JP2002321204A - 木材の処理方法および床材または化粧板の製造方法 - Google Patents
木材の処理方法および床材または化粧板の製造方法Info
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Abstract
どの樹種であっても、時間的、季節的制約を受けること
なく、通年的に、そこから良質な突き板を製造すること
ができるようにする。 【解決手段】 薄板や角材(ひき板、ラミナー)2を繊
維飽和点未満の含水率に乾燥させて保管しておき、必要
時に、該乾燥材を加湿処理などにより湿潤状態に戻して
フリッチ3とし、該フリッチにスライス加工を施して、
突き板4を製造する。
Description
該処理方法をベースとする床材または化粧板の製造方法
に関し、特に、特定の樹種材から突き板のような薄いも
のを製造しようとする際に好適に用いられる木材の処理
方法に関する。
mm程度の突き板を貼り付け、所要の塗装などを行って
床材が作られる。また、適宜の木質基材の表面に同様な
突き板を貼り付けて化粧板を製造することも行われる。
突き板の製造に当たっては、最初に、原木から適宜の寸
法の薄板や角材(ひき板やラミナーと呼ばれている)を
切り出し、それを接着剤で積層あるいは集積してフリッ
チを製造する。次に、該フリッチをスライサーやハーフ
ロータリーなどの工作機械を用いて、薄くスライスする
方法が一般的である。
(例えば、含水率18%程度以下)していると、切削抵
抗が大きくなり加工精度が低下して均一な厚みのものが
得られない。また、乾燥したフリッチから得られた突き
板は、もともと薄いものであるために、反り、ねじれ、
割れが生じやすく、合板などの基材に対して加圧接着す
ることができない。そのために、通常、スライス加工に
供されるフリッチの製造には生材がそのまま用いられ、
生材の含水率がほぼそのまま維持されている。
種々のものが用いられるが、通常、生材の含水率が40
%程度と比較的低いナラ材のようなもの主に用いられ
る。近年になり、従来とは異なった表面意匠の床材を製
造するなどの目的から、これまであまり使用されなかっ
た、生材含水率が比較的高い樺材やブナ材などを突き板
の素材として使用する試みがなされている。伐採後、短
時間のうちにフリッチとしスライス加工する場合には、
含水率の高い樹種を用いて突き板を製造するに格別の問
題は生じない。
て、伐採地においてひき板やラミナーにされ、その状態
で保管されまた輸送に供されるのが普通であり、工場に
おける突き板の製造のためにそれらがフリッチに加工さ
れるまでには、伐採時から長日数が経過してしまうのが
普通である。樺材やブナ材などのように含水率の高い樹
種の場合、ひき板やラミナーとされた状態で長日数(例
えば、夏場で3週間程度)放置されると、生材に劣化が
生じ、腐れや変色が生じる。そのために、樺材やブナ材
などの樹種から突き板を製造するには、時間的制約(早
く処理する必要がある)、季節的制約(5月〜8月は製
造に適さない)を受けやすく、それが製造コストを高騰
させる一因となっている。
れたものであり、生材での含水率が比較的高い樺材やブ
ナ材などの樹種であっても、それを用いて、時間的、季
節的制約を受けることなく、通年的に、良質な突き板の
ような薄ものを製造することを可能とする新規な木材の
処理方法と、該処理方法をベースとする床材または化粧
板の製造方法を開示することを目的とする。
めの本発明による木材の処理方法は、基本的に、生材を
繊維飽和点未満の含水率に乾燥して保管しておき、該乾
燥材を湿潤状態に戻した後、それに直接スライス加工を
施すか、または、それを接着積層してフリッチとし、該
フリッチにスライス加工を施すことを特徴とする。
理が施されて繊維飽和点未満の含水率とされ、そのまま
必要期間保管される。好ましくは、原木は適宜の寸法の
薄板や角材(ひき板やラミナー)に加工され、その状態
で乾燥および保管が行われる。そのために、例え生材含
水率が比較的高い樺材やブナ材などの樹種であっても、
保管中に腐れや変色などの劣化現象を生じることはな
く、生材時での表面意匠をそのまま維持することができ
る。
ある木材に対して適宜の湿潤化処理を施して湿潤状態に
戻し、スライサーやハーフロータリーなどの工作機械で
スライス加工を行う。湿潤状態に戻した後にフリッチを
造り、それに対してスライス加工を行うようにしてもよ
い。いずれであっても、被加工木材は十分な湿気を有し
ているので、反り、ねじれ、割れなどのない安定した性
状の突き板を容易に製造することができる。また、伐採
からの時間経過や製造する季節などを配慮することも不
要であり、製造コストは低減する。
ない。生材での含水率が比較的高い樹種に対して特に有
効であるとしても、これに限られず、従来から突き板の
製造に使用されている樹種に対して適用しても差し支え
ない。また、原木に対して行う乾燥処理も、生材を繊維
飽和点未満の含水率にまで乾燥できれば任意であり、人
工乾燥、天然乾燥など、従来木材の乾燥に用いられてい
る適宜の乾燥方法を用いればよい。なお、本発明におい
て、乾燥を繊維飽和点未満の含水率にまで行う理由は、
繊維飽和点以上の含水率の場合には、木材の細胞内の湿
気の存在によって木材細胞の劣化による腐れ、変色のよ
うな現象が生じることによる。
おいて木材を加湿するのに用いられている任意の手法に
より用いることができる。例えば、乾燥材を冷水又は温
水処理する方法や蒸気処理する方法などであってよく、
そのような処理を単独でまた複数の処理を組み合わせて
行ってもよい。さらに、その処理を加圧および減圧環境
下で行ってもよい。また、上記のような湿潤化処理と乾
燥処理とを複数回繰り返すように処理であってもよい。
湿潤化処理を界面活性剤を含有した冷水、温水、または
蒸気で行うこともできる。この場合には、処理時間の短
縮が図られる。
以上の含水率まで戻し、そのままであるいはそれを集成
してフリッチとした後、従来法によりスライス加工を行
う。好ましくは、湿潤状態に戻す処理によって、乾燥材
の含水率を元の生材含水率近傍にまで戻すようにする。
施の形態を説明する。最初に、樺材やブナ材のような含
水率の高い原木1を伐採した後、薄板や角材(ひき板、
ラミナー)2に加工する。加工した薄板2に対して、ド
ライヤーに入れるなどによって人工乾燥処理を施し、繊
維飽和点未満の含水率とした後、乾燥後の薄板や角材を
そのまま保管する。長日数にわたって保管しても、乾燥
材とされていることから、腐敗や変色が生じることはな
い。
す処理を行い、好ましくは、当該木材を好ましくは生材
含水率まで戻す。湿潤状態となった材料を接着積層して
フリッチ3とし、それを従来法に従いスライサーやハー
フロータリーなどの工作機械にかけて薄くスライス加工
して、突き板4を得る。得られた突き板4を従来法によ
り合板などの基材5に貼り付けて、床材や化粧板6を製
造する。
ッチ寸法にあわせるべく角材や薄板を加工した。それを
ドライヤーを用いて乾燥処理し、繊維飽和点未満の含水
率である14〜16%に乾燥した。乾燥後の薄板を自然
環境下に放置して保管した。14日経過後に、乾燥薄板
を観察したところ、劣化や変色は観察されなかった。
して、100〜110℃の蒸気を、0.5気圧で30
分、8気圧で15時間で加圧減圧注入するサイクルを2
回繰り返して加湿し、湿潤状態に戻した。処理後の薄板
やラミナの含水率を測定したところ平均49〜55%で
あり、ブナ生材の含水率にほぼ近い値となっていた。湿
潤状態の薄板やラミナーをフリッチの寸法にあわせて正
寸カットし、フリッチ状態としてスライサーにかけ、
0.2〜3.0mm厚の突き板を作った。スライス時の
切削抵抗は、生材を正寸カットしてフリッチを作り、そ
こから突き板を製造する場合とほぼ同じであり、スムー
スに切削が行われた。得られた突き板に、反り、ねじ
れ、割れなどの発生は見られなかった。
を観察したところ、生材で作ったフリッチから製造した
従来の突き板と比較して、反りの発生が少なかった。こ
れは、一旦乾燥したものを湿潤状態に戻す工程を踏んだ
ことにより、木材独特のヒステリシス(木材内部の応力
緩和)によって、乾燥による収縮が少なくなり、このヒ
ステリシス効果により収縮が緩和されて反りが少なくな
ったと解される。その後、突き板を合板に貼り付け表面
塗装を行って床材としたところ、前記したヒステリシス
効果により、床材の反りが緩和されていた。
ラミナーに対する加湿(湿潤化処理)を、20℃の水に
3日間浸漬して行った以外は、実施例1と同じ処理を行
った。浸漬処理後の薄板やラミナーの含水率を測定した
ところ平均49〜55%であり、ブナ生材の含水率にほ
ぼ近い値となっていた。湿潤状態の薄板やラミナーから
フリッチを作り、実施例1と同様にして突き板を製造し
たところ、実施例1と同様の結果が得られた。
的高い樺材やブナ材などの樹種であっても、それを用い
て、時間的、季節的制約を受けることなく、通年的に、
良質な突き板のような薄ものを製造することが可能とな
る。それにより、製造コストの低減がもたらされる。
基材(合板)、6…床材
Claims (6)
- 【請求項1】 生材を繊維飽和点未満の含水率に乾燥し
て保管しておき、該乾燥材を湿潤状態に戻した後、それ
に直接スライス加工を施すか、または、それを接着積層
してフリッチとし、該フリッチにスライス加工を施すこ
とを特徴とする木材の処理方法。 - 【請求項2】 湿潤状態に戻すことが、乾燥材の含水率
を元の生材の含水率近傍にまで戻すことであることを特
徴とする請求項1記載の木材の処理方法。 - 【請求項3】 湿潤状態に戻す処理が、乾燥材を冷水処
理、温水処理、および/または蒸気処理することである
ことを特徴とする請求項1記載の木材の処理方法。 - 【請求項4】 湿潤状態に戻す処理を、界面活性剤を含
有した冷水、温水、および/または蒸気で行うことを特
徴とする請求項3記載の木材の処理方法。 - 【請求項5】 湿潤状態に戻す処理を、加圧と減圧下で
行うことを特徴とする請求項3または4記載の木材の処
理方法。 - 【請求項6】 請求項1記載のスライス加工により製造
された突き板を基材に貼り付けることを特徴とする床材
または化粧板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001128153A JP2002321204A (ja) | 2001-04-25 | 2001-04-25 | 木材の処理方法および床材または化粧板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001128153A JP2002321204A (ja) | 2001-04-25 | 2001-04-25 | 木材の処理方法および床材または化粧板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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ID=18976901
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2001128153A Pending JP2002321204A (ja) | 2001-04-25 | 2001-04-25 | 木材の処理方法および床材または化粧板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002321204A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2001
- 2001-04-25 JP JP2001128153A patent/JP2002321204A/ja active Pending
Patent Citations (2)
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