JP6083700B2 - オイルパームの乾燥装置及びその乾燥方法 - Google Patents

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本発明は、ヤシの一種であるオイルパーム(油椰子;oil palm)から得られたオイルパームの乾燥装置及びその乾燥方法に関するもので、所定長のオイルパーム幹をその周方向に所定の厚みに剥いたオイルパーム材及び所定長のオイルパーム幹をその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパームの乾燥装置及びその乾燥方法に関するものである。
なお、一般に「板」とは、広辞苑によれば「材木を薄く平たくひきわったもの」、「金属や石などを薄く平たくしたもの」等として説明されるが、ここでは、オイルパームが木材の性状を有するものではなく、竹材に近い性状をもつものであるが、オイルパームにおいても「薄く平たくしたもの」を「板」と呼び、厚い板材、柱等を含む材料をオイルパーム材と呼ぶこととする。特に、オイルパームの材料を仔細に呼称する用語がないので、木材と同様に扱うこととする。
一般に、オイルパームの成木は単一の幹からなり高さ10〜20m以上に達する。葉は羽状で長さ3〜5m程度、若木で年間に約30枚、樹齢10年以上の木では約20枚が新しく生えている。花は3枚の花弁と3枚のがく(萼)からなり、個々には小さいが密集した集団を形成し、受粉してから果実が成熟するまでは約6ヶ月を要している。果実は油分の多い多肉質の果肉(中果皮)と、同じく油分に富んだ1つの種子からなり、果実の重さは1房あたり40〜50kg程度になる。
19世紀後半から東南アジアのプランテーションで栽培されるようになり、オイルパームから採れる植物性油脂のヤシ油(palm oil)は、大豆や菜種等他の植物性油脂よりも生産性が高く、安価であることから、マーガリン、揚げ物用の油等の食用に使用されている。また、石鹸、化粧品等にも多用されている。近年、ヤシ油(palm oil)は、マレーシアやインドネシア等の東南アジアから日本への輸出される量も増大している。したがって、オイルパームといえば、果肉と種子から取れる油脂の意味と、油椰子の幹自体を指す場合もある。
通常、学術的にはオイルパームは、ヤシ科アブラヤシ属に分類される植物の総称で、西アフリカを原産とするギニアアブラヤシ(Elaeis guineensis)と、中南米原産のアメリカアブラヤシ(Elaeis oleifera)の2種類が有名であり、栽培品種の中にはギニアアブラヤシとアメリカアブラヤシの交配品種も存在する。特に、植物性油脂の原料となる椰子の一種であるアブラヤシ(油椰子)を「オイルパーム」と呼ぶ場合もある。
即ち、オイルパームは、果肉と種子から油脂が取れ、単位面積当たり得られる油脂の量は他の植物を群を抜いていることから、商業作物としてマレーシア等の東南アジア諸国を中心に大規模なプランテーション農業が行われているので、油脂の方を「オイルパーム」と呼ぶ方が著名になりつつあるかもしれない。
しかし、本発明においては、果肉と種子から取れる油脂のオイルパームを意味するものではなく、油椰子の幹自体または植物の個体全体をオイルパームと呼ぶこととする。
このオイルパームを扱った特許出願には、特許文献1(空果房を扱った発明)に掲載のものがある。特許文献1では、オイルパームを利用した建築材料の製造方法を開示している。具体的には、パーム繊維を洗滌した後乾燥油が95%になるように乾燥する段階と、前記乾燥したパーム繊維を1〜1.5cm単位で破送・切断してパーム繊維チップを製造する段階と、前記乾燥したパーム繊維を200メッシュの粒経で粉碎する段階と、竹を200メッシュの粒経で粉碎する段階と、前記パーム繊維チップ、前記パーム繊維粉末、前記竹粉末、バイオセラミック粉末を1:1:1:1の比率で混合して主原料を製造する段階と、石炭の炭化物から200メッシュの粒経を有するフライアッシュを抽出する段階と、火炎防止剤と耐熱性樹脂である硬化用難燃樹脂を1:1の比率で混合・溶融してバインダを製造する段階と、前記製造されたバインダ20〜30重量%、前記混合した主原料50〜60重量%、フライアッシュ20〜25重量%の粉末を混合して高液状で練る段階と、前記ねりを150〜200℃の温度を発散する成形部間を通過させて1次で焼く段階と、前記焼かれた成形物を多数の上部ローラー群と下部ローラー群が後側に行くほどその間隔が徐々に細くなるように配置された圧延部の間を通過させて徐々に薄い厚さで圧延する段階と、前記成形物を多数の上部ローラー群と下部ローラー群からなった冷却部を通過させながら0〜4℃で冷凍させる段階と、切断シリンダーによって昇降する刃により前記成形物を一定な長さ単位で切断する段階との工程から成り立っている。
この特許文献1では、パーム繊維を主原料として利用することにより人体に無害であるだけではなく、パーム繊維を1〜1.5cmで切断したものをパーム繊維粉末とともに使用するので、パーム繊維が周辺の他の内容物との仮橋役を成して堅固な建築材料となり、竹とバイオセラミックにより抗菌及び脱臭機能を具現化することができる。また、カビが発生しないで、遠赤外線、陰イオンの発生が期待できる。そして、不燃性廃材をリサイクルすることができ、製作コストが安くなる。更に、全ての組成物から有毒性ガスが発生しないので建築材料として安全性が高いとされている。
また、特許文献2(空果房を扱った発明)では、板状体または成形体は、油ヤシの空果房を解繊して得た油ヤシ繊維にゴム状弾性を示す樹脂を付着し、圧縮成形することにより得られた板状体または成形体である。
したがって、オイルパームの空果房を解繊して得た油ヤシ繊維は、例えば、ココヤシ繊維等の他のヤシ繊維に比して、繊維表面にパームオイルが付着しているために繊維の撥水性が優れていると共に、繊維中に含まれるセルロース及びリグニンの量が相対的に多いので、耐水性に優れる。加えて、油ヤシ繊維は、ココヤシ繊維等の他のヤシ繊維に比して、繊維強度が大であると共に、繊維径が大きく、かつ、繊維長が長いので、寸法安定性が優れている。また、油ヤシ繊維は、その表面の凹凸が大きいと共に屈曲の強度が大きくて繊維同士のからみあいが大きいから、このことによっても寸法安定性が高められる。そのため、この板状体または成形体は、吸水、吸湿時における寸法安定性が優れている。
そして、油ヤシ繊維表面の凹凸が大きいので、ゴム状弾性を示す樹脂が油ヤシ繊維の表面の空隙に侵入して固化又は硬化し、これが釘または楔のように作用して、所謂、アンカー効果を発揮するから、油ヤシ繊維はゴム状弾性を示す樹脂により強く結合する。このことも吸水、吸湿時における寸法安定性の向上に寄与していると考えられる。
油ヤシ繊維は、例えば、ココヤシ繊維等の他のヤシ繊維に比して、繊維の剛性及び強度が大であると共に、繊維径が大きく、かつ、繊維長が長いので、弾性回復性に優れている。また、油ヤシ繊維は、繊維の屈曲の強度が大きくて繊維同士のからみあいが大きいので、弾性回復性が高められる。そして、ゴム状弾性を示す樹脂は弾性回復性が高い。そのため、油ヤシ繊維がゴム状弾性を示す樹脂により連結されている板状体または成形体は、優れた弾性回復性を示し、歩行感及びクッション性が良く、しかも、遮音性が良い。
この板状体または成形体では、油ヤシ繊維を使用するから、他の種類のヤシ繊維に比して解繊等に要する労力が少なく、そのため、製造コスト及びエネルギーが節減でき、製品が安価となる。例えば、ココヤシ繊維では、ヤシ殻を軟化させるために長期間水中に浸漬し、その後に機械的に繊維状に解繊するために長期間多大のエネルギーを必要とする。これに対してオイルパームは、もともと繊維状のままで集合体となっている空果房を解繊するから、水中浸漬の必要はなく、解繊のために要するエネルギーも非常に少なくて済む。 また、油ヤシ繊維はココヤシ繊維に比して発塵性が少なく、その取り扱いにおいて作業環境の悪化が避けられる。
更に、油ヤシ繊維の繊維間に大きな隙間が形成されるので、噴霧または浸漬によりゴム状弾性を示す樹脂を供給したときには、樹脂が上記隙間を介して全繊維に均等に付着し、強度分布が均一になるという板状態が得られる。
そして、特許文献3(オイルパーム幹の発明)では、接着剤で貼り合わされた複数の単板の表面に露出している繊維に接着剤を浸透させた合板の技術を開示している。
特許文献3に係るパーム合板は、樹脂接着剤で貼り合わされた複数の単板を備え、複数の単板のうちの最も外側の少なくとも1枚の単板は、パーム単板であり、パーム単板の表面に露出しているパーム繊維に樹脂接着剤が浸透させたものである。これにより、品質が比較的良好な樹木の単板をフェイスとバックとして使用せずに、安価な廃棄材のヤシの幹から製造可能なパーム単板を使用して表面を樹脂接着剤で処理することで、低コストで合板を製造する。
また、特許文献3のパーム合板は、複数の単板を全てパーム単板とし、安価な廃棄材のヤシの幹から製造可能なパーム単板のみを使用し、互いを樹脂接着剤で接着してもよい。このときのパーム繊維に浸透させてある樹脂接着剤は、複数の単板を貼り合わせる樹脂接着剤と同系のものである。樹脂接着剤が同系であるため、安価に合板を製造することができる。なお、ここで、同系とは、同一の樹脂接着剤、配合(例えば、配合比率)を変えたものを含む。
そして、特許文献3のパーム合板は、パーム繊維に樹脂接着剤を浸透させる面を研磨した後に、パーム繊維に樹脂接着剤を浸透させ、合板表面から突出するパーム繊維を少なくし、パーム繊維に樹脂接着剤を浸透させるものである。この合板製造方法は、複数の単板を接着剤で貼り合わせる工程と、複数の単板の表面であり、露出している繊維に接着剤を浸透させる面を研磨する工程と、研磨した面に接着剤を塗布して繊維に接着剤を浸透させる工程と、接着剤を乾燥させる工程とを備え、これにより、品質が比較的良好な樹木の単板をフェイスとバックとして使用することなく、低いコストで合板を製造することができる。
このように、特許文献3によれば、品質が比較的良好な樹木の単板をフェイスとバックとして使用せずに、低いコストで製造が可能な合板およびパーム合板、合板製造方法が開示されている。
特開2009−166342 特開平10−8696 特開2011−68015
このように、特許文献1及び特許文献2は、何れもオイルパームの果実の空果房を解繊して得た油ヤシ繊維の利用であり、直接的にオイルパームの幹を利用するものではない。しかし、オイルパームの幹は成木で20m以上となり、全体の90〜95%を占める容積率であることからその利用が望まれていた。
特に、マレーシア等の東南アジア等では、パームオイルの生産のためにオイルパームが栽培されているが、パームオイル採取後の空果房には繊維等が多く含まれていることから、その空果房は繊維ボード等種々の用途に活用されている。しかし、毎年伐採されているヤシの幹は有効に活用されておらず、廃棄処分されているのが現状である。
また、特許文献3には、最も外側の少なくとも1枚の単板がパーム単板を複数樹脂接着剤で貼り合わせる工程と、パーム単板の表面であり、露出しているパーム繊維に樹脂接着剤を浸透させる面を研磨する工程と、研磨した面に樹脂接着剤を塗布してパーム繊維に樹脂接着剤を浸透させる工程と、樹脂接着剤を乾燥させる工程とを備えた合板製造方法を開示している。しかし、オイルパームの単板に如何に樹脂接着剤を塗布するか、露出しているパーム繊維に樹脂接着剤を浸透させるかについては説明されておらず不明であり、具体的な合板の製造方法が不明である。
ところが、オイルパーム幹を製材すると、含水率が極めて高いため、天然乾燥では灰色のカビ細菌が繁殖して腐食しやすく、商品化しても商品価値が損なわれる場合があり、単なる見栄えが低下するのみならず、機械的強度が低下したり、品質が一定しなかったりして品質管理の問題があった。
したがって、オイルパームは機械的強度を要求されない木材(建材)の一部で断熱性の材料として使用されていたが、建築材料等に使用できないものとされていた。
特に、オイルパームの長さ方向に対し垂直に切断した断面は、オイルパーム幹WDの中心を挟み直径の1/3の径程度が中心部のA領域、中心部のA領域の外側の径で直径の1/3乃至1/6の範囲が内部領域となるB領域、A領域の外側の径から1/6の範囲が外部のC領域とすると、乾燥重量を基準とする各部位の含水率は、A領域が502%、B領域が313%、C領域が217%である。また、糖濃度は、A領域が67.5mg/ml、B領域が76.6mg/ml、C領域が55.4mg/mlである。
また、糖濃度は、A領域及びB領域が高いが、乾燥できない程度に高い糖濃度ではない。しかし、水分の蒸発によって糖濃度が高くなると、柔細胞の水分の蒸発部位が移動するという変化が予測される。本件発明者らは、熱板加熱等による乾燥の際に含水率の低い方から順次乾燥させ、含水率の高い方が最後に乾燥させられるものであることから、この糖分濃度と含水率の関係と、乾燥の進行に部分的な乾燥状態にばらつきが生じ、カビ細菌が繁殖し、部分的に黒ずむことがあって建材の使用には程遠かった。
そこで、本発明は、かかる不具合を解決すべくなされたものであって、オイルパーム材であってもカビ細菌が繁殖しないオイルパームの乾燥装置及びその乾燥方法の提供を課題とするものである。
請求項1の発明にかかるオイルパームの乾燥装置は、所定長のオイルパーム幹をその周方向に所定の厚みに剥いたオイルパーム材または所定長のオイルパーム幹をその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材に対し、そのオイルパーム材の両面から熱板で100〜150℃の範囲内の温度を上限の温度として加熱すると同時に、プレス機構によって前記オイルパーム材に対して前記熱板を所定の圧力で圧縮力を付与する。このとき、前記オイルパーム材及び前記熱板を収容し、その内部圧力を大気圧と独立する収容室とし、ポンプによって前記収容室から空気を排気し、その湿度状態を、乾燥後の含水率10%〜30%の範囲内とするものである。
ここで、上記オイルパーム材は、所定長のオイルパーム幹をその周方向に所定の厚みに剥いて合板とするオイルパーム材または所定長のオイルパーム幹をその長さ方向に所定の厚みに製材した単独のオイルパーム材とすることができる。
また、上記熱板は、前記オイルパーム材を両面から加熱するものである。したがって、2枚以上として使用される。
そして、上記プレス機構は、前記オイルパーム材に対して前記熱板を所定の圧力で圧縮力を付与するものである。
更に、上記収容室は、前記オイルパーム材及び前記熱板を収容し、当該収容室から空気を排気するように加圧したり、減圧したりするものであればよく、加圧または減圧を問うものではなく、吸気側又は排気側の何れの側に配設してもよい。いずれにせよ、収容室内の空気化が動くものであればよい。
更にまた、上記ポンプは、前記収容室から空気を排気または吸気するものであり、特殊なものが必要となるものではない汎用性の非容積形ポンプとして遠心ポンプ、軸流ポンプ、斜流ポンプが使用できる。また、容積形ポンプとして回転ポンプ、往復ポンプ等が使用できる。
本発明にかかるオイルパームの乾燥装置の前記オイルパーム材の乾燥後の含水率は、10%〜30%の範囲内としたものである。本発明者らは実験研究を重ねた結果、一般に、含水率が10%未満の場合は、圧密加工によって十分な化学変化を起こさせることができず、また、表面が乾燥し過ぎて、圧密加工後において水に濡れた場合に圧縮した部分が元の厚さ形状に戻る現象、所謂、固定化不良が起こり易くなる。一方、含水率が30%を超えると、内部まで均一に乾燥され難く、圧密加工の固定化処理中に含まれる高温・高圧の水蒸気の作用によってプレス圧に抗する内圧が発生し、プレス圧を除いた後に、割れ・破壊(パンク)等の損傷や変形・膨らみ等が生じ易くなることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。より好ましくは、前記オイルパーム材の含水率は13%〜20%の範囲内である。
また、オイルパームの乾燥装置の前記オイルパーム材を加熱する熱板の加熱温度または誘電加熱される温度は、オイルパーム材の固定化温度よりも低い100〜150℃の範囲内の温度を上限の温度としたものである。ここで、オイルパーム材の固定化温度160〜180℃よりも低い100〜150℃の温度であれば、水分の蒸発が容易であり、その熱でオイルパーム自体が自己の成分によって、変質したりすることがなく、安定した塑性変形に陥る前であり、乾燥のみを行った材料となる。
請求項2の発明にかかるオイルパームの乾燥方法は、所定長のオイルパーム幹をその周方向に所定の厚みに剥いたオイルパーム材または所定長のオイルパーム幹をその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材を形成する材料形成工程と、前記オイルパーム材の両面から100〜150℃の範囲内の温度を上限の温度として加熱する複数枚の熱板からなる熱板加熱工程と、前記熱板相互間の前記オイルパーム材に対して、プレス機構で所定の圧縮力を付与する圧縮力付与工程と、前記オイルパーム材及び前記熱板を収容した収容室の内部圧力を大気圧と分離し、前記収容室の湿度状態を乾燥後の含水率10%〜30%の範囲内とするために前記収容室から空気をポンプで排気する湿気排出工程とを具備するものである。
ここで、上記材料形成工程は、所定長のオイルパーム幹をその周方向に所定の厚みに剥いたオイルパーム材、または所定長のオイルパーム幹をその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材を形成する工程である。
また、上記熱板加熱工程は前記オイルパーム材を両面から熱板で加熱する工程である。
そして、上記圧縮力付与工程は、前記オイルパーム材に対してプレス機構で前記熱板を所定の圧力で圧縮する工程である。
更に、上記湿気排出工程は、前記オイルパーム材及び前記熱板を収容した収容室の内部圧力を大気圧と分離し、前記収容室から空気をポンプで排気または吸気する工程である。
本発明にかかるオイルパームの乾燥方法の前記オイルパーム材の乾燥後の含水率は、10%〜30%の範囲内としたものである。本発明者らは実験研究を重ねた結果、一般に、含水率が10%未満の場合は、圧密加工によって十分な化学変化を起こさせることができず、また、表面が乾燥し過ぎて、圧密加工後において水に濡れた場合に圧縮した部分が元の厚さ形状に戻る現象、所謂、固定化不良が起こり易くなる。一方、含水率が30%を超えると、内部まで均一に乾燥され難く、圧密加工の固定化処理中に含まれる高温・高圧の水蒸気の作用によってプレス圧に抗する内圧が発生し、プレス圧を除いた後に、割れ・破壊(パンク)等の損傷や変形・膨らみ等が生じ易くなることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。より好ましくは、前記オイルパーム材の含水率は13%〜20%の範囲内である。
また、オイルパームの乾燥方法の前記オイルパーム材を加熱する熱板の加熱温度または誘電加熱される温度は、オイルパーム材の固定化温度よりも低い100〜150℃の範囲内の温度を上限の温度としたものである。ここで、オイルパーム材の固定化温度160〜180℃よりも低い100〜150℃の温度であれば、水分の蒸発が容易であり、その熱でオイルパーム自体が自己の成分によって、変質したりすることがなく、安定した塑性変形に陥る前であり、乾燥のみを行った材料となる。
請求項3の発明にかかるオイルパームの乾燥装置は、所定長のオイルパーム幹をその周方向に所定の厚みに剥いたオイルパーム材または所定長のオイルパーム幹をその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材を100〜150℃の範囲内の温度を上限の温度として誘電加熱する誘電加熱源と、前記オイルパーム材を収容して前記誘電加熱源で誘電加熱する室内圧力を大気圧と分離する収容室と、前記収容室から空気を排気するポンプとを具備するものである。
ここで、上記オイルパーム材は、所定長のオイルパーム幹をその周方向に所定の厚みに剥いて合板とするオイルパーム材または所定長のオイルパーム幹をその長さ方向に所定の厚みに製材した単独のオイルパーム材とすることができる。
また、上記誘電加熱源は、前記オイルパーム材を誘電加熱するものであり、工業用の数MHz〜数100MHzの高周波交流電界中に前記オイルパーム材を被加熱物として置き、当該電磁波の作用によって昇温加熱するものである。
そして、上記収容室は、前記オイルパーム材を収容し、当該収容室から空気を排出するように加圧したり、減圧したりするものであればよく、加圧または減圧を問うものではなく、吸気側または排気側の何れの側に配設してもよい。いずれにせよ、収容室内の空気化が動くものであればよい。更に、上記ポンプは、前記収容室から空気を排気または吸気するものである。
本発明にかかるオイルパームの乾燥装置の前記オイルパーム材の乾燥後の含水率は、10%〜30%の範囲内としたものである。本発明者らは実験研究を重ねた結果、一般に、含水率が10%未満の場合は、圧密加工によって十分な化学変化を起こさせることができず、また、表面が乾燥し過ぎて、圧密加工後において水に濡れた場合に圧縮した部分が元の厚さ形状に戻る現象、所謂、固定化不良が起こり易くなる。一方、含水率が30%を超えると、内部まで均一に乾燥され難く、圧密加工の固定化処理中に含まれる高温・高圧の水蒸気の作用によってプレス圧に抗する内圧が発生し、プレス圧を除いた後に、割れ・破壊(パンク)等の損傷や変形・膨らみ等が生じ易くなることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。より好ましくは、前記オイルパーム材の含水率は13%〜20%の範囲内である。
また、オイルパームの乾燥装置の前記オイルパーム材を加熱する熱板の加熱温度または誘電加熱される温度は、100〜150℃の範囲内の温度を上限の温度としたものである。ここで、オイルパーム材の固定化温度160〜180℃よりも低い100〜150℃の温度であれば、水分の蒸発が容易であり、その熱でオイルパーム自体が自己の成分によって、変質したりすることがなく、安定した塑性変形に陥る前であり、乾燥のみを行った材料となる。
請求項4の発明にかかるオイルパームの乾燥方法は、所定長のオイルパーム幹をその周方向に所定の厚みに剥いたオイルパーム材または所定長のオイルパーム幹をその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材を形成する材料形成工程と、前記オイルパーム材を100〜150℃の範囲内の温度を上限の温度として誘電加熱源で誘電加熱する誘電加熱工程と、前記収容室の湿気を排出して前記収容室の湿度状態を、乾燥後の含水率10%〜30%の範囲内とするために、前記オイルパーム材を収容して前記誘電加熱源で誘電加熱する室内圧力を大気圧と分離し、前記収容室から空気をポンプで排気する湿気排出工程とを具備するものである。
ここで、上記材料形成工程は、所定長のオイルパーム幹をその周方向に所定の厚みに剥いたオイルパーム材、または所定長のオイルパーム幹をその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材を形成する工程である。
また、上記誘電加熱工程は、前記オイルパーム材を誘電加熱源で誘電加熱する工程であり、工業用の数MHz〜数100MHzの高周波交流電界中に前記オイルパーム材を被加熱物として置き、当該電磁波の作用によって加熱するものである。
そして、上記湿気排出工程は、前記オイルパーム材を収容して前記誘電加熱源で誘電加熱する室内圧力を大気圧と分離し、前記収容室から空気をポンプで排気または吸気する工程である。
また、本発明にかかるオイルパームの乾燥方法の前記オイルパーム材の乾燥後の含水率は、10%〜30%の範囲内としたものである。本発明者らは実験研究を重ねた結果、一般に、含水率が10%未満の場合は、圧密加工によって十分な化学変化を起こさせることができず、また、表面が乾燥し過ぎて、圧密加工後において水に濡れた場合に圧縮した部分が元の厚さ形状に戻る現象、所謂、固定化不良が起こり易くなる。一方、含水率が30%を超えると、内部まで均一に乾燥され難く、圧密加工の固定化処理中に含まれる高温・高圧の水蒸気の作用によってプレス圧に抗する内圧が発生し、プレス圧を除いた後に、割れ・破壊(パンク)等の損傷や変形・膨らみ等が生じ易くなることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。より好ましくは、前記オイルパーム材の含水率は13%〜20%の範囲内である
本発明にかかるオイルパームの乾燥方法の前記オイルパーム材を加熱する熱板の加熱温度または誘電加熱される温度は、100〜150℃の範囲内の温度を上限の温度としたものである。ここで、前記オイルパーム材の固定化温度160〜180℃よりも低い100〜150℃の温度であれば、水分の蒸発が容易であり、その熱でオイルパーム自体が自己の成分によって、変質したりすることがなく、安定した塑性変形に陥る前であり、乾燥のみを行った材料となる。
請求項1のオイルパームの乾燥装置は、所定長のオイルパーム幹をその周方向に所定の厚みに剥いたオイルパーム材または所定長のオイルパーム幹をその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材を両面から加熱する熱板と、それら前記オイルパーム材及び前記熱板を収容室に収容し、その内部圧力を大気圧と分離して制御し、プレス機構を使用して前記オイルパーム材に対して前記熱板を所定の圧力で圧縮させるものである。
したがって、前記オイルパーム材は熱板によって加熱され、その水蒸気が収容室からポンプを介してから放出されるから、加熱によって発生する水蒸気と、必要に応じて脱気によって発生する水分が排出され、乾燥能率を上げることができる。また、前記オイルパーム材は熱板によって加熱及び加圧されるから、熱板の熱が前記オイルパーム材の芯まで届き、全体の乾燥を急速に行うことができる。
よって、カビ細菌が繁殖しない程度に前記オイルパーム材を乾燥させることができ、爾後の加工に影響を及ぼすことのない前記オイルパーム材が用意できる。
更に、前記オイルパーム材または前記オイルパームの乾燥後の含水率を10%〜30%の範囲内としたものであるから、クラック、変形、膨らみ、破裂等が防止される。したがって、より安定した寸法形状性が確保され、歩留りも高いものとなる。また、含水率を10%〜30%の範囲内の乾燥状態であると、ラワン板、シナ板、針葉樹板等の他の板材との接合にも好適である。
また、前記オイルパーム材を加熱する熱板の加熱温度は、前記オイルパーム材の固定化温度よりも低い100〜150℃の範囲内の温度を上限の温度としたものであるから、乾燥時に熱を使用していても、その熱でオイルパーム自体が自己の成分によって、硬化したり、変質したりすることがなく、安定した塑性変形に陥る前であるから、乾燥のみを行った材料となる。
請求項2のオイルパームの乾燥方法は、所定長のオイルパーム幹をその周方向に所定の厚みに剥いたオイルパーム材または所定長のオイルパーム幹をその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材を形成し、前記オイルパーム材を両面から熱板で加熱し、前記オイルパーム材に対して前記熱板を所定の圧力で圧縮力をプレス機構で付与し、前記オイルパーム材及び前記熱板を収容した収容室の内部圧力を大気圧と分離して制御し、前記収容室から空気をポンプで排気するものである。
したがって、前記オイルパーム材は熱板によって加熱され、その水蒸気が収容室からポンプを介してから放出されるから、加熱によって発生する水蒸気と、必要に応じて脱気によって発生する水分が排出され、乾燥能率を上げることができる。また、前記オイルパーム材は熱板によって加熱及び加圧されるから、熱板の熱が前記オイルパーム材の芯まで届き、全体の乾燥を急速に行うことができる。
よって、カビ細菌が繁殖しない程度に前記オイルパーム材を乾燥させることができ、爾後の加工に影響を及ぼすことのない前記オイルパーム材が用意できる。
更に、前記オイルパーム材または前記オイルパームの乾燥後の含水率を10%〜30%の範囲内としたものであるから、クラック、変形、膨らみ、破裂等が防止される。したがって、より安定した寸法形状性が確保され、歩留りも高いものとなる。また、含水率を10%〜30%の範囲内の乾燥状態であると、ラワン板、シナ板、針葉樹板等の他の板材との接合にも好適である。
また、前記オイルパーム材を加熱する熱板の加熱温度は、前記オイルパーム材の固定化温度よりも低い100〜150℃の範囲内の温度を上限の温度としたものであるから、乾燥時に熱を使用していても、その熱でオイルパーム自体が自己の成分によって、硬化したり、変質したりすることがなく、安定した塑性変形に陥る前であるから、乾燥のみを行った材料となる。
請求項3のオイルパームの乾燥装置は、所定長のオイルパーム幹をその周方向に所定の厚みに剥いたオイルパーム材または所定長のオイルパーム幹をその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材を誘電加熱する誘電加熱源と、前記オイルパーム材を収容して前記誘電加熱源で誘電加熱する内部圧力を大気圧と分離して制御する収容室とを具備し、前記収容室から空気を排気するものである。
したがって、前記オイルパーム材は誘電加熱によって加熱され、その水蒸気が収容室からポンプを介してから放出されるから、加熱によって発生する水蒸気と、必要に応じて脱気によって発生する水分が排出され、乾燥能率を上げることができる。また、前記オイルパーム材は誘電加熱によって加熱及び加圧されるから、誘電加熱の熱が前記オイルパーム材の芯まで届き、全体の乾燥を急速に行うことができる。
よって、カビ細菌が繁殖しない程度に前記オイルパーム材を乾燥させることができ、爾後の加工に影響を及ぼすことのない前記オイルパーム材が用意できる。
更に、前記オイルパーム材または前記オイルパームの乾燥後の含水率を10%〜30%の範囲内としたものであるから、クラック、変形、膨らみ、破裂等が防止される。したがって、より安定した寸法形状性が確保され、歩留りも高いものとなる。また、含水率を10%〜30%の範囲内の乾燥状態であると、ラワン板、シナ板、針葉樹板等の他の板材との接合にも好適である。
また、前記オイルパーム材を加熱する熱板の加熱温度は、前記オイルパーム材の固定化温度よりも低い100〜150℃の範囲内の温度を上限の温度としたものであるから、乾燥時に熱を使用していても、その熱でオイルパーム自体が自己の成分によって、硬化したり、変質したりすることがなく、安定した塑性変形に陥る前であるから、乾燥のみを行った材料となる。
請求項4のオイルパームの乾燥方法は、所定長のオイルパーム幹をその周方向に所定の厚みに剥いたオイルパーム材または所定長のオイルパーム幹をその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材を形成し、前記オイルパーム材を誘電加熱源で誘電加熱し、前記オイルパーム材を収容して前記誘電加熱源で誘電加熱する収容室の内部圧力を大気圧と分離して制御し、ポンプで排出するものである。
したがって、前記オイルパーム材は誘電加熱によって加熱され、その水蒸気が収容室からポンプを介してから放出されるから、加熱によって発生する水蒸気と、必要に応じて脱気によって発生する水分が排出され、乾燥能率を上げることができる。また、前記オイルパーム材は誘電加熱によって加熱及び加圧されるから、誘電加熱の熱が前記オイルパーム材の芯まで届き、全体の乾燥を急速に行うことができる。
よって、カビ細菌が繁殖しない程度に前記オイルパーム材を乾燥させることができ、爾後の加工に影響を及ぼすことのない前記オイルパーム材が用意できる。
更に、前記オイルパーム材または前記オイルパームの乾燥後の含水率を10%〜30%の範囲内としたものであるから、クラック、変形、膨らみ、破裂等が防止される。したがって、より安定した寸法形状性が確保され、歩留りも高いものとなる。また、含水率を10%〜30%の範囲内の乾燥状態であると、ラワン板、シナ板、針葉樹板等の他の板材との接合にも好適である。
また、前記オイルパーム材を加熱する熱板の加熱温度は、前記オイルパーム材の固定化温度よりも低い100〜150℃の範囲内の温度を上限の温度としたものであるから、乾燥時に熱を使用していても、その熱でオイルパーム自体が自己の成分によって、硬化したり、変質したりすることがなく、安定した塑性変形に陥る前であるから、乾燥のみを行った材料となる。
図1は本発明の実施の形態1のオイルパームの乾燥方法におけるロータリーレース材の製造工程の説明図である。 図2は本発明の実施の形態1のオイルパームの乾燥方法におけるオイルパーム幹からオイルパーム材を製材する場合の説明図(a)、オイルパーム幹の繊維の状態を示す説明図(b)、オイルパーム幹から製材したオイルパーム板の説明図(c)である。 図3は本発明の実施の形態1のオイルパームの乾燥方法の原理の説明図である。 図4は本発明の実施の形態1のオイルパームの乾燥装置を示す構成説明図である。 図5は本発明の実施の形態1のオイルパームの乾燥装置の概略動作を示す説明図である。 図6は本発明の実施の形態1のオイルパームの乾燥方法を説明するフローチャートである。 図7は本発明の実施の形態2のオイルパームの乾燥装置を示す構成説明図である。 図8は本発明の実施の形態2のオイルパームの乾燥方法の順序を説明するフローチャートである。 図9は本発明の実施の形態1の乾燥後の積層合板の組み合わせの積層状態(a)及び圧縮状態(b)を示す説明図である。 図10は本発明の実施の形態1の乾燥後の圧密加工材製造装置の概略構成を示す断面図である。 図11は本発明の実施の形態1の乾燥後の積層合板を製造するための説明図で、(a)は原材料となる加圧前多層材の供給の説明図、(b)は加熱圧縮開始状態による説明図、(c)は密閉加熱圧縮開始状態による説明図、(d)は密閉加熱圧縮状態による蒸気圧制御処理の説明図、(e)は密閉冷却状態による説明図、(f)は圧密加工された板材(圧密加工材)の取り出しの説明図である。 図12は本発明の実施の形態1の乾燥後の積層合板の製造方法で用いる枠体の説明図で、斜視図(a)及び切断線A−Aによる断面図(b)である。 図13は本発明の実施の形態1の乾燥後の積層合板の製造方法の順序を説明するフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図中の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
この発明の実施の形態を説明するが、一般の木材、例えば、桧、杉、米桧、桧葉、米杉、唐松、赤松、栗、欅、槇、樫、桜、樅、栂等の木目の材料に比較して、オイルパームは、前述したように、そのオイルパーム幹WDの中心部のA領域、B領域、C領域の含水率は、A領域が502%、B領域が313%、C領域が217%と非常に高く、糖濃度も高いので、乾燥しにくい材料であるから、ここでは、オイルパームの実施の形態で説明する。
まず、この発明の実施の形態1で使用するオイルパーム幹WDは、板材の板目と柾目を製材するように板取りを行うと、図2に示すように、何れも柾目状に繊維(維管束)が並ぶ面になる。即ち、国産材の桧や杉のように年輪がなく、畳表の藺草のように0.2〜1.0mmの維管束繊維がオイルパーム幹WDの長さ方向に延びている。維管束の密度は、中心からの位置によって違いが出ている。
オイルパーム幹WDの成分は産地によって若干違いがあるが、その差は僅かであり、一般にセルロース30.6重量%、ヘミセルロース33.2重量%、リグニン(総リグニン28.5重量%=クラーソンリグニン24.7重量%+酸可溶性リグニン3.8重量%)、抽出成分3.6重量%、灰分4.1重量%といわれており、Characterization in Chemical Composition of the Oil Palm (Elaeis guineensis) (Journal of the Japan Institute of Energy,87,383-388(2008))にも記載がある。
視認できる0.2〜1.0mmの繊維、即ち、維管束と維管束の間はリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類、少ない空孔によって一体になっている。
本実施の形態1にかかる積層合板を構成するオイルパーム材Wの形成について図1を用いて説明する。
オイルパーム材Wは、20年以上成長した単一の幹を所定長のオイルパーム幹WDとして切断し、それを大根のかつら剥きと同様の周方向の剥きを行うロータリーレースと呼ばれる装置にセットする。そして、オイルパーム幹WDを回転させ刃物CTによって周方向の剥きを行う。これは、所定長のオイルパーム幹WDをその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いて複数枚のオイルパーム材W(格別、オイルパーム材Wの枚数を意図しない場合には、単にオイルパーム材Wと記す)に形成する材料形成工程となり、この材料形成工程によってオイルパーム材Wが得られる。
図1に示すように、オイルパーム幹WDの中心を軸芯となるように回転させ、その外周側に所定幅の刃物CTを当てて、連続板UWDが形成されるから、この連続板UWDを所定の長さにカットし、乾燥させることで所定の面積、所定の厚みのオイルパーム材Wが作られる。
なお、オイルパーム幹WDを除くオイルパームの葉、空果房、根等は、チップ状に裁断され、好気性細菌処理によってコンポスト化(堆肥化)する有機廃棄物発酵処理方法によって処理される。特に、空果房は他の実用性のある処理を行ってもよい。また、細かく破砕し、セルロース、ヘミセルロース、リグニン等の成分抽出を行って、接合補助にそれを利用してもよい。
通常、連続板UWDが剥かれた時点で、その自然乾燥が開始されるが、所定の積層合板PWを作る単位の枚数の板材の切断の後に人為的な強制乾燥を行っている。一般に、切断は流れ作業で行われるので、オイルパーム幹WDから連続板UWDが形成された時点で乾燥を開始するのが乾燥時間の確保からは望ましい。しかし、積層合板PWを作成する場合には、図9に示す加圧前多層材NWに重ね合わせるように、合板の枚数の所定面積、所定厚さのオイルパーム材Wが切断された直後に乾燥工程が行われている。
特に、オイルパーム幹WDから連続板UWDが形成され、そこからオイルパーム材Wが切断され、その直後に乾燥に入ると、そのオイルパーム材Wの端部の切り屑が出にくくなるので望ましいが、オイルパーム幹WDから連続板UWDが形成された時点以降であれば大きな差異はない。何れにせよ、これらのオイルパーム材Wを乾燥する工程は、強制乾燥、自然乾燥を問わず乾燥工程が必要となる。
本実施の形態では、オイルパーム材Wの枚数は限定されるものではないが、本実施の形態1では、所定の面積、所定の厚みのオイルパーム材Wの4枚を積層し、それらを加圧前多層材NWとする事例で説明する。
このように、所定の面積、所定の厚みの所定枚数の所定面積、所定厚さのオイルパーム材Wが切断分離され、それがオイルパームの乾燥装置100の熱板N1,・・・,N5の間にオイルパーム材W1,・・・W4が挿入される。
ところが、上記実施の形態において、オイルパーム材W1,・・・,W4は合板にするものであるから、オイルパーム材Wの1枚の厚みが10〜30mm程度であるのが一般的である。それらの乾燥には、特に、薄いオイルパーム材Wの場合には、自然乾燥でも対応可能であるように見受けられる。しかし、オイルパーム幹WDは、その中心の芯付近の水分が非常に高く、単純な自然乾燥であると、カビ細菌の繁殖による腐食が速く、乾燥時点では広い面積が腐食する可能性がある。
例えば、図2は所定長のオイルパーム幹WDから、図2(c)に示す所定の幅及び厚み、長さに製材したオイルパーム材Wを説明するものである。
前述したように、オイルパーム幹WDから板材の製材同様に柾目及び板目を得られるように切断しても、図2(c)のように、年輪がなく、図2(b)のように、オイルパーム幹WDの長さ方向に繊維の束が形成されているだけであるから、図2(a)の何れで切り出しても、図2(a)のように、柾目状の製材板としてのオイルパーム材W(W1,・・・W4、X1,・・・X4)となる。
ところが、所定長のオイルパーム幹WDから、所定の寸法の柱、厚板、ウッドデッキ、床柱、床板等の厚みのある板材を得るには、自然乾燥ではカビ細菌の繁殖速度に対応できない。
そこで、発明者らは、図3乃至図5に示すオイルパームの乾燥装置100を創作した。
このオイルパームの乾燥装置100は、必要数の段に設定したn枚の熱板N1,・・・,Nnと、そこに所定の温度の水蒸気圧を導くバルブ53−1,・・・,53−n及び供給管路54−1,・・・,54−nを具備し、更に、バルブ53−1,・・・,53−nに蒸気圧を導くバルブ51、更には、バルブ51の出力で、バルブ53−1,・・・,53−nの入力の蒸気圧を計測する圧力計Pを具備している。なお、供給管路54−1,・・・,54−nの温度の管理は、個々のバルブ53−1,・・・,53−nの開度によって、温度上昇を任意に設定できる。
熱板N1,・・・,Nn(N1,・・・,N4)には、供給管路54−1,・・・,54−nから水蒸気が供給される九十九折状の加熱管路56−1,・・・,56−nが埋設されており、また、加熱管路56−1,・・・,56−nの他の端部は、排水管路58−1,・・・,58−nを介し、バルブ59を介して帰還管路60に導かれ、ボイラ等の熱源で再加熱される。再度、バルブ51及び供給管路53−1,・・・,53−5を介して所定の水蒸気が、熱板N1,・・・,Nnの温度を上昇させながら循環し、熱板N1,・・・,Nnを所定の温度まで上昇させる。
対向する熱板N1,・・・,N5相互において、水平面に垂直の下側に位置する熱板N2,・・・,Nnには、オイルパーム材W1,・・・,Wn(W1,・・・,W4)を収納するピット57−2,・・・,57−nが形成されており、オイルパーム材W1,・・・,Wnが圧縮時に水平方向に移動するのを制限している。また、熱板N1,・・・,Nn相互において、対向する上側に位置する熱板N1,・・・,Nnには、補助空間55−1,・・・,55−nが形成されていて、熱板N1,・・・,Nnの熱が効率よく伝わるように形成されている。
そこで、オイルパームの乾燥装置100の熱板N1,・・・,Nnの間にオイルパーム材W1,・・・,Wnが挿入され、オイルパーム材W1,・・・,Wnの相互の表裏を熱板N1,・・・,Nnで加熱しながら挟持する。
具体的には、必要枚数配設した熱板N1,・・・,Nnを有するオイルパームの乾燥装置100を使用する。熱板N1,・・・,Nnには、バルブ51及び供給管路53−1,・・・,53−nを介して所定の水蒸気圧の蒸気圧が供給される。
また、供給された蒸気圧は排出管路58−1,・・・,58−nで集められ、バルブ59を介して帰還管路60に導かれ、図示しないボイラ等の熱源で再加熱される。再度、バルブ51及び供給管路53−1,・・・,53−nを介して所定の水蒸気温度が、ステンレスまたは鉄等の金属から形成されている熱板N1,・・・,Nnの温度を上昇させながら、水蒸気圧が循環し、熱板N1,・・・,Nnを所定の温度まで上昇させる。
通常、ステンレスまたは鉄等の金属から形成されている熱板N1,・・・,Nnの温度は、100〜150℃で加熱される。特に、110〜140℃範囲内の温度で処理するのが望ましい。また、加熱後は、徐々に温度を低下させるが、外部から冷却水等を用いて、急激に温度を低下させることはない。また、熱板N1,・・・,Nnの温度を高効率でオイルパーム材W1,・・・,Wnに伝えるために、熱板N1,・・・,Nnには相互間の厚みを薄くする方向であり、相互に挟んでいるオイルパーム材W1,・・・,Wnに圧力が加わると同時に、オイルパーム材W1,・・・,Wnの温度上昇を促す。
結果、熱板N1,・・・,Nnの温度が高効率でオイルパーム材W1,・・・,Wnに伝えられ、オイルパーム材W1,・・・,Wnの温度上昇により、オイルパーム材W1,・・・,Wnの含水成分を水蒸気として排出できる。
所定時間オイルパーム材W1,・・・,Wnを加熱し、その含水成分を除去した後の加熱解除の際には、バルブ51を閉め、水蒸気の供給を断ち、徐々に熱板N1,・・・,Nnの圧縮力を低下させる。この間は、オイルパーム材W1,・・・,Wnは熱板N1,・・・,Nnの余熱で徐々に温度が降下するが、急激に常温に低下する要件はない。 また、バルブ51は一気に閉じる事例で説明したが、5分から30分かけて徐々に閉じてもよい。このように、熱板N1,・・・,Nnの温度を100〜150℃で加熱されるようにし、収容室50内の温度から環境温度に下がるまでの時間をなだらかとし、急激な刺激により、結晶化等が進む等のオイルパーム自体の成分によって、変質したり、安定した塑性変形に陥るのを回避抑制している。これによって、乾燥したオイルパーム材Wの使用を可能としている。
なお、オイルパーム材Wに対して熱板N1,・・・,Nnを所定の圧力で圧縮力を付与するプレス機構は、公知であるからそれを図示していないが、熱板N1,・・・,Nnの全体に対して所定の圧縮力を与えるものである。オイルパーム材Wに対して熱板N1,・・・,Nnで所定の圧縮力を付与するプレス機構の工程は、圧縮力付与工程に相当する。
次に、オイルパームの乾燥装置100の限られた熱板N1及び熱板N2及びオイルパーム材W1の動作について説明する。
図5(a)のように、オイルパームの乾燥装置100の必要枚数配設した熱板N1,・・・,Nnの間隔が広がるようにその相対間隔を広げる。このとき、加熱管路56−1,・・・,56−nには、蒸気圧を供給していない。
オイルパーム材W1,・・・,Wnは、熱板N1,・・・,Nnに形成されたピット57−2,・・・,57−nまで移動される。
ここで、図5(b)のように、オイルパーム材W1,・・・,Wnを、熱板N2,・・・,Nnに形成されたピット57−2,・・・,57−nに落とし込み、オイルパーム材W1,・・・,Wnが熱板N1,・・・,Nnに対して、その表面方向の移動を禁止すると共に、垂直方向からの圧力を受けるようにする。この状態で、加熱管路56−1,・・・,56−nに蒸気圧を供給し、熱板N1,・・・,Nnの加熱を開始する。
次に、図5(c)のように、オイルパーム材W1,・・・,Wnを、熱板N2,・・・,Nnに形成されたピット57−2,・・・,57−nと、熱板N1,・・・,Nnに形成された補助空間55−1,・・・,55−n−1との間で挟持し、加熱管路56−1,・・・,56−nの蒸気圧によって、熱板N1,・・・,Nnの温度を上昇させると同時に、熱板N1,・・・,Nn相互間で挟持しているオイルパーム材W1,・・・,Wnに圧縮力を加え、密に接合させることによってオイルパーム材W1,・・・,Wnの温度を上昇させる。このとき、熱板N1,・・・,Nn相互間の間隙(図示しない溝)から、加熱された水蒸気が排出される。
熱板N1,・・・,Nn相互間の間隙は、加熱された水蒸気が排出されるように、ピット57−2,・・・,57−nの周囲に溝が形成されていて、それによって、閉じられたピット57−2,・・・,57−nと補助空間55−1,・・・,55−n−1との間の水蒸気圧が上昇しないようにしている。
更に、オイルパーム材W1,・・・,Wnの面積が広いもの、厚みのあるものを乾燥させる場合には、ピット57−2,・・・,57−nの底面に0.5〜3mm程度幅の溝を形成したり、補助空間55−1,・・・,55−n−1の上面に0.5〜3mm程度幅の溝を形成したりして、上記の排気経路を形成することになる。
オイルパームの乾燥装置100の全体は、鉄板、アルミニウム板等から形成されたハウジング等の閉じられた空間である収容室50に収容されている。その収容室50には、所定長のオイルパーム幹WDをその周方向に所定の厚みに剥いたオイルパーム材Wまたは所定長のオイルパーム幹WDをその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材Wを両面から加熱する熱板N1,・・・,Nnと、オイルパーム材Wに対して熱板N1,・・・,Nnを所定の圧力で圧縮力を付与する図3の矢印で示す圧縮力の方向に圧縮する図示しないプレス機構を収容している。
収容室50には、その内部圧力を大気圧と分離して制御するポンプ49が給気口側に接続されており、収容室50に空気を供給している。収容室50の排気口側には、収容室50の内部の空気を排出自在となっている。ここで、収容室50の内部圧力を大気圧と分離して制御するポンプ49は、収容室50に乾燥空気を供給するものであってもよいし、収容室50から湿度の高い空気を排出するものであってもよい。
ここで収容室50は、オイルパーム材W及び熱板N1,・・・,Nnを収容し、その収容内部圧力を大気圧と分離するものである。しかし、この収容室50内に図示しないプレス機構の全体を収容してもよいし、その一部を収容してもよい。また、油圧ピストン等の出力軸のみを収容してもよい。
本実施の形態1のオイルパームの乾燥装置100は、図6のように動作する。
まず、ステップS1で熱板N1,・・・,Nn相互間を最大に開き、そこにオイルパーム材W1,・・・,Wnの挿入を自在にする。ステップS2でオイルパーム材W1,・・・,Wnを配置し、その配置がステップS3で確認されると、ステップS4でバルブ51が開となり熱板N1,・・・,Nnの加熱が開始され、ステップS5でポンプ49が駆動され、湿気の排出が開始される。
次に、ステップS6で図示しないプレス機構によって熱板N1,・・・,Nn相互間でオイルパーム材W1,・・・,Wnを挟持する圧縮力を増加させる。この圧縮力は、ステップS7で熱板N1,・・・,Nnの温度が最大になるまで、ステップS6及びステップS7のルーチンにより、温度に応じた圧縮力が付与される。ステップS7で熱板N1,・・・,Nnの温度が最大になると、ステップS8でその温度状態で所定時間維持し、乾燥を促進させる。ステップS6及びステップS7のルーチンでは、時間軸に合わせて圧縮力を増加させるものであるが、本発明を実施する場合には、圧力に応じて温度を制御してもよいし、経過時間に応じて圧力を変更してもよい。
ステップS8で所定時間の維持が終了すると、ステップS9でバルブ51を閉じ、水蒸気圧の供給を停止させる。しかし、熱板N1,・・・,Nnは余熱によってその温度を保持している。ステップS10でプレス機構による熱板N1,・・・,Nn相互間の圧縮力を減少させ、ステップS11で熱板N1,・・・,Nnの温度が所定の温度以下になったかを判断し、それまでは、ステップS10及びステップS11のルーチンの処理を繰り返し実行し、ステップS11で熱板N1,・・・,Nnの温度が所定の温度以下になったのが確認されると、ステップS12でプレス機構による熱板N1,・・・,Nn相互間を開き、ステップS13でポンプ49を停止させ、ステップS14でオイルパーム材W1,・・・,Wnを排出し、本実施の形態1のオイルパームの乾燥装置100の動作を終了する。ここで、ステップS10及びステップS11のルーチンの処理は、熱板N1,・・・,Nnの温度に応じてプレス機構による熱板N1,・・・,Nn相互間の圧縮力を調整しているが、本発明を実施する場合には、バルブ51を閉じた後、所定時間経過後に一気に開放してもよい。
ここで、材料形成工程は、図1及び図2のように、所定長のオイルパーム幹WDをその周方向に所定の厚みに剥いたオイルパーム材Wまたは所定長のオイルパーム幹WDをその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材Wを得る工程である。
また、熱板加熱工程はステップS6乃至ステップS8からなる熱板N1,・・・,Nnで加熱する工程である。
本実施の形態1では、オイルパーム材Wが板材状のものを前提としたが、柱状のものでも同様に乾燥を行うことができる。
そして、圧縮力付与工程は、オイルパーム材Wに対して熱板N1,・・・,Nnをプレス機構で所定の圧力による圧縮力を付与するステップS6及びステップS7からなる工程である。
更に、湿気排出工程は、収容室50から空気をポンプ49で排気または吸気する工程でステップS5乃至ステップS13の間の湿度を除去する工程を意味する。
本実施の形態1のオイルパームの乾燥装置100は、一般の板材にも適用できることを前提とすると、所定長のオイルパーム幹WDをその周方向に所定の厚みに剥いたオイルパーム材Wまたは所定長のオイルパーム幹WDをその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材Wまたは他の板材を両面から加熱する熱板N1,・・・,Nnと、オイルパーム材Wまたは前記板材に対して熱板N1,・・・,Nnを所定の圧力で圧縮力を付与するプレス機構と、オイルパーム材Wまたは前記板材並びに熱板N1,・・・,Nnを収容し、その内部圧力を大気圧と分離して制御する収容室50と、収容室50から空気を排気または吸気するポンプ49とを具備する。
したがって、オイルパーム材Wは熱板N1,・・・,Nnによって加熱され、その水蒸気が収容室50からポンプ49を介してから放出されるから、加熱によって発生する水蒸気と、必要に応じて脱気によって発生する水分が排出され、乾燥能率を上げることができる。また、オイルパーム材Wまたは前記板材は熱板N1,・・・,Nnによって加熱及び加圧されるから、熱板N1,・・・,Nnの熱がオイルパーム材Wまたは前記板材の芯まで届き、全体の乾燥を急速に行うことができる。よって、カビ細菌が繁殖しない程度にオイルパーム材Wまたは前記板材を乾燥させることができ、爾後の加工に影響を及ぼすことのないオイルパーム材Wまたは前記板材が用意できる。
また、本実施の形態1のオイルパームの乾燥方法は、所定長のオイルパーム幹WDをその周方向に所定の厚みに剥いたオイルパーム材Wまたは所定長のオイルパーム幹WDをその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材Wまたは他の板材を形成する材料形成工程と、オイルパーム材Wまたは前記板材を両面から熱板N1,・・・,Nnで加熱する熱板加熱工程と、オイルパーム材Wまたは前記板材に対して熱板N1,・・・,Nnを所定の圧力で圧縮力をプレス機構で付与する圧縮力付与工程と、オイルパーム材Wまたは前記板材並びに熱板N1,・・・,Nnを収容した収容室50の内部圧力を大気圧と分離し、収容室50から空気をポンプ49で排気または吸気する湿気排出工程とを具備するものである。
したがって、オイルパーム材Wまたは前記板材は熱板N1,・・・,Nnによって加熱され、その水蒸気が収容室50からポンプ49を介してから放出されるから、加熱によって発生する水蒸気と、必要に応じて脱気によって発生する水分が排出され、乾燥能率を上げることができる。また、オイルパーム材Wまたは前記板材は熱板N1,・・・,Nnによって加熱及び加圧されるから、熱板N1,・・・,Nnの熱がオイルパーム材Wまたは前記板材の芯まで届き、全体の乾燥を急速に行うことができる。よって、カビ細菌が繁殖しない程度にオイルパーム材Wまたは前記板材を乾燥させることができ、爾後の加工に影響を及ぼすことのないオイルパーム材Wまたは前記板材が用意できる。
上記実施の形態1では、オイルパームの乾燥装置100として、蒸気圧を供給する熱板N1,・・・,Nnを使用する事例で説明した。しかし、本発明を実施する場合には、ヒータ等の熱源を埋設した熱板N1,・・・,Nnとしても実施できる。しかし、温度制御の正確性、オイルパーム材Wに与える影響を考慮すると、好ましい装置となる。
また、オイルパームの乾燥装置200のようにマイクロ波を利用した誘電加熱とすることもできる。
実施の形態2のマイクロ波を用いたオイルパームの乾燥装置200は、図7に示すように構成されている。
誘電加熱炉73は、耐火煉瓦等でtanδ等の非常に小さい、即ち、良好な誘電体で温度に耐える材料で構成したハウジングであり、その外側には、マイクロ波が漏れないようにシールド室72を形成している。このシールド室72は銅板及び鉄板によって形成されている。シールド室72及び誘電加熱炉73によって収容室70を構成している。
誘電加熱炉73内には、被加熱体の位置を決めるための良好な誘電体からなる台座74及び熱的に断熱効果を得るスペーサ76が配置されている。
スペーサ76の上には、所定以上の荷重及び高温に耐える陶板で形成したテーブル板75−1,・・・,75−nに対して、各テーブル板75−1,・・・,75−n相互間にオイルパーム材W1−1,・・・,Wn−1、オイルパーム材W1−2,・・・,Wn−2、オイルパーム材W1−3,・・・,Wn−3、オイルパーム材W1−4,・・・,Wn−4を載置し、所定の荷重によって乾燥によってオイルパーム材Wが変形しないようにしている。また、オイルパーム材Wに対して、マイクロ波を遮断しても、それまでのオイルパーム材Wの余熱、即ち、テーブル板75−1,・・・,75−nの余熱によって、オイルパーム材Wの温度が徐々に降下するようにしている。
誘電加熱炉73内に供給するマイクロ波は、誘電加熱源71の周波数が2.4GHz、出力10KWのものを使用し、オイルパーム材Wに含まれる水の分子を気化させ、排気した。これによって、誘電加熱炉73内で発生した水蒸気は、乾燥空気供給管路77から供給される空気によって、湿度の高い空気が排出管路78から排気された。
したがって、誘電加熱炉73内に各テーブル板75−1,・・・,75−n相互間にオイルパーム材W1−1,・・・,Wn−1、オイルパーム材W1−2,・・・,Wn−2、オイルパーム材W1−3,・・・,Wn−3、オイルパーム材W1−4,・・・,Wn−4を載置し、所定の荷重によってオイルパーム材Wが変形しないように加熱すれば、オイルパーム材Wの水分のみが気化し、オイルパーム材Wを乾燥させることができる。
なお、本実施の形態2では、台座74が固定のもので説明したが、通常は、回転させ、マイクロ波が特定の位置のみを加熱させないようにしている。
また、各テーブル板75−1,・・・,75−nは、重しを前提とした説明をしているが、本発明を実施する場合には、導電体の粉体を入れてマイクロ波を受けて発熱するようにすることもできる。間接的に、各テーブル板75−1,・・・,75−nを加熱し、オイルパーム材W1−1,・・・,Wn−1、オイルパーム材W1−2,・・・,Wn−2、オイルパーム材W1−3,・・・,Wn−3、オイルパーム材W1−4,・・・,Wn−4を間接的に加熱することもできる。
しかし、導電体の粉末を入れなくても、オイルパーム材W1−1,・・・,Wn−1、オイルパーム材W1−2,・・・,Wn−2、オイルパーム材W1−3,・・・,Wn−3、オイルパーム材W1−4,・・・,Wn−4から発生する熱で、100℃程度に上昇している。
本実施の形態2のオイルパームの乾燥装置200は、図8のように動作する。
まず、ステップS21でオイルパーム材W1,・・・,Wnの搬入、配置を行い、ステップS22でその終了が確認されるまで行う。通常、収容室70の図示しない扉のロックにより完了が検出される。ステップS22で完了が確認されると、ステップS23でポンプ49が駆動され、湿気の排出が開始される。
次に、ステップS24で誘電加熱源71を駆動し、収容室70内にマイクロ波出力を出力し、ステップS25でその所定時間の誘電加熱の継続を判断し、所定時間を経たとき、ステップS26でマイクロ波出力を停止する。更に、ステップS27で、余熱による加熱として所定の時間の経過を判断する。そして、ステップS28でオイルパーム材W1,・・・,Wnの温度が所定の温度まで低下しているかを判断し、所定の温度まで温度が低下しているとき、ステップS29でポンプ49を停止し、ステップS30でオイルパーム材W1,・・・,Wnを搬出し、本実施の形態2のオイルパームの乾燥装置200の動作を終了する。
ここで、材料形成工程は、図1及び図2のように、所定長のオイルパーム幹WDをその周方向に所定の厚みに剥いたオイルパーム材Wまたは所定長のオイルパーム幹WDをその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材Wを得る工程である。
また、誘電加熱工程は、ステップS24乃至ステップS25からなる前記オイルパーム材を誘電加熱源71で誘電加熱する工程である。
そして、湿気排出工程は、収容室70から空気をポンプ49で排気または吸気する工程でステップS23乃至ステップS29の間の湿度を除去する工程を意味する。
なお、本実施の形態2では、オイルパーム材Wが板材状のものを前提として説明したが、柱状のものでも同様に乾燥を行うことができ、特に、厚みが厚いものは誘電加熱を行うとオイルパーム材Wの芯から加熱することで乾燥速度を速めることができ。
本実施の形態2のオイルパームの乾燥装置200は、所定長のオイルパーム幹WDをその周方向に所定の厚みに剥いたオイルパーム材Wまたは所定長のオイルパーム幹WDをその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材Wまたは他の板材を誘電加熱する誘電加熱源71と、オイルパーム材Wまたは前記板材を収容して誘電加熱源71で誘電加熱する室内圧力を大気圧と分離して制御する収容室70と、収容室70から空気を排気または吸気するポンプ49とを具備する。
したがって、オイルパーム材Wまたは板材は誘電加熱によって加熱され、その水蒸気が収容室70からポンプ49を介してから放出されるから、加熱によって発生する水蒸気と、必要に応じて脱気によって発生する水分が排出され、乾燥能率を上げることができる。また、オイルパーム材Wまたは板材は誘電加熱によって加熱及び加圧されるから、誘電加熱の熱がオイルパーム材Wまたは板材の芯まで届き、全体の乾燥を急速に行うことができる。
よって、カビ細菌が繁殖しない程度にオイルパーム材Wまたは板材を乾燥させることができ、爾後の加工に影響を及ぼすことのないオイルパーム材Wまたは板材が用意できる。
また、本実施の形態2のオイルパームの乾燥方法は、所定長のオイルパーム幹WDをその周方向に所定の厚みに剥いたオイルパーム材Wまたは所定長のオイルパーム幹WDをその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材Wまたは他の板材を形成する材料形成工程と、オイルパーム材Wまたは前記板材を誘電加熱源71で誘電加熱する誘電加熱工程と、オイルパーム材Wまたは前記板材を収容して誘電加熱源71で誘電加熱する収容室70の室内圧力を大気圧と分離し、前記収容室70から空気をポンプ49で排気または吸気する湿気排出工程とを具備する。
したがって、オイルパーム材Wまたは板材は誘電加熱によって加熱され、その水蒸気が収容室70からポンプ49を介してから放出されるから、加熱によって発生する水蒸気と、必要に応じて脱気によって発生する水分が排出され、乾燥能率を上げることができる。また、オイルパーム材Wまたは板材は誘電加熱によって加熱及び加圧されるから、誘電加熱の熱がオイルパーム材Wまたは板材の芯まで届き、全体の乾燥を急速に行うことができる。
よって、カビ細菌が繁殖しない程度にオイルパーム材Wまたは板材を乾燥させることができ、爾後の加工に影響を及ぼすことのないオイルパーム材Wまたは板材が用意できる。
図9において、4枚の所定面積、所定厚さのオイルパーム材W1,・・・,Wnが切断され、それを図9(a)のように加圧前多層材NWの積載状態に位置合わせを行う。この積層を行うときには、オイルパーム材Wの面方向の広がりを防止するために、4枚のオイルパーム材W1,・・・,Wnの各辺を位置決めする枠体20(図12参照)または位置決め孔18(図10参照)等の設定が望ましい。簡単化のために、図10及び図11では位置決め孔18の事例で説明する。
このように、オイルパームの乾燥装置100またはオイルパームの乾燥装置200の乾燥工程で乾燥させたオイルパーム材Wまたは板材を所定の状態に複数枚積層する工程を、ここでは配置工程と呼ぶ。
そこで、図9(b)に示す圧密化した積層合板PWとは、図9(a)に示す加圧前多層材NWとして積層したものに、所定の温度条件下で所定の圧縮力を加えて圧縮し、所定の時間経過した後、温度を所定の温度まで降下させて固定化した後、解圧したものである。
即ち、加熱工程によって加熱した積層されたオイルパーム材W1,・・・,W4に、そのオイルパーム材Wの面に対して直角方向の圧縮力を加える圧縮工程を行い、その圧縮工程で所定の温度で所定時間押圧した後、加熱工程で供給していた温度を降下させ、その圧縮状態を維持させる固定化工程を経て、圧密化した積層合板PWを得るものである。
ここで、前記積層工程以降で前記積層されたオイルパーム材Wの温度を上昇させるべく加熱する工程を加熱工程と呼び、また、加熱工程によって加熱され、積層されたオイルパーム材Wに、オイルパーム材Wの面に対して直角方向の圧縮力を加える工程を、圧縮工程と呼ぶ。そして、前記圧縮工程で所定時間押圧した後、前記加熱工程で供給していた温度を降下させ、常温またはそれよりも若干温度を下げて冷却して固定化する工程を、圧密化した状態を固定化する意味で固定化工程と呼ぶこととする。
まず、本発明の実施の形態の積層塑性加工材を製造する手順について、図10乃至図13を参照して説明する。
図13のフローチャートに示されるように、最初に、所定長のオイルパーム幹WDをその周方向に回転させながらロータリーレースの刃物CTで所定の厚みに剥いて複数枚のオイルパーム材Wに形成するステップS40の材料形成工程において、所定長のオイルパーム幹WDをその周方向に所定の厚みに剥いたオイルパーム材Wまたは所定長のオイルパーム幹WDをその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材Wは所定の形状に形成され、次いで、ステップS41の乾燥工程において、オイルパームの乾燥装置100またはオイルパームの乾燥装置200で含水率10%〜30%の範囲内に乾燥され、乾燥されたオイルパーム材Wとなる。
ここで、乾燥工程におけるオイルパーム材Wの乾燥方法には、人工乾燥または天然乾燥(天日乾燥)がある。人工乾燥としては、例えば、高温蒸気を熱源とし、かつ、湿度を除去するための冷凍機等からなる除湿機を内蔵する蒸気式乾燥機等の乾燥機を使用して熱風をオイルパーム材Wに吹き付けたり、プレス盤で加熱圧搾したりすることによってオイルパーム材Wの外部から加熱する外部加熱方式や、オイルパーム材Wに誘電加熱を施して内側から加熱する内部加熱方式等が挙げられるが、周知のように、一般的には、人工乾燥よりも天然乾燥の方が低コストで済む。
しかし、オイルパーム材Wを天然乾燥する場合、特に、オイルパーム材Wの厚みが厚いと、カビ等の細菌が繁殖して腐食しやすく、生産性や商品価値が損なわれる。これは、建築材料等に一般的に使用されているラワン等の板材が水や養分の移動が停止した細胞(死細胞)組織から成る二次木部を形成しているのに対し、オイルパーム幹WDは維管束及び柔細胞の一次組織のみで構成され、柔細胞を中心とする殆どの細胞が水や養分の移動がなされる生活細胞であり、含水率が極めて高いためである。更に、オイルパーム幹WD(オイルパームの樹幹)には、糖類(例えば、フラクト−ス、グルコ−ス、フラクトオリゴ糖、イノシト−ル等)が多く含まれていることが判明し、このため、オイルパームの樹幹から得たオイルパーム材Wの厚みが厚い場合、天然乾燥ではカビ等の細菌が繁殖して腐食しやすく生産性や商品価値が損なわれる。
そこで、本発明者らの実験によれば、オイルパーム幹WDから得たオイルパーム材Wの厚みを10mm〜20mmの範囲以下とすることで、天然乾燥でもカビ等の細菌による商品価値や生産性の低下を招くことなく、低コストにできることが確認されている。
また、オイルパームの乾燥装置100またはオイルパームの乾燥装置200の使用によって、カビ等の細菌による商品価値や生産性の低下を招くことなく、低コストにできることが確認された。
更に、本発明者らの実験によれば、オイルパーム幹WDから得るオイルパーム材Wの厚みが3mm未満の場合(圧密加工後には0.9〜1.1未満の場合)には、厚さが薄いので剥くときに切れやすく、また、20mmを超える厚みの場合、内部まで均一に乾燥され難いため、後述する圧密加工後において変形、膨らみが起こり易く、また、曲面を直線に置き直すことから、クラック等が生じやすいことも確認されている。
このため、オイルパーム幹WDから厚み3mm以上、20mm以下の範囲内のオイルパーム材Wを剥き、天然乾燥でもカビ等の細菌による商品価値や生産性の低下を招くことなく、低コストで乾燥でき、更に、切り出し作業が容易で、後述する圧密加工後の寸法形状安定性も高いものとなる。
なお、オイルパームの乾燥装置100の場合、好ましくは、オイルパーム幹WDからオイルパーム材Wの厚みが、6mm以上、15mm以下の範囲内である。
しかし、オイルパームの乾燥装置200は、オイルパームの乾燥装置100よりも厚物の処理が可能となる。
また、含水率10%〜30%の範囲内に乾燥とは、本発明者らが実験を重ねた結果、乾燥させたオイルパーム材Wの含水率が10%未満の場合は、後述する圧密加工によって十分な化学変化を起こさせることができず、また、表面が乾燥し過ぎて、圧密化後において水に濡れた場合に圧縮した部分が元の厚さ形状に戻る現象、所謂、固定化不良が起こり易くなり、一方、含水率が30%を超えるものでは、内部まで均一に乾燥され難く、圧密化後においてクラック、破裂等の損傷や、変形、膨らみ等が起こり易くなることを確認したことから、これに基づいて設定をしたものである。即ち、オイルパーム材Wの含水率が厚み全体で略均一となるようにして、厚み全体が略均一な圧縮率で塑性加工されるようにするのが望ましく、含水率10%〜30%の範囲内が好適である。より好ましくは、含水率が13%〜18%の範囲内である。なお、含水率は、例えば、高周波含水率計等の測定器を使用して測定される。
次に、乾燥させたオイルパーム材Wを必要に応じて複数枚積層するステップS42の配置工程を行う。即ち、ステップS40及びステップS41の乾燥工程で乾燥させたオイルパーム材Wを所定の状態に必要に応じて複数枚積層する工程である。このステップS42の配置工程によって加圧前多層材NWとなる。この加圧前多層材NWは外径は全枚数一致しているが、何ら積載方向のオイルパーム材W相互は自重で重ねられているにすぎない。
ここで、オイルパーム材Wを積層してなる加圧前多層材NWの圧密加工を行う圧密加工材製造装置300について図10乃至図12を参照して説明する。
図10において、本実施の形態の積層合板PWを製造する圧密加工材製造装置300は、主として、上プレス盤10Aと下プレス盤10Bとの2分割された構造体によって内部空間IS及び位置決め孔18を形成するプレス盤10と、下プレス盤10Bの周縁部10bに対向する上プレス盤10Aの周縁部10aに配設され、下プレス盤10Bには加圧前多層材NWの位置を定め規制する位置決め孔18が形成され、上プレス盤10Aの所定の上下動の範囲で内部空間IS及び位置決め孔18を密閉状態とするシール部材11と、上プレス盤10Aの上面側から内部空間IS及び位置決め孔18内に連通され、内部空間IS及び位置決め孔18内に蒸気を供給するための配管口12aを有する配管12と、その上流側のバルブV4と、下プレス盤10Bの側面側から内部空間IS及び位置決め孔18内に連通され、内部空間IS及び位置決め孔18内から水蒸気を排出するための配管口13aを有する配管13と、配管13内の蒸気圧を検出する圧力計P2と、その下流側のバルブV5と、バルブV5に接続されたドレン配管14等から構成されている。
なお、プレス盤10においては、加圧前多層材NWの面に対して直角な特定の面全体、即ち、加圧前多層材NWの圧縮される面全体を載置可能な平面サイズを有し、その材質は特に問われるものでないが、板材が鉄イオン汚染により黒色化しないように、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム等の材質によって形成されたり、加圧前多層材NWとの接触表面にメッキ加工が施されたりする。更に、内部空間IS及び位置決め孔18を密閉状態とするシール部材11においても、その材質は特に問われるものでないが、通常、耐熱性や耐水性に優れたシリコンゴム、シリコン樹脂等が使用される。
また、プレス盤10の上プレス盤10A及び下プレス盤10B内には、それらを高温の水蒸気を通すことによって所望の温度に昇温するための配管路15,16が形成されており、これら配管路15,16には蒸気供給側の配管ST1から分岐された配管ST2,ST3、蒸気排出側の配管ET1,ET2がそれぞれ接続されている。そして、蒸気供給側の配管ST1,ST2,ST3の途中にはバルブV1,V2,V3、配管ST1内の蒸気圧を検出する圧力計P1が配設されており、蒸気排出側の配管ET1,ET2は、バルブV6を介してドレン配管14に接続されている。
なお、配管ST1に水蒸気を供給するボイラ装置、また、プレス盤10の固定側の下プレス盤10Bに対して上プレス盤10Aを上昇/下降させ加圧するための油圧機構を含むプレス昇降装置は省略されている。
本実施の形態1では、プレス盤10の上プレス盤10A及び下プレス盤10Bで形成される内部空間IS及び位置決め孔18内を加熱するためにバルブV4に接続された配管12を用いて高温の水蒸気を導入しているが、この他、高周波加熱、マイクロ波加熱等を用いることも可能である。特に、板材に対する高周波加熱は、マイクロ波による誘電過熱よりも、マイクロ波よりも若干周波数の低い高周波で、板材の中心から加熱する方法が好適である。
更に、プレス盤10には、上プレス盤10A及び下プレス盤10B内に形成された配管路15,16に水蒸気に換えて低温の冷却水を通すことによって所望の温度に冷却する冷却水供給側の配管ST11から分岐された配管ST12,ST13が、上記配管ST2,ST3にそれぞれ接続されている。また、冷却水供給側の配管ST11,ST12,ST13の途中にはバルブV11,V12,V13が配設されている。なお、配管ST11に冷却水を供給する冷却水供給装置は省略されている。
勿論、本発明を実施する場合には、プレス盤10にてプレス圧縮される方向は、加圧前多層材NWの5枚のオイルパーム材Wの面に対して直角方向に圧縮力が加えられる。
そして、このように構成される圧密加工材製造装置300によって加圧前多層材NWから積層合板PWを製造するにあたり、まず、図11(a)に示すように、圧密加工材製造装置300におけるプレス盤10の固定側の下プレス盤10Bに対して上プレス盤10Aが上昇し、予め所定の条件に乾燥させた加圧前多層材NWが、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bで形成される内部空間IS及び位置決め孔18内に載置される。
ここで、本実施の形態においては、積層合板PWの原材料となる加圧前多層材NWは、所定の寸法(厚み・幅・長さ)に形成されたものであり、計4枚のオイルパーム材Wの面側をプレス盤10の上プレス盤10A及び下プレス盤10Bに対向させ、下プレス盤10Bの位置決め孔18に載置した。
続いて、図11(b)に示すように、固定側の下プレス盤10Bの位置決め孔18上に載置された加圧前多層材NWに対して上プレス盤10Aを所定圧力にて下降させて加圧前多層材NWの上面、即ち、本実施の形態においては、オイルパーム材Wの面に対して垂直方向に当接させる。そして、ステップS43でタイマIによるタイマ制御が開始される。 ステップS43のタイマIを見て、ステップS44で加熱タイミングであるか判断し、ステップS44で圧縮タイミングであるかを判断する。
加熱タイミングのとき、ステップS46で上プレス盤10Aの配管路15及び下プレス盤10Bの配管路16に所定温度(例えば、110〜180〔℃〕)の水蒸気が通され、内部空間IS及び位置決め孔18内が所定温度(例えば、110〜180〔℃〕)に保持される。ステップS44で加熱タイミングでないと判断したとき、ステップS45で圧縮タイミングであるかを判断し、圧縮タイミングのとき、ステップS47で圧縮工程に入る。
即ち、ステップS47では、固定側の下プレス盤10Bに対して上プレス盤10Aの圧縮力が所定圧力(例えば、2〜5〔MPa〕)に設定され、加圧前多層材NWが上プレス盤10A及び下プレス盤10Bにて所定時間(例えば、5〜40〔min〕)加熱圧縮される。また、ステップS48で加熱・圧縮の終了であるか判断し、終了タイムになるまでステップS43からステップS48のルーチンの処理を行う。
ステップS48の圧縮力は、割れを防止するために、加圧前多層材NWの温度上昇、即ち、ステップS43のタイマIの経過時間に応じて加圧前多層材NWの内部の温度状態、加熱時間の経過に応じて徐々に大きくするのが望ましく、加熱圧縮の時間も加熱時間を考慮して設定するのが好ましい。
更に、図11(c)に示すように、上プレス盤10Aの周縁部10aが下プレス盤10Bの周縁部10bに当接すると上プレス盤10Aの周縁部10aに配設されたシール部材11によって、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bにて形成される内部空間IS及び位置決め孔18が密閉状態となる。そして、内部空間IS及び位置決め孔18の密閉状態で上プレス盤10A及び下プレス盤10Bによる圧縮力が保持されたまま、ステップS43のタイマIを基準に所定温度(例えば、150〜210〔℃〕)まで上昇される。
なお、本実施の形態1において、プレス盤10の上プレス盤10A及び下プレス盤10Bによって形成される内部空間IS及び位置決め孔18がシール部材11を介して密閉状態となったときにおける内部空間IS及び位置決め孔18の上下方向の寸法間隔は、プレス盤10によって加圧前多層材NWが圧縮率70%の積層合板PWとなるときの厚み方向の仕上がり寸法に設定されている。このため、加圧前多層材NWの厚み全体の圧縮率、即ち、加圧前多層材NWの圧縮による板厚の変化は、上プレス盤10Aの周縁部10aが下プレス盤10Bの周縁部10bに当接することで決まることとなる。
加圧前多層材NWと積層合板PWの全体の圧縮率は、式
{(加圧前多層材NWの厚み)−(積層合板PWの厚み)}/加圧前多層材NWの厚み
で算出し、単板の圧縮率は、式
{(加圧前の厚み)−(加圧後の厚み)}/加圧前の厚み
で算出した。
そして、図11(c)に示す内部空間IS及び位置決め孔18の密閉状態で、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bの圧縮力が維持され、かつ、内部空間IS及び位置決め孔18が所定温度(例えば、150〜210〔℃〕)のまま、所定時間(例えば、30〜120〔min〕)保持され、この後の冷却圧縮を解除したときに、戻りのない積層合板PWを形成するための加熱処理が行われる。このとき、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bで密閉状態とされている内部空間IS及び位置決め孔18を介して、加圧前多層材NWの周囲面とその内部とでは高温高圧の蒸気圧が出入り自在となっている。
なお、このように、本実施の形態においては、加圧前多層材NWの表裏面に上プレス盤10A及び下プレス盤10Bが面接触し、密閉状態の内部空間IS及び位置決め孔18に保持されるため、加圧前多層材NWは、厚み全体が十分に加熱され、効率よく圧縮変形されることになる。
次に、図11(d)に示すように、内部空間IS及び位置決め孔18の密閉状態で加熱圧縮処理が行われているときに、蒸気圧制御処理として圧力計P2で内部空間IS及び位置決め孔18の蒸気圧が検出され、バルブV5が適宜、開閉される。これにより、配管口13a、配管13を通って内部空間IS及び位置決め孔18からドレン配管14側に高温高圧の水蒸気が排出されることで、特に、加圧前多層材NWの外層部分の含水率に基づく余分な内部空間IS及び位置決め孔18内の水分が除去され、内部空間IS及び位置決め孔18内が所定の蒸気圧となるように調節される。また、必要に応じて、バルブV4に接続された配管12、配管口12a(図10)を介して内部空間ISに所定の蒸気圧を供給することができる。これらにより、板材の加熱圧縮処理の定着、所謂、板材の固定化がより促進されることとなる。
更に、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bによる加熱圧縮から冷却圧縮へと移行する直前に、蒸気圧制御処理としてバルブV5が開状態とされることで配管口13a、配管13を通って内部空間IS及び位置決め孔18からドレン配管14側に高温高圧の水蒸気が排出される。
ステップS45でステップS43のタイマIの動作に基づくステップS46の加熱工程及びステップS47の圧縮工程が終了したことが判断されると、ステップS49で固定化工程に入る。固定化工程では、ステップS50のタイマIIに基づき、図11(e)に示すように、上プレス盤10Aの配管路15及び下プレス盤10Bの配管路16に常温の冷却水または地下水が通されることによって、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bが常温前後まで冷却され、材料によって異なる所定時間(例えば、オイルパームでは10〜120〔min〕)保持される。なお、このときの固定側の下プレス盤10Bに対する上プレス盤10Aの圧縮力は、加熱圧縮の際の圧力と同じ所定圧力(例えば、2〜5〔MPa〕)に保持されたまま、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bが冷却される。
そして、最後に、図11(f)に示すように、ステップS21で解圧工程に入り、固定側の下プレス盤10Bに対して上プレス盤10Aを上昇させ、内部空間IS及び位置決め孔18から仕上がり品である積層合板PWが取出されることで一連の処理工程が終了する。
本実施の形態の積層合板PWを製造する圧密加工材製造装置300は、主として、上プレス盤10Aと下プレス盤10Bとの2分割された構造体によって内部空間IS及び位置決め孔18を形成するプレス盤10を具備しているが、本発明を実施する場合の加圧前多層材NWの外周の移動規制は枠体20とすることもできる。この加圧前多層材NWの外周の移動規制としての枠体20は、上プレス盤10Aの寸法によって、上下動自在な構造とするか、固定構造とするかが決定される。
ここで、積層させるオイルパーム材Wにおいては、その繊維方向を同一にして積層してもよいし、その繊維方向を互いに直交させて積層してもよい。
繊維方向を同一にして積層した場合には、圧密加工において軟化した板材表面層の木繊維が、積層方向(縦方向)に隣接する繊維方向が同一の他の板材表層の木繊維と絡み易く、その絡み合った状態で固定化された板材同士は強固に接合される。しかも、接合面における膨張率及び収縮率を完全に等しくできることから周囲環境条件が変化しても接合面に全くストレスが掛かることがない。したがって、接合強度が高くて機械的強度も高く、圧密化後の安定した寸法形状性が確保される。
一方、繊維方向を互いに直交させて積層した場合には、圧密加工後の周囲環境条件の変化によって膨張収縮力が生じでも互いの板材同士が相互に作用し合って特定方向の反り変形が防止される。
特に、全枚数が奇数枚の場合には、繊維方向を互いに直交させて積層したとき表裏で単板の繊維方向が平行で断面が対称となるため、周囲環境条件の変化による歪み等が防止される。また、全枚数を4枚以上の偶数枚とする場合には、内部の一部にて繊維方向を同一にして積層しその他は繊維方向を互いに直交させて積層することによって、表裏の繊維方向を合わせ周囲環境条件の変化による歪み等を防止することが可能となる。
また、積層させるオイルパーム材Wにおいて、繊維に対して平行に切断した面であって樹心側面同士、または繊維に対して平行に切断した面であって樹皮側面同士を対向させて積層するのが好ましい。互いの樹心側面同士または互いの樹皮側面同士が対向するようにし、圧密加工により接合させることによって、樹心側面と樹皮側面で細胞密度が異なることによる特定方向の反り変形が防止できる。
更には、乾燥させた積層合板PWのうち、乾燥後の気乾比重が小さい材料を表裏に配置して積層することが好ましい。これによって、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bに接触する表裏層に乾燥後の気乾比重が小さい板材が配設され、圧密加工がなされることになるから、乾燥後の気乾比重が小さい板材において上プレス盤10A及び下プレス盤10Bによって十分な加熱圧縮がされて板材相互間の比重の差が小さくなり、製品化後における寸法変化率の差も小さくなる。よって、製品化後における寸法形状の安定性が増す。
次いで、図11に示すように、固定側の下プレス盤10B上に載置された積層した複数枚の加圧前多層材NWに対して上プレス盤10Aを所定圧力(例えば、0.05〜0.3MPa)にて下降させ、積層した加圧前多層材NWの上面、即ち、繊維の長さ方向に対する垂直方向の平面に当接させる。
そして、圧密加工の最初は、まず、加熱工程(ステップS46)における加熱を開始し、バルブV1,バルブV2,バルブV3(図10)が開かれ図示しないボイラ装置から上プレス盤10Aの配管路15及び下プレス盤10Bの配管路16に加熱用の水蒸気が通されて内部空間IS及び位置決め孔18内が所定の加熱温度に保持され、積層した加圧前多層材NWが加熱される。
ここで、圧縮初期の加熱工程の加熱温度は、110℃〜160℃の範囲内とするのが好ましい。加熱温度が低過ぎると十分な圧密加工がなされず、強度不足や板材間が接合不良となったり、製品化後において吸湿乾燥による寸法形状変形が生じ易くなったりし、一方、加熱温度が高過ぎると表面が炭化して黒色に変化し色調や板材特有の香りが損なわれたり、材質が劣化して強度が低化し脆くなったりすることがある。本発明者らの実験によれば、適切な温度条件は110℃〜160℃の範囲内であることが判明した。この温度条件にすることによって、圧密加工における固定化不良や、表面炭化、材質強度の低化等の材質劣化を防止することができる。より好ましくは、圧縮初期の加熱工程の加熱温度は120℃〜140℃の範囲内である。なお、具体的な設定温度は、オイルパーム材Wの含水率等に応じて設定される。
続いて、ステップS47の圧縮工程にて、固定側の下プレス盤10Bに対して上プレス盤10Aの圧縮圧力が所定圧力に設定され、加圧前多層材NWが上プレス盤10A及び下プレス盤10Bにて所定時間加熱圧縮される。このとき、図11(c)に示すように、上プレス盤10Aの周縁部10aが下プレス盤10Bの周縁部10bに当接すると上プレス盤10Aの周縁部10aに配設されたシール部材11によって、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bにて形成される内部空間IS及び位置決め孔18が密閉状態となる。
このように、プレス盤の面接触によって加熱圧縮することで、特には、加熱温度に加熱した後に加圧することによって、加圧前多層材NWにおいて乾燥時の反り変形が生じている場合でも破壊、割れ、クラック等を生じさせることなく平坦にすることができ、効率良く加熱圧縮を行うことができる。更には、加圧前多層材NWが加熱圧縮され、内部空間IS及び位置決め孔18が密閉状態に保持されている間に、加圧前多層材NWに元々含まれている水蒸気が蒸気圧となって内部空間IS及び位置決め孔18を介して乾燥板材DWに侵入拡散、排出自在となることから、厚み全体において効率よくかつ均一に加熱圧縮が行われる。
ここで、加圧前多層材NWを圧縮する所定圧力は、0.1MPa〜10MPaの範囲内であることが好ましい。加圧力が低過ぎると圧密加工において固定化不良となり、一方、加圧力が高過ぎると表面にクラックが生じることがある。本発明者らの実験によれば、適切な加圧条件は0.1MPa〜10MPaの範囲内である。この加圧条件にすることによって、圧密加工における固定化不良や、クラックの発生を防止することができる。より好ましくは、1MPa〜5MPaの範囲内である。
なお、このときの圧縮速度が速い場合には、加圧前多層材NW内の水蒸気や空気が抜けにくく、加圧前多層材NWに作用する圧力も高くなるため、クラックが生じたり、また、板材軟化が不十分で内部割れが生じたりする恐れがある。一方で、圧縮速度が遅い場合には、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bに接触している面への負担が大きくなりクラック等が生じる可能性がある。そこで、このときの圧縮圧力は、加圧前多層材NWの内部の温度の伝達状態に応じて徐々に大きくするのが望ましい。
更に、本発明者らの実験によれば、加熱圧縮する時間は、10分間〜40分間の範囲内とするのが好ましい。この時間条件によって、処理時間が短過ぎることによるその後の固定化不良や、処理時間が長過ぎることによる表面の炭化を防止することができる。より好ましくは、圧縮している所定時間が20分間〜30分間の範囲内である。なお、この加熱圧縮の時間も加圧前多層材NWの内部の温度の伝達状態(時間)を考慮して設定するのが好ましい。
なお、プレス盤10の上プレス盤10A及び下プレス盤10Bによって形成される内部空間IS及び位置決め孔18がシール部材11を介して密閉状態となったときにおける内部空間IS及び位置決め孔18の上下方向の寸法間隔は、積層された複数枚の加圧前多層材NWが圧密加工されて気乾比重0.8以上の積層合板PWとなるときの厚み方向の仕上がり寸法に設定されている。このため、積層された加圧前多層材NWの厚み全体の圧縮率、即ち、積層された複数枚の加圧前多層材NWの圧縮による板厚の変化は、上プレス盤10Aの周縁部10aが下プレス盤10Bの周縁部10bに当接することで決まることとなる。
次いで、図11(c)に示す内部空間IS及び位置決め孔18の密閉状態で上プレス盤10A及び下プレス盤10Bによる上記所定の圧縮圧力(0.1MPa〜10MPaの範囲内が好ましい)が保持されたまま、上プレス盤10Aの配管路15及び下プレス盤10Bの配管路16によって、特定の加熱温度まで上昇され、内部空間IS及び位置決め孔18が所定の加熱温度のまま、所定時間保持される。このとき、上プレス盤11及び下プレス盤21で密閉状態とされている内部空間IS及び位置決め孔18を介して、加圧前多層材NWの周囲面とその内部とで高温高圧の蒸気圧が出入り自在となっている。
そして、この内部空間IS及び位置決め孔18の密閉状態で加熱圧縮処理が行われているときに、蒸気圧制御処理として圧力計P2で内部空間IS及び位置決め孔18の蒸気圧が検出され、図11(d)に示されるように、バルブV4に接続された配管12、配管口12aを介して内部空間ISに第2の加熱温度の蒸気圧が供給されることによって、または、バルブV5が適宜開閉されて配管口13a、配管13を通って内部空間ISからドレン配管14側に高温高圧の水蒸気が排出されることによって、内部空間IS及び位置決め孔18の蒸気圧が所定値に制御される。
このように、内部空間IS及び位置決め孔18の蒸気圧を制御することによって、板材の加熱圧縮が行われる。即ち、板材の周囲面及びその内部を内部空間IS及び位置決め孔18と同様の温度・圧力・蒸気圧状態とし加圧前多層材NW全体が均一化されることによって、加工歪が入らず、成形後の復元力及び周囲環境条件の変化による収縮膨張が顕著に抑制される。特に、所定の加圧状態を保ったまま加熱して水蒸気の排出または導入によって蒸気圧制御を行うことによって、表面の炭化が防止され、均一に加熱圧縮され、更に、表面の乾燥を防いで均一な固定化がスムースに達成され、成形加工後の回復、戻り、変形等が抑制される。
ここで、圧密加工する加熱及び圧縮状態を維持する最終加熱温度は、120℃〜210℃の範囲内とするのが好ましい。加熱温度が低過ぎると固定化が甘くなり水蒸気の作用による化学変化を十分に起こさせることができなくなって固定化不良となり、吸湿による戻りや乾燥による変形等が生じ易く、一方、加熱温度が高過ぎると表面が炭化して黒色に変化し色調や板材特有の香りが損なわれたり、材質が劣化して強度が低化し脆くなったりすることがある。本発明者らの実験によれば、適切な温度条件は120℃〜210℃の範囲内である。この温度条件にすることによって、圧密加工における固定化不良を防止して寸法形状安定性を維持し、表面炭化、材質強度の低化等の材質劣化を防止することができる。より好ましくは、加熱温度が120℃〜140℃の範囲内である。
また、本発明者らの実験研究によれば、固定化する直前の圧縮時間は、10分間〜120分間の範囲内とするのが好ましい。この時間条件によって、処理時間が短過ぎることによる固定化不良や、処理時間が長過ぎることによる表面の炭化を防止することができる。より好ましくは、所定時間が30分間〜90分間の範囲内である。なお、この固定化の直前の加熱・圧縮処理を行う具体的な設定時間は、加圧前多層材NWの含水率等を考慮して設定される。
因みに、水蒸気導入または水蒸気の排出による密閉状態にある内部空間IS及び位置決め孔18内の蒸気圧制御の開始は、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bの温度が特定の加熱温度に到達してから行われるのが望ましい。このようにすれば、加圧前多層材NW内に水蒸気を浸透させ、それによってオイルパーム材Wの化学変化を十分起こさせることができ、その結果、オイルパーム材Wを十分かつ均一に固定化することができ、吸湿による戻りや乾燥による変形等が少ないものとなる。即ち、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bの温度が特定の加熱温度に到達する前に密閉状態にある内部空間IS及び位置決め孔18内の水蒸気導入を開始した場合には、水蒸気が凝縮して密閉状態にある内部空間IS及び位置決め孔18内が水で満たされた状態となり、板材の含水率が多くなってしまい、その結果、吸湿による戻りや乾燥による変形等が生じ易い。
また、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bの温度が第2の加熱温度に到達する前に密閉状態にある内部空間IS及び位置決め孔18内の水蒸気排出を開始した場合においても、外層部分の含水率に基づく余分な内部空間IS及び位置決め孔18内の水分が除去され難くて板材の含水率が多くなってしまい、吸湿による戻りや乾燥による変形等が生じ易くなる。
なお、後述の冷却開始前にその蒸気圧制御を終了させるのが好ましい。後述の冷却開始前にその蒸気圧制御を終了しない場合には、冷却処理効率が低下する。
また、密閉状態にある内部空間IS及び位置決め孔18内に水蒸気を導入して蒸気圧を制御する場合には、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bの温度が特定の加熱温度に到達した時における内部空間IS及び位置決め孔18内の水蒸気圧力及び温度と同等以下の水蒸気圧及び温度の水蒸気を導入するのが好ましい。導入する水蒸気の圧力及び温度が内部空間IS及び位置決め孔18内の水蒸気圧力及び温度より高い場合には、水蒸気が凝縮して密閉状態にある内部空間IS及び位置決め孔18内が水で満たされた状態となり、オイルパーム材Wの含水率が多くなってしまい、その結果、吸湿による戻りや乾燥による変形等が生じ易くなる。なお、密閉状態にある内部空間IS及び位置決め孔18内において、加圧前多層材NWの外層部分の含水率に基づく余分な水分が存在する場合には、内部空間IS及び位置決め孔18内の高温高圧の水蒸気を適宜排出することによって、所定の蒸気圧となるように調節される。
続いて、ステップS49の固定化工程は、ステップS46の加熱工程、ステップS47の圧縮工程の際の圧力と同じ所定圧力(0.1MPa〜10MPaの範囲内が好ましい)に保持されたまま、バルブV11,バルブV12,バルブV13(図8)が開かれ図示しないボイラ装置から上プレス盤10Aの配管路15及び下プレス盤10Bの配管路16に常温の冷却水が通されることによって、図11(e)に示すように、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bが常温前後まで冷却され、所定時間(例えば、10〜120〔min〕)保持される。
そして、最後に、ステップS49の固定化工程において解圧し、図11(f)に示すように、固定側の下プレス盤10Bに対して上プレス盤10Aを徐々に上昇させて離間させることによってプレス圧力および密閉状態を開放し、内部空間IS及び位置決め孔18から仕上がり品である積層合板PWが取出されることで一連の処理工程が終了する。
このように、変形が生じることのない圧力状態下で冷却することによって圧密状態の定着が安定する。そして、加圧状態で冷却した後、加圧を解除することによって、即ち、冷却によって加圧前多層材NW内の水蒸気圧を下げた後、徐々に解圧して内部蒸気圧を開放することによって、余分な水蒸気を液化して除くことができて冷却圧縮を解除したときに膨らみ変形、割れ、破壊(パンク)等がない積層合板PWとなる。即ち、本実施の形態の積層合板PWによれば、圧縮解除後に膨らみ変形、割れ、破壊等が生じることなく安定した品質が確保されたものである。
このようにして、積層した加圧前多層材NWの繊維の長さ方向に対して垂直方向に加えた外力によって、積層した加圧前多層材NW全体の厚みが加熱圧縮され、圧密加工により気乾比重を0.8以上とした積層合板PWが製造される。そして、このようにして得られた積層合板PWは、圧密加工により板材同士が強固に接合されている。これは、圧密加工によってセルロースや、ヘミセルロースや、リグニンが水素結合し、特に、アブラヤシの樹幹には糖類、リグニン、プラスチック成分等が多く含まれていて、圧密加工によりこれらの成分が分解や軟化して染み出し、板材間を移動した後に再結晶化・再結合化されることでバインダとして機能し、更には、圧密加工によりオイルパーム材Wの表層の繊維が軟化して積層方向に隣接する板材の繊維と絡み合うことによって、板材同士が強固に接合したものと考えられる。
このように本実施の形態に係る積層合板PWによれば、ホルムアルデヒド等による環境負荷が懸念される人工接着剤やコストが高い天然接着剤を使用することなく板材同士が接合されることから、環境に優しく、また、コストを抑えることができる。
しかも、接着剤の使用によってオイルパーム材Wを接合する場合には、接着剤を塗布等した後、圧締して接着剤を硬化するのが一般的であり、接着剤塗布等の工程及び圧締工程が必要であるのに対し、本実施の形態に係る積層合板PWによれば、圧密加工によって接着剤を使用することなく板材同士が接合されるため、上記別個の接合工程が不要であり、製造工程の簡略化を図ることができる。
そして、このようにして得た積層合板PWは、圧密加工されたことによって、オイルパーム材Wの空隙が小さくなって、また、細胞壁を構成するリグニン、ヘミセルロース等が軟化・分解及び再結合・再結晶化され細胞密度が高まり、比重が小さくて強度が小さく変形しやすいというオイルパーム材Wの欠点が補完され、高い強度及び安定した寸法形状性が確保される。特に、気乾比重が0.8以上となるように圧密加工することで、積層したオイルパーム材Wの厚み全体が均一に圧縮され、オイルパーム材Wの性質が変化して硬度等が顕著に高くなり、また、硬度等の物性値・特性値のばらつきが少なくなり、更には、周囲環境条件の変化による膨張率及び乾燥率のばらつきも少なくそれによる変形等が抑えられ、寸法形状安定性が増す。したがって、物性的に安定して製品間の品質にばらつきが少なく商品価値が高いものとなる。更に、乾燥させたオイルパーム材Wを複数枚積層した状態で全体を圧密化しており、接合面において周囲環境条件の変化による膨張率及び収縮率は略均一となることから安定した接合性が維持され、周囲環境条件の変化で接合面にストレスがかかることによる歪み、変形、クラック等が生じることなく、安定した寸法形状性が確保される。
特に、オイルパーム材Wの繊維方向を同一にして積層した場合においては、圧密加工において軟化した表面層の繊維が、繊維方向を同一として縦方向に隣接している木表層の木繊維と絡み易く、その絡み合った状態で固定化されたオイルパーム材Wは強固に接合される。しかも、接合面における膨張率及び収縮率を完全に等しくできることから周囲環境条件が変化した場合において接合面に全くストレスが掛かることがない。したがって、接合強度が高くて機械的強度も高く、高い寸法形状安定性が確保される。
一方、加圧前多層材NWの繊維方向を互いに直交させて積層した場合には、圧密加工後の周囲環境条件の変化によって膨張収縮力が生じでも互いの板材同士が相互に作用し合って特定方向の反り変形が防止される。殊に、全枚数が奇数枚の場合には、繊維方向を互いに直交させて積層したとき表裏で単板の繊維方向が平行で断面が対称となるため、周囲環境条件の変化による歪み等が防止される。
また、全枚数を偶数枚とする場合には、内部の一部にて繊維方向を同一にして積層しその他は繊維方向を互いに直交させて積層することによって、表裏の繊維方向を合わせ周囲環境条件の変化による歪み等を防止することが可能となる。
そして、本実施の形態の積層合板PWは、その圧縮面とされた表裏面においても圧密加工により緻密化されてオイルパーム材Wの繊維同士が絡み合って定着され、環境負荷が懸念される人工接着剤やコストが高い天然接着剤を使用しなくても、外表面から剥離し難くなっていて、表面の品質が良い。即ち、人工接着剤やコストが高い天然接着剤を使用しなくても繊維の表面からの剥離が抑制できることから、環境に優しく、コストを抑えることができる。
更に、厚み全体が塑性加工されたものであることから、厚み側面の稜線に対して大きな面取り加工や曲面加工を施したとしてもその端面では、高い硬度による材強度が確保される。
因みに、特に含水率が高く軟質な樹心付近のオイルパーム材Wを使用した場合であっても、圧密加工によって強度を高めることができ、または、圧密加工において温度及び圧縮制御を行うことで、余分な水分の排出が可能で、加圧前多層材NW内部の水蒸気圧が均一に好適に調節されることから、圧縮加工後の膨らみ変形等も抑制される。よって、十分な強度が確保され安定した寸法形状性を有する積層合板PWを形成することが可能である。したがって、オイルパームの樹幹全体の有効活用を図ることができる。
特に、乾燥させたオイルパーム材Wのうち、乾燥後の気乾比重が小さい表裏に配置して積層した場合には、上述したように、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bに接触する表裏層に乾燥後の気乾比重が小さい材料が配設され、圧密加工がなされることになるから、乾燥後の気乾比重が小さい材料において上プレス盤10A及び下プレス盤10Bによって十分な加熱圧縮がされて板材相互間の比重の差が小さくなり、製品化後における寸法変化率の差も小さくなる。よって、製品化後における寸法形状の安定性が増す。
このように本実施の形態に係る積層合板PWは、本来含水率が高く軟質なオイルパームの樹幹をオイルパーム材Wとして剥いた後、乾燥させ、更に複数枚積層し圧密加工することによって、表面のみならず板厚全体における強度及び硬度が大きく向上され、床材、腰板材、屋内家具材、表面塗装して使用する住宅用外装材等、広範な用途が見込まれる。殊に、圧密加工によって表面硬度が高められ、厚みが薄くても十分な強度及び硬度が確保できることから、製品化において厚みを薄くすることが可能である。
なお、図12に示す枠体20は、実施の形態1の変形例で、上下動自在な構造としたもので、図10及び図11の下プレス盤10Bに配設されるものであり、位置決め孔18に代わるものである。
下プレス盤10Bのベース板25に同一高さの外側下プレス盤10Ba及び内側下プレス盤10Bbを配設し、その間に枠体溝21を形成する。枠体溝21のベース板25側には複数のコイルスプリング22が配設され、その上部に四角の可動枠23が配設されている。可動枠23の内面には、切欠きが形成されていて加圧前多層材NWの側面からの水蒸気等の流体を導く流体路24となっている。四角の可動枠23の内周は加圧前多層材NWの外周に略等しくなっており、四角の可動枠23に加圧前多層材NWが入るとオイルパーム材Wに位置ずれが生じないようになっている。
したがって、上プレス盤10Aが下降した時、それが下プレス盤10Bの寸法以上の広さを有していても、可動枠23と当接すると、可動枠23が複数のコイルスプリング22の弾性に抗して下降し、加圧前多層材NWの圧縮に応答する。そして、複数のコイルスプリング22の移動限界で加圧前多層材NWの圧縮が終了する。勿論、下プレス盤10Bの可動枠23に対して上プレス盤10Aが挿入される構造である場合には、下プレス盤10Bに可動枠23を固定配置とすることができる。即ち、下プレス盤10Bの可動枠23を固定し、可動枠23の内部に挿入される上プレス盤10Aによって圧縮することもできる。
このようにして、オイルパーム材Wの繊維の長さ方向に対して垂直方向に加えた外力によって、オイルパーム材Wの厚みが加熱圧縮され、全体が圧密加工されて圧縮率60%以上とした積層合板PWが製造され、このとき、オイルパーム材Wの厚み方向への圧縮力によってオイルパーム材Wの平面に平行な方向の伸びは、可動枠23に規制され、伸びることがない。
なお、本実施の形態においては、蒸気圧を制御した後、徐々に解圧して内部蒸気圧を開放し、また、冷却によって加圧前多層材NW内の水蒸気圧を下げて定着させるので、冷却圧縮を解除したときに膨らみ変形やパンクと呼ばれる表面割れのない積層合板PWを形成できる。即ち、本実施の形態で製造した積層合板PWは、圧縮解除後に膨らみ変形や表面割れを生じることがなく、安定した品質が確保されている。本実施の形態では、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bを用いて圧縮し、定着して積層合板PWを得ているが、本発明を実施する場合には、通常の電子レンジが使用するマイクロ波の周波数帯域よりも若干周波数の低い高周波で誘電加熱して加圧前多層材NWを加熱圧縮し、定着しても、積層合板PWを得ることができる。
このオイルパーム幹WDは節、年輪がないからロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いてオイルパーム材Wを作成する場合、均質なオイルパーム材Wが得られ、結果的に、そのオイルパーム材Wからなる積層合板PWは均質なものとなる。また、加える温度と圧力によってオイルパーム幹WD自体が含有する樹脂成分及び糖成分によってその接合力を変化させるから、加える温度と圧力の制御によって任意の接着力が得られる。そして、複数枚のオイルパーム材Wをオイルパーム幹WD自体が含有する樹脂成分及び糖成分によって接合して積層合板PWを形成するものでは、他の合成樹脂、合成ゴムを接着材として使用していないから、自然に戻すことができ公害問題を引き起こさない。
更に、オイルパーム幹WD自体が含有するリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類の作用によって接合されるときの圧縮力によって、オイルパーム材Wの空隙が殆どなくなり、緻密な組織になるから、耐水性があり、かつ、防水、防虫性に富み、建築材料として使用しても耐用年数が長くなる。
特に、ヘミセルロースはリグニンとセルロースとの結び付ける機能を有しており、オイルパーム幹WDの自然栽培されている状態では、互いにどれだけ干渉し合っているかは不明である。しかし、所定の温度、例えば、リグニンの反応開始温度の80度以上に温度を上げることにより、ヘミセルロースの反応開始温度の60度以上となり、互いに反応し、堅固な特性となることが確認された。
上記実施の形態の積層合板PWは、所定長のオイルパーム幹WDをその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いて形成し、それを圧密加工した1枚の厚みが1mm以上からなる2枚以上のオイルパーム材Wと、所定長のラワン幹またはシナ幹または針葉樹幹をその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いて形成して配置し、それらを一体に接合したものである。
したがって、少なくとも圧密加工したオイルパーム材Wであるから、オイルパーム材W含有する樹脂成分及び糖成分が不足した場合には、接合対象に接着剤を追加して貼り合せることにより、所望の積層合板PWを製造するものである。よって、オイルパーム材Wが含有する樹脂成分及び糖成分が不足した場合に接着剤を使用するものであるから、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑え、オイルパームが本来的に有している成分を利用した積層合板PWが得られる。
上記実施の形態のオイルパーム材Wに面して配置し、一体に接合する2枚以上のオイルパーム材Wと、ラワン板またはシナ板または針葉樹板等の他の板材の何れかの1枚以上と一体に接合する積層合板PWは、その接合にオイルパーム材Wが含有する樹脂成分及び糖成分を使用し、それらを圧縮、固定化し、一体に接合できる。
したがって、2枚以上のオイルパーム材Wを積層合板PWとして、オイルパーム材Wが含有する樹脂成分及び糖成分を用いて一体に接合できるから、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑え、オイルパーム幹WDが本来的に有している成分を利用した積層合板PWが得られる。
上記実施の形態のオイルパーム材Wに面して配置し、一体に接合する2枚以上のオイルパーム材Wの接合には、オイルパーム材Wが含有する樹脂成分及び糖成分とし、ラワン板またはシナ板または針葉樹板の何れかの2枚以上と一体に接合する接合面には、オイルパーム材Wが含有する樹脂成分及び糖成分の他に、他の接着剤を付加したものでは、オイルパーム材Wが含有する樹脂成分及び糖成分を使用し、更に、ラワン板またはシナ薄板または針葉樹板の何れかの1枚以上の接合も堅固に行うことができるから、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を抑え、オイルパームが本来的に有している成分を利用した積層合板PWが得られる。
特に、ラワン板の枚数をオイルパーム材Wの枚数よりも少なくすることにより、少なくとも従来の積層合板に比較して、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒド系接着剤の使用を1/2以下に抑えることができる。
更に、積層工程以降で積層されたオイルパーム材Wの温度を上昇させるべく加熱する工程で、水蒸気または電熱を導入して加熱または熱板で加熱する工程は、加熱エネルギを供給することから加熱工程とすることができる。更にまた、前記加熱工程によって加熱された前記積層されたオイルパーム材Wに対して、オイルパーム材Wの面に直角方向の圧縮力を加える工程は、所定の圧縮率でオイルパーム材Wの圧縮、即ち、加圧前多層材NWの圧縮が行えればよい。この工程は、圧縮工程とすることができる。
加えて、前記圧縮工程で所定時間圧縮した後、前記加熱工程で供給していた温度を降下させ、積層合板PWの圧縮状態を固定化し、所定の圧縮率で圧縮していた圧縮力を解圧するものであり、これを積層合板PWから捉えて固定化工程とすることができる。
このように、上記実施の形態の積層合板PWは、所定長のオイルパーム材Wをその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚みに刃物CTで剥いて複数枚のオイルパーム材Wに形成するステップS40の材料形成工程と、そのオイルパーム材Wを乾燥するステップS41の乾燥工程と、前記乾燥工程で乾燥させたオイルパーム材Wを所定の状態に複数枚積層するステップS42の配置工程と、前記配置工程以降で前記積層されたオイルパーム材Wの温度を上昇させるべく加熱するステップS46の加熱工程と、前記加熱工程によって加熱された前記積層されたオイルパーム材Wに、オイルパーム材Wの面に対して平行方向に延びるのを規制しながら、オイルパーム材Wの面に対して直角方向の圧縮力を加えて所定時間圧縮するステップS47の圧縮工程と、前記圧縮工程で所定時間押圧した後、前記加熱工程で供給していた温度を降下させて固定化させるステップS49の固定化工程を具備するものである。
したがって、これらの工程で使用されるオイルパーム幹WDは節、年輪がないからロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いてオイルパーム材Wを作成する場合、均質なオイルパーム材Wが得られ、結果的に、そのオイルパーム材Wからなる積層合板PWは均質なものとなる。また、加える温度と圧縮力によってオイルパーム幹WD自体が含有するリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類の作用によってその接合力を変化させることができるから、加える温度と圧縮力の制御によって任意の接着力が得られる。そして、複数枚のオイルパーム材Wをオイルパーム幹WD自体が含有するリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類の作用によって接合して積層合板PWを形成するものであるから、他の合成樹脂、合成ゴムを接着材として使用していないから、自然に戻すことができ公害問題を引き起こさない。更に、オイルパーム幹WD自体が含有するリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類の作用によって接合されるときの圧縮力によって、オイルパーム材Wの空隙が殆どなくなり、緻密な組織になるから、耐水性があり、かつ、防水、防虫性に富み、建築材料として使用しても耐用年数が長くなる。
本実施の形態1及び本実施の形態2のオイルパームの乾燥装置及びその乾燥方法は、オイルパーム材Wの乾燥後の含水率を10%〜30%の範囲内としたものであるから、クラック、変形、膨らみ、破裂等が防止される。よって、より安定した寸法形状性が確保され、歩留りも高いものとなる。また、含水率を10%〜30%の範囲内の乾燥状態であると、ラワン板、シナ板、針葉樹板等との接合にも好適である。
本実施の形態1及び本実施の形態2の積層合板の製造方法のオイルパーム材Wを複数枚積層する積層工程は、その繊維方向を互いに同一方向としたものであるから、その繊維方向を互いに同一にして積層したものであるから、本来の幹の長さ方向に沿った接合となり、圧密加工において軟化した繊維が、繊維方向を同一として積層方向に隣接する他の繊維と絡み易く、その絡み合った状態で固定化される。即ち、圧密加工によって互いの繊維同士が絡み合い、接合強度が高くなる。よって、機械的強度が高く、圧密化後の安定した寸法形状性が確保される。更に、互いの繊維方向を同一にして積層することで、接合面における膨張率及び収縮率を完全に同一にすることができて、ストレスがかかることなく、寸法形状安定性がより高いものとなる。
本実施の形態1及び本実施の形態2の積層合板の製造方法のオイルパーム材の積層工程は、その繊維方向を互いに直交する方向としたものであるから、圧密加工後の周囲環境条件の変化によって膨張収縮力が生じても、互いの繊維同士が相互に作用し合って特定方向の反り変形が防止され、良好なバランス状態となり、寸法形状安定性が向上する。
本実施の形態1及び本実施の形態2の積層合板の製造方法のステップS41の乾燥工程は、オイルパーム材Wの含水率を10%〜30%の範囲内に乾燥させるものであるから、クラック、変形、膨らみ、破裂等が防止される。よって、より安定した寸法形状性が確保され、歩留りも高いものとなる。また、含水率を10%〜30%の範囲内の乾燥状態であると、ラワン材、シナ材、針葉樹材等との接合にも好適である。
本実施の形態1及び本実施の形態2の積層合板の製造方法のステップS46の加熱工程における加熱温度は、110℃〜170℃の範囲内としたものであるから、圧密加工における固定化不良や板材間の接合不良、また、表面炭化、材質強度の低化等の材質劣化を防止することができる。また、加熱温度が110℃〜170℃の範囲内であると、ラワン板、シナ板、針葉樹板等との接合にも好適である。
本実施の形態1及び本実施の形態2の積層合板の製造方法のステップS47の圧縮工程による所定の圧縮圧力は、0.1MPa〜10MPaの範囲内としたものであるから、圧密加工における固定化不良や板材間の接合不良、また表面クラックの発生を防止することができる。ラワン板、シナ板、針葉樹板等との接合にも問題がないことが確認された。
本実施の形態1及び本実施の形態2の積層合板の製造方法のステップS46の加熱工程及びステップS47の圧縮工程に要する時間は、10分間〜120分間の範囲内であることから、圧密加工における固定化不良や板材間の接合不良、また、表面の炭化を防止できる。ラワン板、シナ板、針葉樹板等との接合にも問題がないことが発明者の実験によって確認された。
冒頭で説明したように、オイルパームの乾燥は、一般の板材、例えば、桧、杉、米桧、桧葉、米杉、唐松、赤松、栗、欅、槇、樫、桜、樅、栂等の木目の材料に比較して、含水率が高く、かつ、場所によって大きく含水率が変化し、更に、糖濃度も高いので、このオイルパームを乾燥できれば、一般の板材でも十分使用できることになる。したがって、一般の板材の詳細についての説明は割愛する。
WD オイルパーム幹
W、W1,・・・,W4 オイルパーム材
NW 加圧前多層材
PW 積層合板
10 プレス盤
49 ポンプ
50,70 収容室
100 オイルパーム(板材)の乾燥装置
200 オイルパーム(板材)の乾燥装置
300 圧密加工材製造装置

Claims (4)

  1. 所定長のオイルパーム幹をその周方向に所定の厚みに剥いたオイルパーム材または所定長のオイルパーム幹をその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材を両面から100〜150℃の範囲内の温度を上限の温度として加熱する複数枚の熱板と、
    前記オイルパーム材に対して前記熱板を所定の圧力で相互間に圧縮力を付与するプレス機構と、
    前記オイルパーム材及び前記熱板を収容し、その収容内部圧力を大気圧と分離する収容室と、
    前記収容室の湿気を排出して前記収容室の湿度状態を、乾燥後の含水率10%〜30%の範囲内とするために前記収容室の空気を排気するポンプと
    を具備することを特徴とするオイルパームの乾燥装置
  2. 所定長のオイルパーム幹をその周方向に所定の厚みに剥いたオイルパーム材または所定長のオイルパーム幹をその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材を形成する材料形成工程と、
    前記オイルパーム材の両面から100〜150℃の範囲内の温度を上限の温度として加熱する複数枚の熱板からなる熱板加熱工程と、
    前記熱板相互間の前記オイルパーム材に対して、プレス機構で所定の圧縮力を付与する圧縮力付与工程と、
    前記オイルパーム材及び前記熱板を収容した収容室の内部圧力を大気圧と分離し、前記収容室の湿度状態を乾燥後の含水率10%〜30%の範囲内とするために前記収容室から空気をポンプで排気する湿気排出工程と
    を具備することを特徴とするオイルパームの乾燥方法
  3. 所定長のオイルパーム幹をその周方向に所定の厚みに剥いたオイルパーム材または所定長のオイルパーム幹をその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材を100〜150℃の範囲内の温度を上限の温度として誘電加熱する誘電加熱源と、
    前記オイルパーム材を収容して前記誘電加熱源で誘電加熱する室内圧力を大気圧と分離する収容室と、
    前記収容室の湿気を排出して前記収容室の湿度状態を、乾燥後の含水率10%〜30%の範囲内とするために前記収容室の空気を排気するポンプと
    を具備することを特徴とするオイルパームの乾燥装置
  4. 所定長のオイルパーム幹をその周方向に所定の厚みに剥いたオイルパーム材または所定長のオイルパーム幹をその長さ方向に所定の厚みに製材したオイルパーム材を形成する材料形成工程と、
    前記オイルパーム材を100〜150℃の範囲内の温度を上限の温度として誘電加熱源で誘電加熱する誘電加熱工程と、
    前記オイルパーム材を収容して前記誘電加熱源で誘電加熱する室内圧力を大気圧と分離する収容室と、
    前記収容室の湿気を排出して前記収容室の湿度状態を、乾燥後の含水率10%〜30%の範囲内とするために、前記オイルパーム材を収容して前記誘電加熱源で誘電加熱する室内圧力を大気圧と分離し、前記収容室から空気をポンプで排気する湿気排出工程と
    を具備することを特徴とするオイルパームの乾燥方法
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