JPH06102325B2 - 木質材料の加熱処理方法及びその装置 - Google Patents

木質材料の加熱処理方法及びその装置

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JPH06102325B2
JPH06102325B2 JP19954791A JP19954791A JPH06102325B2 JP H06102325 B2 JPH06102325 B2 JP H06102325B2 JP 19954791 A JP19954791 A JP 19954791A JP 19954791 A JP19954791 A JP 19954791A JP H06102325 B2 JPH06102325 B2 JP H06102325B2
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heating
solvent
wood
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隆史 佐藤
滋 森下
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Daikin Industries Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、木質材料の加熱処理方
法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、木質材料に合成樹脂液や各種
薬剤等の注入液を注入した後、該木質材料を加熱して木
質材料内の注入液を硬化させることにより、寸法安定性
や耐候性等が向上した改質木材を製造する方法が行われ
ている。
【0003】このような改質木材を得るに際し、木質材
料に注入された注入液の加熱、硬化処理を行なう方法と
しては、熱風乾燥機やホットプレス等によって木質材料
を直接に加熱する方法、高周波やマイクロ波等の誘電加
熱手段により加熱する方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、注入液
が注入された木質材料を熱風乾燥機やホットプレス等の
加熱手段によって加熱処理を行なうと、加熱、硬化時や
乾燥時に木質材料に割れ、反り、曲がり、捩じれ、落ち
込み等が発生するという問題、及び溶媒が揮散する際に
注入液が流出して注入液の残存率が小さくなり、改質効
果が低下すると共に注入液の硬化不良部分が生じるとい
う問題がある。特に、厚い木質材料に対して加熱処理を
施す場合には上記の傾向は顕著である。
【0005】上記のように硬化乾燥時における割れ等が
発生する理由は、加熱時における木質材料内の溶媒の急
激な移動によって木質材料の中心部と表層部との間の溶
媒含有率の傾斜が大きくなり、これによって、中心部と
表層部との間に収縮応力の差が生じたり或いは不規則な
収縮が生じるためである。さらに、木質材料の表面部の
合成樹脂液が中心部の合成樹脂液よりも先に硬化し、残
存する溶媒の木質材料外への放出が阻止される結果、中
心部の蒸気圧によって爆裂が生じるためでもある。
【0006】これに対して、木質材料を上述の高周波や
マイクロ波等の誘電加熱手段により加熱すると、木質材
料は内部から誘電加熱されるため、注入液も内部から硬
化するので上記問題は解消する。ところが、誘電加熱手
段のみでは、+電極板付近の温度が高く、−電極板付近
の温度が低くなる傾向があるため、電極板の配置による
温度むらが生じる。このため、硬化不良部分や注入液の
成分である溶媒の濃度が高くなるという問題が発生す
る。
【0007】そこで、電熱線を備えた加熱板等の外部加
熱手段を併用することを考慮したが、電熱線及び加熱板
自体の電熱線が高周波の影響によって発熱するので発熱
板が損傷する虞れがあり、また高周波の影響が電熱線を
介して他の機器に及ぶ虞れもある。
【0008】また、可燃性の溶媒を含む注入液を厚い木
質材料に注入した場合には、木質材料の厚さが大きいた
め木質材料を加熱、硬化させる際の加熱温度を通常より
も高くせざるを得ないので、可燃性の溶媒が火災や爆発
を起こす虞れがある。
【0009】さらに、上記各問題は、木質材料を加熱し
て該木質材料内の注入液を硬化させる場合に限らず、木
質材料を加熱して内部の水分を蒸発させることにより該
木質材料を乾燥させる場合にも発生する。
【0010】本発明は、上記の各問題点を解決し、木質
材料を変形させることなく、木質材料を改質又は乾燥さ
せることを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項1の発明は、木質材料を減圧状態で加熱する
ことにより溶媒を効率的に揮散させると共に、木質材料
をその表裏面から挟持した加熱板で加熱することにより
木質材料に対する加熱ムラをなくすと共に木質材料の変
形を阻止するものである。
【0012】具体的に請求項1の発明が講じた解決手段
は、合成樹脂液などの注入液が注入された木質材料を密
閉容器内においてその表裏面から加熱媒体が流通可能な
加熱媒体流通路を有する加熱板で挟持した後、上記密閉
容器内を減圧状態にすると共に上記加熱媒体流通路に上
記注入液の溶媒を揮散させ得る温度の溶媒揮散用加熱媒
体を流通せしめて、上記木質材料中の注入液から溶媒を
揮散させ、次に、上記加熱媒体流通路に上記溶媒揮散用
加熱媒体よりも高温で且つ上記注入液を硬化させ得る温
度の注入液硬化用加熱媒体を流通せしめて上記木質材料
中の注入液を硬化させる構成とするものである。
【0013】請求項2の発明では、木質材料をその内部
から誘電加熱して溶媒を揮散させるために、請求項1の
構成において木質材料中の注入液から溶媒を揮散させる
際、上記木質材料に対して高周波を連続に又は間欠的に
発振して該木質材料を誘電加熱する構成を付加するもの
である。
【0014】請求項3の発明では、木質材料をその内部
から誘電加熱して注入液を硬化させるために、請求項1
又は2の構成において木質材料中の注入液を硬化させる
際、上記木質材料に対して高周波を連続に又は間欠的に
発振して該木質材料を誘電加熱する構成を付加するもの
である。
【0015】請求項4の発明は、木質材料を誘電加熱し
て木質材料中心部の水分を表面部に移動させると共に木
質材料を減圧下で加熱板によって加熱することにより、
木質材料中の水分を効率的に木質材料から蒸散させるも
のである。
【0016】具体的に請求項4の発明が講じた解決手段
は、木質材料を密閉容器内においてその表裏面から加熱
媒体が流通可能な加熱媒体流通路を有する加熱板で挟持
した後、上記密閉容器内を減圧状態にし上記加熱媒体流
通路に上記木質材料中の水分を揮散させ得る温度の加熱
媒体を流通せしめ且つ上記木質材料に対して高周波を連
続に又は間欠的に発振して上記木質材料を乾燥させる構
成とするものである。請求項5の発明では、木質材料を
その表裏面から挟持した加熱板で加熱する際、木質材料
に対する加熱条件を変更可能にすることにより、木質材
料の変形を招くことなく該木質材料を改質或いは乾燥さ
せるものである。
【0017】具体的に請求項5の発明が講じた解決手段
は、木質材料の加熱処理装置を、加熱媒体が流通可能な
加熱媒体流通路を有し木質材料をその表裏面から挟持す
る複数の加熱板と、上記木質材料を挟持した複数の加熱
板を収納する密閉容器と、該密閉容器内を減圧状態にさ
せる減圧手段と、上記密閉容器外に設けられ供給管を介
して上記加熱媒体流通路に異なった温度の加熱媒体を選
択的に供給する加熱温度が調節可能な加熱媒体供給手段
とを備えている構成とするものである。
【0018】また、請求項6の発明は、請求項1記載の
発明を確実且つ簡易に実施するため、木質材料の加熱処
理装置を、加熱媒体が流通可能な加熱媒体流通路を有し
合成樹脂液などの注入液が注入された木質材料をその表
裏面から挟持する複数の加熱板と、上記木質材料を挟持
した複数の加熱板を収納する密閉容器と、該密閉容器内
を減圧状態にさせる減圧手段と、上記加熱媒体流通路に
上記注入液の溶媒を揮散させ得る温度の溶媒揮散用加熱
媒体を供給する溶媒揮散用加熱媒体供給手段と、上記加
熱媒体流通路に上記注入液を硬化させ得る温度の注入液
硬化用加熱媒体を供給する注入液硬化用加熱媒体供給手
段と、上記加熱媒体流通路に上記溶媒揮散用加熱媒体又
は上記注入液硬化用加熱媒体が選択的に供給されるよう
に上記溶媒揮散用加熱媒体供給手段及び注入液硬化用加
熱媒体供給手段を制御する制御手段とを備えているを備
えている構成とするものである。
【0019】また、請求項7の発明は、木質材料を誘電
加熱して木質材料中心部の液体を表面部に移動させると
共に木質材料を減圧下で加熱板によって加熱することに
より、木質材料中の液体を効率的に木質材料から蒸散さ
せるものであって、請求項5又は6の構成に、複数の加
熱板に挟持された木質材料に対して高周波を発振して該
木質材料を誘電加熱する高周波発振手段を備えている構
成を付加するものである。
【0020】また、請求項8の発明は、木質材料を誘電
加熱して木質材料中心部の液体を表面部に移動させると
共に、加熱板により木質材料を加熱して木質材料表面部
の液体をスムーズに蒸発させるものである。
【0021】具体的に請求項8の発明が講じた解決手段
は、木質材料の加熱処理装置を、加熱媒体が流通可能な
加熱媒体流通路を有し木質材料をその表裏面から挟持す
る複数の加熱板と、上記木質材料を挟持した複数の加熱
板を収納する密閉容器と、該密閉容器内を減圧状態にさ
せる減圧手段と、上記加熱媒体流通路に加熱媒体を供給
する加熱媒体供給手段と、上記複数の加熱板に挟持され
た木質材料に対して高周波を発振して該木質材料を誘電
加熱する高周波発振手段とを備えている構成とするもの
である。
【0022】さらに、請求項9の発明は、木質材料を挟
持した加熱板同士、木質材料と加熱板及び加熱板間の木
質材料を複数積層した場合には木質材料同士を密着させ
て木質材料の暴れを防止するために、請求項7又は8の
構成に、上記木質材料を挟持した複数の加熱板をその表
裏方向から圧締する圧締手段を備えている構成を付加す
るものである。
【0023】
【作用】請求項1の構成により、密閉容器内を減圧状態
にすると共に加熱媒体流通路に注入液の溶媒を揮散させ
得る温度の溶媒揮散用加熱媒体を流通せしめると、木質
材料中の注入液は昇温した加熱板により溶媒が揮散する
温度に減圧状態下で加熱されるので、注入液中の溶媒が
スムーズに木質材料から揮散し、溶媒の残存率は低減す
る。
【0024】次に、加熱媒体流通路に溶媒揮散用加熱媒
体よりも高温で且つ注入液を硬化させ得る温度の注入液
硬化用加熱媒体を流通せしめると、木質材料は注入液硬
化用加熱媒体により加熱された加熱板に挟持されている
ため、木質材料中の注入液は溶媒揮散用加熱媒体よりも
高温で且つ注入液を硬化させ得る温度に加熱されるので
注入液は確実に硬化する。この場合、木質材料はその表
裏面から徐々に或いは段階的に加熱板によって加熱され
るため、加熱ムラがなくなり木質材料は均一に加熱され
るので、硬化不良部分が発生し難い。また、木質材料は
その表裏面から加熱板によって挟持された状態で加熱さ
れるので反りや曲がり等の変形が生じ難い。
【0025】また、注入液の溶媒が可燃性を有する場合
であっても、木質材料は加熱媒体流通路を流通する加熱
媒体を介して加熱されるために、注入液の硬化処理時に
火災が生じたり溶媒が爆発したりする虞れはない。
【0026】さらに、加熱板の加熱媒体流通路に供給さ
れる加熱媒体の温度を変化させることにより、溶媒の揮
散工程と注入液の硬化工程を連続して行なうことができ
るので、木質材料の加熱処理をスムーズに行なうことが
可能になる。
【0027】請求項2の構成により、木質材料中の注入
液から溶媒を揮散させる際、木質材料に対して高周波を
連続に又は間欠的に発振して該木質材料を加熱するた
め、木質材料は高周波によりその内部から加熱されるの
で溶媒は木質材料の中央部から表面部に移動すると共
に、加熱板による加熱により木質材料の表面部から効率
的且つスムーズに揮散する。この場合、木質材料中の溶
媒を木質材料中の溶媒の含有率傾斜に伴って木質材料内
から外部へ排出させることが、木質材料に割れ、反り、
捩じれ等の変形を生じさせないために最も望ましい。こ
のためには、加熱板の温度、減圧度及び高周波の強さ等
を加減することによって、特にスムーズに溶媒を揮散さ
せることができる。
【0028】請求項3の構成により、木質材料中の注入
液を硬化させる際、木質材料に対して高周波を連続に又
は間欠的に発振して該木質材料を加熱するため、木質材
料は高周波によりその内部から加熱されるので、注入液
は木質材料の中央部から表面部にかけて均一に硬化して
いく。このため、木質材料の中央部に残存する溶媒の蒸
気圧によって発生する爆裂が防止される。
【0029】請求項4の構成により、木質材料を、減圧
状態下で、木質材料中の水分を揮散させ得る温度の加熱
媒体により昇温された加熱板で加熱すると共に、高周波
を連続に又は間欠的に発振して誘電加熱することにより
乾燥させるため、木質材料を誘電加熱して木質材料中心
部の水分を表面部に速やかに移動させることができると
共に加熱板による加熱により木質材料の表面部に移動し
た水分を、木質材料に割れ、反り等の変形を生じさせず
に特にスムーズに蒸散させることができる。
【0030】請求項5の構成により、木質材料をその表
裏面から挟持した加熱板で加熱する際、木質材料を減圧
状態下におくと共に加熱板に異なった温度の加熱媒体を
選択的に供給することができるので、木質材料の材質や
厚さ及び木質材料中の液体の種類や蒸発温度等に応じた
最適の条件で木質材料を加熱処理できるので、木質材料
の変形を招くことなく該木質材料を改質又は乾燥させる
ことができる。
【0031】請求項6の構成により、加熱媒体が流通可
能な加熱媒体流通路を有し木質材料をその表裏面から挟
持する複数の加熱板と、木質材料を挟持した複数の加熱
板を収納した密閉容器内を減圧状態にさせる減圧手段
と、加熱媒体流通路に溶媒揮散用加熱媒体を供給する溶
媒揮散用加熱媒体供給手段とを備えているために、密閉
容器内を減圧状態にすると共に加熱媒体流通路に溶媒揮
散用加熱媒体を流通せしめることによって注入液中の溶
媒をスムーズ且つ効率的に木質材料から揮散させること
ができ、木質材料に割れ、反り等の変形を生じることな
く、溶媒の残存率を低減することができる。
【0032】また、加熱媒体流通路に溶媒揮散用加熱媒
体よりも高温で注入液を硬化させ得る温度の注入液硬化
用加熱媒体を流通せしめる注入液硬化用加熱媒体供給手
段を備えているため、木質材料をその表裏面から加熱板
によって加熱できる。このため、加熱ムラがなくなり木
質材料は均一に加熱されるので硬化不良部分が発生し難
いと共に、木質材料をその表裏面から加熱板によって挟
持した状態で加熱することができるので木質材料に反り
や曲がり等の変形が生じ難い。
【0033】さらに、加熱媒体流通路に溶媒揮散用加熱
媒体又は注入液硬化用加熱媒体が選択的に供給されるよ
うに溶媒揮散用加熱媒体供給手段及び溶媒硬化用加熱媒
体供給手段を制御する制御手段を備えているために、加
熱媒体流通路に溶媒揮散用及び注入液硬化用の異なった
加熱媒体を連続して供給することにより、溶媒の揮散工
程と注入液の硬化工程とを連続して行なうことができる
ので、木質材料の加熱処理をスムーズ且つ速やかに行な
うことが可能になる。
【0034】請求項7の構成により、複数の加熱板に挟
持された木質材料に対して高周波を発振して該木質材料
を誘電加熱する高周波発振手段を備えているため、木質
材料を誘電加熱して木質材料中心部の液体を表面部に速
やかに移動させることができると共に、木質材料の表面
部を加熱板によって加熱することにより木質材料表面部
に移動した液体を、木質材料に割れ、反り等の変形を生
じずに特にスムーズに蒸散させることができるという効
果を奏する。この場合、加熱板は加熱媒体流通路を流通
する加熱媒体を介して加熱されるので、高周波発振手段
から高周波が発振されても、加熱板が高周波によって損
傷を受けることはない。
【0035】請求項8の構成により、複数の加熱板に挟
持された木質材料に対して高周波を発振して該木質材料
を誘電加熱する高周波発振手段を備えているため、木質
材料を誘電加熱して木質材料中心部の液体を表面部に移
動させることができる。また、加熱媒体が流通可能な加
熱媒体流通路を有し木質材料をその表裏面から挟持する
複数の加熱板と、密閉容器内を減圧状態にさせる減圧手
段とを備えているため、木質材料を加熱板により減圧下
で加熱することにより、木質材料の表面部に移動した液
体を上記と同様にスムーズに蒸散させることができる。
【0036】また、木質材料はその表裏面から加熱板に
よって挟持された状態で高周波発振手段により誘電加熱
されるので、木質材料は、高周波発振手段によって誘電
加熱されるにも拘らず、反りや歪み等の変形が一層生じ
ない。
【0037】さらに、加熱板は、加熱媒体供給手段によ
り供給され加熱媒体流通路を流通する加熱媒体を介して
供給されるので、高周波発振手段から高周波が発振され
ても、加熱板が高周波によって損傷を受けることはな
い。
【0038】請求項9の構成により、木質材料を挟持し
た複数の加熱板をその表裏方向から圧締する圧締手段を
備えているため、木質材料と加熱板との間及び木質材料
間には隙間ができないので、木質材料の反り、捩じれ等
の変形は一層抑制される。
【0039】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0040】図1は本発明の一実施例である木質材料の
加熱処理装置の全体構成を示し、同図において、1は前
後方向(図1の左右方向)へ延びる筒状の密閉容器であ
って、該密閉容器1の後端部(図1の右側)は密閉用鏡
板1aによって覆われている。密閉容器1の前端部(図
1の左側)は、前後方向へ移動自在な移動台車2の上に
設置された鏡板よりなる蓋体3によって開閉自在であ
る。
【0041】密閉容器1の内底部には前後方向へ延びる
案内レール4が敷設されており、該案内レール4の上に
は載置台車5が前後方向へ移動自在に配置されている。
載置台車5の前端部は図示しない連結具によって蓋体3
に連結されており、設置台車5は蓋体3の開閉に連動し
て前後方向へ移動する。
【0042】載置台車5の前端部の上面には加熱媒体ヘ
ッダー6が立設されており、密閉容器1の外部適所には
加熱媒体供給装置としての加熱媒体タンク7が配置され
ている。加熱媒体タンク7の加熱媒体供給側は、循環ポ
ンプ8を有する加熱媒体供給路9により加熱媒体ヘッダ
ー6の媒体導入部6aに接続され、加熱媒体タンク7の
加熱媒体帰還側は、加熱媒体帰還路10により加熱媒体
ヘッダー6の媒体流出部6bに接続されている。以上説
明した加熱媒体タンク7、循環ポンプ8及び加熱媒体供
給路9によって溶媒揮散用加熱媒体供給手段及び又は注
入液硬化用加熱媒体供給手段が各々構成されている。
【0043】密閉容器1の上部中央には圧締手段11が
配設されており、該圧締手段11は、密閉容器1の上面
中央部に固定された油圧シリンダ12と、密閉容器1の
内部上方に配置された水平押圧板13とからなる。水平
押圧板13の上面は密閉容器1の上壁面を気密状態で貫
通した油圧シリンダ12のロッドの先端に固定されてお
り、水平押圧板13は油圧シリンダ12の作動に伴って
上下動可能である。
【0044】載置台車5の上には、加熱板14によって
サンドイッチ状に挟持された複数枚の木質材料aが載置
されており、加熱板14及び木質材料aは下降した水平
押圧板13と載置台車5によって挟持される。
【0045】尚、圧締手段11としては、上記構造のも
のに限られず、クランプ等のように、積層された木質材
料aを載置台車5に対して押圧して木質材料aが加熱処
理中に変形するのを防止できる構造のものであればよ
い。
【0046】加熱板14は、図2及び図3に示すよう
に、熱伝導性が良いアルミニウム板等の金属板により中
空状に形成されており、加熱板14の中空部内には、蛇
行状態に屈曲して配置された銅パイプ等よりなる加熱媒
体流通路15が設けられている。加熱媒体流通路15の
上流端及び下流端は、ポリ四フッ化エチレン(商品名:
テフロン)等の絶縁材料よりなる可撓性接続管16を介
して、加熱媒体ヘッダー6に各々着脱可能に接続されて
いる。
【0047】密閉容器1の外部適所には減圧手段として
の真空ポンプ17が配設されており、該真空ポンプ17
の吸引側は吸引管18を介して密閉容器1の内部に連通
している。吸引管18の途中には熱交換器19が設けら
れており、該熱交換器19には凝縮液タンク20と冷却
器21とが各々配管を介して接続されている。
【0048】また、密閉容器1の外部適所には高周波発
振装置22が配設されている。上記加熱板14は木質材
料aに高周波電界を加えるための電極板を兼ねており、
図4に示すように、最も上の加熱板14a及び最も下の
加熱板14bは導線23により高周波発振装置22の−
極に接続され、中央の加熱板14cは導線23により高
周波発振装置22の+極に接続されている。尚、上記各
加熱板14a,14b,14c以外の加熱板14はフリ
ー極板にされている。
【0049】以下、上記木質材料の加熱処理装置を用い
て厚さが比較的大きい平板状の木質材料aを加熱処理す
る方法について説明する。
【0050】まず、製材品、合板、LVL、単板等の適
宜な木質材料aに、防腐剤、防虫剤、難燃剤等の薬剤、
又は合成樹脂液等よりなる注入液を注入した後、該木質
材料aをその上下に配置された加熱板14によって挟持
した状態で載置台車5の上に順次載置する。この作業は
次のようにして行なうことができる。すなわち、密閉容
器1の蓋体3を前方へ開放することにより、載置台車5
を案内レール4に沿って密閉容器1の外へ引き出してお
く。次に、載置台車5の上に最も下側に配置される加熱
板14bを載置し、該加熱板14bの上に木質材料aと
他の加熱板14とを交互に積層して積層体を形成した
後、各加熱板14の加熱媒体流通路15の上流端及び下
流端を加熱媒体ヘッダー6に可撓性接続管16を介して
各々接続する。次に、蓋体3を後方へ移動させて積層体
を載置せしめた載置台車1を密閉容器1の内部に収納し
た後、密閉容器1の側部に設けられたサイドドア(図示
はしていない)を開放して、その開口部から高周波発振
装置22の導線23を極板となる加熱板14a,14
b,14cに接続する。
【0051】その後、油圧シリンダ12を作動させて水
平押圧板13を下降させることにより、密閉容器1内に
収納された、木質材料a及び加熱板14よりなる積層体
を水平押圧板13と載置台車5とによって挟持する。
【0052】その後、真空ポンプ17を作動させて密閉
容器1の内部を100トール以下、好ましくは30〜6
0トールに減圧すると共に、加熱媒体タンク7内で30
〜60℃にまで加熱された温水を、循環ポンプ8を作動
させて加熱媒体供給路9から加熱媒体ヘッダー6を通じ
て各加熱板14内の加熱媒体流通路15に供給、循環さ
せる。
【0053】尚、上記の場合においては、加熱媒体タン
ク7内で水を常温から所望温度の温水、さらには100
℃を超える蒸気にまで連続的に昇降可能に制御し、これ
らを循環ポンプ8により供給するように構成している
が、これに代えて、常温から高温の温水を加熱媒体タン
ク7から加熱媒体ヘッダー6に供給し、蒸気を別の管路
から加熱媒体ヘッダー6に供給するように構成してもよ
い。この場合には、温水と蒸気との切替えを制御する必
要がある。
【0054】上記のように、密閉容器1内を所望の圧力
にまで減圧すると共に、30〜60℃の温水の流通によ
って加熱板14を30〜60℃に保持すると、木質材料
a内に注入した注入液の溶媒が徐々に密閉容器1内に揮
散し、揮散した溶媒は、密閉容器1から吸引管18を通
じて熱交換器19に導入された後、該熱交換器19によ
って液化されて凝縮タンク20内に回収される。このよ
うな溶媒揮散処理を、木質材料aの種類、材厚、溶媒を
含む注入液の種類に応じて減圧度や加熱板14の温度を
変化させた加熱スケジュールに従って、溶媒が所望程度
例えば10〜30%の含有率になるまで行なう。
【0055】このように木質材料a内の溶媒の揮散を、
低温域における減圧によって行なわせるので、可燃性の
溶媒であっても引火の虞れはない。
【0056】上述した注入液の溶媒を揮散させる際に高
周波発振装置22を作動させることにより、加熱板14
による加熱に加えて、電極としての加熱板14a,14
b,14cによる高周波加熱を行なうことは好ましい。
その理由は以下の通りである。上記温度範囲の加熱板1
4による木質材料aに対する加熱のみでは、木質材料a
の繊維飽和点以下まで溶媒揮散が進行すると溶媒の揮散
速度が遅くなり、溶媒の揮散に時間が掛かる上に十分な
揮散を行えない虞れがある。ところが、上記のように加
熱板14による加熱に加えて高周波加熱を行なうと、木
質材料aの内部温度が表面部温度よりも高くなると共に
溶媒の多い部分が他の部分よりも発熱し易くなる。この
ため、内部の溶媒含有率が高く且つ溶媒の含有分布にバ
ラツキが生じやすい厚い木質材料においては、溶媒の揮
散を平均化でき、溶媒を円滑且つ迅速に揮散させること
ができる。
【0057】上記のように、低温域における木質材料a
内の溶媒揮散処理工程を適宜時間行なった後、減圧下又
は常圧下で、加熱板14を昇温して木質材料a内に注入
された注入液の硬化処理工程に移る。
【0058】溶媒揮散処理工程と注入液硬化処理工程と
は連続的に行われるが、注入液硬化処理工程において
も、溶媒揮散時と同様に、注入液の加熱温度、減圧程度
及び昇温速度を、木質材料a内に注入した注入液の種類
或いは材厚等に応じて、温度調節計やプログラムコント
ローラ等により適宜制御する。
【0059】この注入液の硬化処理は、加熱媒体タンク
7内の温水、又は該温水を蒸気化した水蒸気や別の管路
からの水蒸気を加熱媒体として使用することができる。
このようにして高温の加熱媒体を加熱媒体ヘッダー6か
ら各加熱板14内の加熱媒体流通路15に供給、流通さ
せると、加熱板14を注入液の硬化に必要な温度に一気
に上昇させることができる。
【0060】加熱媒体を温水から水蒸気に切り替える場
合には、配管や媒体通路中に残存している温水を加熱媒
体帰還路10を通じて加熱媒体タンク7に帰還させたり
又は適宜なドレイン通路を通じて排出する。この場合、
上記の切り替え操作、水蒸気の蒸気圧、供給量及び供給
時間等は制御装置によって自動的に行われる。水蒸気に
より100℃以上に加熱された加熱板14によって、木
質材料aはその表裏面から全面的に且つ均一に加熱され
るので、内部の注入液は硬化不良部分を生じることなく
硬化する。
【0061】木質材料aを所定時間加熱して注入液を硬
化させた後、木質材料aを密閉容器1内で自然放冷させ
るか、又は、加熱板14内に流通させる加熱媒体を水蒸
気から温水に切り替えて加熱板14の温度を木質材料a
に悪影響を与えない程度に徐々に降下させて強制冷却を
行なう。その後、木質材料aを密閉容器1内から引き出
し、加熱板14同士の間から取り出す。
【0062】尚、100℃以下の硬化条件に調製された
注入液を木質材料aに注入する場合には、水蒸気に代え
て温水による加熱を行なうのは当然である。
【0063】また、上記のような注入液の硬化処理工程
においても、密閉容器1の内部を所望の減圧下に保持
し、木質材料a中に残存している溶媒その他の揮散成分
を密閉容器1の外へ強制排除することが好ましいが、こ
れに代えて、密閉容器1の内部を常圧にし、加熱媒体に
よる木質材料a中の注入液の硬化処理を行なってもよ
く、硬化処理を行なった後に密閉容器1内を減圧して揮
散成分の除去を行なってもよい。
【0064】また、注入液の硬化処理工程において、溶
媒揮散処理工程と同様に、加熱媒体による加熱板14か
らの加熱に加えて、高周波発振装置22を作動させて木
質材料aの内部を高周波加熱してもよい。加熱板14
は、従来のような電熱線による加熱ではなく、加熱媒体
流通路15を流通する加熱媒体による加熱であるから、
高周波発振装置22を作動させても加熱媒体は悪い影響
を受けない。この場合、高周波加熱による温度制御は温
度調節計によってコントロールされる。また、木質材料
aの加熱スケジュールに従って、加熱媒体による加熱板
14のみによる加熱と、加熱媒体及び高周波の併用によ
る加熱とを選択することができるのは、溶媒揮散工程も
注入液の硬化処理工程も同様である。
【0065】また、加熱板14内の加熱媒体流通路15
に流通させる加熱媒体としては、上述した温水及び水蒸
気以外に、エチレングリコールやプロピレングリコー
ル、シリコンオイル等を用いてもよいが、温水を用いる
方がコスト及び取扱易さの点で有利である。
【0066】さらに、上記実施例においては、木質材料
a内に注入された合成樹脂液等の注入液を硬化する場合
について説明したが、本発明に係る木質材料の加熱処理
方法及び加熱処理装置は、注入液の硬化処理に限られ
ず、木質材料a内の水分を蒸散させて該木質材料aを乾
燥させる場合にも用いることができる。
【0067】この場合には、真空ポンプ17を作動させ
て密閉容器1の内部を例えば30〜60トールに減圧
し、加熱媒体タンク7内で30〜60℃にまで加熱され
た温水を、循環ポンプ8を作動させて加熱媒体供給路9
から加熱媒体ヘッダー6を通じて各加熱板14内の加熱
媒体流通路15に供給、循環させ、且つ高周波発振装置
22を作動させることにより、木質材料aを乾燥させる
ことが好ましい。
【0068】以下、本発明の具体例について説明する。
【0069】<具体例1>まず、処理材として、厚さ:
27mm、幅:100mm、長さ:1.8mのベイツガ製材
品を準備し、該処理材に注入液としての脱水縮合型樹脂
水溶液(フェノール樹脂)を常温にて注入し、次に、樹
脂水溶液が注入された2枚の製材品を重ね合わせた状態
で加熱板14同士の間に配置して密閉容器1内に収納し
た。
【0070】その後、各加熱板14に可撓性接続管16
を接続すると共に、高周波の−電極と+電極に相当する
加熱板14に高周波発振装置22の導線23を接続し
た。次に、加熱板14に可撓性接続管16を通じて温水
を供給、循環させて、減圧度:50トール、加熱板14
の温度:約45℃の条件下で減圧加熱処理を行なうと共
に高周波を間欠的に発振した。
【0071】その後、含水率が30%程度になるまで処
理材の乾燥が進んだときに、温水の温度を段階的に上げ
て加熱板14の温度を上昇させると共に加熱板14の温
度に応じて減圧度の調整を行ないながら、さらに処理材
を乾燥させた。この際にも、高周波を間欠的に発振し
た。
【0072】その後、含水率が10%程度になるまで処
理材の乾燥が進んだときに、加熱媒体を温水から水蒸気
に切り替え、加熱板14を段階的に昇温させた。そし
て、処理材の温度が所定温度(140℃)に達したとき
に処理材を該設定温度下で所定時間(3時間)保持して
合成樹脂水溶液を硬化させた。
【0073】その後、加熱処理を停止し、徐冷して処理
材の温度を降下させ、密閉容器1内を常圧に戻して改質
木材を得た。
【0074】<具体例2>まず、処理材として、厚さ:
27mm、幅:100mm、長さ:1.8mのベイツガ製材
品を準備し、該処理材に、脱水縮合型フェノール樹脂水
溶液(固形分濃度10%):100重量部と、硬化剤と
してのパラトルエンスルホン酸:0.5重量部とからな
る樹脂水溶液を常温にて注入した。次に、樹脂水溶液が
注入された2枚の製材品を重ね合わせた状態で加熱板1
4同士の間に配置して密閉容器1内に収納した。
【0075】その後、各加熱板14に可撓性接続管16
を接続すると共に、高周波の−電極と+電極に相当する
加熱板14に高周波発振装置22の導線23を接続し
た。次に、加熱板14に可撓性接続管16を通じて温水
を供給、循環させて、減圧度:50トール、加熱板14
の温度:約45℃の条件下で減圧乾燥を5日間行なうと
共に、高周波を間欠的に発振した。
【0076】その後、含水率が30%程度になるまで処
理材の乾燥が進んだときに、温水の温度を約45から約
90℃へと段階的に上げて加熱板14の温度を上昇させ
た。そして、処理材を合成樹脂液の硬化に十分な温度下
(80〜90℃)で約1日間保持して樹脂水溶液を硬化
させた。
【0077】その後、加熱処理を停止し、徐冷して処理
材の温度を降下させ、密閉容器1内を常圧に戻して改質
木材を得た。
【0078】<具体例3>上記具体例1の同様の条件で
樹脂水溶液の注入を行なったベイツガ製材品を、高周波
を発振することなく、他の処理条件を具体例1と同様に
設定して加熱処理を行ない改質木材を得た。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
係る木質材料の加熱処理方法によると、密閉容器内を減
圧状態にした状態で加熱媒体流通路に溶媒揮散用加熱媒
体を流通せしめて注入液中の溶媒を減圧下で加熱してス
ムーズ且つ効率的に揮散させた後、加熱媒体流通路に溶
媒硬化用加熱媒体を流通せしめて注入液を硬化させるた
め、注入液の残存率が低減するので、改質効果が向上す
ると共に注入液の硬化不良部分が発生し難くなる。
【0080】また、木質材料をその表裏面から加熱板で
挟持した状態で該加熱板の加熱媒体流通路に注入液硬化
用加熱媒体を流通せしめて注入液を硬化させるので、加
熱ムラがなくなり木質材料が均一に加熱され硬化不良部
分が発生し難いと共に反りや曲がり等の変形が生じ難
い。
【0081】さらに、注入液の溶媒が可燃性を有する場
合であっても、木質材料は加熱媒体流通路を流通する加
熱媒体を介して加熱されるので、注入液の硬化処理時に
火災が生じたり溶媒が爆発したりする虞れはない。
【0082】請求項2の発明に係る木質材料の加熱処理
方法によると、木質材料に対して高周波を発振しながら
注入液の溶媒を揮散させるため、溶媒は木質材料の中央
部から表面部に移動した後、表面部からスムーズに揮散
するので、改質効果が一層向上すると共に注入液の硬化
不良部分が一層発生し難くなる。
【0083】請求項3の発明に係る木質材料の加熱処理
方法によると、木質材料に対して高周波を発振しながら
注入液を硬化させるため、注入液は木質材料の中央部か
ら表面部にかけて均一に硬化していくので、木質材料の
中央部に残存する溶媒の蒸気圧によって発生する爆裂が
防止される。
【0084】請求項4の発明に係る木質材料の加熱処理
方法によると、木質材料を、減圧状態下で、木質材料中
の水分を揮散させ得る温度の加熱媒体により昇温された
加熱板により加熱すると共に、高周波を連続に又は間欠
的に発振して誘電加熱することにより乾燥させるため、
誘電加熱により木質材料を誘電加熱して木質材料中心部
の水分を表面部に速やかに移動させることができると共
に加熱板による加熱により木質材料の表面部に移動した
水分を、木質材料に割れ、反り等の変形を生じさせるこ
となく特にスムーズに蒸散させることができる。
【0085】請求項5の発明に係る木質材料の加熱処理
装置によると、加熱板の加熱媒体流通路に供給管を介し
て異なった温度の加熱媒体を選択的に供給する加熱媒体
供給手段と、加熱板を収納する密閉容器内を減圧状態に
させる減圧手段とを備えているため、木質材料を加熱板
で加熱する際、木質材料を減圧状態下におくと共に加熱
板に異なった温度の加熱媒体を選択的に供給することが
できるので、木質材料の材質や厚さ、及び木質材料中の
注入液或いは水分の種類や蒸発温度等に応じた最適の条
件で木質材料を加熱処理できるので、木質材料の変形を
招くことなく該木質材料を改質或いは乾燥させることが
できる。
【0086】請求項6の発明に係る木質材料の加熱処理
装置によると、木質材料を挟持した加熱板を収納した密
閉容器内を減圧状態にさせる減圧手段と、加熱板の加熱
媒体流通路に溶媒揮散用加熱媒体を供給する溶媒揮散用
加熱媒体供給手段とを備えているため、木質材料内の注
入液を減圧下で加熱することができるので、溶媒の残存
率が低減し、改質効果が向上すると共に注入液の硬化不
良部分が発生し難くなる。
【0087】また、加熱板の加熱媒体流通路に注入液硬
化用加熱媒体を供給する溶媒硬化用加熱媒体供給手段を
備えているため、木質材料をその表裏面から加熱板によ
って加熱できるので加熱ムラがなくなり木質材料は均一
に加熱されるので硬化不良部分が発生し難いと共に、木
質材料をその表裏面から加熱板によって挟持された状態
で加熱することができるので木質材料に反りや曲がり等
の変形が生じ難い。
【0088】さらに、溶媒揮散用加熱媒体供給手段及び
溶媒硬化用加熱媒体供給手段を制御する制御手段を備え
ているために、加熱媒体流通路に溶媒揮散用加熱媒体及
び注入液硬化用加熱媒体を連続的に供給することがで
き、溶媒の揮散工程と注入液の硬化工程とを連続して行
なうことができるので、木質材料の加熱処理をスムーズ
に行なうことが可能になる。
【0089】請求項7の発明に係る木質材料の加熱処理
装置によると、高周波を発振して木質材料を誘電加熱す
る高周波発振手段を備えているため、木質材料を誘電加
熱して木質材料中心部の液体を表面部に速やかに移動さ
せることができると共に、木質材料の表面部を加熱板に
よって加熱することにより木質材料表面部に移動した液
体を木質材料に割れ、反り等の変形を生じずにスムーズ
に蒸散させることができるので、木質材料の乾燥処理又
は木質材料内の注入液の硬化処理を効率良く行なうこと
ができる。
【0090】請求項8の発明に係る木質材料の加熱処理
装置によると、加熱媒体が流通可能な加熱媒体流通路を
有し木質材料をその表裏面から挟持する複数の加熱板
と、木質材料を誘電加熱する高周波発振手段と、密閉容
器内を減圧状態にさせる減圧手段とを備えているため、
木質材料を誘電加熱して木質材料中心部の液体を速やか
に表面部に移動させた後、表面部から蒸散させることが
できるので、木質材料中心部の液体を上記と同様にスム
ーズに蒸散させることができる。
【0091】また、木質材料はその表裏面から加熱板に
よって挟持された状態で高周波発振手段により誘電加熱
されるので、木質材料は、高周波発振手段によって誘電
加熱されるにも拘らず、反りや歪み等の変形が生じな
い。
【0092】さらに、加熱板は、加熱媒体供給手段によ
り供給され加熱媒体流通路を流通する加熱媒体を介して
供給されるので、高周波発振手段から高周波が発振され
ても、加熱板が高周波によって損傷を受けることはな
い。
【0093】従って、請求項8の発明によると、木質材
料に反りや歪み等の変形を生じさせず且つ加熱手段を損
なうことなく、木質材料をスムーズに加熱処理すること
ができる。
【0094】請求項9の発明に係る木質材料の加熱処理
装置によると、木質材料を挟持した複数の加熱板をその
表裏方向から圧締する圧締手段を備えているため、木質
材料と加熱板との間、加熱板間及び木質材料間には隙間
ができず、木質材料の反り、捩じれ等の変形が一層防止
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に一実施例に係る木質材料の加熱処理装
置の全体構成図である。
【図2】上記木質材料の加熱処理装置における加熱板の
斜視図である。
【図3】上記木質材料の加熱処理装置における加熱板の
平面図である。
【図4】上記木質材料の加熱装置における密閉容器の概
略縱断正面図である。
【符号の説明】
a…木質材料 1…密閉容器 7…加熱媒体タンク 8…循環ポンプ 9…加熱媒体供給路 14…加熱板 15…加熱媒体流通路 17…真空ポンプ(減圧手段) 22…高周波発振装置(高周波発振手段)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂液などの注入液が注入された木
    質材料を密閉容器内においてその表裏面から加熱媒体が
    流通可能な加熱媒体流通路を有する加熱板で挟持した
    後、上記密閉容器内を減圧状態にすると共に上記加熱媒
    体流通路に上記注入液の溶媒を揮散させ得る温度の溶媒
    揮散用加熱媒体を流通せしめて、上記木質材料中の注入
    液から溶媒を揮散させ、次に、上記加熱媒体流通路に上
    記溶媒揮散用加熱媒体よりも高温で且つ上記注入液を硬
    化させ得る温度の注入液硬化用加熱媒体を流通せしめて
    上記木質材料中の注入液を硬化させることを特徴とする
    木質材料の加熱処理方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において上記木質材料中の注入
    液から溶媒を揮散させる際、上記木質材料に対して高周
    波を連続に又は間欠的に発振して該木質材料を誘電加熱
    することを特徴とする木質材料の加熱処理方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において上記木質材料中
    の注入液を硬化させる際、上記木質材料に対して高周波
    を連続に又は間欠的に発振して該木質材料を誘電加熱す
    ることを特徴とする木質材料の加熱処理方法。
  4. 【請求項4】 木質材料を密閉容器内においてその表裏
    面から加熱媒体が流通可能な加熱媒体流通路を有する加
    熱板で挟持した後、上記密閉容器内を減圧状態にし上記
    加熱媒体流通路に上記木質材料中の水分を揮散させ得る
    温度の加熱媒体を流通せしめ且つ上記木質材料に対して
    高周波を連続に又は間欠的に発振して上記木質材料を乾
    燥させることを特徴とする木質材料の加熱処理方法。
  5. 【請求項5】 加熱媒体が流通可能な加熱媒体流通路を
    有し木質材料をその表裏面から挟持する複数の加熱板
    と、上記木質材料を挟持した複数の加熱板を収納する密
    閉容器と、該密閉容器内を減圧状態にさせる減圧手段
    と、上記密閉容器外に設けられ供給管を介して上記加熱
    媒体流通路に異なった温度の加熱媒体を選択的に供給す
    る加熱温度が調節可能な加熱媒体供給手段とを備えてい
    ることを特徴とする加熱処理装置。
  6. 【請求項6】 加熱媒体が流通可能な加熱媒体流通路を
    有し合成樹脂液などの注入液が注入された木質材料をそ
    の表裏面から挟持する複数の加熱板と、上記木質材料を
    挟持した複数の加熱板を収納する密閉容器と、該密閉容
    器内を減圧状態にさせる減圧手段と、上記加熱媒体流通
    路に上記注入液の溶媒を揮散させ得る温度の溶媒揮散用
    加熱媒体を供給する溶媒揮散用加熱媒体供給手段と、上
    記加熱媒体流通路に上記溶媒揮散用加熱媒体よりも高温
    で且つ上記注入液を硬化させ得る温度の注入液硬化用加
    熱媒体を供給する注入液硬化用加熱媒体供給手段と、上
    記加熱媒体流通路に上記溶媒揮散用加熱媒体又は上記注
    入液硬化用加熱媒体が選択的に供給されるように上記溶
    媒揮散用加熱媒体供給手段及び注入液硬化用加熱媒体供
    給手段を制御する制御手段とを備えていることを特徴と
    する木質材料の加熱処理装置。
  7. 【請求項7】 上記複数の加熱板に挟持された木質材料
    に対して高周波を発振して該木質材料を誘電加熱する高
    周波発振手段を備えていることを特徴とする請求項5又
    は6記載の木質材料の加熱処理装置。
  8. 【請求項8】 加熱媒体が流通可能な加熱媒体流通路を
    有し木質材料をその表裏面から挟持する複数の加熱板
    と、上記木質材料を挟持した複数の加熱板を収納する密
    閉容器と、該密閉容器内を減圧状態にさせる減圧手段
    と、上記加熱媒体流通路に加熱媒体を供給する加熱媒体
    供給手段と、上記複数の加熱板に挟持された木質材料に
    対して高周波を発振して該木質材料を誘電加熱する高周
    波発振手段とを備えていることを特徴とする木質材料の
    加熱処理装置。
  9. 【請求項9】 上記木質材料を挟持した複数の加熱板を
    その表裏方向から圧締する圧締手段を備えていることを
    特徴とする請求項7又は8記載の木質材料の加熱処理装
    置。
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