JP5130476B2 - スポット溶接用電極 - Google Patents

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Description

本発明は、スポット溶接用の電極に関するものである。
一般に産業用のスポット溶接機では、その電極チップに銅合金、例えば、Cr-Cuを使用したものが多い。 Cr-Cuを電極に用いているのは、耐摩耗性等を考慮したためであり、一つの電極チップによりスポット溶接が可能な打点数は冷延鋼板を使用した場合には5000打点程度である。
しかし、実際にはスポット溶接の品質を維持するため、上記の限界打点数に達しないうちに電極チップの交換やドレッシング(電極先端の研削)をしているのが現状である。 これは同じ電極チップによってスポット溶接を繰返し実行していると、電極チップ先端部が溶損等によって徐々に摩耗し、スポット溶接の品質低下が生じるので、これを回避するためである。また、自動車メーカのボデー組立工程等で使用されるロボット式のスポット溶接機は、例えば、一時間に200〜400打点程度のスポット溶接を実行するため、その電極チップの交換も頻繁に行う必要があるが、省力化の観点から、この交換作業をロボット等により自動交換するようにしている。
しかしながら、電極チップ交換中にはラインを停止しなければならないことになるため、これが自動組立工程上のネックとなっている。スポット溶接機を同じ場所に2台設置し、交替でいずれか一方の溶接機を使用すれば、電極交換によるラインの停止は回避できるが、設備コストは単純にいえば2倍になるという難点がある。電極チップドレッシング中も同様に頻度が高まれば高まるほど、生産性の低下につながる。
従来技術として、スポット溶接用の電極に関する技術を開示したものとして、特開平2−263956号公報、特開平5−77061号公報、特開平7−314153号公報、特開平7-290255公報等がある。特開平2−263956号公報はCr-Cu製電極の製造方法に関するもの、特開平5−77061号公報はアルミナ分散銅電極のアルミナの分布を規定したもの特開平7−314153号公報、特開平7-290255公報は電極の組成を規定したものである。後者2つの開示はAl板を溶接する際に良好な特性を示す旨が記述されているが、Al板の溶融温度が600℃程度であるのに対してめっき鋼板を溶接する際の鋼板の溶融温度は1500℃以上で、電極の熱負荷という意味ではめっき鋼板の方が遥かに大きい。 従って従来の開示技術からはSn系やAl系めっき鋼板のような難溶接性材料の溶接は極めて困難であった。
また、Niを電極に含有させてスポット溶接性を向上させる技術を開示したものとして、特開昭60-187482、特開平2-166249、特開平3-97818、特開平4-28484、特開平7-290255等がある。 特開昭60-187482はNiめっきを電極表面に施し、Zn系めっき鋼板を溶接するときにZn-Fe系の合金層を電極表面に生成させる技術である。特開平2-166249、特開平3-97818は電極にNiを含有させて電極の機械強度上昇させる技術である。 特開平4-28484はNiを電極表面に形成し、Zn系めっき鋼板の溶接時に溶着を抑制させる技術である。これらの開示技術でもSn系やAl系めっき鋼板のような難溶接性材料の溶接に着眼したものではなく、溶接性向上には困難であった。
Sn系やAl系めっき鋼板のような難溶接性材料に対応した電極としては電極組織に着目した特開2005-111483号公報があるが、生産性の観点から更なるスポット溶接の連続打点性の向上は望まれている。
特開平2−263956号公報 特開平5−77061号公報 特開平7−314153号公報 特開平7−290255号公報 特開昭60-187482号公報 特開平2-166249号公報 特開平3-97818号公報 特開平4-28484号公報 特開2005−111483号公報
一般に表面処理鋼板を使用した際の一つの電極チップによる打点数は冷延鋼板のそれに比べると低いことが多い。 それゆえ、表面処理鋼板が多用されると上記の電極チップの交換頻度・ドレッシング頻度はより高くなる。特に、自動車燃料タンク用の素材として使用されているSn−Znめっき鋼板は、そのめっき層の主成分がSnであり、Snと電極チップのCuが極めて反応しやすいために電極チップで溶接できる打点数が極めて少ないという問題点がある。この表面処理鋼板を使用した場合の電極チップによる打点数は100〜500点程度であり、上記の冷延鋼板と比較すると1/10あるいはそれ以下に低下するために、電極チップのドレッシングあるいは交換の手間は大きくなっている。
スポット溶接時の電極チップと鋼板の間の反応性を支配する電極チップ側の因子として、電極チップ先端の変形抵抗、電極の電気伝導度、熱伝導度等が従来考えられてきた。 これらの因子を高度にバランスさせたものがクロム銅電極、アルミナ分散銅電極、Be添加銅電極である。しかしながら、これらのいずれの電極を使用した場合でも、Sn系めっき鋼板由来のSnと電極チップ由来のCuの合金化を抑制することは極めて困難であった。 そもそも、CuとSnでは青銅と呼ばれるCu-Sn合金が有名である。殊、スポット溶接時における電極チップとめっき鋼板の界面温度は600℃以上になり、このような環境下では鋼板表面のSn系めっきは溶融し、溶融Snは電極チップのCuと反応し、Cu-Sn系合金が電極チップ表面に生成することになる。Cu-Sn合金は鋳物に使われるように比較的強度が高く、耐摩耗性に優れるが、スポット溶接のように繰り返し、高温で高圧力が負荷されるような環境では、電極チップ表面からこのCu-Sn合金は欠落していく。このような過程を繰り返していくうちに、電極チップ先端は損耗し、鋼板と電極チップの接触面積が拡大していく。 このため溶接ナゲット生成に必要な適正な溶接電流密度が得られなくなる。これがSn系めっき鋼板のスポット溶接連続打点性が劣る理由である。なおこのときに生成するCu-Sn合金はε相(Cu3Sn)あるいはη相(Cu6Sn5)である。
そこで本発明は、難溶性の素材、特にSnを主成分とするめっき鋼板を使用した時の連続打点性に優れたスポット溶接用電極を提供することを課題とする。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものである。本発明者らはスポット溶接における電極チップの寿命に影響する鋼板側の因子、電極側の因子、溶接条件の因子について詳細に検討した結果、電極側の因子を最適化することで電極チップの寿命を向上させることに成功した。すなわち電極先端の金属間化合物が電極チップの寿命に及ぼす影響が大きいという知見を得て、本発明はなされたものである。本発明による電極チップを適正に使用することで前述したSn−Znめっき鋼板のような難溶接性の材料を使用した時にも安定した電極チップの寿命を得ることができる。
その手段を以下に示す。
(1)電極チップ先端に、Niを0.01mass%以上5mass%以下含み、Cu、Ni、Snからなる金属間化合物が0.5μm以上20μm以下の厚みで存在し、基材の組成がCr:0.3〜1.2mass%、残部がCuおよび不可避的不純物であることを特徴とするスポット溶接用電極。
(2)電極チップ先端に、Niを0.01mass%以上5mass%以下含み、Cu、Ni、Snからなる金属間化合物が0.5μm以上20μm以下の厚みで存在し、基材の組成がCr:0.3〜1.2mass%、Ni:0.01〜5mass%、残部がCuおよび不可避的不純物であることを特徴とするスポット溶接用電極。
前記Cu、Ni、Snからなる金属間化合物の組成が原子量比で、1.2≦(Cu+Ni)/Sn≦1.3の範囲を満たすことを特徴とする(1)または(2)に記載のスポット溶接用電極。
前記基材の硬度がビッカース硬度として140〜180であることを特徴とする(1)乃至()のいずれか一項に記載のスポット溶接用電極。
以上説明してきたように、本発明はSn−Znめっき鋼板のような難溶接性材料を使用する際に従来よりも寿命の長いスポット溶接用の電極チップを提供することができる。 本発明により、自動車組立工程におけるライン停止を少なくすることが可能で、今後のより効率的な自動車生産に寄与することができる。
次に、本発明において上記のように限定する理由について詳述する
まず電極チップ先端の金属間化合物に関する限定理由について述べる。 ここで電極チップ先端とは実際のスポット溶接時に、鋼板と現に接するスポット溶接電極の領域を示す。
本発明のスポット溶接用電極では電極チップ先端にNiを0.01mass%以上5mass%以下含むCu、Ni、Snからなる金属間化合物が0.5μm以上20μm以下の厚みで存在することを特徴とする。 発明が解決しようとする課題の項でも述べたようにSn系めっき鋼板由来のSnと電極チップ由来のCuの合金化を抑制することは極めて困難であり、Cu-Sn系合金が電極チップ表面に生成し、このCu-Sn系合金が厚く成長し、やがて欠落することが問題であった。 このCu-Sn系合金の成長を抑制するためには、電極チップ先端にCu、Ni、Snからなる金属間化合物が0.5μm以上20μm以下の厚みで存在することが極めて有効であった。 Cu、Ni、Snからなる金属間化合物(Cu-Ni-Sn系合金)の存在によりCu-Sn系合金が厚く成長しない理由は、Cu-Sn系合金のCuの一部がNiに置換された効果が大きいと考えられる。 このCuの一部がNiに置換されること、すなわちCu-Ni-Sn系合金にすることにより、合金層内のCuの拡散が抑制されていると推定される。 NiとCuの原子番号はそれぞれ28と29であり、隣接しており、その原子半径はNiの方が約3%小さい。 すなわちNiはCuと容易に置換するが、原子半径が僅かに小さいため合金層内に発生していた圧縮応力を緩和する作用が生じる。 圧縮応力の緩和はCuの拡散の駆動力を減じるものである。 この機構によりCu-Sn系合金の成長は抑制され、難溶接材のスポット溶接性は向上する。
このときNiは微量でも効果を発現し、Cu、Ni、Snからなる金属間化合物中に0.01mass%以上含まれれば十分である。 上限は特に限定するものではないが、過剰な添加は合金化抑制の効果は飽和し、電気伝導度の低下を招くことから5mass%以下が好ましい。
Cu、Ni、Snからなる金属間化合物の厚みに関しては、電極チップ先端に0.5μm以上存在することにより、Cu-Sn系合金の成長を抑制することが可能となる。 上限は特に限定するものではないが、Cu、Ni、Snからなる金属間化合物自体がスポット溶接用電極の基材と比較すると、電気伝導度が低いものであるから、20μm以下とすることが望ましい。
次にCu、Ni、Snからなる金属間化合物の組成に関する限定理由を述べる。 Cu-Sn系合金は金属間化合物としてε相(Cu3Sn)あるいはη相(Cu6Sn5)を生成する。 本発明のCu-Ni-Sn合金はCu-Sn合金のCuがNiに置き換わったものであるから、金属間化合物は(Cu(1-X)Nix)3Snおよび(Cu(1-X)Nix)6Sn5と表すことができる。 このときの金属間化合物の組成について考える。
(Cu(1-X)Nix)3Snは原子量比で『(Cu+Ni):Sn = 1:3』なので『(Cu+Ni)/Sn = 3』となる。
同様に、(Cu(1-X)Nix)6Sn5は原子量比で『(Cu+Ni):Sn = 6:5』なので『(Cu+Ni)/Sn = 1.2』となる。
実際のCu-Ni-Sn合金は(Cu(1-X)Nix)3Snと(Cu(1-X)Nix)6Sn5の混合相なので、
『(Cu+Ni)/Sn 』は、1,2〜3の範囲となる。
一方、(Cu(1-X)Nix)3Snと(Cu(1-X)Nix)6Sn5では、(Cu(1-X)Nix)6Sn5の方が熱力学的に安定であり、(Cu(1-X)Nix)6Sn5がより多く存在した方が、Cu-Ni-Sn系合金によるCu-Sn合金の成長抑制効果が高いことが判明し、より好ましい金属間化合物の組成範囲として、(Cu(1-X)Nix)6Sn5がリッチ側の、『(Cu+Ni)/Sn:1.2〜1.3の範囲』を規定した。
次に基材の組成限定理由について述べる。Crは最も汎用的に使用される電極チップはCr-Cuと呼ばれる成分系で、Cu中にCrを0.3〜1.2mass%含有している。このCrは熱処理により析出物を作り、電極の銅の硬度を上昇させる。 本発明においても同様にCrの析出物を形成させることが望ましく、Crを析出させるためには0.3mass%以上が望ましい。
一方、Crの溶解度が1000℃で1mass%程度であり、1.2mass%より多く添加しても熱処理により溶体化せず、析出処理が困難となるために添加する場合は1.2%を上限とする。 更にNiを基材にNi:0.01〜5mass%添加することにより、電極チップ先端のCu-Ni-Sn系合金の存在寿命を向上させることかできる。これは連続打点中に徐々に欠損していくCu-Ni-Sn系合金の再生のためにNi供給源があった方が有利なためである。Niが0.01mass%未満ではこの効果は不十分であり、逆に5mass%より多いと電極自体の電気伝導度を損なう。
次に基材の硬度限定理由について述べる。 基材の硬度はビッカース硬度として140〜180であることが好ましい。硬度は成分と製造時の熱履歴により定まり、特に溶体化と時効処理条件の影響が大きく、この熱処理条件により狙いの硬度を得ることができる。 ビッカース硬度140未満では溶接時の電極の変形が大きくなり、特に先端が潰れてしまい適正な溶接電流密度を維持することが困難である。上限は特に限定するものではないが、電極はドレッシングなどの研削により再使用する事が多く、研削時に過負荷をかけないためにはビッカース硬度180以下にしておく方が好ましい。
次に本発明を実施例により詳細に説明する。高周波溶解炉を使用して、Cr量、Ni量を成分調整したCu合金を溶解させ、均一に撹拝してから黒鉛鋳型に鋳造し、表1の組成を有する120mm径、250mm長さの鋳塊を作製した。鋳塊から92mm径、200mm長さの押出用ビレットを成形し、900℃の温度で32mm径の棒材に押出加工した後、1030℃の温度で溶体化処理を行い、水冷して焼入れした後に16mm径まで冷間引抜加工を行った。更に475℃で時効処理した。 溶体化処理の時間は30分、時効処理の時間は0.5〜4時間とし硬度調節を行った。 上記引抜棒材を、先端径6mm(40R)の先端部と冷却孔を有するスポット溶接用電極に成形した。表1に成型した電極を示す。
このようにして成形した電極チップ表面へ、次の方法でCu-Ni-Sn系合金を生成した。
高周波溶解炉により組成を変化させたSn-Ni合金(Sn、Sn-0.1mass%Ni、Sn-0.2mass%Ni、Sn-0.5mass%Ni、Sn-1mass%Ni、Sn-2mass%Ni、Sn-5mass%Ni、Sn-7mass%Ni)を作製し、1.0mm厚みに圧延した。予め作製していたスポット溶接用電極を用い、このSn-Ni合金板のスポット溶接空打ちを行った。スポット溶接空打ち条件は予圧力100kgf、溶接電流5.0kA、溶接通電時間5、10、15サイクル(60Hz地帯)、連続溶接速度3s/回とし、空打ち打点数を10、20、30、40、50回と変化させた。 このスポット溶接空打ちにより、スポット溶接用電極側のCuとSn-Ni合金板のSn、Niが相互拡散し、スポット溶接用電極の電極チップ表面にCu-Ni-Sn系合金が生成した。電極チップの断面を埋め込み研磨し、生成したCu-Ni-Sn系合金の組成と厚みをEPMAで調査した結果を表2〜表4に示す。Niの添加量はSn-Ni合金の組成により調節可能である。また、(Cu+Ni)とSnの原子量比は溶接通電時間、合金層の厚みは空打ち打点数により調節可能である。このようにして、電極チップ先端の金属間化合物、基材の組成、基材の硬度を種々変化させたスポット溶接用電極を作製し、スポット溶接試験に供した。
スポット溶接試験の被溶接材として、Sn-7mass%Znめっき鋼板(材質:極低炭素鋼、板厚:0.6mm、めっき付着量:片面40g/m、後処理皮膜量(SiO2):片面100mg/m、塗油)を使用した。スポット溶接条件は、加圧力は予圧力150kgf、溶接電流8.0kA、溶接通電時間10サイクル(60Hz地帯)、連続溶接速度3s/回とし、溶接前の上下電極の間隔は30mmとした。連続打点の電極寿命は、25点毎にピール法で溶接部を剥離してボタン径を測定し、ボタン径が3.1mmを切った時点でNGとし、3.1mmを切る25点前の打点数をその電極での連続打点とした。連続打点性は500点超であれば有意に連続打点性が向上したと判断した。
表2は表1の基材1をベースにCu-Ni-Sn系合金を生成した電極を用いスポット溶接試験を行った結果である。 比較例の#35は合金層を全く生成させていない電極、#1〜#3はNiを含まないCu-Sn系合金層を生成させたものであるが、いずれも連続打点は400点に満たないものであった。#4〜#6はCu-Ni-Sn系合金層中のNi含有量が不足しており十分な連続打点性向上効果は認められなかった。 #25および#30はCu-Ni-Sn系合金層の厚みが不足しており十分な連続打点性向上効果は認められなかった。 一方で本発明に示した水準はいずれも500点を超えており有意に連続打点性が向上した。この中でも、#7〜#9の比較で#9、#10〜#12の比較で#12、#13〜#15の比較で#15、#16〜#18の比較で#18、#19〜#21の比較で#21、#22〜#24の比較で#24がそれぞれ良好であり、金属間化合物の組成範囲として、(Cu(1-X)Nix)6Sn5がリッチ側の、『(Cu+Ni)/Sn:1.2〜1.3の範囲』に制御することが好ましい。 なお、#22〜#24はCu-Ni-Sn系合金層中のNi含有量が5mass%以上でやや高く、電気伝導性が低下したため、若干、連続打点性が低下している。また、#26〜#29および#31〜#34の比較において、Cu-Ni-Sn系合金層の厚みが20μmを超える#29および#34は、電気伝導性が低下したため、若干、連続打点性が低下している。
表3は表1の基材4をベースにCu-Ni-Sn系合金を生成した電極を用いスポット溶接試験を行った結果である。比較例の#36〜#38はNiを含まないCu-Sn系合金層を生成させたものであるが、いずれも連続打点は400点に満たないものであった。#39〜#41はCu-Ni-Sn系合金層中のNi含有量が不足しており十分な連続打点性向上効果は認められなかった。 #60および#65はCu-Ni-Sn系合金層の厚みが不足しており十分な連続打点性向上効果は認められなかった。一方で本発明に示した水準はいずれも500点を超えており有意に連続打点性が向上した。この中でも、#42〜#44の比較で#44、#45〜#47の比較で#47、#48〜#50の比較で#50、#51〜#53の比較で#53、#54〜#56の比較で#56、#57〜#59の比較で#59がそれぞれ良好であり、金属間化合物の組成範囲として、(Cu(1-X)Nix)6Sn5がリッチ側の、『(Cu+Ni)/Sn:1.2〜1.3の範囲』に制御することが好ましい。 なお、#57〜#59はCu-Ni-Sn系合金層中のNi含有量が5mass%以上でやや高くなり、電気伝導性が低下したため、若干、連続打点性が低下している。また、#61〜#64および#66〜#69の比較において、Cu-Ni-Sn系合金層の厚みが20μmを超える#64および#69は、電気伝導性が低下したため、若干、連続打点性が低下している。
表4はCu-Ni-Sn系合金は本発明の領域となるように条件を揃え、スポット溶接電極の表1に示す基材の効果を調査したものである。いずれも500点を超えており有意に連続打点性が向上した。#71〜#78はCr添加の効果を調査したものである。Cr添加と時効処理によりビッカース硬度が上昇しており、Cr量を0.3mass%以上添加した水準は連続打点性が更に向上した。ただし、Cr量は1.2mass%程度で効果はほぼ飽和した。#79〜#87はNi添加の効果を調査したものである。ビッカース硬度はほとんど変化はないが、#80〜#85のNi量を0.01〜5mass%の範囲で添加した水準は連続打点性が更に向上した。 Niが0.01mass%未満ではこの効果は不十分であり、逆に5mass%より多いと電極自体の電気伝導度を損なうためと推定される。
#88〜#93および#94〜#99は電極硬度の効果を調査したものである。ビッカース硬度140以上では溶接時の電極の変形が小さくなり、適正な溶接電流密度を維持しやすい。 連続打点性に対して硬度の上限は特にないが、電極はドレッシングなどの研削により再使用する事が多く、#91と#97は研削時に過負荷がかかったため、ビッカース硬度180以下にしておく方が好ましい。
なお、本発明の実施例では被溶接材として、Sn-7mass%Znめっき鋼板を用いたが、スポット溶接中に電極表面の金属間化合物にZnが徐々に混入されているが、初期の電極状態が本発明の範囲内であれば、Znは溶接中に浸入してくる不可避的元素であり、本発明の効果を損なうものではない。
Figure 0005130476
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Claims (4)

  1. 電極チップ先端に、Niを0.01mass%以上5mass%以下含み、Cu、Ni、Snからなる金属間化合物が0.5μm以上20μm以下の厚みで存在し、基材の組成がCr:0.3〜1.2mass%、残部がCuおよび不可避的不純物であることを特徴とするスポット溶接用電極。
  2. 電極チップ先端に、Niを0.01mass%以上5mass%以下含み、Cu、Ni、Snからなる金属間化合物が0.5μm以上20μm以下の厚みで存在し、基材の組成がCr:0.3〜1.2mass%、Ni:0.01〜5mass%、残部がCuおよび不可避的不純物であることを特徴とするスポット溶接用電極。
  3. 前記Cu、Ni、Snからなる金属間化合物の組成が原子量比で、1.2≦(Cu+Ni)/Sn≦1.3の範囲を満たすことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスポット溶接用電極。
  4. 前記基材の硬度がビッカース硬度として140〜180であることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のスポット溶接用電極。
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