JP2014125415A - Ito粉末 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のITO粉末は、棒状中心核の周囲に前記中心核より短い複数の棒状体が、棒状中心核の長手方向と同方向に沿いかつ棒状中心核を囲むように一体的に形成された多結晶ITO粒子の集合体からなる。前記多結晶ITO粒子の平均長さLが0.2〜5.0μmの範囲であって、前記多結晶ITO粒子の平均直径をDとするとき、L/Dが2〜20の範囲にある。
【選択図】図1
Description
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明のITO粉末を含むITO導電膜用塗料である。
本発明の第3の観点は、第2の観点に基づくITO導電膜用塗料を用いることを特徴とする透明導電膜の製造方法である。
また、本発明の多結晶ITO粒子は、周囲が複数の棒状体からなるため、ITO粒子同士を接触させること、棒状体の凸部と、棒状体間の凹部がギアのように係合するため、接触面積を大きくすることができ、かつ粒子間に空隙もできにくい。その結果、本発明の多結晶ITO粒子からなるITO粉末を含有する、ITO導電膜用塗料を用いて塗工された透明導電膜の電気抵抗を下げることができる。
<多結晶ITO粒子及びそのITO粉末>
図1に模式的に示されているように、本発明の多結晶ITO粒子10は、棒状中心核11と複数の棒状体12からなり、棒状中心核11の長手方向に基本的に同じ向きに沿って棒状中心核11を囲むようにして一体的に形成されている。更に図2の写真図を参照すると、多結晶ITO粒子は、複数の短い棒状体が小枝のように観察され、これらの短い棒状体が棒状中心核の周囲を囲みながら互いに隣接し合いながら同様の方向に並んで棒状中心核に固着していることが観察される。なお、図2に示すように複数の棒状体のそれぞれの径及び長さは必ずしも同一である必要はなく、その断面形状、表面形状も必ずしも同一である必要はない。
本発明のITO粉末の製造方法を以下説明する。
先ず、第1の工程として、スズ塩とインジウム塩とを所定の割合で秤量混合し、当該混合物を純水に溶解してスズ塩とインジウム塩との混合溶液とし、当該混合溶液とアルカリとを反応させて、スズ含有水酸化インジウムの懸濁液を生成させる。混合の方法としては、スズ塩とインジウム塩との混合水溶液へ、アンモニア等のアルカリを添加して反応させる方法が好ましい。スズ塩とインジウム塩との混合水溶液へ、アルカリを添加すると、異方性粒子が生成し易い上に、アルカリ添加の際の温度、添加速度及び/又は粒子濃度を制御することによって、生成する水酸化物粒子の大きさや軸比を制御できる。
以上の工程を経て、本発明の多結晶ITO粒子からなるITO粉末を得ることができる。
インジウム濃度が18.5質量%の塩化インジウム水溶液(InCl2)100gと、塩化スズ(SnCl4・5H2O)6.3gとを秤量し、2000mlの純水に溶解して、塩化インジウムと塩化スズとの混合溶液を調製した。当該混合溶液のスズの濃度は、Sn/Inをモル比で0.10となるようにした。この塩化インジウムと塩化スズとの混合溶液を50℃に加温し、29質量%のアンモニア水を15分間かけて徐々に添加し、スズ含有水酸化インジウムの懸濁液とした。アンモニア水を添加し、沈殿を生成している間、凝集を防ぎ、かつ多結晶ITO粒子を作製するために34kHzの超音波を上記懸濁液に付与した。このスズ含有水酸化インジウムの懸濁物を濾過収集して、純水により洗浄して、スズ含有水酸化インジウムのケーキを得た。共沈物の洗浄は、遠心分離機で脱水した後、イオン交換水を加えて洗浄しながら遠心ろ過を行い、ろ液の比抵抗が5000Ω・cm以上に達したところで遠心ろ過を終了した。スズ含有水酸化インジウムのケーキを100℃で乾燥した。このスズ含有水酸化インジウムを焼成炉内に設置し、N2雰囲気中で500℃、2時間焼成し、更に、H2濃度1容積%のN2雰囲気中、250℃、3時間焼成(還元処理)を行った。これにより平均長さLが0.1μm、平均直径Dが0.05μmの多結晶ITO粒子からなるITO粉末を得た。
混合液の液温を40℃にし、超音波を照射しながら混合液にアンモニア水を添加する時間を20分にした以外は、実施例1と同様にして、平均長さLが0.2μm、平均直径Dが0.05μmの多結晶ITO粒子からなるITO粉末を得た。
混合液の液温を80℃にし、超音波を照射しながら混合液にアンモニア水を添加する時間を90分にした以外は、実施例1と同様にして、平均長さLが0.5μm、平均直径Dが0.07μmの多結晶ITO粒子からなるITO粉末を得た。
混合液の液温を80℃にし、超音波を照射しながら混合液にアンモニア水を添加する時間を150分にした以外は、実施例1と同様にして、平均長さLが1.0μm、平均直径Dが0.1μmの多結晶ITO粒子からなるITO粉末を得た。
混合液の液温を80℃にし、焼成温度を800℃にした以外は、実施例1と同様にして、平均長さLが3.0μm、平均直径Dが1.0μmの多結晶ITO粒子からなるITO粉末を得た。
混合液の液温を65℃にし、超音波を照射しながら混合液にアンモニア水を添加する時間を600分にした以外は、実施例1と同様にして、平均長さLが5.0μm、平均直径Dが0.25μmの多結晶ITO粒子からなるITO粉末を得た。
インジウム濃度が18.5質量%の塩化インジウム水溶液(InCl3)203gと、塩化スズ(SnCl4・5H2O)5.6gとを秤量し、純水に溶解して、塩化インジウムと塩化スズとの混合溶液2.9lを調製した。混合溶液において、スズの濃度は、インジウムとスズの合計に対して5mol%とした。一方、濃度10質量%のNaOH水溶液を準備し、前記塩化インジウムと塩化スズとの混合溶液へ添加した。NaOHの添加量はInCl3とSnCl4を中和するのに必要な当量の1.2倍とした。具体的には、塩化インジウムと塩化スズとの混合溶液を10℃に保ちながら、NaOH水溶液を10分間かけて添加し、スズ含有水酸化インジウムの懸濁液とした。比較例1では懸濁液に超音波を付与しなかった。このスズ含有水酸化インジウムの懸濁物を濾過収集して、純水により洗浄して、スズ含有水酸化インジウムのケーキを得た。得られたスズ含有水酸化インジウムのケーキを100℃で乾燥した。乾燥したスズ含有水酸化インジウムを焼成炉内に設置し、大気雰囲気で、250℃、2時間焼成を行った。次に、N2雰囲気中、800℃、1時間焼成し、更に、H2濃度1容積%のN2雰囲気中、250℃、5時間焼成(還元処理)を行った。そして、当該温度を保ったまま、相対湿度80%のN2雰囲気に50分間接触させた。これにより、平均長さLが0.1μm、平均直径Dが0.1μmの多結晶化していないITO粒子からなるITO粉末を得た。
混合液の液温を90℃にし、超音波を照射しながら混合液にNaOH水溶液を添加する時間を720分にした以外は、比較例1と同様にして、平均長さLが6.1μm、平均直径Dが0.2μmの多結晶していないITO粒子からなるITO粉末を得た。
実施例1〜6及び比較例1、2によって得られたITO粉末を用いて作製したITO導電膜の各測定方法を以下に示す。測定結果は表1にまとめた。多結晶ITO粒子の平均長さL及び平均直径Dの測定は、多結晶ITO粒子のSEM写真を準備し、SEM写真上における多結晶ITO粒子の長さLと直径Dとをノギスで実測し、実測値を倍率換算して、各々その平均値を求めた。更に、軸比は平均長さLを平均直径Dで割ったL/D値から算出した。実施例1〜6及び比較例1、2ではそれぞれITO粒子を100個を測定した。測定の際、ITO粒子に粒子境界が明確でないものは測定の対象外とした。
平均長さLが0.1〜5.0μmでL/Dが2〜20の範囲にある実施例1〜6のITO導電膜は、平均長さLが0.1μmでL/Dが1である比較例1のITO導電膜及び平均長さLが6.1μmでL/Dが30.5である比較例2のITO導電膜と比較して、比表面積が大きく、ヘーズ及びシート抵抗が低く、透明導電膜として優れていることが判った。これは実施例1〜6のITO導電膜では、比較例1、2のITO導電膜と比べて、ITO粒子が粒界においてすべり、粒子間の空隙を埋めることで、ITO導電膜の曇り度であるヘーズが低減したものと考えられる。
11:棒状中心核
12:棒状体
Claims (3)
- 棒状中心核の周囲に前記中心核より短い複数の棒状体が、棒状中心核の長手方向と同方向に沿いかつ棒状中心核を囲むように一体的に形成された多結晶ITO粒子の集合体からなるITO粉末であって、
前記多結晶ITO粒子の平均長さLが0.2〜5.0μmの範囲にあって、前記多結晶ITO粒子の平均直径をDとするとき、L/Dが2〜20の範囲にあることを特徴とするITO粉末。 - 請求項1記載のITO粉末を含むITO導電膜用塗料。
- 請求項2記載のITO導電膜用塗料を用いることを特徴とする透明導電膜の製造方法。
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