JP2010029915A - Sn系めっき鋼板のスポット溶接方法 - Google Patents

Sn系めっき鋼板のスポット溶接方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
難溶性の素材、特にSnを主成分とするめっき鋼板を使用した時の連続打点性に優れたSn系めっき鋼板のスポット溶接方法を提供する。
【解決手段】
Sn系めっき鋼板のスポット溶接にあたり、厚さ1μm以上100μm以下のNiまたはNi合金の金属箔を介して接合することを特徴とする、Sn系めっき鋼板のスポット溶接方法、好ましくは、前記金属箔は600℃での電気抵抗率が1×10-6Ω・m以下、前記金属箔はNi-Cr合金であり、Cr含有率が4mass%以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、Sn系めっき鋼板のスポット溶接方法に関するものである。
Sn系めっき鋼板はその美麗さ・良加工性・高耐食性・良はんだ性から様々な用途で使用されている。しかしながら、Sn系めっき鋼板はCu系合金を基材とした電極を使う抵抗溶接の連続操業性は一般に劣るとされている。
Sn系めっき鋼板が難溶接性材料である理由は、Snと抵抗溶接電極の基材であるCuはSn-Cu合金(青銅)を極めて生成し易いためである。Sn-Cu合金自体は比較的脆いため、電極表面に生成したSn-Cu合金が、スポット溶接の打点毎に欠損し、連続打点性が著しく低下することになる。更にはSnの融点が232℃であることから分かるように、純Snを含めたSn系合金の融点は一般に低く、スポット溶接のような抵抗溶接において、めっき層と電極界面の温度はSn系めっき層が溶融するまでになるため、上記合金化はより加速度的に進行する。
一般に産業用のスポット溶接機では、その電極チップに銅合金、例えば、Cr-Cuを使用したものが多い。Cr-Cuを電極に用いているのは、電気伝導度・高温強度・耐摩耗性等を考慮したためであり、一つの電極チップによりスポット溶接が可能な打点数は冷延鋼板を使用した場合には5000打点程度である。
しかし、実際にはスポット溶接の品質を維持するため、上記の限界打点数に達しないうちに電極チップの交換やドレッシング(電極先端の研削)をしているのが現状である。これは同じ電極チップによってスポット溶接を繰返し実行していると、電極チップ先端部が溶損等によって徐々に摩耗し、スポット溶接の品質低下が生じるので、これを回避するためである。また、自動車メーカのボデー組立工程等で使用されるロボット式のスポット溶接機は、例えば、一時間に200〜400打点程度のスポット溶接を実行するため、その電極チップの交換も頻繁に行なう必要があるが、省力化の観点から、この交換作業をロボット等により自動交換するようにしている。
しかしながら、電極チップ交換中にはラインを停止しなければならないことになるため、これが自動組立工程上のネックとなっている。スポット溶接機を同じ場所に2台設置し、交替でいずれか一方の溶接機を使用すれば、電極交換によるラインの停止は回避できるが、設備コストは単純にいえば2倍になるという難点がある。また、電極チップドレッシング中も同様にラインを停止する必要があるため、ドレッシングの頻度が高まれば高まるほど、生産性の低下につながる。
従来技術として、スポット溶接用の電極に関する技術を開示したものとして、特開平2−263956号公報、特開平5−77061号公報、特開平7−314153号公報、特開平7-290255号公報等がある。特開平2−263956号公報(下記特許文献1)はCr-Cu製電極の製造方法に関するもの、特開平5−77061号公報(下記特許文献2)はアルミナ分散銅電極のアルミナの分布を規定したもの、特開平7−314153号公報(下記特許文献3)、特開平7-290255号公報(下記特許文献4)は電極の組成を規定したものである。後者2つの特許文献には、Al板を溶接する際に良好な特性を示す旨が記述されているが、Al板の溶融温度が600℃程度であるのに対してめっき鋼板を溶接する際の鋼板の溶融温度は1500℃以上で、電極の熱負荷という意味ではめっき鋼板の方が遥かに大きい。従って従来の開示技術からはSn系めっき鋼板のような難溶接性材料の溶接は極めて困難であった。
また、Niを電極に含有させてスポット溶接性を向上させる技術を開示したものとして、特開昭60-187482号公報、特開平2-166249号公報、特開平3-97818号公報、特開平4-28484号公報等がある。特開昭60-187482号公報(下記特許文献5)はNiめっきを電極表面に施し、Zn系めっき鋼板を溶接するときにZn-Fe系の合金層を電極表面に生成させる技術である。 しかしながら、Niめっきを電極表面に施した場合、電極チップドレッシング時にNiめっき層も研削してしまうため、繰り返しの使用に適さない。 特開平2-166249号公報(下記特許文献6)、特開平3-97818号公報(下記特許文献7)には電極にNiを含有させて電極の機械強度上昇させる技術が記載されているが、Ni含有により電極基材の固有抵抗が上昇するために、溶接時の電極の熱負荷が大きくなるためにSn系めっき鋼板には十分ではない。 特開平4-28484号公報(下記特許文献8)にはNiを電極表面に形成し、Zn系めっき鋼板の溶接時に溶着を抑制させる技術が記載されている。これらの開示技術でもSn系めっき鋼板のような難溶接性材料の溶接に着眼したものではなく、溶接性向上には十分ではなかった。
Sn系めっき鋼板のような難溶接性材料に対応した電極としては電極組織に着目した文献としては、特開2005-111483号公報(下記特許文献9)があるが、生産性の観点から更なるスポット溶接の連続打点性の向上は望まれている。また特許第1207799号公報(下記特許文献10)には、電極と被溶接材料の間に、被溶接材料よりも電極の汚損耗度が少なく、かつ耐食性を有する導電性金属材料の薄小片を介して溶接する方法が提案されているが、Sn系めっき鋼板に特化したものはない。
特開平2−263956号公報 特開平5−77061号公報 特開平7−314153号公報 特開平7−290255号公報 特開昭60-187482号公報 特開平2-166249号公報 特開平3-97818号公報 特開平4-28484号公報 特開2005−111483号公報 特許第1207799号公報
一般に表面処理鋼板を使用した際の一つの電極チップによる打点数は冷延鋼板のそれに比べると低いことが多い。それゆえ、表面処理鋼板が多用されると上記の電極チップの交換頻度・ドレッシング頻度はより高くなる。特に、Sn系めっき鋼板は、Snと電極チップのCuが極めて反応しやすいために電極チップで溶接できる打点数が極めて少ないという問題点がある。 一例としてSn-7mass%Znめっき鋼板を使用した場合の電極チップによる打点数は100〜500点程度であり、上記の冷延鋼板と比較すると1/10あるいはそれ以下に低下するために、電極チップのドレッシングあるいは交換の手間は大きくなっている。
スポット溶接時の電極チップと鋼板の間の反応性を支配する電極チップ側の因子として、電極チップ先端の変形抵抗、電極の電気伝導度、熱伝導度等が従来考えられてきた。これらの因子を高度にバランスさせたものがクロム銅電極、アルミナ分散銅電極、Be添加銅電極である。しかしながら、これらのいずれの電極を使用した場合でも、Sn系めっき鋼板由来のSnと電極チップ由来のCuの合金化を抑制することは極めて困難であった。そもそも、CuとSnでは青銅と呼ばれるCu-Sn合金が有名である。スポット溶接時における電極チップとめっき鋼板の界面温度は600℃以上になり、このような環境下では鋼板表面のSn系めっきは溶融し、溶融Snは電極チップのCuと反応し、Cu-Sn系合金が電極チップ表面に生成することになる。Cu-Sn合金は鋳物に使われるように比較的強度が高く、耐摩耗性に優れるが、スポット溶接のように繰り返し、高温で高圧力が負荷されるような環境では、電極チップ表面からこのCu-Sn合金は欠落していく。このような過程を繰り返していくうちに、電極チップ先端は損耗し、鋼板と電極チップの接触面積が拡大していく。 このため溶接ナゲット生成に必要な適正な溶接電流密度が得られなくなる。これがSn系めっき鋼板のスポット溶接連続打点性が劣る理由である。なおこのときに生成するCu-Sn合金はε相(Cu3Sn)あるいはη相(Cu6Sn5)である。
そこで本発明は、難溶性の素材、特にSnを主成分とするめっき鋼板を使用した時の連続打点性に優れたSn系めっき鋼板のスポット溶接方法を提供することを課題とする。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものである。 本発明者らはスポット溶接における電極チップの寿命に影響する鋼板側の因子、電極側の因子、溶接条件の因子について詳細に検討した結果、電極チップの寿命を向上させることに成功した。すなわち電極チップ先端とめっき最表面の界面状態が電極チップの寿命に及ぼす影響が大きいという知見を得て、本発明はなされたものである。本発明によるスポット溶接方法でSn系めっき鋼板のような難溶接性の材料を使用した時にも安定した電極チップの寿命を得ることができる。
本発明の要旨とするところは、特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
(1)Sn系めっき鋼板のスポット溶接にあたり、厚さ1μm以上100μm以下のNiまたはNi合金の金属箔を介して接合することを特徴とする、Sn系めっき鋼板のスポット溶接方法。
(2)前記金属箔は600℃での電気抵抗率が1×10-6Ω・m以下であることを特徴とする、(1)に記載のSn系めっき鋼板のスポット溶接方法。
(3)前記金属箔はNi-Cr合金であり、Cr含有率が4mass%以下であることを特徴とする、(1)または(2)に記載のSn系めっき鋼板のスポット溶接方法。
(4)前記Sn系めっき鋼板の片面あたりSnの付着量が5g/m2以上であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか一項に記載のSn系めっき鋼板のスポット溶接方法。
(5)前記Sn系めっき鋼板が、不可避的不純物を含む、純Snめっき、Sn-Agめっき、Sn-Cuめっき、Sn-Znめっき、Sn-Biめっき、Sn-Pbめっきのいずれかであることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか一項に記載のSn系めっき鋼板のスポット溶接方法。
本発明によれば、Sn系めっき鋼板のような難溶接性材料を使用する際に、電極チップの寿命を長くすることができるので、連続打点性に優れたSn系めっき鋼板のスポット溶接方法を提供することができるうえ、自動車組立工程等におけるライン停止を少なくすることが可能で、今後のより効率的な生産に寄与することができるなど産業上有用な著しい効果を奏する。
次に、本発明において上記のように限定する理由について詳述する。
本発明方法で、電極チップ先端とSn系めっき鋼板の間に挟む金属箔はNiまたはNi合金とする。ここで電極チップ先端とは実際のスポット溶接時に、鋼板と現に接するスポット溶接電極の領域を示す。Ni合金の種類・組成は特に限定するものではないが、合金化により著しく電気抵抗率が高くなった場合、金属箔で異常発熱を引き起こし、かえってスポット溶接性を阻害することもあるから留意が必要である。具体的には600℃での電気抵抗率が1.0×10-6Ω・mより低いNi合金を適用した方が良い。
金属箔としてNiまたはNi合金が好適な理由は、大きく二つ考えられる。 一つはNiの融点が1455℃であるため、スポット溶接時に電極チップ先端とSn系めっき鋼板の間に設置しても金属箔は溶融せず、溶融したSn系めっきと電極チップ先端の直接接触を防止しているためである。
もう一つの理由は、CuとNiの周期律表上の関係と考えられる。 すなわち、Sn系めっきの難溶接性はCu-Sn合金の易生成性が主因であるが、Cu-Sn合金のCuの一部がNiに置換されると状況が変わる。このCuの一部がNiに置換されること、すなわち生成する合金がCu-Ni-Sn系合金となると、合金層内のCuの拡散が抑制される。NiとCuの原子番号はそれぞれ28と29と隣接しており、その原子半径はNiの方が約3%小さい。すなわちNiはCuと容易に置換するが、原子半径が僅かに小さいため合金層内に発生していた圧縮応力を緩和する作用が生じる。 圧縮応力の緩和はCuの拡散の駆動力を減じるものである。この機構によりCu-Sn系合金の成長は抑制され、Sn系めっき鋼板のスポット溶接性は向上する。
NiまたはNi合金の金属箔の厚みは1μm以上100μm以下とする。 金属箔が1μmより薄いと金属箔が破損することがあるばかりでなく、上記のCu-Sn合金化抑制に対する効果が期待できない。 金属箔の破損は金属箔が1μmより薄いと、スポット溶接時にかかる圧力に金属箔が耐えられなくなることが原因である。 また、金属箔が1μmより薄いと、Cu-Sn合金のCuに置き換わるNiの供給量が不十分となり、Cu-Sn合金化の成長抑制が十分に機能しない。 逆に100μmより厚いと金属箔の抵抗が高くなるために発熱量が大きくなり、電極チップへの熱負荷も増大する。このため1μm以上100μm以下が好ましい。
Ni合金の金属箔は600℃での電気抵抗率が1×10-6Ω・m以下であることが好ましい。純Niは600℃での電気抵抗率は0.43×10-6Ω・mであるが、合金元素添加により、電気抵抗率が高くなることがある。 電気抵抗率が高いと発熱し易くなるため、金属箔と電極の溶着やかえって電極の合金化を促進するために好ましくない。このためNi合金の金属箔は600℃での電気抵抗率を1×10-6Ω・m以下とすることが好ましい。600℃はスポット溶接時の電極と鋼板界面における最低到達温度であり、本発明でNiまたはNi合金の金属箔が曝される温度域である。なお、電気抵抗率の低い方(下限)は特に規定すべきものではない。
被溶接材料はSn系めっき鋼板とする。Sn系めっき以外ではZn系めっき、Al系めっきもSnと同様に電極のCuと合金化する懸念はあるが、本発明によるスポット溶接方法ではSnとCuの合金化抑制の効果が最も大きく、実用上の意義は大きい。Sn系めっきの種類は特に限定するものではないが、不可避的不純物を含む純Snめっき、Sn-Agめっき、Sn-Cuめっき、Sn-Znめっき、Sn-Biめっき、Sn-Pbめっきなどが挙げられる。特に二元系以上の多元系めっきの共晶系は純Snの融点(232℃)より低い温度でめっき層が溶融する組成域があり、SnとCuの合金化を促進するため、本発明によるスポット溶接方法の効果は大きい。このようなめっき組成の例として、Sn-3.5mass%Ag(共晶温度221℃)、Sn-0.7mass%Cuめっき(共晶温度227℃)、Sn-8.8mass%Znめっき(共晶温度199℃)、Sn-57mass%Biめっき(共晶温度139℃)、Sn-38.1mass%Pbめっき(共晶温度183℃)などが挙げられる。また、電極のCuと合金化するSnの絶対量も影響が大きく、電極と接する面のSnの絶対量として、主に片面あたり5g/m2相当以上のSnが付着しているSn系めっき鋼板を対象とする。 片面あたり5g/m2未満のSnが付着している場合は、電極のCuと合金化するSnの絶対量が少ないため、Cu-Sn合金の成長があまり進展せず、本発明による方法を採らなくても、スポット溶接の連続打点数は十分長く、また、本発明による方法を採っても、合金化するSnの絶対量が少ないため、効果は大きくない。
なお、この溶接に使用する溶接機は単相交流式抵抗溶接機、単相整流式抵抗溶接機、三相整流式抵抗溶接機、直流インバータ式抵抗溶接機、コンデンサー式抵抗溶接機等のいずれでも良い。 また、NiまたはNi合金の金属箔は所定打点毎に自動的に連続供給しても良い。また、差厚のスポット溶接の場合は薄板側の電極損耗が激しくなるのが一般的であるが、このような場合は一対の電極チップの両方に金属箔を設置せず、片方だけに設置しても良い。 電極チップの材質(Cr-Cu、アルミナ分散銅、ベリリウム銅など)、形状(R形、DR形、CF形など)、溶接条件(加圧力、溶接電流、溶接時間、スクイズ時間、保持時間、タクトタイムなど)も特に限定するものではない。
スポット溶接試験の被溶接材として、溶融Snめっき鋼板(材質:極低炭素鋼、板厚:0.8mm、めっき付着量:片面あたり50g/m、後処理皮膜量(SiO2):片面100mg/m、塗油)を使用した。スポット溶接条件は、加圧力は200kgf、溶接電流8.0kA、溶接通電時間10サイクル(60Hz地帯)、連続溶接速度3s/回とし、溶接前の上下電極の間隔は30mmとした。 使用した電極は上下ともCr-Cu製のDR形で先端の形状は6φ40Rとした。
連続打点の電極寿命は、25点毎にピール法で溶接部を剥離してボタン径を測定し、ボタン径が3.6mmを切った時点でNGとし、3.6mmを切る25点前の打点数をその試験水準での連続打点とした。連続打点性はNi箔を使用しない状況を基準としたとき、1.5倍超長の連続打点性が確保されれば、有意に連続打点性が向上したと判断した。
<金属箔の種類の影響>
金属箔としてNi・SUS304・Ti・W・Nb・Mo・Cr・Co・Au・Ag・Cuを用いたときの連続打点性を表1に示した。金属箔は上電極と上板の間、下電極と下板の間に一対で設置し、連続打点中、同じ金属箔を使用し続けた。使用した金属箔はいずれも99mass%以上の純度で厚み10μmである。
金属箔を使用しない基準法(12番)では打点数は300打点であった。本発明(1番)では基準法の約2.8倍の連続打点性を示した。Ni以外の金属箔(2〜11番)では、若干の改善効果が認められる水準もあったが、必ずしも十分ではなく、逆に金属箔の固有抵抗が高く異常発熱となり、電極チップが金属箔にくっつく溶着現象により、かえって連続打点性が劣る水準もあった。
Figure 2010029915
<Ni箔の電気抵抗率の影響>
金属箔としてNi−Cr合金系を用いたときの連続打点性を表2に示した。 金属箔は上電極と上板の間、下電極と下板の間に一対で設置し、連続打点中、同じ金属箔を使用し続けた。使用した金属箔は予め四端子法で600℃での抵電気抵抗率を測定した厚み10μmの箔である。
金属箔を使用しない基準法(12番)では打点数は300打点であった。本発明ではいずれも連続打点性は向上したが、600℃での電気抵抗率が1×10-6Ω・mを超える15〜18番は若干の改善効果が認められるものの、金属箔の固有抵抗が高く異常発熱となり、電極チップが金属箔にくっつく溶着現象も認められた。
Figure 2010029915
<Ni箔の厚みの影響>
Ni箔の厚みを変えたときの連続打点性を表3に示した。本発明ではいずれも連続打点性は向上したが、Ni箔の厚みが1μmより薄いと金属箔が破損しやすくなり、逆に100μmより厚いと金属箔の抵抗が高くなるために発熱量が大きくなり、電極チップへの熱負荷も増大するため連続打点性が低下する。
Figure 2010029915
<Sn系めっきのSn付着量>
スポット溶接試験の被溶接材として、Snめっき鋼板(材質:極低炭素鋼、板厚:0.8mm、後処理皮膜量(SiO2):片面100mg/m、塗油)のめっき付着量(片面あたり)を変更し使用した。 それぞれのめっき鋼板につき、10μm厚みのNi箔を使用した場合と使用しなかった場合の結果を表4に示した。いずれの場合でもNi箔使用で、連続打点性は向上したが、Snめっきの付着量が5g/m2より小さくなると(番号34、36)、Ni箔を使用しなくても、連続打点500点を確保できており、実生産上はあまり問題ではなく、かつNiとSnの相互作用による効果も薄れるためあまり意味はない。
Figure 2010029915
また、溶融Sn系合金めっき鋼板(材質:極低炭素鋼、板厚:0.8mm、めっき付着量:片面あたり50g/m、後処理皮膜量(SiO2):片面100mg/m、塗油)を各種作製し、スポット溶接に供した。溶融Sn系合金めっきとしてはSn-Agめっき、Sn-Cuめっき、Sn-Znめっき、Sn-Biめっき、Sn-Pbめっきとした。また、溶融Znめっきと溶融Alめっきも試験に供した。 その結果を表5に示した。溶融Sn系合金めっき鋼板はいずれのめっき種類もNi箔使用により、連続打点性が明らかに向上したが、難溶接材であるZnめっき鋼板、Alめっき鋼板は僅かに向上するものの効果は限定的であった。
Figure 2010029915

Claims (5)

  1. Sn系めっき鋼板のスポット溶接にあたり、厚さ1μm以上100μm以下のNiまたはNi合金の金属箔を介して接合することを特徴とする、Sn系めっき鋼板のスポット溶接方法。
  2. 前記金属箔は600℃での電気抵抗率が1×10-6Ω・m以下であることを特徴とする、請求項1に記載のSn系めっき鋼板のスポット溶接方法。
  3. 前記金属箔はNi-Cr合金であり、Cr含有率が4mass%以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のSn系めっき鋼板のスポット溶接方法。
  4. 前記Sn系めっき鋼板の片面あたりSnの付着量が5g/m2以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のSn系めっき鋼板のスポット溶接方法。
  5. 前記Sn系めっき鋼板が、不可避的不純物を含む、純Snめっき、Sn-Agめっき、Sn-Cuめっき、Sn-Znめっき、Sn-Biめっき、Sn-Pbめっきのいずれかであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のSn系めっき鋼板のスポット溶接方法。
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