JP2001105409A - 乾燥木材の製造方法 - Google Patents

乾燥木材の製造方法

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JP2001105409A
JP2001105409A JP29001499A JP29001499A JP2001105409A JP 2001105409 A JP2001105409 A JP 2001105409A JP 29001499 A JP29001499 A JP 29001499A JP 29001499 A JP29001499 A JP 29001499A JP 2001105409 A JP2001105409 A JP 2001105409A
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dried
steaming
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Yoji Kikata
洋二 木方
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 割れや狂いの少ない乾燥木材を得る方法を提
供することを課題とする。 【解決手段】 木材を、蒸煮などの方法で加熱して、木
材表面の組織を軟化させる。その後、屋外に載置して木
材を乾燥させる。この時、木材内部の温度が高い乾燥工
程初期においては、木材に対して水平方向から送風しな
がら乾燥させる。加熱工程により軟化した木材内部は水
分が流通しやすくなっており、木材内部と木材表面との
間に温度勾配をつけることによって木材内部の水分が木
材表面に速やかに移動する。このため、木材内部と木材
表面の含水率低下の割合がほぼ等しくなり、収縮なども
同時期に起こるため、木材細胞の軟化とあいまって、割
れを防ぐことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、乾燥した木材を
製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、乾燥木材を得るために、丸太や大
角材などの大型材に蒸煮や燻煙などの熱処理を施した
後、所望の形態の木材に製材し、高温の乾燥室内で送風
等して比較的短期間に乾燥させることが行われている。
このような乾燥方法では、熱処理によって内部応力が開
放されるため、製材時においては歩留まりが良好であ
る。ところが、乾燥後の製材においては、割れが見ら
れ、反り、曲がり、ねじれが生じていることが多い。ま
た、製材後に上記熱処理と高温乾燥を施した場合におい
ても、乾燥後の製材においては、同様の割れや反り等が
生じることが多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明では、
割れや狂いの少ない乾燥木材を得る方法を提供すること
を課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明では、木材を加熱する工程と、木材表面温度
よりも低い温度下で前記加熱後の木材の乾燥を開始する
乾燥工程、とを有する乾燥木材の製造方法を提供する。
この発明では、加熱工程において、木材の組織が軟化さ
れる。また、乾燥開始時には、木材全体の温度は高く、
木材表面の温度より低い温度下に加熱後の木材を置くこ
とにより、木材表面と木材内部との間に温度勾配が生
じ、木材表面からの水分蒸発に伴って、木材内部の水分
が木材表面に供給される。このため、木材表面の含水率
は、木材全体の乾燥状況に対して、従来の方法の場合よ
りも比較的高く保持される。この結果、木材表面の組織
は収縮に合わせて変形し、割れの少ない乾燥木材とな
る。また、加熱によって内部応力が緩和される。このた
め、本発明の方法によって製造した木材は、製材後にも
歪みの少ない材となる。
【0005】また、上記方法において、前記乾燥工程は
大気温下で行う、乾燥木材の製造方法を提供する。この
発明によれば、乾燥工程のために、温度制御された乾燥
室等の施設を設けることなく、割れの少ない乾燥木材を
得ることができる。
【0006】また、上記いずれかの方法であって、前記
乾燥工程において木材を送風下におく、乾燥木材の製造
方法を提供する。乾燥工程、特に乾燥工程初期において
木材を送風下におくことにより、乾燥を促進することが
できる。すなわち、木材内部と木材表面との温度勾配を
維持しつつ、より迅速に木材表面の水分が蒸発させるこ
とができる。このため、効率よく乾燥木材が製造でき
る。
【0007】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
詳細に説明する。本発明の乾燥木材の製造方法は、木材
を加熱する工程と、前記加熱後の木材を、木材表面温度
よりも低い温度下で乾燥を開始する乾燥工程、とを有す
る。
【0008】丸太や大型材の場合、木材表面の温度より
乾燥温度を低くして乾燥を開始することにより、木材内
部の含水率の高い部分から木材表面に近い含水率の低い
部分への水分移動が木材表面からの水分蒸発に対して速
やかに行われる。このため、木材表面から水分が蒸発し
ても木材内部から次々に水分が供給され、木材表面の含
水率は急激に低下せず、比較的高い状態に保たれる。ま
た、木材内部の含水率は木材表面の含水率の低下とほぼ
同じ割合で低下する。本発明の乾燥方法では、木材内部
及び表面付近の組織が乾燥して収縮が起こるときも木材
表面の組織が軟化した状態のままであるため、木材表面
の細胞は収縮に応じて変形することができる。この結
果、本発明では、表面割れを抑制しながら丸太や大型材
をそのままの形で乾燥させることができ、任意の形態に
製材して、歩留まりの良い木材を得ることができる。
【0009】板材等にまで製材されているものを本発明
の方法で乾燥させる場合、熱処理によって木材組織が軟
化等されているため、木材表面が外気の平衡含水率に達
する前に、木材内部から次々に水分が供給され、木材表
面と木材内部の含水率が略同じ値になって減少してい
く。このため、従来の乾燥方法の場合と比較して約2倍
の乾燥速度で乾燥し、含水率20〜30%程度を目標と
する場合、従来と比較して半日以上乾燥期間を短縮する
ことができる。また、木材組織が軟化等されているた
め、木材内を水分が移動しやすく、平衡含水率も低下す
る。本発明の乾燥方法では、割れや狂いの少ない木材を
得ることができ、また、特に別個の乾燥を行わなくて
も、そのまま冷暖房による激しい温湿度変化にも耐え得
る、平衡含水率の低い木材を得ることができる。
【0010】(木材)本発明の方法で乾燥させる木材と
しては、丸太や、引き角類、引き割り類などの大型の木
材を用いることができる。丸太は、伐採後表皮を剥ぐ前
の丸太でもよく、表皮を剥いだ後の丸太であってもよ
い。表皮を剥ぐ前の丸太を使用する場合は、後述する加
熱工程の直後に表皮を剥ぐのが好ましい。これらの木材
は、木材表面が乾燥していないものが好ましいが、葉枯
らし材や天乾途中の乾燥材などでも良い。また、本発明
の方法で乾燥させる木材としては、板材等の製材済みの
木材も用いることができる。製材済みの木材について
も、木材表面が乾燥していないものが好ましい。また、
丸太、製材等の形態に係わらず、スギ、ヒノキ、マツ、
カラマツ、ブナ、ナラ、ケヤキ、クリなど針葉樹材から
広葉樹材まで種々のものに適用可能である。特に、近年
要望の多いスギに適用するのが好ましい。
【0011】(加熱工程)本発明の乾燥木材の製造方法
では、乾燥工程に先だって前処理として木材を加熱す
る。加熱方法としては、蒸煮、燻煙など従来公知の方法
を用いることができる。加熱は、木材の表面を軟化する
ために行う。加熱工程に必要とされる温度は、樹種や、
木材の大きさによっては70℃未満の温度で良い場合も
あるが、70℃以上150℃未満であることが好まし
い。なお、加熱工程における木材の濃色化や強度低下な
どの物理的性質の悪化を抑制するためには、100℃以
下が好ましい。
【0012】加熱工程に要する時間は、木材の樹種、形
状、加熱温度等によって大きく変化する。丸太や大角材
などの大型材では、30分から10時間程度であること
が好ましいが、板材等の製材の場合は、数分から1時間
以内であることが好ましい。例えば、表皮を剥いだスギ
の丸太の場合、100〜120℃で約1〜3時間が好ま
しく、スギの多湿芯材の大型材では、130〜140℃
で3〜6時間が好ましい。一方、スギの板材では、10
0〜110℃で10〜20分が好ましい。
【0013】加熱工程における加熱方法としては、蒸煮
を用いることが好ましい。同時に加圧も容易に行えるか
らである。すなわち、蒸気で満たされた装置内の圧力を
上下することにより、オシレーションによって木材内の
水分をより効率的に噴出又は放出させることができる。
蒸煮による加熱の場合、80℃以上130℃未満の温度
において、小径材では10分以上、大径材では3時間以
上加熱することが好ましい。通常の木材では、蒸煮は、
8時間以内とすることが好ましい。
【0014】加熱工程により、木材全体、主に表面組織
が軟化する。このとき、丸太では、木材表面から半径方
向に深さ約3分の1までの領域が軟化されているのが好
ましい。また、他の大型材においても、各表面から中心
部までの長さの3分の1程度までの領域が軟化されてい
るのが好ましい。板材等まで製材済みの場合でも、辺材
部を含んでいるものでは辺材部分が軟化されているのが
好ましい。
【0015】特に、加熱工程において、木材を100℃
以上に加熱したり、あるいは過熱蒸気に曝すこと等によ
って木材に高圧を負荷することが好ましい。より好まし
くは、100℃以上の加圧蒸気による処理である。かか
る処理によって、木材内部の水分の蒸発が促進され、木
材内部の水蒸気は、軟化した木材組織、特に壁孔を破壊
して木材表面へ移動し、木材表面から噴出、あるいは放
出される。この破壊された壁孔の部分が、以後木材内部
から表面へ水分を供給する流通経路となる。かかる流通
経路の形成により、次工程である乾燥工程での水分移動
が容易になり、効率的に乾燥が進行するようになる。
【0016】(乾燥工程)加熱工程を終えた木材は、高
温の熱処理装置等から取り出され、木材表面の温度より
も低い温度下で乾燥工程が開始される。加熱工程の直後
は、木材全体は、余熱によって高い温度となっており、
これを木材表面の温度よりも低い温度下で乾燥させるこ
とにより、木材の表面側から徐々に温度が低下してい
く。乾燥工程初期とは、乾燥工程の開始直後から、放熱
によって木材内部の温度が木材周囲の雰囲気温度、すな
わち乾燥温度とほぼ等しくなるまでの期間をいう。乾燥
工程初期は、加熱工程での加熱温度、乾燥工程での乾燥
温度、及び木材の大きさ等によって左右されるが、具体
的には1日から4日程度である。
【0017】乾燥工程開始時は、木材全体の温度が高い
ため、乾燥温度を低くして木材表面からの水分の蒸発を
抑制しつつ、木材内部と木材表面との間に温度勾配をつ
けて木材内部から木材表面への水分移動を促進させると
好ましい。このため、乾燥開始時の乾燥温度は木材内部
の温度より30℃以上低いことが好ましく、40℃から
80℃程度低いことがより好ましい。
【0018】乾燥温度は、先立って行った加熱工程より
も低い温度であることが好ましい。例えば、約0℃から
80℃の温度で行われることが好ましい。また、乾燥工
程全般において、好ましくは0℃以上40℃以下の温度
であり、より好ましくは10℃以上40℃未満である。
このため、特に温度制御手段を設けなくても、天然の気
候条件で乾燥させることができる。
【0019】また、乾燥工程における湿度については、
60%R.H.以上85%R.H.以下であることが好ましい。
この範囲において、表面の水分が急速に蒸発することが
なく、表面割れを生じずに、速やかに乾燥させることが
できる。より好ましくは、60%R.H.以上75%R.H.以
下である。なお、天然の気候条件で乾燥させる場合は、
これらの範囲外になる場合があっても良い。
【0020】乾燥場所は、雨水などを遮断可能な状態で
あれば良く、屋内でも屋外でも良い。特に、本発明の乾
燥工程では、温度制御手段及び湿度制御手段を用いなく
ても良い。このため、実質的に温度制御手段及び湿度制
御手段を設けずに天然の気候条件を利用すると、設備に
も乾燥木材の製造にもコストがかからず、好ましい。よ
り好ましくは、屋外に屋根を設けて乾燥場所とする。乾
燥場所を屋外として、温度制御手段、湿度制御手段を設
けず、大気温度、大気湿度下において、乾燥工程を開始
し、実施することが、最も好ましい。なお、いずれの乾
燥場所であっても、木材の積み上げ、載置方法は従来公
知の方法を用いれば良い。
【0021】また、乾燥工程では、木材に対して送風さ
れていることが好ましい。特に、上記乾燥工程初期にお
いて送風されているのが好ましく、より好ましくは乾燥
開始後約1ヶ月間送風する。送風方法としては、単に、
自然の風が当たる場所に木材を載置することによっても
よいが、安定して送風下に木材を置くには、送風手段を
用いることが好ましい。送風手段としては、従来公知の
手段を用いることができる。具体的には、大型扇風機で
水平方向から木材に対して平行に風を送ったり、木材の
上方から下方へ向かって風を送ったりすると、木材全体
に均一に風を送ることができる。送風速度は、木材表面
の水分蒸発が木材内部からの水分移動に対して速くなり
すぎないよう、乾燥温度に合わせて調節するのが好まし
い。一般に乾燥温度が高いほど適当な送風速度は小さく
なる。乾燥温度が0℃から80℃の時、送風速度は、風
速1m/sから8m/s程度であることが好ましく、風
速2m/s程度であることがより好ましい。
【0022】本発明の方法で乾燥に要する期間は、丸太
や大型材の場合、木材の樹種や大きさ、目標含水率によ
って異なるが、一般的な乾燥期間と同様である。丸太の
場合は、おおよそ1〜3ヶ月以上であり、大角材など大
型材では、おおよそ10日から1ヶ月以上である。一
方、板材等の製材の場合は、加熱工程を経ない場合と比
較して乾燥速度が約2倍となり、低含水率になってもそ
の速度がほぼ維持される。このため、含水率が20〜3
0%の乾燥木材を得る場合は、従来の方法に比較して早
期に乾燥工程が完了する。また、本方法によると、平衡
含水率は、前処理をしない場合と比較して、1〜5%程
度低くなり、12%以下となる。
【0023】(乾燥後の木材)本発明の方法によって乾
燥させた木材では、表面割れが少ない。好ましい乾燥条
件を用いれば、表面割れの全く無い良好な乾燥木材を得
ることができる。丸太や大型材については、含水率を2
0%以下にまで下げることができ、そのままの状態で長
期保存が可能となる。すなわち、乾燥工程と同一条件下
において保存できるため、乾燥工程からそのまま保存工
程に移行して、保存あるいは備蓄が可能となる。このた
め本発明の製造方法によれば、需要に対してより柔軟に
対応することができるようになる。本発明で得られた乾
燥後の丸太や大型材を保存しておき、注文に応じて必要
な種類の材を必要なだけ製材して供給することができ
る。また、災害時に備えて建材用の木材の備蓄が可能と
なる。
【0024】板材等の製材においても、割れのない、良
好な木材が得られる。目標含水率が20%以上である場
合は、従来の方法より処理時間が短くなる。このため、
需要に対して迅速に対応することができる。また、乾燥
後の平衡含水率が小さいため、歩留まりの良い、動きの
少ない木材となり、特に室内施行に適した木材を得るこ
とができる。
【0025】次に、本発明の具体例について、図表を参
照しながら説明する。 (実施例1)伐採後、30日経過したスギの丸太を、蒸
煮装置を用いて75℃で30分(試料1)又は100℃
で30分(試料2)蒸煮した。その後、丸太を装置から
取り出して屋根付きの屋外に置き、送風機で丸太に対し
て水平方向から風速2m/sの風を20日間送風して乾
燥させ、その後さらに天然乾燥させた。
【0026】試料1、試料2及び蒸煮をせず同様の条件
で乾燥させた同様のスギの丸太(比較試料1)につい
て、丸太の各部分における含水率の時間変化を測定し
た。測定では予め切端をシリコン樹脂でシールしてお
き、測定時にこの切端から約10cmのところで切り落と
し、切り落としたものの切り口の各部位について厚さ2
〜3mmの測定試料を作成し、通常の測定器で測定した。
測定試料は、丸太の切り口の直交する4方向から各部位
の試料を採取して、各試料につき含水率を測定し、平均
を求めた。また、82日後の丸太の含水率については、
接触型含水率計によって表面のみを測定した。
【0027】これらの結果と、82日後の割れの状態を
示す模式図を図1に示す。なお、心材及び辺材について
は、心材全体、辺材全体の平均値を示す。また、図2に
試料1及び比較試料1の含水率の時間変化を模式的に示
す。
【0028】乾燥を始めて約20日後、試料1,2では
丸太の含水率が40〜50%まで低下した。この時、丸
太の表面に割れはほとんど生じていなかった。また、濃
色化などの変色はなく、スギ固有の色、風合いを有して
いた。比較試料1では、20日後には大きく開口した表
面割れが1,2本観察され、含水率が70〜100%ま
で低下していた。82日後には、いずれの試料において
も含水率が11〜14%まで低下していた。この時、図
1に示すように、本発明の方法による試料1,2では、
小さな割れがわずかに生じているのみで、製材にはほと
んど影響が無いものであったのに対し、比較試料1で
は、大きな割れが2つ、小さな割れが1つ生じており、
使用可能部位が制限されてしまった。
【0029】図2をみると、1日から6日後の辺材部の
含水率減少は、比較試料1では、非常に大きく、一方試
料1では、1日後から6日後、19日後にかけて、緩や
かに減少している。これは、比較試料1では、1日後か
ら6日後の間に表面割れが生じ、割れの部分から急速に
水分が蒸発するためである。割れが生じることにより、
割れの部分のみ含水率減少が速くなるため、更なる割れ
が生じ易くなる。
【0030】(実施例2)カラマツ、スギ、ケヤキ、クリ
の4種の剥皮していない丸太を各2本ずつ(カラマツを
試料3,4、スギを試料5,6、ケヤキを試料7,8、
クリを試料9,10とする。)積み上げた状態で100
℃で3時間蒸煮して装置から取り出し、その直後に剥皮
した後、屋根のある屋外に積み上げ、水平方向から送風
して12月から2月にかけて乾燥させた。送風は、断続
的に2ヶ月間行った。また、乾燥開始から170日後に
製材し、評価を行った。含水率は、接触型の含水率計を
用いて表面の含水率を測定した。その結果を図3に示
す。
【0031】170日後、カラマツ、スギの丸太(試料
3〜6)では、いずれも含水率が10〜15%となり、
丸太面では極小さな割れが見られた。また、製材後の製
材面の割れはほとんどなく、中央部分の挽き曲がりもな
かった。170日後のケヤキ(試料7,8)の含水率は
15〜20%に、クリ(試料9,10)の含水率は20
%前後になり、丸太面にはやや大きな割れが生じていた
がいずれも製材に届くほどではなかった。製材面の割れ
はなく、中央部の挽き曲がりについては、ケヤキ(試料
7,8)では3mm/4m、クリ(試料9,10)は5
mm/4mであった。なお、通常の製材時の挽き曲がり
は、約30mm/4m以上である。
【0032】(実施例3)スギの12cm×25cm×
4mの大角材(芯持ち材)で含水率100%以上のもの
を10本(試料11)を、反復蒸煮し、その後屋外で1
0日間大角材に対して水平方向から送風して乾燥させ、
さらに天然乾燥させた。反復蒸煮は、次に示す工程で行
った。 1.30分かけて100℃まで温度上昇 2.100℃で3時間蒸煮 3.1分間圧力抜きした後、1分間放置 4.4分かけて100℃まで温度上昇 工程1から4までを1回行った後、再び工程2から4ま
で行い、さらに100℃で約1時間蒸煮した。その後、
屋外に取り出して送風乾燥を10日間行い、その後も乾
燥を続け、35日後丸太表面の含水率を接触型含水率計
により計測した。
【0033】35日後、試料11の表面含水率が20〜
30%の範囲を示した。いずれの材面においても割れは
生じていなかった。一方、従来の方法により高温下で乾
燥させた同じスギの大角材(比較試料2)では、含水率
は20〜30%を示したものの、材面に大きな割れが生
じていた。
【0034】(実施例4)伐採してから20日後に板材
に製材し、ラップ包装して1日経過後のスギの板材(厚
さ12mm)を、蒸煮装置を用いて75℃、100℃、1
10℃の各温度条件において、5分、10分、20分と
時間を変えて蒸煮した。その後、板材を装置から取り出
して屋根付きの屋外に置き、送風機で板材に対して水平
方向から風速2.5〜3m/sの風を送風して乾燥させ
た。このときの含水率の時間変化を接触型含水率計で測
定した。結果を図4に示す。また、蒸煮をせずに同様の
条件で乾燥させた同様のスギの板材(比較試料3)の含
水率の時間変化について図4に併せて示す。なお、各試
料の実験条件は次に示す通りである。
【0035】 試料12;蒸煮温度75℃、蒸煮時間5分 試料13;蒸煮温度75℃、蒸煮時間10分 試料14;蒸煮温度75℃、蒸煮時間20分 試料15;蒸煮温度100℃、蒸煮時間5分 試料16;蒸煮温度100℃、蒸煮時間10分 試料17;蒸煮温度100℃、蒸煮時間20分 試料18;蒸煮温度110℃、蒸煮時間5分 試料19;蒸煮温度110℃、蒸煮時間10分 試料20;蒸煮温度110℃、蒸煮時間20分
【0036】いずれの試料においても、当初150%あ
った含水率の低下が著しく、乾燥速度が速かった。比較
試料3と比べて約2倍であった。蒸煮時間が20分のも
の(試料14,17,20)は、より速く低含水率に達
した。乾燥を始めてから2.5日後に平衡含水率に達
し、いずれの試料においても平衡含水率は約12%で、
割れは全く無かった。蒸煮せず、同じ乾燥条件で乾燥さ
せた比較試料においても2.5日後に平衡含水率に達
し、一方、平衡含水率は15%であった。
【0037】(実施例5)スギの多湿芯材の丸太につい
て伐採30日後に樹皮を剥ぎ、その直後に120℃で1
時間蒸煮し、その後屋根付きの屋外で17日間丸太に対
して水平な方向から送風して乾燥させ、さらに引き続き
乾燥させた(試料21)。このときの丸太の含水率の時
間変化を実施例1と同様に測定した。試料21の含水率
の時間変化を図5に示す。また、蒸煮を行わず同様の条
件で乾燥させた同様の丸太(比較試料4)の含水率の時
間変化を併せて図5に示す。
【0038】80日後、試料21の含水率は11〜14
%程度に下がっており、小割れが約2本見られた。一
方、比較試料4の場合、含水率は11〜14%と同程度
であったが、約3本の大きな割れが生じていた。
【0039】
【発明の効果】本発明では、割れや狂いの少ない乾燥木
材を得る方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で、スギの丸太を本発明に係
る木材の乾燥方法で蒸煮した後、送風乾燥等したとき、
及び蒸煮せずに送風乾燥等したときの木材内部の含水率
の時間変化と82日後の割れの状態を示す図表である。
【図2】図2(a)は、実施例1で、剥皮したスギの丸
太を、本発明に係る木材の乾燥方法で、蒸煮した後、送
風乾燥等をしたときの丸太内部の含水率の時間変化の模
式図である。図2(b)は、実施例1で、剥皮したスギ
の丸太を、蒸煮せずに送風乾燥等したときの丸太の含水
率の時間変化の模式図である。
【図3】図3は、実施例2で、木材の乾燥方法によって
様々な樹種の丸太を乾燥したときの含水率の時間変化を
示す図表である。
【図4】図4は、実施例4で、スギの板材を本発明の木
材の乾燥方法で乾燥したときと、蒸煮せずに送風乾燥し
たときの含水率の時間変化を示す図である。
【図5】図5は、実施例5で、スギの多湿芯材の丸太を
本発明に係る木材の乾燥方法で蒸煮した後、送風乾燥等
したとき、及び蒸煮せずに送風乾燥等したときの木材内
部の含水率の時間変化と80日後の割れの状態を示す図
表である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2B230 AA15 AA16 AA27 BA01 BA02 EA19 EB05 EB06 EB12 EB13 EB15 EC24 3L113 AB02 AC05 AC20 AC45 AC46 AC50 AC51 AC63 AC65 AC77 AC78 BA05 CA08 CA11 CB02 CB12 CB23 CB24 CB34 CB35 DA04 DA24

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】木材を加熱する工程と、 木材表面温度よりも低い温度下で前記加熱後の木材の乾
    燥を開始する乾燥工程、とを有する乾燥木材の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記乾燥工程は大気温下で行う、請求項
    1に記載の乾燥木材の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記乾燥工程において木材を送風下にお
    く、請求項1又は2に記載の乾燥木材の製造方法。
JP29001499A 1999-10-12 1999-10-12 乾燥木材の製造方法 Pending JP2001105409A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012006307A (ja) * 2010-06-25 2012-01-12 Panasonic Electric Works Co Ltd 木材の調湿方法,単板の製造方法、及び単板
JP2017080994A (ja) * 2015-10-28 2017-05-18 有限会社宮内工務店 木材の燻煙処理装置
JP2021016947A (ja) * 2019-07-17 2021-02-15 飛騨産業株式会社 圧縮木材及びその製造方法

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