JP2014124800A - 歪除去圧密材及びその製造装置、その製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】オイルパーム幹WDから所定の幅、厚み、長さでオイルパーム材Wを製材により図1(c)のように切り出す切り出し手段と、オイルパーム幹WDを略螺旋状に伸びる維管束Kを切断すべく、オイルパーム材Wに対して特定の面から図3のように深溝Mを形成した深溝形成手段と、深溝Mを形成したオイルパーム材Wを強制乾燥させるオイルパームの乾燥装置100からなる強制乾燥手段と、オイルパーム材Wの面を熱板で加熱し、ピストンで圧縮力を付与する熱板加熱圧縮手段と、熱板加熱圧縮手段で所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、オイルパーム材Wの温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧し、固定化する。
【選択図】図3
Description
なお、一般に「板」とは、広辞苑によれば「材木を薄く平たくひきわったもの」、「金属や石などを薄く平たくしたもの」等として説明されるが、ここでは、オイルパームが木材の性状を有するものではなく、竹材に近い性状もつものであるが、オイルパームにおいても「薄く平たくしたもの」を「板」と呼ぶこととする。また、オイルパームの材料を仔細に呼称する用語がないので、木材と同様に扱うこととする。また、「板」と「柱」との境界線も明らかでないので、両者は区別なく使用することとする。
即ち、オイルパームは、果肉と種子から油脂が取れ、単位面積当たり得られる油脂の量は他の植物に対して群を抜いていることから、商業作物としてマレーシア等の東南アジア諸国を中心に大規模なプランテーション農業が行われているので、油脂の方を「オイルパーム」と呼ぶ方が著名になりつつあるかもしれない。
しかし、本発明においては、果肉と種子から取れる油脂のオイルパームを意味するものではなく、油椰子の幹自体または植物の個体全体をオイルパームと呼ぶこととする。
したがって、オイルパームの空果房を解繊して得た油ヤシ繊維は、例えば、ココヤシ繊維等の他のヤシ繊維に比して、繊維表面にパームオイルが付着しているために繊維の撥水性が優れていると共に、繊維中に含まれるセルロース及びリグニンの量が相対的に多いので、耐水性に優れる。加えて、油ヤシ繊維は、ココヤシ繊維等の他のヤシ繊維に比して、繊維強度が大であると共に、繊維径が大きく、かつ、繊維長が長いので、寸法安定性が優れている。また、油ヤシ繊維は、その表面の凹凸が大きいと共に屈曲の強度が大きくて繊維同士のからみあいが大きいから、このことによっても寸法安定性が高められる。そのため、この板状体または成形体は、吸水、吸湿時における寸法安定性が優れている。
そして、油ヤシ繊維表面の凹凸が大きいので、ゴム状弾性を示す樹脂が油ヤシ繊維の表面の空隙に侵入して固化又は硬化し、これが釘または楔のように作用して、所謂、アンカー効果を発揮するから、油ヤシ繊維はゴム状弾性を示す樹脂により強く結合する。このことも吸水、吸湿時における寸法安定性の向上に寄与していると考えられる。
この板状体または成形体では、油ヤシ繊維を使用するから、他の種類のヤシ繊維に比して解繊等に要する労力が少なく、そのため、製造コスト及びエネルギーが節減でき、製品が安価となる。例えば、ココヤシ繊維では、ヤシ殻を軟化させるために長期間水中に浸漬し、その後に機械的に繊維状に解繊するために長期間多大のエネルギを必要とする。これに対してオイルパームは、もともと繊維状のままで集合体となっている空果房を解繊するから、水中浸漬の必要はなく、解繊のために要するエネルギも非常に少なくて済む。また、油ヤシ繊維はココヤシ繊維に比して発塵性が少なく、その取り扱いにおいて作業環境の悪化が避けられる。
更に、油ヤシ繊維の繊維間に大きな隙間が形成されるので、噴霧または浸漬によりゴム状弾性を示す樹脂を供給したときには、樹脂が上記隙間を介して全繊維に均等に付着し、強度分布が均一になるという板状態が得られる。
特許文献3に係るパーム合板は、樹脂接着剤で貼り合わされた複数の単板を備え、複数の単板のうちの最も外側の少なくとも1枚の単板は、パーム単板であり、パーム単板の表面に露出しているパーム繊維に樹脂接着剤が浸透させたものである。これにより、品質が比較的良好な樹木の単板をフェイスとバックとして使用せずに、安価な廃棄材のヤシの幹から製造可能なパーム単板を使用して表面を樹脂接着剤で処理することで、低コストで合板を製造する。
また、特許文献3のパーム合板は、複数の単板を全てパーム単板とし、安価な廃棄材のヤシの幹から製造可能なパーム単板のみを使用し、互いを樹脂接着剤で接着してもよい。このときのパーム繊維に浸透させてある樹脂接着剤は、複数の単板を貼り合わせる樹脂接着剤と同系のものである。樹脂接着剤が同系であるため、安価に合板を製造することができる。なお、ここで、同系とは、同一の樹脂接着剤、配合(例えば、配合比率)を変えたものを含む。
このように、特許文献3によれば、品質が比較的良好な樹木の単板をフェイスとバックとして使用せずに、低いコストで製造が可能な合板およびパーム合板、合板製造方法が開示されている。
特に、マレーシア等の東南アジア等では、パームオイルの生産のためにオイルパームが栽培されているが、パームオイル採取後の空果房には繊維等が多く含まれていることから、その空果房は繊維ボード等種々の用途に活用されている。しかし、毎年伐採されているヤシの幹は有効に活用されておらず、廃棄処分されているのが現状である。
また、特許文献3には、最も外側の少なくとも1枚の単板がパーム単板を複数樹脂接着剤で貼り合わせる工程と、パーム単板の表面であり、露出しているパーム繊維に樹脂接着剤を浸透させる面を研磨する工程と、研磨した面に樹脂接着剤を塗布してパーム繊維に樹脂接着剤を浸透させる工程と、樹脂接着剤を乾燥させる工程とを備えた合板製造方法を開示している。しかし、オイルパームの単板に如何に樹脂接着剤を塗布するか、露出しているパーム繊維に樹脂接着剤を浸透させるかについては説明されておらず不明であり、具体的な合板の製造方法が不明である。少なくとも、オイルパームの単板を複数樹脂接着剤で貼り合わせるという樹脂接着剤の使用を前提としている。
また、近年解ったことに維管束がオイルパーム幹に平行に形成されているもののみではなく、オイルパーム幹に対して螺旋状に巻回しながら上方に伸びるものの存在が明らかになってきた。オイルパーム幹に対して当該螺旋状に巻回しながら上方に伸びる維管束は、オイルパーム幹の中心付近の密度は薄く、オイルパーム幹の外周付近の密度は高くなっている。勿論、オイルパーム幹に対して当該螺旋状に巻回しながら上方に伸びる維管束に限らず、維管束は、オイルパーム幹の中心付近に比較して周辺の維管束の密度が高くなっている。
ここで、上記切り出し手段は、オイルパーム幹から所定の幅、厚み、長さでオイルパーム材を製材して切り出すものである。
また、上記深溝形成手段は、前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束を切断して、前記オイルパーム材に対して特定の面から深溝を形成するものであればよく、通常、鋸の目立てされた厚みが溝として形成される2〜10mm程度の幅の溝であり、前記オイルパーム幹の直径の1/3以上の深さである。
そして、上記強制乾燥手段は、前記深溝を形成したオイルパーム材を、前記深溝を利用して効率よく強制乾燥させるものである。
更に、上記熱板加熱圧縮手段は、前記オイルパーム材の面を熱板で加熱し、かつ、圧縮力を付与し、前記熱板加熱圧縮手段で所定時間加熱及び圧縮力を供給するものであり、所定の圧密加工の圧縮を行い、また、上記熱板冷却解圧手段は、前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧しても、所定の圧密加工の状態が維持できるようにするものである。
ここで、上記切り出し工程は、オイルパーム幹から所定の幅、厚み、長さでオイルパーム材を製材して切り出すものであり、板状でも柱状でもよい。
また、上記深溝形成工程は、前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束を切断して、前記オイルパーム材に対して特定の面から深溝を形成するものであればよく、通常、鋸の溝として形成される2〜10mm程度の幅の溝である。また、深さは、オイルパーム幹の芯の中心の±50までの距離で、含水率の高い場所である。
そして、上記強制乾燥工程は、前記深溝を形成したオイルパーム材を、前記深溝を利用して、その含水率の高い中心からも効率よく強制乾燥させるものである。
更に、上記熱板加熱圧縮工程は、前記オイルパーム材の面を熱板で加熱し、かつ、圧縮力を付与し、前記熱板加熱圧縮工程で所定時間加熱及び圧縮力を供給するものであり、所定の圧密加工の圧縮を行い、また、上記熱板冷却解圧工程は、前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧しても、所定の圧密加工の状態が維持できるようにするものである。
ここで、上記オイルパーム材は、オイルパーム幹から所定の幅、厚み、長さで製材して切り出したものである。
また、上記深溝は、前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束を切断して、前記オイルパーム材に対して特定の面から深溝を形成したものであればよく、通常、鋸の溝として形成される2〜10mm程度の幅の溝である。
そして、上記強制乾燥は、前記深溝を形成したオイルパーム材を、前記深溝を利用して効率よく強制乾燥させるものである。
更に、上記熱板加熱圧縮は、前記オイルパーム材の面を熱板で加熱し、かつ、圧縮力を付与し、前記熱板加熱圧縮で所定時間加熱及び圧縮力を供給するものであり、所定の圧密加工の圧縮を行い、また、上記熱板冷却解圧は、前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧しても、所定の圧密加工の状態が維持できるようにするものである。
ここで、深溝は、四角柱の1面に1本から、全面に垂直に形成した計4本の深溝をとすることができ、その深さも、オイルパーム幹の芯に至るまでの深さは、正確に芯の中心までの距離を意味するものではなく、オイルパーム幹の含水率の高い芯の中心から±50mm以内であればよい。また、その幅は、通常、鋸の溝として形成される2〜10mm程度の溝である。
ここで、前記深溝には、前記オイルパーム幹から得た粉体を付着させて接合したものである。この付着には、粉体を流体として付着させてもよいし、粉体の状態で挿入してもよい。前記オイルパーム幹から得た粉体には、前記オイルパーム幹の製材によって発生する大鋸屑等を乾燥させて粉体化したものである。
ここで、上記芯材は、オイルパーム以外の木材から形成された四角柱状の木材を入れ、その特定方向に伸びた前記芯材の周面に、前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束を切断するように切断して所定の幅、厚み、長さに形成されたオイルパーム材を配設したものである。
また、前記芯材及びオイルパーム材は、乾燥させ、前記乾燥させた前記芯材及び前記オイルパーム材の面を熱板で加熱し、圧縮力を付与し、所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、前記芯材及び前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧し手固定化したものである。
ここで、前記芯材と前記オイルパーム材は、個別に乾燥させてもよいし、同時に乾燥させてもよい。圧密加工する前に芯材のみが先に圧密加工してあればよい。
ここで、前記芯材と前記オイルパーム材は、個別に乾燥させてもよいし、同時に乾燥させてもよい。圧密加工するときには前記芯材と前記オイルパーム材が同時に圧密加工されるものであればよい。
したがって、オイルパーム幹を廃棄処分することなく、かつ、オイルパームが本来的に有している成分を利用して機械的に接合し、機械的強度を上げ、オイルパーム圧密加工材の直線性を良くしたオイルパーム歪除去圧密材の製造装置となる。
したがって、オイルパーム幹から所定の幅、厚み、長さでオイルパーム材を切り出し、このとき前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束を切断するように前記オイルパーム材に対して深溝を形成したものであるから、オイルパーム幹の長さ方向に螺旋状に形成されている維管束の周方向の力が切断され、維管束による強い膨張収縮力が断たれ、しかも、前記オイルパーム材の乾燥が内部と表面からと同時に開始されるから、オイルパーム板が厚くても、四角柱等の柱状であっても、捻じれ、ゆがみ等の歪が無視できる。そこで、前記深溝を形成したオイルパーム材を強制乾燥させた状態で、前記オイルパーム材の面を熱板で加熱し、圧縮力を付与し、前記熱板加熱圧縮手段で所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧することにより、オイルパーム板が厚くても、柱状であっても、捻じれ、ゆがみ等の歪が修正され、厚いオイルパーム板或いは四角柱等の柱状の建材が得られる。
よって、オイルパーム幹を廃棄処分することなく、かつ、オイルパームが本来的に有している成分を利用して機械的に接合し、機械的強度を上げ、オイルパーム圧密加工材の直線性を良くしたオイルパーム歪除去圧密材の製造方法となる。
したがって、オイルパーム以外の木材から形成された特定方向に伸びた芯材を中心に、オイルパーム幹から所定の幅、厚み、長さでオイルパーム材を切り出し、前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束を切断し、所定の幅、厚み、長さでオイルパーム材を切り出し、前記芯材に対してオイルパーム材を接合したものであるから、オイルパーム幹の長さ方向に螺旋状に形成されている維管束の周方向の力が切断され、維管束による強い膨張収縮力が断たれ、しかも、前記オイルパーム材の乾燥が個別にできるから、オイルパーム板が厚くても、四角柱等の柱状であっても、捻じれ、ゆがみ等の歪が無視できる。また、強制乾燥させた前記オイルパーム材の面を熱板で加熱し、圧縮力を付与し、前記熱板加熱圧縮手段で所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧することにより、オイルパーム板が厚くても、柱状であっても、捻じれ、ゆがみ等の歪が修正され、厚いオイルパーム板或いは柱状の建材が得られる。
よって、オイルパーム幹を廃棄処分することなく、かつ、オイルパームが本来的に有している成分を利用して機械的に接合し、機械的強度を上げ、オイルパーム圧密加工材の直線性を良くしたオイルパーム歪除去圧密材の製造方法となる。
視認できる0.2〜1.0mmの繊維、即ち、維管束と維管束の間はリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類、少ない空孔等、柔細胞によって一体になっている。
本件発明者らは、熱板加熱等による乾燥の際に含水率の低い方から順次乾燥させ、含水率の高い方が最後に乾燥させられるものであることから、この糖分濃度と含水率の関係と、乾燥の進行によって、所定の厚みに製材したオイルパーム材Wの捻じれ、ゆがみ等の歪が発生していると推定した。
したがって、オイルパーム幹WDから製材したオイルパーム材Wに対して、特定の面から廻転鋸刃等によって深溝(図3(a)の深溝M)を形成することにより、オイルパーム材Wの乾燥のタイムラグを少なくすることができることを見出した。
そこで、本件発明者らは、オイルパーム材Wの乾燥工程において、オイルパーム幹WDから所定の幅、厚み、長さでオイルパーム材Wを製材等で切り出されるとき、前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束Kを切断するように、図3に示すように、オイルパーム材Wに対して特定の面に深溝M(格別、オイルパーム材Wの溝の位置及び数を意図しない場合には、単に深溝Mと記す)を形成したものである。
また、オイルパーム幹WDの直径の1/3の径程度の中心部A領域まで深溝Mを形成することにより、前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束Kをまとめて切断することになり、略螺旋状に伸びる維管束Kは、少なくとも切断された範囲で変型が可能となり、また、その範囲で維管束Kは歪エネルギを蓄積するが連続する長さが制限されるから、大きな歪エネルギは蓄積できない。
また、更に、図3(c)に示すように、対向する2面、即ち、四角柱等の柱状の4面に互いに近接して並行する深溝M1及び深溝M2、深溝M3及び深溝M4を形成すると、より効率的に乾燥できる条件及び略螺旋状に伸びる維管束Kを略1/4に切断するので、維管束Kの変位しようとする歪エネルギをより小さくすることができる。
したがって、所定の位置の維管束Kによって特定部位に歪が入ることがなくなる。
例えば、四角柱等の柱状であったとき、捻じれ、ゆがみ等の歪が修正されているが、その芯と外周の面との柔細胞の密度に違いが生じ、それが経年変化により、全体が内部歪によって湾曲する可能性がある。
ただし、経年変化に関するデータは、法的な試験方法が確立されていないことから、60℃の湯及び20度の水に交互に浸漬させた耐久試験を行って、図3(c)に示すオイルパーム歪除去圧密材よりも湾曲量が少ないことが確認されたものである。
なお、図4及び図5に示す実施の形態2のオイルパーム歪除去圧密材の製造方法は、図3に示す実施の形態1と相違するものではない。また、図4のオイルパーム材W1,・・,W4についても深溝Mを入れることができる。
本実施の形態にかかるオイルパーム歪除去圧密材を構成するオイルパーム材Wの形成について図1を用いて説明する。
オイルパーム材Wは、20年以上成長した単一の幹を所定長のオイルパーム幹WDとして切断し、通常の木材と同様に、所定幅及び厚み、所定長のオイルパーム材Wが製材される。
なお、オイルパーム幹WDを除くオイルパームの葉、空果房、根等は、チップ状に裁断され、好気性細菌処理によってコンポスト化(堆肥化)する有機廃棄物発酵処理方法によって処理される。特に、空果房は他の実用性のある処理を行ってもよい。また、細かく破砕し、粉体化して、セルロース、ヘミセルロース、リグニン等の成分抽出を行って、接合補助にそれを芯材Pの4面の接合材として、深溝Mの溝埋め兼用接合材として利用してもよい。
このとき、深溝M1は柱体からなるオイルパーム材Wの中心まで形成することになり、具体的に10cmまたは8cmの深さとなる。結果的には、図2(a)のオイルパーム幹WDの直径の1/3の径程度の中心部のA領域まで溝を形成したものであればよい。
深溝Mの位置は、オイルパーム材Wの断面を均等分する位置に入れるのが望ましい。即ち、深溝Mによって図2(a)のオイルパーム幹WDの直径の1/3の径程度の中心部のA領域まで溝を形成したものであり、深溝Mによってオイルパーム材Wの各部の肉厚が略均一の厚みになることが望ましい。このように、深溝Mは、通常、全体の厚みのバランスを考慮して、縦または横に深溝Mを形成している。
したがって、オイルパーム材Wの各部分が略同時に乾燥を開始するから、部分的に乾燥の進行が進んだり、遅れたりしないから、例えば、四角柱等の柱状であったとき、捻じれ、ゆがみ等の歪が発生し難くなる。
また、図3(c)に示すように、対向する2面、即ち、四角柱等の柱状の4面に互いに近接して並行する深溝M1及び深溝M2、深溝M3及び深溝M4を形成すると、より効率的に乾燥できる条件及び略螺旋状に伸びる維管束Kを略1/4の弧として切断するので、維管束Kの変位しようとする歪エネルギを更に小さくすることができる。
この乾燥工程におけるオイルパーム材Wの乾燥方法としては、強制乾燥または自然乾燥(天日乾燥)がある。強制乾燥としては、例えば、高温蒸気を熱源とし、その熱風をオイルパーム材Wに吹き付けたり、プレス盤で加熱圧搾したりすることによってオイルパーム材Wの外部から加熱する外部加熱方式や、オイルパーム材Wに誘電加熱を施して内側から加熱する内部加熱方式等が挙げられる。
そこで、誘電加熱を行うオイルパームの乾燥装置100の使用によって、カビ等の細菌による商品価値や生産性の低下を招くことなく、低コストにできることが確認された。
まず、誘電加熱炉73は、耐火煉瓦等でtanδ等の非常に小さい、即ち、良好な誘電体で温度に耐える材料で構成したハウジングであり、その外側には、マイクロ波が漏れないようにシールド室72を形成している。このシールド室72は銅板及び鉄板によって形成されている。シールド室72及び誘電加熱炉73によって収容室70を構成している。
誘電加熱炉73内には、被加熱体の位置を決めるための良好な誘電体からなる台座74及び熱的に断熱効果を得るスペーサ76が配置されている。
したがって、誘電加熱炉73内に各テーブル板75-1,・・・,75-n相互間にオイルパーム材W1-1,・・・,Wn-1、オイルパーム材W1-2,・・・,Wn-2、オイルパーム材W1-3,・・・,Wn-3、オイルパーム材W1-4,・・・,Wn-4を載置し、所定の荷重によってオイルパーム材Wが変形しないように加熱すれば、オイルパーム材Wの水分のみが気化し、オイルパーム材Wを乾燥させることができる。
なお、本実施の形態では、台座74が固定のもので説明したが、通常は、回転させ、マイクロ波が特定の位置のみを加熱させないようにしている。また、オイルパーム材Wが長尺であるから、台座74が走査するように往復移動し、均一加熱している。
しかし、導電体の粉末を入れなくても、オイルパーム材W1-1,・・・,Wn-1、オイルパーム材W1-2,・・・,Wn-2、オイルパーム材W1-3,・・・,Wn-3、オイルパーム材W1-4,・・・,Wn-4は水分が多いから、誘電加熱された熱で、100℃以上に上昇している。
まず、ステップS11でオイルパーム材W1,・・・,Wnの搬入、配置を行い、ステップS12でその終了が確認されるまで行う。通常、収容室70の図示しない扉のロックにより搬入及び配置の完了が検出される。ステップS12で完了が確認されると、ステップS13でポンプ49が駆動され、湿気の排出が開始される。
次に、ステップS14で誘電加熱源71を駆動し、収容室70内にマイクロ波出力を出力し、ステップS15でその所定時間の誘電加熱の継続を判断し、所定時間を経たとき、ステップS16でマイクロ波出力を停止する。更に、ステップS17で、余熱による加熱として所定の時間の経過を判断する。そして、ステップS18でオイルパーム材W1,・・・,Wnの温度が所定の温度まで低下しているかを判断し、所定の温度まで温度が低下しているとき、ステップS19でポンプ49を停止し、ステップS20でオイルパーム材W1,・・・,Wnを搬出し、本実施の形態で使用するオイルパームの乾燥装置100の動作を終了する。
そして、湿気排出工程は、収容室70から空気をポンプ49で排気または吸気する工程でステップS13乃至ステップS19の間の湿度を除去する工程を意味する。
なお、オイルパーム材Wが板材状のもの、柱状のものでも同様に乾燥を行うことができ、特に、厚みが厚いものは誘電加熱を行うとオイルパーム材Wの芯から加熱することで乾燥速度を速めることができる。
よって、カビ細菌が繁殖しない程度にオイルパーム材Wを乾燥させることができ、爾後の加工に影響を及ぼすことのないオイルパーム材Wが用意できる。
よって、カビ細菌が繁殖しない程度にオイルパーム材Wを乾燥させることができ、爾後の加工に影響を及ぼすことのないオイルパーム材Wが用意できる。
油圧シリンダ81は油圧によって垂直方向にピストン81bを移動自在なもので、その先端には、蒸気圧または冷却水によって表面温度を加熱または冷却する熱板81aが配設されている。それに対応して蒸気圧または冷却水によって表面温度を加熱または冷却する基台となる熱板80が配設されている。したがって、上下の圧縮は、油圧シリンダ81のピストン81bのみで行われ、基台となる熱板80はそれを受けているに過ぎない。
まず、ステップS31の乾燥工程でオイルパームの乾燥装置100を使用し、オイルパーム材Wを乾燥させる。次に、乾燥させたオイルパーム材Wを図3(c)に示すものを前提とする。したがって、深溝M1及び深溝M2並びに深溝M3及び深溝M4が中心部のA領域まで届いているオイルパーム材Wを配置する。まず、初期設定として、少なくとも、油圧シリンダ81のピストン81bが上昇されて熱板81aが所定の間隔を拡げた状態とする。勿論、熱板82a及び熱板84a及び/または熱板83a及び熱板85aを後退させてもよい。
そして、ステップS37で図10に示すように油圧シリンダ81によってピストン81bを下降させ、その熱板81aでオイルパーム材Wを垂直方向に圧縮する。油圧シリンダ81によるオイルパーム材Wを垂直方向の圧縮限界が検出されるまで、ステップS38及びステップS39のルーチンを継続的に実行する。
なお、このとき、油圧シリンダ84のピストン84bを介して熱板84aでオイルパーム材Wを、油圧シリンダ85の熱板85a側に押して、基台の熱板80から落下させ、次の工程に送ることができる。
油圧シリンダ81,82,83,84,85の構成及びそれらを制御する部品の構成は実施の形態で説明したとおりである。また、本発明の実施の形態のオイルパーム歪除去圧密材の製造装置200の動作は、前述した図12の全体動作を説明するフローチャートのように制御される。
まず、ステップS31の乾燥工程でオイルパームの乾燥装置100を使用し、オイルパーム材Wを乾燥させる。次に、乾燥させたオイルパーム材W及びオイルバーム以外の木材からなる芯材Pを図13に示すように5個用いて配置する。まず、初期設定として、少なくとも、油圧シリンダ81のピストン81bが上昇されて熱板81aが所定の間隔を拡げた状態とする。勿論、熱板82a及び熱板84a及び/または熱板83a及び熱板85aを後退させてもよい。
この圧密加工によって、オイルパーム材Wに形成されていた深溝M1及び深溝M2並びに深溝M3及び深溝M4が接合され、図示では確認されるが、オイルパーム自体の接着能力により、実際には確認できない程度の接合境界線となる。また、このとき、深溝M1及び深溝M2並びに深溝M3及び深溝M4にオイルパーム自体を粉体化したものを充填したり、塗布したりしておいて、圧密加工を行うと、より接着力を高めることができる。
そして、ステップS37で図15に示すように油圧シリンダ81によってピストン81bを下降させ、その熱板81aでオイルパーム材W1乃至オイルパーム材W5を垂直方向に圧縮する。油圧シリンダ81によるオイルパーム材W1乃至オイルパーム材W4及び芯材Pを垂直方向の圧縮限界が検出されるまで、ステップS38及びステップS39のルーチンを継続的に実行する。
なお、このとき、油圧シリンダ84のピストン84bを介して熱板84aでオイルパーム材W1乃至オイルパーム材W4及び芯材Pを、油圧シリンダ85の熱板85a側に押して、基台の熱板80から落下させ、次の工程に送ることができる。
この圧密加工によって、芯材Pとオイルパーム材W1乃至オイルパーム材W4が接合し、図示では確認されるが、オイルパーム材W1乃至オイルパーム材W4自体の接着能力により、実際には確認できない程度の接合境界状態となる。また、このとき、芯材Pの外周にオイルパーム自体を粉体化したものを塗布したりしておいて、圧密加工を行うと、より接着力を高めることができる。
しかも、オイルパーム自体の接着能力の使用によって、一般的に、接着剤の使用によってオイルパーム材Wを接合する場合には、接着剤を塗布等した後、圧締して接着剤を硬化するため接着剤塗布等の工程及び圧締工程が必要であるのに対し、本実施の形態のオイルパーム歪除去圧密材によれば、圧密加工によって接着剤を使用することなく木材同士が接合されるため、上記別個の接合工程が不要であり、製造工程の簡略化を図ることができる。
したがって、物性的に安定して製品間の品質にばらつきが少なく商品価値が高いものとなる。更に、乾燥させたオイルパーム材Wを複数枚積層した状態で全体を圧密化しており、接合面において周囲環境条件の変化による膨張率及び収縮率は略均一となることから安定した接合性が維持され、周囲環境条件の変化で接合面にストレスがかかることによる歪み、変形、クラック等が生じることなく、安定した寸法形状性が確保される。
更に、厚み全体が塑性加工されたものであることから、厚み側面の稜線に対して大きな面取り加工や曲面加工を施したとしてもその端面では、高い硬度による材強度が確保される。
したがって、オイルパーム幹WDを廃棄処分することなく、かつ、オイルパームが本来的に有している成分を利用して機械的に接合し、機械的強度を上げ、オイルパーム圧密加工材の直線性を良くしたオイルパーム歪除去圧密材の製造装置200となる。
よって、オイルパーム幹WDを廃棄処分することなく、かつ、オイルパームが本来的に有している成分を利用して機械的に接合し、機械的強度を上げ、オイルパーム圧密加工材の直線性を良くしたオイルパーム歪除去圧密材の製造方法となる。
したがって、オイルパーム材Wに対して特定の面に形成した深溝Mには、オイルパーム幹WDから得た粉体を付着させたものであるから、深溝Mの開口をオイルパーム自身が含有するリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類の作用によって接合されるときの圧縮力によって、オイルパーム材Wの空隙が殆どなくなり、緻密な組織の接合体とすることができる。
よって、オイルパーム幹WDを廃棄処分することなく、かつ、オイルパームが本来的に有している成分を利用して機械的に接合し、機械的強度を上げ、オイルパーム圧密加工材の直線性を良くしたオイルパーム歪除去圧密材の製造方法となる。
したがって、芯材Pの周囲には、オイルパーム幹WDから得た粉体を付着させたものであるから、芯材Pの周囲にオイルパーム幹WDから得た粉体を付着された状態で圧密加工されるから、オイルパーム自身が含有するリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類の作用によって接合される成分の補給となり、緻密な組織の接合体とすることができる。
オイルパーム歪除去圧密材の芯材Pは、オイルパーム材Wを圧密加工する前に芯材Pのみを先に圧密加工し、その後、前記乾燥させた芯材P及びオイルパーム材Wの面を熱板80,81a,82a,83a,84a,85aで加熱し、ピストン81b,82b,83b,84b,85b圧縮力を付与し、ステップS42乃至ステップS44で所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、ステップS45乃至ステップS49で芯材P及びオイルパーム材Wの温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧したものであるから、オイルパーム材Wを圧密加工する前に芯材Pのみを先に圧密加工されていると、芯材Pは外力でほとんど変化せず、その周囲のオイルパーム材Wのみが変化するから、オイルパーム材Wが厚くても、四角柱等の柱状であっても圧密対象に均一な熱及び圧縮力が加わり、バランスのとれた圧密加工が可能となる。
したがって、芯材Pとその周囲のオイルパーム材Wが変化するから、オイルパーム材Wが厚くても、四角柱等の柱状であっても圧密対象に均一な熱及び圧縮力が加わり、バランスのとれた圧密加工が可能となる。このように、オイルパーム材Wを圧密加工すると同時に芯材Pも圧密加工すると、芯材Pとオイルパーム材Wとの接着力を高めることができる。
特に、ヘミセルロースはリグニンとセルロースとの結び付ける機能を有しており、オイルパーム幹WDの自然栽培されている状態では、互いにどれだけ干渉し合っているかは不明である。しかし、所定の温度、例えば、リグニンの反応開始温度の80度以上に温度を上げることにより、ヘミセルロースの反応開始温度の60度以上となり、互いに反応し、堅固な特性となることが確認された。
W、W1,・・・,W5 オイルパーム材
M,M1,・・・,M4 深溝
P 芯材
71 誘電加熱源
73 誘電加熱炉
74 台座
75-1,・・・,75-n テーブル板
80,81a,82a,83a,84a,85a 熱板
81b,82b,83b,84b,85b ピストン
81,82,83,84,85 油圧シリンダ
100 オイルパームの乾燥装置
200 オイルパーム歪除去圧密材の製造装置
Claims (9)
- オイルパーム幹から所定の幅、厚み、長さでオイルパーム材を切り出す切り出し手段と、
前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束を切断すべく、前記オイルパーム材に対して特定の面から深溝を形成した深溝形成手段と、
前記深溝を形成したオイルパーム材を強制乾燥させる強制乾燥手段と、
前記オイルパーム材の面を熱板で加熱し、圧縮力を付与する熱板加熱圧縮手段と、
前記熱板加熱圧縮手段で所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧する熱板冷却解圧手段と
を具備することを特徴とする歪除去圧密材の製造装置。 - オイルパーム幹から所定の幅、厚み、長さで切り出すオイルパーム材の切り出し工程と、
前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束を切断すべく、前記オイルパーム材に対して特定の面から深溝を形成した深溝形成工程と、
前記深溝を形成したオイルパーム材を強制乾燥させる強制乾燥工程と、
前記オイルパーム材の面を熱板で加熱し、圧縮力を付与する熱板加熱圧縮工程と、
前記熱板加熱圧縮手段で所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧する熱板冷却解圧工程と
を具備することを特徴とする歪除去圧密材の製造方法。 - オイルパーム幹から所定の幅、厚み、長さで切り出してなるオイルパーム材と、
前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束を切断すべく、前記オイルパーム材に対して特定の面から形成した深溝と、
前記深溝を形成した前記オイルパーム材を乾燥させ、前記乾燥させたオイルパーム材の面を熱板で加熱し、圧縮力を付与し、所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧したことを特徴とする歪除去圧密材。 - 前記オイルパーム材の面に形成した深溝は、前記オイルパーム幹の長さ方向に垂直に切断した前記オイルパーム幹の直径の1/3以上の深さであり、全体の面に対して1本乃至4本の何れか1つとしたことを特徴とする請求項3に記載の歪除去圧密材。
- 前記オイルパーム材に対して特定の面に形成した深溝には、前記オイルパーム幹から得た粉体を付着させたことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の歪除去圧密材。
- オイルパーム以外の木材から形成され、特定方向に伸びた芯材と、
前記芯材の周面に配置され、前記オイルパーム幹を略螺旋状に伸びる維管束を切断して所定の幅、厚み、長さに形成されたオイルパーム材と、
前記乾燥させた前記芯材及び前記オイルパーム材の面を熱板で加熱し、圧縮力を付与し、所定時間加熱及び圧縮力を供給した後、前記芯材及び前記オイルパーム材の温度を所定の温度まで降下させて冷却解圧したことを特徴とする歪除去圧密材。 - 前記芯材の周囲には、前記オイルパーム幹から得た粉体を付着させたことを特徴とする請求項6に記載の歪除去圧密材。
- 前記芯材は、前記乾燥させた前記オイルパーム材を圧密加工する前に、前記芯材のみを先に圧密加工したことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の歪除去圧密材。
- 前記芯材は、前記乾燥させた前記芯材及び前記オイルパーム材を同時に圧密加工したことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の歪除去圧密材。
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