JP2009213344A - モータドライバ回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】駆動電流の減衰率を詳細に設定可能なモータドライバ回路を提供する。
【解決手段】ステッピングモータに駆動電流を供給するモータドライバ回路1であって、第1の減衰率とその第1の減衰率より小さい第2の減衰率とを混合して複数の混合減衰率を設定する減衰率制御回路15と、混合減衰率で駆動電流を減衰させる励磁パターンを生成する制御論理回路16と、励磁パターンに従って駆動電流をステッピングモータに出力する駆動電流出力回路17とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、モータの制御に係り、特にステッピングモータを駆動するモータドライバ回路に関する。
例えばコピー機やプリンタの紙送り部、或いはスキャナの読み取り部等を動作させるために、ステッピングモータが使用されている。ステッピングモータは、複数のコイルと回転子(ロータ)を備え、これらのコイルに外部からパルス信号が加わる毎にコイルが励磁して生ずる励磁力によりロータが吸引され、ロータがステップ単位で回転する。一般に、モータドライバ回路によってステッピングモータを駆動する駆動電流が調整されて、ステッピングモータの回転が制御される。
ステッピングモータのダンピング振動(減衰振動)を低減するために、例えば、駆動電流を低下させて低速回転領域及びロータ停止時の振動を低減させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−336847号公報
しかしながら、多様なステッピングモータに対してそれぞれ最適な制御状態を実現するために、ステッピングモータの励磁方式や駆動電流値等に応じて駆動電流を減衰させる比率(以下において「減衰率」という。)を設定する必要がある。そのため、ステッピングモータの仕様、用途等に応じて駆動電流の減衰率を詳細に設定できる機能がモータドライバ回路に求められている。
上記問題点を鑑み、本発明は、駆動電流の減衰率を詳細に設定可能なモータドライバ回路を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、ステッピングモータに駆動電流を供給するモータドライバ回路であって、(イ)第1の減衰率とその第1の減衰率より小さい第2の減衰率とを混合して複数の混合減衰率を設定する減衰率制御回路と、(ロ)混合減衰率で駆動電流を減衰させる励磁パターンを生成する制御論理回路と、(ハ)励磁パターンに従って駆動電流をステッピングモータに出力する駆動電流出力回路とを備えるモータドライバ回路が提供される。
本発明によれば、駆動電流の減衰率を詳細に設定可能なモータドライバ回路を提供できる。
本発明の第1の実施の形態に係るモータドライバ回路の構成を示す模式的なブロックである。 図1に示したモータドライバ回路の入出力端子の情報を示す表である。 CW_CCW端子の設定値とモータ回転方向との対応を示す表である。 MODE端子の設定値とモータ励磁モードとの対応を示す表である。 ENABLE端子の設定値とモータ出力状態との対応を示す表である。 PS端子の設定値とモータドライバ回路の状態との対応を示す表である。 RNF端子の入力等価回路図である。 図8はVREF端子の入力等価回路図である。 CR端子の入力等価回路図である。 出力端子の出力等価回路図である。 その他の制御用入力端子の入力等価回路図である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータドライバ回路のCRタイマの動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係るモータドライバ回路の低速減衰モードにおける出力トランジスタの状態と回生電流の経路を説明するための模式図である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータドライバ回路の高速減衰モードにおける出力トランジスタの状態と回生電流の経路を説明するための模式図である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータドライバ回路の電流減衰モードを説明するためのタイミングチャートである。 DEC端子の設定と電流減衰方式との対応を示す表である。 本発明の第1の実施の形態に係る三角波発生回路及び減衰率制御回路の構成例を示す模式的な回路図である。 本発明の第1の実施の形態に係る三角波発生回路の動作例を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係るモータドライバ回路のリセット動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係るモータドライバ回路の制御入力タイミングを説明するためのタイミングチャートである。 各モータ励磁モードにおける初期電気角を示す表である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータドライバ回路のフルステップモードにおける動作を説明する図であり、図22(a)はタイミングチャートを示し、図22(b)はトルクベクトルを示す。 本発明の第1の実施の形態に係るモータドライバ回路のハーフステップAモードにおける動作を説明する図であり、図23(a)はタイミングチャートを示し、図23(b)はトルクベクトルを示す。 本発明の第1の実施の形態に係るモータドライバ回路のハーフステップBモードにおける動作を説明する図であり、図24(a)はタイミングチャートを示し、図24(b)はトルクベクトルを示す。 本発明の第1の実施の形態に係るモータドライバ回路のクォータステップモードにおける動作を説明する図であり、図25(a)はタイミングチャートを示し、図25(b)はトルクベクトルを示す。 本発明の第1の実施の形態に係るモータドライバ回路のリセットタイミングを説明するためのタイミングチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係るモータドライバ回路のモータ回転方向を切り換えるタイミングを説明するためのタイミングチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係るモータドライバ回路の、クロック信号がハイレベルの場合でのイネーブル動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係るモータドライバ回路の、クロック信号がローレベルの場合でのイネーブル動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係るモータドライバ回路のチップ温度のモニタ方法を説明するための回路図である。 チップ温度とVf電圧の関係の例を示すグラフである。 本発明の第1の実施の形態に係るモータドライバ回路の電気的特性を示す表である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータドライバ回路によりデバイスを制御する例を示す模式図である。 本発明の第2の実施の形態に係るモータドライバ回路の構成を示す模式的なブロックである。 図34に示したモータドライバ回路の入出力端子の情報を示す表である。 PHASE端子の設定値と駆動電流出力回路の出力論理との対応を示す表である。 VREF分割比設定端子の設定値と出力電流値との対応を示す表である。 本発明の第2の実施の形態に係るモータドライバ回路のフルステップモードにおける動作を説明する図であり、図38(a)はタイミングチャートを示し、図38(b)はトルクベクトルを示す。 本発明の第2の実施の形態に係るモータドライバ回路のハーフステップAモードにおける動作を説明する図であり、図39(a)はタイミングチャートを示し、図39(b)はトルクベクトルを示す。 本発明の第2の実施の形態に係るモータドライバ回路のハーフステップBモードにおける動作を説明する図であり、図40(a)はタイミングチャートを示し、図40(b)はトルクベクトルを示す。 本発明の第2の実施の形態に係るモータドライバ回路のクォータステップモードにおける動作を説明する図であり、図41(a)はタイミングチャートを示し、図41(b)はトルクベクトルを示す。
次に、図面を参照して、本発明の第1及び第2の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
又、以下に示す第1及び第2の実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係るモータドライバ回路1のブロック図を図1に示す。モータドライバ回路1は、電源定格50Vのパルス幅変調(PWM)定電流駆動方式によるバイポーラ駆動のステッピングモータを制御するモータドライバ回路である。詳細は後述するが、モータドライバ回路1は、モータ励磁モードをフルステップ(2相励磁方式)、ハーフステップ(1−2相励磁方式)、クォータステップ(4分割マイクロステップ;W1−2相励磁方式)の3種類で切り換えが可能である。更に、電流減衰方式設定端子(DEC1端子、DEC2端子)P9、P10を設定することにより、PWM制御でステッピングモータの駆動電流を減衰させる減衰率を、2ビット分の設定情報を用いて4段階で設定できる。
図1に示すように、第1の実施の形態に係るモータドライバ回路1は、デコーダ11、DAコンバータ(DAC)12、ブランクタイム制御回路13、三角波発生回路14、減衰率制御回路15、制御論理回路16、駆動電流出力回路17、レギュレータ18を備える。
デコーダ11は、外部から供給されるクロック信号をパラレル信号に変換する。そして、詳細を後述する各種入力端子によって設定されるモータ回転方向、モータ励磁モード等に従って、ステッピングモータの駆動タイミングを設定する。例えば、出力論理を設定する信号を制御論理回路16に出力し、出力電流の値を設定する信号をDAC12に出力する。また、デコーダ11は、後述する各種保護回路からの信号等に応じてモータドライバ回路1の出力をオープンにし、モータドライバ回路1からステッピングモータへの駆動電流の供給を停止して誤動作を防止する。デコーダ11の動作の詳細は後述する。
DAC12は、デコーダ11の出力と外部から設定される基準電圧とを用いて、PWM制御される駆動電流の設定電流値を設定する電圧を出力する。具体的には、DAC12は、出力電流値設定端子(VREF端子)P11に印加されてオペアンプ31を介して入力される基準電圧を、デコーダ11から送信される所定の分割比で分割する。そして、DAC12が出力する基準電圧の分割電圧が駆動電流出力回路17の出力と比較されて、PWM制御が実行される。図1に示したように、DAC12の出力は比較回路32、33の非反転入力端子に入力され、駆動電流出力回路17の出力は比較回路32、33の反転入力端子に入力される。
ブランクタイム制御回路13は、PWM制御において電流検出を行わないブランクタイムを設定することで出力オン時に発生するスパイクノイズによる誤動作を防止するための回路である。ブランクタイム制御回路13の機能により、外付けフィルタなしでステッピングモータを定電流駆動できる。
三角波発生回路14は、モータドライバ回路1に外付けされるRC回路101の充放電動作に基づいて生成される三角波を出力する。生成される三角波の周期は、RC回路101の出力の時定数に依存する。
減衰率制御回路15は、第1の減衰率と、第1の減衰率より小さい第2の減衰率とを用いて、第1の減衰率と第2の減衰率とを混合させた駆動電流の複数の混合減衰率を設定し、電流減衰方式を制御する。駆動電流の減衰率の詳細な設定方法は後述する。
制御論理回路16は、駆動電流出力回路17の出力(以下において、「モータ出力」という。)がフィードバックされてPWM定電流制御動作し、デコーダ11、DAC12、ブランクタイム制御回路13、減衰率制御回路15の出力に基づいて、制御対象のステッピングモータのコイルの励磁順序、励磁方向、励磁量を決定する励磁パターンを生成する。例えば、減衰率制御回路15が設定する混合減衰率で駆動電流を減衰させる励磁パターンを生成する。PWM定電流制御動作の詳細は後述する。生成された励磁パターンは駆動電流出力回路17のプリドライバ171に送信される。
駆動電流出力回路17は、プリドライバ171、第1Hブリッジ回路H1及び第2Hブリッジ回路H2を有し、ステッピングモータに駆動電流を出力する。プリドライバ171は、制御論理回路16の生成した励磁パターンに従って第1Hブリッジ回路H1及び第2Hブリッジ回路H2の動作を制御する。第1Hブリッジ回路H1からの出力電流IOUT(CH1)と第2Hブリッジ回路H2からの出力電流IOUT(CH2)によってステッピングモータを駆動する。つまり、駆動電流出力回路17は、励磁パターンに従って駆動電流をステッピングモータに出力する。なお、第1Hブリッジ回路H1を「チャンネル1(CH1)」、第2Hブリッジ回路H2を「チャンネル2(CH2)」とする。
レギュレータ18は、モータドライバ回路1に供給される電源電圧から、モータドライバ回路1内部で使用される内部電源電圧VREGを生成する。
更に、図1に示すように、モータドライバ回路1は、低電圧時誤動作防止(UVLO)回路21、温度保護(TSD)回路22、過電流保護(OCP)回路23の各種保護回路を有する。
UVLO回路21は、電源電圧が低電圧時におけるモータ出力の誤動作を防止する回路である。具体的には、電源端子(VCC1端子、VCC2端子)に印加される電源電圧が設定値(例えば15V)以下になった場合に、駆動電流出力回路17のモータ出力をオープンにする。この設定値は、ノイズ等の誤動作を防止するため、例えば1V程度のヒステリシスを設けている。なお、UVLO回路21が動作した際は、電気角はリセットされる。
TSD回路22は、過熱保護対策として配置されるサーマルシャットダウン回路である。モータドライバ回路1のチップ温度が設定値(例えば175℃)以上になった場合に、TSD回路22は、モータ出力をオープンにする。その後、チップ温度が、例えば150℃以下になると通常動作に自動的に復帰する。
OCP回路23は、出力端子間ショート、電源とのショート(天絡)、GNDとのショート(地絡)時の破壊防止用の回路である。OCP回路23は、モータドライバ回路1内の電流を監視し、予め規定された制限値以上の電流が設定された時間(例えば4μs程度)流れるとモータ出力をオープン状態にラッチする。電源再投入或いはパワーセーブ端子(PS端子)P12へのリセット信号の印加により、通常状態に復帰する。
UVLO回路21が動作すると、モータ出力をオープン状態にすると同時にデコーダ11はリセットされる。
図2に、図1に示すモータドライバ回路1の入出力端子の情報を示す。以下に、各入出力端子について説明する。
進相クロック入力端子(CLK端子)P13は、外部のクロック回路等で生成されたクロック信号が入力される端子である。CLK端子P13はデコーダ11に接続する。モータドライバ回路1はクロック信号の立ち上がりエッジで動作し、1クロック信号毎に制御対象のステッピングモータの電気角(ステップ)が1つ進む。CLK端子P13にノイズが混入するとモータミスステップの原因となるため、ノイズが混入しないパターン設計をすることが好ましい。
モータ回転方向設定端子(CW_CCW端子)P14は、制御対象のステッピングモータのモータ回転方向を設定する。CW_CCW端子P14はデコーダ11に接続する。モータ回転方向の設定変更は、変更直後のCLK信号の立ち上がりエッジにてモータドライバ回路1の制御方法に反映される。CW_CCW端子P14のレベルとモータ回転方向との対応を図3に示す。
例えば、CW_CCW端子P14をロー(L)レベルに設定すると、モータ回転方向はチャンネル2(CH2)の出力電流IOUT(CH2)が、チャンネル1(CH1)の出力電流IOUT(CH1)に対して90°位相が遅れて出力することによって「右回り(Clockwise)」方向(以下において「CW方向」という。)になる。一方、CW_CCW端子P14をハイ(H)レベルに設定すると、モータ回転方向はCH2の出力電流IOUT(CH2)がCH1の出力電流IOUT(CH1)に対して90°位相が進んで出力することによって「左回り(Counter Clockwise)」方向(以下において「CCW方向」という。)になる。
モータ励磁モード設定端子(MODE0端子、MODE1端子)P16、P17は、モータ励磁モードを設定する。MODE0端子P16及びMODE1端子P17は、デコーダ11に接続する。MODE0端子P16及びMODE1端子P17に入力される信号レベルに応じてデコーダ11が基準電圧の分割比をDAC12に送信し、DAC12によってモータ励磁モードが設定される。
図4に、モータ励磁モードの設定例を示す。例えば、MODE0端子P16をHレベル、MODE1端子P17をLレベルに設定することによって、モータ励磁モードは「フルステップ」に設定される。図4に示した「フルステップ」、「ハーフステップA」、「ハーフステップB」及び「クォータステップ」の各モータ励磁モードにおけるタイミングチャート及びトルクベクトルは後述する。
出力イネーブル端子(ENABLE端子)P18は、第1Hブリッジ回路H1及び第2Hブリッジ回路H2に含まれるトランジスタ(以下において「出力トランジスタ」という。)を強制的にオフするための端子である。つまり、ENABLE端子P18はモータ出力をオープンにするために使用される。図5にENABLE端子P18の設定例を示す。図5に示した例では、ENABLE端子P18にLレベルが設定されるとモータ出力はオープンとなり、Hレベルが設定されるとモータドライバ回路1は通常動作する。ENABLE端子P18にLレベルが設定されている場合は、クロック信号がCLK端子P13に入力されても、電気角や各動作モードは維持される。ENABLE端子P18は、デコーダ11に接続する。
PS端子P12は、デコーダ11をリセット(イニシャライズ)してモータドライバ回路1をスタンバイ状態にし、モータ出力をオープンにするために設定される。スタンバイ状態に入ると、図1に示したデコーダ11がリセットされ、電気角が初期化される。図6にPS端子P12の設定例を示す。図6に示した例では、PS端子P12にLレベルが設定されるとモータドライバ回路1はスタンバイ状態になり、Hレベルが設定されるとモータドライバ回路1は通常動作する。PS端子P12は、リセット回路20に接続する。
テスト用端子(TEST端子)P15はテスト時に使用する端子で、実使用時にはGNDに接続される。
DEC1端子P9、DEC2端子P10は、既に述べたように電流減衰方式を選択して、制御対象のステッピングモータの駆動電流の減衰率を4段階で設定するために使用される。DEC1端子P9及びDEC2端子P10は、減衰率制御回路15に接続する。電流減衰方式の詳細は後述する。
電源端子(VCC1端子、VCC2端子)P5、P20は、第1Hブリッジ回路H1及び第2Hブリッジ回路H2にそれぞれ供給する電源電圧が印加される。ステッピングモータの駆動電流である第1Hブリッジ回路H1からの出力電流IOUT(CH1)及び第2Hブリッジ回路H2からの出力電流IOUT(CH2)が、VCC1端子P5及びVCC2端子P20に流れる。
第1Hブリッジ回路H1の出力端子であるOUT1A端子P4、OUT1B端子P2、及び第2Hブリッジ回路H2の出力端子であるOUT2A端子P21、OUT2B端子P23は、制御対象のステッピングモータに駆動電流を供給する。OUT1A端子P4、OUT1B端子P2、OUT2A端子P21及びOUT2B端子P23(以下において、総称して「出力端子」という。)は、モータドライバ回路1からステッピングモータに駆動電流を供給する端子であり、これらの出力端子から出力される駆動電流に従ってステップ単位でステッピングモータのコイルが励磁され、ロータが回転する。
出力電流検出用抵抗接続端子(RNF1端子、RNF2端子)P3、P22に、それぞれ第1Hブリッジ回路H1からの出力電流IOUT(CH1)検出する電流検出用抵抗R1、及び第2Hブリッジ回路H2からの出力電流IOUT(CH2)を検出する電流検出用抵抗R2がそれぞれ接続される。抵抗値が0.4Ω〜1.0Ω程度、例えば0.5Ωの電流検出用抵抗R1及びR2が、GNDとRNF1端子P3及びRNF2端子P22との間にそれぞれ挿入される。
出力電流値設定端子(VREF端子)P11は、出力電流IOUT(CH1)、IOUT(CH2)の値を設定する端子である。具体的には、VREF端子P11に印加される基準電圧VREFと、RNF1端子P3、RNF2端子P22に接続される電流検出用抵抗の値RNFによって、式(1)に示すように出力電流IOUT(IOUT(CH1)+IOUT(CH2))が設定される:

OUT ={VREF /5}/RNF ・・・(1)

式(1)で、値5はモータドライバ回路1内部の基準電圧分割比である。
チョッピング周波数設定端子(CR端子)P8は、出力チョッピング周波数を設定するために使用される。具体的には、図1に示すように、容量C3と抵抗R3が並列接続されたRC回路101がCR端子P6とGND間に接続される。容量C3の容量値は330pF〜1500pF程度、例えば470pFに設定され、抵抗R3の抵抗値は15kΩ〜200kΩ程度、例えば82kΩに設定される。出力チョッピング周波数fchopは式(2)で表される:

chop≒1/(0.916×C3×R3) ・・・(2)

図7〜図11に、入出力端子の入出力等価回路図の例を示す。図7は、RNF1端子P3及びRNF2端子P22の入出力等価回路図である。図7に示すように、RNF1端子P3及びRNF2端子P22は、5kΩ程度の抵抗を介してコレクタ接地されたPNP型バイポーラトランジスタTr7のベース端子に接続する。また、RNF1端子P3及びRNF2端子P22と電源VCC、GND間には、静電破壊(ESD)防止用のダイオードD71、D72がそれぞれ接続される。
図8は、VREF端子P11の入出力等価回路図である。図8に示すように、VREF端子P11は、5kΩ程度の抵抗を介してコレクタ接地されたPNP型バイポーラトランジスタTr8のベース端子に接続する。また、VREF端子P11とGND間に、ESD防止用のダイオードD8が接続される。更に、VREF端子P11と電源VCC間に内部回路30が配置される。内部回路30は、以下の電源未印加時誤動作防止機能を有し、モータドライバ回路1に電源電圧が印加されていない状態でVREF端子P11に信号が入った場合に、この信号が電源VCCに出力されないように機能する。
電源未印加時誤動作防止機能は、電源電圧が印加されていない状態で入力端子にロジック制御信号が入力された場合に、この入力端子の電圧が電源VCCにESD防止用ダイオードを介して伝搬され、モータドライバ回路1若しくはモータドライバ回路1が配置されたセット上の他の集積回路の電源端子に電圧が供給されてしまうことによる誤動作を防止する機能である。したがって、電源電圧が印加されていない状態で入力端子に電圧が印加された場合でも、モータドライバ回路1が誤動作することはない。
図9は、CR端子P8の入出力等価回路図である。図9に示すように、CR端子P8は、5kΩ程度の抵抗を介してMOS構造のトランジスタTr91のドレイン端子に接続する。更に、CR端子P8は、それぞれ10kΩ程度の抵抗を介してMOS構造のトランジスタTr92のゲート端子、及びMOS構造のトランジスタTr93のゲート端子に接続する。また、CR端子P8と電源VCC、GND間には、ESD防止用のダイオードD91、D92がそれぞれ接続される。
図10に、出力端子の入出力等価回路図を示す。図10に示すように、出力端子は第1Hブリッジ回路H1、第2Hブリッジ回路H2及びRNF1端子P3、RNF2端子P22に接続される。具体的には、第1Hブリッジ回路H1の出力トランジスタTr11と出力トランジスタTr12との接続点にOUT1A端子P4が接続され、出力トランジスタTr21と出力トランジスタTr22との接続点にOUT1B端子P2が接続される。そして、第2Hブリッジ回路H2の出力トランジスタTr11と出力トランジスタTr12との接続点にOUT2A端子P21が接続され、出力トランジスタTr13と出力トランジスタTr14との接続点にOUT2B端子P23が接続される。出力トランジスタTr11と出力トランジスタTr21の接続点は電源VCCに接続する。そして、第1Hブリッジ回路H1の出力トランジスタTr12と出力トランジスタTr22の接続点は内部回路30及びRNF1端子P3に接続し、第2Hブリッジ回路H2の出力トランジスタTr12と出力トランジスタTr22の接続点は内部回路30及びRNF2端子P22に接続する。
また、図10に示すようにOUT1A端子P4及びOUT2A端子P21と電源VCC、GND間には、ESD防止用のダイオードD101、D102がそれぞれ接続される。OUT1B端子P2及びOUT2B端子P23と電源VCC、GND間には、ESD防止用のダイオードD103、D104がそれぞれ接続される。
図11は、上記以外の入力端子(ロジック制御用入力端子)に採用可能な入力等価回路の例を示す。図11に示すように、ロジック制御用入力端子は、10kΩ程度の抵抗を介してモータドライバ回路1内の内部ロジック回路に接続する。また、ロジック制御用入力端子とGND間に、ESD防止用のダイオードD11と100kΩ程度の抵抗が並列に接続される。更に、ロジック制御用入力端子と電源VCC間に内部回路30が配置される。
次に、図1に示したモータドライバ回路1の動作の詳細を説明する。先ず、PWM定電流制御動作について説明する。
出力トランジスタがオンすることで駆動電流出力回路17から出力される出力電流IOUT(駆動電流)が増大し、RNF1端子P3及びRNF2端子P22の電圧VRNFが上昇する。電圧VRNFは、RNF1端子P3、RNF2端子P22に外付けされる電流検出用抵抗R1、R2により出力電流IOUTが電圧変換された電圧である。そして、電圧VRNFが、VREF端子P11に印加される基準電圧VREFに基づきDAC12が設定する一定の設定電圧VSに達すると、制御論理回路16に内蔵された電流検出コンパレータ(Current Limit Comparator)が動作して、出力電流IOUTが減衰するモード(以下において「電流減衰モード」という。)に移行する。電流減衰モードの詳細については後述する。
その後、後述の「CRタイマ」による減衰時間を経て、出力電流IOUTが増大するモード(以下において「出力オンモード」という。)に移行する。出力オンモードと電流減衰モードとを繰り返して電流制御動作が実行される。出力オンモードと電流減衰モードの切り替えは、後述するように第1Hブリッジ回路H1と第2Hブリッジ回路H2の出力トランジスタの状態を変更して行われる。
ここで、「CRタイマ」の動作について説明する。CR端子P8に外付けされた抵抗R3及び容量C3を含むRC回路101での充放電によって、図12に示すように、CR端子P8の電圧VCRは電圧VCRHと電圧VCRLの間で変動する。例えば、電圧VCRHは2.5V程度、電圧VCRLは1V程度に設定される。電圧VCRは、三角波信号として三角波発生回路14からブランクタイム制御回路13と減衰率制御回路15に出力される。
出力オンモードにおいて、電圧VCRが電圧VCRHに到達すると放電が開始される。そして、電圧VCRが電圧VCRHから電圧VCRLになるまでの放電区間内で出力電流IOUTが設定電流値Ilimitに達すると電圧VRNFが設定電圧VSに達し、出力電流IOUTが減少する電流減衰モードに移行する。その後、放電によって電圧VCRが電圧VCRLに達すると、電流減衰モードから出力オンモードに復帰し、それと同時に充電が開始される。充電期間では、出力電流IOUT及び電圧VRNFが増加する。なお、設定電圧VSは、出力電流IOUTが所望の設定電流値Ilimitに達したときに電流減衰モードに移行するように、基準電圧VREFを用いてDAC12によって設定される。
以上のように、RC回路101での充放電時間がCRタイマとして使用される。このようなCRタイマを使用することにより、モータドライバ回路1は他励方式のPWM定電流制御回路として動作する。このため、CH1とCH2を個別に制御する自励方式の場合よりも外付け回路の数を減らすことができる。その結果、モータドライバ回路1を含むセットのサイズを小さくできる。
RC回路101の充放電時間は、図12に示すように最小オン時間tONMIN及び放電時間tdischargeは、抵抗R3及び容量C3により以下の式(3)で決定される:

tONMIN≒C3×RIN×R3/(RIN+R3)×In{(VR−VCRL)/(VR−VCRH)} ・・・(3)

式(3)で、モータドライバ回路1の内部電源電圧をVREGとして、VR=VREG×R3/(RIN+R3)である。また、RINはCR端子P8の内部インピーダンスであり、5kΩ程度である。最小オン時間tONMINは、RC回路101の充電時間である。なお、最小オン時間tONMIN及び放電時間tdischargeの和が、チョッピング周期tCHOPとなる。
抵抗R3の抵抗値が低いと電圧VCRが電圧VCRHに達しないため、 抵抗R3には5kΩ以上の抵抗、例えば15kΩ〜200kΩ程度の抵抗が好ましい。容量C3に関しては、数千pF以上のコンデンサを使用すると最小オン時間tONMINが長くなり、ステッピングモータのモータコイルのインダクタンス値及び抵抗値によっては出力電流IOUTが設定電流値Ilimitより多く流れる恐れがあるので注意が必要である。容量C3には330pF〜1500pF程度の容量が好ましい。スパイクノイズの発生時間は数百ns程度なので、最小オン時間tONMINは、例えば1μs程度に設定される。
また、チョッピング周期tCHOPを長く設定しすぎた場合には、出力電流IOUTのリップルが大きくなり、平均電流値が低下してステッピングモータの回転効率が低下する場合があるため、注意が必要である。ステッピングモータのモータ駆動音、出力電流波形の歪み等が最小限に抑えられるように、抵抗R3及び容量C3を選択してチョッピング周期tCHOPが設定される。
なお、図12に示すように、出力オンモード移行時に電圧VRNFにスパイクノイズが発生する。このスパイクノイズは、図10に示したHブリッジ回路の出力トランジスタTr11がオンした瞬間に、出力トランジスタTr11と出力トランジスタTr12を貫通する電流が流れることによって生じる。スパイクノイズによる電流検出コンパレータの誤検出を避けるために、電圧VCRが電圧VCRLに達して充電が開始されてから電圧VCRが電圧VCRHになるまでの充電区間を最小オン時間tONMINとして、電流検出コンパレータによる電流検出を無効にする。
具体的には、ブランクタイム制御回路13が三角波発生回路14から出力される三角波信号として電圧VCRを監視して、電圧VCRが電圧VCRLから電圧VCRHになるまでの充電区間をブランクタイムとして設定する。設定されたブランクタイムは制御論理回路16に伝送され、制御論理回路16は、ブランクタイムにおいては電流検出コンパレータによる電流検出を無効にする。以上のようにブランクタイムを設定することによってノイズキャンセル機能が実現され、外付けフィルタ無しでの定電流駆動が実行される。
次に、図1に示したモータドライバ回路1の電流減衰モードについて説明する。モータドライバ回路1のPWM定電流駆動動作では、駆動電流の減衰率を4段階に設定できる。
第1Hブリッジ回路H1及び第2Hブリッジ回路H2に含まれる出力トランジスタのオン・オフを制御することで、第1の減衰率の減衰モード(以下において「高速減衰モード」という。)と、第1の減衰率より減衰率が小さい第2の減衰率の減衰モード(以下において「低速減衰モード」という。)とが設定される。
低速減衰(SLOW DECAY)モード及び高速減衰(FAST DECAY)モードにおける第1Hブリッジ回路H1と第2Hブリッジ回路H2の出力トランジスタの状態と回生電流の経路を、図13及び図14をそれぞれ参照して説明する。図13及び図14に実線矢印で示した電流経路が出力オンモード時の回生電流の経路であり、破線矢印で示した電流経路が電流減衰モード時の回生電流の経路である。
第1Hブリッジ回路H1と第2Hブリッジ回路H2は同一の回路構成であり、図13及び図14に示すように、4つの二重拡散型MOS(DMOS)トランジスタである出力トランジスタTr11、Tr12、Tr21、Tr22によってHブリッジの回路形式が構成され、これらの出力トランジスタにボディダイオードD11、D12、D21、D22がそれぞれ付随する。出力トランジスタTr11と出力トランジスタTr12との接続点と、出力トランジスタTr21と出力トランジスタTr22との接続点とは、コイルMによって接続される。
出力トランジスタTr11と出力トランジスタTr12との接続点にOUT1A端子P4或いはOUT2A端子P21が接続する。出力トランジスタTr13とトランジスタTr14との接続点にOUT1B端子P2或いはOUT2B端子P23が接続する。
第1Hブリッジ回路H1、第2Hブリッジ回路H2に低オン抵抗のDMOSトランジスタを採用することによって、電流を両方向に流せるようになり、出力トランジスタのスイッチ抵抗が大幅に減少する。その結果、バイポーラトランジスタを使用する場合よりも電圧降下を低くできる。また、バイポーラトランジスタを使用する場合に比べて消費電力が低減されるため、パッケージを小さくすることができる。
図13に示したように、低速減衰モードでは、出力オンモード時において出力トランジスタTr11と出力トランジスタTr22がオン状態で、出力トランジスタTr12と出力トランジスタTr21がオフ状態である。そして、出力電流が出力トランジスタTr11→コイルM→出力トランジスタTr22の経路で流れる。一方、電流減衰モードに移行すると、出力トランジスタTr11がオフし、出力トランジスタTr12がオンする。出力トランジスタTr22はオン状態を、出力トランジスタTr21はオフ状態を維持する。回生電流は、出力トランジスタTr12→コイルM→出力トランジスタTr22の経路で流れる。
低速減衰モードでは、電流減衰時にモータコイル間にかかる電圧が小さく、回生電流が穏やかに減少する。そのため、電流リップルは小さくなりモータトルクの点で有利である。しかし、小電流領域において電流制御性の悪化による出力電流の増加や、ハーフステップモード、クォータステップモードにおける高パルスレート駆動時にモータ逆起電圧の影響を受けやすい。このため、出力電流IOUTの設定電流値Ilimitの変化に追従できずに電流波形が歪み、モータ振動が増加する場合がある。
図14に示したように、高速減衰モードの出力オンモード時における出力トランジスタの状態は、低速減衰モードの出力オンモード時と同じであり、出力電流が出力トランジスタTr11→コイルM→出力トランジスタTr22の経路で流れる。一方、電流減衰モードに移行すると、出力トランジスタTr11と出力トランジスタTr22がオフし、出力トランジスタTr12がオンする。出力トランジスタTr21はオフ状態を維持する。回生電流は、出力トランジスタTr12→コイルM→出力トランジスタTr21の経路で流れる。このとき出力トランジスタTr21のボディダイオードD21を回生電流が流れるが、出力トランジスタTr21をオンさせてもよい。また、出力トランジスタTr11と出力トランジスタTr12が同時にオンすることによって貫通電流が流れるのを防止するために、出力トランジスタTr11と出力トランジスタTr12それぞれの状態が変化する間に出力トランジスタTr11と出力トランジスタTr12がオフになる状態を挿入してもよい。
高速減衰モードでは、回生電流が急激に減少するため高パルスレート駆動における電流波形の歪みを軽減できまる。つまり、低速減衰モードではステッピングモータの回転数を制御するDAC12の出力の変化に電流の減衰が追従できない場合等に、高速減衰モードは好適である。しかし、出力電流のリップルが大きくなるため平均電流が低下して、(1)モータトルクの低下、(2)モータの損失が大きくなって発熱が増加、という問題が生じる。モータトルクの低下に対しては、設定電流値Ilimitを大きくすることで対策できるが、この場合には出力電流IOUTが出力定格電流を超えないように考慮する必要がある。
上記の低速減衰モード、高速減衰モードでの問題を改善する方法として、モータドライバ回路1は、電流減衰期間中において高速減衰モードと低速減衰モードを切り換えることにより、電流減衰期間の駆動電流の減衰率として、高速減衰モードの減衰率(第1の減衰率)と低速減衰モードの減衰率(第2の減衰率)とを混合した減衰率(混合減衰率)の減衰モード(以下において、「混合減衰モード」という。)を設定できる。
具体的には、減衰率制御回路15が、駆動電流を減衰させる電流減衰期間における、第1の減衰率で駆動電流を減衰させる期間と第2の減衰率で駆動電流を減衰させる期間との比率を変化させて、電流減衰期間全体の電流減衰率として混合減衰率を設定する。図15に示すように、混合減衰(MIX DECAY)モード中は、チョッピング周期tCHOPにおける放電期間(時刻t10〜t13)の前半(時刻t10〜t12)が高速減衰モードであり、その後の時刻t12〜t13の期間は低速減衰モードとなる。ただし、放電期間のうちDEC1端子P9及びDEC2端子P10で規定した期間内で出力電流IOUTが設定電流値Ilimitに達しなかった場合は、高速減衰モードは行わない。
減衰率制御回路15は、DEC1端子P9及びDEC2端子P10に印加する信号レベルに応じて切り換え電圧VCRMを設定する。そして、減衰率制御回路15は三角波発生回路14から出力される三角波信号の電圧VCRを監視して、電圧VCRが電圧VCRHから切り換え電圧VCRMになるまでの放電期間を高速減衰モードに設定し、電圧VCRが切り換え電圧VCRMから電圧VCRLになるまでの放電期間を低減衰モードに設定する。設定された電流減衰モードは制御論理回路16に伝送され、制御論理回路16が、設定された電流減衰モードを反映した励磁パターンにより、駆動電流出力回路17を制御する。
DEC1端子P9とDEC2端子P10の信号レベルにより、2ビット分の設定情報を使用して切り換え電圧VCRMを設定できる。例えば、減衰率制御回路15は放電期間における低速減衰モードと高速減衰モードの組み合わせを4段階で設定できる。このため、種々の仕様のステッピングモータについて、それぞれ最適な制御を実現できる。
図16に、DEC1端子P9及びDEC2端子P10に設定する電圧レベルと電流減衰モードとの関係を示す。例えば、DEC1端子P9とDEC2端子P10を共にLレベルにすることにより、放電期間の全期間で低速減衰モードになる。また、DEC1端子P9をHレベル、DEC2端子P10をLレベルにすることにより、放電期間の始めの15.0%の期間が高速減衰モード、残りの85.0%の期間が低速減衰モードになる。高速減衰モードの期間の比率の組み合わせは任意に設定可能である。
低速減衰モード期間の比率が大きいほど、放電期間、即ち電流減衰期間全体の電流減衰率である混合減衰率が低下する。既に説明したように、高速減衰モード期間の比率を高くするほど、出力電流IOUTのリップルが大きくなるが、設定電流値Ilimitの変化への追従性が向上する。
例えば、高速減衰モード期間の比率が15.0%では設定電流値Ilimitの変化に追従できないが、高速減衰モード期間の比率が40.0%では変化に追従でき、更に、高速減衰モード期間の比率が75%では出力電流IOUTのリップルが大きすぎるという場合がある。このような場合には、DEC1端子P9をLレベル、DEC2端子P10をHレベルに設定して、高速減衰モード期間の比率を40.0%にする。
図17に、三角波発生回路14及び減衰率制御回路15の回路構成例を示す。先ず、三角波発生回路14の動作について説明する。
図17に示した三角波発生回路14では、電源VCCとGND間に抵抗R141〜R143が直列接続され、抵抗R141と抵抗R142の接続点で基準電圧VREFが発生する。抵抗R143の両端は、トランジスタTr141のソース端子とドレイン端子にそれぞれ接続されている。基準電圧VREFはオペアンプ141の非反転入力端子に入力され、オペアンプ141の反転入力端子には、RC回路101の充放電によりCR端子に印加される電圧が入力される。オペアンプ141の出力は、インバータ142を介して、トランジスタTr141のゲート端子に入力する。なお、インバータ142から出力される矩形波の信号OSCは、ブランクタイム制御回路13を介して、制御論理回路16に伝達される。
また、三角波発生回路14は、ソース端子が電源VCCに接続し、ドレイン端子が抵抗R140の一端に接続するトランジスタTr140を有する。抵抗R140の他端はCR端子に接続する。トランジスタTr140のゲート端子には、信号OSCがフィードバックされた矩形波の信号CRchargeが入力される。
上記のように構成された三角波発生回路14においては、充放電を繰り返すRC回路101の出力電圧と基準電圧VREFとの比較結果に応じて、CR端子の電圧VCRが電圧VCRHと電圧VCRLの間で変動する。例えば、電源VCCが5V、抵抗R141〜R143がそれぞれ100kΩ、25kΩ、75kΩの場合、電圧VCRHは2.5V、電圧VCRLは1Vに設定される。
図18に、電圧VCRHが2.5V、電圧VCRLが1Vの場合について、信号CRcharge、電圧VCR及び基準電圧VREFのタイミングチャートの例を示す。図18に示すように、信号CRchargeがローレベルのとき、電圧VCRは電圧VCRLから電圧VCRHまで増加し、基準電圧VREFはハイレベルである。一方、信号CRchargeがハイレベルのとき、電圧VCRは電圧VCRHから電圧VCRLまで減少し、基準電圧VREFはローレベルである。
図17に示すように、三角波発生回路14から電圧VCRが減衰率制御回路15に出力される。減衰率制御回路15において、電圧VCRがオペアンプ153の非反転入力端子に入力され、オペアンプ153の反転入力端子に切り換え電圧VCRMが入力される。オペアンプ153の出力信号は制御論理回路16に出力される。電圧VCRと切り換え電圧VCRMとの比較結果に応じて、電流減衰モードが設定される。即ち、既に述べたように、電圧VCRが電圧VCRHから切り換え電圧VCRMになるまでの放電期間が高速減衰モードに設定され、電圧VCRが切り換え電圧VCRMから電圧VCRLになるまでの放電期間が低減衰モードに設定される。制御論理回路16は、設定された電流減衰モードを反映した励磁パターンにより、駆動電流出力回路17を制御する。
図17に示した減衰率制御回路15は、DEC1端子及びDEC2端子に印加する2ビットの入力信号に応じて切り換え電圧VCRMを設定する。図17に示した例では、電源VCCとGND間に直列接続された抵抗R151〜R154の各端子でそれぞれ発生する基準電圧が、選択回路152のスイッチSA〜SDに入力される。デコーダ回路151によってスイッチSA〜SDから1つのスイッチが選択され、抵抗R151〜R154によって生成される基準電圧のいずれかが切り換え電圧VCRMとして選択回路152から出力される。スイッチSA〜SDには、例えばパストランジスタ等が採用可能である。
図17に示した例では、抵抗R151〜R154の値を設定することによって、切り換え電圧VCRMを任意に設定することができる。図16には混合減衰モードにおける高速減衰モード期間の比率が15%、40%、75%である例を示したが、抵抗R151〜R154の抵抗比を選択することにより、高速減衰モード期間の比率を所望の値に任意に設定することができる。また、電源VCCとGND間に直列接続する抵抗の数、選択回路152のスイッチ数、デコーダ回路151に入力信号を入力する端子(DEC端子)の数を増やすことにより、高速減衰モード期間の比率が異なる混合減衰モードの種類を3種類以上にすることも可能である。
次に、デコーダ11の動作について説明する。デコーダ11を内蔵することにより、モータドライバ回路1は、クロックイン(CLK_IN)駆動方式にてステッピングモータを駆動できる。ここで、「クロックイン駆動方式」とは、モータドライバ回路1の動作タイミングを制御するクロック信号の入力端子が1つである方式をいう。つまり、外部からのクロック信号が入力されるクロック入力端子がCLK端子P13の1つですむため、中央演算処理装置(CPU)ボードの使用するポート数を抑制できる効果がある。
先ず、デコーダ11のリセット動作について説明する。デコーダ11の初期化(イニシャライズ)は、パワーオンリセット機能とPS端子P12の設定によって行われる。電源投入時の初期化は、PS端子P12がLレベルの場合とHレベルの場合で異なる。
PS端子P12がLレベルの場合は、電源投入時にモータドライバ回路1内部にてパワーオンリセット機能が働いてデコーダ11が初期化される。ただし、PS端子P12がLレベルである限りモータ出力はオープン状態である。電源電圧印加後にPS端子P12をHレベルにすることによって、モータ出力はアクティブ状態になって駆動電流が出力され、初期電気角で励磁がかかる。ただし、図19に示すように、PS端子P12からデコーダ11に伝送されるリセット信号PSをLレベルからHレベルにした場合に、スタンバイ状態から通常状態に復帰して駆動電流出力回路17のモータ出力(OUT1A、OUT1B)がアクティブ状態になるまで、最大40μs程度の遅延が生じる。
リセット信号PSがHレベルの場合は、電源電圧印加後にモータドライバ回路1内部にてパワーオンリセット機能が働いてデコーダ11が初期化される。その後、ENABLE端子P18にハイレベルの信号が入力されていれば、モータ出力はアクティブ状態になり、初期電気角で励磁がかかる。
ステッピングモータ駆動中にデコーダ11の初期化を行う場合は、PS端子P12をLレベルからHレベルにして、リセット信号PSをHレベルにする。ただし、リセット信号PSをHレベルにしてスタンバイ状態から通常状態に復帰してモータ出力がアクティブ状態になるまで最大40μs程度の遅延が生じる。
次に、デコーダ11の制御入力タイミングについて説明する。デコーダ11は、基本的にはクロック信号CLKの立ち上がりエッジにて動作するため、図20に示す入力タイミングで正常動作する。なお、リセット信号PSをLレベルからHレベルにすることにより、スタンバイ状態から通常状態に復帰してモータ出力がアクティブ状態になるまで、最大40μs程度の遅延が生じる。この遅延時間中ではクロック信号CLKが入力されても進相動作を行わない。
図20に示すように、PS端子P12からデコーダ11に伝送されるリセット信号PSをLレベルにしておく時間(最小入力Lパルス幅)Aは、20μs程度である。また、上記の遅延時間を考慮して、リセット信号PSをHレベルにしてからクロック信号CLKの立ち上がりエッジを入力するまでの時間(CLK立ち上がりエッジ入力可能最大遅延時間)Bは40μs以上である。
また、図20に示すクロック信号CLKの最小周期Cは4μs程度に設定し、その場合の最小入力Hパルス幅Dは2μs程度、最小入力Lパルス幅Eは2μs程度に設定される。MODE0端子P16、MODE1端子P17、及びCW_CCW端子P14からデコーダ11にそれぞれ転送される設定信号MODE0、設定信号MODE1及び設定信号CW_CCWのセットアップ時間Fは1μs程度、ホールド時間Gは1μs程度に設定される。既に説明したように、設定信号MODE0、設定信号MODE1の信号レベルを設定することにより、モータ励磁モードが設定される。
図21に、リセット直後のスタンバイ状態における各モータ励磁モードにおける電気角(初期電気角)を示す。図21に示すように、「フルステップ」時の初期電気角のみが45°で、他のモータ励磁モードの初期電気角は0°である。
図4に示した各モータ励磁モードにおけるタイミングチャート及びトルクベクトルを、図22〜図25に示す。
図22(a)〜図25(a)は、それぞれ「フルステップ」、「ハーフステップA」、「ハーフステップB」及び「クォータステップ」のタイミングチャートを示す。図22(a)〜図25(a)において、リセット信号PS、クロック信号CLK、CH1のOUT1A端子P4の出力信号OUT1A及びOUT1B端子P2の出力信号OUT1B、CH2のOUT2A端子P21の出力信号OUT2A及びOUT2B端子P23の出力信号OUT2B、CH1の出力電流IOUT(CH1)、CH2の出力電流IOUT(CH2)の状態をそれぞれ示す。既に述べたように、「CH1」は第1Hブリッジ回路H1、「CH2」は第2Hブリッジ回路H2を示す。
図22(b)〜図25(b)は、「フルステップ」、「ハーフステップA」、「ハーフステップB」及び「クォータステップ」それぞれでの出力信号OUT1A、出力信号OUT1B、出力信号OUT2A、出力信号OUT2Bのトルクベクトルを示す。
なお、図22〜図25では、設定信号CW_CCWがCW方向を指定するLレベルに設定され、モータ回転方向はCH2の電流がCH1の電流に対して90°位相が遅れて出力する。また、ENABLE端子P18からデコーダ11に転送される出力イネーブル信号ENABLEが、モータドライバ回路1が通常動作するHレベルに設定されている。
先ず、モータ励磁モードが「フルステップ」の場合を説明する。設定信号MODE0をLレベル、設定信号MODE1をLレベルにすることにより、モータ励磁モードは「フルステップ」に設定される。
図22(a)に示すように、リセット信号PSが期間T11でHレベルになると、出力信号OUT1AがHレベルになり、出力信号OUT1BがLレベルになる。また、出力信号OUT2AがHレベルになり、出力信号OUT2BがLレベルになる。期間T11では、出力電流IOUT(CH1)及び出力電流IOUT(CH2)が+方向に流れる。ここで、「+方向」とは、OUT1A端子P4からOUT1B端子P2への方向、或いはOUT2A端子P21からOUT2B端子P23への方向である。
期間T12でクロック信号CLKが立ち上がると、出力信号OUT1AがLレベルになり、出力信号OUT1BがHレベルになる。出力信号OUT2Aと出力信号OUT2Bは変化しない。このため、出力電流IOUT(CH1)の向きが逆転し、出力電流IOUT(CH2)の向きは変化しない。
期間T13でクロック信号CLKが立ち上がると、出力信号OUT2AがLレベルになり、出力信号OUT2BがHレベルになる。出力信号OUT1Aと出力信号OUT1Bは変化しない。このため、出力電流IOUT(CH1)の向きは変化せず、出力電流IOUT(CH2)の向きが逆転する。
期間T14でクロック信号CLKが立ち上がると、出力信号OUT1AがHレベルになり、出力信号OUT1BがLレベルになる。出力信号OUT2Aと出力信号OUT2Bは変化しない。このため、出力電流IOUT(CH1)の向きが逆転し、出力電流IOUT(CH2)の向きは変化しない。
その後、クロック信号CLKが立ち上がると、出力信号OUT2AがHレベルになり、出力信号OUT2BがLレベルになる。出力信号OUT1Aと出力信号OUT1Bは変化しない。このため、出力電流IOUT(CH1)の向きは変化せず、出力電流IOUT(CH2)の向きが逆転する。つまり、期間T11と同じ状態に戻る。その後、期間T11〜期間T14の動作を繰り返す。
以上に説明したように、モータ励磁モードが「フルステップ」の場合は、クロック信号CLKが4回変化することで、電気角が360°となる。したがって、「フルステップ」時のトルクベクトルは、図22(b)のように表される。
次に、モータ励磁モードが「ハーフステップ」の場合を説明する。図23に出力電流を100%出力する「ハーフステップA」の例、図24に出力電流IOUT(CH1)及び出力電流IOUT(CH2)の大きさを制限して電気角に依らず駆動電流の大きさをほぼ一定にした「ハーフステップB」の例を示す。「ハーフステップB」ではステッピングモータの回転が滑らかになるが、トルクは減少する。DAC12が、設定信号MODE0及び設定信号MODE1の組み合わせに応じて、出力電流の大きさを制限するか否か、及び出力電流を制限する場合の制限量を設定する。図4に示した例では、設定信号MODE0をHレベル、設定信号MODE1をLレベルにすることにより、モータ励磁モードは「ハーフステップA」に設定される。
図23(a)に示すように、リセット信号PSが期間T21でHレベルになると、CH1の出力信号OUT1AがHレベルになり、出力信号OUT1BがLレベルになる。また、CH2の出力信号OUT2A及び出力信号OUT2Bは0レベルである。期間T21で出力電流IOUT(CH1)が100%の大きさで+方向に流れ、出力電流IOUT(CH2)は流れない。
期間T22でクロック信号CLKが立ち上がると、出力信号OUT2AがHレベルになり、出力信号OUT2BがLレベルになる。出力信号OUT1Aと出力信号OUT1Bは変化しない。出力電流IOUT(CH1)の向きは変化せず、出力電流IOUT(CH2)が100%の大きさで+方向に流れる。
期間T23でクロック信号CLKが立ち上がると、出力信号OUT1A及び出力信号OUT2Bが0レベルになる。出力信号OUT2Aと出力信号OUT2Bは変化しない。出力電流IOUT(CH1)は流れず、出力電流IOUT(CH2)の向きは変化しない。
期間T24でクロック信号CLKが立ち上がると、出力信号OUT1AがLレベルになり、出力信号OUT1BがHレベルになる。出力信号OUT2Aと出力信号OUT2Bは変化しない。出力電流IOUT(CH1)は100%の大きさで−方向に流れ、出力電流IOUT(CH2)の向きは変化しない。
期間T25でクロック信号CLKが立ち上がると、出力信号OUT2A及び出力信号OUT2Bが0レベルになる。出力信号OUT1A及び出力信号OUT1Bは変化しない。出力電流IOUT(CH1)は変化せず、出力電流IOUT(CH2)は流れない。
期間T26でクロック信号CLKが立ち上がると、出力信号OUT2AがLレベルになり、出力信号OUT2BがHレベルになる。出力信号OUT1Aと出力信号OUT1Bは変化しない。出力電流IOUT(CH1)の向きは変化せず、出力電流IOUT(CH2)が100%の大きさで−方向に流れる。
期間T27でクロック信号CLKが立ち上がると、出力信号OUT1A及び出力信号OUT1Bが0レベルになる。出力信号OUT2Aと出力信号OUT2Bは変化しない。出力電流IOUT(CH1)は流れず、出力電流IOUT(CH2)の向きは変化しない。
期間T28でクロック信号CLKが立ち上がると、出力信号OUT1AがHレベルになり、出力信号OUT1BがLレベルになる。出力信号OUT2Aと出力信号OUT2Bは変化しない。出力電流IOUT(CH1)は100%の大きさで+方向に流れ、出力電流IOUT(CH2)の向きは変化しない。
その後、クロック信号CLKが立ち上がると、出力信号OUT2AがHレベルになり、出力信号OUT2BがLレベルになる。出力信号OUT1Aと出力信号OUT1Bは変化しない。出力電流IOUT(CH1)の向きは変化せず、出力電流IOUT(CH2)は流れない。つまり、期間T21と同じ状態に戻る。その後、期間T21〜期間T28の動作を繰り返す。
以上に説明したように、モータ励磁モードが「ハーフステップA」の場合は、クロック信号CLKが8回立ち上がることで、電気角が360°となる。したがって、「ハーフステップA」時のトルクベクトルは、図23(b)のように表される。
設定信号MODE0をLレベル、設定信号MODE1をHレベルにすることにより、モータ励磁モードは「ハーフステップB」に設定される。図24に示すように、「ハーフステップB」での動作は「ハーフステップA」での動作と基本的に同一である。ただし、図24(a)に示すように出力電流IOUT(CH1)及び出力電流IOUT(CH2)の向きが変化する場合は、出力電流の値が67%の期間を経由する。つまり、出力電流IOUT(CH1)及び出力電流IOUT(CH2)が同時に流れる期間では、出力電流の値が67%に制限される。したがって、「ハーフステップB」時のトルクベクトルは、図24(b)のように表される。
設定信号MODE0をHレベル、設定信号MODE1をHレベルにすることにより、モータ励磁モードは「クォータステップ」に設定される。図25(a)に示すように、リセット信号PSが期間T31でHレベルになると、出力信号OUT1AがHレベルになり、出力信号OUT1BがLレベルになる。また、出力信号OUT2A及び出力信号OUT2Bは0レベルである。期間T41で出力電流IOUT(CH1)が100%の大きさで+方向に流れ、出力電流IOUT(CH2)は流れない。
ここで、CH1の出力に着目する。期間T42〜期間T44において出力信号OUT1AはHレベル、出力信号OUT1BはLレベルを維持するが、出力電流IOUT(CH1)の大きさは次第に減少し、100%、67%、33%になる。そして、期間T45において出力信号OUT1A及び出力信号OUT1Bが0レベルになると、出力電流IOUT(CH1)は流れない。
期間T46〜期間T52において出力信号OUT1AはLレベル、出力信号OUT1BはHレベルである。出力電流IOUT(CH1)は−方向に流れ、その大きさは期間T46〜期間T48において次第に増大し、33%、67%、100%になる。期間T48〜期間T50において出力電流IOUT(CH1)の大きさは100%であるが、期間T51〜期間T52において次第に減少し、67%、33%になる。期間T53において出力信号OUT1A及び出力信号OUT1Bが0レベルになると、出力電流IOUT(CH1)は流れない。
期間T54〜期間T56において出力信号OUT1AはHレベル、出力信号OUT1BはLレベルである。出力電流IOUT(CH1)は+方向に流れ、その大きさは期間T54〜期間T56において次第に増大し、33%、67%、100%になる。
一方、CH2の出力に着目すると、期間T42〜期間T48において出力信号OUT2AはHレベル、出力信号OUT2BはLレベルである。出力電流IOUT(CH2)は+方向に流れ、その大きさは期間T42〜期間T44において次第に増大し、33%、67%、100%になる。期間T44〜期間T46において出力電流IOUT(CH2)の大きさは100%であるが、期間T47〜期間T48において次第に減少し、67%、33%になる。期間T49において出力信号OUT2A及び出力信号OUT2Bが0レベルになると、出力電流IOUT(CH2)は流れない。
期間T50〜期間T56において出力信号OUT2AはLレベル、出力信号OUT2BはHレベルである。期間T50〜期間T52において出力電流IOUT(CH2)は−方向に流れ、その大きさは次第に増大し、33%、67%、100%になる。そして、期間T52〜期間T54において出力電流IOUT(CH2)の大きさは100%であるが、期間T55〜期間T56において次第に減少し、67%、33%になる。
その後、クロック信号CLKが立ち上がると、出力信号OUT1AはHレベル、出力信号OUT1BはLレベルを維持する。出力信号OUT2A及び出力信号OUT2Bが0レベルになる。出力電流IOUT(CH1)は+方向に100%の大きさで流れ、出力電流IOUT(CH2)は流れない。つまり、期間T41と同じ状態に戻る。その後、期間T41〜期間T56の動作を繰り返す。
以上に説明したように、モータ励磁モードが「クォータステップ」の場合は、クロック信号CLKが16回変化することで、電気角が360°となる。また、出力電流IOUT(CH1)及び出力電流IOUT(CH2)の大きさが制限されて、駆動電流の大きさが電気角に依らずほぼ一定になる。したがって、「クォータステップ」時のトルクベクトルは、図25(b)のように表される。モータ励磁モードを「クォータステップ」にすることによって、ステッピングモータの回転を滑らかにできる。
図26に、モータドライバ回路1の動作中にデコーダ11をリセットする場合のタイミングチャートの例を示す。図26は、モータ励磁モードが図25(a)に示した「クォータステップ」である場合に、期間T50の後にリセットした例である。図26に示すように、リセット信号PSをLレベルにすることで、他の入力信号に関係なくリセット動作が実行される。リセット動作が実行されると、モータドライバ回路1はスタンバイ状態になり、モータ出力をオープンにする。
リセット期間TRESET後にリセット信号PSをHレベルにすることで、モータドライバ回路1は通常状態に復帰する。通常状態復帰後は、図26に示すように期間T41における動作を実行する。
図27に、設定信号CW_CCWによってモータ回転方向を変更する場合のタイミングチャートの例を示す。図27は、モータ励磁モードが図22(a)に示した「フルステップ」である場合に、期間T11〜期間T13までCW方向で動作させた後に、モータ回転方向をCCW方向に変更した例である。図27に示すように、期間T13において設定信号CW_CCWをHレベルにすることによるモータ回転方向の変更は、設定信号CW_CCWが変化した直後のクロック信号CLKの立ち上がりエッジで反映される。
ただし、モータドライバ回路1側での制御が対応していても、モータ回転方向切り換え時のステッピングモータの動作状態によっては、ステッピングモータが追従できずにステッピングモータの脱調やミスステップ等が起こる可能性がある。そのため、モータ回転方向の切り換えシーケンスについては十分評価を行う必要がある。
図28及び図29に、出力イネーブル信号ENABLEによってモータドライバ回路1を停止させる場合のタイミングチャートの例を示す。出力イネーブル信号ENABLEをHレベルからLレベルにすることで、他の入力信号に関係なくモータドライバ回路1は停止する。出力イネーブル信号がLレベルの間は、モータ出力がオープンになるとともに、モータドライバ回路1が停止するためにクロック信号CLKが入力されても進相動作を行わない。
モータドライバ回路1では、TEST端子P15を使用して、モータドライバ回路1の概算チップ温度を直接測定することが可能である。TEST端子P15にはESD防止用の保護ダイオードが接続されているため、この保護ダイオードを利用してチップ温度をモニタできる。図30を参照して、チップ温度をモニタする方法を以下に説明する。
(イ)モータドライバ回路1に電源電圧を印加せずに、図30に示すようにTEST端子P15から対GNDに50μA程度の電流Idiodeを流して、TEST端子P15の端子電圧を測定する。この測定は、TEST端子P15に接続する保護ダイオードD29のVf電圧を測定していることになる。
(ロ)TEST端子P15の端子電圧の温度特性を測定する。ダイオードのVf電圧は温度に対し一次の負の温度係数を持つため、この温度特性の結果を用いてTEST端子P15の端子電圧からチップ温度の較正ができる。図31にチップ温度TjとVf電圧の関係の例を示す。
(ハ)モータドライバ回路1に電源電圧を印加し、ステッピングモータを駆動しながらTEST端子P15の端子電圧を測定し、(ロ)の結果を用いてチップ温度を推定する。なお、既に述べたように、モータドライバ回路1の通常動作時にはTEST端子P15をGND接続する。
図32に、モータドライバ回路1の電気的特性例を示す。図32において、特に指定のない限り、周囲温度Taが25℃、VCC1端子P5及びVCC2端子P20に電源電圧42Vを印加した場合の特性値である。
VCC1端子P5及びVCC2端子P20に印加する電源電圧の最大定格は−0.2V〜50Vである。図1に示すように、モータドライバ回路1はレギュレータ18を備えるため、電源1系統駆動である。そのため、セット設計が容易である。また、パッケージや基板の仕様等に依存する許容損失や出力トランジスタ等の安全動作領域(ASO)の範囲内で、チップ温度Tjが所定の最高接合温度Tjmax(例えば150℃)を超えない条件において、出力電流の最大定格は例えば1.0A/相である。ただし、出力電流の最大定格は1.0A/相に限られず、例えば1.5A/相、2.0A・相であってもよい。
なお、周囲温度Ta=−25℃〜85℃の範囲でのモータドライバ回路1の動作条件は、電源電圧VCC1、2が19V〜45V(標準:42V)、出力電流IOUT(連続)は、標準0.5A、最大0.7A/相である。
図33に、モータドライバ回路1によってデバイス200に内蔵されたステッピングモータ201を駆動する例を示す。ステッピングモータ201は、デバイス200内部の回転部202を、モータドライバ回路1に制御されて、ステップ単位で回転させる。デバイス200は、例えばシリアルドットインパクトプリンタ、ミシン、ファクシミリ、コピー機器等である。なお、ステッピングモータ201がデバイスの外部に配置されている構成であってもよい。
駆動対象のステッピングモータ201のモータコイルのインダクタンス値Lc及び抵抗値Rcや、所望の回転数に基づいて、モータドライバ回路1の電流減衰モードが設定される。例えばステッピングモータ201の時定数Rc/Lcが大きく、かつ高速に回転させるためにDAC12の切り換わりが速い場合には、高速減衰モードの比率を高くして電流減衰モードを設定する。時定数Rc/Lcが小さい場合には、高速減衰モードの比率が低い電流減衰モードを設定する。更に、ユーザはステッピングモータ201の振動測定等により、モータドライバ回路1の電流減衰モードを最適に設定できる。
コピー機やプリンタ等の紙送り部を動作させるために大きなトルクが必要なステッピングモータを駆動するには、モータ励磁モードをフルステップやハーフステップAに設定することが好ましい。一方、精密な読み取り機能が要求されるスキャナやステップが小さい監視カメラ等に使用するために振動が小さいことが必要なステッピングモータを駆動するには、モータ励磁モードをハーフステップBやクォータステップに設定することが好ましい。
本発明の第1の実施の形態に係るモータドライバ回路1によれば、第1の減衰率の期間と第2の減衰率の期間とを調整することにより、電流減衰期間における電流減衰率を調整できる。そのため、種々の仕様のステッピングモータについて、それぞれ最適な制御を実現できるモータドライバ回路1を提供することができる。また、動作タイミング制御に使用する端子がCLK端子P13の1本のみであるため、例えばCPUボードのポート数に制限がある場合に、図1に示したモータドライバ回路1は好適である。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係るモータドライバ回路1Aは、図34に示すように、デコーダ11を有さないことが図1に示したモータドライバ回路1と異なる点である。詳細は後述するが、モータドライバ回路1Aは複数の入力端子にそれぞれ入力するロジック信号によってモータドライバ回路1Aの動作タイミングを制御する「パラレルイン駆動方式」である点が、クロックイン駆動方式で動作タイミングを制御するモータドライバ回路1と異なる。その他の構成については、図1に示す第1の実施の形態と同様である。
図35に、図34に示すモータドライバ回路1Aの入出力端子の情報を示す。モータドライバ回路1のデコーダ11に接続する端子の代わりに、モータドライバ回路1Aは、PHASE1端子P13及びPHASE2端子P16の他に、VREF分割比設定端子として、I01端子P14、I11端子P15、I02端子P17及びI12端子P18を備える。
相切換端子であるPHASE1端子P13、PHASE2端子P16に、第1Hブリッジ回路H1及び第2Hブリッジ回路H2での電流の流れる方向を指定する信号が入力され、駆動電流出力回路17の出力論理が決定される。図36に、PHASE1端子P13、PHASE2端子P16の入力信号レベルに対するOUT1A端子P4、OUT1B端子P2、OUT2A端子P21、OUT2B端子P23の信号レベルの例を示す。図1に示したモータドライバ回路1では、相切換端子に設定される信号に相当する制御信号がデコーダ11から制御論理回路16に出力される。
I01端子P14、I11端子P15、I02端子P17及びI12端子P18(VREF分割比設定端子)は、DAC12による基準電圧の分割比を設定して出力電流の大きさ設定する信号が入力される端子である。つまり、出力電流値設定端子であるVREF端子P11に印加された基準電圧VREFがDAC12に入力されるが、VREF分割比設定端子にそれぞれ入力する信号レベルによってDAC12による基準電圧VREFの分割比が設定される。その結果、例えば図37に示すように、出力電流の値が設定される。
なお、I01端子P14とI11端子P15により、CH1の出力電流IOUT(CH1)の大きさが設定される。I02端子P17とI12端子P18により、CH2の出力電流IOUT(CH2)の大きさが設定される。VREF分割比設定端子がすべてHレベルの場合は、モータ出力はオープンになる。図1に示したモータドライバ回路1では、VREF分割比設定端子に設定される信号に相当する制御信号がデコーダ11からDAC12に出力される。
図38〜図41に、図36及び図37に示した特性を有するモータドライバ回路1Aによって「フルステップ」、「ハーフステップA」、「ハーフステップB」及び「クォータステップ」でステッピングモータを駆動する場合のタイミングチャート及びトルクベクトルの例を示す。なお、「ハーフステップB」及び「クォータステップ」では、DAC12によりCH1及びCH2の出力電流の大きさが制限され、電気角に依らずほぼ一定の大きさで駆動電流が流れる。
図38(a)〜図41(a)は、「フルステップ」、「ハーフステップA」、「ハーフステップB」及び「クォータステップ」それぞれのタイミングチャートを示す。図38(a)〜図41(a)において、PHASE1端子P13、PHASE2端子P16、I01端子P14、I11端子P15、I02端子P17及びI12端子P18それぞれの入力信号PHASE1、入力信号PHASE2、入力信号I01、入力信号I11、入力信号I02及び入力信号I11と、CH1の出力電流IOUT(CH1)、CH2の出力電流IOUT(CH2)の状態をそれぞれ示す。
図38(b)〜図41(b)は、「フルステップ」、「ハーフステップA」、「ハーフステップB」及び「クォータステップ」それぞれでの出力信号OUT1A、出力信号OUT1B、出力信号OUT2A、出力信号OUT2Bのトルクベクトルを示す。
先ず、「フルステップ」でステッピングモータを駆動する場合を説明する。ここで、VREF分割比設定端子はすべてLレベルに設定される。このため、図37に示したように、出力電流IOUT(CH1)及び出力電流IOUT(CH2)が流れる場合は100%の大きさで流れる。
図38(a)に示すように、期間T11で入力信号PHASE1及び入力信号PHASE2が共にHレベルであるため、出力電流IOUT(CH1)及び出力電流IOUT(CH2)が+方向に流れる。
期間T12で入力信号PHASE1のみLレベルになると、出力電流IOUT(CH1)の向きが逆転し、出力電流IOUT(CH2)の向きは変化しない。
期間T13で入力信号PHASE1及び入力信号PHASE2が共にLレベルになると、出力電流IOUT(CH1)及び出力電流IOUT(CH2)が−方向に流れる。
期間T14で入力信号PHASE1のみHレベルになると、出力電流IOUT(CH1)の向きが逆転し、出力電流IOUT(CH2)の向きは変化しない。その後、期間T11〜期間T14の動作を繰り返す。
以上に説明したように、「フルステップ」の場合は、入力信号PHASE1及び入力信号PHASE2のみで出力電流IOUT(CH1)及び出力電流IOUT(CH2)が制御される。期間T11〜期間T14で電気角が360°となるため、「フルステップ」時のトルクベクトルは、図38(b)のように表される。
次に、「ハーフステップA」でステッピングモータを駆動する場合を説明する。「ハーフステップA」では、図38(a)に示した「フルステップ」の場合と同様にして入力信号PHASE1及び入力信号PHASE2によりCH1とCH2の出力論理を制御しながら、入力信号I01、入力信号I11、入力信号I02及び入力信号I11によりCH1とCH2の出力電流の大きさを制御する。
ただし、CH1の出力電流IOUT(CH1)の大きさを制御する入力信号I01と入力信号I11は常に同レベルとし、CH2の出力電流IOUT(CH2)の大きさを制御する入力信号I02と入力信号I12は常に同レベルとする。図37に示したように、入力信号I01と入力信号I11が共にHレベル、及び入力信号I02と入力信号I12が共にHレベルの場合は出力電流の値は100%である。そして、入力信号I01と入力信号I11が共にLレベル、及び入力信号I02と入力信号I12が共にLレベルの場合は出力電流の値が0%である。そのため、図39に示すように、「ハーフステップA」では100%で出力電流が出力される。
例えば、図39(a)の期間T21で、入力信号PHASE1と入力信号PHASE2が共にHレベル、入力信号I01と入力信号I11が共にLレベル、入力信号I02と入力信号I12が共にHレベルに設定される。このため、100%で出力電流IOUT(CH1)が+方向に流れ、出力電流IOUT(CH2)は流れない。
次の期間T22で、入力信号PHASE1と入力信号PHASE2が共にHレベル、入力信号I01と入力信号I11が共にLレベル、入力信号I02と入力信号I12が共にLレベルに設定される。このため、100%で出力電流IOUT(CH1)及び出力電流IOUT(CH2)が+方向に流れる。
以上のように、「ハーフステップA」では入力信号PHASE1と入力信号PHASE2、及び入力信号I01、入力信号I11、入力信号I02、入力信号I11によって、出力電流IOUT(CH1)及び出力電流IOUT(CH2)が制御される。期間T21〜期間T28で電気角が360°となるため、「ハーフステップA」時のトルクベクトルは、図39(b)のように表される。
次に、「ハーフステップB」でステッピングモータを駆動する場合を説明する。「ハーフステップB」では、図39(a)に示した「ハーフステップA」の場合と同様に入力信号PHASE1及び入力信号PHASE2によりCH1とCH2の出力論理が制御される。
ただし、「ハーフステップB」では「ハーフステップA」の場合と異なり、入力信号I01と入力信号I11とが異なるレベルの期間を設定して、出力電流IOUT(CH1)の大きさを100%、67%、0%のいずれか調整する。更に、入力信号I02と入力信号I12とが異なるレベルの期間を設定して、出力電流IOUT(CH2)の大きさを100%、67%、0%のいずれかに調整する。そして、図40(a)に示すように、出力電流IOUT(CH1)と出力電流IOUT(CH2)が同時に流れる期間では、出力電流IOUT(CH1)と出力電流IOUT(CH2)の電流値が67%になるように設定される。したがって、「ハーフステップB」時のトルクベクトルは、図40(b)のように表される。「ハーフステップB」では、「ハーフステップA」の場合よりもステッピングモータの回転を滑らかにできる。
次に、「クォータステップ」でステッピングモータを駆動する場合を説明する。「クォータステップ」では、図40(a)に示した「ハーフステップB」の場合と同様に、入力信号PHASE1、入力信号PHASE2、入力信号I01、入力信号I11、入力信号I02及び入力信号I12によって、出力電流IOUT(CH1)及び出力電流IOUT(CH1)が制御される。
ただし、図41(a)に示すように、「ハーフステップB」の場合よりも細かく入力信号I01、入力信号I11、入力信号I02及び入力信号I12の組み合わせを設定することにより、出力電流IOUT(CH1)及び出力電流IOUT(CH1)の値を100%、67%、33%、0%のいずれかにそれぞれ調整される。
例えば、図41(a)の期間T41で、入力信号I01と入力信号I11が共にLレベル、入力信号I02と入力信号I12が共にHレベルに設定される。このため、100%で出力電流IOUT(CH1)が+方向に流れ、出力電流IOUT(CH2)は流れない。
次の期間T42で、入力信号I01と入力信号I11が共にLレベルに維持され、入力信号I02がLレベルに設定され、入力信号I12はHレベルに維持される。このため、出力電流IOUT(CH1)が67%で+方向に流れ、出力電流IOUT(CH2)が33%で+方向に流れる。
期間T43は、入力信号I01がHレベルに設定され、入力信号I11はLレベルに維持される。そして、入力信号I02がHレベルに設定され、入力信号I12がLレベルに設定される。このため、出力電流IOUT(CH1)が33%で+方向に流れ、出力電流IOUT(CH2)が67%で+方向に流れる。
そして期間T44では、入力信号I01がLレベルに設定され、入力信号I11がHレベルに設定される。そして、入力信号I02がLレベルに設定され、入力信号I12がLレベルを維持する。このため、出力電流IOUT(CH1)は流れず、出力電流IOUT(CH2)が100%で+方向に流れる。
その後も同様に、出力電流IOUT(CH1)と出力電流IOUT(CH2)の向きと大きさが設定されて、図41(a)に示すように期間T41〜期間T56で電気角が360°となる。電気角に依らずほぼ一定の大きさで駆動電流が流れるように相切換端子及びVREF分割比設定端子が設定されるため、「クォータステップ」時のトルクベクトルは、図41(b)のように表される。したがって、「クォータステップ」によりステッピングモータの回転を滑らかにできる。
以上に説明したように、図34に示したモータドライバ回路1Aでは、相切換端子である入力信号PHASE1及び入力信号PHASE2と、VREF分割比設定端子である入力信号I01、入力信号I11、入力信号I02及び入力信号I11によって、出力電流IOUT(CH1)及び出力電流IOUT(CH2)が制御される。
図1に示したモータドライバ回路1は、CLK端子P13のみで動作タイミングを設定するクロックイン駆動方式にてステッピングモータを駆動する。そのため、クロック信号CLKにノイズが発生する等によってモータドライバ回路1が誤動作するトラブルのリカバリーが容易でない。例えば、ノイズの発生により次のステップに進んでしまった場合に、戻すことができない。これに対し、図34に示したモータドライバ回路1Aは複数の入力信号によって動作タイミングが制御されるため、モータドライバ回路1に比べてリカバリーが容易である。
本発明の第2の実施の形態に係るモータドライバ回路1Aによれば、複数の入力信号により出力電流IOUTを制御するパラレルイン駆動方式が採用され、第1の減衰率と第2の減衰率とを混合した電流減衰率を設定することにより、種々の仕様のステッピングモータについてそれぞれ最適な制御を実現できる。他は、第1の実施の形態と実質的に同様であり、重複した記載を省略する。
なお、図1に示したクロックイン駆動方式を採用するモータドライバ回路1の機能と、図34に示したパラレルイン駆動方式を採用するモータドライバ回路1Aの機能とを1つのチップに実現し、このチップのセレクタ用パッドとパッケージとのワイヤーボンディングによって、以下のようにモータドライバ回路1とモータドライバ回路1Aとを使い分けてもよい。
既に説明したように、図1に示したPS端子P12をLレベルにすることによってデコーダ11は初期化される。このPS端子P12に隣接するようにクロックイン駆動方式とパラレルイン駆動方式を選択するセレクタ用パッドを配置する。セレクタ用パッドは内部でプルダウン抵抗によってGNDと接続されており、セレクタ用パッドがオープンであれば内部にローレベルの信号が入力されクロックイン駆動方式が選択される。また、ハイレベルの電位がセレクタ用パッドに入力されればパラレルイン駆動方式が選択される。
したがって、PS端子P12とセレクタ用パッドとをワイヤーボンディングすることによってリセット信号PSにハイレベルの信号が入力されるとパラレルイン駆動方式で回路が動作し、セレクタ用パッドとPS端子P12を接続しないときはクロックイン駆動方式で回路が動作する。
上記のように、例えば出荷時に駆動方式を選択し、クロックイン駆動方式を採用するモータドライバ回路1、或いはパラレルイン駆動方式を採用するモータドライバ回路1Aとしてユーザに提供できる。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1又は第2の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、既に述べた第1又は第2の実施の形態の説明においては、電流減衰方式設定端子がDEC1端子P9及びDEC2端子P10の2端子である例を示したが、電流減衰方式設定端子を3端子以上にしてもよい。また、出力電流の値を設定するDAC12に2ビットの信号が入力される例を示したが、3ビット以上の信号をDAC12に入力して出力電流の値を制御してもよい。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
本発明のモータドライバ回路は、ステッピングモータの制御技術に利用可能である。
1、1A…モータドライバ回路
11…デコーダ
12…DAC
13…ブランクタイム制御回路
14…三角波発生回路
15…減衰率制御回路
16…制御論理回路
17…駆動電流出力回路
18…レギュレータ
20…リセット回路
21…UVLO回路
22…TSD回路
23…OCP回路
30…内部回路
101…RC回路
171…プリドライバ
H1、H2…Hブリッジ回路
200…デバイス
201…ステッピングモータ
202…回転部

Claims (3)

  1. ステッピングモータに駆動電流を供給するモータドライバ回路であって、
    第1の減衰率と該第1の減衰率より小さい第2の減衰率とを混合して複数の混合減衰率を設定する減衰率制御回路と、
    前記混合減衰率で前記駆動電流を減衰させる励磁パターンを生成する制御論理回路と、
    前記励磁パターンに従って前記駆動電流を前記ステッピングモータに出力する駆動電流出力回路と
    を備えることを特徴とするモータドライバ回路。
  2. 前記減衰率制御回路が、前記駆動電流の電流減衰期間における前記第1の減衰率で前記駆動電流を減衰させる期間と前記第2の減衰率で前記駆動電流を減衰させる期間との比率を変化させて、前記複数の混合減衰率を設定することを特徴とする請求項1に記載のモータドライバ回路。
  3. 外部からの設定信号をそれぞれ受信する複数の減衰比率設定端子を更に備え、前記設定信号によって前記減衰率制御回路が制御され、前記複数の混合減衰率が設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のモータドライバ回路。
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