JP4356855B2 - 斜面安定化工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の列をなしてそれぞれ斜面の上部から下部に向かって間隔をあけて設置したアンカーの頭部間を頭部連結部材で連結し、かつ各アンカーに支圧板を取り付けて、これを締着して地盤に対する支圧力を与える斜面安定化工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、斜面の崩壊を防ぐための工法として、図10に示すように、斜面の上部から下部に向かって間隔をあけてアンカー1を打設し、このアンカー1の頭部間にワイヤロープ等の頭部連結部材2を連結し、かつ、各アンカー1に支圧板(図示略)を取り付けて、これを締着して地盤に対する支圧力を与える斜面安定化工法が知られている。この斜面安定化工法によれば、アンカー1のせん断抵抗力や支圧板による支圧力とともに、斜面移動時にアンカー1が変形する際には、頭部連結部材2がアンカー1を引留める引き留め効果を奏して、斜面の崩壊を抑止ないし軽減する。
【0003】
ところで、斜面の崩壊を防ぐための法枠工法その他の従来の斜面安定化工法では、斜面崩壊の恐れのある領域内だけに安定化施工をする、という設計思想が一般的であるが、上記のアンカー1、頭部連結部材2、支圧板による斜面安定化工法でも、従来は、図10に示した通り、アンカー1は、斜面崩壊の恐れがあると判断される領域(斜面が崩壊する際の推定すべり線aを破線で示す)S1内にのみ打設されていた。
【0004】
また、斜面の天端(すなわち、斜面崩壊の恐れのない領域)にコンクリート等による固定構造物を設置し、斜面に打設した上下方向のアンカーの頭部間を連結するワイヤロープ等の連結部材をさらに上部に延長して前記固定構造物に連結し、連結部材の引留め効果を前記固定構造物だけで負担するものもある(特開昭56−9527号参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図10に示した斜面安定化工法は、樹木を伐採することなく施工できるので、自然斜面の斜面安定化工法として優れているが、地盤の状態によっては、斜面崩壊の抑止ないし軽減の効果が不充分である場合も考えられる。この場合、斜面崩壊の恐れのある領域内だけに安定化施工をするという従来の設計思想では、アンカー1の本数を増やす、各アンカー1の剛性を高める、アンカー1を更に深く打設する等の対策が考えられるが、地形等によっては、施工費の増大に見合うほどの十分高い効果が得られない場合もある。
また、前記特開昭56−9527号のように、斜面の天端ないし斜面崩壊の恐れのない領域にコンクリート構造物等の固定構造物を設置し、これに頭部連結部材2を連結することが考えらえるが、コンクリート構造物等の固定構造物を設置する方法では、樹木を伐採せざるを得なくなり、自然斜面を保護する工法として好ましくない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、樹木伐採を必要とすることなく、斜面崩壊の抑止ないし軽減の効果を増大させることを可能にして、自然斜面に好適な斜面安定化工法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は、複数の列をなしてそれぞれ斜面の上部から下部に向かって間隔をあけて設置したアンカーの頭部間を頭部連結部材で連結するともに斜め方向に隣接するアンカーの頭部間を補助頭部連結部材で連結し、かつ各アンカーに支圧板を取り付けて、これを締着して地盤に対する支圧力を与える斜面安定化工法において、
斜面の地盤条件から斜面崩壊の恐れのある下記(イ)または(ロ)または(ハ)の領域に、第1のアンカー、支圧板、頭部連結部材、補助頭部連結部材による上記の斜面安定化工法を施工するとともに、前記斜面崩壊の恐れのある領域より上部に、前記斜面崩壊の恐れのある領域内のアンカー列および頭部連結部材が斜面上部側に延長される態様で、複数本の第2のアンカーを上下方向に間隔をあけて設置し、かつ前記上下方向の複数本の第2のアンカーの頭部間を頭部連結部材で連結するともに斜め方向に隣接する第2のアンカーの頭部間を補助頭部連結部材で連結し、かつ各第2のアンカーに支圧板を取り付けて、これを締着して地盤に対する支圧力を与えることを特徴とする。
(イ)斜面が崩壊する際の推定すべり線aが明確に認められる場合におけるそのすべり線aが存在する領域。
(ロ)曲線断面の地形におけるその曲線の変極点から下部の領域。
(ハ)土質その他の要因で、斜面全体の中の一部分について斜面崩壊の恐れがあると判断される領域。
【0009】
請求項2は、請求項1の斜面安定化工法において、アンカーの配列を、隣接する左右のアンカーどうしが互いに上下にずれた千鳥状の配列としたことを特徴とする。
【0010】
請求項3は、請求項2の斜面安定化工法において、アンカーの頭部間を連結する頭部連結部材と補助頭部連結部材とが三角形状をなすことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図9を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態の斜面安定化工法を施工した斜面の断面を模式的に示すもので、(イ)は斜面崩壊前、(ロ)は斜面崩壊後の状態を示す。図2は図1の斜面の要部の拡大平面図である。これらの図に示すように、この実施形態の斜面安定化工法では、多数のアンカー(後述する第1のアンカー1および第2のアンカー1’)を、複数の列をなすようにそれぞれ斜面の上部から下部に向かって間隔をあけて設置し、これら上下に並ぶアンカー1(1’)の頭部間を頭部連結部材2で連結するとともに斜め方向に隣接するアンカー1(1’)の頭部間を補助頭部連結部材4で連結し、かつ各アンカー1(1’)の頭部に支圧板3を取り付けるとともに、この支圧板3を締着して地盤に対する支圧力を与える。この実施形態のアンカー1(1’)の配列は、横方向に隣接するアンカー1(1’)どうしが上下にずれた千鳥状をなして、近接する3本のアンカー1(1’)が三角形を形成するような配列である。
【0012】
上記の通り、外観的には従来と同じ要領で施工できるが、本発明では、斜面の地盤条件から斜面崩壊の恐れのある下記(イ)または(ロ)または(ハ)の領域S1において、上記の通り、第1のアンカー1、支圧板3、頭部連結部材2、補助頭部連結部材4による斜面安定化工法を施工するとともに、前記斜面崩壊の恐れのある領域S1より上部S2(すなわち斜面崩壊の恐れのない領域)に、前記斜面崩壊の恐れのある領域S1内の第1のアンカー1の列および頭部連結部材2が斜面上部側に延長される態様で、複数本の第2のアンカー1'を上下方向に間隔をあけて設置し、かつ前記上下方向の複数本の第2のアンカー1'の頭部間を頭部連結部材2で連結するともに斜め方向に隣接する第2のアンカーの頭部間を補助頭部連結部材で連結し、かつ各第2のアンカー1'に支圧板3を取り付けて、これを締着して地盤に対する支圧力を与える。
(イ)斜面が崩壊する際の推定すべり線aが明確に認められる場合におけるそのすべり線aが存在する領域。
(ロ)曲線断面の地形におけるその曲線の変極点から下部の領域。
(ハ)土質その他の要因で、斜面全体の中の一部分について斜面崩壊の恐れがあると判断される領域。
なお、図示例では、斜面崩壊の恐れのある領域S1の上部S2に配置する第2のアンカー1'を、(1)〜(7)(なお図面では丸付き数字)で示すように7本としている。また、上下方向のアンカー1(1’)の全体を1本の頭部連結部材2で連結している。図1(イ)に斜面崩壊の際の推定すべり線aを破線で示し、これが図1(ロ)の実際のすべり線aになるとする。
【0013】
上記の“斜面の地盤条件から斜面崩壊の恐れのある領域”とされる斜面には、種々の場合が考えられる。例えば、地形からみて斜面崩壊の恐れがある場合がある。すなわち、単なる平坦斜面(斜面全体の断面が直線である斜面)では、地形から見て斜面全体の一部について斜面崩壊の恐れがあると判断されることはないが、図1のような曲線断面の地形では、近年の斜面崩壊原因の研究によれば、その曲線の変極点(図1(イ)では推定すべり線aの上端位置近傍)から下部の領域(すなわちS1)が斜面崩壊の恐れがある領域であるとされている。また、地形要因に限らず、土質その他の要因で、斜面全体の中の一部分について斜面崩壊の恐れがあると判断される場合がある。ただし、本発明では、段落番号[0012]で述べた(イ)または(ロ)または(ハ)の場合とする。
【0014】
斜面崩壊の恐れのある領域S1より上部S2に設置する第2のアンカー1'部分の構造自体は、斜面崩壊の恐れのある領域S1に設置する第1のアンカー1部分の構造と基本的に同じであり、作業としては、上述の通り第2のアンカー1'部分と第1のアンカー1部分とを区分けせずにまとめて施工することができる。すなわち、斜面崩壊の恐れのある領域S1とその上部S2の全体をまとめて施工することができる。
本発明の斜面安定化工法の具体的な作業手順の一例を、実施形態の各部の詳細構造を示す図3、図4も参照して説明すると、まず、斜面崩壊の恐れのある領域S1とその上部S2の全領域について、斜面の上部(図1で右上:図2で上方)から下部に向かって長い複数本の頭部連結部材2を横方向(図2で左右方向)に間隔をあけて配置する。次いで、前記頭部連結部材2に沿う上下方向の適宜の間隔でアンカー1(1’)を設置する。設置するアンカーは、斜面崩壊の恐れのない上部S2では第2のアンカー1'となり、斜面崩壊の恐れのある領域S1では第1のアンカー1となる。実施形態のアンカー1(1’)は、ねじを形成したいわゆるロックボルトである。
次いで、各アンカー1(1’)の地表直下の外周に、上端に鍔5aを持つ短い筒状体5を被せる。前記筒状体5には、頭部連結部材2を連結するための連結部材7を取り付けている。この連結部材7は、筒状体5への取り付け部8と、この取り付け部8と一体に設けた、直線状に伸びる頭部連結部材2を把持する把持部9とからなる。前記取り付け部8は、一対のバンド8aで筒状体5の外周を抱きボルト8bを締め付けることで、筒状体5に固定される。前記把持部9は、筒部内に通した頭部連結部材2を例えばセットボルト9aにより把持する。
【0015】
次いで、支圧板3をアンカー1(1’)の頭部に被せ、筒状体5の鍔5aの上に乗せる。次いで、ワッシャ11を介在させてナット12をアンカー1(1’)のねじ部に螺合させ、締め付ける。これにより、支圧板3はアンカー1(1’)に反力として引張り力を作用させながら沈下し、地盤に対する支圧力を発生する。この時、支圧板3は筒状体5に取り付けられている頭部連結部材2も沈下させるので、頭部連結部材2に、単なる水平方向の張力だけでなく、鉛直方向の張力も作用させ、頭部連結部材2が地面を押し付けて地盤を押える地盤押さえ効果を増大させ、斜面安定化に寄与する。なお、図3は支圧板3が沈下した状態を示す。
【0016】
施工領域全体S1、S2の各アンカー1(1’)について上記の通り支圧板3をセットし強制沈下させた後、図4に詳細を拡大して示すように、各アンカー1(1’)について、斜め方向に隣接する2つのアンカー1(1’)の頭部間を補助頭部連結部材4で連結する。この実施形態では、両端に輪環を形成した補助頭部連結部材4を用いて、隣接する2本のアンカー1(1’)間ごとに1本の補助頭部連結部材4で連結している。
補助頭部連結部材4は、頭部連結部材2のアンカー1(1’)に対する引き留め効果と同様に、アンカー1(1’)に対して引き留め効果を奏するが、斜め方向に隣接するアンカー1(1’)どうしを連結しているので、斜め方向に力を伝え、土塊移動を防ぐ力を分散させる作用をして、斜面安定化に寄与する。
なお、1つのアンカー1(1’)において支圧板3を強制沈下させ、隣接するアンカー1(1’)に補助頭部連結部材4で連結する作業を、順次、斜面全体S1、S2のアンカー1(1’)について繰り返す手順でもよいし、斜面全体S1、S2のアンカー1(1’)について補助頭部連結部材4の連結を行った後に、各アンカー1(1’)の支圧板3を強制沈下させる手順でもよい。
【0017】
次いで、アンカー1(1’)の頭部にキャップ14を被せ、ボルト15を、キャップ14の上面にあけた穴14aの上からアンカー1(1’)の上端面にあけたねじ穴3bにねじ込んで、キャップ14を支圧板3上に固定する。
【0018】
上記のように、斜面崩壊の恐れのある領域S1だけでなく、その上部の斜面崩壊の恐れのない領域S2まで延長して、第2のアンカー1'を打設し、頭部連結部材2で連結し、支圧板3を設置した安定化施工斜面(図1(イ))では、施工後に降雨・地震等によって斜面の一部が崩壊した場合、崩壊後を示す図1(ロ)のように、崩壊土塊20内の第1のアンカー1は、崩壊土塊20の移動に伴って曲げ変形するが、その変形に際して頭部連結部材2がアンカー1を引留める引き留め効果を奏するので、崩壊土塊20の移動量を十分小さくすることができる。
この場合、崩壊土塊20より外(上部S2)にある第2のアンカー1'は、頭部連結部材2の張力を受けて変形するが、頭部連結部材2の荷重変形特性によって、第2のアンカー1'の変形は、図1の実施形態の例では、(1)>(2)>(3)>(4)≒0となり、(5)、(6)、(7)(なお、図面では丸付き数字)の第2のアンカー1'に与える影響は殆どなく、崩壊土塊20の外側にある第2のアンカー1'全体に影響を及ぼすことはない。しかも、頭部連結部材2の荷重変形特性を考慮すると、崩壊の恐れのある領域より最低3〜5段程度打設すればよいことがわかった。
また、上述の実施形態では、上下方向に並ぶアンカー1(1’)どうしを頭部連結部材2で連結するだけでなく、斜め方向に隣接するアンカー1(1’)どうしを補助頭部連結部材4で互いに連結しているので、上述の通り、アンカー1(1’)変形時に頭部連結部材2に生じる引き留め力が補助頭部連結部材4に分散する。このため、斜面崩壊時の斜面移動の影響が上部に及ぶことは少ない。
【0019】
本発明の斜面安定化工法について行なった模型斜面実験について説明すると、図5はその模型斜面であり、ソイルセメントを充填した台箱30の先端を床31にヒンジ32で連結し、台箱30の上面にそれぞれ砂を充填した固定箱33と自由移動箱34とを並べて置き、かつ、上述した本発明の斜面安定化工法と同様にアンカー1(1’)、頭部連結部材2、補助頭部連結部材4、支圧板3を設置し、固定箱33は移動しないように台箱30にボルトで固定し、自由移動箱34はアンカー1等の支持力で矢印方向の移動(崩壊土塊の移動に相当)に抵抗するようにし、クレーンで台箱30の後端を吊り上げて、台箱の角度(斜面の勾配に相当)θを徐々に大きくしていく実験である。自由移動箱34は斜面崩壊の恐れのある領域S1に相当し、固定箱33は斜面崩壊の恐れのない上部S2に相当する。
なお、この模型斜面では、三列のアンカー1(1’)のうちの左側のアンカー列間を連結する頭部連結部材がないが、これは、頭部連結部材2および補助頭部連結部材4の1ユニットとしての作用を検出するためである。
【0020】
図6はこの模型斜面実験の状況を示す図で、台箱30の角度θが50°の時の状態であるが、図示の通り、自由移動箱34が移動(斜面崩壊)した時、固定箱33との境界近傍にひび割れ36が発生するのみで、固定箱33側への影響が極めて少ない。すなわち、斜面崩壊の恐れのある領域の上部S2にまで影響が及ぶことは少ない。
なお、図6の模型斜面は、上下方向に隣接するアンカー1(1’)の頭部間を頭部連結部材2で連結するとともに、斜め方向に隣接するアンカー1(1’)の頭部間を補助頭部連結部材4で連結した場合のものであるが、補助頭部連結部材4の連結を行なわない場合には、ひび割れが固定箱33の上部へも発生した。したがって、斜め方向に隣接するアンカー1(1’)間を補助頭部連結部材4で連結することが、斜面安定化のために望ましいことが分かる。
【0021】
上述の実施形態では、上下に通した1本の頭部連結部材2に、上下方向に隣接する各アンカー1(1')の頭部をそれぞれ固定(図7(イ)参照)しているが、図7(ロ)のように、上下に隣接するアンカー1(1’)間毎に、それぞれ1本の頭部連結部材2を用いて連結してもよい。
【0022】
また、上述の実施形態では、斜め方向に隣接するアンカー1(1’)間毎に、それぞれ1本の補助頭部連結部材4を用いて連結している(図8(イ)参照)が、図8(ロ)のように、斜め方向に隣接する複数本のアンカー1(1’)を、斜め方向に通した1本の補助頭部連結部材4にそれぞれ固定してもよい。また、図8(ハ)に示すように、三角形をなして隣接する3本のアンカー1(1’)間に1本の補助頭部連結部材4を巻き掛ける態様で、斜め方向に隣接するアンカー1(1’)間を連結するものでもよい。この場合、三角形をなす補助頭部連結部材4の縦辺の部分を上下のアンカー1(1’)間を連結する頭部連結部材2として利用することも可能である。
【0023】
また、実施形態の頭部連結部材2や補助頭部連結部材4はワイヤロープ等の線条体(帯状のものも含めて言う)であるが、線条体に代えてまたは線条体とともにネットを用いることもできる。この場合、図9に示すように、頭部連結部材2や補助頭部連結部材4で囲まれる部分にネット37を張る構成とすることが好適であるが、頭部連結部材2や補助頭部連結部材4を設けずに、ネット37自体が頭部連結部材2や補助頭部連結部材4のアンカー頭部連結機能を果たす構成とすることも可能である。
【0025】
【発明の効果】
本発明の斜面安定化工法によれば、斜面の地盤条件から斜面崩壊の恐れのある領域S1に、アンカー、支圧板、頭部連結部材、補助頭部連結部材による斜面安定化工法を施工するだけでなく、斜面崩壊の恐れのある領域S1より上部(すなわち斜面崩壊の恐れのない領域)S2に、斜面崩壊の恐れのある領域S1内のアンカー列および頭部連結部材が斜面上部側に延長される態様で、同様な斜面安定化工法を施工するので、斜面崩壊時の崩壊土塊の移動を極力小さくすることが可能となった。すなわち、斜面崩壊を軽減することでき、斜面安定効果を高めることができた。
そして、コンクリート構造物等の固定構造物を斜面崩壊の恐れのない領域に設置してこれに頭部連結部材を連結するような従来方法と異なり、樹木の伐採の必要は発生せず、自然斜面の斜面安定化工法として好適である。
【0026】
また、斜め方向に隣接するアンカーどうしを補助頭部連結部材で連結していることで、アンカー変形時に頭部連結部材に生じる引き留め力が補助頭部連結部材に分散するので、斜面崩壊時の斜面移動の影響が上部に及ぶことを少なくすることができ、斜面安定効果が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の斜面安定化工法を施工した斜面の断面を模式的に示すもので、(イ)は斜面崩壊前の状態、(ロ)は斜面崩壊後の状態を示す。
【図2】図1(イ)の斜面の要部の拡大平面図である。
【図3】図2のA−A矢視の詳細な拡大断面図である。
【図4】図2における要部の拡大平面図である。
【図5】本発明の斜面安定化工法の効果を確認するために行なった実験の要領を説明する図である。
【図6】図5の実験結果を示す図である。
【図7】上下方向に隣接するアンカーの頭部間を連結する連結部材の連結態様について説明する図である。
【図8】横方向に隣接するアンカーの頭部間を連結する連結部材の連結態様について説明する図である。
【図9】連結部材間にネットを張った実施形態を示す図である。
【図10】従来の斜面安定化工法を説明する図である。
【符号の説明】
1 第1のアンカー
1’ 第2のアンカー
2 頭部連結部材
3 支圧板
4 補助頭部連結部材
S1 斜面崩壊の恐れのある領域
S2 斜面崩壊の恐れのある領域の上部の領域
Claims (3)
- 複数の列をなしてそれぞれ斜面の上部から下部に向かって間隔をあけて設置したアンカーの頭部間を頭部連結部材で連結するともに斜め方向に隣接するアンカーの頭部間を補助頭部連結部材で連結し、かつ各アンカーに支圧板を取り付けて、これを締着して地盤に対する支圧力を与える斜面安定化工法において、
斜面の地盤条件から斜面崩壊の恐れのある下記(イ)または(ロ)または(ハ)の領域に、第1のアンカー、支圧板、頭部連結部材、補助頭部連結部材による上記の斜面安定化工法を施工するとともに、前記斜面崩壊の恐れのある領域より上部に、前記斜面崩壊の恐れのある領域内のアンカー列および頭部連結部材が斜面上部側に延長される態様で、複数本の第2のアンカーを上下方向に間隔をあけて設置し、かつ前記上下方向の複数本の第2のアンカーの頭部間を頭部連結部材で連結するともに斜め方向に隣接する第2のアンカーの頭部間を補助頭部連結部材で連結し、かつ各第2のアンカーに支圧板を取り付けて、これを締着して地盤に対する支圧力を与えることを特徴とする斜面安定化工法。
(イ)斜面が崩壊する際の推定すべり線aが明確に認められる場合におけるそのすべり線aが存在する領域。
(ロ)曲線断面の地形におけるその曲線の変極点から下部の領域。
(ハ)土質その他の要因で、斜面全体の中の一部分について斜面崩壊の恐れがあると判断される領域。 - アンカーの配列を、隣接する左右のアンカーどうしが互いに上下にずれた千鳥状の配列としたことを特徴とする請求項1記載の斜面安定化工法。
- アンカーの頭部間を連結する頭部連結部材と補助頭部連結部材とが三角形状をなすことを特徴とする請求項2記載の斜面安定化工法。
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