JP3131605B2 - 圧縮木質材の製造方法 - Google Patents

圧縮木質材の製造方法

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JP3131605B2
JP3131605B2 JP07272068A JP27206895A JP3131605B2 JP 3131605 B2 JP3131605 B2 JP 3131605B2 JP 07272068 A JP07272068 A JP 07272068A JP 27206895 A JP27206895 A JP 27206895A JP 3131605 B2 JP3131605 B2 JP 3131605B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は木質材を加熱圧縮し
て得られる圧縮木質材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の圧縮木質材は、木質材を湿潤状態
で或いは水蒸気雰囲気中で加湿加温して高含水率・高温
状態とした後、加熱圧縮して製造されている。
【0003】上記従来技術は、木質材中に多量の水分が
存在する状態で高温の中で加熱圧縮して圧縮木質材を得
るものであり、セルロース、ヘミセルロース、リグニン
等の木材成分を軟化させ、特に非結晶成分であるヘミセ
ルロース及びリグニンに対しては水分が可塑剤として大
きく作用してそれらの軟化温度をそれぞれ約60℃にま
で低下させ、木質材の可塑性を増大させつつ加熱圧縮を
行うものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高含水
率状態で木質材の加熱圧縮を行う従来技術による場合、
木質材の内部に存在する水分の高蒸気圧力が圧締の解圧
時に圧縮状態を復元しようとする力として働き、更に解
圧によるスプリングバック現象と相まって、圧縮状態を
維持することが困難である。
【0005】また、特に比重の低い木質材においては、
圧縮が容易になされるものの、水分の高蒸気圧力が圧締
の解圧時に一瞬のうちに放出されることによりパンク
(層間剥離)が発生するおそれがある。
【0006】高蒸気圧力の影響を防止するために、圧締
圧縮状態を保持しつつ冷却することも考えられるが、生
産性がきわめて低く、コストを大幅に上昇させるので実
際的ではない。
【0007】更に、圧縮化状態を維持することができた
としても、高含水率状態にある木質材全体に亘って圧縮
化されることから、高比重の木質材となってしまう。こ
のことは、圧縮化状態の維持により材積が小さくなり、
製品歩留まりを低下させ、コストを大幅に上昇させるこ
とを意味している。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来技術に
よる問題点を解決することのできる新規な圧縮木質材の
製造方法を提供することを目的とする。
【0009】すなわち、本発明による圧縮木質材の製造
方法は、繊維飽和点以下に含水率調整された木質材を、
その表裏面を予備加熱して表裏材温を高めると共に、材
温が高いうちに木質材の結晶成分であるセルロースの軟
化点以上の温度にて加熱圧縮し、その後解圧冷却するこ
とにより、木質材の表裏面に圧縮化された薄い高比重層
を形成することを特徴とする。
【0010】
【0011】
【発明の実施の形態】木質材としては、木材の挽材或い
は集成材、単板積層材、合板、パーティクルボード、繊
維板等の加工材が用いられる。
【0012】これら木質材には針葉樹材及び広葉樹材の
いずれもが使用可能であり、特に柔らかいもの、低比重
のものが好適に用いられる。
【0013】木質材は、その含水率を繊維飽和点以下、
好ましくは35%以下に調整される。このため、木質材
として挽材が用いられる場合、木材を製材前に乾燥した
後挽材とするか、或いは乾燥せずに挽材とした後に乾燥
して得られる。加工材を用いる場合にはその製造過程で
繊維飽和点以下に含水率調整される。
【0014】繊維飽和点以下に含水率調整された木質材
に対し、その少なくとも表裏面を予備加熱して表裏材温
を高める。
【0015】予備加熱は、木質材をドライヤーに投入し
たり、熱盤間に挟む等の任意の方法で行われ、その表裏
材温を高める。好ましくは表裏面における材温が80℃
以上となるように予備加熱する。
【0016】次に、材温が高いうちに、上下の熱盤の間
隔を規制する厚さ規制治具(一般にディスタンスバーと
呼ばれる)が取り付けられたホットプレス装置の熱盤間
に、予備加熱した木質材を挿入する。
【0017】熱盤間の厚さ規制治具は、木質材の厚さの
80〜95%、より好ましくは82〜92%の厚さを有
するものが好適に用いられる。換言すれば木質材の圧縮
率が5〜20%、より好ましくは8〜18%となるよう
に厚さ規制治具が取り付けられる。
【0018】木質材の圧縮率が5%未満であると、表裏
両面に対する圧縮化が不十分となり、高比重層として必
要な強度を得ることができない。逆に、圧縮率が20%
を超えると、表裏両面の圧縮化は十分に行われて高比重
層としての必要強度が得られるものの、全体比重が高く
なって重量増を招き、また過大な圧縮率を与えることに
よる材積の減少、すなわち原材料のロスが大きくなるた
めに歩留まりが低下し、コストアップの原因となるので
好ましくない。
【0019】木質材の圧縮率は、上記範囲内において、
使用する木質材の樹種、比重、得ようとする表裏面の硬
度等に応じて任意に選択することができ、その選択され
た圧縮率に対応して厚さ規制治具をセットする。
【0020】表裏両面の材温が高い木質材を、上記厚さ
規制治具が取り付けられたホットプレス装置の上下熱盤
間に挿入して熱圧圧締することにより、表裏両面に加熱
圧縮による薄い高比重層が形成される。
【0021】木質材の予備加熱を熱盤により行う場合に
は、木質材をホットプレス装置の熱盤間に挿入し、熱盤
に圧力をかけずに或いは木質材が変形しない程度の軽微
な圧力をかけて木質材に接触させ、この接触状態を保持
して予備加熱を行い、次いで、木質材に所定の圧縮率を
与えるために必要な圧力を該熱盤に加えて熱圧圧締し
て、表裏両面に圧縮化された高比重層を形成することが
できる。
【0022】このようにホットプレス装置による予備加
熱及び加熱圧縮を1サイクルで行う圧縮方法によれば、
木質材を搬送する必要がなく、ホットプレス装置のプレ
ススケジュールの設定だけで容易に実施可能である。こ
のため、木質材を損傷させることがなく、熱効率が良
く、設備が簡略化され、プレススケジュールの設定が容
易に変更可能であって種々の木質材に対応することがで
き、圧縮率等の製品仕様の変更も容易であり、生産効率
に優れ、歩留まりが良好である等の利点が発揮される。
【0023】木質材の熱圧圧締は、その熱圧温度を、木
質材の結晶成分であるセルロースの軟化点以上の温度と
して行われる。
【0024】木質材中の結晶成分であるセルロースの軟
化点温度は、樹種によって若干異なるものの、概ね20
0〜250℃であり、しかも木質材の含水率にかかわら
ずほぼ一定している。従って、本発明では熱圧温度を2
00℃以上として圧締する必要がある。
【0025】なお、木質材の非結晶成分であるヘミセル
ロース、リグニンの軟化点温度は木質材の含水率によっ
て大きく変化し、絶乾状態におけるヘミセルロース及び
リグニンの軟化点温度はそれぞれ約180℃、約150
℃であるが、木質材の繊維飽和点である35%の含水率
においては共に軟化点温度が60℃付近にまで低下す
る。従って、繊維飽和点以下に含水率調整された木質材
を用いる本発明において、セルロースの軟化点以上の温
度で熱圧圧締することにより、結晶成分であるセルロー
スが熱軟化すると同時に、非結晶成分であるヘミセルロ
ース及びリグニンも軟化溶融する。
【0026】圧締時間及び圧締圧力は、使用する木質材
の種類、樹種、材自体の比重、柔らかさ等に応じて任意
に設定されるが、圧締の際に前記厚さ規制治具による必
要圧縮率を得るためには一般に圧締時間1〜7分、圧締
圧力5〜25kg/cm2とすることが好ましい。
【0027】ホットプレス装置の上下熱盤間にて加熱圧
縮された木質材は、予めその表裏両面を予備加熱されて
表裏材温が高いものとされているため、熱盤の熱が直ち
に表裏部分に伝わり、該表裏部分において熱軟化及び圧
縮力による圧縮化が進行するが、繊維飽和点以下の含水
率に調整されていることから、熱伝達は比較的緩慢に行
われ、従って木質材の表裏部分のみが圧縮化される。
【0028】このように、熱圧時においても木質材全体
の温度が高くなることがないため、その後の解圧により
容易に冷却される。
【0029】しかも、木質材組織中の結晶成分であるセ
ルロースの軟化点以上の温度で熱圧圧縮されるため、熱
圧時に軟化した繊維質のセルロースが解圧後の冷却によ
り変形した状態で固定される。更に、非結晶成分である
ヘミセルロース、リグニンも熱圧により軟化溶融してセ
ルロースに対して接着剤として作用するため、熱圧圧締
後の解圧に伴う木質材のスプリングバックが最小限に抑
えられ、表裏両面に圧縮化された薄い高比重層が形成さ
れる。
【0030】木質材の表裏両面に圧縮化により形成され
る薄い高比重層は、好ましくは0.7以上の比重を有す
る。
【0031】また、該高比重層の硬さは,JIS Z−
2007による木材の硬さ試験法において4.5kgf
/mm2以上であることが好ましく、これにより表面の
耐衝撃性が十分なものとなって傷がつきにくくなり、材
自体の曲げ強度を向上させると共に、疎水性、膨潤率、
吸水率の減少により木質材としての寸法安定性を向上さ
せる。
【0032】以上のようにして、繊維飽和点以下に含水
率調整された木質材の表裏面に、加熱圧縮により圧縮化
された薄い高比重層2、2が設けられて成ることを特徴
とする本発明の圧縮木質材1が得られる(図1)。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、全体比重を高めること
なく、木質材の表裏面に薄い高比重層が形成されるた
め、軽量でありながら曲げ強度、表面平滑性、表面硬度
の向上がなされ、また表裏のバランスが保たれることか
ら反りやねじれを発生させることのない圧縮木質材が得
られる。
【0034】表裏両面の高比重層は、木質材の結晶成分
であるセルロースが軟化され、また非結晶成分であるヘ
ミセルロース、リグニンが軟化溶融された後に圧縮され
て高比重に硬化して形成されるものであるため、疎水性
の被膜となり、圧縮化による親水性の低減と相まって、
膨潤率及び吸水率を減少させることができ、木質材の寸
法安定性を大幅に向上させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による圧縮木質材の概略構成を示す断面
図である。
【符号の説明】
1 圧縮木質材 2 高比重層

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維飽和点以下に含水率調整された木質材
    を、その表裏面を予備加熱して表裏材温を高めると共
    に、材温が高いうちに木質材の結晶成分であるセルロー
    スの軟化点以上の温度にて加熱圧縮し、その後解圧冷却
    することにより、木質材の表裏面に圧縮化された薄い高
    比重層を形成することを特徴とする圧縮木質材の製造方
    法。
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