JP2014118732A - 斜面安定化工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
自然斜面に複数のロックボルト1を所定の間隔で設置し、前記ロックボルトの頭部に平面視で略三角形の支圧板3を取り付けこれを締着して斜面の安定を図るに際して、ロックボルトを設置すべき所定の位置に樹木4がある場合に、前記ロックボルトの設置位置は、その頭部に取り付けられる前記支圧板3の略三角形の一辺を前記樹木4と正対する向きで樹木に近接させて配置した際のロックボルト設置位置であり、かつ、前記支圧板をその略三角形の一辺が前記樹木と正対する向きにしてロックボルトの頭部に取り付ける。
【選択図】図1
Description
特許文献1では支圧板として、四角形状の支圧板(特許文献1の図2、図7)とともに、底板が略三角形の角部を切り欠いた形状をなす支圧板(特許文献1の図5)が示されている。特許文献1における支圧板の形状(その底板の輪郭形状)は、本発明の実施例である図3(イ)の支圧板3の形状と略同じである。
このように、特許文献2では、自然斜面における樹木の存在を、落石防止用網について考慮していても、アンカー及び支圧板については特に考慮しておらず、支圧板の向きについてもすべて同じ向きである。
しかし、樹木が自生している自然斜面では、例えば前記基本配列ではロックボルトを設置すべき所定の位置に樹木がある場合がある。図8は本発明の実施例を説明するための図であり、前記ロックボルト1の基本配列の一例を示しているが、例えば図示のようにロックボルト1の基本配列位置ないしその直近に樹木4が自生している場合がある。
その場合、略三角形の支圧板3を採用する場合であれば、従来の配置方法では、詳細は後述する図4(ロ)のようにその支圧板3を一点鎖線で示す円形の支圧板と看做して(すなわち、一律に三角形の中心から頂点方向端までの距離を考慮して)、ロックボルト1の設置位置を、当該ロックボルト1に装着した支圧板3が樹木4に干渉しないような位置にずらす配置をしていた。しかし、本来ロックボルトは基本配列である所定位置に設置するのが望ましいので、樹木のある箇所では、所定位置からずれることは止むを得ないにしても、極力基本配列である所定位置に近づけることが望まれる。
前記ロックボルトの設置位置は、その頭部に取り付けられる前記支圧板の略三角形の一辺を前記樹木と正対する向きで樹木に近接させて配置した際のロックボルト設置位置であり、かつ、前記支圧板をその略三角形の一辺が前記樹木と正対する向きにしてロックボルトの頭部に取り付けることを特徴とする。
支圧板の形状が円形の場合は向きを変えても周縁の位置は変らないし、支圧板の形状が四角形の場合は、その辺を樹木に対向させることで、対角線方向を樹木と対向させる場合と比べて支圧板中心と樹木との距離を接近させることはできるが、三角形の場合の方が接近させることができる割合として一層接近させることができる。したがって、本発明において、支圧板の形状が略三角形であることが、地盤に支圧力を付与するという支圧板本来の機能を発揮しつつ、ロックボルトを極力樹木に接近させるという本発明の目的に適合している。
したがって、ロックボルトの基本配列である所定位置と実際の設置位置とのずれ量を少なくできる本発明によれば、斜面傾斜方向の上下のロックボルト間を連結するワイヤロープの斜面傾斜方向に対する傾き角度を極力小さくすることができ、ワイヤロープのロックボルト引き留め作用を極力損なわないようにできる。
本発明は自然斜面を対象として、極力樹木を伐採せずに斜面安定化を図ることを可能にする斜面安定化工法である。この実施例の斜面安定化工法は、図1、図2に示すように、自然斜面に多数のロックボルト1を、一辺が斜面傾斜方向Xをなす三角形の頂点に位置するような三角形配置で設置するとともに、各ロックボルト1の頭部に支圧板3を取り付けこれを締着して地盤に対する支圧力を与え、次いで三角形配置の各3本のロックボルト1間を1本のワイヤロープ2で連結する工法である。ロックボルト(以下、場合により単にアンカーと略す)1は滑り発生の恐れのある表層地盤の下にある堅固な地盤10の一定深さまで挿入する。なお、前記斜面傾斜方向Xとは、単に斜面の上側あるいは下側というのでなく、斜面の傾斜(勾配)の方向を指す。
図示例の支圧板3は鋼製であり、図3に示すように、アンカー1を通す中心穴5aのある概ね三角形状の底板5の中央部に円筒6を垂直に固定し、底板5の三方に補強リブ7を固定した構造である。補強リブ7にはワイヤロープ2を通すワイヤロープ挿通穴7aをあけている。支圧板3の円筒6をアンカー1の頭部に被せ、座金8を置いてナット9をアンカー1の頭部のネジ部に螺合させ締め付けて、地盤に対する支圧力を与える。
しかし、樹木が自生している自然斜面では、前記基本配列にて施工したアンカー1を設置すべき所定の位置に樹木4がある場合がある。例えば前記図8において、実施例としてアンカーの基本配列位置ないしその直近に自生している8本の樹木4を符号4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G、4Hを示す。
本来アンカーは基本配列である所定位置に設置するのが望ましいので、樹木が直近にある前記アンカー1も、所定位置からずらすことは止むを得ないにしても、本発明では極力基本配列である所定位置に近づけるように設置する。
図1に示した実施例において、前記図8のアンカー基本配列の位置又はその直近にある樹木4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G、4Hを避けて設置したアンカー1をそれぞれ1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1Hで示す。
従来の設置方法は図4(ロ)の通りであり、支圧板3の向きは特に考慮していなかった。すなわち、考え方としては、2点鎖線で示す支圧板3を、その向きは考慮せずに1点鎖線で示す仮想円形と看做して(すなわち、一律に三角形の中心から頂点方向端までの距離を考慮して)樹木4に対向させ、その状態でアンカー1及び支圧板3を樹木4側に移動させ、仮想円形(仮想支圧板3)が樹木4と干渉しない、実線で示すような近接位置をアンカー1の設置位置としていた。
図4(イ)と(ロ)とを比較すると明らかな通り、(イ)の本発明の場合のアンカー位置(支圧板中心位置)と樹木との距離mは、従来方法の場合のアンカー位置と樹木との距離m’より十分短い。すなわち、アンカー1を極力樹木に近接させることが可能となる。
図5(イ)は図4(イ)で説明したものであり、図1におけるアンカー1Dの位置の例を示す。この例では、樹木4Dがアンカー基本配列位置(星印の位置)と重なっており、アンカー1Dをその基本配列位置から右にずらし、支圧板3は約θ=30°右回転(時計回り方向に回転)させている。
図5(ロ)は、図1におけるアンカー1Eの位置の例を示す。この例では、樹木4Eがアンカー基本配列位置のやや右斜め上側に接する位置にあり、アンカー1Eをその基本配列位置から左側で若干上側にずらし、支圧板3は約33°左回転(反時計回り方向に回転)させている。
図5(ハ)は、図1におけるアンカー1Bの位置の例を示す。この例では、樹木4Bがアンカー基本配列位置の左斜め下側に接する位置にあり、アンカー1Bをその基本配列位置から右斜め上側にずらし、支圧板3は約20°左回転させている。
図5(ニ)は、図1におけるアンカー1Cの位置の例を示す。この例では、樹木4がアンカー基本配列位置の僅かに右の下側の位置にあり、アンカー1Cをその基本配列位置から左斜め上側にずらし、支圧板は約16°右回転させている。
図5(ホ)は、図1におけるアンカー1Hの位置の例を示す。この例では、樹木4Hがアンカー基本配列位置の右斜め上側の位置にあり、アンカー1Hの位置は基本配列位置のままであり、支圧板3を約35°右回転させている。
図6(イ)は図1におけるアンカー1Dの場合であるが、その周囲の6本のアンカー1のいずれも位置をずらさずに、ワイヤロープ2と樹木4Dとの干渉を回避できる。アンカー1Hも同様に、周囲の6本のアンカー1の位置をずらさずに回避できる。
しかし、図1において、アンカー1A、1B、1C、1E、1F、1Gは、ワイヤロープ2が樹木4と干渉しないようにするために、その周囲の6本のアンカーの一部についてアンカー基本配列位置からをずらしている。
例えば図6(ロ)は図1のアンカー1Eの場合であり、ワイヤロープ2の樹木4Eとの干渉を避けるために、周囲の6本のうち1本のアンカー1’の位置をずらしている。
例えば図6(ハ)は図1のアンカー1Gの場合であり、ワイヤロープ2の樹木4Gとの干渉を避けるために、周囲の6本のうち2本のアンカー1’の位置をずらしている。
例えば図7のような樹木4の自生態様では、その3本の樹木4を囲む4本のアンカー1のすべてについて、樹木4との干渉なしに、隣接する6方向のアンカー1とワイヤロープ2で連結することは困難である。このような場合には、図示のように、上下に隣接するアンカー1間のワイヤロープ2の連結を省くことも可能である。その場合、必要に応じて何らかの補強構造を施すとよい。
なお、本発明は、斜面に自生する樹木を極力伐採せずに斜面の崩壊を防止することを可能にする斜面安定化工法を対象とするが、樹木を伐採する場合を除外するものではない。
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H (樹木と干渉する)ロックボルト
2 ワイヤロープ
3 支圧板
3a 略三角形の支圧板の辺(=略三角形の底板5の辺)
4(4A,4B,4C,4D,4E,4F,4G,4H) 樹木
5 底板
5a 中心穴
6 円筒
7 補強リブ
7a ワイヤロープ挿通穴
8 座金
9 ナット
Claims (4)
- 自然斜面に複数のロックボルトを所定の間隔で設置し、前記ロックボルトの頭部に平面視で略三角形の支圧板を取り付けこれを締着して斜面の安定を図るに際して、ロックボルトを設置すべき所定の位置に樹木がある場合に、当該ロックボルトを、樹木を避けて所定位置の近くに設置することを可能とする斜面安定化工法であって、
前記ロックボルトの設置位置は、その頭部に取り付けられる前記支圧板の略三角形の一辺を前記樹木と正対する向きで樹木に近接させて配置した際のロックボルト設置位置であり、かつ、前記支圧板をその略三角形の一辺が前記樹木と正対する向きにしてロックボルトの頭部に取り付けることを特徴とする斜面安定化工法。 - 前記支圧板はその略三角形を構成する辺が三角形の中心側に凹んだ凹湾曲辺であることを特徴とする請求項1記載の斜面安定化工法。
- 前記複数のロックボルトの頭部がワイヤロープで連結されることを特徴とする請求項1又は2記載の斜面安定化工法。
- 複数のロックボルトを、一辺が斜面傾斜方向をなす三角形の頂点に位置するような三角形配列で間隔をあけて自然斜面に設置するとともに、各ロックボルトに支圧板を取り付け、これを締着して地盤に支圧力を与え、その後に前記ロックボルト間を、少なくとも前記斜面傾斜方向の上下のロックボルト間の連結がなされるようにワイヤロープで連結する斜面安定化工法に適用されるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の斜面安定化工法。
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