JP2014128070A - モータ制御装置及びステッピングモータの制御方法 - Google Patents

モータ制御装置及びステッピングモータの制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】モータが脱調状態になって停止した後で、それまでとは逆の回転方向に自発的に移動してしまうことを防止できるモータ制御装置を提供する。
【解決手段】モータ制御装置は、ステッピングモータを駆動させる制御を行い、ステッピングモータの脱調判定を行った後、脱調判定後処理を行う。まず、モータ制御装置は、モータを脱調判定を行った回転方向とは反対の回転方向に回転させた後、停止させる(S121,S122)。そして、脱調状態であるか否かを判定しながら、再びモータを低トルクで正回転させる(S123〜S125)。ステッピングモータが脱調していると判定されると、モータが停止される。
【選択図】図6

Description

この発明は、モータ制御装置及びステッピングモータの制御方法に関し、特に、逆起電圧を測定して脱調状態の判定を行うモータ制御装置及びステッピングモータの制御方法に関する。
ステッピングモータは、その制御が容易であることなど種々の特長を有するものであり、各種アクチュエータなどに広く用いられている。ステッピングモータは、その構造上ステータとロータとに機械的な接触がないため、長寿命である。また、ステッピングモータが励磁状態であるときには、大きな静止トルクを得られる。
ステッピングモータではいわゆる脱調状態が発生することがあり、それが問題となることがある。ステッピングモータが脱調状態になると、ロータが正常に回転せず、コントロール不能な状態に陥ることがある。脱調状態は、例えば、モータの持つ駆動トルク以上の過負荷が掛かったときや、急激な速度変化などがあったときなど、入力パルス信号とモータ回転との同期が失われて発生することがある。
ステッピングモータは、一般に、回転の角度や速度を高精度に制御する用途に使われることが多い。ステッピングモータは、制御側から発振されるパルス数によって回転位置の管理を行うため、脱調状態の検出が遅れて制御のみが進行すると、駆動対象となるギア等の位置がずれてしまうことがある。また、脱調状態の検出が遅れると、音声的なノイズが引き起こされる場合がある。したがって、ステッピングモータを用いたアクチュエータ等で適正な動作を行うために、脱調状態が発生したことを速やかに検出することが必要となる。
このようにステッピングモータが脱調状態となったときには、速やかにその状態を検出すること、及び、速やかに回転を止めたり正常な回転状態に復帰させたりするなどのエラー処理を行うことが必要である。そのため、ステッピングモータにおいては、脱調状態を検出し、その後のエラー処理を実行させるための回路やシステムが併せて用いられる場合が多い。
なお、ステッピングモータを用いた装置に関連して、次のような事項が開示されている。特許文献1には、回転位置のセンサなどを用いずにステッピングモータを駆動制御する場合において、イニシャライズ動作のときにモータに余分な駆動パルス信号を送り込まないようにする制御を行うことが記載されている。すなわち、イニシャライズ動作を実行するとき、ステッピングモータを所定の回転方向に駆動させ、非励磁相の巻線間に生じる誘起電圧と所定の基準電圧値とを比較してモータの回動状態が判定される。そして、モータがロックしていると判定されると、所定の駆動パルス信号に基づいて、所定のパルス数だけ回転方向を逆転させる制御が行われる。
特許文献2には、ステッピングモータを用いた記録装置において、モータの脱調が発生したときにモータの回転を復帰させる方法として、脱調が検出されたときに、モータを逆転させたりすることが記載されている。これは、脱調によって見失った用紙の先端位置を把握するために行われる処理である。また、逆転後に正回転させるとき、回転数を段階的に下げて回転させることで脱調しないようにすることが記載されている。
特開2007−215271号公報 特開2002−199794号公報
ところで、ステッピングモータをエンドストップのあるアクチュエータにおいて用いるとき、ある方向にモータを移動中にエンドストップに到達すると、モータ制御装置は、モータの脱調を検出する。このように脱調を検出すると、通常、モータ制御装置は、モータを停止させる制御を行う。これにより、エンドストップ位置でアクチュエータを保持できる。
しかしながら、このようにエンドストップ位置でアクチュエータを保持しようとしても、アクチュエータが、エンドストップから離れる方向に、自発的に移動してしまう場合があるという問題がある。換言すると、アクチュエータをエンドストップ位置で保持できず、アクチュエータがアンコントローラブル状態になる場合があるという問題がある。
このような問題は、例えば次のようにして発生する。すなわち、アクチュエータがエンドストップに到達して停止される直前には、モータ自身が掛けていたトルクによって、アクチュエータ内部にひずみ(反対方向に動こうとする反発力)が生じている状態となっている。このようにひずみが生じたまま、モータが停止されると、モータがこのひずみにより生じる反発力に耐えきれず、反発力が緩和する方向に回転する。そのため、アクチュエータが、エンドストップから離れる方向(反対方向)に動いてしまう。
このような問題が生じると、次のような不具合が生じる。すなわち、モータ制御装置がステッピングモータを制御するとき、目標とする位置までの移動距離を制御ステップ数として位置管理する。そのため、位置管理が狂うと、本来移動させたい目的位置からずれた位置に移動してしまうことになる。ステッピングモータを用いたアクチュエータでは通常位置センサを用いないところ、上述のようにモータ制御装置による制御が行われていない下でモータが勝手に移動すると(自発的に移動すると)、モータ制御装置ではその移動を検知できないため、ずれが修正不能となる(ずれを認識できないままとなる。)。
例えばアクチュエータが車載エアコンのフラップの駆動用途に用いられる場合において、上述の問題について説明すると、次のようである。すなわち、フラップがエンドストップに到達して停止したとき、アクチュエータが自発的に反対方向に移動してしまうと、フラップがエンドストップを押さえつける力が弱くなる。そのため、エンドストップにおいてフラップが閉状態になるように構成されている場合でも、フラップの位置がエンドストップからいわば成り行きに離れてしまうこととなり、フラップが完全に閉状態となるようには維持できなくなってしまう。また、このようにアクチュエータがエンドストップから離れると、モータの制御上でも位置管理が狂ってしまう可能性があり、以後の動作時にフラップの位置を適切に制御できなくなる可能性がある。
この発明はそのような問題点を解決するためになされたものであり、モータが脱調状態になって停止した後で、それまでとは逆の回転方向に自発的に移動してしまうことを防止できるモータ制御装置及びステッピングモータの制御方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、複数相のコイルを有するステッピングモータを駆動させるために各相のコイルの通電状態を制御するモータ制御装置は、ステッピングモータが脱調しているか否かを判定する判定手段と、判定手段によりステッピングモータが脱調していると判定されたとき、その判定が行われてから、ステッピングモータがそれまでの第1の回転方向とは逆の第2の回転方向に自発的に動く前に、ステッピングモータの受ける応力が緩和されるステップ数だけ、ステッピングモータを第2の回転方向に回転させる逆回転手段とを備える。
好ましくは、モータ制御装置は、判定手段によりステッピングモータが脱調していると判定された後に逆回転手段による第2の回転方向への回転動作が終了したとき、再度、ステッピングモータを第1の回転方向に駆動する再駆動手段をさらに備える。
好ましくは、再駆動手段は、ステッピングモータを第1の回転方向に駆動するとき、判定手段によりステッピングモータが脱調しているか否かを判定しながら、ステッピングモータを駆動する。
好ましくは、再駆動手段は、ステッピングモータを第1の回転方向に駆動するとき、前回第1の回転方向に回転していたときの平常時トルクと比較して小さいトルクでステッピングモータを駆動する。
好ましくは、再駆動手段は、ステッピングモータを第1の回転方向に駆動するとき、前回第1の回転方向に回転していたときの平常時トルクに対して50パーセント以上90パーセント以下の範囲内のトルクでステッピングモータを駆動する。
好ましくは、再駆動手段は、ステッピングモータを第1の回転方向に駆動するとき、逆回転手段による第2の回転方向への駆動量よりも少ない駆動量だけ、ステッピングモータを駆動する。
好ましくは、モータ制御装置は、ステッピングモータの温度又はそれに対応する温度の温度情報を取得する取得手段とをさらに備え、判定手段は、取得手段により取得された温度情報に応じたステッピングモータの脱調に関する判定基準に基づいて、ステッピングモータが脱調しているか否かを判定する。
この発明の他の局面に従うと、複数相のコイルを有するステッピングモータの制御方法は、ステッピングモータが脱調しているか否かを判定する判定ステップと、判定ステップによりステッピングモータが脱調していると判定されたとき、その判定が行われてから、ステッピングモータがそれまでの第1の回転方向とは逆の第2の回転方向に自発的に駆動を始める前に、ステッピングモータの受ける応力が緩和されるステップ数だけ、ステッピングモータを第2の回転方向に回転させる逆回転ステップとを備える。
これらの発明に従うと、ステッピングモータが脱調していると判定されたとき、その判定が行われてから、ステッピングモータがそれまでの第1の回転方向とは逆の第2の回転方向に自発的に動く前に、ステッピングモータの受ける応力が緩和されるステップ数だけ、ステッピングモータが第2の回転方向に回転する。したがって、モータが脱調状態になって停止した後で、それまでとは逆の回転方向に自発的に移動してしまうことを防止できるモータ制御装置及びステッピングモータの制御方法を提供することができる。
本発明の実施の形態の1つにおけるアクチュエータの構成を示すブロック図である。 ステッピングモータの回路構成を模式的に示す図である。 モータ制御装置が行うステッピングモータの駆動処理を大まかに説明するフローチャートである。 本実施の形態における脱調状態判定方法を示すフローチャートである。 基準値設定テーブルの一例を示す図である。 本実施の形態における脱調判定後処理を示すフローチャートである。 脱調判定後処理について説明する図である。
以下、本発明の実施の形態の1つにおけるモータ制御装置について説明する。
モータ制御装置は、例えば、複数相のコイルを有するステッピングモータを駆動させるためのものである。モータ制御装置は、ステッピングモータを駆動させるために各相のコイルの通電状態を制御する。本実施の形態において、モータ制御装置は、ステッピングモータのコイルに通電する駆動回路と、駆動回路の制御を行う制御回路とを有している。換言すると、モータ制御装置の一部は、制御回路を構成している。
モータ制御装置と、それにより駆動されるステッピングモータとで、アクチュエータが構成される。アクチュエータにおいて、ステッピングモータは、電源から供給される電力に基づいて、駆動回路から駆動電力が供給されることで駆動される。アクチュエータにおいて、制御回路によって駆動回路が制御されることにより、ステッピングモータの駆動が制御される。
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態の1つにおけるアクチュエータの構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、アクチュエータ1は、モータ制御装置10と、ステッピングモータ20と、図示していないがギアボックスと、これらを収納するケースとを有している。ステッピングモータ20は、例えば、A相及びB相の2相励磁で駆動される。ステッピングモータ20は、A相のコイル及びB相のコイル(図2に示す。)を有している。ステッピングモータ20は、モータ制御装置10から各相のコイルに電力が供給されて駆動される。ステッピングモータ20は、例えば、車両に搭載される空調装置用のアクチュエータとして利用される。なお、ステッピングモータ20及びアクチュエータ1の用途はこれに限られるものではない。
モータ制御装置10は、制御回路12と、駆動回路14とを有している。
駆動回路14は、モータ駆動部142と、電流センサ144とを有している。駆動回路14は、ステッピングモータ20に電力を供給し、ステッピングモータ20を駆動する。
制御回路12は、CPU(中央演算処理装置;判定手段の一例、再駆動手段の一例)122と、電流測定部124と、逆起電圧測定部(測定手段の一例)126と、温度計測部(取得手段の一例)128とを有している。制御回路12は、駆動回路14の制御を行うことで、ステッピングモータ20の駆動を制御する。本実施の形態において、制御回路12は、IC(集積回路)としてパッケージ化されている。
モータ駆動部142は、ステッピングモータ20の各相のコイルに電圧を印加するモジュールである。モータ駆動部142には、CPU122から制御信号が送られる。モータ駆動部142は、制御信号に基づいて、電圧を印加する。本実施の形態では、駆動回路14とステッピングモータ20とは、A相の正極(+)、A相の負極(−)、B相の正極(+)、B相の負極(−)の4つのラインで接続されている。モータ駆動部142は、制御信号に応じて、これらの各ラインを介して、ステッピングモータ20に電力を供給する。
電流センサ144は、ステッピングモータ20の各相のコイルに流れる電流(コイル電流)をセンシングするモジュールである。電流センサ144は、コイル電流のセンシング結果を、電流測定部124に出力する。
電流測定部124は、ステッピングモータ20のコイル電流を測定するモジュールである。電流測定部124には、電流センサ144から出力されたコイル電流のセンシング結果が入力される。電流測定部124は、入力されたセンシング結果に基づいて、コイル電流を測定する。電流測定部124は、コイル電流の測定結果を、CPU122に出力する。
逆起電圧測定部126は、ステッピングモータ20の各相のコイルに誘起される逆起電圧を測定するモジュールである。本実施の形態において、逆起電圧測定部126は、駆動回路14とステッピングモータ20とを接続する4つのラインのそれぞれに接続されている。逆起電圧測定部126は、逆起電圧の測定結果を、CPU122に出力する。
温度計測部128は、例えば、制御回路12のICの温度を測定する温度センサである。温度計測部128は、制御回路12の温度を示す温度情報をCPU122に出力する。
CPU122には、電流測定部124から出力されたコイル電流の測定結果と、逆起電圧測定部126から出力された逆起電圧の測定結果と、温度計測部128から出力された温度情報とが入力される。CPU122は、ステッピングモータ20に印加する電圧を制御するための制御信号を生成する。CPU122は、ステッピングモータ20を駆動するとき、コイル電流の測定結果に基づいて、制御信号を生成する。CPU122は、生成した制御信号を、モータ駆動部142に出力する。
図2は、ステッピングモータ20の回路構成を模式的に示す図である。
図2に示されるように、ステッピングモータ20は、2つのコイル21a,21bと、ロータ22と、複数のステータヨーク(図示せず)とを有している。
コイル21a,21bは、それぞれ、ステータヨークを励磁するコイルである。コイル21a,21bは、それぞれ、駆動回路14に接続されている。コイル21aは、A相のコイルである。コイル21bは、B相のコイルである。コイル21a,21bには、それぞれ異なる位相のコイル電流が流される。
ロータ22は、円周方向に沿って、S極22sとN極22nとが交互に反転するように多極着磁された永久磁石を備える。なお、図2においては、ロータ22は、S極22sとN極22nとが1つずつ設けられているように簡略化されて示されている。ステータヨークは、ロータ22の周囲に、ロータ22の外周部に接近して配置されている。ロータ22は、コイル21a,21bのそれぞれに流れるコイル電流の位相が周期的に切り替えられることで回転する。
本実施の形態において、ステッピングモータ20が駆動されるとき、CPU122及びモータ駆動部142は、コイル21a,21bのそれぞれに、パルス幅変調されたパルス電圧を印加する。
ステッピングモータ20は、以下のようにして駆動される。すなわち、コイル21aには、所定の周期でコイル電流Iaの極性(すなわち、コイル電流Iaの方向)が変わるように、パルス電圧が印加される(コイル電圧Va)。他方、コイル21bには、コイル21aと同一の周期で、パルス電圧が印加される(コイル電圧Vb)。コイル21bには、コイル電流Iaに対して所定の位相だけ遅れてコイル電流Ibの極性(すなわち、コイル電流Ibの方向)が変わるように、パルス電圧が印加される。
コイル21a,21bにそれぞれコイル電流Ia,Ibが流れると、コイル電流Ia,Ibの極性に応じて、コイル21a,21bのステータヨークが励磁される。これにより、ロータ22が所定のステップ単位で回転する。
ここで、モータ制御装置10は、次に説明するように、ステッピングモータ20の駆動処理を行う。駆動処理は、大まかに、脱調判定処理と、脱調判定後処理とを含む。
図3は、モータ制御装置10が行うステッピングモータ20の駆動処理を大まかに説明するフローチャートである。
図3を参照して、ステップS101において、モータ制御装置10では、後述のような脱調状態判定方法により、ステッピングモータ20で脱調が発生したか否か(脱調状態であるか否か)を判定する処理(脱調判定処理)が行われる。この脱調判定処理は、制御回路12の各部を用いてCPU122が処理を行うことで実現されている。脱調判定処理は後述のようにしてステッピングモータ20で脱調が発生したと判定されたときに終了し、その後、ステップS102の処理が行われる。
ステップS102において、脱調判定後処理が行われる。本実施の形態において、脱調判定後処理では、脱調判定後にそのままステッピングモータ20を停止させるのではなく、所定の処理を行う。これにより、脱調判定後に自発的に(意図せず)アクチュエータ1が動くことを防止できる。ステップS102が終了すると、脱調発生時の一連の動作が終了する。
まず、脱調判定処理について説明する。
ステッピングモータ20の脱調が発生したか否かの判定は、CPU122がステッピングモータ20を駆動させる駆動処理を行っているときに行われる。駆動処理は、ステッピングモータ20の駆動を開始してから停止するまで、繰り返される。判定は、逆起電圧測定部126により測定された逆起電圧、及び温度計測部128により取得された温度情報に応じて行われる。判定は、後述のようにして設定された脱調判定基準値(判定基準の一例)に基づいて行われる。
CPU122が行う脱調状態判定方法(脱調判定処理)の流れは、大まかに、次のようである。
図4は、本実施の形態における脱調状態判定方法を示すフローチャートである。
図4に示されるように、脱調判定処理がスタートすると、ステップS111において、CPU122は、温度計測部128による温度計測を行う。これにより、温度情報が取得される。
ステップS112において、CPU122は、取得した温度情報に基づいて、脱調判定基準値の選択及び設定を行う。
ステップS113において、CPU122は、逆起電圧測定部126により、逆起電圧を測定する。
ステップS114において、CPU122は、ステッピングモータ20が脱調状態であるか否かを判定する。脱調状態だと判定されなければ、CPU122は、逆起電圧の測定と、脱調状態であるか否かの判定とを繰り返す(S113,S114)。
ステップS114において脱調状態であると判定されると、ステップS115において、CPU122は、ステッピングモータ20を停止させる処理を行う。ステッピングモータ20を停止させると、ステッピングモータ20の脱調判定処理は終了する。その後、後述する脱調判定後処理が行われる。
ここで、上述のステップS113の処理において、逆起電圧は、次のようにして測定される。CPU122は、A相及びB相のうちいずれか1つの相のコイル21a,21bに流れるコイル電流Ia,Ibの向きが切り替わる際に、一時的に、そのコイル21a,21bへのパルス電圧の印加を停止させる(停止期間)。そして、逆起電圧測定部126は、このような停止期間中に、パルス電圧の印加が停止されている相のコイル21a,21bに誘起される逆起電圧を、個別に(相毎に、又はコイル毎に)測定する。
すなわち、コイル電流Iaの極性が変わるときには、コイル電流Iaがゼロになるように、コイル21aへのパルス電圧の印加が停止される。この停止期間においては、コイル21aに逆起電圧が誘起される。また、コイル電流Ibの極性が変わるときには、コイル電流Ibがゼロになるように、コイル21bへのパルス電圧の印加が停止される。この停止期間においては、コイル21bに逆起電圧が誘起される。逆起電圧測定部126は、これらの逆起電圧を測定する。
より具体的には、ステッピングモータ20の駆動時において、CPU122の制御により、コイル21a,21bにパルス電圧が印加される(PWM制御)。これにより、コイル21a,21bにそれぞれコイル電流Ia,Ibが流れる。
PWM制御が行われると、その後、通電停止処理及び定電圧制御が実行される。例えばコイル21aの通電停止処理が行われる場合には、所定の停止期間だけコイル21aへのパルス電圧の印加が停止される。これにより、コイル電流Iaがゼロになる。停止期間は、CPU122により任意に設定される。例えば、CPU122は、予め決められた停止期間を設定してもよいし、アクチュエータ1の外部から停止期間の設定を受け付けてもよい。このような停止期間中に、逆起電圧測定部126は、コイル21aに誘起される逆起電圧を測定する。測定結果は、CPU122に供給される。
なお、本実施の形態において、このようにコイル21aについて通電停止処理が行われる場合、CPU122は、定電圧制御として、その停止期間中においてコイル21bのコイル電圧Vbを固定電圧に設定する。すなわち、CPU122は、停止期間中に、逆起電圧を測定するコイル以外のすべてのコイルを固定電圧に設定する。固定電圧の電圧レベルは、直前のコイル電圧と同じ電圧レベル(例えば、電源電圧レベル又はグラウンド(GND)レベルなど)であってもよいし、所定の基準電圧レベルであってもよい。これにより、例えばコイル21aについて通電停止処理が行われる場合には、コイル21bのコイル電圧Vbが一定(本実施の形態では、例えば、電源電圧レベル)になる。
固定電圧の電圧レベルが電源電圧レベルであるとき、コイル21aについて通電停止処理が行われる場合におけるコイル21bのコイル電流Ibは、上述のPWM制御が行われている期間におけるコイル電流Ibに比べて多少上昇する。停止期間中のコイル電圧Vbは一定であるので、コイル電圧Vbの印加に伴うノイズは発生しない。その結果、停止期間中のコイル21aのコイル電圧Vaにはノイズが重畳されない。すなわち、停止期間中のコイル電圧Vaを測定することにより、コイル21aに誘起される逆起電圧が正確に測定される。これにより、脱調状態の誤検出を防ぐことができる。
上述のようにして逆起電圧が計測されると、CPU122は、逆起電圧が、所定の脱調判定基準、すなわちステップS112で設定された脱調判定基準値を充足するか否かを判定する(上述のステップS114)。換言すると、CPU122は、得られた逆起電圧の値と、脱調判定基準値とを比較する。比較結果に応じて、ステッピングモータ20で脱調が発生したか否かが判定可能である。例えば、CPU122は、測定された逆起電圧の値が脱調判定基準値に達しているとき、ステッピングモータ20で脱調が発生していると判定する。
次に、温度情報に基づく脱調判定基準の設定について説明する。
本実施の形態では、脱調状態であるか否かの判定が行われるまでに、予め、温度情報に基づく脱調判定基準値の設定が行われる(上述のステップS111,S112)。そして、予め設定された脱調判定基準値に基づいて、脱調状態であるか否かの判定が行われる。
ステッピングモータ20の逆起電圧には、ステッピングモータ20の温度に対する依存性があることがわかってきた。そこで、ステッピングモータ20の温度の温度情報や、ステッピングモータ20の温度に対応するモータ制御装置10の温度の温度情報を用いて、脱調判定基準値の設定が行われる。モータ制御装置10は、それ自体ステッピングモータ20と同環境に置かれることが多く、また、ステッピングモータ20の動作に応じた動作を行う。そのため、モータ制御装置10の温度は、ステッピングモータ20の温度に対応するものとなる。このような温度情報を用いて脱調判定基準値の設定が行われることにより、より正確に脱調状態の判定ができるようになる。
本実施の形態において、より具体的には、温度計測部128は、制御回路12の温度、すなわちICの内部温度を温度情報として取得する。ここで、制御回路12は、ステッピングモータ20と略同じ環境下に置かれることが多いものである。また、制御回路12は、ステッピングモータ20の動作に伴い、動作するものである。そのため、ICの内部温度は、ステッピングモータ20の置かれた環境(周囲の温度等の状況)や、ステッピングモータ20の負荷状況に略相関する。したがって、ICの内部温度の温度情報を活用して、温度に応じた脱調判定基準値が選択されることで、より正確にステッピングモータ20の脱調状態の判定ができるようになる。
温度計測部128により温度情報が取得されると、CPU122は、その温度情報に応じて脱調判定基準値を設定する。このとき、CPU122は、温度計測部128により取得された温度情報が示す温度が、予め設定された3つの温度範囲(3ランクの温度範囲)のうちいずれの温度範囲に属するかを判断する。そして、CPU122は、3つの温度範囲のうち、属すると判断された温度範囲に対して予め対応付けられている基準値(閾値)を、脱調判定基準値として設定する。各温度範囲と基準値との対応関係は、例えば、予め、基準値設定テーブルとして設定されている。基準値設定テーブルは、例えば、制御回路12内に設けられた記憶部(メモリ;図示せず)に記憶されている。なお、対応関係は、このような基準値設定テーブルにより定められていなくてもよい。
本実施の形態においては、3つの温度範囲として、例えば、セ氏5度以下である第1の範囲、セ氏5度より大きくセ氏75度未満である第2の範囲、及びセ氏75度以上の第3の範囲の3つが設定されている。そして、第1の範囲、第2の範囲、第3の範囲のそれぞれについて、脱調判定基準値として設定するべき基準値V1,V2,V3が対応付けられている。
CPU122は、温度計測部128により取得された温度情報が示す温度が、3つの温度範囲(第1の範囲〜第3の範囲)のいずれに属するかを判断する。そして、CPU122は、属すると判断した範囲について対応付けられている基準値を選択し、脱調判定基準値として設定する。
例えば、温度計測部128により取得された温度情報が示す温度がセ氏50度である場合を想定する。このとき、温度は、第2の範囲に属する。したがって、第2の範囲に対応付けられている基準値V2が、脱調判定基準値として設定される。CPU122は、設定された脱調判定基準値V2と逆起電圧の値とを比較し、ステッピングモータ20で脱調が発生したか否かを判定する。
同様に、温度計測部128により取得された温度情報が示す温度が例えばセ氏0度であるときには、脱調判定基準値として基準値V1が選択される。また、温度が例えばセ氏100度であるときには、脱調判定基準値として基準値V3が選択される。これにより、ステッピングモータ20の温度に対応する脱調判定基準値に基づいて、ステッピングモータ20で脱調が発生したか否かが判定される。
なお、温度範囲としては、例えば、高温側と低温側との、少なくとも2つに分かれていればよいし、3つより多く分かれていてもよい。温度範囲は、例えば、セ氏5度以下、セ氏5度〜セ氏45度、セ氏45度〜セ氏60度、セ氏60度〜セ氏75度、及びセ氏75度以上のように、5段階に分かれていてもよいし、7段階などに分かれていてもよい。
本実施の形態においては、以上のように、ステッピングモータ20の温度に対応する温度を計測し、計測して得た温度に応じて、脱調判定基準値が設定される。そして、設定された脱調判定基準値と、別途計測した逆起電圧を比較することで、脱調状態が判定される。ステッピングモータ20の逆起電圧には温度に対する依存性があるが、モータ制御装置10においては、ステッピングモータ20の温度に応じて、そのとき検出される逆起電圧の基準となる脱調状態判定基準値を変化させたうえで、脱調状態の判定を行うことができる。したがって、ステッピングモータ20が比較的高温である状態や低温である状態においても、高精度で、ステッピングモータ20で脱調が発生したことを判定することができる。
脱調判定基準値は、温度情報が示す温度が属する温度範囲について予め対応付けられている基準値を選択することにより設定される。したがって、比較的単純な処理により、脱調判定基準値の設定を行うことができる。
また、本実施の形態においては、制御回路12内に設けられている温度計測部128を用いて測定した温度を用いて、脱調判定基準値の設定が行われる。このようにモータ制御用の制御回路12の内部に従来用いられている「IC内部温度を計測する機能」を利用することにより、モータ制御装置10の部品点数を少なくすることができる。したがって、モータ制御装置10の製造コストを低く抑えることができる。また、モータ制御装置10を小型化することができ、モータ制御装置10の設置に必要なスペースを小さくすることができる。IC内部温度は、ステッピングモータ20の置かれた環境(周囲の温度)やステッピングモータ20の負荷状況に略相関するものである。このIC内部温度の温度情報を活用して、温度に応じた脱調判定基準値を設定するので、より正確に、脱調状態の判定ができるようになる。
温度の計測は、制御回路12内に設けられている温度計測部128を用いて行われるものに限られない。例えば、別の温度センサを用いて、ステッピングモータ20の温度やモータ制御装置10の温度や、その温度に対応する温度を計測するようにしてもよい。
ここで、温度範囲に対応付けられている基準値は、上述のように1つでもよいし、2つより多くてもよい。例えば、複数の基準値を用いて脱調判定基準を設定するようなときには、それぞれの基準値が基準値設定テーブルにより求められるようにすればよい。
図5は、基準値設定テーブルの一例を示す図である。
図5においても、セ氏5度以下である第1の範囲、セ氏5度より大きくセ氏75度未満である第2の範囲、及びセ氏75度以上の第3の範囲の3つの温度範囲が設定されている。それぞれの温度範囲について、3つの基準値(閾値Va,Vb,Vc)が設定されている。
ここで、閾値Va,Vb,Vcは、例えば、それぞれ次のようなものである。すなわち、閾値Vaは、測定された逆起電圧の値と比較されるものである。また、閾値Vbは、連続する前後の測定機会における逆起電圧の変動値の絶対値と比較されるものである。閾値Vcは、逆起電圧の変動値が連続して所定の条件を満たす変動を行う期間における、逆起電圧の変動値の絶対値の差分と比較されるものである。
脱調判定基準は、これらの閾値Va,Vb,Vcを用いて設定される。すなわち、例えば、特開2009−261045号公報で公知であるように、測定された逆起電圧の値が閾値Vaに対して所定の条件を満たすこと、逆起電圧の変動値の絶対値が閾値Vbに対して所定の条件を満たすこと、及び逆起電圧の変動値の絶対値の差分が閾値Vcに対して所定の条件を満たすこと、などを含む複数の条件のうち、いずれか1つが充足されるとき、脱調判定基準が満たされたと判断されるようにしてもよい。また、これらを含む複数の条件のうち、2つ以上の所定数の条件が充足されたり、特定の2つ以上の条件がそろって充足されたりしたとき、脱調判定基準が満たされたと判断されるようにしてもよい。
図5に示される例において、基準値設定テーブルには、第1の範囲について、3つの閾値Va,Vb,Vcとして、それぞれ、閾値Va1、閾値Vb1及び閾値Vc1が対応付けられている。また、第2の範囲について、閾値Va2、閾値Vb2及び閾値Vc2が対応付けられている。第3の範囲について、閾値Va3、閾値Vb3及び閾値Vc3が対応付けられている。CPU122は、温度計測部128により取得された温度情報が示す温度が属すると判断した温度範囲について対応付けられている閾値Va,Vb,Vcをそれぞれ選択し、脱調判定基準を設定する。これにより、比較的複雑な脱調判定基準を採用して脱調状態の判定を行う場合であっても、計測した温度に応じて、脱調判定基準を適切に変更可能である。基準値設定テーブルを用いることにより、比較的単純な処理で脱調判定基準を設定することができる。
また、CPU122は、上述のような温度範囲に対応付けられた基準値を選択する方法に限られず、種々の方法により、脱調判定基準を設定するように構成されていればよい。例えば、CPU122は、温度をパラメータとした計算式を用いて、脱調判定基準値を求めるように構成されていてもよい。
例えば、次式のように、脱調状定基準値Vを、IC内部温度tをパラメータとした関数F(t)で表し、この関数F(t)を用いて脱調判定基準値Vを求めるようにすればよい。
V=F(t)
具体的には、例えば、次式のように表される数式を用いて、脱調判定基準値Vを求めることができる。
V=a*t^2(tの2乗)+b*t+c (a,b,cは定数)
なお、上式は一例であり、関数F(t)は、2次より高い次数の高次関数として表現するようにしてもよい。
このように逆起電圧の温度依存性に応じた計算式を用いて脱調判定基準値を設定するようにすることにより、より温度の変化に適合した脱調判定基準値を設定することができる。したがって、ステッピングモータ20で脱調が発生しているか否かをより精度良く判定することができる。したがって、脱調状態であるか否か、より確実に判定できるようになる。
次に、脱調判定後処理について説明する。
本実施の形態において、脱調判定後処理が行われることにより、例えばアクチュエータがエンドストップに到達してステッピングモータ20の脱調が発生したとき、アクチュエータを即座に反対方向(エンドステップから離れる方向)に移動させた後でステッピングモータ20を停止させることで、モータが自発的に動いてしまうことを防止できる。
図6は、本実施の形態における脱調判定後処理を示すフローチャートである。
図6に示されるように、脱調判定後処理がスタートすると、ステップS121から処理が行われる。すなわち、CPU122によりステッピングモータ20が脱調していると判定されたとき、いったんステッピングモータ20が停止された後で(ステップS115)、ステップS121から処理が行われる。
ステップS121において、CPU122は、ステッピングモータ20をそれまでの回転方向(正回転の回転方向;第1の回転方向)とは逆の回転方向(第2の回転方向)に回転させる(逆回転させる)制御を開始する。
ステップS122において、CPU122は、ステッピングモータ20を停止させる。
ステップS123において、CPU122は、ステッピングモータ20を再度正回転させる制御を開始する。
このように再度正回転させる制御は、ステッピングモータ20が脱調しているか否かを判定しながら行われる。脱調状態の判定は、例えば、上述と同様にして行われればよい。すなわち、ステップS124において、CPU122は、逆起電圧測定部126により、逆起電圧を測定する。
ステップS125において、CPU122は、ステッピングモータ20が脱調状態であるか否かを判定する。脱調状態だと判定されなければ、CPU122は、逆起電圧の測定と、脱調状態であるか否かの判定とを繰り返す(S124,S125)。なお、このとき再度正回転させるステップ数は、逆回転時のステップ数よりも小さくなる範囲内に納まるようにしてもよい。これにより、アクチュエータが強いひずみを伴いながら再度エンドストップに到達することを防止できる。
ステップS125において脱調状態であると判定されると、ステップS126において、CPU122は、ステッピングモータ20を停止させる処理を行う。ステッピングモータ20を停止させると、脱調判定後処理は終了する。すなわち、ステッピングモータ20の駆動処理は終了する。
図7は、脱調判定後処理について説明する図である。
図7を参照して、上述の脱調判定後処理のステッピングモータ20の動作について説明する。例えばアクチュエータのイニシャルムーブ時の動作を想定する。まず、ステッピングモータ20が所定の回転方向に回転しているとき(ステップS11)、アクチュエータ1のエンドストップに到達すると、そこで脱調が検出される。そうすると、いったんステッピングモータ20が停止された後、ステッピングモータ20が逆回転する(リバース;ステップS12)。その後、ステッピングモータ20が停止される。次に、ステッピングモータ20が再度正回転する(フォワード;ステップS13)。そして、ステッピングモータ20の脱調が検出されると、ステッピングモータ20が停止される。
なお、上述のステップS121においてステッピングモータ20を逆回転させる処理は(図7においてステップS11からステップS12)、脱調状態であるとの判定が行われてから、ステッピングモータ20がそれまでの正回転の回転方向とは逆の回転方向に自発的に動く前に、開始される。すなわち、アクチュエータ1がエンドストップに到達して、脱調が検出されることでモータが停止された状態では、ステッピングモータ20のトルクによって、アクチュエータ1に内部ひずみ(反対方向に動こうとする反発力)が生じている。このひずみがステッピングモータ20に応力として伝達され、ステッピングモータ20が停止してからこの応力に耐えきれずに自発的に反対方向に動き出してしまう結果、アクチュエータ1が自発的に反対方向に動き出してしまうことがある。このようにアクチュエータ1(ステッピングモータ20)が自発的に動き出すまでの時間は、温度によって差異はあるものの、脱調と判定されてから4msec以上300msec以下の程度であることがわかった。そのため、ステップS121の処理は、脱調状態であるとの判定後、遅くとも300msec以内にモータを逆回転させればよい。これにより、アクチュエータ1の内部ひずみを、自発的に動き出す前に解放できる。
また、上述のステップS121からステップS122の処理では、CPU122は、アクチュエータ1の内部ひずみが開放されるステップ数だけ、ステッピングモータ20を逆回転させてから、ステッピングモータ20を停止させる。このステップ数は、適宜設定すればよい。例えば、ステッピングモータ20のアウトプットシャフトが0.5度以上3度以内の範囲で回転するのに相当するステップ数分だけ逆回転させるようにすればよい。
なお、アクチュエータ1の内部ひずみとしては、アクチュエータ1の構成に応じて、適宜考慮に入れる部材を設定すればよい。例えば、アクチュエータ1のアウトプットシャフトのひずみに限られず、歯車などの他の機構部品のひずみなども考慮に入れたうえで、内部ひずみが開放されるようにステップ数を設定してもよい。
ここで、上述のステップS123において再度ステッピングモータ20を正回転させる処理は(図7においてステップS13)、前回正回転していたとき(図7においてステップS11で示されるとき)のトルク(平常時トルク)に対して、50パーセント以上90パーセント以下の範囲のトルクで、ステッピングモータ20が駆動されるようにすると効果的である。このように低めのトルクで駆動することで、その後脱調が検出されてステッピングモータ20が停止したとき、トルクが弱い分、アクチュエータ1の内部ひずみが小さくなる。したがって、再度停止した後で自発的な逆方向への移動が発生することを防止でき、引き続き、アクチュエータ1の制御を適切に行うことができる。
[その他]
なお、脱調判定後処理について、上述のようにいったん逆回転させた後で再度正回転させる場合には、脱調状態であるか否かの判定を行わず、再度正回転させるステップ数(駆動量)が、逆回転時のステップ数よりも小さくなる範囲内に納まるようにすればよい。例えば、逆回転方向に30ステップ分だけ移動させた場合には、その後、正回転方向に10ステップ分だけ移動させるようにすればよい。このように制御を行うことで、再度エンドストップに強いひずみを伴いながら到達しないような位置まで、脱調が生じないようにしつつ、確実に移動させることができる。
逆起電圧の測定は、各相のコイルの制御電流の停止中において、他のコイルを固定電圧に設定して行われるが、これに限られるものではない。当該他のコイルについては固定電圧に設定するか否かにかかわらず、ある相のコイルの制御電流の停止期間において、そのコイルについての逆起電圧を測定するようにすればよい。また、逆起電圧は、種々のタイミングで適宜測定するようにすればよい。
制御回路の一部分のみが集積回路として構成されていてもよい。また、モータ制御装置のうち、制御回路とは異なる部分の一部が集積回路として構成されていてもよい。モータ制御装置の全部が集積回路として構成されていてもよい。
ステッピングモータは2相のものに限られない。例えば、ステッピングモータは、5相のものであってもよい。
ステッピングモータやモータ制御装置など、アクチュエータのハードウェア構成は上述に限られるものではない。モータ制御装置により上記のような脱調判定処理や脱調判定後処理が行われるように、アクチュエータの構成は適宜変更可能である。
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアによって行っても、ハードウェア回路を用いて行ってもよい。
上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザに提供することにしてもよい。プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。上記のフローチャートで文章で説明された処理は、そのプログラムに従ってCPUなどにより実行される。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 アクチュエータ
10 モータ制御装置
12 制御回路
14 駆動回路
20 ステッピングモータ
21a,21b コイル
22 ロータ
22n N極
22s S極
122 CPU(中央演算処理装置;判定手段の一例、再駆動手段の一例)
124 電流測定部
126 逆起電圧測定部(測定手段の一例)
128 温度計測部(取得手段の一例)
142 モータ駆動部
144 電流センサ

Claims (8)

  1. 複数相のコイルを有するステッピングモータを駆動させるために各相のコイルの通電状態を制御するモータ制御装置であって、
    前記ステッピングモータが脱調しているか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段により前記ステッピングモータが脱調していると判定されたとき、その判定が行われてから、前記ステッピングモータがそれまでの第1の回転方向とは逆の第2の回転方向に自発的に動く前に、前記ステッピングモータの受ける応力が緩和されるステップ数だけ、前記ステッピングモータを前記第2の回転方向に回転させる逆回転手段とを備える、モータ制御装置。
  2. 前記判定手段により前記ステッピングモータが脱調していると判定された後に前記逆回転手段による前記第2の回転方向への回転動作が終了したとき、再度、前記ステッピングモータを前記第1の回転方向に駆動する再駆動手段をさらに備える、請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記再駆動手段は、前記ステッピングモータを前記第1の回転方向に駆動するとき、前記判定手段により前記ステッピングモータが脱調しているか否かを判定しながら、前記ステッピングモータを駆動する、請求項2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記再駆動手段は、前記ステッピングモータを前記第1の回転方向に駆動するとき、前回前記第1の回転方向に回転していたときの平常時トルクと比較して小さいトルクで前記ステッピングモータを駆動する、請求項2又は3に記載のモータ制御装置。
  5. 前記再駆動手段は、前記ステッピングモータを前記第1の回転方向に駆動するとき、前回前記第1の回転方向に回転していたときの平常時トルクに対して50パーセント以上90パーセント以下の範囲内のトルクで前記ステッピングモータを駆動する、請求項2から4のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  6. 前記再駆動手段は、前記ステッピングモータを前記第1の回転方向に駆動するとき、前記逆回転手段による前記第2の回転方向への駆動量よりも少ない駆動量だけ、前記ステッピングモータを駆動する、請求項2から5のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  7. 前記ステッピングモータの温度又はそれに対応する温度の温度情報を取得する取得手段とをさらに備え、
    前記判定手段は、前記取得手段により取得された温度情報に応じた前記ステッピングモータの脱調に関する判定基準に基づいて、前記ステッピングモータが脱調しているか否かを判定する、請求項1から6のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  8. 複数相のコイルを有するステッピングモータの制御方法であって、
    前記ステッピングモータが脱調しているか否かを判定する判定ステップと、
    前記判定ステップにより前記ステッピングモータが脱調していると判定されたとき、その判定が行われてから、前記ステッピングモータがそれまでの第1の回転方向とは逆の第2の回転方向に自発的に駆動を始める前に、前記ステッピングモータの受ける応力が緩和されるステップ数だけ、前記ステッピングモータを前記第2の回転方向に回転させる逆回転ステップとを備える、ステッピングモータの制御方法。
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