JP2014124023A - モータ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】q軸電流指令値生成部44は、電機子電流指令値Ia *を、q軸電流指令値iq *として設定する。d軸電流指令値設定部43は、d軸電流指令値Id *を零に設定する。座標変換用回転角設定部55は、座標変換部51,56において、座標変換に用いられる座標変換用回転角δを設定する。具体的には、座標変換用回転角設定部55は、電動モータ18を回転させるべき方向が第1方向である場合には、δ=θ−(90−β)に基づいて、座標変換用回転角δを設定する。一方、電動モータ18を回転させるべき方向が第2方向である場合には、座標変換用回転角設定部55は、δ=θ+(90−β)に基づいて、座標変換用回転角δを設定する。
【選択図】図2
Description
iq=Ia・sinβ …(1)
id=Ia・cosβ …(2)
Iaは、回転磁界をつくるための電流ベクトルの大きさ(電機子電流)である。βは電流位相角であり、回転磁界をつくるための電流ベクトル(電機子電流ベクトル)とd軸との位相差である。
T=Pn・(Ld−Lq)・id・iq
=1/2{Pn・(Ld−Lq)・Ia 2sin2β} …(3)
式(3)からわかるように、SynRMにおいては、ブラシレスモータと異なり、電流指令値Ia *の極性を反転してもトルクの方向は逆にならない。したがって、SynRMにおいては、電流指令値Ia *の極性を変えても、回転方向を反転させることができない。一方、SynRMにおいては、式(3)からわかるように、式(3)内のβを−βに置き換えることによって、回転方向を反転させることができる。
T=Pn・ψa・iq …(4)
ここで、ψaは電機子鎖交磁束であり、iqはq軸電流である。
ブラシレスモータでは、ロータのトルク発生に寄与するのは、q軸電流iqおよびd軸電流idのうちのq軸電流iqのみであるので、一般的には、d軸電流指令値id *が零に設定され、q軸電流指令値iq *が有意値に設定される。
請求項2記載の発明は、前記電流位相角演算手段は、前記電流検出手段によって検出される検出電流に基づいて、電流位相角を演算するように構成されている、請求項1に記載のモータ制御装置である。
図1は、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置が適用された電動パワーステアリング装置の概略構成を示す模式図である。
電動パワーステアリング装置1は、車両を操向するための操舵部材としてのステアリングホイール2と、このステアリングホイール2の回転に連動して転舵輪3を転舵する転舵機構4と、運転者の操舵を補助するための操舵補助機構5とを備えている。ステアリングホイール2と転舵機構4とは、ステアリングシャフト6および中間軸7を介して機械的に連結されている。
転舵機構4は、ピニオン軸13と、転舵軸としてのラック軸14とを含むラックアンドピニオン機構からなる。ラック軸14の各端部には、タイロッド15およびナックルアーム(図示略)を介して転舵輪3が連結されている。ピニオン軸13は、中間軸7に連結されている。ピニオン軸13は、ステアリングホイール2の操舵に連動して回転するようになっている。ピニオン軸13の先端には、ピニオン16が連結されている。
操舵補助機構5は、操舵補助用の電動モータ18と、電動モータ18の出力トルクを転舵機構4に伝達するための減速機構19とを含む。電動モータ18は、この実施形態では、シンクロナスリラクタンスモータ(SynRM)からなる。減速機構19は、ウォーム軸20と、このウォーム軸20と噛み合うウォームホイール21とを含むウォームギヤ機構からなる。減速機構19は、伝達機構ハウジングとしてのギヤハウジング22内に収容されている。
電動モータ18によってウォーム軸20が回転駆動されると、ウォームホイール21が回転駆動され、ステアリングシャフト6が回転する。そして、ステアリングシャフト6の回転は、中間軸7を介してピニオン軸13に伝達される。ピニオン軸13の回転は、ラック軸14の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪3が転舵される。すなわち、電動モータ18によってウォーム軸20を回転駆動することによって、転舵輪3が転舵されるようになっている。
図2は、ECU12の電気的構成を示す概略図である。
ECU12は、トルクセンサ11によって検出される操舵トルクThに応じて電動モータ18を駆動することによって、操舵状況に応じた適切な操舵補助を実現する。
図3において、Iaは、回転磁界をつくるための電流ベクトル(電機子電流ベクトル)である。βは電流位相角であり、電機子電流ベクトルIaとd軸との位相差である。
電流検出部33は、電動モータ18の各相のステータ巻線に流れる相電流iU,iV,iW(以下、総称するときには「三相検出電流iU,iV,iW」という)を検出する。これらは、UVW座標系における各座標軸方向の電流値である。
q軸電流指令値生成部44は、電流指令値設定部41から与えられた電機子電流指令値Ia *を、q軸電流指令値iq *として設定する。つまり、電流指令値設定部41によって設定された電機子電流指令値Ia *がq軸電流指令値iq *となる。d軸電流指令値設定部43は、d軸電流指令値Id *を設定する。d軸電流指令値Id *は、零に設定される。つまり、q軸電流指令値iq *が有意値とされ、d軸電流指令値Id *が零とされる。q軸電流指令値iq *は、d軸電流指令値id *およびq軸電流指令値iq *を総称して、「二相指示電流id *,iq *」という場合がある。
電流位相角演算部54は、電流検出部33によって検出された三相検出電流iU,iV,iWに基づいて、電流位相角β(電気角)[deg]を演算する。電流位相角演算部54の動作の詳細については、後述する。電流位相角演算部54によって演算された電流位相角βは、座標変換用回転角設定部55に与えられる。
d軸電流偏差演算部45は、d軸電流指令値id *に対するd軸電流idの偏差を演算する。d軸電流偏差演算部45によって演算された電流偏差は、d軸PI制御部47に与えられて、PI演算処理を受ける。d軸指示電圧生成部49は、d軸PI制御部47の演算結果に応じて、d軸指示電圧vd *を生成する。
駆動回路32は、U相、V相およびW相に対応した三相インバータ回路からなる。このインバータ回路を構成するパワー素子がPWM制御部52から与えられるPWM制御信号によって制御されることにより、三相指示電圧vU *,vV *,vW *に相当する電圧が電動モータ18の各相のステータ巻線に印加されることになる。
次に電流位相角演算部54の動作について詳しく説明する。電流位相角演算部54は、電流検出部33によって検出された三相検出電流iU,iV,iWから演算される電機子電流Iaと、予め設定された電流位相角演算式とに基づいて、電機子電流Iaに対してモータトルクが最大値に近い値となる電流位相角β(電気角)[deg]を演算する。
電動モータ18を高効率で駆動するためには、電機子電流に対するモータトルクの比が大きくなるように電動モータ18を制御すればよい。
T=Pn・(Ld−Lq)・id・iq …(5)
Ldはd軸インダクタンス[H]であり、Lqはq軸インダクタンス[H]である。また、idはd軸電流[A]であり、iqはq軸電流[A]である。
T=(1/2)・Pn・(Ld−Lq)・Ia 2sin2β …(6)
したがって、d軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqが電流位相角βによって変動しなければ、電流位相角βが45[deg]のときにモータトルクTは最大となる。しかしながら、SynRMでは、d軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqがロータコアの磁気飽和の影響を受けて変動するため、モータトルクTは電流位相角βが45[deg]のときに必ずしも最大にならない。
図5は、複数の電機子電流Ia毎に取得した電流位相角βに対するモータトルクTの特性データの一例を示すグラフである。図5の特性データは、前記非特許文献1に掲載のデータを転用したものである。図5では、横軸に電流位相角βをとり、縦軸にモータトルクTをとり、各電機子電流Iaの電流位相角βに対するモータトルクTの特性を、それぞれ曲線で表している。
Iamaxは、電機子電流Iaの最大値(電流指令値Ia *の最大値)であり、この例では、Iamax=50[A]である。βmaxは、電機子電流Iaが最大値Iamaxである場合に、モータトルクTが最大値となる電流位相角βであり、この例では、βmax=66[deg]であるとする。βminは、電機子電流Iaが最小値(零)である場合に、モータトルクTが最大値となる電流位相角βであり、この例では、βmin=45[deg]であるとする。
β=(21/50)・Ia+45 …(8)
式(8)が、電機子電流Iaから電流位相角βを演算するための演算式(電流位相角演算式)となる。
電流位相角演算部54には、前述のようにして求められた電流位相角演算式(例えば前記式(8))が予め設定されている。電流位相角演算部54は、座標変換部56から得られたq軸電流iqを電機子電流Iaとし、予め設定されている電流位相角演算式と電機子電流Iaとに基づいて、電流指令値Iaに対してモータトルクが最大値に近い値となる電流位相角βを演算する。
δ=θ−(90−β) …(9)
一方、電流指令値Ia *が零未満の値である場合には、つまり電動モータ18を回転させるべき方向が逆転方向である場合には、座標変換用回転角設定部55は、次式(10)に基づいて、座標変換用回転角δを設定する。
このように、電動モータ18を回転させるべき方向に応じて、座標変換用回転角δが{θ−(90−β)}または{θ+(90−β)}に設定されることにより、電動モータ18をそれを回転させるべき方向に回転駆動することができる。
以下、この理由について説明する。以下において、演算式Id *=Ia *cosβおよび演算式Iq *=Ia *sinβに基づいてd軸電流指令値Id *およびq軸電流指令値Iq *を設定するとともに、dq座標系とUVW座標系との間の座標変換をロータ回転角θを用いて行うような制御方法を基本制御方法ということにする。基本制御方法においては、SynRMの回転方向を反転させる場合には、電流指令値Ia *の極性を変えずに、βが−βに置き換えられる。
次に、二相/三相座標変換部および三相/二相座標変換部は基本制御方法と同様に回転角演算部によって演算されたロータ回転角θをそのまま用いて座標変換を行うが、d軸電流指令値id *を零に設定し、q軸電流指令値iq *を図7Aの電流指令値Ia *(>0)と同じ値に設定する場合を想定する。この場合には、d軸電流成分idが0となりかつq軸電流成分iqがIa *に等しくなるように電流制御が行われるので、電機子電流ベクトルIaは図7Bに示すようになる。このような制御では、電機子電流ベクトルIaを、図7Aに示すような本来発生させるべき角度(方向)に発生させることができない。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。前述の実施形態では、電流位相角演算部54は、電流検出部33によって検出された検出電流から演算された電機子電流Ia(この実施形態ではq軸電流iq)と、予め設定された電流位相角演算式(例えば式(8)参照)とに基づいて、電機子電流Iaに対してモータトルクが最大値に近い値となる電流位相角βを演算している。しかし、電流位相角演算部54は、前記電流位相角演算式によって表される電機子電流Iaと電流位相角βとの関係を記憶したマップと、電流検出部33によって検出された検出電流から演算された電機子電流Iaとに基づいて、電機子電流Iaに対してモータトルクが最大値に近い値となる電流位相角βを演算してもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
Claims (2)
- U相、V相およびW相のステータ巻線を有するステータと複数の突極部を有するロータとを備えたシンクロナスリラクタンスモータを制御するモータ制御装置であって、
前記モータの回転角を検出する回転角検出手段と、
前記モータの各ステータ巻線に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段によって検出される三相の検出電流をdq座標系の二相検出電流に変換するための三相/二相座標変換手段と、
前記モータの電流位相角を演算する電流位相角演算手段と、
前記モータの電流指令値を設定する電流指令値設定手段と、
前記電流指令値設定手段によって設定された電流指令値に基づいて、dq座標系の二相指示電流値を演算する二相指示電流演算手段と、
前記二相指示電流演算手段によって演算された二相指示電流値と、前記三相/二相座標変換手段によって得られた二相検出電流とに基づいて、dq座標系の二相指示電圧を演算する電流フィードバック手段と、
前記電流フィードバック手段によって演算された二相指示電圧を、UVW座標系の三相指示電圧に変換するための二相/三相座標変換手段と、
前記三相/二相座標変換手段および前記二相/三相座標変換手段において、座標変換のために用いられる座標変換用回転角を設定する座標変換用回転角設定手段とを含み、
前記電流指令値設定手段は、d軸電流指令値を零に設定し、q軸電流指令値を有意値に設定するように構成されており、
前記回転角検出手段によって検出される回転角をθとし、前記電流位相角演算手段によって演算される電流位相角をβ(≧0)とすると、前記座標変換用回転角設定手段は、{θ−(90−β)}および{θ+(90−β)}のうちから、前記モータを回転させるべき方向に応じた回転角を選択して設定するように構成されている、モータ制御装置。 - 前記電流位相角演算手段は、前記電流検出手段によって検出される検出電流に基づいて、電流位相角を演算するように構成されている、請求項1に記載のモータ制御装置。
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