JP2014117746A - Sn系めっき鋼板のスポット抵抗溶接前処理方法 - Google Patents

Sn系めっき鋼板のスポット抵抗溶接前処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 難溶接性材料であるSn系めっき鋼板にスポット溶接を実施する時の電極チップの寿命を向上させて、連続打点性能を向上させたSn系めっき鋼板のスポット溶接前処理方法を提供すること。
【解決手段】 スポット抵抗溶接機にCu電極を交換装着したあとに、厚みが1μm〜2mmのNi板をCu電極が当該Ni板に溶着するスポット抵抗溶接条件で1〜5回通電させることを特徴とするSn系めっき鋼板のスポット溶接前処理方法。前記Ni板が、NiまたはNi合金からなることをも特徴としている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、Sn系めっき鋼板のスポット抵抗溶接時において電極を交換した直後に行う前処理方法に関するものである。
Sn系めっき鋼板はその美麗さ、良加工性、高耐食性、良はんだ性から様々な用途で使用されており、最近では、燃料タンク本体のPbフリー素材としても活用されている。しかしながら、Sn系めっき鋼板はCu系合金を基材とした電極を使う抵抗溶接(スポット抵抗溶接)の連続操業性は一般に劣る難溶接性材料とされている。
Sn系めっき鋼板が難溶接性材料である理由は、Snと抵抗溶接電極の基材であるCuがSn−Cu合金(青銅)を極めて生成し易いためである。Sn−Cu合金自体は比較的脆いため、電極表面に生成したSn−Cu合金が、スポット抵抗溶接の打点毎に欠損し、連続打点性が著しく低下することになる。更にはSnの融点が232℃であることから分かるように、純Snを含めたSn系合金の融点は一般に低く、スポット抵抗溶接のような抵抗溶接において、めっき層と電極界面の温度はSn系めっき層が溶融するまでになるため、上記合金化はより加速度的に進行する。
一般に産業用のスポット抵抗溶接機では、その電極チップに銅合金、例えば、Cr−Cuを使用したものが多い。Cr−Cuを電極に用いているのは、電気伝導度、高温強度、耐摩耗性等を考慮したためであり、一つの電極チップによりスポット抵抗溶接が可能な打点数は冷延鋼板を使用した場合には5000打点程度である。
しかし、実際にはスポット抵抗溶接の品質を維持するため、上記の限界打点数に達しないうちに電極チップの交換やドレッシング(電極先端の研削)をしているのが現状である。これは同じ電極チップによってスポット抵抗溶接を繰返し実行していると、電極チップ先端部が溶損等によって徐々に摩耗し、スポット抵抗溶接の品質低下が生じるので、これを回避するためである。また、自動車メーカのボデー組立工程等で使用されるロボット式のスポット抵抗溶接機は、例えば、一時間に200〜400打点程度のスポット抵抗溶接を実行するため、その電極チップの交換も頻繁に行なう必要があるが、省力化の観点から、この交換作業をロボット等により自動交換するようにしている。
しかしながら、電極チップ交換中にはラインを停止しなければならないことになるため、これが自動組立工程上のネックとなっている。スポット抵抗溶接機を同じ場所に2台設置し、交替でいずれか一方の溶接機を使用すれば、電極交換によるラインの停止は回避できるが、設備コストは単純にいえば2倍になるという難点がある。また、電極チップドレッシング中も同様にラインを停止する必要があるため、ドレッシングの頻度が高まれば高まるほど、生産性の低下につながる。
従来技術として、スポット抵抗溶接用の電極に関する技術を開示したものとして、特許文献1〜4等がある。即ち、特許文献1はCr−Cu製電極の製造方法に関するもの、特許文献2はアルミナ分散銅電極のアルミナの分布を規定したもの、特許文献3、4は電極の組成を規定したものである。後者2つの特許文献には、Al板を溶接する際に良好な特性を示す旨が記述されているが、Al板の溶融温度が600℃程度であるのに対してめっき鋼板を溶接する際の鋼板の溶融温度は1500℃以上で、電極の熱負荷という意味ではめっき鋼板の方が遥かに大きい。従って従来の開示技術からはSn系めっき鋼板のような難溶接性材料の溶接は極めて困難であった。
また、Niを電極に含有させてスポット抵抗溶接性を向上させる技術を開示したものとして、特許文献5〜8等がある。特許文献5はNiめっきを電極表面に施し、Zn系めっき鋼板を溶接するときにZn−Fe系の合金層を電極表面に生成させる技術である。しかしながら、Niめっきを電極表面に施した場合、電極チップドレッシング時にNiめっき層も研削してしまうため、繰り返しの使用に適さない。特許文献6、7には電極にNiを含有させて電極の機械強度上昇させる技術が記載されているが、Ni含有により電極基材の固有抵抗が上昇するために、溶接時の電極の熱負荷が大きくなるためにSn系めっき鋼板には十分ではない。特許文献8にはNiを電極表面に形成し、Zn系めっき鋼板の溶接時に溶着を抑制させる技術が記載されている。これらの開示技術でもSn系めっき鋼板のような難溶接性材料の溶接に着眼したものではなく、溶接性向上には十分ではなかった。特許文献9では、鋼板より電位的に卑な金属(亜鉛)を被覆した材料を溶接する方法として融点が高くかつ通電性を有する金属からなる箔状を挟みながら溶接する方法が提案されているが、コストも掛かり、作業性も悪くなるため実操業への適用は難しい。Sn系めっき鋼板の場合では銅、真鍮、鉄、ステンレス、銀などはSnと合金層を形成して非溶接材と溶着するため、Sn系めっき鋼板への適用は困難である。さらに、特許文献10では、Sn系めっき鋼板の連続打点性を高めるために、Ni板を電極/鋼板間に挟みながら溶接する方法が提案されているが、常にNi板を挟んでの溶接の場合は、打点毎にCu−Ni合金が生成してNi含有量が増加するとNiの高電気抵抗や低熱伝導率の影響で、逆に発熱量が大きくなり打点数への効果は十分ではない。
Sn系めっき鋼板のような難溶接性材料に対応した電極としては電極組織に着目した文献としては、特許文献11があるが、生産性の観点から更なるスポット抵抗溶接の連続打点性の向上は望まれている。
特開平2−263956号公報 特開平5−77061号公報 特開平7−314153号公報 特開平7−290255号公報 特開昭60−187482号公報 特開平2−166249号公報 特開平3−97818号公報 特開平4−28484号公報 特開平5−31586号公報 特開2010−029915号公報 特開2005−111483号公報
一般に表面処理鋼板を使用した際の一つの電極チップによる打点数は冷延鋼板のそれに比べると低いことが多い。それゆえ、表面処理鋼板が多用されると上記の電極チップの交換頻度、ドレッシング頻度はより高くなる。特に、Sn系めっき鋼板は、Snと電極チップのCuが極めて反応しやすいために電極チップで溶接できる打点数が極めて少ないという問題点がある。一例として、Sn−7mass%Znめっき鋼板を使用した場合の電極チップによる打点数は100〜500点程度であり、上記の冷延鋼板と比較すると1/10あるいはそれ以下に低下するために、電極チップのドレッシングあるいは交換の手間は大きくなっている。
スポット抵抗溶接時の電極チップと鋼板の間の反応性を支配する電極チップ側の因子として、電極チップ先端の変形抵抗、電極の電気伝導度、熱伝導度等が従来考えられてきた。これらの因子を高度にバランスさせたものがクロム銅電極、アルミナ分散銅電極、Be添加銅電極である。しかしながら、これらのいずれの電極を使用した場合でも、Sn系めっき鋼板由来のSnと電極チップ由来のCuの合金化を抑制することは極めて困難であった。そもそも、CuとSnでは青銅と呼ばれるCu−Sn合金が有名である。スポット抵抗溶接時における電極チップとめっき鋼板の界面温度は600℃以上になり、このような環境下では鋼板表面のSn系めっきは溶融し、溶融Snは電極チップのCuと反応し、Cu−Sn系合金が電極チップ表面に生成することになる。Cu−Sn合金は鋳物に使われるように比較的強度が高く、耐摩耗性に優れるが、スポット抵抗溶接のように繰り返し、高温で高圧力が負荷されるような環境では、電極チップ表面からこのCu−Sn合金は欠落していく。このような過程を繰り返していくうちに、電極チップ先端は損耗し、鋼板と電極チップの接触面積が拡大していく。このため溶接ナゲット生成に必要な適正な溶接電流密度が得られなくなる。これがSn系めっき鋼板のスポット抵抗溶接連続打点性が劣る理由である。なおこのときに生成するCu−Sn合金はε相(CuSn)あるいはη相(CuSn)である。
そこで本発明は、難溶接性材料であるSn系めっき鋼板にスポット抵抗溶接を実施した時の電極チップの寿命を向上させて、連続打点性能を向上させたSn系めっき鋼板のスポット抵抗溶接前処理方法を提供することを課題とする。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものである。本発明者らはスポット抵抗溶接における電極チップの寿命に影響する鋼板側の因子、電極側の因子、溶接条件の因子について詳細に検討した結果、電極チップの寿命を向上させることに成功した。すなわち電極チップ先端とめっき最表面の界面状態が電極チップの寿命に及ぼす影響が大きいという知見を得た、また、本発明によるスポット抵抗溶接前処理方法でSn系めっき鋼板のような難溶接性の材料を使用した時にも安定した電極チップの寿命を得ることができることを見出している。
本発明の要旨とするところは、次の通りの内容である。
(1) スポット抵抗溶接機にCu電極を交換装着したあとにNi板をCu電極が当該Ni板に溶着するスポット抵抗溶接条件で1〜5回通電させることを特徴とするSn系めっき鋼板のスポット抵抗溶接前処理方法。
(2) 前記Ni板の厚みが、1μm〜2mmであることを特徴とする上記(1)に記載のSn系めっき鋼板のスポット抵抗溶接前処理方法。
(3) 前記Ni板が、NiまたはNi合金からなることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のSn系めっき鋼板のスポット抵抗溶接前処理方法。
本発明によれば、Sn系めっき鋼板のような難溶接性材料を使用する際に、電極チップの寿命を長くすることができるので、Sn系めっき鋼板の連続打点性に優れたスポット抵抗溶接前処理方法を提供することができるうえ、自動車組立工程等におけるライン停止を少なくすることが可能で、今後のより効率的な生産に寄与することができるなど産業上有用な著しい効果を奏する。
Ni板プレ溶接回数とSn系めっき鋼板連続打点数との関係を示す図である。 Ni板プレ溶接回数とNi置換量の関係を示す図である。
次に、本発明において上記のように限定する理由について詳述する。
本発明方法で、Sn系めっき鋼板溶接の前処理として電極チップ先端の間で挟む金属板はNiまたはNi合金とする。ここで電極チップ先端とは実際のスポット抵抗溶接時に、鋼板と現に接するスポット抵抗溶接電極の領域を示す。Ni合金の種類、組成は特に限定するものではないが、合金化により著しく電気抵抗率が高くなった場合、金属板で異常発熱を引き起こし、かえってスポット抵抗溶接性を阻害することもあるから留意が必要である。具体的には600℃での電気抵抗率が1.0×10−6Ω・mより低いNi合金を適用した方が良い。
金属板としてNiまたはNi合金が好適な理由は、CuとNiの周期律表上の関係と考えられる。すなわち、Sn系めっきの難溶接性はCu−Sn合金の易生成性が主因であるが、Cu−Sn合金のCuの一部がNiに置換されると状況が変わる。このCuの一部がNiに置換されること、すなわち生成する合金がCu−Ni−Sn系合金となると、合金層内のCuの拡散が抑制される。NiとCuの原子番号はそれぞれ28と29と隣接しており、その原子半径はNiの方が約3%小さい。すなわちNiはCuと容易に置換するが、原子半径が僅かに小さいため合金層内に発生していた圧縮応力を緩和する作用が生じる。圧縮応力の緩和はCuの拡散の駆動力を減じるものである。この機構によりCu−Sn系合金の成長は抑制され、Sn系めっき鋼板のスポット抵抗溶接性は向上する。ただし、図1に示すようにNi板でのプレ溶接回数を増やしても2回をピークとしてSn系めっき鋼板の連続打点が減少してくる。5回を超えてプレ溶接すると効果が十分に得られない。そのため、Ni板のプレ溶接回数の上限を、5回とする。好ましくは、1〜3回である。
図2にNi板プレ溶接回数とCu電極へのNi置換量の関係を示すが、5回を超えるとNi置換量の速度が増加していることが分かる。Niの置換量が増加すると、Niの高電気抵抗や低熱伝導率の影響が大きくなるため電極表面での発熱量が増大し、逆に合金層の成長および損耗が増大してくるものと推定される。ここで、Ni置換量は、0.5mmのNi板を溶着電流範囲下限値の1.05倍の電流値にて、プレ溶接したあと、電極表面の合金層部分を硝酸にて溶解させ、ICPにてNi量を測定してNi置換量とした。
NiまたはNi合金の金属板の厚みは1μm以上が望ましい。金属板が1μmより薄いと金属板が破損することがあるばかりでなく、上記のCu−Sn合金化抑制に対する効果が十分発揮できない。金属板の破損は金属板が1μmより薄いと、スポット抵抗溶接時にかかる圧力に金属板が耐えられなくなることが原因である。また、金属板が1μmより薄いと、Cu−Sn合金のCuに置き換わるNiの供給量が不十分となり、Cu−Sn合金化の成長抑制が十分に機能し難い。逆に厚みの上限は特に規定しないものの経済的理由より2mmが望ましい。望ましくはCu−Sn合金化抑制に対する効果と取り扱いの観点より、0.1mm〜1mmがより望ましい。
さらに、Ni合金の金属板は600℃での電気抵抗率が1×10−6Ω・m以下であることが望ましい。純Niは600℃での電気抵抗率は0.43×10−6Ω・mであるが、合金元素添加により、電気抵抗率が高くなることがある。電気抵抗率が高いと発熱し易くなるため、金属板と電極の溶着やかえって電極の合金化を促進するために好ましくない。このためNi合金の金属板は600℃での電気抵抗率を1×10−6Ω・m以下とすることが好ましい。600℃はスポット抵抗溶接時の電極と鋼板界面における最低到達温度であり、本発明でNiまたはNi合金の金属板が曝される温度域である。なお、電気抵抗率の低い方(下限)は特に規定すべきものではない。Ni合金としては、600℃での電気抵抗率が1×10−6Ω・m以下を満たす合金が望ましく、Ni−Cr合金、モネル合金(例えば、65Ni−33Cu−Al−Fe)、ハステロイ合金(例えば、62Ni−28Mo−5Fe)、パーマロイ(例えば、77Ni−14Fe−5Cu−4Mo)等を好適に用いることができる。
被溶接材料はSn系めっき鋼板とする。Sn系めっき以外ではZn系めっき、Al系めっきもSnと同様に電極のCuと合金化する懸念はあるが、本発明によるスポット抵抗溶接前処理方法ではSnとCuの合金化抑制の効果が最も大きく、実用上の意義は大きい。Sn系めっきの種類は特に限定するものではないが、不可避的不純物を含む純Snめっき、Sn−Agめっき、Sn−Cuめっき、Sn−Znめっき、Sn−Biめっき、Sn−Pbめっきなどが挙げられる。特に二元系以上の多元系めっきの共晶系は純Snの融点(232℃)より低い温度でめっき層が溶融する組成域があり、SnとCuの合金化を促進するため、本発明によるスポット抵抗溶接前処理方法の効果は大きい。このようなめっき組成の例として、Sn−3.5mass%Ag(共晶温度221℃)、Sn−0.7mass%Cuめっき(共晶温度227℃)、Sn−8.8mass%Znめっき(共晶温度199℃)、Sn−57mass%Biめっき(共晶温度139℃)、Sn−38.1mass%Pbめっき(共晶温度183℃)などが挙げられる。また、電極のCuと合金化するSnの絶対量も影響が大きく、電極と接する面のSnの絶対量として、主に片面あたり5g/m相当以上のSnが付着しているSn系めっき鋼板を対象とすることが好ましい。片面あたり5g/m未満のSnが付着している場合は、電極のCuと合金化するSnの絶対量が少ないため、Cu−Sn合金の成長があまり進展せず、本発明による方法を採らなくても、スポット抵抗溶接の連続打点数は十分長く、また、本発明による方法を採っても、合金化するSnの絶対量が少ないため、効果は大きくない。
なお、この溶接に使用する溶接機は単相交流式抵抗溶接機、単相整流式抵抗溶接機、三相整流式抵抗溶接機、直流インバータ式抵抗溶接機、コンデンサー式抵抗溶接機等のいずれでも良い。また、NiまたはNi合金の金属板は所定打点毎に自動的に連続供給しても良い。また、差厚のスポット抵抗溶接の場合は薄板側の電極損耗が激しくなるのが一般的であるが、このような場合は一対の電極チップの両方に金属板を設置せず、片方だけに設置しても良い。電極チップの材質(Cr−Cu、アルミナ分散銅、ベリリウム銅など)、形状(R形、DR形、CF形など)、溶接条件(加圧力、溶接電流、溶接時間、スクイズ時間、保持時間、タクトタイムなど)も特に限定するものではない。
本発明において、Sn系めっき鋼板に使用する母材鋼の成分については限定しないが、鋼種としては、例えば、Ti、Nb、B等を添加したIF鋼、Al−k鋼、Cr添加鋼、ステンレス鋼、ハイテン等が挙げられる。
スポット抵抗溶接試験の被溶接材として、溶融Snめっき鋼板(材質:極低炭素鋼、板厚:0.8mm、めっき付着量:片面あたり50g/m、後処理皮膜量(SiO):100mg/m、塗油:Z3(出光興産製))を使用した。スポット抵抗溶接条件は、加圧力200kgf、溶接電流値8.0kA、溶接通電時間10サイクル(60Hz地帯)、連続溶接速度3秒/回とし、溶接前の上下電極の間隔は30mmとした。使用した電極は上下ともCr−Cu製で16mmφのDR形で先端の形状は6φ40Rとした。
各種金属板は、いずれも99mass%以上の純度で厚み0.3mmである。ただし、Ni板のみは、0.5ミクロンから5mmまでの厚さのものを使用した。各種金属板での溶着条件を以下のような方法にて設定した。各種金属板1枚を、上記溶接条件にて7kAから0.2kAずつ電流を段階的に上げて、電極と金属板が溶着(くっつく)電流値を調べ、その溶着電流範囲下限値の1.05倍を当該金属板の溶接電流とした。
次に各種金属板のみを上記設定条件にてプレ溶接したあと、その後は、金属板を介することなく溶融Snめっき鋼板2枚を重ね合わせてスポット抵抗溶接試験を行った。連続打点の電極寿命は、25年ごとにピール法で溶接部を剥離してボタン径を測定し、ボタン径の最小部位で3.6mmを切った時点でNGとして3.6mmを切る25点前の打点数をその試験水準での連続打点として評価した。連続打点は、金属板を使用しない条件を基準として、それより1.5倍超の連続打点が確保されれば、有意に連続打点が向上したと判断した。
表1に示すように、金属板を使用しない基準法(32番)では打点数は300打点であった。この比較例32番に示す金属板未使用時の連続打点数300を基準(連続打点数の倍数を1.0とする)として発明例1〜19番とを比較すると、発明例1〜19番の連続打点数は、基準の1.5倍以上となっていた。特に、発明例(7番)では基準法の約2.8倍の連続打点性を示した。この結果はプレ溶接回数を2回実施したことによるものである。また、金属板としてNi合金板を用いた発明例10〜13番においても、金属板としてNi板を用いた場合と同様に良好な連続打点数が得られた。Ni以外の金属板(比較例21〜31番)では、若干の改善効果が認められる水準もあったが、必ずしも十分ではなく、逆に金属板の固有抵抗が高く異常発熱となり、電極チップが金属板にくっつく溶着現象により、かえって連続打点性が劣る水準もあった。
以上のように、Sn系めっき鋼板のスポット抵抗溶接の連続打点数延長のために、事前にNi板を溶着する電流値でスポット抵抗溶接することの有効であることが確認できた。

























Figure 2014117746

Claims (3)

  1. スポット抵抗溶接機にCu電極を交換装着したあとにNi板をCu電極が当該Ni板に溶着するスポット抵抗溶接条件で1〜5回通電させることを特徴とするSn系めっき鋼板のスポット抵抗溶接前処理方法。
  2. 前記Ni板の厚みが、1μm〜2mmであることを特徴とする請求項1に記載のSn系めっき鋼板のスポット抵抗溶接前処理方法。
  3. 前記Ni板が、NiまたはNi合金からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のSn系めっき鋼板のスポット溶接前処理方法。
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