JP2008246911A - 木材の乾燥方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】予め簡単な表面処理を施しておくことにより、自然乾燥であると、時間短縮に適し、しかも、割れ発生点としての含水率を従来の限度を越えて低下させても、割れ等の損傷が発生しなく、また、人工乾燥にも適用できる木材の乾燥方法を提供する。
【解決手段】年輪の中心が四角断面の中心部におかれる心部材としての木材の自然乾燥において、予め各側面にそれぞれの幅を3等分する位置又はほゞ3等分する位置に沿って縦に細溝を刻設しておくことを特徴とする。
【効果】予め各側面に三等分という美的な配分に基づいた2条の細溝を刻設という極簡単な表面処理を施しておくことにより、自然乾燥であると、乾燥時間を短縮でき野積み箇所の利用効率が良くなり、しかも、割れ発生点としての含水率を従来の限度を越えて低下させても、割れ等の損傷が発生しないので、コスト高となる人工乾燥を経ることなく梁材等の製品としての使用が可能となり、また、人工乾燥にも好適に実施できる。
【選択図】 図1
【解決手段】年輪の中心が四角断面の中心部におかれる心部材としての木材の自然乾燥において、予め各側面にそれぞれの幅を3等分する位置又はほゞ3等分する位置に沿って縦に細溝を刻設しておくことを特徴とする。
【効果】予め各側面に三等分という美的な配分に基づいた2条の細溝を刻設という極簡単な表面処理を施しておくことにより、自然乾燥であると、乾燥時間を短縮でき野積み箇所の利用効率が良くなり、しかも、割れ発生点としての含水率を従来の限度を越えて低下させても、割れ等の損傷が発生しないので、コスト高となる人工乾燥を経ることなく梁材等の製品としての使用が可能となり、また、人工乾燥にも好適に実施できる。
【選択図】 図1
Description
この発明は、年輪の中心を中心部におかれる梁材、柱材、桁材等のように比較的大きい四角断面の木材の乾燥方法に関する。
木材を水分の多い生材のまま使用すると、使用箇所で乾燥により裂け、割れ、狂い、落ち込み、内部割れ、変色等の損傷が発生する。これが大きく発生すると取り返しのつかない失敗であるので、これを防止するため予め乾燥してから使用に供される。しかし、木材は樽や桶等の材料となるように、元来水に対してバリア性の大きい材質であるため、乾燥には多くの困難な問題がある。
木材の乾燥には、野積みして行われる自然乾燥と、乾燥装置を用いる人工乾燥とがある。自然乾燥は、高い初期含水率を下げるとともに、含水率のばらつきを小さくする目的で行われる。普通、杉材では、含水率を40%に低下させるのに必要な日数は、8月開始では約40日、1月開始では約60日である。さらに、低含水率まで乾燥させると表面割れの発生を招く不都合があるため、一般に自然乾燥は例えば含水率40%程度に止められ、その後は人工乾燥によっている。
乾燥は原則的に製品としての断面の形状に製材してから行われ、普通には空気が通りやすく桟積みされる。これは自然乾燥と人工乾燥とに共通することであるが、自然乾燥の場合であると、自然の温度や湿度、風流等の利用によるため、上記のように非常に時間が掛かる。しかも、それらを制御できないので、過剰に乾燥させた時点で表面割れ等の不具合が生じやすい。
これに対して、人工乾燥は、加熱空気の中で木材の温度を高め乾燥させる蒸気式乾燥装置を例にとれば、空気を温める手段として、蒸気、煙道熱、燃焼ガス(直接室内へ導入)、電熱等が利用され、これらを一定の空間内で制御して行われるので、乾燥時間が4日〜14日程度に短く、表面割れ等を技術的に防ぐことが可能となる。そこで、限度が例えば上記のように含水率40%の自然乾燥の補助として使用され、これで最終的に使用可能な含水率20%〜30%程度に乾燥される。
人工乾燥には、上記の蒸気式乾燥装置の他に、低温・低湿度の雰囲気中で行う除湿式乾燥装置や、減圧により水の沸点を低下させる減圧式乾燥装置も用いられる。いずれも他の木材の加工機械等に比較して非常に高価であり、加えて、燃費等の稼働コストが高く、経済的な負担が極めて大きい。しかも、装置の操作に長い熟練や高い技術を要することが難点とされ、刻々と変わる乾燥室内環境等に合わせて例えば、温度の設定を誤ると、裂け、割れ、狂い、落ち込み、内部割れ、変色等の損傷が発生するので、木材の使用不能という結果を招く危険が自然乾燥に比して大である。つまり、自然乾燥であると、コスト安であることはもちろん、割れ発生時点を見誤らなければ、それをたやすく防止できるため特殊な技術を要しないという利点がある。
この発明は、上記のような実情に鑑みて、予め簡単な表面処理を施しておくことにより、自然乾燥であると、時間短縮に適し、しかも、割れ発生点としての含水率を従来の限度を越えて低下させても、割れ等の損傷が発生しなく、また、人工乾燥にも適用できる木材の乾燥方法を提供することを課題とした。
上記の課題を解決するために、この発明は、年輪の中心が四角断面の中心部におかれる心部材としての木材の自然乾燥において、予め各側面にそれぞれの幅を3等分する位置又はほゞ3等分する位置に沿って縦に細溝を刻設しておくことを特徴とする木材の乾燥方法を提供するものである。
木材の乾燥方法を上記のように構成したから、木材を自然乾燥すると、空気が細溝に侵入して乾燥を促進するが、細溝が均等に配設されているので、表層部において、また、表層部から内層部に掛けて乾燥が均等化され、しかも、表層部において乾燥による収縮が細溝に吸収されるため、殊に表層部の割れの発生が抑制される。したがって、従来よりも割れ発生点としての含水率を低下させ、割れ等の不具合のない使用可能状態にまで乾燥させることができる。また、たとえ割れが発生したとしても、その発生状況が使用に適する程度に僅少に止まる。なお、人工乾燥においても、同様なことが言える。
細溝が幅1mm〜5mm、深さが2mm〜10mmであることが望ましく、それより少ないと効果があらわれがたく、また、それを越えると却って割れが発生しやすい傾向がある。
以上説明したように、この発明によれば、予め各側面に三等分という美的な配分に基づいた2条の細溝を刻設という極簡単な表面処理を施しておくことにより、自然乾燥であると、乾燥時間を短縮でき野積み箇所の利用効率が良くなり、しかも、割れ発生点としての含水率を従来の限度を越えて低下させても、割れ等の損傷が発生しないので、コスト高となる人工乾燥を経ることなく梁材等の製品としての使用が可能となり、また、人工乾燥にも好適に実施できるという優れた効果がある。
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1ないし図3は一実施の形態を示したもので、そのうち、図1は木材Wに表面加工を行った状態を示す斜視図、図2は自然乾燥のために野積みした状態を示す正面図、図3は従来の自然乾燥の含水率を越えるとともにこの発明の自然乾燥の含水率を越えて過剰に乾燥させたときに発生する表面割れ等の発生状況を示す断面図である。また、図4は木材の割れ等の発生原因の説明図である。
木材Wには、縦横200mm×120mm程度の梁材が使用され、各面にそれぞれの幅を3等分する位置L,Lに沿って細溝1,1が刻設される。これには回転鋸歯を使用し、幅2mm、深さ5mm程度とした。また、樹種については、ヒノキの心材を使用したが、ヒノキ心材は、カラマツ心材、アカマツ心材、エゾマツ心材等と同様に、初期含水率(生材含水率)が比較的低い種類(30%〜50%)である。そして、初期含水率が45%程度のヒノキ心材を使用し、これを自然乾燥では従来割れの発生が見られる30%を越えて23%程度にまで自然乾燥した。
その他、初期含水率が中等(50%〜90%)に属するものとしては、トドマツ心材、ベイスギ心材、モミ心材、スギ赤心材、カラマツ辺材等であり、高等(90%〜200%)に属するものとしては、スギ黒心材、スギ辺材、アカマツ辺材、エゾマツ辺材等である。なお、生材含水率は、樹種ばかりでなく、伐採の時期、生育環境等により異なるが、針葉樹の場合、辺部材の含水率は心部材よりも高いのが一般的である。したがって、表層部割れの発生時点となる自然乾燥限度の含水率については事情により異なってくることになる。なお、心材とは、年輪の中心2が木材Wの中心部に有するものをいう。
野積みについては、図2に示すように、コンクリートの土台ブロック3,3,・・の上に、桟木5,5,・・を並べて、その上に梁材に製材された木材W,W,・・を並べ、桟木5,5,・・と木材W,W,・・とを交互にして積み上げる。したがって、木材Wと木材Wとの上下の間に空間7を有するが、左右間にも空間8を設ける。こうしておけば、空間7,8を流通する自然の空気の対流により乾燥されるが、各面の細溝1,1にも空気が触れてその内部にも侵入するため、乾燥が促進されるとともに、表層部と内層部との間の含水率の均等化が図られる。また、上端には同じようなコンクリートの重しブロック3a,3a,・・を載せて、木材Wの反りや捩れを防止する。さらに重しブロック3a,3a,・・を土台としてその上に桟積みする。
ところで、木材が乾燥により表層の裂け、割れ等が発生する原因は、木材が年輪に接線方向Tに縮む率が他の方向、例えば直径方向Dに比較して大きいことと(図4参照)、内層部に比較して表層部の乾燥が優先して早く進行することである。つまり、表層の裂けや割れは、乾燥の初期段階で起きるもので、表層部の乾燥による収縮が内層部によって拘束される内部応力が、表層の割れの原因である。人工乾燥の場合であると、これはコストを無視して非現実的に時間を掛け徐々に乾燥すると特に技術を要することもなく割れを容易に避けることができる(実際にはできない)。しかし、自然乾燥の場合であると、人的制御のきかない自然条件によるために、含水率が例えば40%程度の発生点で割れが生じることになる。
ヒノキ心材の場合であると、使用可能な含水率が例えば23%であるが、図1に示すように、細溝1,1,・・を施工した梁材としての前記木材Wでは、例えば20%の含水率が割れ発生点となるので、割れを発生させないで使用可能な乾燥状態が得られる。しかし、表層割れ9の原因としての年輪に接線方向T,Tの収縮は細溝1,1によって吸収され、また、表層部と内層部との間の乾燥の度合いが均等化されることから、表層割れ9の発生が抑制され、発生しても細溝1で裂けて発生し、周囲全体に発生が均等に分散することで表層割れ9の程度が小さくなり、使用に耐える程度の発生状態に止まる。
また、内層割れ11は、表層割れ9が発生した後、比較的遅れていた内層部の乾燥が進行することで、内層部の収縮(これも接線方向が優先)が表層部に拘束されて起こる内部応力によるもので、これも細溝1,1により内部の乾燥が均等化されているので、使用に問題なく小さな発生に止まることになる。
W 木材
1 細溝
2 年輪の中心
L 3等分する位置
1 細溝
2 年輪の中心
L 3等分する位置
Claims (2)
- 年輪の中心が四角断面の中心部におかれる心部材としての木材の自然乾燥において、予め各側面にそれぞれの幅を3等分する位置又はほゞ3等分する位置に沿って縦に細溝を刻設しておくことを特徴とする木材の乾燥方法。
- 細溝が幅1mm〜5mm、深さが2mm〜10mmであることを特徴とする請求項1記載の木材の乾燥方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007092271A JP2008246911A (ja) | 2007-03-30 | 2007-03-30 | 木材の乾燥方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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JP2008246911A true JP2008246911A (ja) | 2008-10-16 |
Family
ID=39972423
Family Applications (1)
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JP2007092271A Pending JP2008246911A (ja) | 2007-03-30 | 2007-03-30 | 木材の乾燥方法 |
Country Status (1)
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EE01574U1 (et) * | 2020-07-02 | 2022-08-15 | Honkarakenne Oyj | Lamineeritud palk |
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2007
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