JP3044039B2 - 木材の乾燥方法およびその装置 - Google Patents

木材の乾燥方法およびその装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木材の乾燥方法お
よびその装置に関するもので、特に、短時間でかつ高品
質の乾燥木材を得ることができる方法と装置に係る。
【0002】
【従来の技術】一般的な木材の乾燥方法として、手間も
コストもかからない自然乾燥があるが、自然乾燥だけで
は芯持ち柱材の場合樹齢の若い木には、ねじれ、表面割
れ、小口割れ等が発生し、また、樹脂のある木では数年
後に樹脂が柱表面に滲出して外観を非常に損ねる不都合
がある。そこで、従来の木材乾燥では自然乾燥にかなり
の時間をかけ、引き続き2〜3週間の人工的な乾燥方式
を採用するのが通常であった。
【0003】従来の人工的な乾燥方式として、蒸気式乾
燥と除湿式乾燥を挙げることができる。蒸気式乾燥は、
乾燥室内に木材を桟積みし、その下方に配設した加熱管
に蒸気を通して桟積み間に強制的に加熱空気が循環する
方式であり、現在最も普及している乾燥方法である。ま
た、除湿式乾燥は、除湿機と送風機を装備した乾燥室に
より、上記乾燥よりは緩やかな桟積み乾燥を行うもの
で、ボイラーを要せず、操作が簡単なので、建築材の乾
燥用として普及している。しかしながら、蒸気式乾燥
は、杉の芯持ち柱材(12cm角、背割りつき)の乾燥を
例にした場合、含水率20%程度まで乾燥させるのに1
9日かかり、また、除湿式乾燥では同一木材で28日を
要することから、生産性の面でその短縮化が強く要望さ
れていた。また、これらの従来の乾燥方式については、
乾燥コストや歩留まりの点でも、十分改善の余地が有
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、乾燥
時間が従来方式に比較して著しく短いこと、乾燥にかか
るコストが安価であること、乾燥スケジュールがシンプ
ルなことである。また、樹脂の多い木材では乾燥後の使
用時に樹脂の滲出がほとんどないこと、害虫の発生のな
いこと、木の強度や艶が保たれること、多量生産が可能
なことなどが他の課題として挙げられる。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの本発明の要旨は次の通りである。 (1)被乾燥木材を水分と親和性のない熱媒体オイル中
に浸漬し、この熱媒体オイルを昇温して木材をその乾燥
温度以上に加熱する工程と、熱媒体オイルの昇温を一旦
乾燥温度近辺で止め、この温度で一定時間保持して木材
表面温度と木材内部温度との差を小さくする工程と、次
いで、再度熱媒体オイルの昇温を開始して木材中の水分
を蒸発発散させ、含水率20%以下まで水分をとる工程
とからなり、熱媒体オイルの昇温に際してはオイル温度
を、木材温度と同一もしくは木材温度より常に高く維持
することを特徴とする木材の乾燥方法。 (2)複数本の木材を間隔をおいて桟積みし、これらの
木材に対して、乾燥後の収縮した後も一定の圧力が木材
に作用するように圧締力を付与した状態で熱媒体オイル
中に浸漬することよりなる(1)記載の木材の乾燥方
法。 (3)熱媒体オイルは、引火点が木材の乾燥温度以上
で、低粘度の潤滑油である(1)又は(2)記載の木材
の乾燥方法。 (4)乾燥終了後にさらに一定時間の養生工程を経るこ
とより、木材の表面及び内部の水分を均等にし木質の安
定化を図ることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか
1項記載の木材の乾燥方法。 (5)互いに間隔をおいて桟積みした複数本の乾燥すべ
き木材を乾燥槽内に入れて乾燥する装置において、桟積
みした複数本の木材の周囲に圧締枠をはめて一定の圧締
力を木材に作用させるとともに、前記乾燥槽は、その内
部に引火点の高い低粘度の熱媒体オイルを収容し、その
槽本体内面を金属板もしくはセラミックスで外面を断熱
材にて形成し、その下部に槽内の熱媒体オイルを加熱す
るための加熱手段を配設してなることを特徴とする
(1)〜(4)のいずれか1項に記載の乾燥方法に使用
する木材の乾燥装置。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1は本発明に係る木材乾燥スケジ
ュールの乾燥パターンの基本を示すもので、縦軸に熱媒
体オイルの温度及び横軸に時間をとった場合、乾燥温度
までの加熱を行なう初期加熱工程Aと、乾燥温度到達時
から一定期間の平衡工程Bと、引き続きゆっくりと最終
温度まで昇温させながら乾燥させるオイル乾燥工程C
と、更に、木質の安定化を図る養生工程Dとから構成さ
れる。
【0007】初期加熱工程Aは、木材を乾燥温度kまで
加熱するために熱媒体オイルの温度を上昇させるもので
ある。この乾燥温度としては、杉や松類等の針葉樹では
100℃前後であり、欅(けやき)や樫(かし)などの
広葉樹では65℃前後である。この温度が低すぎると木
材の内部が昇温せず、目的とする乾燥状態が得られず、
しかも樹脂除去等の機能を果たせないおそれがあり、ま
た、高すぎると木材に割れなどが生じやすく好ましくな
い。また、加熱時間としては、効率面及び木材の樹種、
サイズ、品質を考慮して適正に決めるべきであるが、針
葉樹及び広葉樹ともに大体12時間(8〜16時間の範
囲)程度が好適である。本発明においては、工程Aで木
材をまず乾燥温度まで加熱して、木材中の水分を蒸発発
散させる。しかも、乾燥温度前後の熱媒体オイル中に木
材を入れると、木材の細胞組織が固定化され(細胞が仮
死状態となる)、結合水の吸収、発散がなくなり、木材
加工後の変形(割れ、反り、ねじれ等)を防止できる。
【0008】温度平衡工程Bは、木材内部の温度を上昇
させ、木材表面温度に近づけるためのものである。木材
表面が乾燥温度kに達しても木材温度は直ぐには上昇し
ないので、乾燥温度付近の温度で一旦温度上昇を停止
し、一定時間この温度を保持する。これは、内部と外部
の温度差を少なくして、割れを防止する効果がある。こ
の平衡時間は、11cm角の背割り無しの柱材を例にした
場合、約5〜6時間程度が必要であるが、材料が大径材
になれば、6時間以上とすることもあり得る。なお、平
衡工程で木材内部温度が60℃に達し、かつ、これが5
時間以上継続すると、木材内部の害虫、害虫卵、木材表
面の細菌類は死滅するので、使用後の木材破損やかびの
発生がなくなる。
【0009】次のオイル乾燥工程Cは、木材乾燥の中核
をなす工程であり、最終的な加熱温度fまで時間をかけ
て昇温し、ここでほぼ目標とする含水率まで木材を乾燥
させる。この乾燥工程Cにおいては、装入時の木材の含
水率や樹種、サイズによって、目標温度及び加熱時間を
調整する。例えば、針葉樹の水分の少ない樹種である、
伐採後1週間程度のほとんど自然乾燥しない含水率50
%の11cm角の背割り無しの柱材である、檜、唐松材で
は乾燥開始から36時間〜58時間(乾燥工程Cだけで
は18時間〜40時間)で含水率20%を下回る乾燥状
態となるが、針葉樹で水分の多い杉材で伐採後1週間ぐ
らいで含水率150%では、乾燥開始から55時間〜7
0時間で含水率20%前後となる。また、欅、樫材等の
広葉樹では乾燥工程Cの時間としては、比較的長く80
時間〜100時間程度となる。工程Cにおける加熱温度
fとしては、前工程の乾燥温度kより15℃〜25℃高
い程度でよい。
【0010】養生工程Dは、乾燥末期に木材外部と内部
の水分傾斜を和らげて木質の安定化を図るためのもの
で、最終的な乾燥温度fより若干(2,3℃程度)上げ
て養生するものである。すなわち、木材表面温度と熱媒
体オイルの温度差が約0.2〜0.5℃以内に保ちなが
ら、約12時間程度かけて養生すればよい。なお、養生
工程前の乾燥工程終了のままで木材を使用しても、水分
傾斜は自然に緩くなり、割れなどが発生するおそれはな
いが、例えば、乾燥後の木材をカットして使用する場合
には、中心側の部分の含水率が高めであるので、この部
分については後で割れ発生のおそれがある。したがっ
て、養生工程Dはこのような木材をカットして使用する
場合に有効なものであるが、必ずしも必須のものではな
く省略することもできる。
【0011】さらに、実際の木材乾燥に際しては、必要
に応じて、乾燥終了後の熱媒体オイルの除去工程等を併
設することもできる。これは、乾燥終了後の木材に付着
した熱媒体液を除去するためのもので、例えば、約80
℃の灯油液に30分〜60分程度浸漬し、その後1週間
程度桟積みするか或いは約80℃、3時間の温風乾燥し
て灯油の除去を行う。
【0012】本発明において、唐松、米松材のような樹
脂の多い木材の乾燥を行う場合には、木材温度が100
℃前後になると、木材中の樹脂の液体分が外に拡散排出
され、残った樹脂の固定化が図られるので、乾燥後の木
材使用時の樹脂の滲出は全く無くなる。
【0013】なお、本発明の上記した各工程において
は、熱媒体オイルと木材との温度傾斜は、水分拡散方向
と一致させるために、常に熱媒体オイルの温度を、木材
温度と同一もしくは木材温度より高く維持することが必
要である。また、乾燥に際しては温度上昇とともに木材
が軟らかくなって変形が始まるので、実際の操業におい
ては、この変形防止のために、乾燥設備の説明で後述す
る如く、桟積みした木材に圧締力が作用するようにして
おくことが好ましい。この圧締力は乾燥が終了した時点
でもある程度作用させることが必要である。
【0014】本発明で木材の乾燥に直接使用する熱媒体
オイルとしては、100℃以上に木材を加熱することが
多いために、安全性を考えてできるだけ引火点が高く、
かつ、熱伝達率を高めて木材組織中へ熱を伝えやすくす
る低粘度のものが好ましい。本発明者は、種々のオイル
類を実験検討した結果、水分と親和性のない石油系のオ
イルであって、各種工作機械、紡績機械、製材・木工機
械の高速軸受や精密機械各部の潤滑油として用いられて
いるもののうち、粘性が低く引火点が少なくとも被乾燥
木材の乾燥温度以上であること、例えば、杉、檜材の場
合は、120℃以上のものが最適であることを見出し
た。灯油や軽油も考えられるが、これらは引火点が低く
(せいぜい70℃程度)安全面から好ましくない。勿
論、本発明では潤滑油以外でも、上記した性状(水分と
親和性のない、粘性が低く、引火点が高い)のオイルで
あって毒性のないものであれば、使用可能である。
【0015】また、熱媒体オイルの粘性としては、可及
的に低い性質のものが望ましいが、例えば、40℃にお
ける動粘度が、10mm2 /sec以下、100℃における動
粘度が、3mm2 /sec以下のものが好適である。オイルの
粘性が高いと、木材を乾燥した場合、木材中の蒸気が外
部に出にくく、乾燥が困難となると共に乾燥終了後の木
材の取出し時にオイルが多量に付着する問題がある。ま
た、水分と親和性のある物質であると、木材の温度傾斜
により熱媒体中の水分が木材中に逆流するおそれがあ
る。
【0016】なお、本発明は通常使用される断面サイズ
の柱材(例えば、仕上り品サイズとして、9.5cm角、
10.5cm角、12cm角、15cm角等)の乾燥に適用で
きることはいうまでもないが、同一樹種において断面サ
イズが大きくなる場合には、温度平衡工程及びオイル乾
燥工程の時間を適宜延ばせばよい。また、場合によって
はログ材や厚手の板材の乾燥に本発明を適用することも
可能である。
【0017】図2は本発明方法を実施するためのオイル
乾燥設備の概要平面図を示し、図3はその中の要部であ
るオイル乾燥装置の具体例を示す断面図である。図2に
おいて、1は乾燥すべき木材を多数本互いに一定間隔
(10mm程度の間隔)をおいて桟積みしてある桟積場、
2は木材のオイル乾燥を行うためのオイル乾燥槽、3は
オイル洗浄槽、4は温風乾燥槽、5は乾燥後の木材を解
体する(圧締枠を外す)解体場であり、これらは平面的
に順次並列され、その両側にはレール6が敷設されて、
門型の天井走行形式の吊上搬送装置7が走行するように
なっている。吊上搬送装置7はモータ8及び横行する吊
上機9を有し、該吊上機9によって圧締枠により桟積み
した木材を吊り下げて、桟積場1からオイル乾燥槽2、
オイル洗浄槽3、温風乾燥槽4及び解体場5へと各工程
の終了にしたがって搬送する。
【0018】また、10はオイル乾燥槽2における熱媒
体オイルを加熱するためのボイラー、11はオイルの貯
蔵を行う乾燥用貯油槽、12はオイル乾燥槽に対する木
材の搬入・搬出時にオイルを吸い上げる目的と混合物の
除去を行うための循環槽であり、これらはオイル乾燥槽
3に接続している。13はオイル洗浄槽3に接続した洗
浄用貯油槽(灯油貯蔵槽)である。なお、ボイラー10
は乾燥槽2だけでなく、洗浄槽3及び温風乾燥槽4に対
しても接続し、熱源の役目を果たす。該ボイラーとして
は貫流式のボイラーで、大体140℃〜180℃程度の
加熱能力を有していればよく、オイル乾燥槽を複数設け
る場合にはそれに相当する能力のものを用いればよい。
なお、加熱手段としてボイラーを例示したが、本発明で
はこれに限ることなく、他の加熱手段、例えば、ガスの
燃焼による手段、或いは電気的な種々の加熱手段を用い
ることが可能である。また、加熱手段には熱媒体オイル
の加熱温度を調整するための温度検出手段や温度制御手
段等が付設される。
【0019】図3は、オイル乾燥槽2の具体例であり、
例えば、28本の断面矩形(11cm×11cmで、乾燥仕
上り時10.5cm×10.5cmの規格品となる)の柱材
15を同時に熱媒体オイル14により乾燥させる場合を
示している。槽本体16は、内側にステンレス鋼、普通
鋼又はアルミニウムなどの金属板材もしくはセラミック
ス等を、外側に断熱材(レンガ)を張った熱発散を防ぐ
構造からなり、槽本体16の下部には熱源(例えば、ボ
イラー)からの熱管17が複数本配設され、熱媒体オイ
ル14を所定温度に加熱するようになっている。なお、
図示していないが、熱媒体オイルの温度を木材に均等に
供給できるように、かつ、熱伝達率を上げるため、攪拌
機を設置してオイルを適宜攪拌し得るようにしておくこ
とが望ましい。桟積みした木材15は図示の如く、隣り
合う相互の間隔を一定に保つためにスペーサ(アルミニ
ウム製)18を介在させると共に、周囲を圧締枠19に
て包囲して、各木材に一定の圧締力が作用するようにし
ている。
【0020】オイル乾燥に際しては、圧締枠19にて一
個のブロックとして桟積みされた木材を天井走行の吊上
搬送機の吊上機で吊り下げて乾燥槽2内に卸してから、
槽内に熱媒体オイルを満たし(オイルを最初から入れて
おいてもよい)、蓋20をして密閉した後、熱管17を
介してオイルを所定温度まで加熱する。木材の樹種に対
応した加熱乾燥パターンは、図1に示す通りである。熱
媒体オイルは適宜攪拌され、かつ、各木材間にはスペー
サにより間隙が存在するため、各木材はほぼ均等に加熱
され、木材中の水分が発散蒸発する。また、樹脂につい
てもその液体分はオイル中に滲出する。温度上昇により
木材は軟らかくなるが、圧締枠19によりその変形は防
止される。乾燥終了後は再度吊上機で吊って隣接するオ
イル洗浄槽3に移行させ、次いで温風乾燥槽4を経て最
後に解体場5へと移し、そこで圧締枠19を取り外し、
無臭の乾燥材が得られる。外した圧締枠は次回の乾燥の
ために桟積場1へ搬送する。乾燥終了後の木材は、割れ
やねじれ等の有無を検査した後、これら不都合部分を除
去してからプレーナ加工工程に送られてそこで最終成品
サイズに加工される。
【0021】
【実施例】[試験条件] 木材 11cm×11cm×4mの芯持ち柱材(背割り無し)用途
の杉材、檜材、欅材及び米松材をそれぞれ28本ずつ、
スペーサを介在させて桟積みして図3に示す乾燥槽に装
入し、乾燥させた。
【0022】乾燥条件 乾燥槽は熱源を貫流式ボイラで槽内を130℃まで加熱
可能とする。各木材の乾燥パターンは図4〜図6に示す
通りである。即ち、図4は杉材の乾燥スケジュールパタ
ーン、図5は檜材の乾燥スケジュールパターン、図6は
欅材の乾燥スケジュールパターンであり、いずれも初期
加熱工程、温度平衡工程、オイル乾燥工程及び養生工程
を採用し、養生工程後オイル抜き含浸工程及び温風工程
を経て乾燥を終了している。なお、米松材は杉材の乾燥
スケジュールパターンと同じである。
【0023】熱媒体オイル モービルベロシティオイル(商品名、モービル石油株式
会社製のスピンドル・精密機械用の低粘度潤滑油)のN
o.3とNo.6を用いたが、杉材、檜材及び米松材に
ついては、No.3とNo.6の各オイルを1:6に混
合したものを、欅材についてはNo.3オイルのみを使
用した。この混合オイルの引火点は約130℃、動粘度
は7.15mm2 /s(40℃)、No.3オイルの引火点
は約92℃、動粘度は2.05mm2 /s(40℃)、0.
94mm2 /s(100℃)であった。なお、参考までにN
o.6オイルの引火点は約168℃、動粘度は9.47
mm 2 /s(40℃)、2.57mm2 /s(100℃)であ
る。
【0024】[試験結果]上記した条件で乾燥した結果
を表1に示す。比較として従来の代表的な乾燥方式であ
る蒸気方式或いは除湿方式によって同一木材を乾燥した
場合を併せて示す。なお、表1において、温度は乾燥槽
に入れる前の木材温度と乾燥後(オイル乾燥後)の木材
温度を、含水率は乾燥槽に入れる前とオイル乾燥後の含
水率を示し、また、乾燥日数は初期加熱工程から養生工
程までの日数を、割れ等の有無は乾燥終了後、温風を吹
き付けた状態での60日経過後における木材割れの発生
状態、歩留まりは乾燥前の全木材体積(T1 )と乾燥後
のプレーナ加工後の全木材体積(T2 )との比、即ち、
2 /T1 ×100(%)である。
【0025】表1から分かる如く、本発明に係る乾燥方
法にて乾燥した木材は、いずれも含水率20%まで乾燥
するのに、せいぜい2日〜3日しか要しないのに比較
し、従来方式では9日〜19日(除湿方式では40日以
上)要し、格段に本発明方式が乾燥に要する日数が少な
い。また、割れなどの発生も従来に比較してさほどでは
なく、歩留まりも本発明のほうが良い。参考までに乾燥
コストを杉材乾燥で対比してみると、本発明方式は従来
の蒸気式に比し約50%節減された。また、米松材につ
いて乾燥後調べて見ても樹脂の滲出は全く見られなかっ
た。
【0026】なお、上記した熱媒体オイルにおいて例示
したNo.3とNo.6の潤滑油を使用する場合、それ
ぞれの混合割合と引火点、動粘度の関係は、表2に示す
通りであり、これらのなかから乾燥の対象となる木材の
種類等に応じて適宜使い分けることができる。例えば、
杉材、檜材、唐松材及び米松材等ではC〜Fの高い引火
点のオイルを、また、欅材や樫材ではA,Bのより低粘
性オイルを選択することができるし、場合によっては前
記C〜Fのオイルを用いてもよい。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、乾燥時間
を従来に比べ大幅に短縮することができ、乾燥コストの
削減、乾燥スケジュールの簡素化、歩留まりの向上を図
ることが可能となる。また、直接伐採後直ちに本乾燥に
入ることができ、予備乾燥を全く要しないことから、こ
の点からも時間短縮の効果は大きい。さらに、本発明で
得られた乾燥木材自体についても、乾燥後の曲げ、ねじ
れ、割れ、樹脂の滲出等を防止することができ、かつ、
害虫の発生がなく、木の強度や艶が保たれるとともに、
特に、柱材ついては背割りを無くすことができる利点も
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る乾燥方法の乾燥スケジュールの基
本パターンを模式的に示す図。
【図2】本発明方法を実施するための乾燥設備の全体を
示す平面概要図。
【図3】本発明に係る乾燥設備の要部となる乾燥装置の
具体例を示す断面図。
【図4】本発明の乾燥方法を杉材の乾燥に適用した場合
の乾燥スケジュールを示す図。
【図5】本発明の乾燥方法を檜材の乾燥に適用した場合
の乾燥スケジュールを示す図。
【図6】本発明の乾燥方法を欅材の乾燥に適用した場合
の乾燥スケジュールを示す図。
【符号の説明】
1 桟積場 2 オイル乾燥槽 3 オイル洗浄槽 4 温風乾燥槽 5 解体場 6 レール 7 吊上搬送装置 8 モータ 9 吊上機 10 ボイラー 11 乾燥用貯油槽 12 循環槽 13 洗浄用貯油槽 14 熱媒体オイ
ル 15 木材 16 槽本体 17 熱管 18 スペーサ 19 圧締枠 20 蓋

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被乾燥木材を水分と親和性のない熱媒体
    オイル中に浸漬し、この熱媒体オイルを昇温して木材を
    その乾燥温度以上に加熱する工程と、熱媒体オイルの昇
    温を一旦乾燥温度近辺で止め、この温度で一定時間保持
    して木材表面温度と木材内部温度の差を小さくする工程
    と、次いで、再度熱媒体オイルの昇温を開始して木材中
    の水分を蒸発発散させ、含水率20%以下まで水分をと
    る工程とからなり、熱媒体オイルの昇温に際してはオイ
    ル温度を、木材温度と同一もしくは木材温度より常に高
    く維持することを特徴とする木材の乾燥方法。
  2. 【請求項2】 複数本の木材を互いに間隔をおいて桟積
    みし、これらの木材に対して、乾燥後の収縮した後も一
    定の圧力が木材に作用するように圧締力を付与した状態
    で熱媒体オイル中に浸漬することよりなる請求項1記載
    の木材の乾燥方法。
  3. 【請求項3】 熱媒体オイルは、引火点が木材の乾燥温
    度以上で、低粘度の潤滑油である請求項1又は2記載の
    木材の乾燥方法。
  4. 【請求項4】 乾燥終了後にさらに一定時間の養生工程
    を経ることより、木材の表面及び内部の水分を均等にし
    木質の安定化を図ることを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれか1項記載の木材の乾燥方法。
  5. 【請求項5】 互いに間隔をおいて桟積みした複数本の
    乾燥すべき木材を乾燥槽内に入れて乾燥する装置におい
    て、桟積みした複数本の木材の周囲に圧締枠をはめて一
    定の圧締力を木材に作用させるとともに、前記乾燥槽
    は、その内部に引火点の高い低粘度の熱媒体オイルを収
    容し、その槽本体内面を金属板もしくはセラミックで外
    面を断熱材にて形成し、その下部に槽内の熱媒体オイル
    を加熱するための加熱手段を配設してなることを特徴と
    する請求項1〜4のいずれか1項に記載の乾燥方法に使
    用する木材の乾燥装置。
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