JP2014116146A - 蓄電デバイス、それに用いる電極および多孔質シート - Google Patents

蓄電デバイス、それに用いる電極および多孔質シート Download PDF

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Abstract

【課題】高容量密度や高エネルギー密度を有する新規な蓄電デバイスを提供する。
【解決手段】電解質層3と、これを挟んで設けられた正極2と負極4とを有する蓄電デバイスであって、少なくとも一方の電極2,4が、少なくとも下記(A)と(B)とからなる複合体であるとともに下記(B)が複合体内に固定されている蓄電デバイス。
(A)ポリカルボン酸がドープした導電性ポリマー。
(B)アニオン性材料。
【選択図】図1

Description

本発明は蓄電デバイス、それに用いる電極および多孔質シートに関し、詳しくは、従来の電気二重層キャパシタが本来有する優れた重量出力密度とサイクル特性を維持しつつ、そのような従来の電気二重層キャパシタに比較して、格段に高い重量エネルギー密度を有する電気二重層キャパシタ型の蓄電デバイス、それに用いる電極および多孔質シートに関するものである。
近年、高い出力特性と共に長寿命を有するエネルギー貯蓄デバイスとして、例えば、多孔性セパレータと、この多孔性セパレータを挟んで対向して配設した一対の分極性電極と、上記多孔性セパレータと分極性電極に含浸させた電解液を含む電気二重層キャパシタが注目されている。
最近、低炭素社会実現のための技術開発が活発に行われており、特に、自動車市場においては、ガソリン車に代わって、ハイブリッド自動車や電気自動車の需要が急速に増えている。ハイブリッド自動車や電気自動車のための蓄電デバイスとしては、主としてリチウム二次電池がその高いエネルギー密度のために実用されているが、リチウム二次電池も、現在、その性能は未だ充分とはいえない。即ち、リチウム二次電池は、エネルギー密度は高いが、出力密度はそれほど高くない。
自動車用の動力源としては、加速に対応し得る高い出力密度が求められている。そこで、リチウム二次電池では、エネルギー密度特性を犠牲にして、重量出力密度を高めるための様々な工夫が凝らされている。
一方、電気二重層キャパシタは、重量エネルギー密度は非常に低いが、本来、重量出力密度は非常に高い特性を容易に得ることができ、更に、サイクル特性にもすぐれている。このように、電気二重層キャパシタは、本来、高い重量出力密度とサイクル特性を有しており、蓄電デバイスとして非常にすぐれた特性を有しているが、重量エネルギー密度が低いところに唯一の欠点を有する。
即ち、従来、電気二重層キャパシタは、通常、粉末活性炭や繊維状活性炭等の導電性多孔性炭素材料を用いて形成された分極性電極を用い、電解液中の支持電解質イオンの物理吸着特性を利用して、電気を貯蔵するデバイスであるので、酸化還元反応という化学反応を用いる電池に比べて、重量エネルギー密度が極めて小さく、実際の使用において、長時間にわたる放電を維持することができないという大きな問題を有している。
高容量化のためには、その電極に用いられる活性炭の高比表面積化が必須となっている。従来、電気二重層キャパシタに用いられる活性炭は、一般にヤシガラ炭化物、フェノール樹脂炭化物、石炭などの原料を水蒸気賦活、薬品賦活することにより製造されている。このような活性炭の製造方法として、例えば、石炭の溶剤抽出物(無灰炭)を不活性雰囲気下で800℃〜950℃の温度範囲において加熱し、得られた固体残渣をアルカリ賦活する方法(特許文献1参照)や、石炭系ピッチを400℃〜600℃及び600℃〜900℃の2段階の温度範囲で熱処理し、熱処理した石炭系ピッチをアルカリ賦活する方法(特許文献2参照)、さらには粒状の等方性ピッチを不融化した後、薬剤で賦活する方法(特許文献3参照)などが検討されている。
さらには、活性炭の表面に酸化還元特性を有する導電性ポリマーなどをコーティングすることによる化学修飾により高容量化を試みることも検討されている。(特許文献4、5、6参照)。
しかし、この方法において形成された分極性電極を有する電気二重層キャパシタは、重量エネルギー密度において、依然、充分に改善されない。
また、導電性ポリマー系においてはその特性を向上させるために、ポリマーアニオンを利用したロッキングチェア型の電池形成も試みられているがその特性は充分でない(特許文献7参照)。
特開2007−142204号公報 特開2004−149399号公報 特開2002−104817号公報 特開2008−72079号公報 特開2002−25865号公報 特開2012−33783号公報 特開平1一132052号公報
しかしながら、上記に提案された電気二重層キャパシタや蓄電池は、性能において未だ充分ではなく、電極にマンガン酸リチウムやコバルト酸リチウムのようなリチウム含有遷移金属酸化物を用いたリチウム二次電池に比べ、容量密度やエネルギー密度が低いものである。
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであって、高容量密度や高エネルギー密度を有する新規な蓄電デバイス、それに用いる電極および多孔質シートを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、電解質層と、これを挟んで設けられる正極と負極とを有する蓄電デバイスであって、少なくとも一方の電極が、少なくとも下記(A)と(B)とからなる複合体であるとともに下記(B)が複合体内に固定されている蓄電デバイスを、第一の要旨とする。
(A)ポリカルボン酸がドープした導電性ポリマー。
(B)アニオン性材料。
また、蓄電デバイス用電極であって、少なくとも上記(A)と(B)とからなる複合体であるとともに上記(B)が複合体内に固定されている蓄電デバイス用電極を、第二の要旨とする。
さらに、蓄電デバイス電極用多孔質シートであって、少なくとも上記(A)と(B)とからなる複合体によって構成されるとともに上記(B)が複合体内に固定されている蓄電デバイス電極用多孔質シートを、第三の要旨とする。
すなわち、本発明者らは、導電性ポリマーを用いて電極を構成し、高容量密度および高エネルギー密度を有する蓄電デバイスを得るために検討を重ねた。その研究の過程で、導電性ポリマーのドーバントとして、従来使用されていたテトラフルオロホウ酸のみでは、導電性ポリマーの分子内部にまで充分にドープすることができず、分子内部までドープされていない導電性ポリマーが存在することを突き止めた。そこで、導電性ポリマーの分子内部にまでドープすることができるドーパントについて実験を重ねたところ、ポリカルボン酸に着目し、導電性ポリマーの重合時に、ポリカルボン酸を取り込んで分子レベルでドープさせると、テトラフルオロホウ酸およびポリカルボン酸の二種類のドーパントが、導電性ポリマーの分子内部にまでドープされるため、活物質を有効に使うことができ、蓄電デバイス特性が大幅に向上することを見出し本発明に到達した。
なお、本発明において、「アニオン性材料(B)が電極の内部に固定される」とは、B成分が他の電極形成材料とともに形成された複合体内に固定されることをいい、これにより、アニオン性材料(B)が固定され動かないことにより、対するカチオンが移動する性質を有するようになり、ひいては、これを用いた蓄電デバイスがロッキングチェア型の機構を有するようになることを意味する。
このように、本発明の蓄電デバイスは、少なくとも一方の電極が、少なくとも下記(A)と(B)とからなる複合体であるとともに下記(B)が複合体内に固定されているため、高容量密度および高エネルギー密度に優れている。
(A)ポリカルボン酸がドープした導電性ポリマー。
(B)アニオン性材料。
また、蓄電デバイス用電極であって、少なくとも上記(A)と(B)とからなる複合体であるとともに上記(B)が複合体内に固定されている蓄電デバイス用電極であると、これを用いた蓄電デバイスは高容量密度および高エネルギー密度に優れるようになる。
さらに、デバイス電極用多孔質シートであって、少なくとも上記(A)と(B)とからなる複合体によって構成されるとともに上記(B)が複合体内に固定されている蓄電デバイス電極用多孔質シートであると、これを用いた蓄電デバイスは高容量密度および高エネルギー密度に優れるようになる。
また、本発明の蓄電デバイス、蓄電デバイス用電極、デバイス電極用多孔質シートに使用する複合体が、さらに下記の(C)とからなり、(C)が(A)により被覆されてなると、高容量密度および高エネルギー密度がより一層優れるようになる。
(C)多孔質炭素材料。
本発明の蓄電デバイス用電極の構造を模式的に示す断面図である。 実施例1〜4および比較例1〜4の容量密度を示すグラフ図である。 実施例1〜4および比較例1〜4の容量密度を示す他のグラフ図である。 実施例5〜8および比較例5〜8の容量密度を示すグラフ図である。 実施例5〜8および比較例5〜8の容量密度を示す他のグラフ図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する説明は、本発明の実施態様の一例であり、本発明は、以下の内容に限定されない。
本発明の蓄電デバイスは、図1に示すように、電解質層3と、これを挟んで設けられた正極2と負極4とを有する蓄電デバイスであって、少なくとも一方の電極が、少なくとも下記(A)と(B)とからなる複合体であるとともに下記(B)が複合体内に固定されている。
(A)ポリカルボン酸がドープした導電性ポリマー。
(B)アニオン性材料。
本発明は、上記(A)と(B)とを構成要素として有する複合体からなる電極を有することが、最大の特徴であり、その使用材料等について順を追って説明する。
<ポリカルボン酸がドープした導電性ポリマー(A)について>
上記ポリカルボン酸のドープ対象となる導電性ポリマーとしては、例えば、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリセレノフェン、ポリイソチアナフテン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリアズレン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、およびこれらの誘導体等の導電性ポリマー系材料があげられる。特に、電気化学的容量が大きく化学酸化重合が可能なポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンまたはこれらポリマーの導電体が好ましく用いられる。
上記ポリアニリンの誘導体としては、例えば、アニリンの4位以外の位置にアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基等の置換基を少なくとも1つ有するものがあげられる。なかでも、o−メチルアニリン、o−エチルアニリン、o−フェニルアニリン、o−メトキシアニリン、o−エトキシアニリン等のo−置換アニリン、m−メチルアニリン、m−エチルアニリン、m−メトキシアニリン、m−エトキシアニリン、m−フェニルアニリン等のm−置換アニリン等の重合体を挙げることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記ポリピロールの誘導体としては、例えば、ピロールの2位及び5位以外の位置にアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基等の置換基を少なくとも1つ有するものを例示することができる。好ましい具体例として、例えば、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−エテニルピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−フェニルピロール、3−フェノキシピロール、3−p−トルイルピロール、3−ベンジルピロール、3−メトキシメチルピロール、3−p−フルオロフェニルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジエチルピロール、3,4−ジエテニルピロール、3,4−ジメトキシピロール、3,4−ジエトキシピロール、3,4−ジフェニルピロール、3,4−ジフェノキシピロール、3,4−ジ(p−トルイル)ピロール、3,4−ジベンジルピロール、3,4−ジメトキシメチルピロール、3,4−ジ(p−フルオロフェニル)ピロール等の重合体を挙げることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記ポリチオフェンの誘導体としては、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェン、3,4−(2’,2’−ジエチルプロピレン)ジオキシチオフェン、3,4−(2,2−ジエチルプロピレンジオキシ)チオフェン、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−(4−オクチルフェニル)チオフェン、ヒドロキシメチル(3,4−エチレンジオキシ)チオフェン等の重合体を挙げることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
本発明に使用するポリカルボン酸がドープした導電性ポリマー(A)は、上記導電性ポリマーを形成できるモノマーの化学酸化又は電解酸化重合時に、ポリカルボン酸を共存させることで、導電性ポリマーにドーピングすることが好ましい。
上記ドーパントとなるポリカルボン酸としては、分子中にカルボキシル基を有するポリマーが好ましく用いられる。ポリカルボン酸としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニル安息香酸、ポリアリル安息香酸、ポリメタリル安息香酸、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等があげられ、ポリアクリル酸およびポリメタクリル酸が特に好ましく用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
前記ポリカルボン酸がドープした導電性ポリマー(A)のドープ率は、通常、ポリアニリンでは0.5、ポリピロールでは0.25である。ドープ率が高いほど、高容量の電池が形成できる。
また、ポリカルボン酸がドープした導電性ポリマー(A)は、多孔質炭素材料(C)表面に被覆した形態でも好ましく用いることができる。
本発明の蓄電デバイス用電極は、通常、上記(A)と、つぎに説明するアニオン性材料(B)とを含有する材料を用いてなる多孔質シートからなる。
<アニオン性材料(B)について>
上記アニオン性材料(B)としては、分子中にカルボキシル基を有するポリマーが好ましく用いられ、特にポリカルボン酸は、バインダーを兼ねることもできるためより好適に用いられる。
上記ポリカルボン酸としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニル安息香酸、ポリアリル安息香酸、ポリメタリル安息香酸、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等があげられ、ポリアクリル酸およびポリマレイン酸が特に好ましく用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
つまり、本発明におけるアニオン性材料(B)は、(A)の導電性ポリマーにドープしたポリカルボン酸と同種のものであってもよく、異なっていてもよい。
本発明による蓄電デバイスにおいて、上記ポリカルボン酸などのポリマーをアニオン性材料(B)に用いた場合は、このポリマーが、バインダーとしての機能を有するとともに、固定アニオンとしても機能することから、蓄電デバイスがロッキングチェア型の機構を有することとなり、蓄電デバイスの特性の向上に関与するものと考えられる。
本発明による蓄電デバイスにおいて、上記(A)の導電性ポリマーのドーパントとしてのポリカルボン酸と、アニオン性材料(B)との関係は、ドーパントとしてのポリカルボン酸は、導電性ポリマーの重合時に挿入されているため、分子レベルでの複合化がアニオン性材料(B)に比べより進行している。一方、アニオン性材料(B)は、導電性ポリマー粒子に混合されドーパントとしても機能するが、分子間距離が大きい場合は、一部は分子レベルでの複合化に乏しい。いずれにしても、これらのポリマーは、固定アニオンとしても機能することから、ロッキングチェア型の機構を有し、本発明による蓄電デバイスの特性の向上に関与しているものとみられる。
つまり化学重合時に取り込まれたポリカルボン酸ドーパントは、蓄電デバイスの性能向上により有効に機能すると考えられる。
上記ポリカルボン酸の一例としては、分子中にカルボキシル基を有する化合物のカルボン酸をリチウム型にするものがあげられる。リチウム型への交換率は、好ましくは100%であるが、状況に応じて交換率は低くてもよく、好ましくは40〜100%である。
上記アニオン性材料(B)は、ポリカルボン酸がドープした導電性ポリマー(A)またはポリカルボンをドープした導電性ポリマー(A)を被覆した多孔質炭素材料(C)100重量部に対して、通常、1〜100重量部、好ましくは、2〜70重量部、最も好ましくは、5〜40重量部の範囲で用いられる。上記アニオン性材料(B)の量が少なすぎると、エネルギー密度に優れる蓄電デバイスを得ることができない傾向にあり、他方、上記アニオン性材料(B)の量が多すぎても、エネルギー密度の高い蓄電デバイスを得ることができない傾向にある。
前記多孔質炭素材料(C)は、炭素材料を主成分とする多孔質構造の材料であり、吸着効率を高めるために化学的または物理的な処理(活性化、賦活化)を施した活性炭が好ましく用いられる。上記化学的な処理を施した活性炭としては、フェノール樹脂系活性炭、やしがら系活性炭、石油コークス系活性炭などがある。また、上記物理的な処理を施した活性炭としては、水蒸気賦活処理法より得られた活性炭、溶融KOH賦活処理法より得られた活性炭等がある。これらのうち大きい容量を得られる点で、水蒸気賦活処理法により得られた活性炭を用いることが好ましい。
さらに、上記活性炭としては、比表面積の大きい電気二重層キャパシタ用の活性炭が好ましく用いられる。大容量で低内部抵抗の蓄電デバイスが得られるように、平均粒径が20μm以下で比表面積が1000〜3000m2/gの活性炭を使用するのが好ましい。
上記導電性ポリマー(A)の多孔質炭素材料(C)への被覆は、導電性ポリマー(A)を適度な溶剤に溶解させた溶液中に多孔質炭素材料(C)を浸漬させ取り出し乾燥させる方法、電解重合による方法、導電性ポリマー(A)の化学酸化重合時の重合溶液に多孔質炭素材料(C)を浸漬させ、多孔質炭素材料(C)の表面に導電性ポリマー(A)を付着させる方法(以下、「その場重合法」という)などが挙げられ、この重合の際にポリカルボン酸を導電性ポリマー(A)にドープさせる。これらの中でも、その場重合法は、均一な薄膜を得ることができ特に好ましく用いられる。その場重合法としては、前記特許文献6(特開2012−33783号公報)に記載の方法を用いることができる。
導電性ポリマー(A)の被覆厚みは、0.1〜500nmであり、好ましくは0.5〜50nmである。薄すぎると容量密度の高い蓄電デバイスが得にくくなり、また厚過ぎても、イオンの拡散がしにくくなり高い容量密度が得られにくい。
導電性ポリマー(A)と、多孔質炭素材料(C)の複合体に対する導電性ポリマー(A)の重量比率は、0.5〜40%であり、好ましくは1〜10%である。
なお、本発明の蓄電デバイス用電極の他の形成材料としては、例えば、導電助剤、バインダー等を使用することができる。
<電極について>
本発明の蓄電デバイスに係る電極は、少なくとも上記ポリカルボン酸がドープした導電性ポリマー(A)とアニオン性材料(B)とからなる複合体からなり、通常、多孔質シートに形成される。電極の厚みは、1〜1000μmであることが好ましく、10〜700μmであることがさらに好ましい。
上記電極の厚みは、電極を先端形状が直径5mmの平板であるダイヤルゲージ(矢崎製作所社製)を用いて測定し、電極の面に対して10点の測定値の平均をもとめることにより得られる。集電体上に電極(多孔質層)が設けられ複合化している場合には、その複合化物の厚みを、上記と同様に測定し、測定値の平均をもとめ、集電体の厚みを差し引いて計算することにより電極の厚みが得られる。
本発明の蓄電デバイスに係る電極は、例えば、つぎのようにして形成される。ポリカルボン酸がドープした導電性ポリマー粉末、またはポリカルボン酸がドープした導電性ポリマーを被覆した多孔質炭素材料(C)を、必要に応じて、導電性カーボンブラックのような導電助剤あるいはフッ化ビニリデンのようなバインダーを加え、充分に分散させて、ペーストを調製する。これを集電体上に塗布した後、水を蒸発させることによって、集電体上にポリカルボン酸がドープした導電性ポリマー(A)とアニオン性材料(B)(必要に応じて、導電助剤とバインダー)の混合物の層を有する複合体(多孔質シート)として電極を得ることができる。
上記のように形成された電極においては、アニオン性材料(B)は、ポリカルボン酸がドープした導電性ポリマー(A)との混合物の複合体として配置されるため、複合体内に固定、すなわち電極内に固定される。そして、このようにポリカルボン酸がドープした導電性ポリマー(A)に固定配置されたアニオン性材料(B)は、ポリカルボン酸がドープした導電性ポリマー(A)の酸化還元時の電荷補償にも使用される。また、すでに重合時に取り込まれたポリカルボン酸も導電性ポリマーの酸化還元時の電荷補償に使用されるためより有効的に機能する。
本発明において、なぜ高容量の電池となるかの詳細は不明であるが、導電性ポリマーの重合時に取り込まれたポリカルボン酸や、アニオン性材料(B)が固定配置されることにより、導電性ポリマーから挿入・脱離するイオンの移動を容易にするなどの原因が考えられる。
さらに、ドープされたポリカルボン酸のアニオン性材料(B)が、リチウムイオンなどの対固定アニオンとなり、いわゆるロッキングチェア型のイオン移動に寄与し、全体の電解液量が低減しても容量低下を防いでいると考えられる。
また、電極の空隙率(%)は、{(電極の見かけ体積−電極の真体積)/電極の見かけ体積}×100で算出でき、好ましくは50〜80%であり、さらに好ましくは60〜70%である。
本発明において、上記電極の見かけ体積とは、「電極の電極面積×電極厚み」をいい、具体的には、電極の物質の体積、電極内の空隙の体積、および電極表面の凹凸部の空間の体積の総和からなる。
また本発明において、電極の真体積とは、「電極構成材料の体積」をいい、具体的には、電極構成材料の構成重量割合と各構成材料の真密度の値を用いて、電極構成材料全体の平均密度を算出しておき、電極構成材料の重量総和をこの平均密度で除することにより求められる。
上記で用いた各構成材料の真密度(真比重)としては、ポリアニリン1.2、活性炭2.0、ポリアクリル酸1.2、デンカブラック(アセチレンブラック)2.0を用いた。
なお、本発明に係る電極は、蓄電デバイスの正極および負極のいずれにも用いることができるが、とりわけ、正極として用いることが好ましい。すなわち、本発明に係る電極は、図1に示すように、電解質層3とこれを挟んで対峙する一対の電極(正極2,負極4)が設けられた蓄電デバイスにおける正極2および負極4のいずれにも用いることができるが、正極2として用いることが好ましい。以下、本発明の蓄電デバイスに係る電極を正極2として使用した場合について、蓄電デバイスの構成を説明する。
<電解質層について>
本発明の蓄電デバイスに用いる電解質層は、電解質により構成されるが、例えば、セパレータに電解液を含浸させてなるシートや、固体電解質からなるシートが好ましく用いられる。固体電解質からなるシートは、それ自体がセパレータを兼ねている。
電解質層として、例えば、上述したように、電解液を含浸させたセパレータを用いる場合には、そのような電解液を構成する電解質として、例えば、プロトン、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウムイオン、第4級ホスホニウムイオン等の少なくとも1種のカチオンとスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ素イオン、ハロゲンイオン、リン酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン等の少なくとも1種のアニオンを組み合せたものが好ましく用いられる。
電解液を構成する溶媒としては、水のほか、カーボネート類、アルコール類、ニトリル類、アミド類、エーテル類等の少なくとも1種の有機溶媒が用いられる。なお、上記溶媒に溶質が溶解したものを「電解液」ということがある。
<負極について>
本発明の蓄電デバイスに係る負極活物質としては、金属リチウムや、酸化・還元時にリチウムイオンが挿入・脱離し得る炭素材料や遷移金属酸化物、シリコン、スズなどが好ましく用いられる。また、多孔質の炭素材料である活性炭を負極として用いてもよい。なお、本発明において、「用いる」とは、その形成材料のみを使用する場合以外に、その形成材料と他の形成材料とを組み合わせて使用する場合も含める趣旨であり、通常、他の形成材料の使用割合は、その形成材料の50重量%未満に設定される。
また、上記蓄電デバイスは、上述の正極、電解質層、負極等のほかに、セパレータを用いている。このようなセパレータは、各種の態様で用いることができる。上記セパレータとしては、これを挟んで対向して配設される電極と負極の間の電気的な短絡を防ぐことができ、さらに、電気化学的に安定であり、イオン透過性が大きく、ある程度の機械強度を有する絶縁性の多孔質シートが好ましい。従って、上記セパレータの材料としては、例えば、紙、不織布や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド等の樹脂からなる多孔性の多孔質シートが好ましく用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。上述のとおり、電解質層3が固体電解質からなるシートである場合には、それ自体がセパレータを兼ねているため、別途他のセパレータを準備する必要はない。
<蓄電デバイス>
上記材料を用いた、蓄電デバイスの組立ては、グローブボックス中、超高純度アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
図1において、正極2および負極4の集電体(図1の1,5)としては、ニッケル、アルミ、ステンレス、銅等の金属箔やメッシュが適宜用いられる。
本発明の蓄電デバイスは、ラミネートセル、多孔質シート型、シート型、角型、円筒型、ボタン型等種々の形状に形成される。
本発明の蓄電デバイスは、導電性ポリマー(A)または導電性ポリマー(A)を被覆した多孔質炭素材料(C)重量当たりの容量密度が、通常100mAh/g以上であり、好ましくは150mAh/g以上である。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
<ポリアクリル酸存在下でのアニリン化学酸化重合による導電性ポリアニリン粉末の作製>
300mL容量のガラス製ビーカー中に、イオン交換水107.8gを入れ、そこに重量平均分子量25万のポリアクリル酸(和光純薬工業社製)9.3g(0.129mol)を加え、超音波ホモジナイザーにて溶解した。そこへ、42重量%濃度のテトラフルオロホウ酸(和光純薬工業社製、試薬特級)26.9g(0.129mol)を添加し、超音波ホモジナイザーを用いて混合した。つぎに、アニリン6.0g(0.0644mol)を加え、撹拌溶解した。
50mL容量のガラス製ビーカーに、イオン交換水27.3gを入れ、ここにペルオキソ二硫酸アンモニウム(和光純薬工業社製、試薬特級)14.7g(0.0644mol)を添加し、磁気スターラーにて撹拌溶解した。
メカニカル攪拌機にてアニリン塩水溶液を撹拌し、低温恒温槽にてビーカーを冷却しながら、重合反応温度を10℃に制御し、上記にて作製したペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液を、チューブポンプを用いて0.1mL/minの速度で少しずつアニリン塩水溶液中に滴下した。
15分経過した頃から、溶液の変色が始まり、青緑色から緑色になり、遂に黒緑色粉末が析出してきた。ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液の滴下速度を早めていき、2時間後に滴下を終了した。そのまま30分間撹拌を続けた後重合を終え、生成した黒緑色のポリアニリン粉末を、No.2濾紙を用いて吸引濾過した。イオン交換水にてブフナーロート上から掛け流し水洗した後、メタノール中に濾過物を投入し、マグネチックスターラーにて撹拌洗浄した。吸引濾過して粉末を単離した後、再度同様にしてメタノール洗浄し、次にアセトンにて2回、同様に撹拌洗浄して、ポリアニリン粉末を単離した。ついで、真空デシケータ中で、室温下、10時間真空乾燥し、テトラフルオロホウ酸とポリアクリル酸が共にドープされた導電性ポリアニリン粉末9.3gを得た。
<複合体シート電極の製造>
ポリアクリル酸(和光純薬工業社製、重量平均分子量100万)0.1gをイオン交換水3.9gに加え、一夜、静置して、膨潤させた。この後、超音波式ホモジナイザーを用いて1分間処理して溶解させて、2.5重量%濃度の均一で粘稠なポリアクリル酸水溶液4gを得た。
前記テトラフルオロホウ酸とポリアクリル酸が共にドープされた導電性ポリアニリン粉末0.8gを、導電性カーボンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)粉末0.1gと混合した後、これを前記2.5重量%濃度のポリアクリル酸水溶液4gに加え、スパチュラでよく練った後、超音波式ホモジナイザーにて1分間分散処理を施して、流動性を有するペーストを得た。このペーストを更に真空吸引鐘とロータリーポンプを用いて脱泡した。
上記脱泡処理したペーストを、エッチング処理した電気二重層キャパシタ用のアルミニウム箔(宝泉社製、30CB、幅150mm、厚み30μm)上に、卓上型自動塗工装置(テスター産業社製、PI−1210)を用いて、マイクロメーター付きフィルムアプリケータにて塗布速度10mm/秒で塗布した。つぎに、室温で45分間放置した後、温度100℃のホットプレート上で1時間乾燥した。その後、真空プレス機(北川精機社製、KVHC)を用いて、15cm角のステンレス板に挟んで、温度140℃、圧力1.49MPaで5分間プレスして、複合体シートを得た。
この複合体シートの厚みは298μmで、空隙率は65%であった。
<蓄電デバイスの作製>
上記により得られた複合体シート電極を正極として用い、その他準備した上記材料を用いて、蓄電デバイス(リチウム二次電池)であるセルの組立をつぎに示す。
まず、上記複合体シートを直径15.95mmの打ち抜き刃が据え付けられた打ち抜き治具にて円盤状に打ち抜いて正極シートとし、負極としては、金属リチウム(本城金属社製、コイン型金属リチウム、厚み50μm)を用い、セパレータとしては、宝泉社製の空隙率68%の不織布TF40−50を用いて、これらを宝泉社製の非水電解液二次電池実験用のステンレス製HSセルに組み付けた。上記正極シートとセパレータは、HSセルへの組み付けの前に真空乾燥機にて100℃で5時間、真空乾燥した。電解液には1モル/dm3濃度のテトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)のエチレンカーボネート/ジメチルカーボネート溶液(キシダ化学社製)を用いた。リチウム二次電池は、露点は−100℃のグローブボックス中、超高純度アルゴンガス雰囲気下に組み立てた。
電解液重量(mg)は、テトラフルオロホウ酸とポリカルボン酸をドープした導電性ポリアニリン(mg)に対して、4.5倍とした。つまり、電解液重量(mg)/テトラフルオロホウ酸とポリカルボン酸をドープした導電性ポリアニリン重量(mg)=4.5(mg/mg)とした。
(リチウム二次電池の特性)
組み立てたリチウム二次電池の特性は、電池充放電装置(北斗電工社製、SD8)を用いて、定電流−定電圧充電/定電流放電モードにて行った。充電終止電圧は3.8Vとし、定電流充電により電圧が3.8Vに到達した後は、3.8Vの定電圧充電を電流値が定電流充電時の電流値に対して20%の値になるまで行い、この後、放電終止電圧2.0Vまで定電流放電を行った。
充放電5サイクル目の放電エネルギー密度を、正極の活物質重量の合計と正極の活物質重量と使用した電解液の重量の合計重量に対して示した。その結果を後記の表1と図2、図3に示す。
〔実施例2〕
電解液重量(mg)を、テトラフルオロホウ酸とポリカルボン酸がともにドープされた導電性ポリアニリン重量(mg)に対して、3.75倍とした以外は実施例1と同様にセルを作成し評価した。その結果を後記の表1と図2、図3に示す。
〔実施例3〕
電解液重量(mg)を、テトラフルオロホウ酸とポリカルボン酸がともにドープされた導電性ポリアニリン重量(mg)に対して、3.25倍とした以外は実施例1と同様にセルを作成し評価した。その結果を後記の表1と図2、図3に示す。
〔実施例4〕
電解液重量(mg)を、テトラフルオロホウ酸とポリカルボン酸がともにドープされた導電性ポリアニリン重量(mg)に対して、2.50倍とした以外は実施例1と同様にセルを作成し評価した。その結果を後記の表1と図2、図3に示す。
〔比較例1〕
<テトラフルオロホウ酸アニオンをドーパントとする導電性ポリアニリン粉末の作製>
イオン交換水138gを入れた300mL容量のガラス製ビーカーに、42重量%濃度のテトラフルオロホウ酸水溶液(和光純薬工業社製、試薬特級)84.0g(0.402mol)を添加し、磁気スターラーにて撹拌しながら、アニリン10.0g(0.107mol)を加えた。テトラフルオロホウ酸水溶液にアニリンを加えた当初は、アニリンは、テトラフルオロホウ酸水溶液に油状の液滴として分散していたが、その後、数分以内に水に溶解して、均一で透明なアニリン水溶液となった。このようにして得られたアニリン水溶液は低温恒温槽を用いて−4℃以下に冷却した。
つぎに、酸化剤として二酸化マンガン粉末(和光純薬工業社製、試薬1級)11.63g(0.134mol)を上記アニリン水溶液中に少量ずつ加えて、ビーカー内の混合物の温度が−1℃を超えないようにした。このようにして、アニリン水溶液に酸化剤を加えることによって、アニリン水溶液は直ちに黒緑色に変化した。その後、しばらく撹拌を続けたとき、黒緑色の固体が生成し始めた。
このようにして、80分間かけて酸化剤を加えた後、生成した反応生成物を含む反応混合物を冷却しながら、更に、100分間、撹拌した。その後、ブフナーロートと吸引瓶を用いて、得られた固体をNo.2濾紙にて吸引濾過して、粉末を得た。この粉末を約2モル/dm3のテトラフルオロホウ酸水溶液中にて磁気スターラーを用いて撹拌、洗浄し、次いで、アセトンにて数回、攪拌、洗浄し、これを減圧濾過した。得られた粉末を室温で10時間真空乾燥して、テトラフルオロホウ酸アニオンをドーパントとする導電性ポリアニリン12.5gを鮮やかな緑色粉末として得た。
実施例1において、2.5重量%濃度のポリアクリル酸水溶液4gの代わりに、SBRエマルジョン(JSR社製、TRD2001、SBR含有量48重量%)0.31gとポリ(N−ビニルピロリドン)水溶液(日本触媒社製、K−90W、含有量19.8重量%)0.21gを混合した溶液を用いた以外は、実施例1と同様にセルを作製し評価した。その結果を後記の表1と図2、図3に示す。
この複合体シートの厚みは275μmで、空隙率は47%であった。
〔比較例2〕
電解液重量(mg)を、テトラフルオロホウ酸アニオンをドーパントとする導電性ポリアニリン重量(mg)に対して、3.75倍とした以外は比較例1と同様にセルを作成し評価した。その結果を後記の表1と図2、図3に示す。
〔比較例3〕
電解液重量(mg)を、テトラフルオロホウ酸アニオンをドーパントとする導電性ポリアニリン重量(mg)に対して、3.25倍とした以外は比較例1と同様にセルを作成し評価した。その結果を後記の表1と図2、図3に示す。
〔比較例4〕
電解液重量(mg)を、テトラフルオロホウ酸アニオンをドーパントとする導電性ポリアニリン重量(mg)に対して、2.50倍とした以外は比較例1と同様にセルを作成し評価した。その結果を後記の表1と図2、図3に示す。
なお、実施例1〜4では、テトラフルオロホウ酸とポリアクリル酸がドープされた導電性ポリアニリンの重量を活物質重量として、比較例1〜4では、テトラフルオロホウ酸アニオンをドーパントとする導電性ポリアニリンの重量を活物質重量として計算した。
Figure 2014116146
上記表1の結果から、実施例1〜4は比較例1〜4に比べ容量密度が大きく、また電解液量を減らしても、実施例においては導電性ポリマーを被覆した活性炭と電解液重量の合計重量に対する容量密度が低下しないことがわかった。
なお、本発明者は、実施例1〜4が充放電速度にも優れていることを確認した。
〔実施例5〕
<導電性ポリマー(A)を被覆した多孔質炭素材料(C)の調製>
1L容量のガラス製ビーカー中のイオン交換水241.2gに、42重量%濃度のテトラフルオロホウ酸水溶液(和光純薬工業社製、試薬特級)5.6g(0.0268モル)を加え、均一に混合した。得られたテトラフルオロホウ酸水溶液に、攪拌しながら、アニリン1.25g(0.0134モル)を加えて、アニリン塩の透明な水溶液を得た。
重量平均分子量25万のポリアクリル酸(和光純薬工業社製、試薬一級)1.93g(0.0268モル)を、イオン交換水46.3gに加え、超音波ホモジナイザーにより溶解して、4重量%のポリアクリル酸水溶液を作製した。この中へ、上記で得られたアニリン塩水溶液を添加し、再び超音波ホモジナイザーにより混合分散処理し、テトラフルオロホウ酸とポリアクリル酸の共存する中に、アニリン塩が溶解しているアニリン塩水溶液を得た。
イオン交換水13.8gにペルオキソ二硫酸アンモニウム1.53g(0.0067モル)を溶解させた酸化剤水溶液を、上記のテトラフルオロホウ酸とポリアクリル酸の共存する中にアニリン塩が溶解しているアニリン塩の水溶液に加え、攪拌し、均一に混合して、無色透明のアニリン/酸化剤水溶液を得た。このアニリン/酸化剤水溶液が無色透明である間に、即ち、アニリンの酸化重合が始まる前の重合誘導期内に、上記水溶液に多孔質炭素材料(C)として水蒸気賦活活性炭(JFEケミカル社製、JSC18)50g(活性炭/アニリン重量比40)を加え、超音波ホモジナイザーにて2分間超音波分散処理して、活性炭を上記アニリン/酸化剤水溶液に懸濁させた。
この活性炭を懸濁させたアニリン塩/酸化剤水溶液を30hPaの減圧下に置き、5分間脱泡処理して、活性炭の細孔内部まで上記アニリン塩/酸化剤水溶液を含浸させた。この後、アニリン塩/酸化剤水溶液を大気圧下に戻し、攪拌を続けた。最初、無色透明であった上記アニリン塩/酸化剤水溶液は、ここまでの処理の間も透明であり続けた。この後、上記アニリン塩/酸化剤水溶液中にてアニリンの酸化重合が開始され、進行するに従って、水溶性の色は青色から青緑色に、更に、黒緑色に変化した。
このようにして得られたアニリンの酸化重合物を減圧濾過して、黒色粉末を得た。これをアセトンで洗浄し、再度減圧濾過し、この操作を合計3回行った。得られた黒色粉末をデシケータ中、室温にて10時間真空乾燥して、テトラフルオロホウ酸とポリアクリル酸をドーパントとする導電性ポリアニリン/活性炭複合体52.1gを得た。このようにして得られた導電性ポリアニリン/活性炭複合体の重量増加は、用いた活性炭の重量に対して、2.1gであった。即ち、重量増加分の複合体に占める割合は4.0重量%であった。また、この導電性ポリアニリン/活性炭複合体のBET法による比表面積は1520m2/gであった。
<アニオン性材料(B)の準備>
ポリアクリル酸(和光純薬工業社製、重量平均分子量80万)を用い、水溶液中でカルボン酸の1/2当量の水酸化リチウムを加え、4.5重量%濃度の均一で粘稠なポリアクリル酸水溶液を準備した。上記ポリアクリル酸は、カルボキシル基の約50%がリチウム塩化したものとなった。
<複合体シート電極の製造>
前記ポリカルボン酸がドープした導電性ポリマーを被覆した活性炭粉末4.00gを、導電性カーボンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)粉末0.53gと混合した後、上記アニオン性材料(B)である4.5重量%濃度のポリアクリル酸水溶液(リチウム転化率0.5、重量平均分子量80万)19gおよび蒸留水16.0gを加え、スパチュラでよく練った。これを超音波式ホモジナイザーにて5分間超音波処理を施した後、フィルミックス40−40型(プライミックス社製)を用い、周速20m/minで30秒間高速攪拌を行い、流動性を有するペーストを得た。このペーストをあわとり練太郎(シンキー社製)にて3分間脱泡操作を行った。
上記脱泡処理したペーストを使用する以外は実施例1と同様にして、複合体シート電極(シート状分極性電極)を作製した。
この複合体シートにおいて、ポリアニリンを被覆した活性炭、ポリアクリル酸、および導電性カーボンブラックからなる正極活物質層は、厚み335μm、空隙率73%であった。
<蓄電デバイスの作製>
セパレータとして、宝泉社製の空隙率55%の不織布TF40−50に代えて、宝泉社製の空隙率68%の不織布TF40−50を使用した以外は、実施例1と同様にして、蓄電デバイス(リチウム二次電池)を作製した。
(複合体シート電極の蓄電デバイス性能)
組み立てたリチウム二次電池の特性は、電池充放電装置(北斗電工社製、SD8)を用いて、定電流−定電圧充電/定電流放電モードにて行った。すなわち、0.05mA/cm2の電流値にて、3.8Vまで充電を行い、3.8V到達後、定電位充電に切り替えた。充電後30分放置し、その後0.05mA/cm2の電流値にて、電圧が2Vになるまで放電した。
本電極を用いた電池の放電容量を、テトラフルオロホウ酸とポリカルボン酸がドープした導電性ポリマーを被覆した活性炭の重量当たりに換算すると、135.0mAh/gであった。さらに、テトラフルオロホウ酸とポリカルボン酸がドープした導電性ポリマーを被覆した活性炭と使用した電解液量の合計重量当たりに換算すると、24.5mAh/gであった。その結果を後記の表2と図4、図5に示す。
〔実施例6〕
電解液重量(mg)を、導電性ポリマーを被覆した活性炭の重量(mg)に対して、3.75倍とした以外は実施例5と同様にセルを作製し評価した。その結果を後記の表2と図3、図4に示す。
〔実施例7〕
電解液重量(mg)を、導電性ポリマーを被覆した活性炭の重量(mg)に対して、3.25倍とした以外は実施例5と同様にセルを作製し評価した。その結果を後記の表2と図3、図4に示す。
〔実施例8〕
電解液重量(mg)を、導電性ポリマーを被覆した活性炭の重量(mg)に対して、2.50倍とした以外は実施例5と同様にセルを作製し評価した。その結果を後記の表2と図4、図5に示す。
〔比較例5〕
実施例5において、テトラフルオロホウ酸とポリカルボン酸がドープした導電性ポリマーを被覆した活性炭粉末4.00gの代わりに、テトラフルオロホウ酸とポリカルボン酸がドープした導電性ポリマーを被覆していない活性炭粉末4.00gを用いること、および4.5重量%濃度のポリアクリル酸水溶液19gの代わりに、SBRエマルジョン(JSR社製、TRD2001、SBR含有量48重量%)0.31gとポリ(N−ビニルピロリドン)水溶液(日本触媒社製、K−90W、含有量19.8重量%)1.76gを混合した溶液を用いた以外は、実施例5と同様にセルを作製し評価した。
この複合体シートにおいて、活性炭、SBR、ポリ(N−ビニルピロリドン)および導電性カーボンブラックからなる正極活物質層は、厚み304μm、空隙率65%であった。
本電極を用いた電池の放電容量を活性炭重量当たりに換算すると、73mAh/gであった。さらに、活性炭重量と使用した電解液量の合計重量当たりに換算すると、13.3mAh/gであった。その結果を後記の表2と図4、図5に示す。
〔比較例6〕
電解液重量(mg)を、活性炭の重量(mg)に対して、3.75倍とした以外は比較例5と同様にセルを作製し評価した。その結果を後記の表2と図4、図5に示す。
〔比較例7〕
電解液重量(mg)を、活性炭の重量(mg)に対して、3.25倍とした以外は比較例5と同様にセルを作製し評価した。その結果を後記の表2と図4、図5に示す。
〔比較例8〕
電解液重量(mg)を、活性炭の重量(mg)に対して、2.50倍とした以外は比較例5と同様にセルを作製し評価した。その結果を後記の表2と図4、図5に示す。
Figure 2014116146
上記表2の結果から、実施例5〜8は比較例5〜8に比べ容量密度が大きく、また電解液量を減らしても、実施例においては導電性ポリマーを被覆した活性炭と電解液重量の合計重量に対する容量密度が低下しないことがわかった。
なお、本発明者は、実施例5〜8が充放電速度にも優れていることを確認した。
本発明の蓄電デバイスは、リチウム二次電池等の蓄電デバイスや高容量キャパシタとして好適に使用できる。また、本発明の蓄電デバイスは、従来の二次電池や電気二重層キャパシタと同様の用途に使用でき、例えば、携帯型PC、携帯電話、携帯情報端末(PDA)等の携帯用電子機器や、ハイブリッド電気自動車、電気自動車、燃料電池自動車等の駆動用電源に広く用いられる。
1 正極用集電体
2 正極
3 電解質層
4 負極
5 負極用集電体

Claims (6)

  1. 電解質層と、これを挟んで設けられる正極と負極とを有する蓄電デバイスであって、少なくとも一方の電極が、少なくとも下記(A)と(B)とからなる複合体であるとともに下記(B)が複合体内に固定されていることを特徴とする蓄電デバイス。
    (A)ポリカルボン酸がドープした導電性ポリマー。
    (B)アニオン性材料。
  2. 蓄電デバイス用電極であって、少なくとも下記(A)と(B)とからなる複合体であるとともに下記(B)が複合体内に固定されていることを特徴とする蓄電デバイス用電極。
    (A)ポリカルボン酸がドープした導電性ポリマー。
    (B)アニオン性材料。
  3. 蓄電デバイス電極用多孔質シートであって、少なくとも下記(A)と(B)とからなる複合体によって構成されるとともに下記(B)が複合体内に固定されていることを特徴とする蓄電デバイス電極用多孔質シート。
    (A)ポリカルボン酸がドープした導電性ポリマー。
    (B)アニオン性材料。
  4. 上記複合体が、さらに下記の(C)とからなり、(C)が(A)により被覆されてなる請求項1記載の蓄電デバイス。
    (C)多孔質炭素材料。
  5. 上記複合体が、さらに下記の(C)とからなり、(C)が(A)により被覆されてなる請求項2記載の蓄電デバイス用電極。
    (C)多孔質炭素材料。
  6. 上記複合体が、さらに下記の(C)とからなり、(C)が(A)により被覆されてなる請求項3記載の蓄電デバイス電極用多孔質シート。
    (C)多孔質炭素材料。
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