JP2014125415A - Ito粉末 - Google Patents

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Abstract

【課題】多結晶ITO粒子を含有する塗料を用いてITO導電膜からなる透明導電膜を製造したときに、透明導電膜の電気抵抗を下げる。
【解決手段】本発明のITO粉末は、棒状中心核の周囲に前記中心核より短い複数の棒状体が、棒状中心核の長手方向と同方向に沿いかつ棒状中心核を囲むように一体的に形成された多結晶ITO粒子の集合体からなる。前記多結晶ITO粒子の平均長さLが0.2〜5.0μmの範囲であって、前記多結晶ITO粒子の平均直径をDとするとき、L/Dが2〜20の範囲にある。
【選択図】図1

Description

本発明は、棒状の多結晶ITO(Indium Tin Oxide)粒子からなるITO粉末に関する。更に詳しくは透明導電膜の原料に用いられるITO粉末に関するものである。
近年、透明導電膜としてITO導電膜を用いることが普及している。このITO導電膜は、ITOのターゲットを用いてスパッタリングする物理成膜法や、或いはITO粒子を分散させた分散液又はITOを含有する有機化合物を塗布する塗布成膜法により成膜するのが一般的である。ここで、樹脂フィルム上に成膜する場合、物理成膜法よりも塗布成膜法を用いた方が屈曲性や生産性の点から有利であるとされている。塗布成膜法により形成されたITO導電膜は、物理成膜法により形成されたITO導電膜と比べて導電性は多少低いけれども、塗布成膜法では、塗布成膜の際に真空装置等の高価な装置を用いずに済み、また大面積や複雑形状の成膜に容易に対応でき、結果として製造コストを低減できるからである。特に、この塗布成膜法のうちITO粒子を分散させた分散液を塗料として用いる方法が注目されている。その理由は、この方法が、ITOを含有する有機化合物を塗料として用いる方法と比べて、塗布膜を熱分解させる必要がなく、これにより比較的低温で成膜できる上、良好な導電性が得られるためである。また、ITO粒子の観点からも改良が重ねられており、分散液に分散させたITO粒子の形状を棒状にすることで、導電経路を形成させる際に粒子同士の接触度を高め、塗布成膜法によるITO導電膜の持つ導電性が低い点を克服しようとする技術が提案されている。これは、ITO導電膜を形成する基板上で、棒状のITO粒子が隣接しながら長尺方向に配列させることができれば、粒子同士の界面が減るので、結果的に電気抵抗が下がるからである。
このような棒状のITO粒子及びこのITO粒子を分散させた塗料は、例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1には、スズ塩及びインジウム塩の溶液とアルカリ水溶液との中和反応により反応系のpHを2.0〜4.0に調整した後、更に反応系の温度を15〜80℃に保持しながらアルカリ水溶液を少なくとも30分かけて最終的にpHが5.0〜9.0となるように添加して得られた棒状の酸化スズ及び酸化インジウムの水和物を加熱処理するスズ含有酸化インジウム微粉末の製造方法が開示されている。このスズ含有酸化インジウム微粉末の製造方法では、スズ含有酸化インジウム(ITO)微粉末の短軸径が0.02〜0.10μm、長軸径が0.2〜0.95μmの範囲にある。このような方法で製造されたスズ含有酸化インジウム微粉末は棒状になるので、これを用いて塗料を調製し塗布した場合、少量で導電性に優れかつ透明性の良好な膜を形成できるようになっている。なお、上記特許文献1には、ITO微粉末の形状が棒状ではなく針状と記載されているけれども、本明細書及び本特許請求の範囲では、ITO粉末が、棒状中心核の周囲にこの中心核より短い複数の棒状体が棒状中心核の長手方向と同方向に沿いかつ棒状中心核を囲むように一体的に形成された多結晶ITO粒子からなると記載しているため、特許文献1においても針状ではなく棒状と記載している。
特開平6−80422号公報(請求項1及び2、段落[0029])
ところが、上記従来の特許文献1に示されたスズ含有酸化インジウム微粉末の製造方法では、棒状のスズ含有酸化インジウム(ITO)微粉末が常にITO導電膜を形成する基板面に沿って、平行に配列すればよいけれども、基板面に対し垂直に立ってしまう不具合があった。この不具合は、棒状のITO微粉末を分散させた塗料を基板面に塗工する際に、ロールコート等の塗工機により上から加圧すれば克服し得る。
しかし、上記従来の特許文献1に示されたスズ含有酸化インジウム微粉末の製造方法では、棒状のITO微粉末が分散液中で絡まり合って、ジャム状態になるとともに、棒状のITO微粉末間に空隙ができ易くなる問題点があった。このため、上記方法で製造されたITO導電膜からなる透明導電膜は、その電気抵抗が上昇し、例えば透明導電膜を含む薄膜太陽電池等のオプティカルデバイスの性能を劣化させてしまう問題点があった。
本発明の目的は、棒状のITO粒子を所定形状の多結晶にすることにより、ITO粒子間の接触抵抗の要因となる粒子同士の界面の数を減らして、粒子同士の接触面積を大きくすることによって、ITO粉末を含有する塗料を用いて、ITO導電膜からなる透明導電膜を製造したときに、透明導電膜の電気抵抗を下げることができるITO粉末を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、棒状の多結晶ITO粒子を含む分散液をITO導電膜用塗料として用いる場合、棒状の多結晶ITO粒子を絡まり易い単なる棒状にしないこと、棒状の多結晶ITO粒子を基板面で立ち難くすること、多結晶ITO粒子同士を常に空隙無く接触させること、多結晶ITO粒子同士の接触面積を増やすことが必要であることにより、電気抵抗が下がることを見出し、本発明をなすに至った。
本発明の第1の観点は、棒状中心核の周囲に前記中心核より短い複数の棒状体が、棒状中心核の長手方向と同方向に沿いかつ棒状中心核を囲むように一体的に形成された多結晶ITO粒子の集合体からなるITO粉末であって、前記多結晶ITO粒子の平均長さLが0.2〜5.0μmの範囲にあり、前記多結晶ITO粒子の平均直径をDとするとき、L/Dが2〜20の範囲にあることを特徴とするITO粉末である。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明のITO粉末を含むITO導電膜用塗料である。
本発明の第3の観点は、第2の観点に基づくITO導電膜用塗料を用いることを特徴とする透明導電膜の製造方法である。
本発明の第1の観点によれば、棒状の多結晶ITO粒子からなるITO粉末を用いている。この多結晶ITO粒子は、棒状中心核の周囲に前記中心核より短い複数の棒状体が、棒状中心核の長手方向と同方向に沿い、かつ棒状中心核を囲むように一体的に形成された、多結晶ITO粒子であるため、ITO導電膜を形成する基板面に対して垂直に立ちにくく、むしろあたかもラグビーボールのように倒れやすい。このため、ITO粉末が分散液中で絡まり合ってジャム状態になることを阻止できる。
また、本発明の多結晶ITO粒子は、周囲が複数の棒状体からなるため、ITO粒子同士を接触させること、棒状体の凸部と、棒状体間の凹部がギアのように係合するため、接触面積を大きくすることができ、かつ粒子間に空隙もできにくい。その結果、本発明の多結晶ITO粒子からなるITO粉末を含有する、ITO導電膜用塗料を用いて塗工された透明導電膜の電気抵抗を下げることができる。
本発明の第2の観点によれば、上記ITO粉末を含むITO導電膜用塗料を用いて基板に塗布されて、形成される透明導電膜の電気抵抗を下げることができ、また透明導電膜の曇り度であるヘーズ値を下げ、かつ透過率を向上させることができる。
本発明のITO粉末の多結晶ITO粒子の模式図である。(a)は模式斜視図、(b)は模式断面図である。 本発明の多結晶ITO粒子、ITO粉末の一形態をSEMによって撮像した写真図である。(a)は10,000倍の写真図、(b)は50,000倍の写真図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
<多結晶ITO粒子及びそのITO粉末>
図1に模式的に示されているように、本発明の多結晶ITO粒子10は、棒状中心核11と複数の棒状体12からなり、棒状中心核11の長手方向に基本的に同じ向きに沿って棒状中心核11を囲むようにして一体的に形成されている。更に図2の写真図を参照すると、多結晶ITO粒子は、複数の短い棒状体が小枝のように観察され、これらの短い棒状体が棒状中心核の周囲を囲みながら互いに隣接し合いながら同様の方向に並んで棒状中心核に固着していることが観察される。なお、図2に示すように複数の棒状体のそれぞれの径及び長さは必ずしも同一である必要はなく、その断面形状、表面形状も必ずしも同一である必要はない。
本発明の多結晶ITO粒子10の平均長さLは、0.2〜5.0μm、好ましくは1.0〜5.0μmの範囲にある。多結晶ITO粒子10の平均直径をDとするとき、L/Dが2〜20、好ましくは3〜10の範囲にある。Lは0.2μm未満では、ITO導電膜を形成する基板面に対して垂直に立ち易くなり、ラグビーボールのように倒れやすい効果が得られない。Lが5.0μmを越えると、粒子同士のパッキングが悪くなる。またL/Dが2未満では異方性による導電性向上の効果が得られず、20を越えると塗膜作製時に棒状粒子が破断し、短くなってしまうという不具合を生じる。
本発明のITO粉末の多結晶ITO粒子は、上記の形状を持つため、例えば塗布型ITOフィルムの製造時、樹脂フィルムに当該ITO粉末を含む塗料を加圧しながら塗布したときに、塗布方向に沿って樹脂フィルム面に配向し易い。即ち、多結晶ITO粒子は樹脂フィルム面に転がって横たわり易い。また、本発明のITO粒子は多結晶であるため、粒界で適度なずれが生じる結果、粒子間の空隙が充填され易くなり、多結晶ITO粒子間が密になる。結果として、本発明のITO粒子を透明電極等の材料に用いたときに、より電気抵抗を下げ、これにより良好な導電性が得られる。またそればかりでなく、多結晶ITO粒子間が充填される結果、透明基板やフィルム上に塗布したとき塗布層が緻密組織になり、これにより薄膜太陽電池の受光面やオプティカルデバイスの透明電極等の光透過率を良好とし、かつヘーズを低下させることができる。
<ITO粉末の製造方法>
本発明のITO粉末の製造方法を以下説明する。
先ず、第1の工程として、スズ塩とインジウム塩とを所定の割合で秤量混合し、当該混合物を純水に溶解してスズ塩とインジウム塩との混合溶液とし、当該混合溶液とアルカリとを反応させて、スズ含有水酸化インジウムの懸濁液を生成させる。混合の方法としては、スズ塩とインジウム塩との混合水溶液へ、アンモニア等のアルカリを添加して反応させる方法が好ましい。スズ塩とインジウム塩との混合水溶液へ、アルカリを添加すると、異方性粒子が生成し易い上に、アルカリ添加の際の温度、添加速度及び/又は粒子濃度を制御することによって、生成する水酸化物粒子の大きさや軸比を制御できる。
更に、本発明では、所定周波数の超音波を混合中の上記反応液に照射する。この超音波の付与により、ITO棒状中心核の周囲にこのITO棒状中心核より短い複数のITO棒状体が、ITO棒状中心核の長手方向と同様の向きに沿いかつITO棒状中心核を囲むように一体的に形成された多結晶ITO粒子からなるITO粉末を製造することができる。超音波の周波数は20〜10000kHzとする。周波数が、20kHz未満では超音波の攪拌効果が弱く、一方、10000kHzを越えると超音波の出力が落ちて、十分な効果が得られない。周波数は更に20〜1000kHzとすることが好ましい。
超音波を上記の懸濁液に付与する所定時間は、周波数や中和液の容量等によって適宜調整する必要がある。例えば、超音波の周波数が100kHzのときで、反応液の容量が1Lのときには超音波を照射しながら、アルカリを滴下する時間は、20〜600分が好ましい。超音波の付与時間は短すぎると、超音波照射の効果が十分に得られない不具合があり、長すぎると、粒子が長くなりすぎる不具合がある。超音波が反応液に均一に付与されるように、反応液の液面は超音波照射装置の液面(照射装置から反応器へ超音波を伝える媒体)と同一になるようにする。この超音波の付与によって、異方性ITO粒子の単体同士の凝集を防ぐと同時に、ITO棒状中心核の周囲に中心核より短い複数のITO棒状体が、ITO棒状中心核の長手方向と同様の向きに沿いかつITO棒状中心核を囲むように固着された多結晶ITO粒子を得ることができる。
ここで、スズ及びインジウムの塩としては、塩酸塩、硫酸塩、又は硝酸塩などがあるが、一般的には塩酸塩が好ましい。また、アルカリとしては、アンモニア、苛性ソーダ、苛性カリ、又はそれらの炭酸塩が用いられるが、スズ含有水酸化インジウムのスラリー生成後における不純物を削減する観点からアンモニアを用いることが好ましい。
生成したスズ含有水酸化インジウムのスラリーを固液分離により採集し、純水により不純物を洗浄することで、純度を高めたスズ含有水酸化インジウムのケーキが得られる。得られたケーキを、室温以上、望ましくは80℃以上の温度で乾燥することにより、スズ含有水酸化インジウムの乾燥粉が得られる。
スズ含有水酸化インジウム中において、スズは水酸化インジウムのインジウムと置換している場合もあるが、酸化スズ及び/又は水酸化スズとして水酸化インジウムと共沈している場合もあり、酸化スズ及び/又は水酸化スズとして水酸化インジウムと非晶質の混合体となっている場合もある。
上述したように、スズ含有水酸化インジウムの粒子径は、水酸化物を得る工程で決定される。具体的には、反応温度を40〜90℃の範囲に、反応時間(全中和にかかる時間)を20〜600分の範囲に、最終粒子濃度を0.01〜3mol/Lの範囲にそれぞれ制御することで所望の粒径を有するスズ含有水酸化インジウムを得ることができる。
ここで、例えば多結晶ITO粒子の平均長さLが0.2μm、平均直径Dが1μmであるスズ含有水酸化インジウムの針状粒子を合成する場合には、反応温度を60℃、反応時間(全中和にかかる時間)を75分、最終粒子濃度を0.5mol/Lとすれば良い。一方、スズ含有水酸化インジウムの針状粒子より平均長さの小さな粒子を製造する場合は、反応温度を低く設定するか、反応速度を短くするか又は粒子濃度を高くすればよい。なお、最終的に生成される多結晶ITO粒子のサイズは、当該スズ含有水酸化物のサイズによりほぼ決定される。即ち、当該スズ含有水酸化物はITO粒子へ変化する際、平均長さL及び平均直径D共に70〜80%程度収縮する。
次に、第2の工程である、得られたスズ含有水酸化インジウムを焼成する工程について説明する。この焼成工程の目的は、スズ含有水酸化インジウムから、酸化物であるITOを生成させること及び得られるITOの結晶に酸素欠損を与えることである。従って、この焼成工程はITOの結晶に酸素欠損を与えるために不活性ガスと還元性ガスとを混合した弱還元雰囲気下で行われる。通常、弱還元雰囲気として、窒素やヘリウム、アルゴン等の不活性ガスに、水素や一酸化炭素、アンモニアガス、アルコールを混合した混合ガスが用いられる。混合ガスにおける各ガスの混合比率はITOの結晶に付与しようとする酸素欠損量により適宜決定される。但し混合ガスの還元力が強すぎると、スズ含有水酸化インジウムはInO、金属In等になってしまう。また、水素や一酸化炭素等の混合比率は、混合ガスが大気中で爆発限界を越えない程度の濃度にすることが望ましい。
焼成工程では、初めに焼成が行われ、続いて還元処理が行われる。焼成は、スズ含有水酸化インジウムを脱水して酸化インジウムにする。焼成温度は300〜1000℃である。300℃以上で完全な酸化物を得ることができ、1000℃以下でITO粒子間同士の激しい焼結を回避できる。好ましい焼成温度は350〜800℃以下である。焼成時間は0.1時間以上であればよいが、脱水反応が終了すれば、それ以上は不要である。雰囲気は大気とする。
焼成後の還元処理は、好ましくは200〜500℃未満の温度で上述した還元雰囲気下で行われる。200℃以上あれば酸素欠損を付与でき、500℃未満であれば、適当な還元力が得られるので絶縁性のInOが生成されない。還元処理時間は0.5〜5時間である。0.5時間未満では酸素欠損の形成が不十分であり、5時間を越えても優位な変化が見られない。
以上の工程を経て、本発明の多結晶ITO粒子からなるITO粉末を得ることができる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
インジウム濃度が18.5質量%の塩化インジウム水溶液(InCl)100gと、塩化スズ(SnCl・5HO)6.3gとを秤量し、2000mlの純水に溶解して、塩化インジウムと塩化スズとの混合溶液を調製した。当該混合溶液のスズの濃度は、Sn/Inをモル比で0.10となるようにした。この塩化インジウムと塩化スズとの混合溶液を50℃に加温し、29質量%のアンモニア水を15分間かけて徐々に添加し、スズ含有水酸化インジウムの懸濁液とした。アンモニア水を添加し、沈殿を生成している間、凝集を防ぎ、かつ多結晶ITO粒子を作製するために34kHzの超音波を上記懸濁液に付与した。このスズ含有水酸化インジウムの懸濁物を濾過収集して、純水により洗浄して、スズ含有水酸化インジウムのケーキを得た。共沈物の洗浄は、遠心分離機で脱水した後、イオン交換水を加えて洗浄しながら遠心ろ過を行い、ろ液の比抵抗が5000Ω・cm以上に達したところで遠心ろ過を終了した。スズ含有水酸化インジウムのケーキを100℃で乾燥した。このスズ含有水酸化インジウムを焼成炉内に設置し、N雰囲気中で500℃、2時間焼成し、更に、H濃度1容積%のN雰囲気中、250℃、3時間焼成(還元処理)を行った。これにより平均長さLが0.1μm、平均直径Dが0.05μmの多結晶ITO粒子からなるITO粉末を得た。
<実施例2>
混合液の液温を40℃にし、超音波を照射しながら混合液にアンモニア水を添加する時間を20分にした以外は、実施例1と同様にして、平均長さLが0.2μm、平均直径Dが0.05μmの多結晶ITO粒子からなるITO粉末を得た。
<実施例3>
混合液の液温を80℃にし、超音波を照射しながら混合液にアンモニア水を添加する時間を90分にした以外は、実施例1と同様にして、平均長さLが0.5μm、平均直径Dが0.07μmの多結晶ITO粒子からなるITO粉末を得た。
<実施例4>
混合液の液温を80℃にし、超音波を照射しながら混合液にアンモニア水を添加する時間を150分にした以外は、実施例1と同様にして、平均長さLが1.0μm、平均直径Dが0.1μmの多結晶ITO粒子からなるITO粉末を得た。
<実施例5>
混合液の液温を80℃にし、焼成温度を800℃にした以外は、実施例1と同様にして、平均長さLが3.0μm、平均直径Dが1.0μmの多結晶ITO粒子からなるITO粉末を得た。
<実施例6>
混合液の液温を65℃にし、超音波を照射しながら混合液にアンモニア水を添加する時間を600分にした以外は、実施例1と同様にして、平均長さLが5.0μm、平均直径Dが0.25μmの多結晶ITO粒子からなるITO粉末を得た。
<比較例1>
インジウム濃度が18.5質量%の塩化インジウム水溶液(InCl)203gと、塩化スズ(SnCl・5HO)5.6gとを秤量し、純水に溶解して、塩化インジウムと塩化スズとの混合溶液2.9lを調製した。混合溶液において、スズの濃度は、インジウムとスズの合計に対して5mol%とした。一方、濃度10質量%のNaOH水溶液を準備し、前記塩化インジウムと塩化スズとの混合溶液へ添加した。NaOHの添加量はInClとSnClを中和するのに必要な当量の1.2倍とした。具体的には、塩化インジウムと塩化スズとの混合溶液を10℃に保ちながら、NaOH水溶液を10分間かけて添加し、スズ含有水酸化インジウムの懸濁液とした。比較例1では懸濁液に超音波を付与しなかった。このスズ含有水酸化インジウムの懸濁物を濾過収集して、純水により洗浄して、スズ含有水酸化インジウムのケーキを得た。得られたスズ含有水酸化インジウムのケーキを100℃で乾燥した。乾燥したスズ含有水酸化インジウムを焼成炉内に設置し、大気雰囲気で、250℃、2時間焼成を行った。次に、N雰囲気中、800℃、1時間焼成し、更に、H濃度1容積%のN雰囲気中、250℃、5時間焼成(還元処理)を行った。そして、当該温度を保ったまま、相対湿度80%のN雰囲気に50分間接触させた。これにより、平均長さLが0.1μm、平均直径Dが0.1μmの多結晶化していないITO粒子からなるITO粉末を得た。
<比較例2>
混合液の液温を90℃にし、超音波を照射しながら混合液にNaOH水溶液を添加する時間を720分にした以外は、比較例1と同様にして、平均長さLが6.1μm、平均直径Dが0.2μmの多結晶していないITO粒子からなるITO粉末を得た。
<比較試験>
実施例1〜6及び比較例1、2によって得られたITO粉末を用いて作製したITO導電膜の各測定方法を以下に示す。測定結果は表1にまとめた。多結晶ITO粒子の平均長さL及び平均直径Dの測定は、多結晶ITO粒子のSEM写真を準備し、SEM写真上における多結晶ITO粒子の長さLと直径Dとをノギスで実測し、実測値を倍率換算して、各々その平均値を求めた。更に、軸比は平均長さLを平均直径Dで割ったL/D値から算出した。実施例1〜6及び比較例1、2ではそれぞれITO粒子を100個を測定した。測定の際、ITO粒子に粒子境界が明確でないものは測定の対象外とした。
比表面積は、測定装置としてカンタクロム社製のモノソーブを用い、BET1点法により求めた。導電性の特性は、ITOフィルムを作製し、その電気抵抗を評価した。ITOフィルムの作製方法は、まず、片面にポリウレタンが塗布された10cm×30cm角のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基材(100μm厚の東洋紡績株式会社製)のポリウレタン未塗布面の一端をガラス基板上に両面粘着テープを用いて貼り付け、ガラス基板上にフィルム基材を固定した。
次に、得られたITO粉20質量部と、エタノール(関東化学株式会社製)80質量部とを混合し、ミキサーで攪拌し第1の混合液とした。この第1の混合液をビーズミル粉砕機(寿工業株式会社製)に投入した。そして、100μmのビーズを用いて、10分間粉砕処理を行い、ITO分散液を調製した。
調製されたITO分散液を上記フィルム基材にバーコート法で塗布し、乾燥後、第1の混合液が塗布されたフィルム基材をガラス基板から剥離し、フィルム基材の第1の混合液の塗布面にPETフィルム(東洋紡績株式会社製、厚さ100μm)を重ね合わせ、更に150mm幅のロールプレス機にてロール圧力10MPa、送り出し速度10cm/minで圧力を加えた。次に、PETフィルムを剥離して、フィルム基材上にITO導電膜を形成した。得られたITOの膜厚は1μmであった。ITO導電膜のへーズ、透過率はスガ試験機製のHZ−2により測定した。ITO導電膜のシート抵抗は三菱油化製LorestaAP MCP−T400により測定した。
<評価>
平均長さLが0.1〜5.0μmでL/Dが2〜20の範囲にある実施例1〜6のITO導電膜は、平均長さLが0.1μmでL/Dが1である比較例1のITO導電膜及び平均長さLが6.1μmでL/Dが30.5である比較例2のITO導電膜と比較して、比表面積が大きく、ヘーズ及びシート抵抗が低く、透明導電膜として優れていることが判った。これは実施例1〜6のITO導電膜では、比較例1、2のITO導電膜と比べて、ITO粒子が粒界においてすべり、粒子間の空隙を埋めることで、ITO導電膜の曇り度であるヘーズが低減したものと考えられる。
本発明のITO粉末は、薄膜太陽電池の電極、タッチパネル等のパネルスイッチの透明電極を含むオプティカルデバイス等の塗布型透明導電膜等に利用できる。
10:多結晶ITO粒子
11:棒状中心核
12:棒状体

Claims (3)

  1. 棒状中心核の周囲に前記中心核より短い複数の棒状体が、棒状中心核の長手方向と同方向に沿いかつ棒状中心核を囲むように一体的に形成された多結晶ITO粒子の集合体からなるITO粉末であって、
    前記多結晶ITO粒子の平均長さLが0.2〜5.0μmの範囲にあって、前記多結晶ITO粒子の平均直径をDとするとき、L/Dが2〜20の範囲にあることを特徴とするITO粉末。
  2. 請求項1記載のITO粉末を含むITO導電膜用塗料。
  3. 請求項2記載のITO導電膜用塗料を用いることを特徴とする透明導電膜の製造方法。
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