反応性および親水性の確保の観点から、メチル基が好ましい。
炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキルチオアルキル基としては、例えば、−CH2CH2-S-CH3等が挙げられる。
炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐のアルキル基にチオール基が結合したチオール含有アルキル基としては、例えば、−CH2SH等が挙げられる。
炭素原子数1〜3で1級もしくは2級ヒドロキシ基を有するヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキメチル基、n-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシエチル基、n-ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
式(I)において、R4およびR5はそれぞれ独立に水素原子、メチル基、またはエチル基を示す。中でも、R4およびR5が水素原子同士の組み合わせ、水素原子とメチル基の組み合わせ、メチル基同士の組み合わせが好ましい。
Xは塩となる対アニオンを示し、塩となる対アニオンとしては、例えば、ハロゲン化物イオン、カルボン酸イオン、水酸化物イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオンなどが挙げられる。
ハロゲン化物イオンとしては、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、フッ化物イオン、ヨウ化物イオンなどが挙げられる。
カルボン酸イオンとしては、例えば、炭素数1〜4のモノカルボン酸イオンやジカルボン酸イオン(ヒドロキシカルボン酸イオンを含む。)、ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸イオン、芳香族カルボン酸イオン等が挙げられる。具体的には、例えば、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、マレイン酸イオン、リンゴ酸イオン、コハク酸イオン、グリコール酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、1,3,4,5-テトラヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸(キナ酸)イオン、安息香酸イオン、ピロリドンカルボン酸イオンなどが挙げられる。
以上のような構成の本発明のジェミニ型化合物は、例えば、次の方法によって製造することができる。
最初に、不飽和脂肪酸と脂肪族アルコールとの反応物である上記式(II)で表わされる不飽和脂肪酸アルキルエステルの二重結合を酸化剤の存在下で酸化し、次いで塩基を作用させることにより、ヒドロキシ基を導入した上記式(IV)で表わされるジヒドロキシ脂肪酸アルキルエステルを合成する。
あるいは、最初に上記式(III)で表わされる不飽和脂肪酸の二重結合を酸化剤の存在下で酸化し、次いで塩基を作用させてジヒドロキシ脂肪酸を得た後、脂肪族アルコールとのエステル合成反応を酸触媒またはアルカリ触媒の存在下で行うことにより、上記式(IV)で表わされるジヒドロキシ脂肪酸アルキルエステルを合成することもできる。
上記式(II)で表わされる不飽和脂肪酸アルキルエステルおよび上記式(III)で表わされる不飽和脂肪酸のジヒドロキシ化反応は、例えば、次の条件で行うことができる。上記式(II)で表わされる不飽和脂肪酸アルキルエステルまたは上記式(III)で表わされる不飽和脂肪酸を、過酸化水素および蟻酸等の有機酸の存在下に、過酸化水素と有機酸とから得られる有機過酸化物と反応させて二重結合を酸化する。反応温度は35〜130℃、反応時間は2〜48時間とすることができる。次いで、炭酸ナトリウムや炭酸カリウム等の塩基を作用させることにより、ヒドロキシ基を導入する。反応温度は常温程度、反応時間は2〜48時間とすることができる。
本発明のジェミニ型化合物の原料である、上記式(II)で表わされる不飽和脂肪酸アルキルエステルは、炭素原子数10〜26の不飽和脂肪酸と炭素原子数1〜22の脂肪族アルコールとのエステル化反応、あるいは炭素原子数10〜26の不飽和脂肪酸の低級アルキルエステルと、炭素原子数1〜22の脂肪族アルコールとのエステル交換反応によって得ることができる。
前記炭素原子数10〜26の不飽和脂肪酸としては、例えば、炭素原子数10の4-デセン酸、炭素原子数11の9-ウンデセン酸、炭素原子数12のリンデル酸、トウハク酸、ラウロレイン酸等の3-ドデセン酸、4-ドデセン酸、5-ドデセン酸、炭素原子数13のcis-9-トリデセン酸、炭素原子数14のツズ酸、ミリストレイン酸等の4-テトラデセン酸、5-テトラデセン酸、9-テトラデセン酸、炭素原子数15の6-ペンタデセン酸、cis-9-ペンタデセン酸、炭素原子数16のパルミトレイン酸等のtrans-3-ヘキサデセン酸、cis-7-ヘキサデセン酸、cis-9-ヘキサデセン酸、trans-9-ヘキサデセン酸、炭素原子数17のcis-7-ヘプタデセン酸、cis-8-ヘプタデセン酸、cis-9-ヘプタデセン酸、炭素原子数18のペトロセリン酸、ペトロセエライジン酸、オレイン酸、エライジン酸、パセニン酸等のtrans-3-オクタデセン酸、cis-3-オクタデセン酸、trans-4-オクタデセン酸、cis-6-オクタデセン酸、trans-6-オクタデセン酸、cis-7-オクタデセン酸、trans-7-オクタデセン酸、cis-8-オクタデセン酸、trans-8-オクタデセン酸、cis-9-オクタデセン酸、trans-9-オクタデセン酸、cis-11-オクタデセン酸、trans-11-オクタデセン酸、炭素原子数19のcis-9-ノナデセン酸、炭素原子数20のゴンドイン酸等のcis-11-エイコセン酸、trans-11-エイコセン酸、炭素原子数21の12-ヘニコセン酸、炭素原子数22のエルカ酸、ブラシン酸等のcis-13-ドコセン酸、trans-13-ドコセン酸、炭素原子数23の10-トリコセン酸、14-トリコセン酸、炭素原子数24のセラコレイン酸等のcis-15-テトラコセン酸、trans-15-テトラコセン酸、炭素原子数25のcis-15-ペンタコセン酸、cis-17-ペンタコセン酸、炭素原子数26のcis-17-ヘキサコセン酸等の不飽和脂肪酸が挙げられる。
これらの中でも、炭素原子数12〜22の不飽和脂肪酸が好ましく、工業的な原料供給の面と原料が安価である点からオレイン酸やエルカ酸がより好ましい。
また前記炭素原子数1〜22の脂肪族アルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール、n-ヘキシルアルコール、n-ヘプチルアルコール、n-オクチルアルコール、n-ノニルアルコール、n-デシルアルコール、n-ウンデシルアルコール、n-ドデシルアルコール、n-トリデシルアルコール、n-テトラデシルアルコール、n-ペンタデシルアルコール、n-ヘキサデシルアルコール、n-ヘプタデシルアルコール、n-オクタデシルアルコール、n-ノナデシルアルコール、n-イコシルアルコール、n-ヘニコシルアルコール、n-ドコシルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、イソペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、tert-ペンチルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール等の飽和脂肪族アルコールが挙げられる。
これらの中でも、n-ブチルアルコール、n-ヘキシルアルコール、n-ヘプチルアルコール、n-オクチルアルコール、n-ノニルアルコール、n-デシルアルコール、n-ドデシルアルコール、n-テトラデシルアルコール、n-ヘキサデシルアルコール、n-オクタデシルアルコール、n-ドコシルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、2-エチルヘキシルアルコールが好ましい。
次に、上記式(IV)で表されるジヒドロキシ脂肪酸アルキルエステルと、上記式(V)で表されるアミノ酸をN-保護したN-保護体とのエステル合成反応を触媒の存在下で行い、その後、脱保護することにより、本発明のジェミニ型化合物を得ることができる。チオール基、ヒドロキシ基を有するアミノ酸を用いる場合は、チオール基、ヒドロキシ基も保護して反応に用いる。
例えば、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、ヘキサン、ヘプタンなどの有機溶媒中で、式(IV)で表されるジヒドロキシ脂肪酸アルキルエステルと、2〜5倍mol当量のN-保護したアミノ酸とを、2〜5倍mol当量の1-エチル-3(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、0.01〜2倍mol当量の4-ジメチルアミノピリジン存在下に、窒素雰囲気下、室温で12〜48時間反応させる。
次いで塩酸水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水の順で有機層の洗浄・抽出操作を行い、その後有機層を留去して粘体を得た後、脱保護する。脱保護は従来より知られている方法によってできる。例えば、N-Boc保護したアミノ酸を用いた場合は、4N 塩酸/酢酸エチル溶液を加えて室温で0.5〜6時間反応させ脱保護し、濃縮、精製することによってXが塩化物イオンである本発明のジェミニ型化合物が得られる。塩となる対アニオンXを塩化物イオンから他のアニオンにする場合には、イオン交換などの従来より知られている方法によって得ることができる。例えば、Xが塩化物イオンである化合物と、目的の化合物のアニオンに対応する無機酸もしくは有機酸とを水中または有機溶媒中でXが塩化物イオンである化合物に対して等モル量のトリエチルアミンやピリジンなど塩基と共に反応させる。反応温度と反応時間は原料の種類等にもよるが、例えば、室温下、1日程度で反応させることにより、目的の本発明のジェミニ型化合物を得ることができる。
上記式(V)で表されるアミノ酸としては、グリシン、N-メチルグリシン、N,N-ジメチルグリシンやアルキル基を側鎖に持つアミノ酸、アルキルチオアルキル基を側鎖に持つアミノ酸、チオール含有アルキル基を側鎖に持つアミノ酸、フェニル基を側鎖に持つアミノ酸、ヒドロキシアルキル基を側鎖に持つアミノ酸、ヒドロキシフェニル基を側鎖に持つアミノ酸などが挙げられる。R3が水素原子以外のアミノ酸の場合、D体、L体、またはD,L体混合物であってもよい。
アルキル基を側鎖に持つアミノ酸としては、アラニン、N-メチルアラニン、N,N-ジメチルアラニン、イソロイシン、N-メチルイソロイシン、N,N-ジメチルイソロイシン、ロイシン、N-メチルロイシン、N,N-ジメチルロイシン、バリン、N-メチルバリン、N,N-ジメチルバリンが挙げられる。
アルキルチオアルキル基を側鎖に持つアミノ酸としては、メチオニン、N-メチルメチオニン、N,N-ジメチルメチオニンが挙げられる。
チオール含有アルキル基を側鎖に持つアミノ酸としては、システイン、N-メチルシステイン、N,N-ジメチルシステインが挙げられる。
フェニル基を側鎖に持つアミノ酸としては、フェニルアラニン、N-メチルフェニルアラニン、N,N-ジメチルフェニルアラニンが挙げられる。
ヒドロキシアルキル基を側鎖に持つアミノ酸としては、セリン、N-メチルセリン、N,N-ジメチルセリン、トレオニン、N-メチルトレオニン、N,N-ジメチルトレオニンが挙げられる。
ヒドロキシフェニル基を側鎖に持つアミノ酸としては、チロシン、N-メチルチロシン、N,N-ジメチルチロシンが挙げられる。
これらの中でも工業的に入手しやすく、親水基部分であるため疎水的になりすぎず、構造が立体的に嵩高くない構造のアミノ酸が好ましく、このようなアミノ酸としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、セリン、トレオニン、システインが挙げられ、中でも親水性および反応性の観点から、式(V)においてR3がメチル基であるアラニンが好ましい。
上記式(V)で表されるアミノ酸のN-保護基としては、例えば、tert-ブトキシカルボニル基(Boc)、ベンジルオキシカルボニル基(ZまたはCbz)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル基(Troc)、アリルオキシカルボニル基(Alloc)などが挙げられる。ヒドロキシ基の保護基としては例えば、ベンジルエーテル基(Bzl)、ターシャルブチル基(t-Bu)、p-メトキシベンジルエーテル基(PMB)、メトキシメチルエーテル基(MOM)、シリルエーテル基、テトラヒドロピラニルエーテル基(THP)などが挙げられる。チオール基の保護基としては例えば、p-メトキシベンジルエーテル基(PMB)、4-メチルベンジル基、トリチル基(Trt)、アセトアミドメチル基(Acm)、ターシャルブチル基(t-Bu)などが挙げられる。これらの保護基は適宜適切に使用することができ、特に制限はない。
N-保護されたアミノ酸は、市販品を用いることができる。あるいは、入手したアミノ酸をN-保護することもできる。例えば、N-Boc保護は次のようにして行うことができる。アミノ酸をジオキサン、NaOH(2当量)水溶液に溶かし、激しく攪拌しながらBoc無水物(1.1当量)をゆっくり滴下する。反応終了後、t-ブタノールを除去するために反応溶液をある程度まで濃縮した後、溶液を酸性にして抽出し、有機層を濃縮して得られた粗結晶をエーテルで洗浄して得られたN-Bocアミノ酸を用いることができる。
本発明のジェミニ型化合物は、工業的に入手し易い天然由来の不飽和脂肪酸を原料に用いることで、末端のカルボキシル基に炭化水素鎖を容易に導入することができるので、非対称な炭化水素鎖からなる2鎖疎水基を容易に導入することができる。さらに、不飽和脂肪酸の二重結合部位がジェミニ型界面活性剤で言う連結基となり、かつその二重結合部分を酸化して得られたヒドロキシ基に親水基としてアミノ酸エステル系カチオンを容易に導入することができる。従って、本発明のジェミニ型化合物は、その製造において、反応工程数が少なく容易に合成することができるという利点を有する。
本発明のジェミニ型化合物は、ジェミニ構造特有の低い臨界ミセル濃度、高い表面張力低下能などの優れた界面活性を併せ持ち、皮膚刺激も少ないため生体への安全性を有し、優れた生分解性を有することから、界面活性剤として好適に用いることができる。本発明のジェミニ型化合物は、それ自体で界面活性剤として用いることができ、また、水で希釈して組成物を界面活性剤として用いることもできる。
本発明のジェミニ型化合物を界面活性剤として用いる場合には、本発明の効果を損なわない範囲内で、他の界面活性剤や、分散助剤、可溶化助剤などの各種添加剤を配合することができる。
他の界面活性剤としては、疎水基の種類を問わず、親水基の種類がアニオン性、カチオン性、非イオン性、両性の各種界面活性剤を用いることができる。例えば、アルキル脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、4級アンモニウム塩、ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール、ソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
本発明のジェミニ型化合物は、その界面活性能を活かし、かつ生分解性にも優れ安全性が高いことから、例えば、乳化、分散、可溶化、浸透、湿潤の目的で、乳化剤、分散剤、可溶化剤、柔軟剤、帯電防止剤、浸透・湿潤剤等として、化粧品、香粧品、一般工業品、医薬品等において広く利用することができる。例えば、化粧品用乳化剤、繊維助剤、顔料分散剤、繊維柔軟剤、毛髪用コンディショニング剤等の基材として好適である。
特に、本発明のジェミニ型化合物は、分散剤として優れている。本発明の分散剤は、分散媒に不溶の微粒子を分散媒に分散させるものであり、分散対象となる微粒子は、分散媒に不溶で分散媒に分散させることが困難な微粒子であれば特に制限はなく、例えば、シリカ微粒子、金属酸化物微粒子、金属微粒子、金属窒化物微粒子、ケイ素系の化合物からなるセラミックス微粒子、有機無機複合微粒子、樹脂微粒子、炭素原子からなる微粒子等を挙げることができる。微粒子の平均粒径は、例えば1nm〜5mmの範囲内が好ましい。
分散媒としては、分散対象となる微粒子や用途に応じて適宜決まるものであり特に制限はないが、例えば、水および/または有機溶媒が用いられる。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコールなどのアルコール類、エチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類を含む親水性溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプルピル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸ペンチル、酢酸3-メトキシブチル、酢酸2-エチルブチル、酢酸シクロヘキシル、エチレングリコールモノアセタートなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジプロピルケトン、メチルペンチルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの炭化水素類、軽油、灯油、A重油、B重油、C重油、ガソリン、ナフサなどの鉱物性油、シリコン系・フッ素系の疎水性油を含む疎水性溶媒が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して用いることもできる。
分散媒を水が含有する水系溶媒とした場合、シリカ微粒子、金属酸化物微粒子、金属窒化物微粒子、ケイ素系の化合物からなるセラミックス微粒子、有機無機複合微粒子、有機顔料等は、微粒子表面を溶液pHの調整などによりマイナスに帯電させ、その静電相互作用によって、カチオン性である本発明のジェミニ型化合物が、微粒子表面のマイナス部分に親水基を向けて単分子吸着した後に、さらにもう1分子のジェミニ型化合物が親水基を水系溶媒側に向けた密な2分子吸着層を形成するため良好に分散する。
分散媒を親水性溶媒とした場合、樹脂微粒子や炭素原子からなる表面が炭化水素系の疎水性の有機物である微粒子は、本発明のジェミニ型化合物が、疎水性の微粒子表面に疎水基を向けてジェミニ型特有の強い疎水性相互作用によって密に吸着し、親水基を親水性溶媒側に向けたヘミ・ミセル層を形成するため良好に分散する。
分散媒を疎水性有機溶媒とした場合、微粒子表面が親水性であるシリカ微粒子、金属酸化物微粒子、金属窒化物微粒子、ケイ素系の化合物からなるセラミックス微粒子、有機無機複合微粒子、有機顔料等は、本発明のジェミニ型化合物が、微粒子表面のヒドロキシ基などの親水性基との相互作用によって、微粒子表面に親水基を向け疎水基を疎水性有機溶媒側に向けて単分子吸着層を形成するため良好に分散する。
また、粒子の分散方法は任意の好適な方法、例えば撹拌、振とう、ボールミル、攪拌ビーズミル、ホモジナイザー、ロールミル、および超音波照射などによる方法が挙げられるが、特に制限はない。
本発明のジェミニ型化合物を分散剤として用いる場合には、本発明の効果を損なわない範囲内で、前記したような他の界面活性剤や、分散助剤、可溶化助剤などの各種添加剤を配合することができる。
また本発明のジェミニ型化合物を頭髪用コンディショニング剤や、微粒子の分散剤に用いる場合は、必要に応じて従来から用いられている他の添加剤を、本発明のジェミニ型化合物の特性を損なわない範囲において、頭髪用コンディショニング剤や微粒子の分散剤と共に適宜添加することができる。併用可能な添加剤としては、例えば抗菌剤、増粘剤、香料、コンディショニング剤、金属イオン封鎖剤、パール化剤、起泡剤、滑り性向上剤、平滑剤、整髪剤、保湿剤、分散安定剤、ふけとり剤、殺菌剤、清涼刺激緩和剤、防腐剤、外観調整剤等が挙げられる。
また本発明のジェミニ型化合物は、製紙工業分野における紙力の増強剤、紙質改善剤、サイズ剤、各種充填材、顔料、染料などの歩留まり向上剤、接着工業分野における接着促進剤、繊維工業分野における各種繊維の染色性改善剤、防縮剤、防燃加工剤、帯電防止剤、機械・金属加工分野における潤滑剤、防錆剤等としての利用が期待できる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下の実施例において、FT-IRはFTIR-6100((株)島津製作所製)を用いて測定した。NMRはJNM-ECP 500MHz(日本電子(株)製)を用いて測定した。元素分析はSeriesII CHNS/O Analyzer 2400(パーキンエルマー社製)を用いて行った。FAB-MSはJMS-SX102A(日本電子(株)製)を用いて測定を行った。
<実施例1>
下記式(I-1)で表わされる化合物を合成した。
Figure 2014129302
1)ジヒドロキシ化反応
cis-9-オクタデセン酸デシルエステル(30g, 0.066mol)と88%ギ酸(68.7g, 1.31mol)を反応容器に入れ攪拌を行い、40℃にて、35%過酸化水素(12.8g, 0.13mol)を滴下した。滴下終了後、40℃で24時間攪拌を行った。ギ酸層を除去し、その後水洗を2回行った後、炭酸カリウム(9.1g, 0.066mol)、メチルアルコール59mLを加え、25℃で24時間攪拌を行い、ろ過して過剰の炭酸カリウムを除いた後、メチルアルコールを除去し、メタノール/ヘキサン混合溶媒で1回、ヘキサンで1回再結晶化を行い、9,10-ジヒドロキシオクタデカン酸デシルエステル(21.4g, 0.058mol)を得た。
2)カチオン基導入反応
上記において得られた9,10-ジヒドロキシオクタデカン酸デシルエステル5.0g(0.011mol)をナスフラスコに入れ、溶媒としてジクロロメタンを加え、Boc-L-アラニン5.18g(0.0274mol)を加えた。
さらに1-エチル-3(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩5.25g(0.0274mol)、DMAP 0.27g(0.0016mol)を加え、20℃で36h攪拌を行った。反応液を分液ロートに移し、5%塩酸水溶液を用いて分液を3回行った。
その後、炭酸水素ナトリウム水溶液で分液を2回行い、さらに水で分液を1回行った。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムをろ別後、有機相をエバポレーターによって除去した。
得られた粘体に4N塩酸/酢酸エチル溶液100mlを加え、室温で4h攪拌し、反応液をエバポレーターにより濃縮して粘体を得た。これにさらにヘキサンを加えてエバポレーターによる濃縮を数回繰り返して固体を得た後、固体をヘキサン/アセトニトリル混合溶媒にて再結晶し、式(I-1)で表わされる化合物(白色固体)4.81g(0.0072mol)を収率65%で得た。
得られた白色固体を、FT-IR、1H-NMR、FAB-MSおよび元素分析で測定した結果を以下に示す。この結果から、得られた白色固体の構造と純度を確認した。
FT-IR:3398cm-1(N-H,st) 1748cm-1(C=O,st)
1H-NMR(500MHz, CD3OD):δ0.89 (t, 6H), 1.30-1.64(m, 48H), 2.30(t, 2H), 4.06(t, 2H), 4.17-4.27(m, 2H), 5.18-5.23(m, 2H), 9.10(s, 4H)
元素分析(C34H68N2O6Cl2):
実測値(%) C:60.79%, H:10.03%, N:3.79
計算値(%) C:60.78%, H:10.20%, N:4.17
FAB-MS
[M-2Cl-H]+=599.4991 (calc.599.4999)
<実施例2>
下記式(I-2)で表わされる化合物を合成した。
Figure 2014129302
1)カチオン基導入反応
上記において得られた9,10-ジヒドロキシオクタデカン酸デシルエステル5.0g(0.011mol)をナスフラスコに入れ、溶媒としてジクロロメタンを加え、Boc-D-アラニン5.18g(0.0274mol)を加えた。
さらに1-エチル-3(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩5.25g(0.0274mol)、DMAP 0.27g(0.0016mol)を加え、25℃で36h攪拌を行った。反応液を分液ロートに移し、5%塩酸水溶液を用いて分液を3回行った。
その後、炭酸水素ナトリウム水溶液で分液を2回行い、さらに水で分液を1回行った。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムをろ別後、有機相をエバポレーターによって除去した。
得られた粘体に4N塩酸/酢酸エチル溶液100mlを加え、室温で4h攪拌し、反応液をエバポレーターにより濃縮して粘体を得た。これにさらにヘキサンを加えてエバポレーターによる濃縮を数回繰り返して固体を得た後、固体をヘキサン/アセトニトリル混合溶媒にて再結晶し、式(I-2)で表わされる化合物(白色固体)4.48g(0.0067mol)を収率61%で得た。
得られた白色固体を、FT-IR、1H-NMR、FAB-MSおよび元素分析で測定した結果を以下に示す。この結果から、得られた白色固体の構造と純度を確認した。
FT-IR:3398cm-1(N-H,st) 1748cm-1(C=O,st)
1H-NMR(500MHz, CDCl3):δ0.88 (t, 6H), 1.26-1.72(m, 48H), 2.27(t, 2H), 4.06(t, 2H), 4.02-4.14(m, 2H), 5.11(m, 2H), 9.10(s, 4H)
元素分析(C34H68N2O6Cl2):
実測値(%) C:60.77%, H:10.33%, N:4.36
計算値(%) C:60.78%, H:10.20%, N:4.17
FAB-MS
[M-2Cl-H]+=599.5058 (calc.599.4999)
<比較例1>
比較例1として、1鎖1親水基型カチオン性界面活性剤である次のアミノ酸アルキルエステル塩酸塩(非特許文献1)を用いた。
Figure 2014129302
<比較例2>
比較例2として、4級アンモニウム塩型のカチオン性ジェミニ型界面活性剤である次のジェミニ型化合物(非特許文献4)を用いた。
Figure 2014129302
以上の実施例および比較例の化合物について次の試験を行った。
1.臨界ミセル濃度および臨界ミセル濃度における表面張力
実施例1、2の化合物について、表面張力計 Kruss tensiometer K100(Kruss社製)を用いて、白金プレートを用いたWilhelmy法により、25℃、各化合物濃度において表面張力の測定を行った。
得られた結果から表面張力‐濃度プロットを作成し、臨界ミセル濃度(cmc)および臨界ミセル濃度における表面張力(γcmc)を求めた。なお、比較例1、2の化合物は電気伝導度測定による臨界ミセル濃度(cmc)の文献値を用いて比較した。
2.水への溶解性試験(クラフト点)
実施例の各化合物を1wt/v%に調製した水溶液を用いて、0℃の冷蔵庫に1週間保存し、結晶析出の有無を確認した。なお、比較例1、2は文献値を用いた。
臨界ミセル濃度(cmc)、臨界ミセル濃度における表面張力(γcmc)、および水への溶解性試験(クラフト点)の結果を併せて表1に示す。
Figure 2014129302
表1より、実施例1、2の化合物は、従来の1鎖1親水基型界面活性剤である比較例1の化合物に比べて、1/400〜1/1800程度の低い臨界ミセル濃度(cmc)を示し、従来のジェミニ型界面活性剤である比較例2に比べても、1/300〜1/1500程度の低い臨界ミセル濃度を示した。また、臨界ミセル濃度における表面張力(γcmc)についても低く、高い表面張力低下能を示した。
このように本発明のジェミニ型化合物は、界面活性能に優れることから、界面活性剤として有用であり、例えば、乳化剤、乳化破壊剤、浮遊選鉱剤、防錆剤、繊維助剤、顔料分散剤、繊維柔軟剤等として使用する際に、従来の1鎖1親水基型界面活性剤に比べて使用量を低減できる。
また、水への溶解性試験では、実施例1、2の化合物は、1週間保存後も結晶は析出せず、無色透明溶液であり、クラフト点が0℃以下であることが判明した。一方、比較例1の化合物は、クラフト点が22.6℃であり、水への溶解性が低い。
このように本発明のジェミニ型化合物は、常温での水への溶解性に優れ、添加量の制限を受けにくいことから、主成分としての使用が可能となり、例えば、乳化剤、乳化破壊剤、浮遊選鉱剤、防錆剤、繊維助剤、顔料分散剤、繊維柔軟剤等として配合した場合にも、配合成分の分離や結晶析出等を起し難いので製品の保存安定性が維持できる。
3.分散力
実施例1、2の化合物は、0.01, 0.04wt/v%水溶液を、比較例1の化合物は0.01, 0.04, 0.1wt/v%水溶液をpH3.0となるように調製し、化合物水溶液25mlに対してコロイダルシリカ(日産化学社製、品番「スノーテックスOL」、平均粒径45nm、20wt%)を1.0gとなるように添加して、25℃で24時間振とうして分散を行い、状態を目視で観察し、分散良好を○、やや分散するを△、ほとんど沈澱するを×として評価した。また、上澄みのゼータ電位の測定(大塚電子(株)製、型番:ELSZ-2)を行い、分散力を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2014129302
表2より、実施例1、2の化合物は、0.04wt/v%配合することで分散性は良好であり、比較例1の0.1wt/v%よりも低濃度で良好に分散することが判明した。また、0.01wt/v%, 0.04wt/v%の濃度でのゼータ電位の値を比較すると、実施例1、2の化合物は、比較例1の化合物に比べて大きい値を示した。
一般的に、カチオン性界面活性剤による微粒子の水分散は、pH調整することで微粒子表面電荷はマイナスに帯電し、そこにプラスに帯電したカチオン性界面活性剤が静電相互作用により、カチオン性の親水基を微粒子表面に向け疎水基を水に向けて単分子吸着し、一旦ゼータ電位の電荷が0に近くなると静電反発力を失って微粒子は凝集して沈澱する。しかし界面活性剤濃度がより高いと、さらに吸着した界面活性剤の疎水性相互作用により、もう1分子の界面活性剤が徐々にカチオン性の親水基を水に向けて2分子吸着層を形成することで、微粒子間に静電斥力が働き、微粒子はプラスに帯電してゼータ電位の値が徐々にプラスとなり、吸着が飽和に達したところでゼータ電位の値は一定となり、微粒子は安定して分散する。
これを踏まえて各化合物同一濃度(0.04wt%)におけるゼータ電位から分散性を評価した時、1鎖1親水基型界面活性剤は吸着が飽和に達しておらず、やや分散する程度であったのに比べ、本発明のジェミニ型化合物は、ゼータ電位のプラスの値が高く、吸着が飽和に達しており、良好な分散性を示した。1鎖1親水基型界面活性剤は、ジェミニ型化合物に比べて高い濃度(0.1wt%)で吸着が飽和に達して分散している。つまり、本発明のジェミニ型化合物は、そのジェミニ型の構造から従来の1鎖1親水基型界面活性剤に比べ低濃度でコロイダルシリカ微粒子の分散が可能であり、このことは臨界ミセル濃度(cmc)が低いことからも示唆され、分散剤としての使用量を低減できる。
このように、本発明のジェミニ型化合物は、微粒子の分散剤として有用であり、低濃度でも高い分散作用を有する。
4.生分解性試験
実施例1、2の化合物の生分解性試験を、圧力センサー式BOD測定器(アクタック社製)を用いて、OECDテストガイドライン301C修正MITI試験に基づき、供試物質濃度:100mg/L、活性汚泥濃度:40mg/L、試験温度:25℃、試験期間:28日間の条件で行い、試験期間後の各化合物の生分解率を求めた。その結果を表3に示す。なお、比較例2の化合物は文献値を用いて比較した。
Figure 2014129302
表3より、実施例1、2の化合物はいずれも生分解率が100%であり、生分解性に欠点がある第4級アンモニウム型のジェミニ型化合物(比較例2;47% 文献値)に比べて良好な生分解性を示した。
このように本発明のジェミニ型化合物は、生分解性が高く、環境に優しい化合物であり、環境負荷の少ない安全な材料が求められる用途、例えば、乳化剤、繊維助剤、顔料分散剤、繊維柔軟剤、頭髪用コンディショニング剤等の用途に好適である。
5.皮膚刺激性試験
実施例1、2の化合物について、ヒト3次元培養表皮モデル「ラボサイト エピ・モデル」(J‐TEC社製)を用いて、皮膚刺激性試験を行った。試験は、供試物質濃度:1wt/v%水溶液、供試物質量:50μL、曝露時間:24時間、試験温度:37℃、試験条件:CO2インキュベーター(5〜10%)の条件で行った。曝露後、供試物質を取り除き、リン酸緩衝液500μLで3回洗浄後、MTT(3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-2,5- diphenyltetrazolium bromide)培地500μLを分注し、CO2インキュベーターに入れ、3時間室温で静置し、生細胞中の還元酵素がMTTと反応した際の生成物が発する青紫色に染色されたヒト表皮組織を取り出して、イソプロピルアルコール(IPA)300μLと共にマイクロチューブに入れ、2時間室温で色素の抽出を行い、得られた各IPA抽出液の吸光度(570nm)をマイクロプレートリーダーで測定し、陰性対照として精製水で同様に処理したヒト表皮組織のIPA抽出液の吸光度を生細胞率100%として、吸光度の相対値から各物質の生細胞率を求めた。生細胞率が50%より大きい場合は刺激性無、50%以下の場合は刺激性有として評価した。その結果を表4に示す。
Figure 2014129302
表4の結果より、実施例1、2の化合物は、いずれも高い生細胞率を示し、低刺激性であることが判明した。
このように本発明のジェミニ型化合物は、皮膚に対して低刺激性であることから、安全性が求められる人体との接触が避けられない、例えば化粧品用乳化剤、繊維助剤、繊維柔軟剤、頭髪用コンディショニング剤等の基材に好適である。

Claims (4)

  1. 下記式(I):
    Figure 2014129302
    (式中、-CnH2n+1は直鎖もしくは分岐のアルキル基を示し、nは1〜22の整数を示す。R1は炭素原子数1〜22のアルキレン基を示し、R2は炭素原子数1〜22のアルキル基を示す。ただし、R1およびR2は、R1‐CH‐CH‐R2部分の炭素原子数が9〜25となるように選択される。R3は水素原子、炭素原子数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素原子数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキルチオアルキル基、炭素原子数1〜3の直鎖もしくは分岐のアルキル基にチオール基が結合したチオール含有アルキル基、フェニル基、炭素原子数1〜3で1級もしくは2級ヒドロキシ基を有するヒドロキシアルキル基、またはヒドロキシフェニル基を示し、R3が水素原子以外の場合、*は不斉炭素中心であり、D体、L体、またはD,L体混合物を示す。R4およびR5はそれぞれ独立に水素原子、メチル基、またはエチル基を示す。Xは塩となる対アニオンを示す。)で表されるジェミニ型化合物。
  2. 請求項1に記載のジェミニ型化合物を含む、界面活性剤。
  3. 請求項1に記載のジェミニ型化合物を含む、分散剤。
  4. 請求項1に記載のジェミニ型化合物の製造方法であって、下記式(II):
    Figure 2014129302
    (式中、-CnH2n+1は直鎖もしくは分岐のアルキル基を示し、nは1〜22の整数を示す。R1は炭素原子数1〜22のアルキレン基を示し、R2は炭素原子数1〜22のアルキル基を示す。ただし、R1およびR2は、R1‐CH‐CH‐R2部分の炭素原子数が9〜25となるように選択される。)で表わされる不飽和脂肪酸アルキルエステルの二重結合を酸化剤の存在下で酸化し、次いで塩基を作用させることにより、あるいは、下記式(III):
    Figure 2014129302
    (式中、R1、R2は前記と同義である。)で表わされる不飽和脂肪酸の二重結合を酸化剤および酸の存在下で酸化し、次いで塩基を作用させてジヒドロキシ脂肪酸を得た後、脂肪族アルコールとのエステル合成反応を触媒の存在下で行うことにより、下式(IV):
    Figure 2014129302
    (式中、n、R1、R2は前記と同義である。)で表わされるジヒドロキシ脂肪酸アルキルエステルを合成する工程と、
    このジヒドロキシ脂肪酸アルキルエステルと、下記式(V):
    Figure 2014129302
    (式中、R3は水素原子、炭素原子数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素原子数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキルチオアルキル基、炭素原子数1〜3の直鎖もしくは分岐のアルキル基にチオール基が結合したチオール含有アルキル基、フェニル基、炭素原子数1〜3で1級もしくは2級ヒドロキシ基を有するヒドロキシアルキル基、またはヒドロキシフェニル基を示し、R3が水素原子以外の場合、*は不斉炭素中心であり、D体、L体、またはD,L体混合物を示す。R4およびR5はそれぞれ独立に水素原子、メチル基、またはエチル基を示す。)で表されるアミノ酸をN-保護したN-保護体とのエステル合成反応を触媒の存在下で行い、次いで脱保護する工程とを含む、ジェミニ型化合物の製造方法。
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