JP2000127111A - 木質単板の製造方法 - Google Patents

木質単板の製造方法

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JP2000127111A
JP2000127111A JP10304127A JP30412798A JP2000127111A JP 2000127111 A JP2000127111 A JP 2000127111A JP 10304127 A JP10304127 A JP 10304127A JP 30412798 A JP30412798 A JP 30412798A JP 2000127111 A JP2000127111 A JP 2000127111A
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wood
cutting
flitch
veneer
heating
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Tsutomu Nakajima
力 中嶋
Hitoo Sakamoto
仁雄 坂本
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Asahi Woodtec Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高品質の木質単板を短時間で効率良く安価に
製造できる木質単板の製造方法を提供する。 【解決手段】 繊維飽和点以上の含水率を有する木材積
層フリッチ(1)を、高周波加熱により、加熱軟化させ
た後、スライス切削して木質単板を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、化粧単板や合板
用単板等の木質単板を製造するための木質単板の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】木質単板は、丸太等の木材原木や、丸太
等から製材された木材フリッチ等の切削用木材を、ロー
タリー切削やスライス切削等により薄板状に切削するこ
とにより得られるものであるが、切削用木材として、乾
燥材を使用すると、硬くて切削が困難になるので、軟化
状態の切削しやすい湿潤材(含水率が通常50%以上の
もの)が使用される。
【0003】一方、木材原木は、伐採直後においては、
含水率が高く、湿潤状態であり、その木材から得られる
木材フリッチも同様に湿潤状態にある。ところが、これ
らの切削用木材は、伐採後、切削されるまでの間に、大
気中に長期間放置されることが多く、そうすると、放湿
により、全体としてみれば湿潤状態であるにもかかわら
ず、部分的に含水率の低い箇所が生じ、硬の部分と、軟
の部分とが混在するようになる。このように含水状態に
むらのある切削用木材を、スライス切削すると、切削肌
の良い箇所と悪い箇所が混在したり、あるいは厚さにば
らつきが生じて、高品質の木質単板を得ることが困難で
ある。
【0004】そこで、従来においては、切削用木材に加
熱処理を行って、全体的に軟化させるとともに、含水状
態のむらをなくして、内部応力を取り除いた後、切削処
理を行うことにより、厚さにばらつきがなく、切削肌が
良好な高品質の木質単板を得るようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、切削用木材を加
熱する場合、煮沸や蒸煮等、木材表面からの熱伝導によ
る外部加熱方式により行われるが、木材は湿潤状態であ
っても、熱伝導性が悪く、内部まで十分に加熱するのに
多くの時間が必要である。もちろん、切削用木材の大き
さ等により加熱時間は異なるが、概ね50〜95℃の温
度で2時間以上もの加熱時間が必要であり、大径の木材
を加熱する場合には、120時間もの加熱時間が必要と
なることもある。このように従来における木質単板の製
造方法では、切削用木材を加熱するのに、多くの時間を
必要とするので、生産効率が低くなるという問題があっ
た。
【0006】また従来において、切削用木材を煮沸によ
り加熱する場合、切削用木材を水槽中の温水に浸漬し、
水槽内に高温の水蒸気を吹き込んで水温を所定の温度に
保つようにしている。ところが、木材は、鉄分が付着す
ると、黒く変色して、いわゆる鉄汚染が発生するので、
煮沸用の水槽として、鉄製ではなく高価なステンレス鋼
製のものを使用しており、コストの増大を招くという問
題を抱えている。
【0007】更に煮沸用水槽として、たとえステンレス
製のものを使用していようとも、水槽内に水蒸気を送り
込むためのパイプは、通常、加工性の良い鉄製のものが
使用されているため、その鉄製パイプの鉄分が、水蒸気
と共に水槽内に送り込まれて、切削用木材に付着する恐
れがある。従って鉄汚染を確実に防止することが困難で
あり、鉄汚染により切削用木材の品質が低下し、ひいて
は、高い品質の木質単板を得ることが困難であるという
問題が発生する。
【0008】この発明は、上記従来技術の問題を解消
し、高品質の木質単板を短時間で効率良く安価に製造す
ることができる木質単板の製造方法を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】ところで、切削用木材
は、放湿によって含水率が低下すると、硬くなって切削
が困難になるということは、既述した通りである。その
一方で、木材の乾燥処理や、接着剤の乾燥硬化処理等を
行う技術として、近年、高周波加熱が注目を集めている
が、この高周波加熱は、あくまでも木材等を、「乾燥さ
せる」ための技術として知られているものである。この
ため従来においては、仮に、切削用木材を高周波加熱に
より加熱したとしても、乾燥して硬くなってしまい切削
が困難になるという固定観念があり、従来、高周波加熱
の技術を、木材切削の技術に適用することは困難である
ばかりか、そのような技術の適用すら、全く考えられて
いないという状況にある。
【0010】このような状況下において、本発明者は、
綿密な研究を行って、鋭意努力した結果、特有の構成を
満足すれば、切削用木材を、高周波加熱により、放湿を
防止しつつ加熱できて、軟化させることができるという
事実を見い出し、本発明をなすに至った。
【0011】すなわち本発明は、繊維飽和点以上の含水
率を有する木材フリッチ、木材原木等の切削用木材を、
加熱工程において加熱軟化させた後、薄板状に切削して
木質単板を得るようにした木質単板の製造方法におい
て、前記加熱工程における切削用木材の加熱処理を、高
周波加熱により行うものを要旨としている。
【0012】また本発明においては、切削用木材とし
て、含水率が50%以上のものが使用される構成を採用
するのが好ましい。
【0013】更に本発明においては、前記加熱工程にお
いて、切削用木材をその材内温度(外表面から内部に4
0mm入り込んだ位置の温度)が50〜80℃となるよ
うに加熱する構成を採用するのが良い。
【0014】この発明においては、高周波加熱に基づく
内部加熱方式によって、切削用木材を加熱軟化させるも
のであるため、木材をその内部も含めた全域を、短時間
でバランス良く加熱することができる。従って、こうし
て加熱された切削用木材をスライス切削やロータリー切
削等により薄板状に切削することにより、高品質の木質
単板を短時間で効率良く安価に製造することができる。
【0015】また本発明は、煮沸や蒸煮等の加熱処理と
違って、高価なステンレス製の水槽を使用するものでは
ないので、より一層、コストの削減を図ることができ
る。更に切削用木材が、鉄分が付着するような環境にお
かれることもないので、変色等の鉄汚染も確実に防止で
き、より一層高い品質の木質単板を得ることができる。
【0016】以下、本発明の構成を、更に詳細に説明す
る。
【0017】本発明において、切削用木材としては、丸
太等の木材原木や、丸太から所定形状に製材された木材
フリッチ等を好適に使用することができる。更に木材フ
リッチとしては、複数の木材片や単板を所定形状に積層
して接着剤により接着一体化された積層フリッチであっ
ても、単一の木材片からなる単一フリッチであっても好
適に使用することができる。
【0018】なお、切削用木材として、積層フリッチを
使用する場合、フリッチ用接着剤としては、湿潤材を接
着することができるものや、スライス切削等の切削時、
及び製造された木質単板の取り扱い時に接着剥離が生じ
ないものを使用する必要があり、更に高周波加熱時に接
着剥離が生じない耐熱性を有するものや、所定の加熱温
度に応じたものを使用する必要がある。
【0019】また本発明においては、切削用木材として
は、含水率が繊維飽和点以上のものを使用する必要があ
る。
【0020】ここで、繊維飽和点とは、細胞壁内が水分
で飽和され、細胞内腔や細胞間隙等の空隙中に液状水分
が存在しない状態をいい、木材の種類によって異なる
が、通常、含水率が25〜35%、平均27〜28%の
状態である。
【0021】また、含水率が繊維飽和点以上の湿潤状態
の木材は、木材を構成している高分子の分子鎖間に、水
分が存在しており、分子間の結合が弱められた状態にあ
り、外力が加わったときに、分子鎖相互のずれにより容
易に変形する。このため、この湿潤状態にある木材を、
その材温を更に上昇させると、木材内部全域に十分に水
分が行き渡り、より一層容易に変形するようになり、切
削を容易に行うことができる。従って、本発明におい
て、切削用木材としては、材温の上昇によって軟化し
て、切削が容易となる湿潤状態(含水率が繊維飽和点以
上の状態)のものを使用する必要がある。
【0022】本発明において、切削用木材は、含水率が
繊維飽和点以上のものであれば、どのようなものでも使
用することができるが、好ましくは、含水率が50%以
上のもの、より好ましくは60%以上のものを使用する
のが良い。すなわち、含水率が低過ぎるものでは、加熱
しようとも、十分に軟化させることができず、切削が困
難になる恐れがある。また含水率が高過ぎても、本発明
の効果が格別損なわれるようなことはないが、含水率が
100%を越えるような高含水率のものは、頻繁に使用
されるものではないので、含水率が100%以下のもの
を使用するのが通例である。
【0023】なお、使用される切削用木材の含水率が低
いような場合には、その切削用木材を貯水槽等に浸漬す
ることにより、吸水させて含水率を高めることができ
る。
【0024】本発明においては、上記の切削用木材を高
周波加熱により加熱軟化させるものである。
【0025】例えば図1に示すように、切削用木材とし
ての木材積層フリッチ(1)を、ベース台としての電極
板(2)と、押え板としての電極板(3)間に挟み込ん
で、両電極板(2)(3)間に高周波電圧を印加するこ
とにより、フリッチ(1)が高周波加熱されるものであ
る。
【0026】本発明において、高周波加熱における周波
数、出力、加熱時間等は、切削用木材の寸法や種類の
他、必要とする材内温度に応じて、適宜設定される。例
えば高周波の周波数は、1MHz〜300MHzである
が、一般には、4MHz〜80MHzの範囲のものがよ
く使用され、木材加熱用に適した周波数は、14MHz
前後、27MHz前後、40MHz前後である。
【0027】また本発明において、高周波加熱による切
削用木材の加熱温度は、後述する材内温度において、5
0〜80℃に調整するのが好ましく、より好ましくは、
下限値を65℃以上、上限値を70℃以下に調整するの
が良い。すなわち、材内温度が低過ぎる場合には、切削
用木材を十分に軟化させることができず、切削加工が困
難になる恐れがあり、好ましくない。また材内温度が高
過ぎる場合には、繊維破壊が生じて、強度が低下した
り、更に切削用木材として積層フリッチを使用している
ときには、フリッチ用接着剤の熱劣化により、木材片の
剥離等が生じる恐れがあり、好ましくない。
【0028】ここで、本発明において、材内温度は、切
削用木材の外表面から内部に40mm入り込んだところ
の温度によって特定される。例えば図2に示すように、
切削用木材として木材積層フリッチ(1)を使用する場
合、フリッチ(1)の一側端面における長さ方向及び厚
さ方向の中間位置に、内部に向かって深さ40mmの小
穴(1a)を開け、その穴(1a)に温度センサー(1
0)を差し込んで、そのセンサー(10)に基づいて測
定された温度を、材内温度として使用することができ
る。
【0029】なお、本発明において、切削用木材として
厚さ210mmの木材フリッチを使用する場合、そのフ
リッチの材内温度を、上記の好適な範囲に調整するに
は、高周波加熱による出力を、5.0〜11.0KW程
度に設定して、5〜10分間程度加熱すれば十分であ
る。
【0030】本発明においては、上記の高周波加熱によ
り切削用木材が加熱されることにより木材内部から加熱
され、内部の水分が熱水、温水となって外表面側に向か
って移動し、つまり内部の熱が外表面側に向かって材内
全域に伝導するので、木材全体を、短時間でバランス良
く均等に加熱でき、短時間で内部まで十分に軟化させる
ことができる。
【0031】そして本発明では、上記のように加熱軟化
された切削用木材を、厚さ0.15〜1.0mm程度に
切削して、化粧単板を得たり、あるいは厚さ0.5〜
4.0mm程度に切削して、合板用単板を得るものであ
る。
【0032】切削方式としては、合板用単板を得るため
のロータリー切削方式や、化粧単板を得るためのスライ
ス切削方式及びハーフロータリー切削方式等を好適に使
用することができる。
【0033】以上のように、本発明の木質単板の製造方
法においては、高周波加熱に基づく内部加熱方式によっ
て、切削用木材を加熱軟化させるものであるため、木材
をその内部も含めた全域を、短時間でバランス良く加熱
することができる。従って、こうして加熱された切削用
木材をスライス切削やロータリー切削等の切削により薄
板状に切削することにより、高品質の木質単板を短時間
で効率良く安価に製造することができる。
【0034】更に煮沸や蒸煮等の加熱処理と違って、高
価なステンレス製の水槽を使用するものではないので、
より一層、コストの削減を図ることができる。更に切削
用木材が、鉄分が付着するような環境におかれることも
ないので、変色等の鉄汚染も確実に防止でき、より一層
高い品質の木質単板を得ることができる。
【0035】また、高周波加熱した切削用木材は、表面
温度よりも内部温度の方が高く、木材内部に蓄熱されて
いるため、加熱直後に、切削しないような場合でも、切
削用木材をポリエチレンシート等の防湿シートで包み、
放湿を防止しておくと、乾燥が防止されるだけでなく放
熱も抑制される。このため、この状態で、2〜3時間程
度放置しておいても、熱が木材内部から表面に徐々に伝
わって、木材の表面温度は低下せず、加熱直後の温度を
維持し、軟化状態が保たれて、切削性が低下するような
ことはない。従って、加熱工程を行ってから、数時間経
過後に、切削工程を行うことも可能となり、作業状況に
合わせて柔軟に各工程を行うことができ、一段と作業効
率を向上させることができる。
【0036】参考までに、従来の煮沸処理によって切削
用木材を加熱軟化した場合には、煮沸後、木材を2〜3
時間放置しておくと、温度が大きく低下し、煮沸前に近
い状態に戻り、切削性が低下してしまう。これは、煮沸
による加熱では、高周波加熱と比較して、木材内部の蓄
熱量が少なく、表面から放熱した分の熱を、内部から供
給できないためであると、考えられる。
【0037】また本発明においては、上記の効果以外に
も、以下に説明するように有用な効果を奏するものであ
る。
【0038】すなわち、含水率が100%を越えるよう
な高含水率の切削用木材は、良好な切削性を有している
ため、一般に、煮沸等の処理を施すことなく、そのまま
の状態で切削されるが、その切削により得られた単板
は、表面及び裏面に水分が浮き出すので、堆積すると、
単板同士が付着してしまい、1枚ずつ分離するのが困難
になる。このため、こうして堆積された単板を、例えば
次工程等において、1枚ずつ分離して、基材等に貼り付
ける作業を行う場合に、単板束から単板を1枚ずつ分離
するのが非常に困難になり、基材への貼り付け作業をス
ムーズに行えなくなってしまう。
【0039】これに対し、高含水率の切削用木材を、切
削する前に、上記したように高周波加熱を行うことによ
り、木材の材内温度が上昇するため、切削直後に、単板
表面及び裏面から水分が揮散して含有水分量が適度に減
少する。このため、この単板を多数積載しても、単板同
士が過度に付着することがなく、単板を1枚ずつ容易に
分離することができ、次工程等において、単板を1枚ず
つ分離して、基材に貼り付ける作業を効率良くスムーズ
に行うことができる。
【0040】
【実施例】次に、本発明に関連した実施例、及びその効
果を立証するための比較例について説明する。
【0041】<実施例1>含水率約60%の複数の板材
片を湿気硬化型ウレタン系接着剤で冷圧接着一体化する
ことにより、ナラ貼り模様の積層フリッチ(長さ925
mm、幅315mm、厚さ210mm)を準備した。こ
の積層フリッチ(1)を、図1に示すように、ベース台
としての電極板(2)上に載置して、押え板としての電
極板(3)により押圧し、高周波加熱(周波数13.5
6MHz、出力5.6KW)を7分間行った。これによ
り積層フリッチ(1)の材内温度は、70℃まで上昇
し、表面温度は35〜50℃まで上昇した。
【0042】なお、材内温度は、図2に示すように、フ
リッチ(1)の側端面における長さ方向及び厚さ方向の
ほぼ中間位置に、深さ約40mmの小穴(1a)を開け
て、その穴(1a)に温度センサー(10)を差し込ん
で、その温度センサー(10)に基づき測定した。
【0043】こうして高周波加熱された積層フリッチ
(1)を、加熱直後に、0.3mmの厚さにスライス切
削して単板を製造したところ、一様な厚みで切削でき
て、良好な切削性が得られ、更に切削肌も良好な高い品
質の単板を得ることができた。
【0044】また上記と同様に、高周波加熱された別の
積層フリッチを、放湿防止用のポリエチレンシートによ
り包み2時間放置したところ、材内温度が70℃以上と
なり、表面温度も加熱直後の温度を維持していた。更に
この積層フリッチを、0.3mmmの厚さにスライス切
削して単板を製造したところ、上記と同様、良好な切削
性が得られ、しかも高い品質の単板を得ることができ
た。
【0045】<比較例1>上記実施例1と同様の積層フ
リッチを、約70℃の温水槽に浸漬した状態で、2.5
時間水蒸気加熱を行った。これにより、材内温度が68
℃まで上昇し、表面温度は、45〜50℃に上昇した。
【0046】こうして加熱された積層フリッチを、加熱
直後に、0.3mmの厚さにスライス切削して単板を製
造したところ、上記と同様、良好な切削性が得られ、更
に高い品質の単板を得ることができた。
【0047】また上記と同様に、水蒸気加熱された別の
積層フリッチを、放湿防止用のポリエチレンシートによ
り包み2時間放置したところ、表面温度が低下してお
り、一様な厚みでスライス切削することが困難であり、
更に切削肌の悪い部分があり、高い品質の木質単板を得
ることができなかった。
【0048】以上の実施例1及び比較例1に示すよう
に、両製法においては、共に高品質の単板を製造できる
ものの、比較例1の製法では、積層フリッチの材内温度
を、およそ70℃まで上昇させるのに、2.5時間もの
加熱時間が必要であるのに対し、実施例1の製法では、
たった7分間の加熱時間で、材内温度を70℃にまで上
昇させることが可能である。従って、実施例1の製法
は、比較例1の製法に比べて、生産効率が非常に高いも
のである。
【0049】また比較例1の製法では、加熱処理後、2
時間放置しておくと、切削するのが困難であるのに対
し、実施例1の製法では、加熱処理後、2時間放置しよ
うとも、難なく切削することが可能である。従って、実
施例1の製法においては、加熱処理後、必要に応じて、
時間をずらせて切削処理を行うことができ、作業状況等
に応じて、各工程を進めることができ、一段と作業効率
を向上させることができる。
【0050】<実施例2>含水率約120%の複数の板
材片を湿気硬化型ウレタン系接着剤で冷圧接着一体化す
ることにより、カバ類の散孔材の乱貼り模様の積層フリ
ッチ(長さ1840mm、幅315mm、厚さ210m
m)を準備した。この積層フリッチを、上記実施例と同
様に押圧し、高周波加熱(周波数13.56MHz、出
力9.8〜10.5KW)を9分30秒間行ったとこ
ろ、材内温度が65℃、表面温度が30〜50℃に上昇
した。
【0051】続いて、この積層フリッチを、加熱直後
に、0.3mmの厚さにスライス切削して単板を製造し
たところ、上記と同様、良好な切削性が得られ、高い品
質の単板を得ることができた。
【0052】また、こうして製造した複数の単板を堆積
した。このとき、各単板は、スライス切削時に水分が適
度に揮散しており、単板束においては、単板同士が過度
に付着するようなことはなかった。
【0053】次に、この単板束から単板を1枚ずつ分離
して、基材に貼り付ける作業を行った。このとき、各単
板を単板束から1枚ずつ容易に分離することができ、基
材への貼り付け作業をスムーズに行うことができた。
【0054】一方、上記のように高周波加熱された別の
積層フリッチを、放湿防止用のポリエチレンシートによ
り包み2時間放置したが、表面温度の低下は認められ
ず、むしろ表面温度の分布が43〜50℃と狭くなって
いた。
【0055】続いてこの積層フリッチを、0.3mmの
厚さにスライス切削して単板を製造したところ、上記と
同様、良好な切削性が得られ、高い品質の単板を得るこ
とができた。
【0056】更にこうして製造した複数の単板を堆積し
たが、単板同士が過度に付着することはなく、単板束か
ら単板を1枚ずつ容易に分離することができた。
【0057】以上のように、この実施例2の製法におい
ても、実施例1と同様、フリッチの加熱処理を短時間で
完了することができ、高い生産効率を得ることができ
る。
【0058】更に、加熱処理後、2時間放置しようと
も、難なく切削することが可能であり、作業状況等に応
じて、各工程を行うことができ、一段と高い作業効率を
得ることができる。
【0059】また、製造された単板束から、各単板を1
枚ずつ分離することも容易に行うことができ、次工程等
において、単板の基材への貼り付け作業もスムーズに行
うことができる。
【0060】<比較例2>上記実施例2と同様の積層フ
リッチを、加熱せずに、そのままの状態で切削して複数
の単板を製造し、これらの単板を堆積したところ、各単
板表面に部分的に水分が浮き出して、単板同士が過度に
付着していた。
【0061】つづいて、この単板束から単板を1枚ずつ
分離して、基材に貼り付ける作業を行ったが、単板を単
板束から1枚ずつ分離するのが非常に困難であり、例え
ば単板が2枚以上重なった状態で、持ち上がったりして
しまい、基材への貼り付け作業をスムーズに行うことが
できなかった。
【0062】
【発明の効果】以上のように、本発明の木質単板の製造
方法によれば、高周波加熱に基づき内部加熱方式によっ
て、切削用木材を加熱軟化させるものであるため、木材
をその内部も含めた全域を、短時間でバランス良く加熱
することができる。従ってこうして加熱軟化された切削
用木材を薄板状に切削することにより、高品質の木質単
板を短時間で効率良く安価に製造することができる。ま
た本発明においては、煮沸や蒸煮等の加熱処理と違っ
て、高価なステンレス製の水槽を使用するものではない
ので、より一層、コストの削減を図ることができ、更に
切削用木材が、鉄分が付着するような環境におかれるこ
ともないので、鉄汚染も確実に防止でき、より一層高い
品質の木質単板を得ることができるという効果がある。
【0063】本発明において、切削用木材として、特有
の含水率を有するものを使用したり、あるいは特有の温
度条件により切削用木材を加熱する場合には、上記の効
果を、より確実に得ることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明方法に関連した積層フリッチ(切削用
木材)を、高周波加熱用の電極板により挟み込んだ状態
で示す概略側面図である。
【図2】材内温度検出用温度センサーが取り付けられた
積層フリッチを示す斜視図である。
【符号の説明】
1…木材積層フリッチ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維飽和点以上の含水率を有する木材フ
    リッチ、木材原木等の切削用木材を、加熱工程において
    加熱軟化させた後、薄板状に切削して木質単板を得るよ
    うにした木質単板の製造方法において、 前記加熱工程における切削用木材の加熱処理を、高周波
    加熱により行うことを特徴とする木質単板の製造方法。
  2. 【請求項2】 切削用木材として、含水率が50%以上
    のものが使用される請求項1記載の木質単板の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記加熱工程において、切削用木材をそ
    の材内温度(外表面から内部に40mm入り込んだ位置
    の温度)が50〜80℃となるように加熱する請求項1
    又は2記載の木質単板の製造方法。
JP10304127A 1998-10-26 1998-10-26 木質単板の製造方法 Pending JP2000127111A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002321204A (ja) * 2001-04-25 2002-11-05 Eidai Co Ltd 木材の処理方法および床材または化粧板の製造方法
JP2005205799A (ja) * 2004-01-23 2005-08-04 Gifutoku Co Ltd 単板の製造方法並びにその三次元加工方法。

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